JP5700972B2 - 現像ローラ、現像装置および電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真装置に使用される現像ローラ及びこれを用いた現像装置等に関する。
樹脂層や表面層等の二層以上を有する現像ローラにおいては、高温高湿環境下における長期放置によって、層間の密着性が悪化し、層間剥離が発生することで、画像弊害を生じる場合がある。さらに、樹脂層と表面層の材料種が異なる場合は、層間の親和性が劣るため、層間剥離が発生しやすくなる場合があった。
また、高温高湿(温度40℃/湿度95%RH)環境下と低温低湿(温度10℃/湿度10%RH)における画像特性の両立が非常に困難になる場合がある。特に高温高湿下においては、現像ローラ表面層が柔軟になり易く、現像ブレードとの長期接触による接触部の変形量が増大し、ローラ変形に起因する画像スジ等の画像弊害が生じる場合がある。一方で、低温低湿環境下においては、現像ローラ表面層の硬度が上昇することで、トナーにかかるストレスが増大して、電子写真装置用プロセスカートリッジ寿命前に、現像ローラ表面層にトナーが固着し、カブリ等の画像弊害が生じる場合があった。
また近年、画像出力の高速化の必要性も高まっている。それに伴ってトナー供給ローラや現像ブレードと現像ローラとの摺擦が増加することで、層間剥離が生じやすく、現像ローラ樹脂層と表面層間のさらなる密着性の改善が求められている。
上記の課題を解決するための手法として、樹脂層と表面層との間に中間層を設けることが考えられる。半導電性樹脂ローラの表面にSiO2層を均一に形成後、表面抵抗調整層を形成することで、樹脂層と表面層との密着性を向上させた半導電性ローラの製造方法が提案されている(特許文献1)。また、画像出力の高速化に対応するために、エステルウレタン材料の原材料とJIS−A硬度を規定した特許が提案されている(特許文献2)。
特開2006−337622号公報 特開平8−208087号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の電子写真用ゴムローラにおいては、高温高湿環境に長期間放置することによって、層間接着性が低化する場合があった。
本発明の目的は、長期にわたって高品位な電子写真画像の形成を可能とする現像ローラを提供することにある。また、本発明の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成可能な電子写真装置およびプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者等は、前記の課題に鑑み、高温高湿下におけるシリコーン樹脂層とウレタン表面層の層間接着性、現像ブレードとの長期接触による画像スジおよび低温低湿下における現像ローラ表面層上へのトナー固着に起因した画像弊害の改善を試みた。その結果、シリコーン樹脂層とウレタン表面層との界面近傍における窒素基濃度、表面層の膜厚、機械的物性を最適化することで、上記目的を達成できる現像ローラ、現像装置及び画像形成装置を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明によれば、軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられたシリコーン樹脂層と、該樹脂層の外周に設けられた表面層とを有する現像ローラにおいて、
該表面層は、(A)3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料とするポリエステルポリオール、(B)ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを原料とするプレポリマー型イソシアネート、及び、(C)イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアヌレート、又は、ヘキサメチレンジイソシアヌレートである低分子型イソシアネート系化合物を含む表面層形成用塗布液の塗膜を、前記シリコーン樹脂層上に形成する工程、及び、該塗膜を硬化させる工程を経て形成されてなり、該(C)の極性が、該(B)の極性よりも低く、
該表面層は、温度−10℃、荷重0.050mN/10s、荷重時間5.0s、および、該表面層の表面からの押し込み深さをt/4(ここで、tは該表面層の厚さ)としたときのマルテンス硬度HMが3.0以上4.5以下の範囲にあり、かつ、該表面層の表面から深さ7t/8の位置におけるウレタン基由来の窒素元素の原子%が2.0以上4.0以下である現像ローラが提供される。
また、本発明によれば、電子写真装置に着脱可能であり、上記の現像ローラを具備するプロセスカートリッジが提供される。さらに、本発明によれば、上記の現像ローラと、感光体とを具備している電子写真装置が提供される。
本発明によれば、高温高湿下において長期期間保管した場合であっても、シリコーン樹脂層とウレタン表面層の層間剥離が生じ難い現像ローラを得られる。また、本発明によれば、多様な環境の下で、安定して高品位な電子写真画像を形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得られる。
本発明の現像ローラの一例の断面図である。 表面層形成に使用する液循環型浸漬塗工装置の模式図である。 本発明のプロセスカートッリジの一例を示す概略構成図である。 本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である
本発明の現像ローラは、軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられた樹脂層と、該樹脂層外周に設けられた表面層を有するものであり、以下の条件を満たす。
(a)樹脂層シリコーン樹脂を含む
(b)表面層ポリウレタン樹脂を含
(c)該表面層、温度−10℃、荷重0.050mN/10s、荷重時間5.0s、押し込み深さt/4(ここで、tは該表面層の厚さ)としたときのマルテンス硬度HMが3.0以上4.5以下である
(d)該表面層からの深さ7t/8の位置におけるウレタン基由来の窒素元素の原子%が2.0%以上4.0%以下である
本発明では、軸芯体の周囲に樹脂層を有し、該樹脂層はシリコーン樹脂を含む。ここで、シリコーン樹脂とは、単一の組成を持つポリマーを指す名称ではなく、ポリジオルガノシロキサン(シリコーンポリマー)を主原料とした樹脂材料の総称である。必要に応じて、石英粉末、珪藻土、乾式シリカ、湿式シリカなどの補強充填剤、種々の添加剤、カーボンブラックなどの導電剤、架橋剤などを適宜配合し、機械的物性、導電性などの物性を制御することが可能である。シリコーン樹脂は、一般的な天然ゴム、合成ゴムと比較して、特に高耐候性、化学的不活性を示す。また、シリコーン樹脂は優れた圧縮永久歪み特性を示す。従って、多様な環境における物性の経時変化を抑制し、現像ブレードとの長期接触によっても接触部によっても樹脂層に圧縮永久歪みを生じさせにくくするために、本発明に係る樹脂層はシリコーン樹脂を含む。
また、現像ローラの表面に当接する現像ブレードによって薄膜状に形成されたトナーを感光ドラム等の感光体へ供給可能とするため、現像ローラに適度な弾性を付与するように、シリコーン樹脂層が適切な弾性を有することが好ましい。更に、感光体、現像ブレードから受ける押力による変形の発生を抑制し、高品位な画像を長期に亘って得るため、シリコーン樹脂層の圧縮永久歪が小さいことが好ましい。またさらには、後述する表面層との接着性を向上させるためにも、シリコーン樹脂層中の樹脂成分の質量含有量は、70質量部以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量部以上である。また、現像ローラに接触する感光体、現像ブレード、トナー等に対する損傷を低減するために、樹脂層を低硬度とすることが好ましい。その硬さはアスカーC硬度が20以上80以下であることが好ましい。樹脂層のアスカーC硬度を20以上とすることにより、他部材との長期圧接による塑性変形が原因で画像スジが発生することをより有効に抑制することができる。また、具体的な技術的背景は後述するが、樹脂層のアスカーC硬度を80以下とすることにより、シリコーン樹脂の分子量を低下させる必用がなくなるため、表面層との分子間力による相互作用をより有効に向上させ、層間接着性を良好にすることができる。特に好ましいアスカーC硬度は50以上70以下である。
