JP2011120445A - モータ制御装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は制御上の回転角である制御角θCに従う座標系である。制御角θCとロータ角θMとの差(負荷角θL)に応じたアシストトルクが発生する。検出操舵トルクTがフィードバックされ、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に近づけるように、加算角αが生成される。加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に加算されることにより、制御角θCの今回値θC(n)が求められる。補正制御部38は、推定誘起電圧の二乗和Σに基づき、加算角ガード41による加算角補正の実施/非実施を決定し、加算角リミッタ24における制限値を変更する。
【選択図】図1
Description
前記補正手段は、指示値の一例としての前記制御角を補正するものであってもよい。また、前記補正手段は、前記加算角を補正することによって、前記制御角を実質的に補正するものであってもよい。
ロータ角速度の絶対値が大きいほど誘起電圧二乗値が大きくなる。したがって、誘起電圧二乗値の大小に応じて指示値の補正を行うか否かを決定することによって、ロータ角速度の絶対値の大小に応じて補正を行うか否かを決定できる。さらに、この発明では、誘起電圧二乗値が第1所定値以上になると補正を開始しているので、指示値を適切に補正することができる。
この発明では、誘起電圧二乗値が第1所定値以上になると(あるいは誘起電圧二乗値が第1所定値以上の状態が所定時間以上継続すると)補正を開始し、誘起電圧二乗値が第2所定値(<第1所定値)以下になると補正を停止する構成であるので、補正の開始および停止に対してヒステリシスが与えられている。これにより、誘起電圧二乗値の微小変化によって指示値補正の有無が変更されることがないから、モータの制御を安定化できる。
制限値の上限値=最大ロータ角速度×演算周期
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
請求項8記載の発明は、前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が所定値(Lth)以上のときは第1態様で前記指示値を補正し、前記誘起電圧が前記所定値未満のときは前記第1態様とは異なる第2態様で前記指示値を補正する、請求項1記載のモータ制御装置である。この構成により、誘起電圧二乗値の大小に応じて、少なくとも2種類の態様で指示値を補正できる。誘起電圧二乗値はロータ角速度に対応しているので、誘起電圧二乗値の大小に応じて指示値の補正態様を変更することにより、ロータ角速度に応じて適切な態様を選択して指示値を補正できる。これにより、一層適切なモータ制御が可能となる。
指示値の低減は、たとえば、モータ駆動値(指示値の一例)を周期的に零とすることによって実行されてもよい。これにより、モータ駆動がオン/オフされる。たとえば、モータの駆動対象に対して、モータトルクと、モータトルク以外のトルク(外部入力トルク)とが加えられる場合に、外部入力トルクの大きさが所定の目標絶対値(T0:たとえば一定値)となるようにモータを制御する場合を想定する。この場合、モータの駆動をオフすると、駆動対象には外部入力トルクのみが加えられることになる。このときの外部入力トルクをトルクセンサで検出すると、外部入力トルクの方向が分かる。そこで、たとえば、前記目標絶対値に対して前記検出された外部入力トルクの方向に応じた符号を付与することにより、外部入力トルクの目標値である指示トルク(T*)を設定してもよい。このようにして設定された指示トルクに基づいて、モータをフィードバック制御することができる。
前記指示値の低減は、さらに、誘起電圧二乗値が所定値(Fth)以下であることを必要条件として、加算角を低減補正(たとえば零に補正)することによって、制御角(指示値の一例)を実質的に補正することによって行われてもよい。これにより、ロータ角速度が小さいときに、ロータの回転を制限するトルクをモータから発生させることができる。たとえば、モータの駆動対象に対して、モータトルクと、モータトルク以外のトルク(外部入力トルク)とが加えられる場合を想定する。この場合において、外部入力トルクによって駆動対象の変位を抑制しようとするときに、加算角が低減されることにより、モータトルクによって駆動対象の変位抑制を補助できる。たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与えるモータを制御する場合には、ステアリングホイール等の操作部材を保持する保舵時において、モータトルクによって舵取り機構の変位が抑制されるので、運転者の操舵負担を低減できる。
前記モータ制御装置は、モータの誘起電圧を推定し、推定された誘起電圧に基づいて、前記演算周期当たりの前記ロータの角変位(ロータ角速度相当値)を演算する角変位演算手段(30)をさらに含んでいてもよい。この場合に、前記補正手段は、前記角変位演算手段によって演算された角変位に基づいて定められる所定範囲内の値となるように前記加算角を補正する加算角補正手段(41)を含んでいてもよい。
