JP2018135709A - 鋼棒アンカーの再緊張方法 - Google Patents

鋼棒アンカーの再緊張方法 Download PDF

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【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、既設ナットを締め込むことができない鋼棒アンカーや、緊張余長が確保されていない鋼棒アンカーに対しても再緊張することができる鋼棒アンカーの再緊張方法を提供することである。【解決手段】本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法は、ナット破断工程と、ナット設置工程、再緊張工程、再定着工程を備えた方法である。このうちナット破断工程では、既設のナットを破断し、ナット設置工程では、新たに鋼棒に新設ナットを取り付ける。そして再緊張工程では、カプラーを用いてテンションバーを鋼棒に取り付けるとともにこのテンションバーをジャッキで引き上げることによって鋼棒を緊張し、再定着工程では、新設ナットを締め付けることで鋼棒を再度定着する。【選択図】図2

Description

本願発明は、既設アンカーの再緊張に関する技術であり、より具体的には、ナットで定着されたアンカーに対して再緊張を行う技術に関するものである。
アンカーは、テンドン(引張り材)と呼ばれる部材に緊張力を与え、これを構造物等に設置することによって目的の力を付与する構造であり、橋梁のコンクリート床板にプレストレスを導入する際に使用されたり、吊り橋ケーブルの反力として使用されたり、構造物の浮き上がり防止(地盤下からの引張)として使用されるなど、多岐にわたって利用されるシステムである。
特に、のり面・斜面の対策工や、地すべり対策工、あるいは山留擁壁の補強工としては、今やアンカーシステムは欠かせないものとなった。のり面対策工や地すべり対策工等として使用されるアンカーは、テンドンの一方の固定端を地盤内に設置することから、古くは「アースアンカー」、現在では「グラウンドアンカー」と呼ばれている。このグラウンドアンカーは、ダムの安定対策として1957年に初めて我が国に導入されて以来、60年近くにわたって採用されている。経済的であり施工性にも優れていることから、さらに高度成長に伴う社会資本整備の加速化もあって、2万4千件ともいわれる夥しい数の施工実績を数えるほど多用されてきた。
現在のグラウンドアンカーは、優れた施工性を有し、しかも極めて高い性能を発揮するものであるが、これは導入以降になされた研究開発の結果であることが知られている。例えば、導入当初は防食に対して強く意識されていなかったが、その後、耐久性の問題から二重防食が義務づけられるようになった経緯もある(現在では、防食技術が進歩したこともあって必ずしも二重防食とはされていない。)。いずれにしろグラウンドアンカーの技術は年々向上しており、言い換えれば設置から長い期間経過したグラウンドアンカーほど発展途上のものであって、浸食や劣化等が相当に進んでいることが推測される。実際、近年になってテンドンの破断や、頭部の落下、浮き上がりといった変状も報告されている。
グラウンドアンカーは1本あたり数百kNという緊張力を与えるものであり、例えばテンドンが破断すると補強対象物(のり面や山留擁壁など)の安定を損なうだけでなく、第三者に被害を及ぼすおそれさえある。現在では、既に設置されたグラウンドアンカーのうちおよそ1/4が10年以上経過しているともいわれており、今後ますますグラウンドアンカーの変状が進行することが予想され、事故等が生じる危険性も高まりつつある。
一方、橋梁やトンネルといった社会資本も長期間経過したものが多くなり、我が国の社会資本全体が更新の時期を迎えようとしている。とはいえ数多くの社会資本を同時期に更新し、あるいは大規模な補強を行うことは、費用の面でも労力の点でも難しい。そこで近年では、社会資本の健全性を適切に判断したうえで早い段階から軽微な補修等を行うなど、社会資本の延命化を図ることが求められている。グラウンドアンカーもその例外ではなく、延命化を図るべく適切な維持管理が行われているところである。
