JP2015143352A - 光硬化性接着剤組成物、偏光板とその製造法、光学部材及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
当該接着剤組成物は、接着力と耐久性のみならず、生産性にも優れた偏光板用光硬化性接着剤であった。
この接着力低下は、通常環境で15時間放置すると、アクリル樹脂製の保護フィルムを剥離した場合に、保護フィルムが材料破壊するほど剥離接着力が回復する。又、耐湿熱試験終了直後であっても、偏光板をガラスに貼り付けた製品形態で加わる力(せん断方向又は垂直方向の力)によっては、保護フィルムの剥離は起こらない。しかし、偏光板輸送中に高温高湿環境に曝された後、すぐに加工工程に入るという最悪のケースを想定すると、耐湿熱試験終了直後の剥離強度も向上させることが望まれる。
さらに、アクリル樹脂製保護フィルムと偏光子を接着した場合、偏光子をガラス等の板に貼ってアクリル樹脂フィルムを曲げる剥離試験、又は両方のフィルムを曲げるT型剥離試験では良好な接着力を示すものの、アクリル樹脂フィルムをガラス等の板に貼って偏光子を曲げる剥離試験では、接着力が著しく小さくなるという問題があった。このため、偏光板の加工工程などで、端部に偏光子を曲げるような強い力が加わると、剥離を発生することがあった。このような問題を防ぐ目的で、アクリル樹脂フィルムを板に固定し、偏光子を曲げる剥離試験においても、良好な接着力を示す接着剤が求められていた。
ここで、本発明が注力する課題は、接着剤塗工時の湿度が高くても、上記課題を解決する接着剤を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、この接着剤を使用した偏光板を用いて、信頼性に優れる液晶表示装置を形成しうる光学部材を提供し、さらにそれを液晶表示装置に適用することにある。
(A)炭素数2〜15個を有するポリオールのポリ(メタ)アクリレート、
(B)炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、
(C)1分子中に2個以上のオキセタニル基を有する分子量500以下の化合物、
(D)構成単量体単位として、(d1)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「単量体(d1)」という〕、(d2)炭素数1〜10の炭化水素基及び1個のメタクリロイル基を有する化合物〔以下、「単量体(d2)」という〕、並びに必要に応じて(d3)単量体(d1)及び(d2)以外のエチレン性不飽和基を1個有する化合物〔以下、「単量体(d3)」という〕を含み、これら単量体を高温重合して製造された重合体であって、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)が20℃以上であり、重量平均分子量(以下、「Mw」という)が1,000〜30,000である重合体、
(E)光カチオン重合開始剤を含有し、
前記(A)〜(E)成分の含有割合が、組成物中に、
(A)成分:5〜50重量%
(B)成分:5〜45重量%
(C)成分:5〜45重量%
(D)成分:1〜25重量%
(E)成分:0.5〜10重量%
であることを特徴とする光硬化性接着剤組成物が提供される。
(D)成分としては、全構成単量体単位中に、単量体(d3)として、スチレン0〜60重量%又は/及び炭素数1〜10の炭化水素基及び1個のアクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能アクリレート」という)を0〜40重量%含む重合体が好ましい。
さらに、(D)成分としては、全構成単量体単位中に、単量体(d1)としてグリシジルメタクリレートを10〜60重量%、単量体(d2)としてメチルメタクリレートを10〜80重量%、及び単量体(d3)としてスチレンを1〜50重量%含み、160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体を含むことが好ましい。
又、別の好ましい例として、(D)成分は、全構成単量体単位中に、単量体(d1)としてグリシジルメタクリレートを10〜60重量%、単量体(d2)としてメチルメタクリレートを10〜80重量%、及び単量体(d3)として炭素数1〜10の炭化水素基を有する単官能アクリレートを1〜30重量%含み、160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体を含むことが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、保護膜がアクリル樹脂で構成される場合に特に有用である。又、本発明の接着剤組成物は、アクリル樹脂と偏光子を接着した場合に剥離強度が弱くなる剥離試験、すなわち、アクリル樹脂を平滑な板に固定し、偏光子を曲げた場合の剥離試験においても、良好な接着力を示す。このため、加工工程で剥離し難いという点でも優れる。
又、本発明の接着剤組成物は、粘度が非常に低いため、薄く塗布して欠陥なく貼合することが容易である。この接着剤組成物を介し、偏光子と保護膜とを貼合して得られる偏光板は、その接着剤組成物が光照射という短時間の工程で硬化するだけでなく、光照射直後にも一定強度の接着力が得られることから、生産性よく製造することができる。
さらに、この偏光板を他の光学層と組み合わせた光学部材は、信頼性に優れる液晶表示装置を形成することができる。
本発明では、偏光子と保護膜とを貼合するのに、特定組成の光硬化性接着剤組成物を用いる。以下、この光硬化性接着剤組成物を、単に「光硬化性接着剤」又は「組成物」と呼ぶこともある。本発明の光硬化性接着剤は、以下の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の5成分を必須に含有するものである。