また、負荷角とモータトルクとに正の相関がある場合に、検出トルクが指示トルクよりも大きいときに、演算周期当たりのロータ角変位よりも加算角が過度に大きいと、加算角を適値に収束させるのに時間がかかる。また、検出トルクが指示トルクよりも小さいときに、演算周期当たりのロータ角変位よりも加算角が過度に小さいと、加算角を適値に収束させるのに時間がかかる。そこで、前記加算角補正手段は、前記検出トルクが前記指示トルクよりも大きいときには、前記加算角を前記角変位演算手段によって演算された角変位よりも所定の変化制限値だけ大きい値以下の値に補正し、前記検出トルクが前記指示トルクよりも小さいときには、前記加算角を前記角変位演算手段によって演算された角変位よりも所定の変化制限値だけ小さい値以上の値に補正することが好ましい。これにより、加算角が適値に収束しやすくなるので、制御の安定化を図ることができ、制御異常が生じたときでも正常状態への復帰を効果的に促すことができる。とくに、加算角の下限および上限の両方を演算周期当たりの角変位に応じて定めるようにすれば、一層妥当な制御を実現できる。
また、負荷角とモータトルクとに負の相関がある場合に、検出トルクが指示トルクよりも小さいときに、演算周期当たりのロータ角変位よりも加算角が過度に大きいと、加算角を適値に収束させるのに時間がかかる。また、検出トルクが指示トルクよりも大きいときに、演算周期当たりのロータ角変位よりも加算角が過度に小さいと、加算角を適値に収束させるのに時間がかかる。そこで、前記加算角補正手段は、前記検出トルクが前記指示トルクよりも小さいときには、前記加算角を前記角変位演算手段によって演算された角変位よりも所定の変化制限値だけ大きい値以下の値に補正し、前記検出トルクが前記指示トルクよりも大きいときには、前記加算角を前記角変位演算手段によって演算された角変位よりも所定の変化制限値だけ小さい値以上の値に補正することが好ましい。これにより、加算角が適値に収束しやすくなるので、制御の安定化を図ることができ、制御異常が生じたときでも正常状態への復帰を効果的に促すことができる。とくに、加算角の下限および上限の両方を演算周期当たりの角変位に応じて定めることにより、一層妥当な制御を実現できる。
請求項10記載の発明は、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するモータ(3)と、前記モータを制御するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ制御装置(5)とを含む、車両用操舵装置である。この構成によれば、誘起電圧二乗値に応じてモータ制御のための指示値を適切に補正することができるので、車両用操舵装置の操舵性能を向上できる。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御破綻監視部25と、制御角演算部26と、保舵判定部27と、誘起電圧推定部28と、回転角推定部29と、ロータ角変位演算部30と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/αβ変換部34Aと、αβ/UVW変換部34Bと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/αβ変換部36Aと、αβ/γδ変換部36Bと、誘起電圧二乗和演算部37と、補正制御部38と、ゲイン生成部39と、トルク偏差監視部40と、加算角ガード41と、故障検知部42と、ゲイン乗算部43と、加算角補正部44とが含まれている。
0の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの上限値とすればよい。この上限値以下に定められる制限値ωmax(ωmax=ωmax1またはωmax=ωmax2)を用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αには、ゲイン乗算部43において加算角ゲインGαが乗じられ、さらに、加算角補正部44によって必要時に補正が施される。この加算角補正部44から出力される加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御破綻監視部25は、制御角θCが収束しなくなる状態が生じたときに、制御破綻が発生したと判定する。たとえば、制御破綻監視部25は、トルクセンサ1が出力する操舵トルクTの絶対値が所定の閾値(たとえば7Nm)以上である状態が所定時間以上継続すると、制御破綻が発生したと判定するものであってもよい。この状況は、たとえば、モータ3に供給される電流が不足していて、いずれの制御角θCにおいても、指示操舵トルクT*を達成できない場合に生じる。また、制御破綻監視部25は、加算角リミッタ24から生成される加算角αを監視し、加算角αの絶対値が前記制限値ωmaxよりも小さな加算角しきい値(たとえば、制限値ωmaxの8割程度の値)に達したかどうかを監視するものであってもよい。この場合、たとえば、制御破綻監視部25は、加算角絶対値|α|が当該加算角しきい値以上の状態が所定時間継続すると、制御破綻が生じたと判定する。この状況は、たとえば、モータ3に供給される電流が不足していて、いずれの制御角θCにおいても、指示操舵トルクT*を達成できない場合に生じる。制御破綻監視部25は、こうして、制御破綻が発生したと判定すると、そのことを加算角補正部44に通知する。
