JP2012165564A - 車両の異常診断装置および車両の異常診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】後輪駆動用モータに設けられた温度センサの故障検出の精度を高めた車両を提供する。
【解決手段】車両の異常診断装置は、後輪駆動モータMGRの温度を検出する第1の温度センサ30と、第1の温度センサ30によって後輪駆動モータMGRの温度を監視し、後輪駆動モータMGRの制御を行なうHVコントロールコンピュータ8とを備える。HVコントロールコンピュータ8は、車両の状態が第1の温度センサ30の結線異常に対応する仮判定条件を満たす場合には、後輪駆動モータMGRの温度を上昇させ第1の温度センサ30の検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて結線異常の診断を確定する。
【選択図】図1
【解決手段】車両の異常診断装置は、後輪駆動モータMGRの温度を検出する第1の温度センサ30と、第1の温度センサ30によって後輪駆動モータMGRの温度を監視し、後輪駆動モータMGRの制御を行なうHVコントロールコンピュータ8とを備える。HVコントロールコンピュータ8は、車両の状態が第1の温度センサ30の結線異常に対応する仮判定条件を満たす場合には、後輪駆動モータMGRの温度を上昇させ第1の温度センサ30の検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて結線異常の診断を確定する。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両の異常診断装置および車両の異常診断方法に関し、特に温度センサに関する異常診断装置および異常診断方法に関する。
特開平10−61479号公報(特許文献1)に示されるように、車両には空気温センサをはじめとして、各種の温度を検出する温度センサが搭載されている。このような温度センサが断線故障などにより温度検出不能になると、燃費が悪化等車両の性能に影響を与える。
そこで、温度センサの断線を検出することが行なわれ、断線を検出した場合には運転者に異常を報知したり、修理工場で断線が発生したことが容易に発見できるように断線検出の診断結果を車両の制御装置に記憶しておくことが行なわれたりしている。
しかし、断線検出の精度が悪いと誤検出が発生し、運転者に不要な手数をかけたり、修理時に不要な部品交換が行なわれたりする可能性がある。上記の文献は、空気温センサの異常検出精度を向上させることについての技術を開示している。
近年、電気自動車やハイブリッド自動車が普及し、車輪駆動用のモータやそれを駆動するための高電圧大容量の蓄電装置を搭載する車両が増えている。このような車両において、四輪駆動を実現するために、前輪駆動用の駆動装置とは別に後輪駆動用にモータを搭載する車両もみられる。
上記特開平10−61479号公報では、このような構成の車両において温度センサの誤検出が発生する課題や、その誤検出を防止する技術については開示されていない。
この発明の目的は、後輪駆動用モータを搭載する車両において後輪駆動用モータに設けられた温度センサの故障検出の精度を高めた車両を提供することである。
この発明は、要約すると、後輪駆動モータを搭載した車両の異常診断装置であって、後輪駆動モータの温度を検出する第1の温度センサと、第1の温度センサによって後輪駆動モータの温度を監視し、後輪駆動モータの制御を行なう制御装置とを含む。制御装置は、車両の状態が第1の温度センサの結線異常に対応する仮判定条件を満たす場合には、後輪駆動モータの温度を上昇させ第1の温度センサの検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて結線異常の診断を確定する。
好ましくは、車両は、前輪駆動モータと、前輪駆動モータと後輪駆動モータとの電力制御を行なうパワーコントロールユニットとをさらに含む。前輪駆動モータとパワーコントロールユニットとは、車両の前方部分に配置される。後輪駆動モータは、前方部分とは離れた車両の後方部分に配置される。異常診断装置は、前輪駆動モータおよびパワーコントロールユニットのいずれかの温度を検出する第2の温度センサをさらに含む。仮判定条件は、第1の温度センサの検出値と第2の温度センサの検出値との差がしきい値より大きいという条件を含む。
より好ましくは、制御装置は、シフトレンジがパーキングレンジに設定された場合には、パワーコントロールユニットおよび前輪駆動モータの通電状態を維持しつつ後輪駆動モータは非通電状態に制御する。制御装置は、シフトレンジが走行レンジに設定されている場合には、仮判定条件が成立した時に直ちに第1の温度センサの結線異常の診断を確定させ、シフトレンジがパーキングレンジに設定されている場合には、仮判定条件が成立した時に確認処理を行なったうえで第1の温度センサの結線異常の診断を確定させる。