(B)炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル
(C)1分子中に2個以上のオキセタニル基を有する分子量500以下の化合物
(D)構成単量体単位として、単量体(d1)、単量体(d2)及び必要に応じて単量体(d3)を含む重合体であって、これら単量体を高温重合して製造された重合体であって、Tgが20℃以上であり、Mwが1,000〜30,000である重合体
(E)光カチオン重合開始剤
本明細書では、上記(A)のポリ(メタ)アクリレートを、「(A)成分」又は「ポリ(メタ)アクリレート(A)」とも呼び、上記(B)のエポキシ化合物を、「(B)成分」又は「エポキシ化合物(B)」とも呼び、上記(C)のオキセタン化合物を、「(C)成分」又は「オキセタン化合物(C)」とも呼び、上記(D)のエポキシ基を有する重合体を、「(D)成分」とも呼び、上記(E)の光カチオン重合開始剤を、「(E)成分」又は「光カチオン重合開始剤(E)」とも呼ぶ。
本発明の光硬化性接着剤において、(A)成分となるポリ(メタ)アクリレートは、炭素数2〜15個を有するポリオールのポリ(メタ)アクリレートである。
(A)成分はエステル骨格やイソシアヌレート骨格を有しても良い。エステル骨格を有する化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸と(メタ)アクリル酸のエステル化反応生成物などが挙げられ、イソシアヌレート骨格を有する化合物の例としては、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の光硬化性接着剤において、(B)成分となるエポキシ化合物は、炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテルである。
本発明の光硬化性接着剤において、(C)成分となるオキセタン化合物は、1分子中に2個以上のオキセタニル基を有する分子量500以下の化合物である。
(C)成分の含有割合が5重量%未満では、光照射直後の接着力と、最終的な接着力が不足する。又、45重量%を超えると、偏光子への接着力が低下する。
(C)成分の含有割合としては、接着力がより優れたものとなる点から、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
本発明の光硬化性接着剤において、(D)成分を含むことにより、接着剤塗工時の湿度が高くても、硬化性及び接着力を良好にすることができる。
尚、本発明においてTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した値を意味する。
尚、本発明において、Mwとは、GPCにより測定した分子量をポリスチレン換算したものを意味する。
(D)成分はMwが低い重合体であり、このようなMwが低い重合体を通常の重合方法で製造しようとすると、通常、連鎖移動剤や重合開始剤を多くする必要がある。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物のカチオン硬化性や接着力が低下し易くなり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる。このため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が必要となる。
高温連続重合は、公知の方法で実施することができる(例えば、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報及び特開昭60−215007号公報等)。
具体的には、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体、又は必要に応じて重合溶媒、重合開始剤とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
単量体(d1)におけるエチレン性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
単量体(d1)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(d1)としては、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
単量体(d2)の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、へキシルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート及びベンジルメタクリレートなどが挙げられる。
構成単量体単位として(D)成分に含まれる単量体(d1)と単量体(d2)のより好ましい重量割合は、全構成単量体単位中に、それぞれ、10〜60重量%及び10〜80重量%であり、さらに好ましくは、それぞれ、20〜50重量%及び20〜70重量%である。尚、単量体(d1)と(d2)の合計が100重量%に満たない場合、単量体(d3)を構成単量体として含む重合体を意味する。
(D)成分に含まれる単量体(d3)の重量割合としては、全構成単量体単位中に0〜80重量%が好ましく、より好ましいは0〜60重量%である。
