JP2012150454A - 現像ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸芯体2と、該軸芯体の外周に弾性層3を有し、該弾性層の外周に表面層4を有する現像ローラにおいて、該表面層が、カーボンブラックと、特定の構造を含むポリエステルポリウレタン樹脂と、を含有し、かつ、測定温度0℃、周波数10Hzで測定した該表面層の貯蔵弾性率E´が5MPa以上20MPa以下であることを特徴とする現像ローラ1。
【選択図】図1
Description
具体的には、現像ローラは、プロセスカートリッジや電子写真装置に装着された場合に、高温高湿環境下で長期間にわたって保管される場合がある。このような場合に、現像ローラの弾性層や表面層の内部に存在する少量の未反応物が、現像ローラの最表面に析出(ブリード)する場合があった。これは、高温高湿下においては、現像ローラの弾性層や表面層を構成するポリマーの分子運動性が上昇し、未反応物が表面に移行しやすくなるためであると考えられる。このような未反応物が表面にブリードした現像ローラを電子写真画像の形成に用いた場合、電子写真画像にムラが生じることがある。
一方で、低温低湿環境下においては、現像ローラの表面硬度の相対的な上昇によって、トナーに与えるストレスが強くなりすぎることがある。その結果、現像ローラの表面にトナーが融着する場合があった。
また、本発明の他の目的は高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
その結果、現像ローラの表面層に用いられるポリウレタン樹脂を構成するソフトセグメント及びハードセグメントの構造の選択と、表面層の貯蔵弾性率(E´)の最適化とによって上記目的を達成できることを見出した。
A:下記化学式(a)及び(b)で示される構造から選ばれる少なくとも一方の構造、
B:下記化学式(c)乃至(g)で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造:
現像ローラの表面層は、カーボンブラックとポリエステルポリウレタン樹脂とを含んでいる。
ここで、当該ポリエステルポリウレタン樹脂は、下記化学式(a)及び(b)で示される構造のうちの少なくとも一方と、下記化学式(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)で示されるユニットから選ばれる少なくとも一つとを有している。
ポリウレタン樹脂は、一般にソフトセグメントを形成する化学結合種によって、エステルウレタン樹脂、エーテルウレタン樹脂、カーボネートウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂およびオレフィンウレタン樹脂等に分類される。
また、ポリウレタン樹脂は、架橋間距離の形態の様な微細な凝集構造(モルフォロジー)を緻密に制御することで、様々な特性を発現することが可能である。
そして、本発明においては、上記化学式(a)及び(b)は、ポリエステルウレタン樹脂中のソフトセグメントAを構成するエステル基を含有する構造である。
また、上記化学式(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)は、ポリウレタン樹脂中のハードセグメントBを構成するウレタン基を含有する構造である。
ソフトセグメント及びハードセグメントが有する化学構造は、ポリウレタン樹脂の機械的物性やモルフォロジーの形成に大きな影響を及ぼす。
まず、結晶性の影響について説明する。具体的には、ソフトセグメント及びハードセグメントの結晶性が高いと、ウレタン樹脂の硬度の上昇に寄与する。その一方で、モルフォロジーが大きくなりやすく、ポリウレタン樹脂中における架橋間距離の分布がブロードになりやすくなることが知られている。
また、ソフトセグメントとハードセグメントの極性差もモルフォロジーの形成に大きな影響を及ぼす。これは、極性の高いウレタン基を有するハードセグメントに対して、相対的にソフトセグメントは極性が低いため、ポリウレタン樹脂はミクロ相分離構造を形成し、両者の極性差が大きいとモルフォロジーが大きくなりやすくなるためである。この時、ハードセグメントが架橋点に相当し、ソフトセグメントが架橋点間の主鎖ポリマーに相当する。
弾性層や表面層内部の未反応物は、モルフォロジーが大きい部分、すなわち、架橋点間距離が大きい部分から選択的に表面に移行すると考えられる。その為、架橋点間距離の分布に係るモルフォロジーの緻密化は、ブリードを効果的に抑制する上で重要である。
