JP2010213550A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θに従う座標系である。制御角θとロータ角θとの差は負荷角θである。この負荷角θに応じたアシストトルクTが発生する。一方、操舵トルクTがフィードバックされ、指示操舵トルクTに操舵トルクTを近づけるように、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に加算されることにより、制御角θの今回値θ(n)が求められる。加算角αは、加算角リミッタ24による制限を受ける。トルク偏差ΔTと操舵トルク微分値T’との乗算値ΔT・T’の符号に応じて、加算角リミッタ24の制限値ωmaxが変更される。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、車両用操舵装置の駆動源として使用可能である。車両用操舵装置の一例は、電動パワーステアリング装置である。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、一般的には、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。しかし、レゾルバは、高価であり、配線数が多く、また、設置スペースも大きい。そのため、ブラシレスモータを備えた装置のコスト削減および小型化が阻害されるという課題がある。
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
特開2007-267549号公報
上記のセンサレス駆動方式は、誘起電圧やセンシング信号を用いてロータの回転位置を推定し、その推定によって得られた回転位置に基づいてモータを制御するものである。しかし、この駆動方式は、いずれの用途にも適しているわけではなく、たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置その他の車両用操舵装置の駆動源として用いられるブラシレスモータの制御に適用するための手法は未だ確立されていない。そのため、別の方式によるセンサレス制御の実現が望まれている。
そこで、この発明の目的は、回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置であって、制御上の回転角である制御角(θ)に従う回転座標系の軸電流値(Iγ )で前記モータを駆動する電流駆動手段(31〜36)と、前記制御角に加算すべき加算角(α)を演算する加算角演算手段(22,23)と、所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段(26)と、加算角の絶対値を制限値以下に制限する加算角制限手段(24)と、前記制御角とモータトルクとの間に正の相関があるか負の相関があるかに応じて、前記加算角制限手段の制限値を変更する制限値変更手段(27)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、制御角に従う回転座標系(γδ座標系。以下「仮想回転座標系」といい、この仮想回転座標系の座標軸を「仮想軸」という。)の軸電流値(以下「仮想軸電流値」という。)によってモータが駆動される一方で、制御角は、演算周期毎に加算角を加算することによって更新される。これにより、制御角を更新しながら、すなわち、仮想回転座標系の座標軸(仮想軸)を更新しながら、仮想軸電流値でモータを駆動することによって、必要なトルクを発生させることができる。こうして、回転角センサを用いることなく、モータから適切なトルクを発生させることができる。前記加算角は、たとえば、モータが発生すべきトルクに対応する値とされる。
また、この発明では、加算角制限手段(24)によって前記加算角が制限値以下に制限される。このように加算角に適切な制限を加えることによって、実際のロータの回転に比して過大な加算角が制御角に加算されることを抑制できる。より具体的には、ロータの回転速度範囲に対して妥当な範囲内で加算角が設定されるように制限を加えることによって、より適切にモータを制御することができる。
さらに、この発明では、制御角とモータトルクとの間に正の相関があるか負の相関があるかに応じて、加算角制限手段の制限値が変更される。より具体的には、制御角に対してモータトルクが正の相関を有する角度範囲内に制御角が存在しているか、またはそれらの間に負の相関のある角度範囲内に制御角が存在しているかに応じて、加算角制限手段の制限値を適切な値に設定することができる。このため、より適切にモータを制御することができる。
請求項2記載の発明は、前記制限値変更手段は、前記制御角とモータトルクとの間に負の相関があるときに、前記加算角制限手段の制限値を既定値より減少させるものである、請求項1記載のモータ制御装置である。制御角に対してモータトルクが負の相関を有する角度範囲内に制御角が存在しているときには、適切なモータトルクが得られる適値へと制御角を迅速に収束させることは困難である。演算周期毎に加算角を制御角の前回値に加算することで、適切なモータトルクから離れる方向にモータトルクが変化するおそれがあるからである。
そこで、この発明では、制御角に対してモータトルクが負の相関を有する角度範囲内に制御角が存在しているときには、前記加算角制限手段の制限値を既定値より減少させる。これにより、制御角の前回値に加算される加算角の絶対値を抑制でき、制御角が変化するのを抑制できるから、モータトルクの不所望な変化を抑制できる。
