本発明のウエハへの保護テープの貼付装置は、前記したように、ウエハに保護テープを貼り付けするための保護テープの貼付装置であり、ウエハの外径よりも大きい外径を有する保護テープAを当該ウエハの周端部から保護テープAが突出するようにウエハの裏面に貼付するための保護テープAの貼り付け部と、前記保護テープAの貼り付け部で保護テープAが貼付されたウエハの表面に当該ウエハの外径よりも大きい外径を有する保護テープBを当該ウエハの周端部から突出させて貼付し、保護テープAの周端部と保護テープBの周端部とを一体化させ、ウエハの周端部を封止するための端部封止部を備えていることを特徴とする。
本発明のウエハへの保護テープの貼付装置を用い、ウエハの外径よりも大きい外径を有する保護テープAを当該ウエハの周端部から保護テープAが突出するように当該ウエハの裏面に貼付し、保護テープAが貼付されているウエハの表面に当該ウエハの外径よりも大きい外径を有する保護テープBを当該ウエハの周端部から保護テープBが突出するように当該ウエハの表面に貼付した後、前記ウエハから突出した保護テープAの周端部と保護テープBの周端部とを一体化させることにより、ウエハの周端部を効率よく封止することができる。
本発明のウエハへの保護テープの貼付装置を以下の図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施態様のみに限定されるものではない。なお、各図において、ウエハの厚さ、外周リブの厚さおよび外周リブの幅は、いずれも本発明の理解を深めるために誇張して描かれており、必ずしも実際の厚さまたは幅を示すものではない。
本発明のウエハへの保護テープの貼付装置に用いられるウエハとしては、例えば、図1のウエハの表面側の概略平面図に示されるように、円盤形状を有するウエハWを用いることができる。ウエハWの外周の一部には、ウエハWの位置決めとなるノッチWaが形成されている。ウエハWの裏面の外周端には、例えば、図16のウエハの一実施態様に示されるように凸部(以下、外周リブ91という)が形成されている。前記外周リブ91は、例えば、ウエハWの外周端に当該外周リブ91が形成されるように、当該外周リブ91が設けられる箇所よりも内側のウエハWの裏面を研削するか、または当該ウエハWの裏面をエッチングすることによって形成させることができる。
図2は、本発明のウエハへの保護テープの貼付装置の一実施態様を示す概略平面図である。図3は、図2に示される本発明のウエハへの保護テープの貼付装置のC−C部における概略縦断面図である。図4は、図2に示される本発明のウエハへの保護テープの貼付装置のD−D部における概略縦断面図である。
ウエハへの保護テープの貼付装置において、保護テープAの貼り付け部は、ウエハ供給/収納部aと、位置決め部bと、ウエハ供給/収納部aのウエハWを1枚ずつ取り出して位置決め部bに搬送するためのウエハ搬送機構cと、位置決め部bで位置決めされているウエハWを受け取って支持するための保護テープAの貼り付け部dと、位置決め部b上のウエハWを保護テープAの貼り付け部dに移送するためのウエハ搬送機構eと、保護テープAの貼り付け部dに隣接して位置し、保護テープAをウエハWの外形よりも大きい形状に切断するための保護テープ切断部fと、保護テープAの貼り付け部dと保護テープ切断部fの間を移動し、保護テープ切断部fで切断された保護テープAを吸着することによって保持し、保護テープAの貼り付け部dに移送するとともに、保護テープAの貼り付け部dでウエハW上に保護テープAを貼り付けるためのテープ搬送貼り付け機構gを有する。これらの構成要素は、図面に示されるように、1台の機台1上に設けられていてもよく、複数の機台(図示せず)上に設けられていてもよい。
ウエハWに貼着する保護テープAとして、ウエハWの外形よりも少し広幅でロール状に形成されている保護テープを用いることができる。保護テープAは、通常、ウエハWの裏面に貼り付けられるが、場合によってはウエハWの表面に貼り付けられてもよい。
ウエハ供給/収納部a内には、例えば、昇降可能な収納カセット2内に複数枚のウエハWの表面が上方を向くようにして当該ウエハWが積み重ねて収納されている。ウエハ供給/収納部aには、ウエハWが昇降自在となるようにするために、必要に応じて、例えば、エレベーター機構などの昇降機構(図示せず)が設けられていてもよい。
位置決め部bは、ウエハ供給/収納部aに近接して位置している。ウエハ搬送機構cは、その外周部にウエハWを吸着する搬送ロボット3を有する。搬送ロボット3は、前後、上下、表裏反転および旋回の移動が可能となるように構成されている。搬送ロボット3により、ウエハ供給/収納部aのウエハWを1枚ずつ取り出し、表裏反転した後、位置決め部bに搬送することができる。
搬送ロボット3は、ウエハWの下面を吸着することによって搬送するものである。なお、搬送ロボット3は、ウエハWの上面を吸着するようにしてもよい。搬送ロボット3は、ウエハWの裏面の外周リブ91を吸着するように構成されている。また、搬送ロボット3は、先端の吸着ハンド部分が表裏反転するようにするために、例えば、モータなどの駆動源(図示せず)で回転するように構成されていることが好ましい。搬送ロボット3として、非接触でウエハWを搬送することができる非接触型のハンドを用いてもよい。
位置決め部b、保護テープAの貼り付け部dおよび保護テープ切断部fは、いずれも機台1上の中央部に直線上に並べて設けられている。
位置決め部bは、機台1上にウエハWを水平に支持するための位置決めテーブル4を有する。位置決めテーブル4の上方には、ウエハWの外周部分を両側から掴持し、ウエハWを回転させる保持枠4aが形成されている。また、位置決めテーブル4の下方には回転モータ6が設けられている。
位置決めテーブル4は、回転モータ6によって回転する。位置決めテーブル4上にウエハWを載置した後、保持枠4aでウエハWをその外周の両側から挟持し、ウエハWを位置決めテーブル4とともに回転させ、位置決めテーブル4の近傍の上方に設けられている位置決めセンサ5でウエハWのノッチWaを検出することにより、ノッチWaが所定位置に配置されるように位置決めし、ウエハWの保持を解除することにより、ウエハWが位置決めテーブル4上に載置される。