単量体(d3)としては、単量体(d1)及び単量体(d2)以外の単量体であれば種々の化合物を使用でき、スチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族基含有ビニル化合物、単量体(d1)以外の1個のアクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能アクリレート」という)、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
単量体(d3)としては、これら化合物の中でも、スチレン又は/及び炭素数1〜10の炭化水素基を有する単官能アクリレートが好ましい。
これら化合物のうち、メチルアクリレート、エチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びベンジルアクリレートが好ましく、より好ましくはメチルアクリレートである。
又、別の好ましい例として、(D)成分は、全構成単量体単位中に、単量体(d1)としてグリシジルメタクリレートを10〜60重量%、単量体(d2)としてメチルメタクリレートを10〜80重量%、及び単量体(d3)として炭素数1〜10の炭化水素基を有する単官能アクリレートを1〜30重量%含み、160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体を含むことが好ましい。
本発明の光硬化性接着剤は、カチオン硬化性成分として、以上説明したエポキシ化合物(B)、オキセタン化合物(C)、エポキシ基を有する重合体(D)、及び必要に応じて後記するエポキシ化合物やオキセタン化合物を含有することから、(E)成分として光カチオン重合開始剤が配合される。この光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基やオキセタニル基の重合反応を開始する。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
これらの中でも、(E)成分の溶剤としてよく使用されているプロピレンカーボネートを含まない製品が、アクリル樹脂等の保護フィルムとの接着力に優れため、より好ましい。
本発明の光硬化性接着剤に含まれる(A)成分等のラジカル硬化性成分は、(E)成分が光で分解する際に発生するラジカルで硬化させることが可能であるが、少ない照射量で十分な反応率を得るために、(F)成分として光ラジカル重合開始剤を配合することが好ましい。(F)成分の配合割合は、組成物全体を基準として10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。配合量が10重量%を超えると、耐久性の低下を引き起こすことがあるため好ましくない。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンゾインイソブチルエーテルの如き、ベンゾインエーテル系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンの如き、ベンゾフェノン系光重合開始剤;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンの如き、チオキサントン系光重合開始剤;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの如き、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;
1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオフェニル)〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)の如き、オキシム・エステル系光重合開始剤;
カンファーキノンなど。
(F)成分の光ラジカル重合開始剤を配合する場合、その含有割合は、組成物全体を基準として、好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。光ラジカル重合開始剤(F)の含有割合を上記範囲とすることで、十分な接着強度が得られ、又、硬化性にも優れる。
本発明の光硬化性接着剤において、平滑性に優れた塗布面を得る目的で、(G)成分のレベリング剤を含有することが好ましい。
(G)成分としては、シリコーン系レベリング剤及び、フッ素系レベリング剤等が挙げられ、市販されている各種レベリング剤を使用することができる。
本発明の光硬化性接着剤は、上述した(A)〜(G)成分の他に、その他のカチオン硬化性成分やラジカル硬化性成分を含有していてもよい。
さらに、本発明の光硬化性接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化性を有さないその他の成分を任意に配合することができ、具体的には、光増感剤、熱カチオン重合開始剤、(D)成分以外の重合体、ポリオール化合物、水などが挙げられる。
(D)’成分としては、種々の重合体を使用することができるが、構成単量体単位として炭素数1〜10のアルキル基を含むアルキルアクリレートを60重量%以上含み、Mwが1,000〜200,000〔以下、「(D1)’成分」という〕が、偏光子への最終的な接着力に優れるという理由で好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基を含むアルキルアクリレートの具体例としては、前記単量体(d3)の炭素数1〜10の炭化水素基を有する単官能アクリレートにおいて、アルキル基を有する化合物等が挙げられる。
(D1)’成分としては、炭素数1〜10のアルキル基を含むアルキルアクリレートを構成単量体単位として60重量%以上含めば、アルキルメタクリレートやその他単量体との共重合体であっても良い。