このような状態が保たれている間に、たとえば外力によってロータが回転されると、ロータの回転に伴って、制御角とロータ角との関係が変動する。これにより、制御角に対してモータトルクが正の相関を有する角度範囲内に制御角が存在する状態に至る。そこで、その後は、制限値を通常値(既定値)へと復帰させれば、制御角を速やかに適値へと収束させることができる。このようにして、制御角に対してモータトルクが負の相関を有する状態から、制御角に対してモータトルクが正の相関を有する状態への復帰を促すことができ、結果として、制御角を適値へと速やかに収束させ、適切なモータトルクを発生させることが可能となる。
前記制限値の通常値(既定値。制御角とモータトルクとの間に正の相関があるときに適用される制限値)は、たとえば、次式によって定められた値であってもよい。ただし、次式における「最大ロータ角速度」とは、電気角でのロータ角速度の最大値である。
既定値=最大ロータ角速度×演算周期
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
前記モータは、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するものであってもよい。この場合に、前記モータ制御装置が、前記車両の操向のために操作される操作部材(10)に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段(1)と、指示操舵トルクを設定する指示操舵トルク設定手段(21)とをさらに含み、前記加算角演算手段が、前記指示操舵トルク設定手段によって設定される指示操舵トルクと前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとの偏差に応じて前記加算角を演算するものであることが好ましい。
この構成によれば、指示操舵トルクが設定され、この指示操舵トルクと操舵トルク(検出値)との偏差に応じて前記加算角が演算される。これにより、操舵トルクが当該指示操舵トルクとなるように加算角が定められ、それに応じた制御角が定められることになる。したがって、指示操舵トルクを適切に定めておくことによって、モータから適切な駆動力を発生させて、これを舵取り機構に付与することができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が指示操舵トルクに応じた値に導かれる。その結果、適切なトルクがモータから発生され、運転者の操舵意図に応じた駆動力を舵取り機構に付与できる。
この場合において、前記制限値変更手段は、指示操舵トルクと検出操舵トルクとに基づいて、制御角とモータトルクとの間に正の相関があるか、または負の相関があるかを判別する判別手段(ステップS11〜S13)と、前記判別手段の判別結果に応じて、前記加算角制限手段の制限値を変更する手段(ステップS14,15)とを含む、ものであってもよい。
より具体的には、前記判別手段は、指示操舵トルクから検出操舵トルクを引いて得られるトルク偏差の符号(ΔT)と、検出操舵トルクの変化量(たとえば演算周期間の変化量。操舵トルク微分値T’)の符号との一致/不一致に基づいて、制御角に対してモータトルクが正の相関を有する角度範囲内に制御角が存在しているか、またはそれらが負の相関を有する角度範囲内に制御角が存在しているかを判別するものであってもよい。たとえば、前記判別手段は、前記トルク偏差の符号と検出操舵トルクの変化量の符号とが不一致であれば、制御角とモータトルクとの間に負の相関があると判別するものであってもよい。
前記モータ制御装置は、前記操作部材の操舵角を検出する操舵角検出手段(4)をさらに含み、前記指示操舵トルク設定手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角に応じて指示操舵トルクを設定するものであることが好ましい。この構成によれば、操作部材の操舵角に応じて指示操舵トルクが設定されるので、操舵角に応じた適切なトルクをモータから発生させることができ、運転者が操作部材に加える操舵トルクを操舵角に応じた値へと導くことができる。これにより、良好な操舵感を得ることができる。
前記指示操舵トルク設定手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段(6)によって検出される当該車速に応じて指示操舵トルクを設定するものであってもよい。この構成によれば、車速に応じて指示操舵トルクが設定されるので、いわゆる車速感応制御を行うことができる。その結果、良好な操舵感を実現できる。たとえば、車速が大きいほど、すなわち、高速走行時ほど指示操舵トルクを小さく設定することより、すぐれた操舵感が得られる。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。 操舵角に対する指示操舵トルクの特性例を示す図である。 γ軸指示電流値の設定例を示す図である。 加算角リミッタの働きを説明するためのフローチャートである。 制御角加算量抑制器の働きを説明するための図である。 制御角加算量抑制器の働きを説明するための図である。 制御角加算量抑制器による処理を説明するためのフローチャートである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルク、舵角センサ4が検出する操舵角および車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角(ロータ角)θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θに従う実回転座標系である。このロータ角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
