JP3829454B2 - 現像ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置に組み込まれる現像ローラに関し、特に非磁性現像方式を採用した現像装置に用いる現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を採用する装置において、現像ローラは感光体などの静電潜像担持体へトナーを搬送する機能を有するものである。図2は、非磁性1成分トナーを用いた非磁性現像方式で用いられる現像ローラ10とその周辺構造を模式的に示した説明図である。現像ローラ10は、SUS製やアルミニウム合金製などの導電性シャフト11の周りに導電性弾性層12を同心円状に積層し、この導電性弾性層12の上に表面層13を被覆して構成される。トナー容器14に貯蔵されたトナー15, …は、供給ローラ16によって確実に現像ローラ表面に担持され、トナー容器14に取付けられた規制ブレードなどの規制部材17によって押圧されて接触帯電・摩擦帯電してトナー薄層18となった後、このトナー薄層18が感光体19の表面の静電潜像に付着することによって、トナー像20が形成される。現像ローラ10や供給ローラ16、規制ブレード17には、これら表面電位を調整すべく、直流電圧や交流電圧が印加されている場合が多い。なお、図示した現像ローラはその表面を感光体と接触しているが、その表面を感光体と非接触にしているものもある。
【0003】
このような現像ローラには、(1) トナーを適度に接触帯電・摩擦帯電させ、(2) 規制部材やトナーなどにその表面を押圧されるときのために、適度な弾力性を備え、(3) トナーがその表面にこびりつく現象、いわゆるトナーフィルミングが生じないように、表面層が適度なトナー離型性を備え、(4) 高温度・高湿度環境下でも、トナー帯電量やローラ抵抗の低下が生じずに安定した特性を維持できることなどが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、トナーのマイナス帯電性を向上させるべく、現像ローラの表面層の主成分には、−NHCO−結合を含むポリアミド系樹脂やポリウレタン系樹脂がよく用いられ(特公昭50−13661号公報参照)、これら樹脂を用いた表面層の改良が種々行われてきた。非磁性現像方式には、感光体と接触する方式と非接触の方式があるが、上記したポリアミド系樹脂やポリウレタン系樹脂を表面層に用いた場合、これら樹脂が高い吸水率を有するため、接触方式、非接触方式に関わらず、高温度・高湿度環境下(35℃85%RH(相対湿度))でのトナーの帯電量が、通常環境下(23℃60%RH)に比べて著しく低下し、また、通常環境下でも長時間使用するとトナーフィルミングが発生し易く、この発生時にトナーの帯電量および搬送量が低下して、画質悪化の一因となるという問題があった。
【0005】
また、トナーフィルミングの生じにくいフッ素系樹脂や炭化水素系樹脂を表面層に用いた場合には、トナーを満足にマイナス帯電させるのが難しいという問題がある。
【0006】
これら問題を解決すべく、表面層樹脂としてポリカーボネートウレタンを用いることがある。しかし、この場合でも現像ローラの環境依存性が大きく、トナーの種類によっては、特に約80℃以下の低融点を有するトナーの場合には、トナーフィルミングが発生し易く、また、低融点のトナーが規制部材に押圧される際に溶融して、規制部材に固着するという問題も生じた。
【0007】
また、特にトナーフィルミングを回避するものとして、特開平9−244392号公報記載の表面層が開示されている。この表面層は、トナーフィルミングの発生し易い低硬度のウレタン系樹脂を用いる代わりに、ビスフェノールA誘導体を含むシリコーン変性ポリカーボネートを主成分として用いるものである。しかし、この表面層では、シリコーン含有量が多いため表面層がトナーや規制部材により傷つき易く、ローラの耐久性が必ずしも充分ではない。また、ビスフェノールA誘導体を用いるがために、表面層が低変形時において高い弾性を有するため、下地である弾性層の変形に表面層が追従変形できずに、画像ムラが生じやすいという問題もある。
【0008】
本発明は、これら問題点に鑑み、従来の現像ローラが有する問題を解決し、高温度・高湿度環境下のトナーの帯電量低下を防ぎ、低融点トナーを用いたときのトナーフィルミングの発生やトナーのブレード固着を防ぎ、かつ、適度な弾性を有して画像ムラを防ぐことの可能な表面層を備えた現像ローラを提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、良好なトナーのマイナス帯電性と適度な弾性とを備えたポリウレタンの分子骨格に着眼して鋭意研究を進めた結果、特にトナーフィルミングの防止には、表面層の主要成分としてポリウレタン系樹脂を採用し、このポリウレタン系樹脂の凝集エネルギーを低下させることが有効であることに着目して、本発明の現像ローラに至った。
すなわち、本発明の第1の現像ローラは、導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に単または複数の樹脂層を同心円状に積層して構成される現像ローラにおいて、前記樹脂層のうち少なくとも表面層の主成分が、ポリオール、イソシアネートさらに必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得たポリウレタン系樹脂であり、前記ポリオールと前記鎖伸長剤との一方または双方にポリシロキサン骨格を含み、前記ポリオールがポリカーボネートポリオールを含み、前記表面層にナイロン系粒子またはウレタン系粒子が含有され、前記表面層の100%モジュラスが8×10 6 Pa〜20×10 6 Paであり、ローラの表面粗さが3μm以上15μm以下であるものである。なお、本発明に係る鎖伸長剤は、ジオールやジアミンのような2官能性物質に限らず、ポリオールやポリアミンのような多官能性物質をも含み、多岐剤にもなり得るものである。