一方で、単純な架橋点間距離の低減は、ポリエステルポリウレタン樹脂の硬度上昇をもたらす。かかる樹脂を含む表面層を有する現像ローラは、表面硬度が高いものとなり、表面にトナーの融着を招来する原因となりうる。従って、本発明の目的を達成するためには、ポリエステルポリウレタン樹脂において、分子レベルでの化学ユニットの選択によるモルフォロジーと機械的物性の両方の制御が必要となる。
さらには、主鎖の炭素数の選択も重要な点である。主鎖の炭素数が小さすぎると、分子的に剛直となりやすいため、貯蔵弾性率(E´)の如き機械的物性の制御が困難となる。一方で、主鎖の炭素数が大きすぎると、結晶性が上昇しやすくなるとともに、架橋間距離が大きくなりやすくなる。その結果、架橋点間距離が大きい部分を通じて、未反応分が移行しやすくなる。すなわち、低分子量成分がブリードしやすくなる。
また、メチル等の側鎖の有無等といった因子も、ソフトセグメントの結晶性や表面層のブリード特性に影響を与える。側鎖にメチル基等のアルキル基が存在することにより、構造規則性が低下し、結晶性を抑制することができるため、モルフォロジーの緻密化が容易となる。さらには、架橋間距離部にあたるポリマー中にメチル基等が存在することにより、立体障害を形成し、ブリードを効果的に抑制することができる。上記観点から、本発明の効果を高次元なレベルで発現するためには、上記化学式(b)で示される構造をソフトセグメントAとして含むポリエステルポリウレタン樹脂が特に好ましい。
また、上記化学式(b)で示される構造は、エステル基の存在により、樹脂材料の極性に強い影響を及ぼす。特に、これらのユニットを有する樹脂材料は、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリカーボネートといったソフトセグメント種と比較して高い親水性(極性)を示す。従って、ハードセグメントとの極性差を低減することができるため、モルフォロジーの緻密化を容易とすることができる。
一般的に、ポリウレタン樹脂中のハードセグメントは、芳香族系と脂肪族系との二つに分類される。
芳香族系のハードセグメントは、骨格中にベンゼン環を有するために、分子的に剛直であり、機械的特性に優れる。また、骨格中にベンゼン環を有することで、結晶性が強く、さらに、高極性である。
脂肪族系は、芳香族系と比較して機械的特性は劣るが、結晶性が低く、相対的に低極性である。
そして、機械的特性の過度な上昇、結晶性の制御及びソフトセグメントとの極性差の低減によるモルフォロジーの緻密化という観点から、本発明に係るポリエステルポリウレタン樹脂を構成するハードセグメントとしては、脂肪族系に属する構造を含むように設計した。上記化学式(c)〜(g)で示される構造の中でも、上記化学式(c)、(d)及び(e)で示される構造からなる群から選択される少なくとも一つをハードセグメントとして含むことで、より高いレベルで本発明に係る効果を発現できる。
以上述べた通り、本発明に係るポリエステルポリウレタン樹脂は、特定の構造を有するソフトセグメントAと、特定の構造を有するハードセグメントBとの組み合わせによって、下記(1)〜(3)の効果をもたらし、ブリードとトナー融着の抑制に寄与したと推察される。
(1)ソフトセグメントAとハードセグメントBとの分子内極性差の低減によるモルフォロジーの緻密化及び未反応物量の低減
(2)ソフトセグメントAとハードセグメントB両者の結晶性の制御によるモルフォロジーの緻密化
(3)ソフトセグメントAとハードセグメントBとの分子レベルでの剛直性の近似化、つまり超ミクロな硬度ムラ低減によるトナーに与えるストレスの緩和
ここで、貯蔵弾性率(E´)とは、ゴムや樹脂等の物質内部に蓄えられた応力を保持する能力のことであり、物質の硬度と密接に相関する指標である。この値は、一般的に動的粘弾性測定装置(Dynamic Mechanical Analysis)を用いて測定される。表面層における貯蔵弾性率(E´)の範囲は、一般的なウレタン材料と比較して、非常に低い。表面層の貯蔵弾性率(E´)が上記範囲内にあることで、低温環境(0℃)で繰り返し画像出力を行っても、トナー劣化を抑制し、非常に優れた耐トナー融着性の発現に寄与する。
この表面層の貯蔵弾性率(E´)の値は、ポリエステルポリウレタン樹脂の架橋点間距離、並びにソフトセグメント及びハードセグメントの分子剛直性、カーボンブラック及び充填剤等の種類や配合量によって制御されるが、主には架橋点間距離により支配される。