尚、「アスカーC硬度」とは、日本ゴム協会標準規格SRIS101に準拠したAsker−C硬度型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器(株)製)を用いて測定した硬度である。また、常温常湿(温度23℃、湿度50%RH)の環境中に12時間以上放置した現像ローラに対して、上記硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後の測定値とした。
また、本発明では、表面層がポリウレタン樹脂を含有する。従って、本発明における層間接着とは、シリコーン樹脂とその外周に形成されるポリウレタン樹脂間の接着を意味する。シリコーン樹脂とウレタン樹脂の層間接着性に関して、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、層間の接着性は表面層形成時の化学結合の形成量および形態に強く依存することを明らかにした。一般的に、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂は、その化学構造の違いから、親和性が悪く、さらに、共有結合や水素結合および分子間相互作用といった層間接着性に寄与する化学結合を形成しにくいため、層間接着性に劣ることは公知である。そのため、従来は、エキシマUV処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理といった表面処理を樹脂層に施した後に表面層を形成することで、化学結合量を増やし、層間接着性を向上させる手法が広く用いられてきた。しかしながら、上記手法により形成された水素結合および分子間相互作用は、水分および熱の影響を受けることで、結合の解離を生じやすい場合がある。特に、絶対水分量が多く、樹脂の分子運動が活発になる高温高湿環境下に長期保管した場合、水素結合および分子間相互作用に起因した化学結合量が減少し、層間接着性が劣化することが明らかになってきた。従って、長期にわたって高温高湿環境下において、層間接着性を維持するためには、シリコーン樹脂層とウレタン樹脂間の共有結合量を増やすとともに、水素結合・分子間相互作用自体の結合量および強度を増加させる必要がある。前記の課題を鑑み、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、本発明の効果を発現するためには、表面層に所定の硬度を有する硬化したポリウレタン樹脂を用いる必要があることを明らかにした。これは、表面層の硬化反応が生じると同時に、硬化時のエネルギーによって反応活性基が励起され、シリコーン樹脂層と表面層界面における共有結合の如き化学結合の形成も同時に進行されやすくなるためであると考えられる。また、硬化反応時に樹脂層と表面層の熱膨張率差から生じる残留応力を増加させ、密着性の上昇という観点からも、硬化したポリウレタン樹脂であることが好ましい。また更に、本発明の効果を発現するためには、熱可塑型ポリウレタン樹脂と比較して優れた圧縮永久歪みを有し、接触部材起因の変形を抑制することができることから、硬化したポリウレタン樹脂を用いる必要がある。
また、本発明における表面層の膜厚(t)の目安としては、4μm以上20μm以下である。
また、本発明における表面層は、温度−10℃、荷重0.050mN/10s、荷重時間5.0s、表面層の表面からの押し込み深さt/4μmの測定条件下で、マルテンス硬度HMが3.0以上4.5以下の範囲にある。詳細な測定方法に関しては、後述する。ここで、マルテンス硬度HMとは、圧子に連続的に加重をかけ、加重下での押し込み深さを直読して求める値である。マルテンス硬度HMは、連続的硬さを示す値である。また、本発明におけるマルテンス硬度HMは、ピコデンターと呼ばれるフィッシャー超微小硬さ試験システムで測定された値である。ピコデンターは、変位精度がナノメートル(nm)オーダー以下、さらに荷重精度が100nN以下で測定することが可能な測定装置である。従って、本発明のような二層構成の現像ローラにおいても、一般的なフィッシャー硬度計と呼ばれる測定機に比べて、下地であるシリコーン樹脂層の影響を極力受けずに、表面層の硬度を測定することが可能である。マルテンス硬度HMが3.0以上であることで、圧縮永久歪みの上昇を抑制することができる。また、マルテンス硬度HMが4.5以下であることで、トナーへ与えるストレスを軽減することができる。一方で、マルテンス硬度HMが3.0未満であると、圧縮永久歪みの上昇により、現像ブレードとの長期接触による画像スジが悪化する場合がある。また、マルテンス硬度HMが4.5より大きいと、繰り返し画像を出力した際のトナー固着に起因した画像弊害が悪化する場合がある。
また、本発明に係る表面層は、当該表面層の表面からの深さ7t/8の位置における、ESCAにより測定されたウレタン基由来の窒素元素の原子%(以降「UrcY」とも記す)が2.0以上4.0以下(2.0%以上4.0%以下)である。
UrcYは、表面層内部におけるシリコーン樹脂層近傍のウレタン基由来の窒素元素の原子%を示す。シリコーン樹脂層近傍のウレタン基由来の窒素元素の原子%は、シリコーン樹脂と表面層間の共有結合の形成量を示す指標である。さらには、水素結合および分子間相互作用の強度が強いことを意味する。何故なら、水素結合および分子間相互作用力は、官能基の電荷の偏り(極性)に強い影響を受けるためである。ウレタン基はその構造からも、同じ窒素元素を有するアミド基の如き官能基と比較しても、強い水素結合および分子間相互作用力を示す。従って、UrcYを2.0原子%以上にすることで、シリコーン樹脂と表面層の層間においても十分な化学結合が形成され、高温高湿下における層間接着性の劣化を抑制することができる。また、UrcYを4.0原子%以下にすることで、表面層の硬度上昇を抑制し、トナーへ与えるストレスを軽減することができる。一方で、UrcYが2.0原子%未満であると、シリコーン樹脂と表面層の層間の化学結合力が低下し、特に高温高湿下において層間接着性が劣化する場合がある。また、UrcYが4.0原子%より大きいと、表面層の硬度が過度に上昇し、繰り返し画像を出力した際のトナー固着に起因した画像弊害が悪化する場合がある。
また、本発明における表面層のUrcYはESCA(またはXPS)と呼ばれるX線光電子分光法によって測定される値である。ESCAは、現像ローラ表面層のごく表面近傍(深さ方向で数十nm)の元素組成や化学結合状態の同定が可能な分析方法である。さらには、フラーレン(C60)イオンを用いて、表面層を精度良くエッジングしながら、膜厚方向における元素組成や化学結合状態の分布を定量することが可能な分析方法である。本発明におけるESCA(X線光電子分光法)により測定された表面層のUrcYの定義および測定方法に関する詳細は後述する。
本発明で規定した(1)表面層の膜厚(t)、(2)マルテンス硬度HM、(3)ESCAにより測定されたYにおけるウレタン基由来の窒素原子%(UrcY)の各値の好ましい上限及び下限は、独立している。しかし、これらの本発明における規定値は、互いに影響を及ぼし、連動して動く場合がある。例えば、表面層膜厚(t)の増加によって、マルテンス硬度HMも連動して増加する。また、UrcYは、ウレタン基由来の窒素元素の原子%を示す値であり、これは、ウレタン樹脂の架橋密度と相関する値である。本発明におけるUrcYは、樹脂層界面付近の表面層の窒素原子%を示すため、厳密には表面層のバルクとしての硬度とは異なるが、UrcYの増加はマルテンス硬度HMの上昇に寄与する。上記の観点より、本発明の効果を発現するためには、(1)表面層の膜厚(t)、(2)マルテンス硬度HM、(3)UrcYを厳密に制御することが必要である。特に、本発明におけるマルテンス硬度は−10℃の温度下で測定される値である。ポリマーおよびゴム材料の基本的な特性として、ガラス転移温度を境に、ゴムおよびガラス状態に可逆的に転移し、ガラス状態においては、顕著に機械的物性が上昇することは公知である。本発明で規定したマルテンス硬度の範囲を満たすためには、表面層が−10℃の測定温度でゴム状態にある必要がある。しかし、表面層バルクとして、ESCAにより測定されたウレタン基由来の窒素元素の原子%が2.0%以上の範囲にある場合、本発明で規定したマルテンス硬度の範囲を満たすことは困難である。従って、本発明で規定したマルテンス硬度とUrcYを同時に達成するためには、表面層のバルクとしての窒素原子%はシリコーン樹脂層界面近傍Yよりも低くする必要がある。つまり、表面層のウレタン樹脂中に窒素元素が傾斜して偏在しており、シリコーン樹脂層界面近傍に高濃度なウレタン基由来の窒素元素を有するとともに、バルクとしての表面層硬度が柔軟であることが、本発明の効果を発現するために必要な要件である。