より好ましくは、制御装置は、確認処理を実行する際に後輪駆動モータのコイルにトルクが発生しないような電流を流して後輪駆動モータの温度を上昇させる。
より好ましくは、制御装置は、確認処理を実行する際に後輪駆動モータに設けられたヒータを作動させて後輪駆動モータの温度を上昇させる。
この発明は、他の局面に従うと、後輪駆動モータを搭載した車両の異常診断方法であって、車両は、後輪駆動モータの温度を検出する第1の温度センサと、第1の温度センサによって後輪駆動モータの温度を監視し、後輪駆動モータの制御を行なう制御装置とを含み、異常診断方法は、車両の状態が第1の温度センサの結線異常に対応する仮判定条件を満たすか否かを制御装置が判断するステップと、後輪駆動モータの温度を上昇させ第1の温度センサの検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて結線異常の診断を制御装置が確定するステップとを含む。
本発明によれば、後輪駆動用モータに設けられた温度センサの故障検出の精度が高められるので、運転者に不要な手数をかけたり、修理時に不要な部品交換が行なわれたりすることを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態に係る車両100の構成を示すブロック図である。
図1は、この発明の実施の形態に係る車両100の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、車両100は、ハイブリッド自動車であって、高圧バッテリ4と、補機バッテリ6と、パワーコントロールユニット1と、HV(ハイブリッド)コントロールコンピュータ8と、トランスアクスルTAと、モータジェネレータMGRと、エンジンENGと、前輪WFと、後輪WRとを含む。トランスアクスルTAは、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構PGとを含む。
動力分割機構PGは、エンジンENGとモータジェネレータMG1,MG2に結合され、これらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分配機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジンENG、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。なお動力分割機構PGの内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。
モータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤを介して前輪WFを駆動する。モータジェネレータMGRの回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤを介して後輪WRを駆動する。
高圧バッテリ4としては、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池や燃料電池などを用いることができる。補機バッテリ6としては、たとえば12Vの鉛蓄電池を用いることができる。
パワーコントロールユニット1は、筐体2と、各々筐体2に収納される昇圧コンバータ12、インバータIPM(Intelligent Power Module)14、モータジェネレータ制御装置16、DC/DCコンバータ10とを含む。
インバータIPM14は、インバータ20,22,24を含む。昇圧コンバータ12は、高圧バッテリ4の端子間電圧を昇圧してインバータ20,22,24に供給する。
インバータ20は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG1に出力する。昇圧コンバータ12は、たとえば、リアクトルと、IGBT素子と、ダイオード等により構成される。
インバータ20は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジンENGを始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ20は、エンジンENGから伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するようにモータジェネレータ制御装置16によって制御される。