(D1)’成分としては、Tgが10℃以下の重合体が好ましく、より好ましくはTgが−80〜0℃の重合体が、カッターの刃を挿入する試験方法での接着力が高くなるという理由で好ましい。
(D1-1)’成分における単量体の好ましい組合せとしては、ポリアクリレートブロック単位とポリメタクリレートブロック単位を有するブロックポリマー、及びポリアクリレートブロック単位とその他単量体のポリマーのブロック単位を有するブロックポリマー等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリアクリレート系ブロック単位とポリメタクリレート系ブロック単位を有するブロックポリマー、さらに、ポリブチルアクリレートとポリメチルメタクリレートをブロック単位として含むブロックポリマーが好ましい。
以上説明した光硬化性接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に保護膜を接着するために用いられ、好ましくは一軸延伸され、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に保護膜を接着するために用いられ、こうして偏光子に保護膜が貼合されて偏光板となる。すなわち本発明に係る偏光板は、一軸延伸され、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に、保護膜を貼合したものである。保護膜は、偏光子の片面にだけ貼合してもよいし、偏光子の両面に貼合してもよい。偏光子の両面に保護膜を貼合する場合、それぞれの保護膜は、同じ種類の樹脂からなるものであってもよいし、異なる種類の樹脂からなるものであってもよい。
偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂として、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他のモノマーの共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他のモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは85〜100モル%、より好ましくは98〜100モル%の範囲である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
次いで、この偏光子は、先に説明した光硬化性接着剤を用いて、その片面又は両面に保護膜が貼合される。偏光子の保護膜として従来から広く採用されているトリアセチルセルロースフィルムは、概ね400g/m2/24hr程度の透湿度を有するが、本発明では、偏光子の少なくとも一方の面に貼合される保護膜として、かかるトリアセチルセルロースよりも低い透湿度を示す樹脂であって、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又は非晶性ポリオレフィン系樹脂が採用される。
本発明の偏光板は、先に説明した偏光子と、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及び非晶性ポリオレフィン系樹脂から選ばれる透明樹脂フィルムからなる保護膜との貼合面のうち少なくとも一方に、先に説明した光硬化性接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、得られる接着剤層を介して偏光子と保護膜とを貼合する貼合工程と、この接着剤層を介して偏光子と保護膜とが貼合された状態で光硬化性接着剤を硬化させる硬化工程とを包含する方法によって製造することができる。
接着剤塗布工程では、偏光子と保護膜との貼合面のうち少なくとも一方に、先に説明した光硬化性接着剤が塗布される。偏光子又は保護膜の表面に直接光硬化性接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特別な限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。又、偏光子と保護膜の間に先に説明した光硬化性接着剤を流延させたのち、ロール等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
接着剤塗布工程の雰囲気温度は、15〜30℃であることが好ましく、20〜25℃であることが特に好ましい。又、塗布雰囲気の相対湿度は、90%以下であることが好ましく、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは30〜80%である。接着剤塗布工程の雰囲気温度と湿度を上記範囲に調節することにより、硬化性と接着力を良好にすることができる。
こうして光硬化性接着剤を塗布した後は、貼合工程に供される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に光硬化性接着剤を塗布した場合は、そこに保護膜が重ね合わされ、先の塗布工程で保護膜の表面に光硬化性接着剤を塗布した場合は、そこに偏光子が重ね合わされる。又、偏光子と保護膜の間に光硬化性接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と保護膜が重ね合わされる。偏光子の両面に保護膜を貼合する場合であって、両面とも本発明の光硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子の両面にそれぞれ、光硬化性接着剤を介して保護膜が重ね合わされる。そして通常は、この状態で両面(偏光子の片面に保護膜を重ね合わせた場合は、偏光子側と保護膜側、又偏光子の両面に保護膜を重ね合わせた場合は、その両面の保護膜側)からロール等で挟んで加圧することになる。ここでロールの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置されるロールは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