【0010】
前記ポリシロキサン骨格は、ポリウレタン系樹脂中に5重量%〜70重量%含有されるように調節されるのが好ましい。
【0011】
前記ポリウレタン系樹脂は、ウレア結合を含むことがより好ましい。
【0012】
また、本発明の第2の現像ローラは、導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に単または複数の樹脂層を同心円状に積層して構成される現像ローラにおいて、前記樹脂層のうち少なくとも表面層の主成分が、ポリオール、イソシアネートさらに必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得たポリウレタン系樹脂であり、前記ポリウレタン系樹脂がウレア結合を含み、前記ポリオールがポリカーボネートポリオールを含み、前記表面層にナイロン系粒子またはウレタン系粒子が含有され、前記表面層の100%モジュラスが8×10 6 Pa〜20×10 6 Paであり、ローラの表面粗さが3μm以上15μm以下であるものである。
【0013】
上記した第1および第2の現像ローラにおいて、ポリオールとしてポリカーボネートポリオールを含むことが、より好ましい。
【0014】
上記現像ローラは、表面層の100%モジュラスが5×106 Pa〜30×106 Paの範囲内にあることが、好ましい。
【0015】
また、前記表面層の表面に担持されるトナーには、その融点が80℃以下のものを用いることができる。
【0016】
また、上記現像ローラの表面粗さを3μm以上15μm以下の範囲内に調節することが、トナーのブレード固着を防ぐという観点から好ましい。この表面粗さを得るには、表面層にナイロン系粒子またはウレタン系粒子を含有させることが望ましい。なお、本発明での表面粗さとは、JIS B 0601−1994に準拠した測定値(Rz)をいう。
【0017】
そして、前記弾性層として特に、
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、
(C)ヒドロシリル化触媒と、
(D)導電性付与剤と、
を主成分とする硬化性組成物の反応物を用いると、現像ローラに好ましい弾力性を与えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る現像ローラの代表的な種々の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る現像ローラ1 の断面説明図である。この現像ローラ1 は、直径1mm〜25mm程度のSUS(ステンレス鋼)、アルミニウム合金または導電性樹脂などからなる導電性シャフト2 の周りに、導電性弾性層3 が設けられ、この導電性弾性層3 の上に表面層4 が形成されたものである。なお、導電性弾性層と表面層との間に、現像ローラの電気抵抗を調整するための抵抗調整層、導電性弾性層と表面層との間の接着性を高めるプライマー層などを単層または複数層含む場合もある。
【0019】
表面層被覆後のローラ抵抗は104 Ω〜1010Ω、好ましくは105 Ω〜108 Ωの範囲内となるように調節する。これは、ローラ抵抗が104 Ω未満であると、現像ローラ表面からリーク電流などが生じ、ローラ抵抗が1010Ωを超えると、トナーフィルミングなどが生じ易くなり、画質が低下するからである。このローラ抵抗値は、現像ローラを金属プレートに水平に当てて、前記導電性シャフトの両端部の各々に500gの荷重を金属プレート方向に加え、シャフトと金属プレート間に直流電圧100ボルトを印加して測定される値である。
【0020】
本発明に係る表面層の主成分には、ポリオールとイソシアネートとを必要に応じて鎖伸長剤を加えて反応させて得たポリウレタン系樹脂であって、(1) ポリオールと鎖伸長剤との一方または双方がポリシロキサン骨格を含んで得られるポリウレタン系樹脂、(2) 前記鎖伸長剤にポリアミンなどを用いてウレア結合を導入されたポリウレタン系樹脂、または(3) ポリシロキサン骨格を含むポリオールと、ポリアミンなどを含む鎖伸長剤とを反応させて得るポリウレタン系樹脂を用いる。
【0021】
前記ポリオールとしては、ポリエチレンジアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリプロピレングリコールなどの公知のポリウレタン用ポリオールが挙げられる。これらの中でも、高温度・高湿度環境下でのトナー帯電量の低下を防ぐという観点からは、特にポリカーボネートポリオールの使用が好ましい。このポリカーボネートポリオールとして、たとえばポリヘキサメチレンカーボネートジオールのような脂肪族または脂環式ポリカーボネートポリオールがより好ましい。
【0022】
また、前記イソシアネートとしては、公知の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。さらに、これらイソシアネートとポリオールやポリアミンとを、分子末端にイソシアネート基を有するように反応させて得られるウレタンプレポリマーを用いることもできる。
【0023】
また、前記鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ヒドラジンなどが挙げられる。
【0024】
表面層に前記ポリシロキサン骨格が含まれる場合は、ポリシロキサン骨格によって表面層の凝集エネルギーが下がることにより、表面層は、良好なトナー離型性をもち、トナーを良好にマイナス帯電し、かつ耐摩耗性を高めるというポリウレタン系樹脂の特性をも併せもつので、トナーフィルミングを防止し、トナーを良好に帯電し、かつローラの耐久性を高めることが可能となる。これは、融点が80℃以下の低融点トナーを用いた場合にも効果的である。ポリウレタン系樹脂中のポリシロキサン骨格の含有率は、5重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜45重量%、より好ましくは20重量%〜40重量%であることが、トナー離型性やトナーフィルミング防止の観点から、好ましい。なお、本発明に係るポリシロキサン骨格は、シリコーン変性ポリカーボネートポリオールのように1分子中にポリシロキサン骨格を含む他の骨格をも含むものであって良い。