一方、この実施形態では、制御上の回転角を表す制御角θが導入される。制御角θは、U軸に対する仮想的な回転角である。この制御角θに対応する仮想的な軸をγ軸とし、このγ軸に対して90°進んだ軸をδ軸として、仮想二相回転座標系(γδ座標系。仮想回転座標系)を定義する。制御角θがロータ角θに等しいとき、仮想回転座標系であるγδ座標系と実回転座標系であるdq座標系とが一致する。すなわち、仮想軸としてのγ軸は実軸としてのd軸と一致し、仮想軸としてのδ軸は実軸としてのq軸と一致する。γδ座標系は、制御角θに従う仮想回転座標系である。UVW座標系とγδ座標系との座標変換は、制御角θを用いて行うことができる。
制御角θとロータ角θとの差を負荷角θ(=θ−θ)と定義する。
制御角θに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iとの間に、次式(1)の関係が成立する。
=Iγ・sinθ …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
電流検出部13は、モータ3の各相のステータ巻線51,52,53に流れる相電流I,I,I(以下、総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、制御角加算量抑制器27と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
指示操舵トルク設定部21は、舵角センサ4によって検出される操舵角と、車速センサ6によって検出される車速とに基づいて、指示操舵トルクTを設定する。たとえば、図4に示すように、たとえば、操舵角が正の値(右方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは正の値(右方向へのトルク)に設定され、操舵角が負の値(左方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは負の値(左方向へのトルク)に設定される。そして、操舵角の絶対値が大きくなるに従って、その絶対値が大きくなるように(図4の例では非線型に大きくなるように)指示操舵トルクTが設定される。ただし、所定の上限値(正の値。たとえば、+6Nm)および下限値(負の値。たとえば−6Nm)の範囲内で指示操舵トルクTの設定が行われる。また、指示操舵トルクTは、車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。すなわち、車速感応制御が行われる。
トルク偏差演算部22は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクTとトルクセンサ1によって検出される操舵トルクT(以下、区別するために「検出操舵トルクT」という。)との偏差(トルク偏差)ΔTを求める。PI制御部23は、このトルク偏差ΔTに対するPI演算を行う。すなわち、トルク偏差演算部22およびPI制御部23によって、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くためのトルクフィードバック制御手段が構成されている。PI制御部23は、トルク偏差ΔTに対するPI演算を行うことで、制御角θに対する加算角αを演算する。
より具体的には、PI制御部23は、比例要素23aと、積分要素23bと、加算器23cとを備えている。ただし、Kは比例ゲイン、Kは積分ゲイン、1/sは積分演算子である。比例要素23aおよび積分要素23bの演算結果が加算器23cで加算されることによって、加算角αが求められる。
加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αに対して制限を加える加算角制限手段である。より具体的には、加算角リミッタ24は、上限値UL(正の値)と下限値LL(負の値)との間の値に加算角αを制限する。上限値ULおよび下限値LLは、制限値ωmax(ωmax>0)に基づいて定められる。加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(2)(3)で表すことができる。
UL=+ωmax …(2)
LL=−ωmax …(3)
制限値ωmax xの規定値(たとえば45度)は、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大操舵角速度のときのロータ50の電気角の変化速度(電気角での角速度。最大ロータ角速度)は、次式(4)のとおり、最大操舵角速度と、減速機構7の減速比と、ロータ50の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(4)
制御角θの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(5)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
ロータ角変化量最大値=最大ロータ角速度×演算周期
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(5)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの規定値とすればよい。