位置決め部bで位置決めされているウエハWを受け取り、当該ウエハWに保護テープAを貼り付けるための保護テープAの貼り付け部dは、機台1上で固定されている下部チャンバー7内に、ウエハWを水平に保持して吸着するための載置テーブル8が設けられている。載置テーブル8の下方には、複数の昇降ガイド12が設けられている。昇降ガイド12を支持する支持板14は、下部チャンバー7の外側の下方の固定枠に固定されている昇降シリンダ13と接続されており、載置テーブル8は、上下動が可能となるように配設されている。なお、可動部分の各部には、気密性が保持されるようにするためにシールが施されていることが好ましい。
載置テーブル8は、ウエハWの裏面の外周に設けられている外周リブ91を吸着するための吸着パッド9が設けられている。吸着パッド9は、吸引パイプ11と連通している。吸引パイプ11は、真空ポンプなどの減圧ポンプ(図示せず)と接続されている。これにより、吸着パッド9に吸着力を発生させることができる。
載置テーブル8の中央付近には、複数の貫通孔83が設けられている。貫通孔83により、下部真空チャンバー7の内圧とウエハWの裏面の内周部に存在する空間の圧力とが同一となるように構成されている。
また、貫通孔83とは別のラインで複数の通気孔10がそれぞれ連通するように設けられている。通気孔10は、通気パイプ(図示せず)を通じて下部チャンバー7の外部のエアライン(図示せず)に接続されている。エアラインには、当該エアラインを介して外気の導入または停止が可能となるようにバルブ(図示せず)が接続されている。
位置決め部bにあるウエハWを保護テープAの貼り付け部dに移送するために、ウエハ搬送機構eが機台1上に配設されている。
ウエハ搬送機構eには、ウエハWの裏面に設けられている外周リブ91の上面(回路パターンが形成されていない部分)を吸着するための昇降自在な吸着ハンド15が、機台1上に設けられたガイドレール16に沿って配設されている。吸着ハンド15は、位置決め部bと保護テープAの貼り付け部dとの間を移動するように配置されている。吸着ハンド15は、シリンダ82で上下方向に可動となるよう配設することができる。
吸着ハンド15には、モータ81が接続されている。モータ81を駆動することにより、吸着ハンド15を表裏反転させることができる。吸着ハンド15は、位置決め部bに配設されている位置決めテーブル4上で位置決めされているウエハWを吸着した後、ガイドレール16に沿って移動させることにより、ウエハWを接着テープAの貼り付け部dの載置テーブル8上に移動させることができる。なお、ウエハWを保持するための吸着ハンド15として、非接触型のハンドを用いることができる。
保護テープ切断部fは、保護テープAの貼り付け部dを挟んで位置決め部bとは反対の側に配設されている。保護テープ切断部fは、対向する一対の側板17、17を有する。2枚の側板17、17の間の中央部には、下部チャンバー7の上端部とほぼ等しい高さに貼り付けテーブル18が水平に設けられている。貼り付けテーブル18の下部には、切断機構19が設けられている。切断機構19は、上下動および旋回動が自在である。貼り付けテーブル18に貼り付けられる保護テープAは、切断機構19によって円形孔27の内周に沿って切り抜かれる。
図4に示されるように、2枚の側板17、17の間には、ロール状の保護テープAが巻回されているテープ供給ロール20と、セパレータ巻取ロール21と、切り抜き後の余剰保護テープを巻き取るためのテープ巻取ロール22と、テープ供給ロール20から引き出されている保護テープAを下方に誘導するためのガイドローラー23と、保護テープAからセパレータTaを剥がすための一対のガイドローラー24と、ガイドローラー25と、保護テープAをテープ巻取ロール22に誘導するための一対のガイドローラー26とが設けられている。
セパレータTaが剥がされている保護テープAは、一対のガイドローラー24とガイドローラー25との間で、保護テープAの粘着面が下に向き、ほぼ水平の状態で貼り付けテーブル18の上面に接近する。
貼り付けテーブル18は、図3、図4および図7に示されるように、ウエハWの外形よりも大きい形状に形成されている。貼り付けテーブル18の中央部には、ウエハWの外径よりもやや大きい円形孔27が形成されている。また、図5および図6に示されるように、テープ搬送貼り付け機構gの上部チャンバー44に設けられている支持枠49および支持枠50が貼り付けテーブル18の上面と干渉しないようにするために、図7に示されるように、貼り付けテーブル18に切欠き部68、69が設けられている。
貼り付けテーブル18の上方には、一対のガイドローラー24とガイドローラー25との間に存在する保護テープAの上側で貼り付けローラー28が、また保護テープAの下側の剥離ローラー29が、それぞれ保護テープAの移動方向に沿って回転自在に配置されている。
切断機構19には、図3に示されるように、円形孔27と同じ軸心を有する回転軸93が設けられている。回転軸93には、モータ34で回転するように取り付けられている支持板30が取り付けられている。支持板30の外周方向には、レール35に沿って移動可能であるとともに適宜の位置で固定可能である可動台32が設けられている。可動台32には、シリンダなどによって上下方向に移動可能な円周カッター33が取り付けられている。
円周カッター33は、上方向に上昇したとき、貼り付けテーブル18上の保護テープAの円形孔27に位置する部分を突き破り、モータ34の回転運動によって旋回する。これにより、保護テープAは、円形に切り抜かれる。
保護テープAの直径は、ウエハWの周端部から封止代が突出するようにウエハWの外径よりも大きくなるように設定される。したがって、円周カッター33の旋回時の直径は、ウエハWの外径よりも大きくなるように設定されている。円周カッター33の旋回時の直径は、可動台32で容易に調節することができる。