【0025】
ポリシロキサン骨格を含んだポリオールとしては、入手のし易さという点から代表的な以下の化学式(I) 〜(IV)で表わされる化合物が挙げられる。
【0026】
【化1】
Figure 0003829454
(a は2以上の整数である。R1 ,R2 は、アルキル基,フルオロアルキル基,シクロアルキル基,アリール基または置換アリール基であり、R3 ,R4 は、アルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0027】
【化2】
Figure 0003829454
(b は1以上、c は2以上の整数である。R5 〜R11は、アルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または置換アリール基であり、R12は、アルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0028】
【化3】
Figure 0003829454
(d,e,f,g は1以上の整数である。R13〜R17は、アルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または置換アリール基である。)
【0029】
【化4】
Figure 0003829454
(h,i,n,m は1以上の整数である。R18〜R25は、アルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または置換アリール基であり、R26,R27は、アルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0030】
上記した化学式(I) 〜(IV)で表わされるポリシロキサンポリオールは、主鎖として、あるいは側鎖として反応させることができる。このようなポリシロキサンポリオールと上記したイソシアネートとの反応中間体であって、前記ポリシロキサンポリオールの反応性基および前記イソシアネートのイソシアネート基のうち何れかが残存するものも、本発明に係るポリウレタン系樹脂の生成に使用できる。
【0031】
また、表面層の主成分たるポリウレタン系樹脂にウレア結合を導入した場合は、高温度・高湿度環境下でもトナー帯電量が低下しないという性質を表面層に与えることができるので好ましい。このポリウレタン系樹脂として、上記したイソシアネートとポリオールやポリアミンとの反応によりウレア結合を導入された、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用いることができる。また、ポリアミンを鎖伸長剤として用いてポリウレタン系樹脂にウレア結合を導入したものなどを用いることもできる。
【0032】
融点が80℃以下である低融点トナーのブレード固着を回避するには、表面層中にナイロン系粒子やウレタン系粒子を添加して、表面層の表面に凹凸部を形成し、これら粒子の添加量を調節して、その表面粗さ(Rz)を3μm〜15μm、特に5μm〜10μmの範囲内に調整するのが好ましい。これにより、表面層に担持されるトナーが規制部材に押圧される際、トナーへ加わる圧力が低減されるため、トナーが溶融して規制部材へ固着する現象が極めて減少するのである。このような現像ローラに用いる非磁性トナーとしては、その融点が80℃以下の低融点トナーであって平均粒径3μm〜10μmのもの、たとえば着色顔料をスチレンアクリル系やポリエステル系の熱可塑性樹脂などで覆って形成した非磁性トナーを用いることができる。
【0033】
上記した表面層に適度な弾性を与えるべく、上記したポリオール、イソシアネートおよび鎖伸長剤の配合量を調節して、ポリウレタン系樹脂の100%モジュラスを5×106 Pa〜30×106 Pa、特には8×106 Pa〜20×106 Paの範囲内とすることが好ましい。100%モジュラスが5×106 Pa未満では、表面層が高い粘着性を示すのでトナーフィルミングが生じやすくなり、トナーが良好に摩擦帯電しないためトナー帯電量が低下する。一方、100%モジュラスが30×106 Paを超えると、表面層の弾性が高くなり過ぎて、下地となる導電性弾性層の変形に表面層が追従変形できないために画像ムラが生じやすく、また、表面層表面が規制部材などに押圧される際に、その表面に担持されたトナーに加わる圧力が高くなり過ぎて、トナー割れや規制ブレードへのトナーの固着が生じ易くなる。
【0034】
本発明に係る表面層は、ポリシロキサン骨格やポリカーボネート骨格を含むため、誘電率が比較的小さく大きな静電容量をもつので、ローラ表面と感光体とが接触しない非接触方式の現像ローラの場合に、特に好ましいものとなる。
【0035】
表面層の形成方法としては、たとえば表面層を構成する樹脂成分の粘度などに応じて、ディッピング、スプレー、ロールコートまたは刷毛塗りなどが挙げられるが、本発明はこの形成方法を特に限定するものではない。また、前記ポリウレタン系樹脂からなる表面層を直接形成しても良いし、導電性弾性層上にポリウレタン系樹脂のプレポリマーの塗布などを行い、所定の温度で乾燥、硬化、反応させて前記表面層を形成しても良い。
【0036】
前記導電性弾性層としては、
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、
(C)ヒドロシリル化触媒と、
(D)導電性付与剤と、