インバータ20は、電源ラインと接地ラインとの間に並列に接続されているU相アーム、V相アーム、W相アームを含む。インバータ20の各相アームは、電源ラインと接地ラインとの間に直列接続された2つのIGBT素子と、その2つのIGBT素子とそれぞれ並列に接続される2つのダイオードとを含む。
モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、各相コイルの他方端がインバータ20の対応する相のアームに接続される。
インバータ22は、昇圧コンバータ12に対してインバータ20と並列的に接続される。インバータ22は、車輪を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するようにモータジェネレータ制御装置16によって制御される。
インバータ22の構成については、インバータ20と同様であるので説明は繰返さない。モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、各相コイルの他方端がインバータ22の対応する相のアームに接続される。
インバータ24は、昇圧コンバータ12に対してインバータ20,22と並列的に接続される。インバータ24は、後輪を駆動するモータジェネレータMGRに対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ24は、回生制動に伴い、モータジェネレータMGRにおいて発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するようにモータジェネレータ制御装置16によって制御される。
インバータ24の構成については、インバータ20と同様であるので説明は繰返さない。モータジェネレータMGRは、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、各相コイルの他方端がインバータ24の対応する相のアームに接続される。
モータジェネレータ制御装置16は、3つのモータジェネレータのトルク指令値、モータ回転数、モータ電流値と、高圧バッテリ4の端子間電圧、昇圧コンバータ12の昇圧電圧、バッテリ電流の各値とを受ける。そしてモータジェネレータ制御装置16は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示、降圧指示および動作禁止指示を出力する。
さらに、モータジェネレータ制御装置16は、インバータ20に対して、昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示とを出力する。
同様にモータジェネレータ制御装置16は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示とを出力する。
同様にモータジェネレータ制御装置16は、インバータ24に対して直流電圧をモータジェネレータMGRを駆動するための交流電圧に変換する駆動指示と、モータジェネレータMGRで発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示とを出力する。
DC/DCコンバータ10は、高圧バッテリ4の電圧を降圧して補機バッテリ6に充電を行なったり、補機バッテリ6に接続されている図示しないヘッドライト等の負荷に電力を供給したりする。DC/DCコンバータ10は、HVコントロールコンピュータ8との間で制御信号SDCをやり取りする。
HVコントロールコンピュータ8は、モータジェネレータMG1,MG2,MGRをそれぞれ制御する制御信号SMG1,SMG2,SMGRをやり取りする信号線と、信号の基準となる制御グランドGNDSを接続するグランド線とによって、モータジェネレータ制御装置16に接続される。
パワーコントロールユニット1の内部から、制御信号SMG1,SMG2,SMGR,SDCをやり取りする信号線と、制御グランドGNDSを接続するグランド線とが、HVコントロールコンピュータ8に接続されている。
モータジェネレータMGRには、温度センサ30が取り付けられている。温度センサ30から検出されたモータジェネレータMGRの温度T3がHVコントロールコンピュータ8に伝達される。また、インバータ温度T1がインバータIPM14からHVコントロールコンピュータ8に伝達される。インバータ温度T1はインバータIPM14に組み込まれた温度検出素子によって検出される。さらに、モータジェネレータMG2に取り付けられた温度センサ50で検出されたモータ温度T2がトランスアクスルTAからHVコントロールコンピュータ8に伝達される。