貼り付けローラー28は、前後方向に移動可能な軸受部材37に架設されている。貼り付けローラー28は、例えば、駆動装置(図示せず)を用いて駆動させることにより、保護テープAを貼り付けテーブル18上に押圧して接着させることができる。
図4に示される剥離ローラー29は、前後方向に移動可能な軸受部材38に架設されている。剥離ローラー29は、例えば、駆動装置(図示せず)を用いて駆動させることにより、円周カッター33によって保護テープAを切り抜いた後に貼り付けテーブル18上に接着されている余剰の保護テープAを貼り付けテーブル18の上面から剥がすことができる。
側板17、17の対向面に枠体40、40が水平に設けられている。また、枠体40、40に沿ってレール41、41が施設されている。レール41、41には、スライダー66、67が摺動可能に嵌合している。スライダー66、67の間には、移動部材42が設けられている。移動部材42は、例えば、モータなどの駆動手段(図示せず)により、保護テープAの貼付け部dの直上と保護テープ切断部fの直上との間で移動可能に配設されている。
移動部材42の下部には、下面が開放している上部チャンバー44が昇降シリンダ43を介して上下方向に移動するように取り付けられている。上部チャンバー44内には、吸着テーブル45が設けられている。吸着テーブル45は、多孔質の吸着部材をテーブル枠46に内嵌することによって形成されている。テーブル枠46の上には、支持板47が固定されている。支持板47の一端には、吸着テーブル45を常時上方に傾斜させるために弾性を付勢するばね48が設けられている。支持板47の他端には、支持枠50が下方に向かって延設されている。支持枠50は、軸51により、上部チャンバー44の内部下方に延設されている支持枠49に揺動可能に軸支されている。
支持板47には、当該支持板47に沿ってレール52が敷設されている。レール52上には、上部チャンバー44の内面上部に取り付けられているレール54に沿ってモータなどの駆動装置(図示せず)により、水平方向に駆動可能なスイングローラー53が、支持枠55に軸支して設けられている。スイングローラー53は、レール52上を水平方向に移動するように構成されている。
吸着テーブル45の傾斜下端側から傾斜上端側に向かってスイングローラー53を水平方向に移動させることにより、軸51を支点として吸着テーブル45を揺動させることができる。なお、軸51は、保護テープAを揺動させることによってウエハWに貼り付ける際に、保護テープAおよびウエハWが水平方向にずれないようにするために、吸着テーブル45の保護テープAの保持面の傾斜の下端が支点となるように設定することが好ましい。
吸着テーブル45では、前記したように、多孔質の吸着体がテーブル枠46内で保持されている。テーブル枠46には、例えば、真空ポンプなどの減圧手段(図示せず)と接続されている吸引パイプ65を介して吸着テーブル45のテーブル面で吸引力が発生するように構成されている。
吸着テーブル45は、ウエハWの裏面側の内周研削部の直径よりも少し小さい直径を有する円形状のテーブルである。上部チャンバー44が保護テープ切断部fの直上で下降したとき、吸着テーブル45は、円形孔27とは同軸心で配置され、保護テープAの円形孔27上に位置し、保護テープAを非粘着面側から吸着する。
上部チャンバー44が保護テープAの貼り付け部dの下部チャンバー7の直上に下降したとき、吸着テーブル45で保持されている保護テープAが載置テーブル8に載置されているウエハW上に移動する。上部チャンバー44の下縁が下部チャンバー7の上縁と重なったとき、上部チャンバー44と下部チャンバー7とによって密閉室(図示せず)が形成される。形成される密閉室内の空気は、例えば、真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)を作動させることにより、当該減圧装置と連通した真空アダプタ58から吸引される。その結果、ウエハWと保護テープAの周囲の雰囲気が減圧される。
吸着テーブル45は、ウエハWの裏面側の内周研削部の直径よりも少し小さい直径を有する円形状に形成されている。これに対して、貼り付けテーブル18の円形孔27は、ウエハWの外径よりも少し大きい直径を有する。したがって、円形孔27の内周と吸着テーブル45の外周との間に環状の隙間が形成される。保護テープAは、円形孔27の内周に沿って円周カッター33を挿入することにより、円形に切り抜かれる。切り抜かれた保護テープAは、その外周部が吸着テーブル45からはみ出した状態で吸着テーブル45の下面に吸着によって保持される。
吸着テーブル45は、例えば、連続気泡を有する多孔質セラミックスなどによって成形することができる。吸着テーブル45は、その全表面で保護テープAに対する吸着力が生じるように構成されている。
載置テーブル8には、ウエハWの内周研削部の内径とほぼ同程度の直径を有する凹部8aが形成されている。載置テーブル8は、載置されているウエハWの外周に形成されている外周リブ91と対応する表面側を吸着パッド9で吸着する。載置テーブル8には、吸着パッド9が用いられている。なお、吸着パッド9の代わりに、例えば、ウエハWの外周の外側から内側に向けて挟持することができるチャック機構などを用いることもできる。
凹部8aの内周面には、複数の通気孔10が放射状に設けられている。各通気孔10は、いずれも連通している。通気孔10は、下部チャンバー7の外部とホース、通気パイプなどの連通手段と連通しており、エアバルブ(図示せず)と接続されている。通気孔10は、バルブの開閉によって通気と通気の停止が自在になっている。また、通気孔10と隣接して複数の貫通孔83が設けられており、下部チャンバー7の内部に連通している。