以上のように、未硬化の光硬化性接着剤を介して偏光子と保護膜が貼合された状態のものは、次いで硬化工程に供される。この硬化工程では、光硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、エポキシ化合物、(メタ)アクリレート及びオキセタン化合物等を含む接着剤層を硬化させ、偏光子と保護膜とを接着させる。偏光子の片面に保護膜を貼合した場合、活性エネルギー線は、偏光子側、保護膜側のどちらから照射してもよい。又、偏光子の両面に保護膜を貼合する場合は、偏光子の両面にそれぞれ光硬化性接着剤を介して保護膜を貼合した状態で、どちらか一方の保護膜側から活性エネルギー線を照射し、両面の光硬化性接着剤を同時に硬化させるのが有利である。ただし、どちらか一方の保護膜に紫外線吸収剤が配合されている場合(例えば、紫外線吸収剤が配合されたセルロース系樹脂フィルムを一方の保護膜とする場合)であって、活性エネルギー線が紫外線である場合は、通常、他方の紫外線吸収剤が配合されていない保護膜側から紫外線が照射される。
又、本発明の接着剤と保護フィルムの接着力を向上させる他の好ましい方法としては、加熱せずとも、すなわち20〜25℃においても、偏光子と保護フィルムを貼合してから活性エネルギー線照射されるまでの製造ラインの長さを長くして、接着剤とアクリル樹脂が接してからの時間を60秒程度と長くする方法も挙げられる。
但し、本発明の接着剤は、接着剤とアクリル樹脂製保護フィルムが接してからの時間が、20〜25℃で20〜30秒程度であっても、良好な接着力を発現するという長所を有している。
偏光板の使用に際しては、その一方の側に、偏光機能以外の光学機能を示す光学層を積層した光学部材とすることもできる。光学部材の形成を目的に偏光板に積層する光学層には、例えば、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差板、集光板、輝度向上フィルムなど、液晶表示装置等の形成に用いられる各種のものがある。前記の反射層、半透過型反射層及び光拡散層は、反射型ないし半透過型や拡散型、それらの両用型の偏光板からなる光学部材を形成する場合に用いられるものである。
以上のような光学部材は、液晶セルの片側又は両側に配置して、液晶表示装置とすることができる。用いる液晶セルは任意であり、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、スーパーツイステッドネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど、種々の液晶セルを使用して液晶表示装置を形成することができる。液晶セルの両側に設ける光学部材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、共栄社化学(株)製の“ライトアクリレート1,6HX−A”。
DCPA:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、共栄社化学(株)製の“ライトアクリレートDCP−A”。
HDDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、蒸留精製品、全塩素含有量0.08%。
OXT221:ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル〕エーテル、東亞合成(株)製の“アロンオキセタンOXT−221”。
ポリマーD1:後述する製造例1で得られるポリマー。
ポリマーD2:後述する製造例2で得られるポリマー。
CPI110P:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(有効成分100%)、サンアプロ(株)製の“CPI−110P”。
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製の“イルガキュア184”。
SH28:東レ・ダウコーニング(株)製のシリコーン系レベリング剤“DOW CORNING TORAY SH 28 PAINT ADDITIVE”。
JER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の“jER−828US”。
(D)’成分:(D)成分以外の重合体
BR87:エポキシ基を有さないメチルメタクリレート系のポリマー(Mw25,000、酸価10.5mgKOH/g)、三菱レイヨン(株)製の“ダイヤナールBR−87”。
LA2250:エポキシ基を有さないブチルアクリレートとメチルメタクリレートのブロックコポリマー(Mw80,000)、(株)クラレ製の“クラリティLA2250”。
ポリマーD’1:後述する製造例3で得られるポリマー。
ポリマーD’2:後述する製造例4で得られるポリマー。
ポリマーD’3:後述する製造例5で得られるポリマー。