グラウンドアンカーの維持管理の一環として、初期点検、日常点検、定期点検、異常時点検といった点検が行われる。そして点検の結果、健全性に問題があると認められたグラウンドアンカーに対しては「アンカーの健全性調査」が実施される。このアンカーの健全性調査には、頭部詳細調査や、防錆油の試験、超音波探傷試験、リフトオフ試験、頭部背面調査などの種類があり、その目的に応じて適宜必要な種類の調査が選択される。例えばリフトオフ試験は、現状の残存引張り力を確認すべき場合に選択される。グラウンドアンカーの残存引張り力は、地盤のクリープによって、あるいは構造物の沈下や劣化によって、設置当初よりも増減することがあり、対策等の要否を判定するため現状の残存引張り力を確認するわけである。
リフトオフ試験の結果、グラウンドアンカーの残存引張り力が減少しているケースでは、斜面や構造物等の安定が維持できなくなっていることも考えられ、この場合、そのグラウンドアンカーを再緊張することで引張り力を増大させるか、あるいはグラウンドアンカーを増し打ちするなどの補強対策が施される。一方、グラウンドアンカーの残存引張り力が増加しているケースでは、テンドンの破断や、応力集中による受圧構造物の破壊といったおそれがあり、この場合、そのグラウンドアンカーの緊張力を緩和する対策が施される。
グラウンドアンカーの引張り力を増大させる場合はもちろん、緊張力を緩和する場合も、一旦は既存のテンドンを再緊張しなければならない。また、リフトオフ試験を行う場合も再緊張する必要があり、頭部背面調査を行う場合も緊張力を解除する必要があるためやはり再緊張しなければならない。このように、グラウンドアンカーの維持管理を行うにあたっては、様々な場面でアンカーの再緊張が行われる。
ところでグラウンドアンカーは、テンドンの定着方式に着目すると、ナット定着式アンカー、クサビ定着式アンカー、クサビナット定着式アンカーに分類される。このうちナット定着式アンカーは、テンドンとして鋼棒を使用するのが一般的である。ここでは便宜上、テンドンとして鋼棒を用いたアンカーのことを「鋼棒アンカー」ということとする。鋼棒アンカーの場合、図7(a)に示すように鋼棒の先端にはネジが設けられており、あらかじめこのネジ部分にナットを取り付けたうえで鋼棒を緊張し、そして緊張状態でネジを締めこむことによって鋼棒アンカーは定着される。
この鋼棒アンカーに対しても、既述したとおり維持管理の一環として現状の残存引張り力を確認する試験が行われることがあり、この場合、リフトオフ試験を採用するのが主流となっているが、これに代わる他の試験方法もこれまで提案されている。例えば特許文献1では、あらかじめハンマー打撃による弾性波と緊張力との関係を調べておき、既設のアンカー(鋼棒)を打撃して得られた弾性波から引張り力を推定する方法を提案している。
特開2015−25297号公報
リフトオフ試験、あるいは特許文献1に示す推定を行った結果、残存引張り力が設計荷重に対して不足していると、アンカーの引張り力を増大させるため再緊張が必要となるケースもある。そして、鋼棒アンカーを実際に再緊張するにあたってはいくつか問題を指摘することができる。鋼棒アンカーの引張り力を増大させる場合、再緊張によって加えられた緊張力を維持すべく、鋼棒を緊張した(引き上げた)状態で図7(a)に示すナットを締め込む必要がある。ところが、経年の腐食等が原因となって、ナットを締め込むことができない場合がある。また、既設鋼棒を再緊張するためには、緊張余長部分に再緊張用のテンションロッドをカプラーで連結する必要があるが、図7(b)に示すように、緊張余長が確保されていないケースではテンションロッドを連結することができず、つまり再緊張することができない。
特許文献1に示す技術は、既設の鋼棒を緊張することなく残存引張り力の確認試験を行う方法を示すものであるが故に鋼棒の再緊張に関する技術の開示がなく、したがって特許文献1では上記した問題を解決することができない。加えて、特許文献1に限らずこのような問題を解決する技術がこれまで提案されることはなかった。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、既設ナットを締め込むことができない鋼棒アンカーや、緊張余長が確保されていない鋼棒アンカーに対しても再緊張することができる鋼棒アンカーの再緊張方法を提供することである。