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θの前回値θ(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御角演算部26は、制御角θの前回値θ(n-1)に加算角リミッタ24から与えられる加算角αを加算する加算器26Aを含む。すなわち、制御角演算部26は、所定の演算周期毎に制御角θを演算する。そして、前演算周期における制御角θを前回値θ(n-1)とし、これを用いて今演算周期における制御角θである今回値θ(n)を求める。
制御角加算量抑制器27は、制御角θの前回値が、制御角θに対してモータトルク(アシストトルク)が正の相関を有する角度範囲内に存在しているか、または負の相関を有する角度範囲内に存在しているかに応じて、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを変更する。
より具体的には、制御角加算量抑制器27は、制御角θに対してアシストトルクが正の相関を有する角度範囲内に、制御角θの前回値が存在しているときには、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値とする。一方、制御角θに対してモータトルク(アシストトルク)が負の相関を有する角度範囲内に、制御角θの前回値が存在しているときには、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値よりも小さくする。制御角加算量抑制器27の動作の詳細については、後述する。
指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ およびδ軸指示電流値Iδ (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ 」という。)を生成する。指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ を零とする。より具体的には、指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ を設定する。
検出操舵トルクTに対するγ軸指示電流値Iγ の設定例は、図5に示されている。検出操舵トルクTが零付近の領域には不感帯NRが設定されている。γ軸指示電流値Iγ は、不感帯NRの外側の領域で急峻に立ち上がり、所定のトルク以上でほぼ一定値となるように設定される。これにより、運転者がステアリングホイール10を操作していないときには、モータ3への通電が停止され、不必要な電力消費が抑制される。
電流偏差演算部32は、指示電流値生成部31によって生成されるγ軸指示電流値Iγ に対するγ軸検出電流Iγの偏差Iγ −Iγと、δ軸指示電流値Iδ (=0)に対するδ軸検出電流Iδの偏差Iδ −Iδとを演算する。γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδは、UVW/γδ変換部36から偏差演算部32に与えられるようになっている。
UVW/γδ変換部36は、電流検出部13によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相検出電流I、V相検出電流IおよびW相検出電流I)をγδ座標系の二相検出電流IγおよびIδ(以下総称するときには「二相検出電流Iγδ」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部32に与えられるようになっている。UVW/γδ変換部36における座標変換には、制御角演算部26で演算される制御角θが用いられる。
PI制御部33は、電流偏差演算部32によって演算された電流偏差に対するPI演算を行うことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vγδ (γ軸指示電圧Vγ およびδ軸指示電圧Vδ )を生成する。この二相指示電圧Vγδ が、γδ/UVW変換部34に与えられる。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW を生成する。三相指示電圧VUVW は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V からなる。この三相指示電圧VUVW は、PWM制御部35に与えられる。
PWM制御部35は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
電流偏差演算部32およびPI制御部33は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れるモータ電流が、指示電流値生成部31によって設定される二相指示電流値Iγδ に近づくように制御される。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)に対するPI制御(Kは比例係数、Kは積分係数、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に対して加算されることによって、制御角θの今回値θ(n)=θ(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θとロータ50の実際のロータ角θとの偏差が負荷角θ=θ−θとなる。