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を190℃に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という)(45部)、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という)(30部)、スチレン(以下、「St」という)(25部)、重合溶媒として、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)(18部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(以下、「DBP」という)(0.25部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を192〜194℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーD1」を得た。
得られたポリマーD1について、GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」という)が3,500、Mw(重量平均分子量)が9,900であり、Tg(DSC測定、昇温速度10℃/分)は65℃であった。
製造例1と同様の反応器のジャケット温度を180℃に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、MMA(60部)、GMA(30部)、メチルアクリレート(10部)、重合溶媒としてMEK(18部)、重合開始剤としてDBP(0.25部)からなる単量体混合物を、製造例1と同じ一定の供給速度で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を182〜184℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーD2」を得た。
得られたポリマーD2について製造例1と同様の方法で評価した結果、Mnが3,200、Mwが8,500であり、Tgが53℃であった。
製造例1と同様の反応器のジャケット温度を181℃に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、ブチルアクリレート(以下、「BA」という)(45部)、2−エチルヘキシルアクリレート(45部)、MMA(10部)、重合溶媒として、イソプロピルアルコール(9部)、MEK(9部)、重合開始剤としてDBP(0.25部)からなる単量体混合物を、製造例1と同じ一定の供給速度で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を183〜185℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーD’1」を得た。
得られたポリマーD’1について製造例1と同様の方法で評価した結果、Mnが2,500、Mwが7,500であり、Tgが−55℃であり、粘度は25℃において20,000mPa・sであった。
製造例1と同様の反応器のジャケット温度を187℃に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、BA(50部)、GMA(50部)、重合溶媒としてMEK(18部)、重合開始剤としてDBP(0.25部)からなる単量体混合物を、製造例1と同じ一定の供給速度で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を189〜191℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーD’2」を得た。
得られたポリマーD’2について製造例1と同様の方法で評価した結果、Mnが3,460、Mwが9,700であり、Tgが−10℃であり、粘度は80℃において12,200mPa・sであった。
製造例1と同様の反応器のジャケット温度を180℃に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、St(70部)、GMA(30部)、重合溶媒としてMEK(18部)、重合開始剤としてDBP(0.25部)からなる単量体混合物を、製造例1と同じ一定の供給速度で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を182〜184℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーD’3」を得た。
得られたポリマーD’3について製造例1と同様の方法で評価した結果、Mnが3,700、Mwが11,000であり、Tgが65℃であった。
[光硬化性接着剤組成物の調製]
表1〜表4に示す各成分をそれぞれの割合で配合し、常法に従って攪拌混合して、光硬化性接着剤組成物を調製した。
得られた組成物の25℃に於ける粘度は、東機産業(株)製のE型粘度計により測定した。
ここでは、保護膜として次の2種類のフィルムを用いた。
延伸ノルボルネン系樹脂フィルム:厚さ70μm、商品名“ZEONORフィルム”、日本ゼオン(株)製。このフィルムにコロナ放電処理を施してから、偏光子との貼合に供した。
アクリル樹脂フィルム:厚さ80μm、商品名“テクノロイS001”、住友化学(株)製。このフィルムも、コロナ放電処理を施してから、偏光子との貼合に供した。
次いで、アクリル樹脂フィルムのコロナ放電処理面に、上で調製した組成物をバーコータで3μm厚に塗工した。その後、液状の組成物でノルボルネン系樹脂フィルムと一体化した偏光子を、アクリル樹脂フィルム上の塗工面に、ハンドローラーを用いて貼合した。