さらには、一般的に架橋点間距離が大きく柔軟なポリエステルポリウレタン樹脂は、未反応成分が増加する傾向にある。これは、ポリエステルポリウレタン樹脂の原材料の分子量が大きくなるとともに、水酸基やイソシアネート基等の架橋に寄与する官能基量が減少するためである。また、ポリウレタン化架橋反応時の反応基であるイソシアネート基と被反応基である水酸基を含んだポリエステルポリウレタン原材料間の移動度及び接触頻度が減少し、確率論的に未反応物が残存しやすくなるためである。
(1)ポリエステルポリウレタン樹脂のモルフォロジーの緻密化、及び
(2)表面層の低温(低湿)環境下における貯蔵弾性率(E´)の制御
さらには、ソフトセグメントやハードセグメントの極性差を極力制御することにより、架橋反応時のイソシアネート基と被反応基である水酸基を含んだポリエステルポリウレタン原材料間の接触頻度が上昇し、未反応物が残存しにくい特徴を示す。従って、下記2つの理由により、本発明に係る現像ローラは、ブリードとトナー融着の抑制を非常に高次元なレベルで達成することが可能である。
(1)非常に柔軟だが、架橋間距離の分布が均一であり、架橋間距離が大きい部分が少ない。
(2)表面層における未反応物量が少ない。
球状微粒子の材質としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。これらの球状微粒子は、例えば、懸濁重合、又は分散重合法により製造することができる。
上記表面層には、上記成分の他、上記成分の機能を阻害しない範囲で、必要に応じて、充填剤、増量剤、加硫剤、加硫助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤の如き各種添加剤を含有させることができる。
上記したように、表面層においては、ソフトセグメントとハードセグメントとの間の極性差及び分子剛直性の差の制御によって、ポリエステルポリウレタン樹脂のモルフォロジー及び機械的物性を適正に制御する必要がある。ポリエステルポリウレタン樹脂のモルフォロジーが、表面層の耐ブリード特性と耐トナー融着性と相関する貯蔵弾性率に強く影響し、さらにこれらの特性は、トレードオフ関係にあるためである。そこで、このような表面層を形成するためには、原料としてのポリオールとイソシアネート化合物の選択が重要である。
上記(A)に係るポリエステルポリオールは、式(a)及び(b)で示されるユニットの少なくとも一方を含む。かかるポリエステルポリオールとしては、直接エステル化反応又は開環重合反応で得られたポリエステルポリオールを用いることができる。もしくはポリエステルポリオールとイソシアネート化合物を鎖延長させたポリウレタンポリオールプレポリマーを好適に用いることができる。この場合のポリウレタンポリオールプレポリマーは、式(c)から(g)で示されるユニットから選ばれる少なくとも一つを骨格として含むことを特徴とする。
上記(B)に係るイソシアネート化合物は、上記ポリエステルポリオールと架橋反応した後に、化学式(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)で示される構造からなる群から選択される少なくとも一つの構造を骨格として含むことを特徴とする。本発明におけるイソシアネ−ト化合物は、以下のものを例として挙げることができる。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TM−HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、これらの共重合物や、そのブロック体及び混合物。
塗料中に良好に分散させるために、カーボンブラックとしては、酸化処理により表面官能基を付与した酸化処理カーボンブラックを用いることが好ましい。酸化処理カーボンブラックのpH値は5.0以下であることが好ましい。酸化処理カーボンブラックは表面に極性基を有するために、表面層を形成する樹脂成分との親和性が向上する。このため、充分な導電性を付与できる範囲でカーボンブラックを使用しても均一に分散することができ、経時に伴う凝集を抑制することができ、ゴースト等画像不具合やリークの発生を抑制することができる。
その上端部外周には環状の液受け部7が設けられ、液受け部7はその底面に接続される管9により、攪拌タンク8に接続されている。一方、浸漬槽5の底部は管13を介して表面層形成用塗料10を循環させるポンプ11に接続されている。また、ポンプ11と攪拌タンク8とは、接続管12によって接続されている。攪拌タンク8には内部に収納する表面層形成用塗料10を攪拌するための攪拌翼14が設けられる。この塗布装置には、浸漬槽5の上部において昇降板16を浸漬槽5の軸方向に昇降させる昇降装置15が設けられている。