ロータ角変位演算部30は、演算周期間の推定回転角θEの変化量を求めることによって、演算周期当たりのロータ50の角変位Δθ(ロータ角速度に相当する値)を求める。
γδ/αβ変換部34Aは、二相指示電圧Vγδ *をαβ座標系の二相指示電圧Vαβ *に変換する。この座標変換には、制御角演算部26で演算された制御角θCが用いられる。二相指示電圧Vαβ *は、α軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *からなる。αβ/UVW変換部34Bは、二相指示電圧Vαβ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
誘起電圧二乗和演算部37は、誘起電圧推定部28によって求められる推定誘起電圧の二乗和を求める。誘起電圧推定部28は、たとえば、α軸推定誘起電圧E^αおよびβ軸推定誘起電圧E^βを求める。この場合に、誘起電圧二乗和演算部37は、誘起電圧二乗和Σ=E^α 2+E^β 2(≧0)を演算する。
加算角補正部44は、制御破綻監視部25から制御破綻の発生が通知されたときに、加算角αを補正する働きを担う。具体的には、加算角補正部44は、所定の基本値B(0<B<ωmax)に対して正符号「+」もしくは負符号「−」を付与した値、または零を加算角αとして設定する。加算角補正部44は、保舵判定部27によって保舵状態であると判定されているときは、加算角αを零とする。保舵状態でないときは、加算角補正部44は、基本値Bに対して操舵トルクTに応じた符号を付して加算角目標値α*を設定し、この加算角目標値α*に向けて加算角αを漸次的に変化させる。制御破綻が発生していないときは、ゲイン乗算部43が生成する加算角αは、加算角補正部44による補正を受けることなく、そのまま制御角演算部26に与えられる。
トルク偏差監視部40は、トルク偏差演算部22によって演算されるトルク偏差ΔTの符号を監視することにより、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの大小関係を判定する。その判定結果は、加算角ガード41に与えられるようになっている。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角ガード41、加算角リミッタ24、ゲイン乗算部43および加算角補正部44の機能は省略してある。
この実施形態では、負荷角θLとモータトルク(アシストトルク)とが正の相関を有する領域で負荷角θLが調整されるように、加算角αが制御される。具体的には、q軸電流Iq=IγsinθLであるから、−90°≦θL≦90°となるように、加算角αが制御される。むろん、負荷角θLとモータトルク(アシストトルク)とが負の相関を有する領域で負荷角θLが調整されるように、加算角αを制御することもできる。この場合、90°≦θL≦270°となるように、加算角αが制御される。PI制御部23のゲインを正にすれば正の相関領域での制御となり、PI制御部23のゲインを負にすれば負の相関領域での制御となる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
トルク偏差監視部40は、トルク偏差演算部22によって演算されるトルク偏差ΔTの符号を監視しており、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの大小関係に関する情報を加算角ガード41に与える。
加算角αは、演算周期間の制御角θCの変化量であり、γδ座標軸の演算周期当たりの角変位(ロータ角速度に相当する。)に等しい。よって、加算角αが演算周期当たりのロータ角変位Δθよりも大きければ負荷角θLが大きくなり、加算角αがロータ角変位Δθよりも小さければ負荷角θLが小さくなる。そして、負荷角θLとモータトルク(アシストトルク)とに正の相関がある場合には、負荷角θLが大きくなればモータトルクが大きくなり、負荷角θLが小さくなればモータトルクが小さくなる。
図8Bに示す処理では、検出操舵トルクTと指示操舵トルクT*との大小関係に応じた処理が、図8Aの処理とは逆になっている。すなわち、検出操舵トルクTが指示操舵トルクT*よりも小さいとき(ステップS11A:YES)、加算角ガード41は、加算角αが、ロータ角変位Δθよりも小さいかどうかを判断する(ステップS12)。この判断が肯定されると、加算角ガード41は、加算角αにロータ角変位Δθを代入する(ステップS13)。すなわち、加算角αがロータ角変位Δθに補正される。加算角αがロータ角変位Δθ以上であれば(ステップS12:NO)、加算角ガード41は、さらに、加算角αを、ロータ角変位よりも変化制限値Aだけ大きな値(Δθ+A)と比較する(ステップS14)。加算角αが当該値(Δθ+A)よりも大きいときには(ステップS14:YES)、加算角ガード41は、加算角αに当該値(Δθ+A)を代入する(ステップS15)。加算角αが当該値(Δθ+A)以下であれば(ステップS14:NO)、加算角αの補正は行われない。