図2は、図1で示した車両100の構成要素が車両中に配置される位置を説明するための図である。
図2を参照して、車両の運転席前方のエンジンルームには、パワーコントロールユニット1と、エンジンENGと、前輪WFを駆動するトランスアクスルTAとが配置される。車室内には、高圧バッテリ4が収容されたバッテリパックが配置される。車両の後部には、後輪WRを駆動するモータジェネレータMGRが後輪付近に配置され、補機バッテリ6が最後尾付近に配置されている。このような配置となっているので、互いに位置が近いパワーコントロールユニット1およびトランスアクスルTAは温度差がそれほど大きくならない。これに対して、モータジェネレータMGRはパワーコントロールユニット1やトランスアクスルTAとは離れた位置にあるので、これらとの温度差が大きくなりやすい。
図3は、モータジェネレータMGRの温度を検出するための構成を示した図である。
図3を参照して、モータジェネレータMGRには、温度センサ30が取り付けられている。温度センサ30としては、温度の変化に応じて抵抗値が変化するサーミスタ等を用いることができる。
図3を参照して、モータジェネレータMGRには、温度センサ30が取り付けられている。温度センサ30としては、温度の変化に応じて抵抗値が変化するサーミスタ等を用いることができる。
HVコントロールコンピュータ8は、抵抗32,34と、コンデンサ36と、ADコンバータADCと、中央処理装置CPUとを含む。抵抗34と温度センサ30との抵抗分割で定まる電圧が抵抗34を介してADコンバータADCに入力され、中央処理装置CPUにディジタル値として取り込まれる。
図4は、温度センサ30とHVコントロールコンピュータ8とによって検出される電圧値が温度によってどのように変化するかを示す図である。
図3、図4を参照して、ADコンバータADCに入力される入力電圧は、温度が低いとVCCに近づき、温度が高くなると0Vに近づく。したがって、温度センサ30が零下50度付近である場合には入力電圧はVCCとなる。しかし、図3を見て分かるように、温度センサ30またはその配線部分が断線故障を起こした場合にも、抵抗32で入力端子がプルアップされるのでADコンバータADCへの入力電圧はやはりVCCとなる。
リアモータ温度センサ30の結線異常(断線または電源ショート)は、モータジェネレータMG2の温度T2およびインバータ温度T1が十分高い温度を示しているにも関わらず、モータジェネレータMGRの温度T3のみが異常に低い温度を示している場合に検出される。
しかし、寒冷地では温度センサ30の結線異常がないにもかかわらず、このような検出条件が満たされてしまう場合がある。このような場合には結線異常の誤診断がおこり運転者に不要な手数をかけたり、修理時に不要な部品交換が行なわれたりするので、誤検出を防ぐことが望ましい。
特に、シフトレンジがパーキングレンジ(Pレンジ)である場合には、モータジェネレータMG1,MG2には電流を流して零トルク制御を行なっているので、インバータ温度T1およびモータジェネレータMG2の温度T2は外気温よりは高くなっている。しかし、モータジェネレータMGRには電流が流されないので、温度T3は外気温とほぼ等しくなる。したがって、寒冷地でシフトレンジがPレンジに設定されている場合には誤診断がおこりやすい。
図5は、本実施の形態で実行される温度センサの診断の処理を説明するためのフローチャートである。
図1、図5を参照して、処理が開始されると、まずHVコントロールコンピュータ8は、結線異常の検出条件に各種センサの検出結果が当てはまったか否かを判断する。たとえば、1)モータジェネレータMGRの温度がしきい値Th1(たとえば−35℃)以下、かつ、2)モータジェネレータMG2の温度がしきい値Th2(たとえば0℃)以上、かつ、3)インバータ温度がしきい値Th3(たとえば24℃)以上である、という3条件が同時に成立することが所定時間(たとえば2秒間)継続したかを結線異常の検出条件とすることができる。
ステップS1において、結線異常の検出条件が成立しなければステップS6に処理が進み、故障とは診断されずに処理が終了する。ステップS1において、検出条件が成立した場合にはステップS2に処理が進む。ステップS2ではシフトレンジがPレンジであるか否かが判断される。シフトレンジがPレンジである場合には、先に説明したように、モータジェネレータMG1,MG2は零トルク制御がされた状態で通電されている。したがって、インバータIPM14およびモータジェネレータMG2の温度は外気温よりも高くなっている。一方、モータジェネレータMGRは、通電されていないので、外気温とほぼ同じ温度になる。一方、走行時においては、モータジェネレータMGRにも通電され温度が上昇する。
