JP5545465B2 - モータ制御装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
前記モータ負荷演算手段(27)は、前記モータの負荷を測定するモータ負荷測定手段を含むものであってもよいし、前記モータの負荷を推定するモータ負荷推定手段を含むものであってもよい。
請求項2記載の発明は、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するためのモータ(3)と、前記モータを制御する請求項1記載のモータ制御装置とを含み、前記モータ負荷演算手段が、前記車両の操向のために操作される操作部材の操舵角または前記車両の車輪の転舵角に基づいて、前記モータの負荷を推定するものである、車両用操舵装置である。この構成では、操舵部材の操舵角または車両の車輪の転舵角に基づいて、モータ負荷が推定される。そして、推定されたモータ負荷が所定値以上である場合に、制御角、加算角または軸電流値が制限される。したがって、この構成においても、モータの出力可能最大トルクよりもモータ負荷が大きくなるのを回避できるか、またはトルク制御不能状態となるのを回避できるようになる。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。舵角センサ4は、ステアリングホイール10の中立位置(基準位置)からのステアリングホイール10の正逆両方向の回転量(回転角)を検出するものであり、中立位置から右方向への回転量を正の値として出力し、中立位置から左方向への回転量を負の値として出力する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、加算角変更部25と、制御角演算部26と、モータ負荷演算部27と、指示電流値生成部30と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの既定値とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
モータ負荷演算部27は、舵角センサ4によって検出される操舵角に基づいてモータの負荷(負荷トルク)を演算する。負荷トルクは、操舵角の絶対値が大きくなるに従って大きくなる。そこで、モータ負荷演算部27は、舵角センサ4によって検出される操舵角の絶対値に基づいて負荷トルクを推定する。この実施形態では、モータ負荷演算部27は、舵角センサ4によって検出される操舵角の絶対値を、負荷トルクに応じた値として、加算角変更部25に与える。加算角変更部25には、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクTも与えられる。
指示電流値生成部30は、制御上の回転角である前記制御角θCに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ *およびδ軸指示電流値Iδ *(以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ *」という。)を生成する。指示電流値生成部30は、γ軸指示電流値Iγ *を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ *を零とする。より具体的には、指示電流値生成部30は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ *を設定する。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24および加算角変更部25の機能は省略してある。
図7は、加算角リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θCに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
この実施形態では、図1に示されている加算角変更部25および制御角制限部28は設けられていない。この実施形態では、指示電流値生成部30によって生成される指示電流値を変更する指示電流値変更部31が、マイクロコンピュータ11の機能処理部として備えられている。
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
Claims (2)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備え、車両の舵取り機構に駆動力を付与するためのモータを、ロータの回転角を検出するための回転角センサを用いずに制御するためのモータ制御装置であって、
前記車両の操向のために操作される操作部材に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
操舵トルクの目標値としての指示操舵トルクを設定する指示操舵トルク設定手段と、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
前記指示操舵トルク設定手段によって設定される指示操舵トルクと前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとの偏差に応じて加算角を演算する加算角演算手段と、
所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
前記モータの負荷を測定または推定するためのモータ負荷演算手段と、
前記モータ負荷演算手段によって測定または推定されたモータの負荷が所定値以上である場合に、前記制御角、前記加算角または前記軸電流値を制限する制限手段とを含む、モータ制御装置。 - 車両の舵取り機構に駆動力を付与するためのモータと、
前記モータを制御する請求項1記載のモータ制御装置とを含み、
前記モータ負荷演算手段が、前記車両の操向のために操作される操作部材の操舵角または前記車両の車輪の転舵角に基づいて、前記モータの負荷を推定するものである、車両用操舵装置。
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