そして、昇降板16に懸架されるローラ6を浸漬槽5に進入、後退可能となっている。このような塗布装置を用いて弾性層3上に表面層4を形成するには、ポンプ11を駆動し、攪拌タンク8に収納する表面層形成用塗料10を管12、13を通って浸漬槽5に供給する。昇降装置15を駆動させ昇降板16を降下させ、ローラ6を表面層形成用塗料10が充填された浸漬槽5に進入させる。ローラ6の進入により浸漬槽の上端5aから溢れ出た表面層形成用塗料10は液受け部7に受けられ、管9を通って攪拌タンク8に戻される。その後、昇降装置を駆動して昇降板を上昇させ、ローラ6を所定の速度で浸漬槽5から後退させ、弾性層3上に塗布膜を形成する。
この間、攪拌タンク8内で攪拌翼14を回転させ、塗布液を攪拌して含有物の沈降を抑制し、塗布液の均一性を維持する。塗膜が形成されたローラは、昇降板16から取り外され、塗膜を乾燥硬化して、表面層4が成形される。
本発明の現像ローラに用いる軸芯体は、上層の少なくとも一層以上の弾性層3を支持し感光体へトナーを搬送可能な強度と、帯電したトナーを感光体へ移動可能な電極となり得る導電性を有するものであればよい。その材質としては、アルミニウム、ステンレス、導電性を有する合成樹脂、鉄、銅合金等の金属又は合金が挙げられる。更に、これらを酸化処理やクロム、ニッケル等で鍍金処理を施しても良い。鍍金の種類としては電気鍍金、無電解鍍金のいずれも使用することができるが、寸法安定性の観点から無電解鍍金が好ましい。ここで使用される無電解鍍金の種類としては、ニッケル鍍金(カニゼン鍍金)、銅鍍金、金鍍金、その他各種合金鍍金を挙げることができる。鍍金厚さは、0.05μm以上が良く、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、鍍金厚さは0.1〜30μmであることが好ましい。軸芯体2の形状としては、棒状体又はパイプ状体を挙げることができる。必要に応じて、その表面にプライマー処理層を形成してもよい。この軸芯体の外径は、φ4mm〜φ10mmの範囲が良い。
また、弾性層は、原料主成分としてゴム又は樹脂を用いた成型体である。また、弾性層は発泡体、非発泡体のいずれであってもよい。なお、原料主成分のゴムとして、従来、現像ローラに用いられている種々のゴムを用いることができる。具体的には、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム。また、原料主成分の樹脂は主に熱可塑性樹脂であり、以下のものが挙げられる。低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の如きポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン系樹脂;ABS樹脂;ポリイミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートの如きポリエステル樹脂;フッ素樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、MXD6の如きポリアミド樹脂。そして、これらゴム及び樹脂は、単独であるいは2種以上を混合して用いられる。本発明における弾性層の原材料は特に限定されるものではないが、これらの材料の中でも、耐候性、化学的不活性及び優れた圧縮永久歪み特性を示すことから、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
まず、プレポリマー型イソシアネート化合物合成用の原料として、イソシアネート、およびポリエステルポリオールを用意した。
[プレポリマー型イソシアネート化合物1(Pre−BI1)の合成]
窒素雰囲気下において、下記表4に記載の材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分79.4質量部になるように加えた。
得られたプレポリマー型イソシアネートPre−BI1の数平均分子量Mnを以下の方法で測定した。すなわち、GPCカラム(商品名:TSKgel SuperHM−M、東ソー株式会社製)2本を直列につないだ高速液体クロマトグラフ分析装置(商品名:HLC−8120GPC、東ソー株式会社製)を用いた。測定サンプルとしては、THFにPre−BI1を0.1質量%溶解させたTHF溶液を用いた。
また、測定条件としては、温度を40℃、流速を0.6ml/minとし、また、示差屈折検出器(商品名:RI−8010;東ソー株式会社製)を用いた測定条件下において、標準試料として数種の単分散標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて検量線の作成を行い、これを基に得られた測定サンプルの保持時間から、数平均分子量(Mn)を求めた。