このため、走行時よりも停車時にシフトレンジがPレンジに設定されている時の方が、ステップS1の条件が成立しやすく、誤検出となりやすい。したがって、ステップS2においてシフトレンジがPレンジではない場合には、ステップS5に処理が進み「結線異常あり」の診断結果が確定される。一方、ステップS2においてシフトレンジがPレンジであった場合にはステップS3,S4において、モータジェネレータMGRの温度が上昇するような処理を実行し、検出温度が上昇するか否かで本当に結線異常が発生していることを確認する。
まずステップS3においてMGRディスチャージ処理をα秒間実行する。MGRディスチャージ処理とは、モータジェネレータMGRのステータコイルにトルクが発生しない電流(d軸電流)を流してモータジェネレータMGRを昇温させる処理である。通電時間のα秒は、温度の上昇が温度センサ30によって検出可能であるのに十分な時間を実験的に求めて設定する。
ステップS4では、温度センサ30で検出しているモータジェネレータMGRのコイル温度が上昇したか否かが判断される。ステップS4において温度が上昇した場合には、温度センサ30に結線異常は発生していないので、ステップS6に処理が進み制御は終了する。一方、ステップS4において温度センサ30の検出している温度に変化がなかった場合には、ステップS5に処理が進む。ステップS5では温度センサ30の故障診断結果を「結線異常あり」に確定させ、その後ステップS6に処理が進み制御は終了する。
図6は、実施の形態の変形例の処理を説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS3に代えてステップS3Aの処理を含む。他の処理は図5と同様であるので説明は繰返さない。
図6のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS3に代えてステップS3Aの処理を含む。他の処理は図5と同様であるので説明は繰返さない。
図6のステップS3AではモータジェネレータMGRを加熱する処理として、外部からMGRのコイルを加熱する処理が実行される。具体的には、たとえばモータジェネレータMGRに加熱用ヒータを設けておき、このヒータを作動させる処理を行なえば良い。
図5、図6に示した処理を行なうことで、温度センサ30の結線異常の判定がより正確になるので、運転者に不要な手数をかけたり、修理時に不要な部品交換が行なわれたりすることを防止することができる。
最後に、再び図1等を参照して、本実施の形態の車両の異常診断装置について総括する。車両の異常診断装置は、後輪駆動モータMGRの温度を検出する第1の温度センサ30と、第1の温度センサ30によって後輪駆動モータMGRの温度を監視し、後輪駆動モータMGRの制御を行なうHVコントロールコンピュータ8とを含む。HVコントロールコンピュータ8は、車両の状態が第1の温度センサ30の結線異常に対応する仮判定条件を満たす場合には、後輪駆動モータMGRの温度を上昇させ第1の温度センサ30の検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて結線異常の診断を確定する。
好ましくは、車両は、前輪駆動モータMG2と、前輪駆動モータMG2と後輪駆動モータMGRとの電力制御を行なうパワーコントロールユニット1とをさらに含む。図2に示すように、前輪駆動モータMG2とパワーコントロールユニット1とは、車両の前方部分(エンジンルーム)に配置される。後輪駆動モータMGRは、前方部分とは離れた車両の後方部分(後輪付近)に配置される。異常診断装置は、前輪駆動モータMG2およびパワーコントロールユニット1のいずれかの温度を検出する第2の温度センサ50をさらに含む。図5のステップS1で判定される仮判定条件は、第1の温度センサ30の検出値と第2の温度センサ50の検出値との差がしきい値より大きいという条件を含む。たとえば、判定条件を後輪駆動モータ温度T(MGR)≦Th1,かつ前輪駆動モータ温度T(MG2)≧Th2という条件とすれば、第1の温度センサ30の検出値と第2の温度センサ50の検出値との差がしきい値(Th2−Th1)以上であることを判定することとなる。同様に、前輪駆動モータ温度に代えてまたは加えて、インバータ温度T(INV)≧Th3を判定条件とすれば、後輪駆動モータ温度T(MGR)とインバータ温度T(INV)の差をしきい値(Th3−Th1)で判定することになる。