を主成分とする硬化性組成物の反応物を使用することが好ましい。導電性弾性層がオキシアルキレン系組成物からなるときは、この組成物は硬化前には低粘度であり硬化後には低硬度であるので加工性の観点から好ましく、導電性弾性層が飽和炭化水素系組成物からなるときは、この組成物は低吸水率であるので高湿度環境下での安定性の観点から好ましい。
【0037】
この硬化性組成物における(A)成分の重合体は、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化する。(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個のアルケニル基が存在し、分岐のある分子の場合には、分子末端に2個以上のアルケニル基が存在することが望ましい。(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位はオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位である。
【0038】
主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体の場合、少量の導電性付与剤を添加するだけで体積抵抗率が108 〜109 Ωcmとなるため好ましい。また、硬化物の低硬度化の観点からも、前記繰り返し単位がオキシアルキレン単位であるオキシアルキレン系重合体、さらには、前記繰り返し単位がオキシプロピレン単位であるオキシプロピレン系重合体が好ましい。
【0039】
ここで、前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の主発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシプロピレン系重合体の場合には、エチレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる単位との共重合体(グラフト重合体も含む)であってもよい。
【0040】
上記のような(A)成分のオキシドアルキレン系重合体の分子量としては、反応性および低硬度化のバランスをよくする観点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000、さらには1,000〜40,000であることが好ましい。特に、数平均分子量5,000以上のもの、さらには5,000〜40,000であるものが好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量があまり大きくなりすぎると、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0041】
前記オキシアルキレン系重合体が有するアルケニル基に特に制限はないが、下記一般式(1)、
【0042】
2 C=C(R1 )− (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基)
【0043】
で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。
【0044】
また、この硬化性組成物の特徴の1つは、低硬度化に設定しやすいことであり、この特徴を発揮させるにはアルケニル基の数は分子末端に2個以上が好ましく、(A)成分の分子量に比してアルケニル基の数が多くなりすぎると剛直になり、良好なゴム弾性が得られにくくなる。
【0045】
また、(A)成分が、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体の場合は、低吸水率であり、電気抵抗の環境変動が小さく好ましい。この重合体の場合も、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様に、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化するものであり、(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個存在することが好ましく、分岐を有する分子の場合には、分子末端に2個以上存在することが好ましい。
【0046】
前記主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体の代表的な例としては、イソブチレン系重合体、水添イソプレン系重合体、水添ブタジエン系重合体が挙げられる。これら重合体は、共重合体などの他成分の繰り返し単位を含むものであっても構わないが、少なくとも飽和炭化水素系単位を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上含有することが、飽和炭化水素系の、吸水率が低いという特徴を損なわないようにするうえで重要である。
【0047】
この主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である(A)成分の重合体の分子量としては、取扱いやすさなどの点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000程度、さらには1,000〜15,000程度であって、常温において液状物で流動性を有するものが加工性の点で好ましい。
【0048】
この飽和炭化水素系重合体に導入されるアルケニル基については、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様である。
【0049】
したがって、(A)成分としての、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系である重合体の好ましい具体例としては、両末端にアルケニル基を2個有する直鎖状の数平均分子量(Mn)が2,000〜15,000でMw/Mnが1.1〜1.2のポリイソブチレン系、水添ポリブタジエン系、水添ポリイソプレン系重合体などが挙げられる。