こうして両面に保護膜が貼合された偏光子に、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプはアイグラフィックス(株)製高圧水銀ランプ使用)により、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面から積算光量250mJ/cm2(UV−B)で紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させた。
この実験を、23℃、相対湿度80%の条件下で実施した。
又、アクリル樹脂フィルムに接着剤組成物を塗工してから、紫外線を照射するまでの時間を、20〜25秒の範囲に統一した。
紫外線照射後の偏光板について、以下の方法で、硬化性、カッター挿入接着力、常温保管品(耐湿熱試験前)の偏光子曲げ剥離接着力、耐湿熱試験、耐湿熱試験後の偏光子曲げ剥離接着力、及び冷熱サイクル試験を評価し、結果を表1〜表4にまとめた。
紫外線照射してから15秒後に、アクリル樹脂フィルムと偏光子の間を手で剥離し、その時の硬化の度合いにより、以下の3水準で判定した。
○:液状ではなく、製造中のフィルム搬送工程で気泡が発生しない。
△:半分液状であり、製造中のフィルム搬送工程で気泡が発生することがある。
×:液状であり、製造中のフィルム搬送工程で気泡が発生する。
紫外線照射してから2日以上経過した偏光板に、カッターナイフの刃を、アクリル樹脂フィルムの上から斜めに挿入し、その時の様子及び力から、以下の4水準で判定した。
◎:刃が入らないか、又は、刃が入った場合でも抵抗力がかなり強く、アクリル樹脂フィルムがすぐに破れた。
○:刃が入ったが抵抗力が強く、剥離を広げようとするとアクリル樹脂フィルムが破れた。
△:刃が入り、抵抗力も感じられるが、剥離を広げることが可能。
×:刃が入り、界面において刃が少しの力で進行するほど抵抗力が弱い。
紫外線照射してから2日以上経過した偏光板を、幅1インチ、長さ15cmの短冊状に切り出し、粘着テープにより、アクリル樹脂フィルム側をガラス板に貼り付けた。次いで、上側のノルボルネン系樹脂フィルムに接着した偏光子フィルムを剥がし、180°剥離試験を引張速度300mm/分で実施し、接着力(N/インチ)を表中に記載した。
紫外線照射してから2日以上経過した偏光板を、幅4cm、長さ6cmに切り出し、60℃、相対湿度90%の高温高湿環境下に500時間置いた。耐湿熱試験後の偏光板について、剥離や変色を目視で観察し、以下の3水準で判定した。
○:剥離や変色が見られなかった。
△:剥離や変色が僅かに認められた。
×:剥離や変色が認められた。
紫外線照射してから2日以上経過した偏光板を、幅1インチ、長さ15cmの短冊状に切り出し、粘着テープにより、アクリル樹脂フィルム側をガラス板に貼り付けた。これを、60℃、相対湿度90%の高温高湿環境下に500時間置いた後、23℃、相対湿度50%の環境に取り出し、取り出してから5分後の接着力を測定した。測定は、上側のノルボルネン系樹脂フィルムに接着した偏光子フィルムを剥がし、引張速度300mm/分で180°剥離する方法で実施し、結果(N/インチ)を表中に記載した。
紫外線照射してから2日以上経過した偏光板に対して、−35℃に60分置き、次に+70℃に60分置くサイクルを300回繰り返す冷熱衝撃サイクル試験を実施した。冷熱サイクル試験後の偏光板を目視で観察し、以下の3水準で判定した。
○:外観不良が認められなかった。
△:外観不良が僅かに認められた。
×:外観不良が認められた。
本実施例は、カチオン硬化に不利な高湿度条件(23℃80%)で実施しているが、実施例1〜実施例8の組成物は、粘度、硬化性、カッター挿入接着力、常温保管品の偏光子曲げ剥離接着力、耐湿熱試験、耐湿熱試験後の偏光子曲げ剥離接着力、及び冷熱サイクル試験の結果がいずれも良好であった。
ポリマーD1の配合量が10%の実施例2は、ポリマーD1の配合量が4%の実施例1に比べて、カッター接着力と剥離接着力がどちらも優れていた。又、ポリマーD1とポリマーD’1〔単量体(d1)を含まず、Tgが(D)成分の下限に満たない重合体〕を併用した実施例2は、ポリマーD’1を含まない実施例3に比べて、カッター接着力と剥離接着力がどちらも優れていた。
実施例3の(A)成分を少し減らして(B)及び(C)成分を少し増やした実施例4は、剥離接着力がより優れたものとなった。さらに、(A)成分として、HDDAとDCPAを併用した実施例5は、カッター挿入接着力と剥離接着力が両方とも、特に優れていた。
実施例2のポリマーD1をポリマーD2に変えた実施例6も、低粘度、硬化性、カッター挿入接着力、常温保管品の偏光子曲げ剥離接着力、耐湿熱試験、耐湿熱試験後の偏光子曲げ剥離接着力、及び冷熱サイクル試験の結果がいずれも優れていた。
(A)成分を含まない比較例4は、硬化性が不良であった。(A)成分を過剰に含む比較例5は、カッター挿入接着力が不良であった。
(B)成分を含まない比較例6は全ての項目が不良であり、(B)成分を過剰に含む比較例7も、ほぼ全ての項目が不良であった。
(C)成分を過剰に含む比較例8は、剥離接着力は良好であったが、カッター挿入法による接着力が不十分であった。
Claims (16)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及び非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる透明樹脂フィルムからなる保護膜を接着するための接着剤組成物であって、
(A)炭素数2〜15個を有するポリオールのポリ(メタ)アクリレート、
(B)炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、
(C)1分子中に2個以上のオキセタニル基を有する分子量500以下の化合物、