本願発明は、既設ナットを破断して新設のナットに交換するという点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法は、ナット破断工程と、ナット設置工程、再緊張工程、再定着工程を備えた方法である。このうちナット破断工程では、既設のナットを破断し、ナット設置工程では、鋼棒に新設ナットを取り付ける。そして再緊張工程では、テンションバーを鋼棒に取り付けるとともにこのテンションバーをジャッキで引き上げることによって鋼棒を緊張し、再定着工程では、新設ナットを締め付けることで鋼棒を再度定着する。なお、ナット破断工程では、アンカーナットスプリッターを用いてナットを破断することもできる。ナットを切断するための専用器具であるアンカーナットスプリッターは、貫通孔と刃物(貫通孔内に突出する)を有しており、貫通孔内に収めた既設ナットに刃物を押し当てていくことで、ナットを破断することができる。
本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法は、アンカー孔外に突出した鋼棒を再緊張する方法とすることもできる。この場合、ナット設置工程では、アンカー孔外に突出した鋼棒に新設ナットを取り付け、再緊張工程では、アンカー孔外に突出した鋼棒にテンションバーを取り付ける。
本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法は、鋼棒延長工程をさらに備えた方法とすることもできる。この場合は、アンカー孔内に引き込まれた鋼棒を再緊張する。鋼棒延長工程では、ナット破断工程後に先端がアンカー孔内に引き込まれた鋼棒に延長体を連結し、ナット設置工程では、アンカー孔外に突出した延長体に新設ナットを取り付け、再緊張工程では、アンカー孔外に突出した延長体にテンションバーを取り付ける。この場合、延長体の先端に設けられた先端カプラーを鋼棒に取り付けることで、延長体を鋼棒に連結することもできる。
本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法には、次のような効果がある。
(1)腐食等が原因で既設ナットを締め込むことができない鋼棒アンカーに対しても、再緊張することができる。
(2)緊張余長が確保されていない鋼棒アンカーに対しても再緊張することができる。
(3)再緊張により鋼棒アンカーに新たな緊張力を導入することができ、すなわち鋼棒アンカーの延命化を図ることができる。この結果、増し打ちなど新たなアンカーの設置を回避することができることから、従来に比べコストの低減を図ることができる。
本願発明のアンカーの再緊張方法の第1の実施例における主な工程の流れを示すフロー図。 (a)は第1の実施例において現状(再緊張前)の鋼棒アンカーの頭部を示すステップ図、(b)は第1の実施例において既設ナットを破断する工程を説明するステップ図、(c)は第1の実施例においてテンションバーに連結された鋼棒をジャッキで再緊張する工程を説明するステップ図、(d)は第1の実施例において新設ナットを締め付けることで鋼棒アンカーを再定着する工程を説明するステップ図。 (a)はナットを切断するための専用器具であるアンカーナットスプリッターを上方から見た平面図、(b)はアンカーナットスプリッターの斜視図。 本願発明のアンカーの再緊張方法の第2の実施例における主な工程の流れを示すフロー図。 (a)は第2の実施例において現状(再緊張前)の鋼棒アンカーの頭部を示すステップ図、(b)は第2の実施例において既設ナットを破断する工程を説明するステップ図、(c)は第2の実施例において鋼棒に延長体を連結する工程を説明するステップ図、(d)は第1の実施例においてテンションバーに連結された鋼棒をジャッキで再緊張するとともに新設ナットを締め付けることで鋼棒アンカーを再定着する工程を説明するステップ図。 (a)は先端のカプラー部分のみ中空としてその他の本体部分は中実の鋼棒とした延長体を示す断面図、(b)は全体を中空として先端のカプラー部分のみ内周にネジを設けた延長体を示す断面図。 (a)は一般的なナット定着式アンカーの定着構造を示す断面図、(b)は緊張余長が確保されていないナット定着式アンカーの定着構造を示す断面図。
本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。なお、本願発明の鋼棒アンカーの再緊張方法は、アンカー孔外に突出した鋼棒を緊張する例と、アンカー孔内に引き込まれた鋼棒を緊張する例を示すことができることから、それぞれ第1の実施例、第2の実施例として分けて説明する。またここでは便宜上、実施形態を既設のグラウンドアンカーの例で説明しているが、本願発明はコンクリート床板にプレストレスを導入するアンカーなどグラウンドアンカー以外のアンカーにも適用可能であり、したがってここでいう「アンカー」は、グランドアンカーを含む種々のアンカーを意味している。