つまり、硬化したポリウレタン樹脂を含む表面層において、上記物性を有するように樹脂材料を適宜選択することが望ましい。まず、本発明における硬化したポリウレタン樹脂に関して説明する。ここでいうポリウレタンとは、単一の組成を持つポリマーを指す名称ではなく、ウレタン結合を含むポリマーの総称であり、ハードセグメントとソフトセグメントの二つのセグメントから構成される。ハードセグメントは、ウレタン結合、アロファネート結合、ビウレット結合の如き結合を含有するセグメントから構成される。ソフトセグメントは、エーテル基、エステル基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基の如き官能基を有するセグメントから構成される。
前記硬化したポリウレタン樹脂は例えばポリオールとイソシアネート化合物から得られるものを挙げることができる。そして、本発明におけるポリウレタン樹脂は、特にウレタン基由来の窒素基濃度の偏在と、バルクとしての柔軟な表面層の達成という機能分離の観点から、下記3種の樹脂原料から形成されることが好ましい。
(A)ポリオール、(B)プレポリマー型イソシアネート、(C)低分子型イソシアネート系化合物。これらの材料を、各材料物性に合わせて適宜選択・配合することで、本発明の効果をより有効に発現することができる。
上記ポリオール(A)の具体例を以下に挙げる。ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、カプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール又はこれらの混合物。また、これらのポリオールをイソシアネートで再延長したプレポリマー型ポリオールも好適に用いることができる。この中でも好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はこれらの混合物である。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリウレタンエーテルポリオールプレポリマーが、後述する(B)と(C)との極性差の最適化、表面層の機械的物性と柔軟性のバランスという観点から、好ましい。例えば、原料ポリエーテルポリオールとして、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、THFとネオペンチルグリコールの共重合体(PTXG)等を用いたものが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、直接エステル化反応、開環重合反応で得られたポリエステルポリオールを好適に用いることができる。または、ポリエステルポリオールとイソシアネートを鎖延長させたポリウレタンポリオールプレポリマーを好適に用いることができる。直接エステル化反応で合成されるポリエステルポリオールは、原料として多塩基酸と多価アルコールを脱水縮合することで得られる。
本発明においては、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料とするポリステルポリオールが特に好ましい。3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、一般的な多価アルコールの融点(−10℃〜200℃)と比較して、特異的に低い融点(−50℃)を示す。従って、ウレタン樹脂中のエステル基を有するソフトセグメントにおける結晶化度の制御が容易であるため、樹脂材料(B)および(C)との相溶性向上による機械的物性の発現に寄与する。さらに、ε−カプロラクトンを原料として開環重合反応で得られたポリカプロラクトンジオール、もしくはポリカプロラクトンジオールをプレポリマー化して合成されたエステルポリオールも特に好ましい。上記ポリカプロラクトンジオールの中でも、非結晶性もしくは低融点の性質を示すタイプのものが、樹脂材料(B)および(C)との相溶性、溶媒への溶解性という観点から特に好ましい。
また、ポリエステルポリオールにおいて、硬化剤として用いるイソシアネートの種類やMnおよびウレタンプレポリマー化の可否によって、最適なMnが異なる。構造中にウレタン基を含まないポリエステルポリオールであれば、1000≦Mn≦4000の範囲にあることが好ましい。Mnが1000以上あることで、マルテンス硬度HMの上昇を抑制し、低温低湿環境において繰り返し画像を出力した際に、トナーの固着をより有効に抑制することができる。一方で、Mnが4000以下であることで、マルテンス硬度HMの低下を抑制し、現像ローラの変形量の増大をより有効に抑制することができる。また、UrcYの低下を抑制し、高温高湿環境において長期期間放置した際の、層間接着性の劣化を抑制することができる。また、構造中にウレタン基を含むプレポリマー型ポリオールである場合は、3000≦Mn≦10000の範囲にあることが好ましい。
本発明におけるプレポリマー型イソシアネ−ト化合物(B)は、特に限定されるものではないが、ハードセグメント部として、以下のものを例示することができる。ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニルレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、これらの共重合物、そのブロック体又は混合物。上記に例示した中でも、構造中にベンゼン環を有するジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが、相対的に極性が高いことから、後述する(C)との極性差の観点より好ましい。さらに、ソフトセグメント部(変性部)においても、特に限定されるものではないが、エーテル基成分およびエステル基成分を変性部に含有するプレポリマー型イソシアネートが好ましい。表面層の機械的物性の適正化、ポリオール(A)との相溶性および後述する(C)との極性差の調整が容易であることからである。さらに、変性部に上記ポリオールで挙げた材料と同じものを好適に用いることができる。
本発明における低分子型イソシアネート系化合物(C)として、特に限定されるものではないが、プレポリマー型イソシアネ−ト(B)のハードセグメント部として列挙した材料と同様のものを用いることができる。さらには、上記に例示した中でも、(B)との極性差の観点から、芳香族系イソシアネートよりも、極性が低い脂肪族系イソシアネートが好ましい。例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又はこれらの二および三量体であるウレトジオンやイソシアヌレートを好適に用いることができる。また、低分子型であることで、界面に偏在しやすくなるとともに、単位体積当たりのNCO%含有量が十分に得られるので好ましい。