(D)構成単量体単位として、(d1)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物、(d2)炭素数1〜10の炭化水素基及び1個のメタクリロイル基を有する化合物、並びに必要に応じて(d3)(d1)及び(d2)以外のエチレン性不飽和基を1個有する化合物を含み、これら単量体を高温重合して製造された重合体であって、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が1,000〜30,000である重合体、
(E)光カチオン重合開始剤を含有し、
前記(A)〜(E)成分の含有割合が、組成物中に、
(A)成分:5〜50重量%
(B)成分:5〜45重量%
(C)成分:5〜45重量%
(D)成分:1〜25重量%
(E)成分:0.5〜10重量%
であることを特徴とする光硬化性接着剤組成物。 - (A)成分が、炭素数2〜10個を有するジオールのジ(メタ)アクリレートである請求項1に記載の光硬化性接着剤組成物。
- (B)成分が、炭素数2〜10個を有するジオール(但し、アルキレンオキサイド単位の繰返し数3以上のポリエーテルジオールを除く)のジグリシジルエーテルである請求項1又は請求項2に記載の光硬化性接着剤組成物。
- (A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分の含有割合が、組成物中にそれぞれ、10〜45重量%、5〜35重量%、5〜35重量%、2〜20重量%及び2〜6重量%である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
- 前記(D)成分が、全構成単量体単位中に、(d1)を5〜95重量%、(d2)を5〜95重量%、及び(d3)を0〜80重量%含む重合体である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
- (D)成分が、全構成単量体単位中に、(d3)として、スチレンを0〜60重量%又は/及び炭素数1〜10の炭化水素基及び1個のアクリロイル基を有する化合物を0〜40重量%含む重合体である請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
- (D)成分が、全構成単量体単位中に、(d1)としてグリシジルメタクリレートを10〜60重量%、(d2)としてメチルメタクリレートを10〜80重量%、及び(d3)としてスチレンを1〜50重量%含み、160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体である請求項7に記載の光硬化性接着剤組成物。
- (D)成分が、全構成単量体単位中に、(d1)としてグリシジルメタクリレートを10〜60重量%、(d2)としてメチルメタクリレートを10〜80重量%、及び(d3)として炭素数1〜10の炭化水素基及び1個のアクリロイル基を有する化合物を1〜30重量%含み、160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体である請求項7に記載の光硬化性接着剤組成物。
- さらに、(F)光ラジカル重合開始剤を組成物中に10重量%以下の割合で含有する請求項1〜請求項9のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
- さらに、(G)成分としてレベリング剤を組成物中に0.01〜0.5重量%含有する請求項1〜請求項10のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に、接着剤を介して、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及び非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる透明樹脂フィルムからなる保護膜が貼合されてなる偏光板であって、前記接着剤は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物から形成されていることを特徴とする偏光板。
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子に、接着剤を介して、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及び非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる透明樹脂フィルムからなる保護膜を貼合し、偏光板を製造する方法であって、
前記偏光子と前記保護膜との貼合面のうち少なくとも一方に、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物を塗布する接着剤塗布工程と、
得られる接着剤層を介して前記偏光子と前記保護膜とを貼合する貼合工程と、
前記接着剤層を介して偏光子と保護膜とが貼合された状態で前記光硬化性接着剤組成物を硬化させる硬化工程と
を包含することを特徴とする偏光板の製造方法。 - 請求項12に記載の偏光板に他の光学層が積層されていることを特徴とする光学部材。
- 他の光学層は、位相差板を含む請求項14に記載の光学部材。
- 請求項14又は請求項15に記載の光学部材が、液晶セルの片側又は両側に配置されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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