したがって、制御角θに従うγδ座標系(仮想回転座標系)のγ軸(仮想軸)にγ軸指示電流値Iγ に従ってγ軸電流Iγが供給されると、q軸電流I=Iγsinθとなる。このq軸電流Iがロータ50の発生トルクに寄与する。すなわち、モータ3のトルク定数Kをq軸電流I(=Iγsinθ)に乗じた値が、アシストトルクT(=K・Iγsinθ)として、減速機構7を介して、舵取り機構2に伝達される。このアシストトルクTを舵取り機構2からの負荷トルクTから減じた値が、運転者がステアリングホイール10に与えるべき操舵トルクTである。この操舵トルクTがフィードバックされることによって、この操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くように系が動作する。つまり、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるべく、加算角αが求められ、それに応じて制御角θが制御される。
このように制御上の仮想軸であるγ軸に電流を流す一方で、指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差ΔTに応じて求められる加算角αで制御角θを更新していくことにより、負荷角θが変化し、この負荷角θに応じたトルクがモータ3から発生するようになっている。これにより、操舵角および車速に基づいて設定される指示操舵トルクTに応じたトルクをモータ3から発生させることができるので、操舵角および車速に対応した適切な操舵補助力を舵取り機構2に与えることができる。すなわち、操舵角の絶対値が大きいほど操舵トルクが大きく、かつ、車速が大きいほど操舵トルクが小さくなるように、操舵補助制御が実行される。
このようにして、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる電動パワーステアリング装置を実現できる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。
図6は、加算角リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが上限値UL以下であれば(ステップS1:NO)、加算角リミッタ24は、さらに、その加算角αを下限値LLと比較する(ステップS3)。そして、その加算角αが下限値未満であれば(ステップS3:YES)、下限値LLを加算角αに代入する(ステップS4)。したがって、制御角θに対して下限値LL(=−ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが下限値LL以上上限値UL以下(ステップS3:NO)であれば、その加算角αがそのまま制御角θへの加算のために用いられる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
図7および図8は、制御角加算量抑制器27の働きを説明するための説明図である。図7は、負荷角θとアシストトルクとの関係を示している。図8(a)および図8(b)は、制御角θとアシストトルクとの関係を示している。
q軸電流Iは、負荷角θを用いてI=Iγsinθ(θ=θ−θ)で与えられる。アシストトルクは、モータ3のトルク定数をq軸電流Iに乗算した値となる。したがって、負荷角θに対するアシストトルクの変化は、図7に示すように、0°≦θ<90°,270°≦θ≦360°の区間Aでは単調増加となり、90°≦θ<270°の区間Bでは単調減少となる。
q軸電流Iは、制御角θおよびロータ角θを用いてI=Iγsin(θ−θ)で与えられる。したがって、ロータ角θに変化がない(一定値)か、その変化が充分に低速であるとすれば、制御角θに対するアシストトルクの変化は、たとえば、図8(a)(b)に示すような正弦波曲線で表される。よって、制御角θがアシストトルクが単調増加する単調増加区間Aに属する場合と、アシストトルクが単調減少する単調減少区間Bに属する場合とがある。単調増加区間Aでは、制御角θが増加すればアシストトルクも増加する。すなわち、制御角θとアシストトルクとの間には正の相関がある。これに対して、単調減少区間Bでは、制御角θが増加するとアシストトルクが減少する。すなわち、制御角θとアシストトルクとの間には負の相関がある。
図8(a)は、制御角θが単調減少区間Bに属する場合を示している。この状況で、制御角θを変化させず、ロータ角θを変化させると、たとえば、図8(b)に示す状況に遷移する。つまり、制御角θに対するアシストトルクの変化を表す曲線が、ロータ角θの変化に応じて、制御角θの座標軸(横軸)の方向にシフトする。それに応じて、単調増加区間Aおよび単調減少区間Bも、図8の横軸方向にシフトする。その結果、制御角θが単調減少区間Bに属する図8(a)の状態から、制御角θが単調増加区間Aに属する図8(b)の状態へと遷移する。
PI制御部23は、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるために、アシストトルクを増加させる場合には加算角αを増加させ、アシストトルクを減少させる場合には加算角αを減少させるように動作する。したがって、単調増加区間Aにおいては、制御角θを演算周期毎に加算角αで更新することにより、検出操舵トルクTを速やかに指示操舵トルクTへと収束させることができる。一方、単調減少区間Bにおいては、アシストトルクを増加させる目的で加算角αを制御角θに加算したとしても、アシストトルクが指示操舵トルクTから離れる方向に変化するおそれがあり、意図した動作が行われないおそれがある。すなわち、制御角θが単調増加区間Aに至るまで演算周期毎の加算角αの加算を繰り返すことによって、はじめて制御角θを所望のアシストトルクに対応した適値へと導くことができる。したがって、検出操舵トルクTを速やかに指示操舵トルクTに一致させるためには、単調増加区間Aにおいて制御角θを制御することが好ましい。