【0050】
また、硬化性組成物中の(B)成分は、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であるかぎり特に制限はないが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因になるため、分子中に含まれるヒドロシリル基の数は50個以下がよい。さらには2〜30個、より好ましくは2〜20個であることが、硬化物のゴム弾性のコントロールや貯蔵安定性の点から好ましく、さらに、硬化時の発泡を容易に防ぐ点では、20個以下、ヒドロシリル基が失活しても硬化不良が発生しにくい点では3個が好ましく、最も好ましい範囲は3〜20個である。
【0051】
なお、本発明で、前記ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することをいい、SiH2 の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が硬化性がよく、ゴム弾性の点からも好ましい。
【0052】
(B)成分の分子量は、後述する導電性付与剤((D)成分)を添加する場合の分散性やローラ加工性などの点から数平均分子量(Mn)で30,000以下であるのが好ましく、さらには20,000以下、特には15,000以下が好ましい。(A)成分の反応性や相溶性まで考慮すると300〜10,000が好ましい。
【0053】
この(B)成分に関しては、(A)成分の凝集力が(B)成分の凝集力に比べて大きいために、相溶性の点でフェニル基含有変性が重要であり、(A)成分との相溶性、入手のしやすさの点でスチレン変性体などが好ましく、貯蔵安定性の点からα−メチルスチレン変性体が好ましい。
【0054】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化触媒として使用しうるものである限り特に制限はない。白金単体、アルミナなどの単体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸(アルコールなどの錯体も含む)、白金の各種錯体、ロジウム、ルテニウム、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属の塩化物などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフイン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が望ましい。これらの触媒は単独で使用しても良く、また2種以上併用しても良い。
【0055】
以上のような硬化性組成物中の(A)成分および(B)成分の使用割合は、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり(B)成分中のヒドロシリル基が0.2〜5.0モル、さらには0.4〜2.5モルがゴム弾性の点から好ましい。
【0056】
また、(C)成分の使用量としては、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-8モル、さらには10-1〜10-6モル、特には10-3〜10-6モルの範囲で用いるのが好ましい。(C)成分の使用料が10-8モルに満たないと反応が進行しない。その一方で、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で、また腐食性を有し、しかも水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡してしまう性質を有しているので、10-1モルを超えて用いない方が好ましい。
【0057】
さらに、上記のような硬化性組成物に、(D)成分として導電性付与剤を添加して導電性組成物とすれば、現像ローラとして好適である。この(D)成分の導電性付与剤としては、カーボンブラックや、金属微粉末、さらには第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤などの、導電性を付与できる化合物などが挙げられる。これらの導電性付与剤は、単独で使用しても、また、2種以上を併用してもかまわない。
【0058】
(D)成分である導電性付与剤の添加量は、(A)〜(C)成分の合計量に対して30重量%以下とすることが、ゴム硬度を上げない点から好ましい。一方、均一な抵抗を得る点からは10重量%以上が好ましく、必要なゴム硬度と、硬化物の体積抵抗率が103 〜1010Ωcmになるように、その物性バランスから添加量を決めればよい。
【0059】
さらに、上記硬化性組成物には、上記(A)〜(D)成分の他、貯蔵安定性改良剤、たとえば、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などを加えてもよい。その具体例としては、たとえば、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンカルボシキレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という点から、チアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。なお、前記貯蔵安定性改良剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0060】
また、上記硬化性組成物には、加工性やコストを改善するための充填剤、保存安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料などを添加してもよい。
【0061】