ここで、樹脂材料(A)、(B)および(C)について説明する。本発明におけるポリウレタン樹脂は、シリコーン樹脂界面付近にウレタン基由来の窒素基濃度が高濃度に偏在しており、かつ、バルクとしては表面層が柔軟である構成を有する。シリコーン樹脂界面付近にウレタン基由来の窒素元素が高濃度に存在するためには、(1)表面層バルク全体としてウレタン基由来の窒素元素の原子%を高くする手法、もしくは(2)界面近傍のみにウレタン基由来の窒素原子%を偏在させる手法の二通りが挙げられる。しかし、前者の手段では、マルテンス硬度HMの上昇を誘起するため、本発明の効果を発現させることは困難である。従って、後者の手段を用いることが好ましい。一般的に、樹脂材料の特性として、異なる構造の樹脂材料を混合した場合、極性の低い樹脂材料が界面に移行しやすい性質を示す。しかし、樹脂間の極性差が大き過ぎる場合、樹脂同士が相溶せずに硬化反応が進行しにくく、機械的物性が著しく低下する場合がある。さらには、層間における化学結合が形成されにくくなるので、層間接着性も著しく低下する場合がある。本発明においては、樹脂材料(C)の極性が樹脂材料(B)よりも低く、かつ、(A)、(B)および(C)の極性差が適度な範囲であることが好ましい。従って、本発明における高温高湿下におけるシリコーン樹脂層と表面層の層間接着性、機械的物性のバランスを高次元なレベルで達成するためには、(A)、(B)および(C)の化学的構造を適宜選択することが好ましい。また、該ウレタン樹脂における、前記(B)および(C)の質量含有率を各々、M(B)、M(C)と定義した時に、M(C)/M(B)の値が0.10以上0.25以下であることが好ましい。M(C)/M(B)の値が0.10以上であることで、UrcYの低下を抑制し、十分な層間接着性を得ることができる。また、0.25以下であることで、表面層バルクとしての硬度の上昇を抑制し、低温低湿環境において繰り返し画像を出力した際のトナー固着を抑制することができる。
イソシアネート化合物は、ポリオール化合物に対して、イソシアネートインデックスが1.0から1.5の範囲となるように配合することが好ましい。上記範囲に配合によって、未反応ポリオールによる圧縮永久歪の上昇や、過度な硬度の上昇をより有効に抑制することができる。なお、イソシアネートインデックスとは、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数とポリオール成分中の水酸基のモル数との比([NCO]/[OH])を示す。また、本発明におけるイソシアネートインデックスとは、(B)プレポリマー型イソシアネートと(C)低分子型イソシアネート系化合物の総〔NCO〕モル数を用いて計算する。
以下、本発明に係る現像ローラを図1を用いて説明する。現像ローラ1は、円柱状または中空円筒状の軸芯体2外周面に一層以上の樹脂層3が固定され、さらに樹脂層3の外周面に表面層4が積層された部材から構成される。表面層4は多層構造であってもよい。
軸芯体2は、上層の樹脂層3及び表面層4を支持し感光体へトナー(現像剤)を搬送可能な強度と、帯電したトナーを感光体へ移動可能な電極となり得る導電性を有するものであればよい。
樹脂層3の厚みの目安は、1mm以上5mm以下である。樹脂層3は発泡体、非発泡体のいずれであってもよい。現像ローラが半導体領域の電気抵抗値を有するために、樹脂層3は導電性を有することが好ましい。樹脂層3において、導電性を有するものとするために、イオン導電機構、または電子導電機構による導電付与剤を含有することが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラックが良好な帯電性が得られるので好ましい。
表面層4は、前述したポリウレタン樹脂を含む。なお、表面層を2層以上形成する場合は、少なくとも樹脂層と接する表面層が前述したポリウレタン樹脂を含まなければならない。表面層は、導電性の付与及び機械的物性の制御のため、カーボンブラックを含有していてもよい。表面層におけるカーボンブラックの含有量の目安としては、現像ローラに適正な範囲の導電性の付与および機械的物性の制御の観点から、表面層の樹脂成分100質量部に対して、15質量部以上40質量部以下である。
上記カーボンブラックの平均粒径は、現像ローラの表面層の強度を維持し、適切な導電性を発揮させることを考慮すると、15〜40nmとすることが好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸油量としては、同様の理由から例えば、60〜180ml/100gとすることが好ましい。更に、必要な物性に合わせて、2種以上のカーボンブラックを配合してもよい。
上記表面層4は、現像ローラの表面に適度な表面粗さを付与するため、球状微粒子を含有していてもよい。表面層4が球状微粒子を含有することによって、現像ローラ表面の表面粗度を均一にすることが容易となると同時に、表面層4が磨耗した場合でも、表面粗度の変動を少なくし表面状態を一定に保持することができる。球状微粒子としては、体積平均粒径が8〜30μmであることが好ましい。球状微粒子の含有量としては、表面層4の樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。
球状微粒子の材質としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの球状微粒子は、例えば、懸濁重合、又は分散重合法により製造することができる。
本発明の現像ローラの製造方法としては、まず、樹脂層3を上記シリコーンゴムの未硬化ゴム成分、導電性付与剤、及び必要に応じてその他成分を含有する組成物(以下、未硬化ゴム組成物という)から塗工液を調製する。そして、この塗工液を用いて塗膜を形成し、これを硬化する方法を挙げることができる。塗工方法としては、例えば、浸漬塗工法、ブレード塗工法、環状塗工槽で塗工する方法、リング形状の塗工ヘッドを用いた塗工法等を挙げることができる。
表面層の成形方法としては、未硬化の上記結着樹脂、その他の成分の表面層材料を含有する組成物(以下、未硬化組成物という。)を調製し、これを用いて樹脂層上に塗膜を形成し、硬化する方法を挙げることができる。未硬化組成物の調製は、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、又はアルコールを用いて、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを使用した分散装置を使用することが好ましい。
塗膜の形成には、スプレー、浸漬、又はロールコートの如き塗工方法を使用することができる。また、塗膜形成に浸漬塗工を使用する場合、図2の概略構成図に示す塗料の循環機構を有する塗布装置を用いることが好ましい
図2に示す塗布装置には、浸漬槽5が設けられる。浸漬槽は樹脂層が形成されたローラ6の外径よりわずかに大きな内径と、ローラ6の軸方向長より長い深さを備えた円筒形を有し、軸方向を垂直方向にして設置される。その上端部外周には環状の液受け部7が設けられ、液受け部はその底面に接続される管9により、攪拌タンク8に接続される。一方、浸漬槽5の底部は管13を介して表面層形成用塗料10を循環させるポンプ11に接続され、更に、ポンプ11と攪拌タンク8を接続する管12によって攪拌タンク8に接続される。攪拌タンク8には内部に収納する表面層形成用塗料10を攪拌するための攪拌翼14が設けられる。この塗布装置には、浸漬槽の上部において昇降板16を浸漬槽の軸方向に昇降させる昇降装置15が設けられ、昇降板16に懸架されるローラ6を浸漬槽中に進入、後退可能となっている。このような塗布装置を用いて樹脂層上に表面層を成形するには、ポンプ11を駆動し、攪拌タンク8に収納する表面層形成用塗料10を管12、13を通って浸漬槽5に供給する。昇降装置15を駆動させ昇降板16を降下させ、ローラ6を表面層形成用塗料10が充填された浸漬槽5に進入させる。ローラ6の進入により浸漬槽の上端5aから溢れ出た表面層形成用塗料10は液受け部7に受けられ、管9を通って攪拌タンク8に戻される。その後、昇降装置を駆動して昇降板を上昇させ、ローラ6を所定の速度で浸漬槽から後退させ、樹脂層上に塗布膜を形成する。この間、攪拌タンク内で攪拌翼14を回転させ、塗布液を攪拌して含有物の沈降を抑制し、塗布液の均一性を維持する。塗膜が形成されたローラは、昇降板16から取り外され、塗膜を乾燥硬化して、表面層が成形される。硬化および乾燥の方法としては、加熱、又は電子線照射のいずれを用いてもよい。
図3に、前記現像ローラを具備した電子写真装置に着脱可能な示すプロセスカートリッジを示す。このプロセスカートリッジ17は、図4に示す画像形成装置のように、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電部材24とともに一体のオールインワンプロセスカートリッジとすることができる。