負荷角θLとモータトルク(アシストトルク)とに負の相関がある場合には、負荷角θLが大きくなればモータトルクが小さくなり、負荷角θLが小さくなればモータトルクが大きくなる。
誘起電圧二乗和Σが補正実施閾値Cth1以上のときは(ステップS22:YES)、補正実施フラグを「オン」とし(ステップS23)、制限値ωmaxを第1制限値ωmax1(たとえば、ωmax1=35度)に設定する(ステップS24)。この制限値ωmax(=ωmax1)を用いて、加算角リミッタ24による制限処理(図7参照)が実行される(ステップS25)。さらに、補正実施フラグが「オン」であるので(ステップS26:YES)、加算角ガード41による加算角ガード処理(図8Aおよび図8B参照)が実行される(ステップS27)。
図9Bは、補正制御部38等の働きの他の例を説明するためのフローチャートである。図9Bにおいて、図9Aに示された各ステップと同様の処理が行われるステップには、図9A中と同一参照符号を付して示す。
図10は、誘起電圧推定部28の構成を説明するためのブロック図である。誘起電圧推定部28は、二相検出電流Iαβと二相指示電圧Vαβ *とに基づいて、モータ3の誘起電圧を推定する。より具体的には、誘起電圧推定部28は、モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバとしての形態を有している。モータモデルは、たとえば、(R+pL)−1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。モータ3には、二相指示電圧Vαβ *と誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
Σ=E^α 2+E^β 2 ……(8)
図11Aは、ゲイン生成部39が生成する加算角ゲインの特性例を示す図である。ゲイン生成部39は、0以上1以下の加算角ゲインGαを生成する。図11Aの例では、誘起電圧二乗和Σの増加に応じて単調に増加する特性に従って加算角ゲインGαが設定される。より具体的には、誘起電圧二乗和Σが0から所定値までの低値域では、加算角ゲインGαは1未満の比較的小さな一定値とされる。さらに、誘起電圧二乗和Σが前記所定値以上の範囲では、加算角ゲインGαは、前記一定値から1まで単調(図11Aの例ではリニア)に増加する特性に従って設定される。
保舵判定部27は、保舵判定フラグがオフ状態で、かつ、誘起電圧二乗和Σが閾値Gth(>0。たとえばGth=10)よりも小さいかどうかを判断する(ステップS61)。この判断が肯定されると、保舵判定部27は、カウンタC1が閾値Hthよりも大きいかどうかを判断する(ステップS62)。カウンタC1は、ステップS61の条件が成立する継続時間を計測するためのカウンタである。閾値Hthは、たとえば、時間に換算して0.1秒程度に相当する値とされてもよい。カウンタC1の値が閾値Hth以下のときは(ステップS62:NO)、保舵判定部27は、カウンタC1をインクリメントする(ステップS63)。カウンタC1の値が閾値Hthを超えると(ステップS62:YES)、保舵判定部27は、保舵判定フラグをオン状態とする(ステップS64)。このようにして、誘起電圧二乗和Σが小さく、したがって、ロータ角速度が小さい状態が継続したときに、保舵状態であると判定され、保舵判定フラグがオン状態とされる。
ステップS61において、保舵判定フラグがオン状態であるか、または誘起電圧二乗和Σが閾値Gth以上であると判断されると、ステップS62〜S65の処理が省かれる。
図15は、この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。この図15において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示し、以下では、第1の実施形態との相違点を主として説明する。この第2の実施形態では、マイクロコンピュータ11は、機能処理部として、ダンピング制御部60と、ダンピングトルク生成部61と、トルク指示値加算部62と、ゲイン乗算部63と、ゲイン補正部64とを有している。
誘起電圧二乗和Σが閾値Lth以上であり(ステップS82:YES)、したがって、ロータ角変位Δθ(ロータ角速度相当値)の信頼性が充分であるときは、ダンピング制御部60は、ダンピングトルク生成部61を用いたダンピング制御(前記第1の態様)を有効化し、ゲイン生成部39によるダンピング制御(前記第2の態様)を無効化する。具体的には、ダンピングトルク生成部61はロータ角変位Δθに応じたダンピングトルク指示値を生成し(ステップS83)、ダンピング制御部60は漸増・漸減ゲインξの目標値を1とする(ステップS84)。漸増・漸減ゲインξは、ゲイン乗算部63においてダンピングトルク指示値に乗じられる。ゲイン補正部64による補正後の加算角ゲインGα′は、前述のとおり、Gα′=ξ+Gα(1−ξ)である。ξ=1のとき、ダンピングトルク生成部61が生成するダンピングトルク指示値が完全に有効となり、また、Gα′=ξ=1となるので、ゲイン生成部39が生成する加算角ゲインGαが完全に無効となる。