本発明に係る現像ローラは、上記のような硬化性組成物、その他、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、EP系ゴムなどの弾性材料を、たとえば、中心にSUS製などの金属シャフトなどからなる導電性シャフトを設置した金型に注型、射出、押出成形などをし、適当な温度、時間で加熱硬化させることによって、シャフトのまわりに導電性弾性層を形成する。この場合、半硬化後、後硬化させてもよい。この導電性弾性層の上から、表面層を構成する樹脂をスプレー塗布、ディップ塗布などにより所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥、硬化させることにより、本発明の現像ローラが得られる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明に係る現像ローラの具体的な実施例1〜13と比較例1〜3とを示す。なお、実施例1〜9、12、13は参考例である。
【0063】
実施例1〜13および比較例1〜3に係る現像ローラは、直径10mmのSUS製のシャフトの周りに厚さ7.5mm程度の導電性弾性層を設け、この導電性弾性層の外周に表面層を被覆して構成されるものである。以下に、導電性弾性層と表面層の具体的な構成について説明する。なお、これら実施例は、何ら本発明を限定するものではない。
【0064】
導電性弾性層は、以下に列記する弾性層1〜3の何れかを用いて前記シャフトの周りに設けられる。
【0065】
(弾性層1)
(A−1)数平均分子量(Mn)8,000、分子量分布2の末端アリル化ポリオキシプロピレン系重合体:100重量部に対して、
(B−1)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g):6.6重量部、
(C−1)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):7重量部、
を混合し、減圧(10mmHg以下、120分間)脱泡した。得られた組成物を前記シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ7.5mmのゴム弾性体を作製した。JIS K 6301 A法に準拠して測定した弾性層1のみのJIS A 硬度は15°であった。
【0066】
(弾性層2)
(A−2)数平均分子量(Mn)10,000の末端にビニル基を2個有するポリイソブチレン重合体:100重量部、
(B−2)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.97モル/100g):2.7重量部、
(C−1)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):10重量部、
(その他)可塑剤PS−32(出光興産社製):75重量部、
からなる組成物を、前記シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ7.5mmの弾性層2を作製した。JIS K 6301 A法に準拠して測定した弾性層2のみのJIS A硬度は15°であった。
【0067】
(弾性層3)
日本ポリウレタン社製のC−4190(主鎖がポリエーテルでNCO含量4.5%、粘度700cP(センチポアズ)/75℃)の100重量部に対して、4,4’メチレン−ビス−2クロロアニリンの12.9重量部、ケッチェンブラックECの0.8重量部を混合して、前記シャフトの周りに被覆し、80℃、5時間硬化させて厚さ7.5mmの弾性層3を作製した。JIS K 6301 A法に準拠して測定した弾性層3のみのJIS A硬度は78°であった。
【0068】
次に、表面層は、以下に示す表面層1〜14の何れかを導電性弾性層の外周にディップ塗布して得られる。
【0069】
(表面層1)
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量2,000)150g、ポリジメチルシロキサンポリオール(数平均分子量2,000)50g、およびシクロヘキサンジイソシアネート32gを、2,000mlの三口フラスコに仕込み、攪拌しながら反応(100℃、4時間)させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを得る。このプレポリマーを50℃に冷却後、DMF(ジメチルホルムアミド)580gを仕込み、IPDA(イソホロンジアミン)16gを少しずつ滴下して、鎖伸長反応(40℃、3時間)を行った後に得た固形分をDMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して、表面層溶液1を作製した。この表面層溶液1を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層1とした。表面層1の表面粗さ(Rz)は約2μmであった。
【0070】
(表面層2)
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量2,000)150g、ポリジメチルシロキサンポリオール(数平均分子量2,000)50g、およびシクロヘキサンジイソシアネート32gを、2,000mlの三口フラスコに仕込み、攪拌しながら反応(100℃、4時間)させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを得る。このプレポリマーを50℃に冷却後、DMF(ジメチルホルムアミド)580gを仕込み、1,6−ヘキサンジオール9.6gを少しずつ滴下して、鎖伸長反応(100℃、3時間)を行った後に得た固形分をDMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して、表面層溶液2を作製した。この表面層溶液2を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層2とした。表面層2の表面粗さ(Rz)は約2μmであった。