得られたプレポリマー型イソシアネート1(Pre−BI1)の物性及び構造を、合成に用いた原料および質量部とともに表1に示す。
(Pre−BI2)〜(Pre−BI24)は、表1に記載の出発原料を用いて、(Pre−BI1)と同様の方法で作製した。尚、トリメチロールプロパン(TMP)は、90℃で加熱反応する前に、ポリオールとイソシアネート化合物の混合物に添加した。(Pre−BI2)〜(Pre−BI24)の物性及び構造等を下記表5に示す。
表面層形成用塗料液の材料として、下記表9に記載の材料を混合してポリエステルポリウレタン樹脂成分とした。
続いて、総固形分比33質量%になるようにMEKをさらに加え、モーターで更に一時間混合攪拌をした。続いて、上記混合溶液を横型分散NVM−03(商品名、アイメックス社製)で周速7m/sec、流量1cc/min、分散液温度15℃の条件下で、3時間均一分散した。なお、この分散の際に、直径が1.5mmのガラスビーズ(商品名:DMB503B、ホッターズバロティニーズ社製)を用いた。
次に、粗さ調整用樹脂粒子として、ポリウレタン微粒子(商品名:ダイミックビーズUCN−5070N、大日精化工業株式会社社製)を樹脂成分の固形分100質量部に対して35質量部添加し、さらに30分間分散した。
次に、この溶液を表面層形成後の膜厚が10μmになるように、MEKを用いて固形分23質量%に希釈し、この溶液を300メッシュの網でろ過したものを表面層形成用塗料(1)とした。
表面層形成用塗料液(2)〜(43)は、表12に示す出発原料を用いた以外は、表面層形成用塗料液(1)と同様の方法で調製した。尚、有機金属触媒を用いる場合には、モーター攪拌の前に添加した。
本発明における表面層形成用塗料液(44)は、表10に示す出発原料を用い、そして最終塗料固形分23質量%を5質量%に変更し表面層の膜厚が1μmになるようにした以外は、表面層形成用塗料液(1)と同様の方法で調製した。
<弾性層ローラ1の作製>
以下のようにして、弾性層ローラ(1)を作製した。
軸芯体としてステンレス(SUS304)鋼製の、直径8mmの芯金を用意した。この軸芯体の周面に、プライマー(商品名:DY35−051、東レダウコーニング社製)を塗布し、温度150℃で30分間焼き付けた。焼き付け後のプライマーの厚さは1μmであった。
上記弾性層ローラ1の弾性層の表面にエキシマUV処理を施した。具体的には、弾性層ローラ(1)の軸芯体を回転軸として30rpmで回転させながら、波長172nmの紫外線を細管エキシマランプ(ハリソン東芝ライティング製)により、積算光量が150mJ/cm2となるように照射した。なお、照射時の弾性層表面とエキシマランプの距離は2mmとした。
その後、表面処理した弾性層ローラ(1)の弾性層の周面に、図2に示す浸漬塗布装置を用いて、先に調製した表面層形成用塗料液(1)を塗工した。
〔測定条件〕
・測定モード:引っ張り試験モード
・測定周波数:10Hz
・測定温度:0℃
・トランスデユーサー:25N
・動的歪み:0.1%
・静的歪み:0.2%
・測定サンプル形状:幅0.5mm×長さ2mm×厚さ50μm。
上記現像ローラ1を用いて電子写真画像を形成した。そして、当該電子写真画像を評価を通して、現像ローラ1を評価した。
まず、本画像評価に供したレーザプリンタ(商品名:HPColor LaserJet CP3505dn、ヒューレッドパッカード社製)は、記録メディアの出力スピードを48ppmに改造した。また、現像ローラ1のトナー量規制部材(現像ブレード)への当接圧力及び進入量は、現像ローラ上のトナー担持量が0.40mg/cm2となるように調節した。
現像ローラ1を電子写真プロセスカートリッジ(商品名:Q6470A、ヒューレッドパッカード社製、色:黒)に装着した。このとき、現像ローラ1は電子写真感光体に当接した状態となっている。この電子写真プロセスカートリッジを温度40℃、湿度95%RHの環境に30日間放置した。その後、さらに温度23℃、湿度50%RHの環境に72時間放置した。
その後、温度23℃、湿度50%RHの環境において、当該電子写真プロセスカートリッジをレーザプリンタに装填し、ハーフトーン画像を連続して10枚出力した。
ここで、ハーフトーン画像とは、電子写真感光体の回転方向と垂直方向とに幅1ドット、間隔2ドットの横線を描くような画像である。
その後、レーザプリンタから電子写真プロセスカートリッジを取り出し、当該電子写真プロセスカートリッジから現像ローラ1を取り外した。