さらに、アンカーは様々な点に着目して分類がされることがあるが、テンドンが鋼棒であってナット定着方式アンカーである限りあらゆる既設アンカーに対して本願発明を適用することができる。例えば、地盤への定着方式に着目して分類される「摩擦型アンカー」や、「支圧型アンカー」、「複合(摩擦+支圧)型アンカー」にも適用することができる。
1.第1の実施例
図1は、本願発明のアンカーの再緊張方法の第1の実施例における主な工程の流れを示すフロー図であり、図2は第1の実施例における主な工程ごとに図示したステップ図である。以下、これらの図にしたがって説明する。はじめに、既設アンカーの頭部周辺で必要に応じて足場を組み立て、ジャッキをはじめ必要となる機器を配置し、第三者を含む安全対策を施すなど、所定の準備工を行う(Step10)。
(ナット破断工程)
次に、再緊張を要すると判断された既設の鋼棒アンカー頭部を点検する(Step20)。図2(a)は現状(再緊張前)の鋼棒アンカーの頭部を示すステップ図である。この図に示すように既設の鋼棒10の頭部(アンカー孔20の孔口側端部)にはネジが設けられており、このネジに既設ナット30が支圧板40上まで締め込まれている。鋼棒アンカーの頭部を点検した結果、既設ナット30を締め込むことができない、あるいは緊張余長が十分に確保されていない、といった状態が確認できると、本願発明の「アンカーの再緊張方法」による再緊張を実施する。点検の結果、特段の問題がないことが確認された場合は、従来技術によって再緊張を行ってもよいし、もちろん本願発明の方法を採用してもよい。なお図2では、緊張余長は十分に確保されているが、腐食により既設ナット30を締め込むことができないケースを示している。
点検の結果、既設ナット30を締め込むことができないことが確認できると、図2(b)に示すように既設ナット30を破断する(Step30)。既設ナット30を破断するに当たっては、ナットを切断、あるいは圧壊することができるものであれば、従来から用いられているナットスプリッターや、切断カッター、トルクレンチなど-種々の器具を利用することができる。あるいは、ナットを切断するための専用器具を使用して既設ナット30を破断することもできる。図3は、ナットを切断するための専用器具であるアンカーナットスプリッター50を示す図であり、(a)は上方から見た平面図、(b)はその斜視図である。この図に示すようにアンカーナットスプリッター50の中央部には貫通孔51が設けられており、さらに貫通孔51内に左右両側から突出する刃物52が設けられている。アンカーナットスプリッター50で既設ナット30を破断するには、貫通孔51内に既設ナット30を収め、そして油圧等によって左右両側から刃物52を既設ナット30に押し当てて(締め付けて)いくことによって、既設ナット30を破断する。なお、破断した既設ナット30は撤去し、損傷が認められていれば支圧板40も撤去するとよい。
(再緊張工程)
既設ナット30を破断して撤去すると、図2(c)に示すようにアンカー孔20外に突出した鋼棒10に新設ナット60を取り付ける(Step41)。このとき、鋼棒10先端部のネジに螺着することで新設ナット60は取り付けられる。また、既設の支圧板40を撤去した場合は、新設の支圧板を鋼棒10に挿入した後に新設ナット60を取り付ける。
鋼棒10に新設ナット60を取り付けると、アンカー孔20外に突出した鋼棒10の先端にテンションバー70を連結する(Step42)。なお図2(c)では、テンションバー70の先端に設けられたカプラーを利用して鋼棒10に連結しているが、別体としてのカプラーを用意し、このカプラーを利用して鋼棒10とテンションバー70を連結してもよい。鋼棒10とテンションバー70を連結すると、例えば油圧ジャッキ80を用いてテンションバー70を引き上げていき、すなわち鋼棒10を引き上げていくことによって、計画した緊張力を鋼棒10に導入する(Step50)。
(再定着工程)