【0071】
(表面層3)
PPG(ポリプロピレングリコール/数平均分子量2,000)150g、ポリジメチルシロキサンポリオール50g、およびシクロヘキサンジイソシアネート32gを、2,000mlの三口フラスコに仕込み、攪拌しながら反応(100℃、3時間)させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを得た。プレポリマーを得た後の処理を表面層1と同様にして、表面層3を得た。表面層3の表面粗さ(Rz)は約2μmであった。
【0072】
(表面層4)
表面層溶液1の作製手順中に生じた固形分の100重量部に対して、平均粒径7μmのセイカセブンUP0908(大日精化工業社製のウレタン粒子)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して得た表面層溶液4を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層4とした。表面層4の表面粗さ(Rz)は約3μmであった。
【0073】
(表面層5)
表面層溶液1の作製手順中に生じた固形分の100重量部に対して、平均粒径15μmのセイカセブンUP0904(大日精化工業社製のウレタン粒子)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して得た表面層溶液5を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層5とした。表面層5の表面粗さ(Rz)は約6μmであった。
【0074】
(表面層6)
表面層溶液1の作製手順中に生じた固形分の100重量部に対して、平均粒径15μmのMA1013(日本触媒社製のPMMA粒子)を10重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して得た表面層溶液6を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層6とした。表面層6の表面粗さ(Rz)は約6μmであった。
【0075】
(表面層7)
E−980(日本ミラクトラン社製のポリカーボネートウレタン)をDMF:MEK=1:1の溶液でその固形分が約6%になるように希釈し、この表面層溶液7を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層7とした。表面層7の表面粗さ(Rz)は約2μmであった。
【0076】
(表面層8)
セフラルソフトG−180Y(セントラル硝子社製のフッ化ビニリデン)をDMFでその固形分が約5%になるように希釈し、この表面層溶液8を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層8とした。表面層8の表面粗さ(Rz)は約1μmであった。
【0077】
(表面層9)
EM−120(鉛市社製のメトキシメチル化ナイロン)を固形分が10%になるようにメタノールで希釈し、この表面層溶液9を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて表面層9とした。表面層9の表面粗さ(Rz)は約1μmであった。
【0078】
(表面層10〜14)
ポリシロキサンポリオールとカーボネートポリオールとを重量比8:2で配合したポリオール成分、および水添MDIを混合し、三口フラスコに仕込んで攪拌しながら反応(100℃、4時間)させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを得て、このプレポリマーを50℃に冷却後、DMFを仕込み、IPDAを少しずつ滴下して、鎖伸長反応(40℃、3時間)を起こして固形分を得る。この固形分100重量部に対して、セイカセブンUP0904(大日精化工業社製のウレタン粒子)を20重量部配合し、DMF:MEK=1:1の溶液で約6%に希釈して、表面層溶液を作製した。この表面層溶液を導電性弾性層上にディッピングし、80℃で1時間乾燥させて、表面層を形成した。前記ポリオール成分、水添MDIおよびIPDAの配合率を調節することで、表1に示すような100%モジュラスを有する表面層10〜14を形成した。これらにより表面層の弾性の違いによる影響を調べる。これら表面層の表面粗さ(Rz)は、5μm〜7μmであった。
【0079】
【表1】
Figure 0003829454
【0080】
弾性層1〜3と表面層1〜14とを表2に示すように組合わせた現像ローラを作製し、実施例1〜13および比較例1〜3とした。これら実施例および比較例の現像ローラを同種の非磁性現像方式を採用した現像装置に組み込み、SUS製の規制ブレード、融点が78℃のトナーを用いて出力テストを行った。なお、本テストは、接触方式の現像ローラで行った。
【0081】
【表2】
Figure 0003829454
【0082】
出力テストによる評価は、印刷濃度、トナーフィルミングおよびブレード固着の程度の3点について行い、この評価結果を表2に示した。(1) 印刷濃度については、黒ベタで印刷出力するときの100枚目と5,000枚目のマクベス濃度で評価し、マクベス濃度の値が、1.4 以上を◎、1.35以上1.4 未満を○、1.3 以上1.35未満を△、1.3 未満を×で評価した。一般にマクベス濃度の値が大きければ、現像ローラがトナー帯電性とトナー搬送性とをバランス良く備えると判断される。(2) トナーフィルミングについては、黒ベタで5,000枚印刷後の現像ローラ表面を観察し、目視でまったく観察されなければ○、目視でほとんど観察されなければ△、目視で複数箇所に観察されれば×、で示した。(3) トナーのブレード固着については、黒ベタで5,000枚印刷後のブレード表面を布で軽く拭いた後に観察し、目視でまったく観察されなければ○、目視でほとんど観察されなければ△、目視で複数箇所に観察されれば×、で示した。