図4は、本発明に係る現像ローラおよび現像ローラを具備したプロセスカートリッジを用いた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図4の画像形成装置には、現像ローラ1、トナー供給ローラ19、トナー20及び現像ブレード21からなる現像装置22と、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電部材14からなるオールインワンプロセスカートリッジ17が脱着可能に装着されている。感光体18は矢印方向に回転し、感光体18を帯電処理するための帯電部材24によって一様に帯電され、感光体18に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光23により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光体18に対して接触配置される現像装置22によってトナーを付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
現像は露光部にトナー像を形成する所謂反転現像を行っている。可視化された感光体18上のトナー像は、転写部材である転写ローラ29によって記録媒体である紙34に転写される。紙34は、給紙ローラ35及び吸着ローラ36を経て装置内に給紙され、エンドレスベルト状の転写搬送ベルト32により感光体18と転写ローラ29の間に搬送される。転写搬送ベルトは、従動ローラ33、駆動ローラ28、テンションローラ31により稼働している。転写ローラ29及び吸着ローラ36には、バイアス電源30から電圧が印加されている。トナー像を転写された紙34は、定着装置27により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。一方、転写されずに感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ廃トナー収容容器25に収納され、クリーニングされた感光体18は上述作用を繰り返し行う。現像装置22は、一成分現像剤として非磁性トナー20を収容した現像容器と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体18と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ1とを備える。また、感光体18上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。現像ブレード21に、現像ローラ1に印加する電圧よりも高い電圧を印加することにより、現像ローラ上のトナー層を制御することが可能である。そのためには現像ブレード21はSUSやリン青銅の薄板を用いることが好ましい。なお、現像ローラ1及び現像ブレード21にはバイアス電源30から電圧が印加されているが、現像ブレード21に印加する電圧は、現像ローラ1に印加する電圧に対し、絶対値で100Vから300V大きい電圧とすることが好ましい。
現像装置10における現像プロセスを、以下に説明する。回転可能に支持されたトナー供給ローラ19により現像ローラ1上にトナーが塗布される。現像ローラ1上に塗布されたトナーは、現像ローラ1の回転により現像ブレード21と摺擦される。ここで、現像ブレード21に印加されたバイアスにより、現像ローラ上のトナーが現像ローラ上に均一にコートされる。現像ローラ1は感光体18と回転しながら接触し、感光体18上に形成された静電潜像を、現像ローラ1上にコートされたトナーで現像して画像が形成される。
以下に実施例および比較例により本発明をより詳細に説明する。
[樹脂層ローラ1の作製]
軸芯体として、SUS304製の直径8mmの芯金に、プライマー(商品名:DY35−051、東レダウコーニング社製)を、厚み約1μmになるように塗布し、150℃、30分間焼き付けしたものを用いた。
下記成分を配合したものを液状シリコーンゴムのベース材料とした。
・ジメチルポリシロキサン(1) 50質量部
(両末端にビニル基が置換し、主鎖の99mol%以上がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位である。重量平均分子量(Mw)=20,000)
・ジメチルポリシロキサン(2) 50質量部
(両末端にビニル基が置換し、主鎖の99mol%以上がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位である。Mw=10,000,0)
・カーボンブラック(1) 7質量部
(商品名:Raven860Ultra、Columbian Chemical製)
このベース材料に、硬化触媒として2質量%の塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液をジメチルポリシロキサン(1)及び(2)の合計に対して10ppm配合したものを準備した。一方、上記ベース材料に、メチルハイドロジェンポリシロキサン3質量部(ジメチルポリシロキサン(1)及び(2)に含有するビニル基の合計1モルに対して、SiH基が1.1モルとなる量)を配合したものを準備した。そして、これらを質量比1:1で混合し、未加硫のシリコーンゴムとした。
ついで、軸芯体を金型に配置し、上記未加硫のシリコーンゴムを金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱して未加硫のシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、冷却後脱型した。その後、さらに180℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、樹脂層を軸芯体周囲に設けた。作製した樹脂層ローラ1の直径は16mmおよびアスカーC硬度は55度であった。
[樹脂層ローラ2の作製]
ジメチルポリシロキサン(1)50質量部及びジメチルポリシロキサン(2)50質量部の代わりに、ジメチルポリシロキサン(3)100質量部を用いた以外は、樹脂層ローラ1と同様の方法で樹脂層ローラ2を作製した。なお、ジメチルポリシロキサン(3)は、両末端にビニル基が置換し、主鎖の99mol%以上がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位であるものであり、Mwは60,000である。作製した樹脂層ローラ2の直径は16mmおよびアスカーC硬度は62度であった。
[樹脂層ローラ3の作製]
ジメチルポリシロキサン(1)50質量部及びジメチルポリシロキサン(2)50質量部の代わりに、ジメチルポリシロキサン(4)100質量部を用いた以外は、樹脂層ローラ1と同様の方法で樹脂層ローラ3を作製した。なお、ジメチルポリシロキサン(4)は、両末端にビニル基が置換し、主鎖の99mol%以上がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位であるものであり、Mwは40,000である。作製した樹脂層ローラ3の直径は16mmおよびアスカーC硬度は65度であった。
[樹脂層ローラ4の作製]
ジメチルポリシロキサン(1)50質量部及びジメチルポリシロキサン(2)50質量部の代わりに、ジメチルポリシロキサン(5)100質量部を用いた以外は、樹脂層ローラ1と同様の方法で樹脂層ローラ4を作製した。なお、ジメチルポリシロキサン(5)は、両末端にビニル基が置換し、主鎖の99mol%以上がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位であるものであり、Mwは25,000である。作製した樹脂層ローラ4の直径は16mmおよびアスカーC硬度は70度であった。
続いて、本発明の実施例および比較例におけるプレポリマー型ポリオール、イソシアネート化合物の合成方法を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[プレポリマー型ポリオール1(Pre−P1)の合成]
・ポリテトラメチレングリコール 100質量部