[第3の実施形態]
図19は、この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置が適用された車両用操舵装置の構成を説明するためのブロック図である。この図19において、前述の図1に示された各部に対応する部分には、同一参照符号を付して示し、以下では、第1の実施形態との相違点を主として説明する。
加算角ゲイン生成部70は、誘起電圧二乗和Σに応じて可変設定されるインターバル時間で所定の実行時間(たとえば0.005秒)に渡って一定の加算角ゲインGα(0<Gα<1。たとえば、Gα=0.9)をゲイン乗算部43に与える。また、積分項設定部71は、前記実行時間中に、PI制御部23における積分項の前回値を変更する。より具体的には、積分項前回値に対して前記加算角ゲインGαを乗じた値を新たな積分項前回値として設定する。インターバル時間は、たとえば、0.001秒〜1秒の範囲で設定されることが好ましい。ただし、乗算部43における加算角ゲインGαの乗算と、積分項設定部71における積分項前回値の変更とは、いずれか一方が行われればよい。
また、前述の実施形態では、ロータ角変位Δθだけでなくトルク偏差ΔTにも基づいて加算角αを補正しているが、トルク偏差ΔTに基づく加算角αの補正は省いてもよい。具体的には、加算角ガード41は、ロータ角変位Δθを用いて、Δθ−A≦α≦Δθ+Aの範囲に加算角αを制限するものであってもよい。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31において、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ *を発生させるようにすればよい。
Claims (10)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを指示値に基づいて制御するためのモータ制御装置であって、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、
所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
前記モータの誘起電圧を推定し、推定された誘起電圧の二乗値を演算する誘起電圧二乗値演算手段と、
前記誘起電圧二乗値演算手段によって演算された誘起電圧二乗値に基づいて前記指示値を補正する補正手段とを含む、モータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が第1所定値以上になると前記指示値の補正を開始する、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が第1所定値以上の状態が所定時間以上継続したときに前記指示値の補正を開始する、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が前記第1所定値よりも小さい第2所定値以下になると前記指示値の補正を停止する、請求項2または3記載のモータ制御装置。
- 前記加算角演算手段によって演算された加算角を所定の制限値で制限する加算角制限手段をさらに含み、
前記補正手段は、前記加算角制限手段における前記制限値を変更する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記加算角演算手段によって演算された加算角に前記誘起電圧二乗値に応じたゲインを乗算することにより、実質的に前記指示値を補正する、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記加算角演算手段によって演算された加算角を所定の制限値で制限する加算角制限手段をさらに含み、
前記補正手段は、
前記加算角制限手段における前記制限値を変更する手段と、
前記加算角制限手段によって制限された後の加算角に前記誘起電圧二乗値に応じたゲインを乗算することにより、実質的に前記指示値を補正する手段とを含む、請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が所定値以上のときは第1態様で前記指示値を補正し、前記誘起電圧が前記所定値未満のときは前記第1態様とは異なる第2態様で前記指示値を補正する、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、前記誘起電圧二乗値が所定値以下の場合に、前記指示値を低減補正する、請求項1記載のモータ制御装置。
- 車両の舵取り機構に駆動力を付与するモータと、
前記モータを制御するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ制御装置とを含む、車両用操舵装置。
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