たとえば、ステアリングホイール10が回転されているときに、図8(a)に示すように、制御角θが単調減少区間B内の値θ1となったとする。この場合には、アシストトルクを増加させる目的で正の加算角αの加算によって制御角θが増やされたとしても、アシストトルクが減少する。したがって、この状態で制御角θを変化させても、検出操舵トルクTを速やかに指示操舵トルクTへと収束させることはできない。
そこで、制御角加算量抑制器27は、制御角θが単調減少区間Bに陥ったと判別した場合には、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値より小さな値に抑制する。つまり、単調減少区間B内での制御角θの変化を小さく抑えることにより、検出操舵トルクTが指示操舵トルクTから離れていくような制御動作を実質的に禁止する。こうして制御角θの変化を抑制している間に、ステアリングホイール10が回転すると、それに応じてロータが回転する。その結果、制御角θに対するアシストトルクの特性が変化し、図8(b)に示すように、単調増加区間Aに制御角θが存在する状態となる。したがって、単調減少区間Bに制御角θが陥った状態から、単調増加区間Aに制御角θが存在する状態への迅速な復帰が可能となる。制御角θの角度位置が単調増加区間Aに含まれるようになると、制御角加算量抑制器27は、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値に戻す。これにより、制御角θを加算角αで更新することによって、所望のアシストトルクを速やかに発生させることができ、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTへと迅速に収束させることができる。
図9は、制御角加算量抑制器27が演算周期毎に繰り返し実行する処理を説明するためのフローチャートである。制御角加算量抑制器27は、トルク偏差演算部22から指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差ΔT=T−T)を取得する(ステップS11)。さらに、制御角加算量抑制器27は、検出操舵トルクTの時間微分値である操舵トルク微分値T’(具体的には演算周期間における検出操舵トルクTの変化量)を求める(ステップS12)。そして、制御角加算量抑制器27は、トルク偏差ΔTと操舵トルク微分値T’とを乗算し、その符号を調べる(ステップS13)。
乗算値ΔT・T’の符号が正値または零であれば(ステップS13:YES)、制御角加算量抑制器27は、制御角θが単調増加区間Aに存在すると判別し、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値とする(ステップS14)。乗算値ΔT・T’の符号が負値であれば(ステップS13:NO)、制御角加算量抑制器27は、制御角θが単調減少区間Bに存在すると判別し、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値より小さい値に変更する(ステップS15)。
トルク偏差ΔT(=T−T)が負(T<T)であれば、アシストトルク(モータトルクが不足している。そこで、PI制御部23は、アシストトルク(モータトルク)を増加させるために、加算角αを増加させるように動作し、たとえば加算角αは正の値をとる。このとき制御角θが単調増加区間Aに属しているならば、アシストトルク(モータトルク)が増加する。これにより、検出操舵トルクT(運転者がステアリングホイール10に加えるべき操舵トルク)が減少するから、操舵トルク微分値T’は負の値となる。よって、乗算値ΔT・T’は正値となる。換言すれば、乗算値ΔT・T’が正値であれば、制御角θは単調増加区間Aに属し、制御角θの変化とモータトルクとの間には正の相関があることになる。逆に、制御角θが単調減少区間Bに属しているならば、アシストトルク(モータトルク)が減少する。これにより、検出操舵トルクTが増加するから、操舵トルク微分値T’は正値となる。よって、乗算値ΔT・T’は負値となる。換言すれば、乗算値ΔT・T’が負値であれば、制御角θは単調減少区間Bに属し、制御角θの変化とモータトルクとの間には負の相関があることになる。トルク偏差ΔTが正(T>T)のときにも同様の考察を行うことにより、乗算値ΔT・T’が正値であれば制御角θは単調増加区間Aに属し、乗算値ΔT・T’が負値であれば制御角θは単調減少区間Bに属することが分かる。
したがって、図9に従って制限値ωmaxを定めることにより、制御角θとモータトルクとの間に正の相関があるときには制限値ωmaxを既定値とする一方で、それらの間に負の相関があるときには制限値ωmaxを既定値よりも小さな値として、制御角θの変化を抑制することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、制御角加算量抑制器27は、乗算値ΔT・T’の符号が負値であると判別した場合には、加算角α(制御角θへの加算量)を小さくするために、前述の処理に加えて、または前述の処理の代わりに、次のような制御のうちの一つ以上を行うようにしてもよい。
(i)PI制御部23のゲイン(比例ゲインKおよび積分ゲインK)を小さくする。
(ii)PI制御部23における積分値(積分項)を小さくする。
(iii)制御角演算部26における前回値(前演算周期における制御角θ)を小さくする。