載置テーブル8上で吸着保持されたウエハWの内周研削面に対応する表面部は、凹部8a(図8、図10参照)と非接触の状態で支持される。なお、真空チャンバーの形成時に貫通孔83が真空チャンバー内と連通しているので、真空チャンバー内を減圧状態にした場合であっても、ウエハWが変形することを防止することができる。したがって、ウエハWの裏面側を保持する際に、ウエハWの内周研削面に載置テーブル8が接触することを防止することができる。また、ウエハWの表面側を保持する場合は、パターン形成面に載置テーブル8が接触することを防止することができる。
ウエハWとして、凹状形状を有するウエハWではなく、平坦な面を有するウエハWを用いる場合には、載置テーブル8に多孔質セラミックスなどの吸着体を用い、凹部8aが設けられていない平面な吸着体を用いることにより、当該載置テーブル8の全面でウエハWを吸着することができるようにしてもよい。
吸着テーブル45の外周には、外周リング63が吸着テーブル45と摺動可能に配設されている。外周リング63は、図4、図5、図6および図8に示されるように、ボルトなど(図示せず)によって支持枠64に固定されている。また、図8に示されるように、外周リング63は、ウエハWの周端部から突出した保護テープAの外径よりも大きい外径を有する。
図8に示されるように、支持枠64は、テーブル枠体46の4箇所に形成されている切欠き部分に固定されている固定ピン71の周囲に配設されている昇降ガイド72を介して摺動可能に設けられている。支持枠64は、当該支持枠64とテーブル枠体46との間隙で、固定ピン71に挿入されているばね73によって当該支持枠64が上方向に付勢されている。
外周リング63と支持枠64とは一体化され、固定されている。外周リング63は、支持枠64とともにばね73で上方向に付勢されている。支持枠64が押圧されているとき、外周リング63は、支持枠64とともに所定位置まで下降し、吸着テーブル45の外周からはみ出している保護テープAをウエハWの外周リブ91に対して押圧する。このとき、保護テープAは、ウエハWの周端部から周端部の封止代だけ突出した状態でウエハWに貼り付けられる。
外周リング63および支持枠64の直上には、支持枠64を押し下げるための押圧ピン62が設けられている。押圧ピン62は、上部チャンバー44内で上下方向に移動可能に懸架されている2枚の支持板61、61の下面の支持枠64に対応する位置に設けられている。
支持板61は、上部チャンバー44の外側上部に設けられているガイド57、57のガイド軸60、60の下端に固定されている。ガイド軸60の上端は、上部チャンバー44の上方に水平に設けられている昇降板59と接続されている。昇降板59は、上部チャンバー44の外側の上方に固定されているシリンダ56の作用によって上下方向に移動可能に設けられている。昇降板59が上下方向の移動することにより、押圧ピン62が上下方向に移動し、外周リング63が押し下げられる。
上部チャンバー44の外周壁面には、支持板70が保護テープAの貼り付け部d側に突出して設けられている。支持板70の先端上部には、下方に向けてモータ84が設けられている。モータ84のモータ軸には、支持枠74が接続されている。支持枠74の両端には、押えローラー75、75が軸支されている。モータ84を駆動させることにより、支持枠74が回転し、押えローラー75、75が、保護テープAを介してウエハWの外周リブ91面上を円周方向に押圧転動する。
次に、図10〜図12に示される実施態様を中心にしてウエハWに保護テープAを貼り付ける際の操作を説明する。
図3および図4に記載の実施態様では、テープ搬送貼り付け機構gは、当初、保護テープ切断部fの直上で上昇位置に待機している。上部チャンバー44内の吸着テーブル45は、傾斜姿勢に保持されている。保護テープ切断部fの切断機構19は、円周カッター33が下降位置に待機している。テープ供給ロール20から引き出された保護テープAは、セパレータTaが剥がされ、ガイドローラー24とガイドローラー25との間で粘着面が下向きとなるように所定の展張状態が維持されている。貼り付けローラー28は、図4の矢印kに示されるように往復運動をし、図7に示されるように、保護テープAを貼り付けテーブル18の上面に接着させる。このとき、剥離ローラー29は、保護テープAの回収側となる後方に位置している。
前記した状態で、ウエハWは、ウエハ搬送機構cによってウエハ供給/収納部aから1枚ずつ取り出される。ウエハWは、その裏面の内周研削面が上面となるように位置決め部bに搬送される。位置決め部bで位置決めされたウエハWは、図10(a)に示されるように、ウエハ搬送機構eで保護テープAの貼り付け部dの載置テーブル8上に供給される。載置テーブル8は、位置決めされているウエハWを吸着パッド9で吸着し、保持する。
ウエハWは、その裏面の内周研削面が上方を向くようにして載置テーブル8上に供給される。テープ搬送貼り付け機構gでは、スイングローラー53が移動した後、上部チャンバー44が下降することにより、吸着テーブル45が保護テープAと重ねられ、その下面で保護テープAの非粘着面が吸着される。
図10(a)の実施態様に示されるように、吸着テーブル45が保護テープAを吸着したとき、カッター機構19の円周カッター33が上昇し、円形孔27の内周に沿って保護テープAを突き破って旋回することにより、保護テープAが円形に切り抜かれる。
円形に切り抜かれた保護テープAは、ウエハWの周端部から、例えば、1〜20mm程度の長さのはみ出し量で形成することができるが、本発明は、当該はみ出し量によって限定されるものではなく、当該はみ出し量は適宜変更することができる。このようにウエハWの周端部からはみ出した保護テープAは、その後の工程でウエハWの表面側に貼り付けられる保護テープBとウエハWの周端部分で封止される。
なお、切り抜かれた保護テープAは、吸着テーブル45の下面に吸着保持されており、吸着テーブル45からの脱落が防止されている。
位置決め部bで位置決めされたウエハWは、搬送ロボット3により、その外周リブ91が吸着され、載置テーブル8上に搬送される。載置テーブル8上に搬送されたウエハWは、表面のパターン形成面の外周部分が吸着パッド9によって吸着されることにより、載置テーブル8上に保持される。載置テーブル8のテーブル面に凹部8aが形成されているので、当該テーブル面とウエハWのパターン形成面とが接触することを防止することができる。