(商品名:PTG1000SN、保土ヶ谷化学社製)
・イソシアネート化合物 22質量部
(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業社製)
上記成分をMEK溶媒中で段階的に混合し、窒素雰囲気下80℃にて6時間反応させて、数平均分子量Mn=4,000のエーテル変性型のプレポリマー型ポリオール1(Pre−P1)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート1(Pre−BI1)の合成方法]
・エステルジオール 100質量部
(アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる。Mn=1000)
(商品名:P−1010、株式会社クラレ製)
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート 96質量部
(商品名:コスモネートM−100、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分65質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを25質量部滴下し、エステル変性プレポリマー型イソシアネート1(Pre−BI1)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート2(Pre−BI2)の合成方法]
・ポリプロピレングリコール 100質量部
(商品名:エクセノール720、旭硝子株式会社製)
・トリレンジイソシアネート 105質量部
(商品名:タケネートD−101A、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分72質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシム28質量部滴下し、エーテル変性プレポリマー型イソシアネート2(Pre−BI2)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート3(Pre−BI3)の合成方法]
・エステルジオール 100質量部
(アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる。Mn=1000)
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート 134質量部
(商品名:コスモネートM−100、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを35質量部滴下し、エステル変性プレポリマー型イソシアネート3(Pre−BI3)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート4(Pre−BI4)の合成方法]
・エステルジオール 100質量部
(セバシン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる。Mn=1000)
(商品名:P−1050、株式会社クラレ製)
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート 80質量部
(商品名:コスモネートM−100、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを24質量部滴下し、エステル変性プレポリマー型イソシアネート4(Pre−BI4)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート5(Pre−BI5)の合成方法]
・ポリテトラメチレングリコール 100質量部
(商品名:PTG1000SN、保土ヶ谷化学社製)
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート 85質量部
(商品名:コスモネートM−200、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを27質量部滴下し、エーテル変性プレポリマー型イソシアネート5(Pre−BI5)を得た。
[プレポリマー型イソシアネート6(Pre−BI6)の合成方法]
・ポリテトラメチレングリコール 100質量部
(商品名:PTG1000SN、保土ヶ谷化学社製)
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート 125質量部
(商品名:コスモネートM−200、三井化学ポリウレタン社製)
窒素雰囲気下において、上記成分を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを35質量部滴下し、エーテル変性プレポリマー型イソシアネート6(Pre−BI6)を得た。
続いて以下に本発明の実施例および比較例における、表面層形成用塗料液を下記に示すポリオールと上述のプレポリマー型ポリオール(A)、プレポリマー型イソシアネート(B)及び低分子型イソシアネート系化合物(C)から成る出発原料を用いることで調製した。
<ポリオール>
・ポリカプロラクトンポリオール(商品名:プラクセルL−212AL、ダイセル化学工業株式会社製)
・エステルポリオール(商品名:NS−2400、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなる。ADEKA株式会社製)
・エステルポリオール(商品名:P−3010、P−4010、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなる。株式会社クラレ製)
・エステルポリオール(商品名:P−1050、P−2050、P−3050、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとセバシン酸からなる。株式会社クラレ製)
・エステルポリオール(商品名:YG−108、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とイソフタル酸からなる。ADEKA株式会社製)
<低分子型イソシアネート系化合物>
・低分子ブロック型イソホロンジイソシアネート(商品名:B−874N、三井化学ポリウレタン社製)
・低分子ブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:B−882N、三井化学ポリウレタン社製)
・イソホロンジイソシアヌレート(商品名:B−1370、三井化学ポリウレタン社製)
・ヘキサメチレンジイソシアヌレート(商品名:TPAB80E、三井化学ポリウレタン社製)
「表面層形成用塗料液(1)の調製」
・エステルジオール 100質量部
(商品名:P−2050、株式会社クラレ製、セバシン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる。Mn=2,000)
・Pre−BI1 102質量部
・低分子ブロック型イソホロンジイソシアネート 9.2質量部
(商品名:B−874N、三井化学ポリウレタン社製)
表面層形成用塗料液の材料として、上記成分を混合して樹脂成分とした。続いて、この樹脂成分の固形分100質量部に対して、カーボンブラック(商品名:X−15、旭カーボン社製)24質量部およびMEKを加え、モーターで一時間混合攪拌した。続いて、総固形分比33質量%になるようにMEKをさらに加え、モーターで更に一時間混合攪拌をした。続いて、上記混合溶液を横型分散NVM−03(商品名、アイメックス社製)で周速7m/sec、流量1cc/min、分散液温度15℃の条件下で、3時間均一分散した。なお、この分散の際に、SΦ=1.5mmのガラスビーズ(商品名:DMB503B、ホッターズバロティニーズ社製)を用いた。次に、粗さ調整用樹脂粒子として、ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールCF−600T、根上工業社製)を樹脂成分の固形分100質量部に対して50質量部添加し、さらに1時間分散した。次に、この溶液を固形分18質量%になるようにMEKで希釈し、この溶液を300メッシュの網でろ過したものを表面層形成用塗料(1)とした。