鋼棒10を再緊張すると、図2(d)に示すように、油圧ジャッキ80等でテンションバー70と鋼棒10を引き上げた状態で新設ナット60を締め付けていく。なお、油圧ジャッキ80の側面には操作窓が設けられていることから、この操作窓を利用して新設ナット60を締め付けるとよい。新設ナット60を支圧板40上まで締め付けることによって、新たに鋼棒10に導入された緊張力が新設ナット60と支圧板40に預けられ、すなわち鋼棒アンカーは定着される(Step60)。
2.第2の実施例
比較的大きな緊張力が導入されているケースでは、既設ナット30を取り外すことで緊張力が開放された結果、鋼棒10が地盤方向に引っ張られて短くなることがある。特に、緊張余長が十分に確保されていない鋼棒アンカーの場合、既設ナット30を取り外して緊張力を解放すると鋼棒10の先端がアンカー孔内に引き込まれることもある。ここでは、このようなケースで再緊張を実施する例について説明する。
図4は、本願発明のアンカーの再緊張方法の第2の実施例における主な工程の流れを示すフロー図であり、図5は第2の実施例における主な工程ごとに図示したステップ図である。以下、これらの図にしたがって説明する。はじめに、第1の実施例と同様、既設アンカーの頭部周辺で必要に応じて足場を組み立て、ジャッキをはじめ必要となる機器を配置し、第三者を含む安全対策を施すなど、所定の準備工を行う(Step10)。
(ナット破断工程)
次に、再緊張を要すると判断された既設の鋼棒アンカー頭部を点検する(Step20)。図5(a)は現状(再緊張前)の鋼棒アンカーの頭部を示すステップ図である。鋼棒アンカーの頭部を点検した結果、既設ナット30を締め込むことができない、あるいは緊張余長が十分に確保されていない、といった状態が確認できると、本願発明の「アンカーの再緊張方法」による再緊張を実施する。点検の結果、特段の問題がないことが確認された場合は、従来技術によって再緊張を行ってもよいし、もちろん本願発明の方法を採用してもよい。なお図5では、緊張余長が十分に確保されていないケースを示している。
点検の結果、緊張余長が十分に確保されていないことが確認できると、図5(b)に示すように既設ナット30を破断する(Step30)。既設ナット30を破断するに当たっては、第1に実施例と同様、従来から用いられているナットスプリッターや、切断カッター、トルクレンチ、あるいは専用のアンカーナットスプリッター50など種々の器具を利用することができる。既設ナット30を破断すると、鋼棒アンカーに導入されていた緊張力が開放され、その結果、鋼棒10が孔奥方向に引っ張られ、図5(b)では鋼棒10の先端がアンカー孔20内に引き込まれている。なお、破断した既設ナット30は撤去し、支圧板40も一旦は撤去する。
(鋼棒延長工程)
既設ナット30を破断して撤去すると、図5(c)に示すように鋼棒10に棒状の延長体を連結し(Step43)、鋼棒10の上部延長を図る。延長体は、図5に示すように鋼棒10と同径の鋼棒(以下、「鋼棒部材91」という。)とすることもできるし、図6に示すように先端にカプラーを具備する棒状の部材(以下、「カプラー付き棒部材92」という。)とすることもできる。延長体を鋼棒部材91とした場合は、カプラー100を利用して鋼棒10と連結する。具体的には、アンカー孔20内に引き込まれた鋼棒10の先端に、内周にネジが設けられたカプラー100を取り付け、さらに外周にネジが設けられた鋼棒部材91をカプラー100に連結する(図5(c))。
一方、延長体をカプラー付き棒部材92とした場合は、先端カプラー92Cを利用して鋼棒10に連結する。具体的には、アンカー孔20内に引き込まれた鋼棒10の先端に、内周にネジが設けられた先端カプラー92を取り付けることで、カプラー付き棒部材92を鋼棒10に連結する。このカプラー付き棒部材92は、図6(a)に示すように先端カプラー92C部分のみ中空とし、その他の本体部分は中実の鋼棒とすることもできるし、あるいは図6(b)に示すように全体を中空とし、先端カプラー92C部分のみ内周にネジを設ける構造とすることもできる。この延長体(鋼棒部材91又はカプラー付き棒部材92)は、鋼棒10に連結したときにその先端がアンカー孔20外に突出する程度の長さとし、さらに緊張余長を確保できる程度の長さとするとよい。
(再緊張工程)
鋼棒10に延長体を連結すると、図5(c)に示すように、一旦撤去した既設の支圧板40(もちろん新規のものに交換してもよい)を設置したうえで、アンカー孔20外に突出した延長体に新設ナット60を取り付ける(Step44)。このとき、延長体の外周ネジに螺着することで新設ナット60は取り付けられる。