より好ましくは、HVコントロールコンピュータ8は、シフトレンジがパーキングレンジに設定された場合には、パワーコントロールユニット1および前輪駆動モータMG2の通電状態を維持しつつ後輪駆動モータMGRは非通電状態に制御する。HVコントロールコンピュータ8は、シフトレンジが走行レンジに設定されている場合には、仮判定条件が成立した時に直ちに第1の温度センサ30の結線異常の診断を確定させ、シフトレンジがパーキングレンジに設定されている場合には、仮判定条件が成立した時に確認処理を行なったうえで第1の温度センサ30の結線異常の診断を確定させる。
より好ましくは、HVコントロールコンピュータ8は、確認処理を実行する際に後輪駆動モータMGRのコイルにトルクが発生しないような電流を流して後輪駆動モータMGRの温度を上昇させる。
より好ましくは、HVコントロールコンピュータ8は、確認処理を実行する際に後輪駆動モータMGRに設けられたヒータ31を作動させて後輪駆動モータMGRの温度を上昇させる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 パワーコントロールユニット、2 筐体、4 高圧バッテリ、6 補機バッテリ、8 HVコントロールコンピュータ、10 DC/DCコンバータ、12 昇圧コンバータ、14 インバータIPM,IPM、16 モータジェネレータ制御装置、20,22,24 インバータ、30,50 温度センサ、31 ヒータ、32,34 抵抗、36 コンデンサ、100 車両、ADC ADコンバータ、CPU 中央処理装置、ENG エンジン、MG1,MG2,MGR モータジェネレータ、PG 動力分割機構、TA トランスアクスル、WF 前輪、WR 後輪。
Claims (6)
- 後輪駆動モータを搭載した車両の異常診断装置であって、
前記後輪駆動モータの温度を検出する第1の温度センサと、
前記第1の温度センサによって前記後輪駆動モータの温度を監視し、前記後輪駆動モータの制御を行なう制御装置とを備え、
前記制御装置は、車両の状態が前記第1の温度センサの結線異常に対応する仮判定条件を満たす場合には、前記後輪駆動モータの温度を上昇させ前記第1の温度センサの検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて前記結線異常の診断を確定する、車両の異常診断装置。 - 前記車両は、
前輪駆動モータと、
前記前輪駆動モータと前記後輪駆動モータとの電力制御を行なうパワーコントロールユニットとをさらに含み、
前記前輪駆動モータと前記パワーコントロールユニットとは、車両の前方部分に配置され、
前記後輪駆動モータは、前記前方部分とは離れた前記車両の後方部分に配置され、
前記異常診断装置は、前記前輪駆動モータおよび前記パワーコントロールユニットのいずれかの温度を検出する第2の温度センサをさらに備え、
前記仮判定条件は、
前記第1の温度センサの検出値と前記第2の温度センサの検出値との差がしきい値より大きいという条件を含む、請求項1に記載の車両の異常診断装置。 - 前記制御装置は、シフトレンジがパーキングレンジに設定された場合には、前記パワーコントロールユニットおよび前記前輪駆動モータの通電状態を維持しつつ前記後輪駆動モータは非通電状態に制御し、
前記制御装置は、前記シフトレンジが走行レンジに設定されている場合には、前記仮判定条件が成立した時に直ちに前記第1の温度センサの結線異常の診断を確定させ、前記シフトレンジが前記パーキングレンジに設定されている場合には、前記仮判定条件が成立した時に前記確認処理を行なったうえで前記第1の温度センサの結線異常の診断を確定させる、請求項2に記載の車両の異常診断装置。 - 前記制御装置は、前記確認処理を実行する際に前記後輪駆動モータのコイルにトルクが発生しないような電流を流して前記後輪駆動モータの温度を上昇させる、請求項2に記載の車両の異常診断装置。
- 前記制御装置は、前記確認処理を実行する際に前記後輪駆動モータに設けられたヒータを作動させて前記後輪駆動モータの温度を上昇させる、請求項2に記載の車両の異常診断装置。
- 後輪駆動モータを搭載した車両の異常診断方法であって、
前記車両は、前記後輪駆動モータの温度を検出する第1の温度センサと、
前記第1の温度センサによって前記後輪駆動モータの温度を監視し、前記後輪駆動モータの制御を行なう制御装置とを備え、
前記異常診断方法は、
車両の状態が前記第1の温度センサの結線異常に対応する仮判定条件を満たすか否かを前記制御装置が判断するステップと、
前記後輪駆動モータの温度を上昇させ前記第1の温度センサの検出値が対応する変化を示すか否かを確認する確認処理の結果に基づいて前記結線異常の診断を前記制御装置が確定するステップとを備える、車両の異常診断方法。
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