また、前述の実施形態では、制御角加算量抑制器27は、乗算値ΔT・T’の符号が負値であれば(ステップS13:NO)、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値より小さい値に変更しているが、乗算値ΔT・T’の符号が負値である状態が所定時間にわたって継続した場合に、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを規定値より小さい値に変更するようにしてもよい。
また、乗算値ΔT・T’の符号が正値から負値に変化したときに、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを現在値から所定の下限値に向かって徐々に減少させ、乗算値ΔT・T’の符号が負値から正値に変化したときに、加算角リミッタ24の制限値ωmaxを現在値から規定値に向かって徐々に増加させるようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、トルク偏差ΔTおよび操舵トルク微分値T’を用いて制御角θとモータトルクとの間に正の相関があるか負の相関があるかを判別しているが、別の手法の適用も可能である。たとえば、加算角αの符号は制御角θの変化方向に対応する符号を表し、操舵トルク微分値T’はモータトルク(アシストトルク)の変化方向とは反対の符号を有する。そこで、加算角αと操舵トルク微分値T’との乗算値α・T’が負値ならば加算角θとモータトルクとの間に正の相関があると判別できる。逆に、乗算値α・T’が正値ならば加算角θとモータトルクとの間に負の相関があると判別できる。
さらに、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31において、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ を発生させるようにすればよい。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
さらにまた、前述の制御に加えて、いわゆる弱め磁束制御を導入してもよい。これを以下に説明する。
モータ3に流れる電流iとモータ3に印加される電圧Vとの間には、次式(6)の関係がある。
V−K・ω=(R+sL)・i …(6)
ただし、Kは誘起電圧定数、ωはモータの回転速度、K・ωは誘起電圧、Rはステータ巻線抵抗、Lはインダクタンス、sは微分演算子である。
式(6)から理解されるとおり、印加電圧Vから誘起電圧(K・ω)を減算した値によって、電流iの大きさが決まるので、誘起電圧が大きくなると、モータ3に流せる電流iが小さくなる。
ステアリングホイール10を高速で回転させた場合には、モータ3が高速回転し、大きな誘起電圧が発生する。この結果、モータ3に流すことができる電流iが小さくなり、アシストトルクが不足するおそれがある。そこで、このような場合には、δ軸電流Iδを零以外の有意値とし、界磁を弱める方向(Kが見かけ上小さくなる方向)に電流を流す弱め磁束制御を行うことが好ましい。
具体的には、指示電流値生成部31によって生成されるδ軸指示電流値Iδ (上記実施の形態では零)を補正するための電流補正手段を設ける。電流補正手段は、舵角センサ4によって検出される操舵角に基づいてステアリングホイール10の回転速度を求め、これからモータ3の回転速度ωを演算する。そして、得られたモータ回転速度ωが所定値以上である場合(高速回転時)には、指示電流値生成部31によって生成されたδ軸指示電流値Iδ (上記実施の形態では零)に補正値を加算することにより、δ軸指示電流値Iδ を零以外の有意値とする。
δ軸指示電流値Iδ に加算される補正値は、演算により求められるモータ回転速度ωに依存した値とされる。たとえば、前記補正値は、前記モータ回転速度の増加に応じて補正値が一次関数的に増加する特性に従って設定される。
このように、モータ回転速度ωが所定値以上になると、弱め磁束制御が行われるので、誘起電圧を低減させることができる。これにより、高速回転時においても、モータ3に大きな電流を流すことが可能となるから、適切なアシストトルクを発生させることができ、良好な操舵フィーリングを実現できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…トルクセンサ、3…モータ、4…舵角センサ、5…モータ制御装置、11…マイクロコンピュータ、26…制御角演算部、50…ロータ、51,52,52…ステータ巻線、55…ステータ

Claims (2)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
    前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、
    所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
    前記加算角の絶対値を制限値以下に制限する加算角制限手段と、
    前記制御角とモータトルクとの間に正の相関があるか負の相関があるかに応じて、前記加算角制限手段の制限値を変更する制限値変更手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 前記制限値変更手段は、前記制御角とモータトルクとの間に負の相関があるときに、前記加算角制限手段の制限値を既定値より減少させるものである、請求項1記載のモータ制御装置。
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