「表面層形成用塗料液(2)〜(37)の調製」
本発明における表面層形成用塗料液(2)〜(37)は、上述の出発原料を用いた以外は、表面層形成用塗料液(1)と同様の方法で調製した。尚、塗料固形分の調製は、MEKの添加量を調整することで行った。各々の表面層形成に用いた出発原料の質量部と物性を表1に示す。
[実施例1]
まず、樹脂層ローラ1にエキシマUV処理を施すことで、表面処理を行った。樹脂層ローラ1の軸芯体を回転軸として30rpmで回転させながら、波長172nmの紫外線を細管エキシマランプ(ハリソン東芝ライティング製)により、積算光量が150mJ/cm2となるように照射して処理を行なった。照射時の弾性層表面とエキシマランプの距離は2mmとした。その後、表面層形成用塗料を形成することで現像ローラを作製した。
表面層の形成にあたっては、内径32mm、長さ300mmのシリンダーの下方から、液温を23℃に保った表面層形成用塗料(1)を毎分250cc注入し、該シリンダーの上端からあふれ出た液を再び該シリンダーの下方に循環させた。シリンダーに浸入速度100mm/sで、前記樹脂層(1)を浸漬させ、10秒間停止させた後に、初速400mm/s、終速200mm/sの条件で樹脂層(1)を引き上げて60分間、自然乾燥させた。次いで、150℃にて2時間加熱処理することで、表面層の原料の硬化を行い、厚さ4μmの表面層を有する実施例1の現像ローラ(1)を作製した。
続いて、以下に本発明の実施例、比較例中のおけるESCAを用いたUrCYの測定方法、FT-IRを用いた組成分析、マルテンス硬度(HM)の測定方法に関して説明する。
[現像ローラ表面層/ローラ物性の評価]
(UrcY測定方法)
本発明におけるUrcYの値は、表面層の膜厚をtとした時、表面層の最表面から、7t/8の深さにおけるESCAにより測定されたウレタン基由来の窒素元素の原子%で定義される。また、本発明におけるウレタン基とは、ビウレット結合、アロファナート結合、ウレア結合の如き、ウレタン結合に付随した官能基に関しても包含する。この時のUrCYの値が、ウレタン基もしくは他の官能基に由来するかの判断は、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトルを用いることで、定量的に評価を行うことができる。本発明のFT−IRスペクトル分析は、日本分光社(株)製のNicoletAVATAR360 FT−IRを用いて評価を行った。測定試料としては、後述する画像評価後にイソプロピルアルコールを染み込ました布で現像ローラ表面に付着したトナーおよび外添剤を拭き取った後、ウレタン表面層をバイオカッターで薄く削りとったものを使用した。
例えば、現像ローラ(1)の表面層をFT−IRで評価を行ったところ、エステル基(1200cm-1)とウレタン基(1710cm-1)に起因するスペクトルのみが確認された。
また、本発明に定義したUrCYは、下記条件で表面層をエッジングした後、ESCA分析により評価を行った。また、ESCA分析はアルバックファイ(株)社のQuantum2000を用い、以下の条件で行った。
〔エッジング条件〕
・スパッタリングイオン;C60イオン
・スパッタリング加速電圧;4kV
・ラスターサイズ;2×0.5mm2
〔ESCA分析条件〕
・X線源;モノクロ AI Kα
・Xray Settinng;100μmφ(25W(15KV))
・光電子取り出し角;45度
・中和条件;中和銃とイオン銃の併用
・分析領域;φ100μm
・Pass Energy;23.5eV
・ステップサイズ;0.1eV
例えば、現像ローラ(1)の表面層からの深さ7t/8の位置におけるESCA分析を行った結果、C、N、OおよびSiが構成元素として検出された。また、各々の原子%は、56.8%、2.0%、16.8%、24.3%であったこと、および、FT−IRの分析結果から、現像ローラ(1)のUrcYは2.0%である。また、本発明におけるUrcYの測定は、異なる場所を3点測定し、その相加平均値を用いた。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける結果を表4および5に示す。
(マルテンス硬度測定方法)
マルテンス硬度(HM)の測定は下記条件を用いる以外は、ISO14577−1(2002年)に準拠して測定する。測定装置として、ピコデンターHM500(商品名、フィッシャー・インストルメンツ株(製)を用いた。現像ローラおよび測定装置を、温度−10℃の環境中に24時間放置後に、測定を行った。現像ローラの両端から5mmの位置及び長手方向中央部において、周方向の異なる3点についてそれぞれ測定を行い、9点の相加平均を下記式(2)を用いて計算し、現像ローラのマルテンス硬度とした。各実施例及び比較例で作製した現像ローラのマルテンス硬度を表4および5に示す。
〔測定条件〕
・測定圧子形状;三角錐圧子(稜間隔115度、ベルコビッチタイプ)
・測定圧子材料;ダイヤモンド
・測定温度;−10℃、
・荷重速度および除荷速度;0.050mN/10s
・荷重時間;5.0s
・押し込み深さ;t/4μm(tは表面層の膜厚)
HM(N/mm2)=(試験荷重(N))/(試験荷重下でのダイヤモンド圧子の表面積(mm2))=F/(26.43×h2) ・・・式(2)
[F:押し込み荷重、h:圧子の押し込み量]
[実施例2〜27]
本発明における実施例2〜27における現像ローラ(2)〜(27)の作製は、上述の樹脂層ローラ及び表面層形成塗料液を組み合わせ、実施例1の現像ローラ(1)同様の方法で作製した。また、各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ(1)同様に行った。結果を表4に示す。
[実施例28]
樹脂層ローラの表面処理方法として、下記条件でコロナ放電処理装置(春日電機株式会社製)を用いて、コロナ処理を施した以外は、実施例14と同様の方法で、厚さ10μmの表面層を有する実施例28の現像ローラ(28)を作製した。また、各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ(1)同様に行った。結果を表4に示す。
〔コロナ処理条件〕
表2にコロナ処理条件を示す。
[実施例29]
樹脂層ローラの表面処理方法として、下記条件で火炎処理装置FTS−401(アルゴンガス社製)を用いて、火炎処理を施した以外は、実施例14と同様の方法で、厚さ10μmの表面層を有する実施例29の現像ローラ(29)を作製した。また、各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ(1)同様に行った。
〔火炎処理条件〕
表3に火炎処理条件を示す。
[実施例30]
樹脂層の表面処理を施さずに表面層の形成を行った以外は、実施例14と同様の方法で、厚さ10μmの表面層を有する実施例30の現像ローラ(30)を作製した。また、各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ(1)同様に行った。
[比較例1〜12]
表5に記載した構成を有する比較例1〜12に係る現像ローラを作製した。これらの現像ローラの各種特性の評価および画像評価を実施例1と同様に行った。その結果を表5に示す。
以下に実施例および比較例における画像評価方法を説明する。
[画像評価]
[高温高湿下における現像ブレード長期当接による画像スジの評価]
現像ローラを、電子写真プロセスカートリッジEP−85K(商品名、キヤノン株式会社製、色:黒)に組み込み、温度40℃、湿度95%RHの環境に30日間放置した。その後、さらに温度30℃、湿度85%RHの環境に24時間放置した。放置後、同環境において、電子写真プロセスカートリッジをキヤノン製プリンターLBP5500(商品名)改造機に組み込んだ。改造機は、現像ブレードとして、厚み100μmのリン青銅ブレードを用い、この現像ブレードにブレードバイアスを印加できるように改造したもの、かつ40rpmでフルカラー印字ができるように改造したものである。ブレードバイアスを現像バイアスに対して、−150Vに設定して、ベタ黒画像を3枚出力した。このベタ黒画像において、下記評価条件で、放置中の現像ブレードとの当接による現像ローラの変形に起因する画像スジを評価した。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける結果を表に示す。