取り出した現像ローラの表面をエアブローしてトナーを除去した。そして、現像ローラの表面をデジタルマイクロスコープ(商品名:VH−2450、キーエンス株式会社)を用いて観察し、現像ローラの表面のブリード物の有無を観察した。
また、10枚のハーフトーン画像を目視で観察して、現像ローラの表面へのブリード物の付着に起因する画像不良の有無を評価した。
評価基準を下記表13に示す。
新品の現像ローラ1を新品のプロセスカートリッジ(商品名:Q6470A、ヒューレッドパッカード社製、色:黒)に装着し、このプロセスカートリッジを温度0℃、湿度10%RHの環境に48時間放置した。その後、同じ環境下において、当該プロセスカートリッジを上記のレーザプリンタに装填し、電子写真画像の連続出力を行った。具体的には、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字率が1%となるように印字される画像(以降、「E文字画像」と称する)を連続して1000枚出力し、次いで、ベタ白画像を1枚出力するというサイクルを繰り返した。
このような画像出力試験においては、現像ローラ表面にトナーが融着すると、現像ローラが高抵抗化することにより、トナーの摩擦電荷が不均一となり、ベタ白画像上にカブリが生じやすくなる。
そこで、低温低湿環境における現像ローラ表面へのトナー融着の程度の評価を以下のようにして行った。すなわち、ベタ白画像の形成直後の現像ローラをプロセスカートリッジから取り出し、エアブローで表面に付着したトナーを除去した後、表面を目視で観察して、現像ローラ表面へのトナーの融着の有無、および程度を観察した。また、その時に形成されたベタ白画像について、現像ローラへのトナーの融着に起因するカブリの有無を評価した。カブリの評価は、反射濃度計(マクベス社製)を用いてベタ白画像の反射率を測定し、紙自体の反射率を基準として反射率の低下率(%)を算出した。
そして、ベタ白画像の反射率の低下率が3%を超えた時点でE文字画像の出力を停止した。一方、E文字画像の出力枚数が8000枚に達した後に出力したベタ白画像の反射率の低下率が3%に達していない場合には、該現像ローラを新品のプロセスカートリッジに組み込み、上記と同様にして1000枚のE文字画像の出力と、それに引き続くベタ白画像の出力を繰り返した。そして、ベタ白画像の反射率低下率が3%を超えたときのE文字画像の出力枚数を記録した。具体的には、E文字画像を7000枚出力した後のベタ白画像の反射率低下率は3%に達しておらず、E文字画像を8000枚出力した後のベタ白画像の反射率低下率が3.6%となっていた場合、下記表14においては「8000枚(3.6%)」と記載する。
一方、E文字画像の出力枚数が12000枚に達した後に出力したベタ白画像の反射率低下率が1.8%であった場合には、「12000枚、(1.8%)」と記載する。評価結果を表14に示す。
実施例1において、表面層形成用塗料液(1)にかえて表面層形成用塗料液(2)〜(33)を用いる他は、実施例1と同様にして現像ローラ(2)〜(33)を作製した。実施例1の現像ローラ(1)と同様に、現像ローラ(2)〜(33)について、評価した。評価結果を表14に示す。
実施例1において、表面層形成用塗料液(1)にかえて表面層形成用塗料液(34)〜(44)を用いる他は、実施例1と同様にして現像ローラ(34)〜(44)を作製した。現像ローラ(34)〜(44)について、実施例1の現像ローラ(1)と同様に評価した。評価結果を表15に示す。
Claims (6)
- 前記表面層中に、Bi系又はTi系の有機金属触媒が、該ポリエステルポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.05〜2.0質量部の範囲で含まれる請求項1に記載の現像ローラ。
- 前記Aが、前記化学式(b)で示される構造である請求項1又は2に記載の現像ローラ。
- 前記Bが、前記化学式(c)、(d)及び(e)で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
- 電子写真画像形成装置本体に脱着可能に装着されるプロセスカートリッジであって、現像ローラ、トナー規制部材及びトナー容器を有し、該現像ローラが請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 電子写真感光体及び電子写真感光体に当接して配置される現像ローラを有する電子写真画像形成装置であって、該現像ローラが請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真装置。
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