次に、図10(b)の実施態様に示されるように、円周カッター33が所定の下降位置に移動したとき、上部チャンバー44が上昇する。上部チャンバー44は、保護テープAの貼り付け部dの下部チャンバー7上に移動する。上部チャンバー44が移動しているとき、スイングローラー53が軸51側に移動する。円形の保護テープAを吸着保持した吸着テーブル45は、傾斜姿勢になり、その状態で上部チャンバー44が下方向に移動し、下部チャンバー7と重なることにより、真空チャンバーが形成される。
真空チャンバーが形成された後、真空アダプタ58を介して真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)で真空チャンバー内が減圧される。その後、載置テーブル8を上昇させることにより、傾斜している保護テープAの下端部が、ウエハWの貼り付け部の端部から封止代分だけはみ出した状態でウエハWの端部と接触する。
なお、載置テーブル8には、ウエハWのパターン形成面と接触しないようにするために、内周部分に凹部8aが形成されている。また、載置テーブル8の凹部8aに設けられている通気孔10は、真空チャンバーの外部と連通し、バルブ(図示せず)によって外部から大気を導入することができる。貫通孔83が真空チャンバー内の減圧時にウエハWの凹部における空間が真空チャンバー内の減圧度と同等の圧力に保たれるようにするために載置テーブル8に形成されているので、減圧による吸引によってウエハWが変形することを防止することができる。なお、チャンバー内の減圧度と、載置テーブル8および吸着テーブル45に吸着性を付与するための吸着圧との間には差があることから、チャンバー内が減圧状態にあっても載置テーブル8によってウエハWが保持され、吸着テーブル45によって保護テープAが保持される。
次に、図11(c)の実施態様に示されるように、吸着テーブル45を水平方向に揺動させることにより、吸着テーブル45の下面に吸着保持されている保護テープAは、その粘着面がウエハWの上面と加圧接着される。引き続いて外周リング63が下降し、吸着テーブル45からはみ出した保護テープAがウエハWの外周リブ91に貼り付けられる。なお、載置テーブル8のウエハWを保持する部分の外周は、保護テープAの封止代としてはみ出した部分が接着しないようにするために、非粘着処理(図示せず)が施されていることが好ましい。
なお、図8は、図11(c)に示される実施態様における要部を拡大した概略説明図であり、図6のE−E部における縦断面に相当するものである。
図11(c)において、吸着テーブル45が揺動し、水平状態となった後、押圧ピン62がシリンダ56の作用で下降することにより、外周リング63がばね73に抗して押し下げられる。外周リング63は、保護テープAの吸着テーブル45からはみ出した部分をウエハWの外周リブ91に押圧する。このとき、減圧雰囲気下で保護テープAのはみ出し部分がウエハWに押圧されるので、保護テープAとウエハWとの間に気泡が入り込むことを防止することができるとともに、保護テープAにしわが発生することを防止することができる。なお、外周リング63の下面には、保護テープAの粘着剤の付着を防止するようにするために、非粘着処理部63aが形成されていることが好ましい。
次に、図11(d)の実施態様に示されるように、真空アダプタ58を介して大気が真空チャンバー内に導入され、保護テープAとウエハWとが接着される。このとき、通気孔10を介して大気が凹部8a内に導入され、凹部8aの空間内の圧力が高められることにより、吸着テーブル45側にウエハWが押し付けられ、保護テープAとウエハWとがさらに密着性よく貼り付けられる。このとき、通気孔10から導入される空気量は、貫通穴83から凹部8a外に放出される空気量よりも多いことから、凹部8aの空間内の圧力が高められる。
次に、図12(e)の実施態様に示されるように、上部チャンバー44を上昇させるとともに、上部チャンバー44をテープ切断部fの方向へ後退させる。上部チャンバー44の後退とともに上部チャンバー44の側方に設けられている押えローラー75をウエハWの外周リブ91の上方に、換言すれば、旋回中心をウエハWと同軸心上に位置させる。上部チャンバー44を下降させ、モータ(図示せず)を駆動させて押えローラー75を旋回させることにより、押えローラー75は、保護テープAを介してウエハWの外周リブ91上を押圧転動する。これにより、保護テープAがウエハWの外周リブ91に密着性よく貼り付けられる。また、保護テープAは、ウエハWの周端部から封止代だけ外側に突出した状態となる。
次に、図12(f)の実施態様に示されるように、上部チャンバー44は、保護テープAの貼り付け部d上に再度位置した後、上部チャンバー44が下降し、下部チャンバー7と重なり、真空チャンバー(図示せず)を形成する。
保護テープAの貼り付けが完了したウエハWは、図12(f)の二点鎖線に示されるように、吸着テーブル45に吸着され、保持される。引き続いて図2に示されるウエハ搬送機構eの搬送ロボット15のウエハWは、その吸着面が上面となるようにモータ81の稼働によって表裏反転した後、搬送ロボット15は、吸着テーブル45の下方に進入する。搬送ロボット15は、シリンダ82の作用によって上下動することにより、吸着テーブル45からウエハWを受け取る。その後、搬送ロボット15は、保護テープAの貼り付け部dから退去する。
次に、図10(a)の二点鎖線に示されるように、上部チャンバー44が初期位置のテープ切断部f上へ復帰するとともに押圧ピン62による支持枠64の押圧を解除することにより、ばね73によって外周リング63が上昇する。