【0083】
表面層1〜6および10〜14には、ポリシロキサンポリオール成分を含むポリオールと、ジアミンの鎖伸長剤とを反応させて得られたポリウレタン系樹脂を用いている。また、これら表面層には(表面層3を除いて)、前記ポリオールにポリカーボネートポリオール成分が含まれている。表2によれば、表面層1〜6,10〜14を備えた実施例1〜13の現像ローラは、比較例1〜3に比べて、全体の評価が良好であり、特にトナーフィルミングとブレード固着の点で良好である。表面層1を用いた実施例1〜3を比較した場合は、弾性層1,2を用いた実施例1,2の現像ローラが、弾性層3を用いた実施例3に比べて、マクベス濃度の点でより良い結果を得ている。
【0084】
また、実施例の中でも、表面層に粒子を含有させて、ローラの表面粗さ(Rz)を3μm〜15μmの範囲内に調整した表面層4〜6,10〜14を備えた実施例6〜13は、ブレード固着の点で、他の実施例よりも良い評価を得ている。さらに、実施例9〜13の中でも、100%モジュラスが5×106 Pa〜30×106 Paの範囲内にある表面層11〜13を備えた実施例10〜12は、全体の評価が非常に良い。
【0085】
【発明の効果】
上述の如く、本発明の現像ローラによれば、表面層の主成分が、ポリオール、イソシアネートさらに必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得たポリウレタン系樹脂であり、前記ポリオールと前記鎖伸長剤との一方または双方にポリシロキサンポリオールを含んでいるので、ポリシロキサン成分により表面層の凝集エネルギーが下がり、トナーを良好にマイナス帯電するというポリウレタン系樹脂の性質にトナー離型性が加わり、トナーフィルミングの防止を可能とする。
【0086】
前記ポリウレタン系樹脂がウレア結合を含んでなる表面層により、高温度・高湿度環境下におけるトナー帯電量の低下が防止される。
【0087】
前記表面層の主成分の100%モジュラスを5×106 Pa〜30×106 Paの範囲内に調節することが、トナーフィルミングを防止するうえでより効果的である。
【0088】
また、表面層にナイロン系粒子やウレタン系粒子が含有されて、その表面粗さが3μm以上15μm以下の範囲内となるように調節されると、表面層に担持されるトナーが規制部材に押圧される際に、トナーへ加わる圧力が低減され、低融点トナーのブレード固着が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像ローラの断面説明図である。
【図2】現像ローラとその周辺構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 現像ローラ
2 導電性シャフト
3 導電性弾性層
4 表面層
10 現像ローラ
11 導電性シャフト
12 導電性弾性層
13 表面層
14 トナー容器
15 非磁性トナー
16 供給ローラ
17 規制部材
18 トナー薄層
19 感光体
20 トナー像

Claims (6)

  1. 導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に単または複数の樹脂層を同心円状に積層して構成される現像ローラにおいて、前記樹脂層のうち少なくとも表面層の主成分が、ポリオール、イソシアネートさらに必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得たポリウレタン系樹脂であり、前記ポリオールと前記鎖伸長剤との一方または双方にポリシロキサン骨格を含み、前記ポリオールがポリカーボネートポリオールを含み、前記表面層にナイロン系粒子またはウレタン系粒子が含有され、前記表面層の100%モジュラスが8×106Pa〜20×106Paであり、ローラの表面粗さが3μm以上15μm以下であることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記ポリウレタン系樹脂中に前記ポリシロキサン骨格が5重量%以上70重量%以下含有される請求項1記載の現像ローラ。
  3. 前記ポリウレタン系樹脂がウレア結合を含む請求項1または請求項2記載の現像ローラ。
  4. 導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に単または複数の樹脂層を同心円状に積層して構成される現像ローラにおいて、前記樹脂層のうち少なくとも表面層の主成分が、ポリオール、イソシアネートさらに必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得たポリウレタン系樹脂であり、前記ポリウレタン系樹脂がウレア結合を含み、前記ポリオールがポリカーボネートポリオールを含み、前記表面層にナイロン系粒子またはウレタン系粒子が含有され、前記表面層の100%モジュラスが8×106Pa〜20×106Paであり、ローラの表面粗さが3μm以上15μm以下であることを特徴とする現像ローラ。
  5. 前記鎖伸長剤がイソホロンジアミンである請求項1〜4の何れか1項に記載の現像ローラ。
  6. 前記弾性層が、
    (A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、
    (B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、
    (D)導電性付与剤と、
    を主成分とする硬化性組成物の反応物からなる請求項1〜の何れか1項に記載の現像ローラ。
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