JP2014055420A - 腐食したアンカーボルト定着基礎の補修工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎コンクリートに埋設された既設アンカーボルトの表面露出オネジ部に構造物のベースプレートがナットにより固定されている構造物の基礎の補修工法であって、既設アンカーボルトの周囲のコンクリートを該表面から所定の深さまで除去して、その周囲に円筒状の穴を形成する工程;円筒状の穴の底面から所定の位置で、アンカーボルトの上部を切断・除去する工程;メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具をメネジ部を上方にして既設アンカーボルトに覆い被せるように、円筒状の穴に挿入する工程;円筒上の穴内に樹脂を充填し、硬化させることにより、連結具を基礎コンクリートに定着させる工程;及び基礎コンクリートに定着した連結具のメネジ部に、構造物のベースプレートをボルトにより締結固定する工程;を含む構造物基礎の補修工法。
【選択図】図23
Description
既存アンカーボルトが健全でないことが確認された場合には、該アンカーボルト定着基礎を補修する必要がある。
図2と図3に示すように、既設アンカーボルトに腐食胞性箇所がある場合には、既設アンカーボルトを図3に示す箇所で切断する。図4に示す基礎コンクリートの所定箇所を、簡易的なコンクリート破砕機、例えば、電動ピックで、取壊す(はつりする)。図5に示すように、所定の位置で既設アンカーボルトを切断し、図6に示すように、腐食が進行している場合には必要に応じて、ねじ切りクリップにより、ねじ切りを切り直した後、図7に示すように、両端内部にメスネジを切った接続カプラーを取り付ける。その後、図8に示すように、はつり部分に無収縮モルタルを間詰めとして充填し、その後、元の構造物のベースプレートを、図9に示すように、接続カプラーに、固定ボルトを取り付けることにより、固定する。
しかしながら、かかる既存工法は、既設アンカーボルトへの機械的接続により引抜き応力を得るものであり、間詰めによる付着力は期待できない。また、将来予想される大規模地震等を想定したとき、既設アンカーボルトの腐食が基礎コンクリートの内部深くまで生じていた場合や、ねじ切り直しをした場合に、接続カプラーによる接続により設計引抜き応力と同程度の応力を、全ての補修箇所に保証することは困難である。
既設アンカーボルトに腐食胞性箇所がある場合に、既設アンカーボルトを切断することは、前記した既存工法と同様である(図2と図3参照)。
図10に示すように、コアボーリングで所定の深さにのみ最小限のはつりを行う。例えば、既設のアンカーボルト径がD24である場合、取壊し深さは45mmであり、D22の場合、40mmであり、D20の場合、35mmであり、そしてD16の場合、30mmである。図11に示すように、特殊ねじ切り装置(引用文献1の図15の符号70、図18の符号80参照)によりねじ切りを行う。但し、特許文献1には、ねじ切りを行わず、縮径により既設アンカーボルト2に特殊再生アンカーボルト(引用文献1の図6の符合11連結金具参照)を固定する態様も記載されている(引用文献1の図1、図5、図8参照)。かかる固定にも、特殊な圧入装置が使用される(引用文献1の図9の符合30参照)。図12に示すように、ねじ込み(螺合締結)又は縮径による食い込み結合(圧入れ)により、既設アンカーボルトに特殊再生アンカーボルトを接続し、はつり箇所にシール材を注入する。その後、必要により、図14に示すように、特殊パッキンを、特殊再生アンカーボルトに被せ、さらに図15に示すように、ライナープレートを設置する。尚、かかる特殊シールパッキンやライナープレートに代えて、樹脂やモルタルを用いる場合がある(引用文献1の段落0038、図1参照)。その後、図16に示すように、特殊再生アンカーボルトに、構造物のベースプレートを普通ナットにより固定する。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]基礎コンクリートに埋設された既設アンカーボルトの表面露出オネジ部に構造物のベースプレートがナットにより固定されている該構造物の基礎の補修工法であって、以下の工程:
(1)前記既設アンカーボルトの周囲のコンクリートを該表面から所定の深さまで除去して、前記既設アンカーボルトの周囲に円筒状の穴を形成する工程;
(2)前記円筒状の穴の底面から所定の位置で、前記アンカーボルトの上部を切断・除去する工程;
(3)メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、露出した既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記円筒状の穴に挿入する工程;
(4)前記円筒状の穴内に樹脂を充填し、硬化させることにより、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる工程;及び
(5)前記基礎コンクリートに定着した前記連結具のメネジ部に、前記構造物のベースプレートをボルトにより締結固定する工程;
を含む、構造物基礎の補修工法。
(3’)前記円筒状の穴内に樹脂を充填する工程;及び
(4’)メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記樹脂が充填された円筒状の穴に、挿入し、該樹脂を硬化させて、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる工程;
を含む、前記[1]又は[2]に記載の補修工法。
本発明は、基礎コンクリートに埋設された既設アンカーボルトの表面露出オネジ部に構造物のベースプレートがナットにより固定されている該構造物の基礎の補修工法であって、以下の工程:
(1)前記既設アンカーボルトの周囲のコンクリートを該表面から所定の深さまで除去して、前記既設アンカーボルトの周囲に円筒状の穴を形成する工程;
(2)前記円筒状の穴の底面から所定の位置で、前記アンカーボルトの上部を切断・除去する工程;