ウエハWに保護テープAを貼り付ける工程は、減圧(例えば、250Pa)下で行ない、吸着テーブル45を傾斜させた状態でウエハW上に重ねた後、吸着テーブル45を水平方向に揺動させることにより、ウエハWと保護テープAと間に存在している空気を排出することができる。このことから、ウエハWと保護テープAの貼り付け面との間に気泡が発生することを防止することができるとともに、保護テープAが吸着テーブル44によって展張状態で吸着保持されるので、保護テープAにしわが発生することを防止することができる。
保護テープAが円周カッター33によって切り抜かれた後、剥離ローラー29は、図4に示される保護テープAの貼り付けを開始したときの位置に向かって移動し、切り抜かれた保護テープAの余剰部分が貼り付けテーブル18の上面から引き離される。その後、剥離ローラー29は、初期の位置に戻る。また、テープ巻取ロール22が回転し、保護テープAを所定の長さで巻き取り、保護テープAの新たな部分を貼り付けテーブル18の上面に引き出すことができる。
ウエハWの周端部を封止するための端部封止部iは、保護テープAの貼り付け部で保護テープAが貼付されたウエハWの表面に当該ウエハWの外径よりも大きい外径を有する保護テープBを当該ウエハWの周端部から突出させて貼付し、保護テープAの周端部と保護テープBの周端部とを一体化させ、ウエハWの周端部を封止するために配設される。
保護テープBは、ウエハWの表面に半導体チップなどの搭載する領域を形成させる観点から、ウエハWの外径よりも大きい外径およびウエハWの外径よりも小さい内径を有するリング形状の保護テープであることが好ましい。したがって、以下においては、ウエハWの外径よりも大きい外径およびウエハWの外径よりも小さい内径を有するリング形状の保護テープBを中心にして説明する。
ウエハWに保護テープBを貼付する際には、ウエハWへの保護テープBの貼付装置を用いることができる。ウエハWへの保護テープBの貼付装置は、ウエハWへの保護テープAの貼付装置に隣接して設けることができる。
ウエハWへの保護テープBの貼付装置は、保護テープBをウエハWの外形よりも大きい形状に切断するための保護テープ切断部hと、保護テープ切断部hで切断された保護テープBを吸着することによって保持し、ウエハW上に保護テープBを貼り付けるための保護テープAの貼り付け部dを有する。なお、当該実施態様においては、保護テープAの貼り付け部dは、保護テープAの貼り付けと共用されている。これらの構成要素は、図面に示されるように、1台の機台1上に設けられていてもよく、複数の機台(図示せず)上に分けて設けられていてもよい。
ウエハWに貼着する保護テープBには、ウエハWの外形よりも少し広幅でロール状に形成されている保護テープを用いることができる。
保護テープ切断部hは、図2〜図7に示される保護テープ切断部fとほぼ同様の構成を有することから、それぞれ共通の部品には同じ参照符号を用い、共通する説明を省略する。
なお、保護テープ切断部fと保護テープ切断部hとの相違点は、テープ搬送貼り付け機構gにおける、外周リング63の押圧部の直径が異なる点、および保護テープ切断部hにおける吸着テーブル79に吸着テーブル45の多孔質体が設けられていない点が挙げられる。また、上部チャンバー44の側方に設けられる押えローラー75が上部チャンバー80では、2連となっている点でも相違している。
保護テープ切断部hは、前記したように、保護テープ切断部fとほぼ同様の構成を有することから、相違点について説明し、同様の構成を有する箇所に関する説明を省略する。
保護テープ切断部hには、保護テープAに代えて保護テープBがテープ供給ロール20に巻回されている。
上部チャンバー80の外周壁面には、支持板70が位置決め部b側に突出して設けられている。支持板70の先端の上部には、下方に向けてモータ84が設けられている。モータ84のモータ軸は、支持枠74に接続されている。支持枠74の両端には、それぞれ2連の押えローラー76、76が軸支されている。モータ84を駆動することにより、支持枠74が回転し、押えローラー76、76、76、76は、保護テープBを介してウエハWの外周リブ91と対応する表面およびウエハWの周端部からはみ出した保護テープBの封止代の上を円周方向に押圧転動する。
次に、保護テープBをウエハWに貼り付けることおよびウエハWの周端部で保護テープAと保護テープBとを封止するための端部封止部iについて説明する。
図7に示される実施態様と同様に、保護テープ切断部hにおける貼り付けローラー28が保護テープBを介して貼り付けテーブル94上を押圧転動する。これにより、保護テープBが貼り付けテーブル94に貼り付けられる。
図13(a)の実施態様に示されるように、テープ吸着体102は、保護テープ切断部hに進入し、テープ吸着体102は、円形孔95と同軸心となるように円形孔95上に位置する。
図13(a)に示される実施態様では、テープ吸着体102の外形に沿って保護テープBが切断され、保護テープBに円形孔が形成されているが、当該円形孔は必ずしも形成されていなくてもよい。しかし、ウエハWの表面にあらかじめパターンを形成するための領域を形成させる観点から、図13(a)の実施態様に示されるように、テープ吸着体102の外形に沿って保護テープBを切断し、保護テープBに円形孔が形成されていることが好ましい。円形孔95の直径は、ウエハWの周端部を封止する封止代だけ大きく形成されているが、ウエハWの周端部を封止する封止代の外径よりも大きくてもよい。
その後、テープ吸着体102は、下降し、円形孔95に位置する保護テープBをその貼り付け面の裏面から吸着する。引き続いて、円周カッター33は、上方向に上昇し、貼り付けテーブル94上に接着されている保護テープBのテープ吸着体102の外周部分を突き破り、モータ34の回転運動によって旋回する。これにより、保護テープBは、テープ吸着体102とほぼ同径の円形に切り抜かれる。
テープ吸着体102は、ウエハWの外径よりも小さくなるように設定されているので、保護テープBの直径は、例えば、ウエハWの外径よりも1〜10mm程度小さくなるように形成される。したがって、円周カッター33の旋回時の直径は、ウエハWの外径よりも小さくなるように設定される。なお、円周カッター33の旋回時の直径は、可動台32で容易に調節することができる。