延長体に新設ナット60を取り付けると、アンカー孔20外に突出した延長体の先端にテンションバー70を連結する(Step45)。なお図5(d)では、テンションバー70の先端に設けられたカプラーを利用して延長体に連結しているが、別体のものとしてのカプラーを用意し、このカプラーを利用して延長体とテンションバー70を連結してもよい。延長体とテンションバー70を連結すると、例えば油圧ジャッキ80を用いてテンションバー70を引き上げていき、すなわち延長体と鋼棒10を引き上げていくことによって、計画した緊張力を鋼棒10に導入する(Step50)。
(再定着工程)
鋼棒10を再緊張すると、図5(d)に示すように、油圧ジャッキ80等でテンションバー70と延長体(鋼棒10)を引き上げた状態で新設ナット60を締め付けていく。なお、油圧ジャッキ80の側面には操作窓が設けられていることから、この操作窓を利用して新設ナット60を締め付けるとよい。新設ナット60を支圧板40上まで締め付けることによって、新たに鋼棒10に導入された緊張力が延長体を介して新設ナット60と支圧板40に預けられ、すなわち鋼棒アンカーは定着される(Step60)。
本願発明の 鋼棒アンカーの再緊張方法は、のり面・斜面対策工や、地すべり対策工に利用できるほか、コンクリート床板へのプレストレス導入や、ダムの安定化対策、橋脚や橋台の安定化対策などにも利用することができる。本願発明が、社会資本の一つであるアンカーの延命化を図り得ることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
10 鋼棒
20 アンカー孔
30 既設ナット
40 支圧板
50 アンカーナットスプリッター
51 (アンカーナットスプリッターの)貫通孔
52 (アンカーナットスプリッターの)刃物
60 新設ナット
70 テンションバー
80 油圧ジャッキ
91 鋼棒部材(延長体)
92 カプラー付き棒部材(延長体)
92c (カプラー付き棒部材の)先端カプラー
100 カプラー

Claims (5)

  1. 緊張された鋼棒をナットにより定着した既設アンカーを再緊張する方法において、
    前記ナットを破断するナット破断工程と、
    前記鋼棒に、新たに新設ナットを取り付けるナット設置工程と、
    テンションバーを前記鋼棒に取り付けるとともに、該テンションバーをジャッキで引き上げることによって前記鋼棒を緊張する再緊張工程と、
    前記新設ナットを締め付けることで、前記鋼棒を再度定着する再定着工程と、
    を備えたことを特徴とする鋼棒アンカーの再緊張方法。
  2. 前記ナット破断工程では、アンカーナットスプリッターを用いて前記ナットを破断し、
    前記アンカーナットスプリッターは、貫通孔と、該貫通孔内に突出する刃物と、を有し、前記貫通孔内に収めた前記既設ナットに前記刃物を押し当てていくことで、前記ナットを破断する、
    ことを特徴とする請求項1記載の鋼棒アンカーの再緊張方法。
  3. 前記ナット設置工程では、アンカー孔外に突出した前記鋼棒に前記新設ナットを取り付け、
    前記再緊張工程では、アンカー孔外に突出した前記鋼棒に前記テンションバーを取り付ける、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鋼棒アンカーの再緊張方法。
  4. 前記ナット破断工程後に先端がアンカー孔内に引き込まれた前記鋼棒に、新たに延長体を連結する鋼棒延長工程を、さらに備え、
    前記ナット設置工程では、アンカー孔外に突出した前記延長体に前記新設ナットを取り付け、
    前記再緊張工程では、アンカー孔外に突出した前記延長体に前記テンションバーを取り付ける、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鋼棒アンカーの再緊張方法。
  5. 前記延長体の先端には先端カプラーが設けられ、
    前記鋼棒延長工程では、先端がアンカー孔内に引き込まれた前記鋼棒に、前記先端カプラーを取り付けることで、前記延長体を前記鋼棒に連結する、
    ことを特徴とする請求項4記載の鋼棒アンカーの再緊張方法。
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