(3)メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、露出した既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記円筒状の穴に挿入する工程;
(4)前記円筒状の穴内に樹脂を充填し、硬化させることにより、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる工程;及び
(5)前記基礎コンクリートに定着した前記連結具のメネジ部に、前記構造物のベースプレートをボルトにより締結固定する工程;
を含む、構造物基礎の補修工法である。
既設アンカーボルトに腐食胞性箇所がある場合に、既設アンカーボルトを切断することは、前記した既存工法と同様である(図2と図3参照)。
図17に示すように、コアボーリングで所定の深さ(せん孔又は削孔長さ)に円筒状の穴を形成する。かかるせん孔又は削孔長さは、以下に説明する連結具をエポキシ樹脂等の樹脂で基礎に定着させる定着長さに相当する。円筒状の穴の深さは、好ましくは、150mm〜400mmである。例えば、既設のアンカーボルト径がD24である場合、せん孔長さは300mmであり、D22の場合、270mmであり、D20の場合、250mmであり、そしてD16の場合、200mmであることができる。次いで、図18に示すように、必要により、形成された円筒状の穴の直径よりも大きな径の穴を基礎コンクリート表面から所定深さまで形成する。これは、前記円筒状の穴の形成の前に、実施してもよい。かかる円筒状の穴の直径よりも大きな径の穴の形成は、以下の作業の場所を確保する必要がある場合に行うことができる。
次いで、図20に示すように、メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、露出した既設アンカーボルトに覆い被せるように、円筒状の穴に挿入する。そして図21に示すように、円筒状の穴内に樹脂を充填し、硬化させることにより、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる。尚、円筒状の穴内に樹脂を充填した後に、メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記樹脂が充填された円筒状の穴に、挿入し、該樹脂を硬化させて、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させてもよい。連結具の外側面と円筒状の穴の内側面との隙間は、好ましくは5mm〜30mmである。かかる隙間に、例えば、エポキシ樹脂を充填し、前記した連結具の所定定着長さにわたり、硬化させることにより、連結具を基礎に、将来予想される地震に対して耐えられる強度で、強固に定着させることができる。
最後に、図23に示すように、基礎コンクリートに定着させた連結具のメネジ部に、構造物のベースプレートをボルトにより締結固定することにより、本発明の補修工法は完結する。但し、図23には、構造物のベースプレートは図示していない。
構造物のベースプレートをボルトで固定することにより、ボルトに腐食があった場合、該ボルトだけの交換で足りるので、維持管理は、ナット連結よりも有利である。
Claims (8)
- 基礎コンクリートに埋設された既設アンカーボルトの表面露出オネジ部に構造物のベースプレートがナットにより固定されている該構造物の基礎の補修工法であって、以下の工程:
(1)前記既設アンカーボルトの周囲のコンクリートを該表面から所定の深さまで除去して、前記既設アンカーボルトの周囲に円筒状の穴を形成する工程;
(2)前記円筒状の穴の底面から所定の位置で、前記アンカーボルトの上部を切断・除去する工程;
(3)メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、露出した既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記円筒状の穴に挿入する工程;
(4)前記円筒状の穴内に樹脂を充填し、硬化させることにより、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる工程;及び
(5)前記基礎コンクリートに定着した前記連結具のメネジ部に、前記構造物のベースプレートをボルトにより締結固定する工程;
を含む、構造物基礎の補修工法。 - 前記工程(1)に先立ち、前記既設アンカーボルトの表面露出オネジ部を切断・除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の補修工法。
- 前記工程(3)と(4)に代えて、以下の工程:
(3’)前記円筒状の穴内に樹脂を充填する工程;及び
(4’)メネジ部を一端側に有する所定長の中空円筒状連結具を、該メネジ部を上方にして、既設アンカーボルトに覆い被せるように、前記樹脂が充填された円筒状の穴に、挿入し、該樹脂を硬化させて、前記連結具を前記基礎コンクリートに定着させる工程;
を含む、請求項1又は2に記載の補修工法。 - 前記円筒状の穴の深さが150mm〜400mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の補修工法。
- 前記連結具の外側面と前記円筒状の穴の内側面との隙間が、5mm〜30mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の補修工法。
- 前記樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の補修工法。
- 前記工程(1)において、前記既設アンカーボルトの周囲に所定長の円筒状の穴を形成する前又は後に、該円筒上の穴の直径よりも大きな径の穴を前記基礎コンクリート表面から所定深さまで形成することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の補修工法。
- 前記基礎コンクリート表面から所定深さまで形成された、前記該円筒状の穴の直径よりも大きな径の穴内に、モルタルを該表面まで充填して、前記硬化樹脂を保護する工程を前記工程(5)の前にさらに含む、請求項7に記載の補修工法。
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