A:ベタ黒画像において現像ローラの変形に起因する画像スジがほとんど確認できない。
B:ベタ黒画像において現像ローラの変形に起因する画像スジがわずかに確認できる。
C:ベタ黒画像において現像ローラの変形に起因する画像スジがはっきりと確認できる。しかし、常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)にカートリッジを24時間放置した後、再度ベタ黒画像形成すると、画像スジは認められない。
D:ベタ黒画像において現像ローラの変形に起因する画像スジがはっきりと確認できる。常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)にカートリッジを24時間放置した後、再度ベタ黒画像形成しても、画像スジが認められる。
[低温低湿環境下(温度:15℃、湿度:10%RH)における耐久カブリ評価]
高温高湿環境下における現像ブレード長期当接による画像スジ評価の後に、現像ローラを新品の電子写真プロセスカートリッジに組み込み、この電子写真プロセスカートリッジを温度10℃、湿度10%RHの環境に24時間放置した。放置後、同環境において、電子写真プロセスカートリッジをキヤノン製プリンターLBP5500(商品名)改造機に組み込み、ブレードバイアスを現像バイアスに対して、−200Vのバイアス条件で、1%の印字率で連続画像出力を行った。耐久カブリの評価は、ベタ白部分に3%を超えるカブリが観察される出力枚数を計測し、下記評価基準で行った。また、出力1000枚毎にマクベス社製の反射濃度計を用い、非印字部分(基準)および印字範囲のベタ白部の反射率を測定し、基準に対する反射率の低下量(%)を「カブリ」とした。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける結果を表に示す。
A:3%以上のカブリが、連続印字で25000枚印字しても確認されない。
B:3%以上のカブリが、連続印字20000枚以上25000枚未満で確認された。
C:3%以上のカブリが、連続印字10000枚以上20000枚未満で確認された。
D:3%以上のカブリが、連続印字10000枚未満で確認された。
〔樹脂層の表面層間の接着性評価〕
上記の画像評価後、現像ローラの樹脂層と表面層間の膜剥離を観察することで、接着性の評価を行った。画像評価後の電子写真プロセスカートリッジから現像ローラを取り出し、温度60℃、湿度90%RHの環境に30日間放置した。その後、さらに温度23℃、湿度50%RHの環境に24時間放置した。放置後、同環境において、JISK5400(1990年)に準拠して、セロハンテープNO.232(商品名、3M社製)を用いて、クロスカット試験方法により、樹脂層と表面層との接着性を以下の基準で評価した。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける結果を表に示す。
A:100マス当りの剥離マス数が0
B:100マス当りの剥離マス数が1以上5未満
C:100マス当りの剥離マス数が5以上20未満
D:100マス当りの剥離したマス数20以上。
表4および表5より、本発明に規定した条件を満たすことにより、高温高湿環境に長期保管しても、シリコーン樹脂層と表面層間の良好な層間接着性を示すことは明らかである。また、高温高湿下における現像ローラの変形に起因する画像スジ、低温低湿下における繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー固着の抑制を両立できたことは明らかである。特に、実施例13、14で作製した現像ローラにおいて、高温高湿環境における層間接着性、現像ローラの変形に起因する画像スジの抑制、低温低湿下における繰り返し画像を出力した際のトナー固着の抑制を高次元なレベルで達成できたことは明らかである。
それに対し、比較例1および2で作製した現像ローラは、マルテンス硬度HMが低く、高温高湿環境における現像ローラの変形量の増大に伴った画像スジが確認された。比較例3および4で作製した現像ローラは、膜厚が厚すぎるとともに、マルテンス硬度HMも過度に上昇し、低温低湿環境における繰り返し画像を出力した際に、カブリの悪化が確認された。また、比較例5で作製した現像ローラは、UrcYが低く、高温高湿環境において、長期期間放置した際に、顕著な層間剥離が確認されただけでなく、現像ローラの変形量の増大に伴った画像スジが確認された。逆に、比較例6で作製した現像ローラは、UrcYが高すぎるために、低温低湿環境における繰り返し画像を出力した際に、カブリの悪化が確認された。比較例7で作製した現像ローラは、比較例5の現像ローラ同様に、UrcYが低く、高温高湿環境において、長期期間放置した際に、顕著な層間剥離が確認された。比較例8で作製した現像ローラは、比較例6の現像ローラ同様に、UrcYが高すぎるために、低温低湿環境における繰り返し画像を出力した際に、カブリの悪化が確認された。比較例9の現像ローラは、UrcYが低すぎるために、高温高湿環境において、長期期間放置した際に、顕著な層間剥離が確認された。さらには、低温低湿環境において繰り返し画像を出力した際に、画像出力中に表面層が剥離し、トナー固着による画像弊害の評価を行うことができなかった。比較例10の現像ローラ同様に、UrcYが高すぎるために、低温低湿環境における繰り返し画像を出力した際に、カブリの悪化が確認された。比較例11で作製した現像ローラは、マルテンス硬度HMが低すぎるために、高温高湿環境における現像ローラの変形量の増大に伴った画像スジが確認された。逆に、比較例12で作製した現像ローラは、マルテンス硬度HMが高すぎるために、低温低湿環境における繰り返し画像を出力した際に、カブリの悪化が確認された。
1 現像ローラ
2 軸芯体
3 樹脂層
4 表面層

Claims (4)

  1. 軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられたシリコーン樹脂層と、該樹脂層の外周に設けられた表面層とを有する現像ローラにおいて、
    該表面層は、(A)3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料とするポリエステルポリオール、(B)ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを原料とするプレポリマー型イソシアネート、及び、(C)イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアヌレート、又は、ヘキサメチレンジイソシアヌレートである低分子型イソシアネート系化合物を含む表面層形成用塗布液の塗膜を、前記シリコーン樹脂層上に形成する工程、及び、該塗膜を硬化させる工程を経て形成されてなり、該(C)の極性が、該(B)の極性よりも低く、
    該表面層は、
    温度−10℃、荷重0.050mN/10s、荷重時間5.0s、および、該表面層の表面からの押し込み深さをt/4(ここで、tは該表面層の厚さ)としたときのマルテンス硬度HMが3.0以上4.5以下であり、かつ、
    該表面層の表面から深さ7t/8の位置におけるウレタン基由来の窒素元素の原子%が2.0%以上4.0%以下であることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記表面層の厚さtは、4μm以上20μm以下である請求項に記載の現像ローラ。
  3. 電子写真装置に着脱可能であり、請求項1または2に記載の現像ローラを具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または2に記載の現像ローラと、感光体とを具備していることを特徴とする電子写真装置。
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