次に、図13(b)の実施態様に示されるように、テープ吸着体102は、保護テープ切断部hから不要テープ廃棄部105上に移動する。このとき、テープ吸着体102には、円形状に形成された不要テープ106が吸着保持されている。テープ吸着体102が不要テープ廃棄部105上に位置したとき、テープ吸着体102の吸着を解除することにより、不要テープ106を不要テープ廃棄部105内に落下させることができる。
移動部材42の下部には、下面が開放している上部チャンバー80が昇降シリンダ43を介して上下方向に移動するように取り付けられている。上部チャンバー80内には、吸着テーブル79が設けられている。吸着テーブル79は、内周部分が凹状に形成され、凹状部の外周部分に吸着パッド79aが設けられている。吸着テーブル79の吸着パッド79aには、例えば、真空ポンプなどの減圧手段(図示せず)と接続されている吸引パイプ65を介して吸着テーブル79の外周部分で吸引力が発生するように構成されている。
図13(c)の端部封止部iの実施態様に示されるように、吸着テーブル79は、ウエハWの外径とほぼ同じ直径を有する円形状のテーブルである。上部チャンバー80が保護テープ切断部hの直上で下降したとき、吸着テーブル79は、円形孔95と同軸心で配置され、保護テープBの円形孔上に位置し、保護テープBをその非粘着面側から吸着する。吸着テーブル79が保護テープBを吸着した後、円周カッター33が上昇し、円形孔95の外周部分に突き刺さる。その後、円周カッター33が円形孔95に沿って旋回することにより、リング形状を有する保護テープBが形成される。図13(c)に示される実施態様では、ウエハWの外径よりも1〜20mm程度大きい外径を有し、円形孔を有するリング状の保護テープBが形成されている。なお、円形孔を有する保護テープBではない場合、吸着テーブル79は、保護テープAの貼り付け時に使用されるような吸着テーブル45、換言すれば全面吸着テーブルと同様の構成とすればよい。
保護テープBの切断と並行して図12(f)の実施態様に示されるように、保護テープAが貼り付けられたウエハWは、テープ吸着体102の裏面に保持され、モータ81を駆動させることにより、ウエハWのパターンの形成面が上面となるように搬送ロボット15を反転させる。その後、テープ吸着体102を載置テーブル8上に移動させ、図13(c)の実施態様に示されるように、ウエハWは、そのパターン形成面が上面となるように載置テーブル8上に載置される。
吸着テーブル79は、ウエハWの外径よりも少し小径の円板状に形成されている。貼り付けテーブル94の円形孔95は、ウエハWの周端部から突出させるためにウエハWの外径よりも少し大きい直径を有する。円形孔95の内周と吸着テーブル79の外周との間には、環状の隙間が形成される。保護テープBは、前記隙間に円周カッター33を挿入することにより、円形に切り抜かれる。切り抜かれた保護テープBは、その外周部が吸着テーブル79からはみ出した状態で吸着テーブル79の外周下面の吸着パッド79aによって吸着され、保持される。吸着テーブル79は、表面に円形の凹部が形成され、凹部の外周壁表面に形成された複数の吸着パッド79aで保護テープBに対する吸着力が生じるように構成されている。また、吸着テーブル79の凹部は、真空チャンバーを形成した際に、真空チャンバー内と同じ圧力となるようにするために貫通穴(図示せず)が形成されていてもよい。前記貫通穴は、真空チャンバーと連通している。
次に、図13(c)の実施態様に示されるように、上部チャンバー80は、貼り付けテーブル94の上に移動する。上部チャンバー80が移動しているときにスイングローラー53が軸51と反対側に移動することにより、吸着テーブル79が水平状態となるように保持される。上部チャンバー80は、保護テープ切断部h上に移動し、下降することにより、吸着テーブル79は、円形孔が形成されている保護テープB上に重ねられる。吸着テーブル79は、保護テープBの円形孔に沿った外側部分を吸着パッド79aによって吸着保持する。引き続いて、円周カッター33が円形孔95の周端部まで移動し、上昇することにより、保護テープBに突き刺さる。円周カッター33がモータ34によって旋回することにより、保護テープBが切断される。
以上の操作により、切断された保護テープBは、ウエハWの外径よりも大きい外径および所望によりウエハWの外径よりも小さい内径を有するリング形状の保護テープBが形成される。
図14(d)の実施態様に示されるように、保護テープBを吸着保持した吸着テーブル79を傾斜姿勢に復帰させながら、上部チャンバー80を保護テープAの貼り付け部d上に移動させ、下方向に移動させることにより、上部チャンバー80と下部チャンバー7とが重ねられる。傾斜している保護テープBの下端部は、ウエハWの貼り付け部の端部と接触し、下部チャンバー7と上部チャンバー80とによって囲まれた雰囲気は封鎖されるので、真空チャンバーが形成される。その後、真空アダプタ58を介して真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)で真空チャンバー内を減圧することができる。なお、載置テーブル8に設けられている貫通孔83は、真空チャンバー内と連通していることから、内周部分が研削されることによって内周面に凹部が形成されているウエハWの当該凹部における空間が真空チャンバー内の減圧度と同等に保たれるので、吸引によってウエハWが変形することを防止することができる。
次に、減圧されている真空チャンバー内で、載置テーブル8を上昇させることにより、ウエハWを上昇させ、吸着テーブル79に保持されている保護テープBの傾斜した下端にウエハWを接触させることができる。
その後、図14(e)の実施態様に示されるように、吸着テーブル79を水平方向に揺動させることにより、吸着テーブル79の下面に吸着保持されている保護テープBは、その粘着面がウエハWの上面に加圧接着される。さらに、押圧リング78がシリンダ56の作用で下降することにより、ウエハWの外周にはみ出した保護テープAと保護テープBの封止代同士が押圧され、ウエハWの周端部が封止される。なお、チャンバー内の減圧度と、吸着テーブル45に吸着性を付与するための吸着圧との間には差があることから、チャンバー内が減圧状態にあっても吸着テーブル79によってウエハWが保持され、吸着テーブル79によって保護テープBが吸着される。
図9は、図14(e)に示される実施態様の要部拡大説明図であり、図6のE−E部における縦断面に相当するものである。
吸着テーブル79が揺動し、水平状態となった後、押圧ピン62がシリンダ56の作用で下降することにより、押圧リング78がばね73に抗して押し下げられる。押圧リング78は、保護テープBの吸着テーブル79からはみ出した部分をウエハWの周端部からはみ出した保護テープAに押圧する。このとき、減圧雰囲気下で、保護テープBのはみ出し部分が保護テープAに押圧されるので、保護テープBとウエハWとの間に気泡が入り込むことを防止することができるとともに、保護テープAと保護テープBの封止部にしわが発生することを防止することができる。なお、押圧リング78の下面には、保護テープAおよび保護テープBの粘着剤の付着を防止するために、非粘着処理78aが施されていることが好ましい。
次に、図15(f)の実施態様に示されるように、真空チャンバー内に大気を導入することにより、保護テープBをウエハWに押圧するとともに、載置テーブル8の凹部8a内にも通気孔10から大気を導入することにより、真空チャンバー内の圧力と凹部8a内の圧力とが等しくなるようにする。また、吸着テーブル79の凹部にも真空チャンバーおよび貫通穴(図示せず)が設けられているので、吸着テーブル79の凹部内の圧力と真空チャンバー内の圧力とが等しくなるように保たれる。これにより、保護テープBをウエハWに密着させて接着することができる。また、ウエハWの表面側および裏面側に形成されるそれぞれの空間は、それぞれ等しい圧力に保たれるので、ウエハWを破損することがない。
次に、図15(g)の実施態様に示されるように、上部チャンバー80が上昇し、真空チャンバーを開放するとともに、上部チャンバー80が保護テープ切断部hの方向に移動する。上部チャンバー80の側方に設けられている押えローラー76の回転中心がウエハWと同軸心となったとき、上部チャンバー80を下降させ、内周側の押えローラー76でウエハWの周端部上の保護テープBを押圧する。外周側の押えローラー76によってウエハWの周端部からはみ出した保護テープBの封止代を押圧することにより、ウエハWの周端部で保護テープAと保護テープBとの封止部92を形成することができる。この状態で、モータ84を駆動することによって各押えローラー76が押圧旋回することにより、保護テープBがウエハWの表面に密着されるとともに、ウエハWの周端部から突出した保護テープAと保護テープBとの封止部92が密着される。
ウエハWに保護テープBを貼り付ける工程は、減圧(例えば、250Pa)下で行なうことができる。吸着テーブル79を傾斜させた状態でウエハW上に重ねた後、吸着テーブル79を水平方向に揺動させることにより、ウエハWと保護テープBと間に存在している空気を排出することができる。このことから、ウエハWと保護テープBの貼り付け面との間に気泡が発生することを防止することができるとともに、保護テープBが吸着テーブル79によって展張状態で吸着保持されるので、保護テープBにしわが発生することを防止することができる。また、ウエハWの周端部の封止部92においても気泡やしわの発生を防止して封止することができるので、めっき液やエッチング液の侵入を防止することができる。
なお、保護テープBを切断することによって得られた不要テープは、例えば、図2および図3に示されるように、昇降シリンダ100にガイド101を介して配設されたテープ吸着体102で不要テープ106を吸着し、昇降シリンダ100と接続されたスライダー103をレール104で走行可能に装着し、当該スライダー103をレール104上で走行させることにより、不要テープ廃棄部105の上部にテープ吸着体102に移動させ、テープ吸着体102による不要テープ106の吸着を停止することにより、不要テープ106を落下させて不要テープ廃棄部105に回収することができる。
以上のようにして、ウエハWの保護テープAが接着されていない面に、保護テープBを貼付し、ウエハWの端部から突出している保護テープAの端部と保護テープBの端部とを重ね合せて一体化させることにより、ウエハWの両面に保護テープAと保護テープBが貼付されたウエハWを得ることができる。
図16は、以上のようにしてウエハWから突出した保護テープAの周端部と保護テープBの周端部とを一体化させてウエハWの周端部が封止されたウエハWの一実施態様を示す概略斜視図である。
前記ウエハWは、当該ウエハWの周端部が保護テープAおよび保護テープBで完全に覆われていることから、例えば、ウエハWの裏面研削時に、保護テープAまたは保護テープBの外周縁の封止部92やウエハWと保護テープAまたは保護テープBの貼り付け面が剥がれ、めっき液、エッチング液などが侵入することを防止することができるとともに、例えば、シリコンウエハなどのウエハWに無電解めっきを施したときに当該ウエハWの端部でめっき皮膜が形成されることを防止することができる。
なお、本発明においては、保護テープの代わりに、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、ダイボンドテープ、ドライフィルムレジストなどのテープを使用することができる。また、加熱が必要な保護テープを使用する場合には、適宜、載置テーブルなどにヒータなどの加熱手段を設置してもよい。
また、前記ウエハWでは、裏面の外周端に突起(外周リブ)が設けられているが、当該裏面は平坦であってもよい。
また、本発明においては、ウエハWの両面に自動的に保護テープを貼り付けるときの実施態様について説明したが、ウエハWの表面と裏面とを別々の貼付装置で貼り付けることができる実施態様であってもよい。