JP2008118740A - 永久磁石界磁同期電動機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 δ軸電流制御部(802)と、γ軸電流制御部(803)と、ベクトル制御部(804)と、インバータ部(805)と、座標変換部(807)と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定部(808)と、を備える永久磁石型界磁同期電動機制御装置において、前記δ軸推定誘起電圧を同期電動機の誘起電圧定数で除算した第1推定角速度と、前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の乗算値を前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の二乗和平方根で除算した位相誤差をゼロ制御して得られる第2推定角速度と、を用いて推定角速度を算出する角速度導出部(809)と、前記推定角速度を積分して前記γ―δ軸推定位置を生成する位置推定部(810)と、
を備えた。
【選択図】図1
Description
図6は特許文献1に開示された従来例の動作を示すブロック図である。図において、601は誘起電圧の振幅演算器であり、602はεδestの符号判別器であり、604は誘起電圧定数の逆数に関する係数であり、601で演算された誘起電圧の振幅値に誘起電圧定数の逆数に関する係数を乗算して角速度を推定する。602の符号判別の結果を605の乗算器で乗算して角速度の符号が決定される。また、εγestに603のゲインを乗算したものを先に推定した角速度に606の加算器にて加算し、角度誤差分を補正するようにしている。推定された角速度は7の積分器にて積分して、位置を推定するのである。これに対して、図7は非特許文献1に開示された従来例の動作を示すブロック図である。図では、701の角度誤差推定器にて誘起電圧εγestとεδestからtan−1にて角度誤差を演算し、その結果を702の比例制御器と703の積分制御器による比例積分制御により角速度を推定するようにしている。
このように、従来の永久磁石界磁同期電動機のセンサレス制御装置装置は、εγestとεδestから求まる誘起電圧振幅値、あるいは角度誤差のみに基づいて角速度と位置を推定するのである。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防ぎ、推定角速度および推定位置の応答遅れを最小とした永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、δ軸電流指令とδ軸推定電流に基づいてδ軸電圧指令を生成するδ軸電流制御部と、γ軸電流指令とγ軸推定電流に基づいてγ軸電圧指令を生成するγ軸電流制御部と、前記δ軸電圧指令と前記γ軸電圧指令より電圧振幅指令と電圧位相指令を生成するベクトル制御部と、前記電圧振幅指令と前記電圧位相指令より永久磁石界磁同期電動機に3相電流を供給するインバータ部と、前記3相電流をγ−δ軸電流に変換する座標変換部と、前記γ−δ軸電流と前記γ軸電圧指令とδ軸電圧指令とγ―δ軸推定位置よりγ―δ推定電流とγ―δ推定誘起電圧を推定するγ−δ軸電流・誘起電圧推定部と、を備える永久磁石界磁同期電動機制御装置において、前記δ軸推定誘起電圧を同期電動機の誘起電圧定数で除算した第1推定角速度と、前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の乗算値を前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の二乗和平方根で除算した位相誤差をゼロ制御して得られる第2推定角速度と、を用いて推定角速度を算出する角速度導出部と、前記推定角速度を積分して前記γ―δ軸推定位置を生成する位置推定部と、を備えることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置において、前記位置推定部は、前記推定角速度を積分して第1推定位置を生成する積分部と、前記位相誤差から第2推定位置を生成する角度誤差調整部と、第1推定位置と第2推定位置を加算して推定位置を生成する加算部と、を備えることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置において、前記位置推定部は、前記第2推定位置を所定のカットオフ周波数のローパスフィルタを通して新たな第2推定位置を生成することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置において、前記位置推定部は、第2推定位置を積分して新たな第2推定位置を生成することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置において、速度指令と前記推定角速度から前記δ軸電流指令を生成する速度制御部を備えることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置において、位置指令と前記推定位置から速度指令を生成し、前記速度指令と前記推定角速度から前記δ軸電流指令を生成する速度制御部と、を備えることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明によると、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防止することができ、角速度および位置の推定応答を速くした永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供できる。
請求項3に記載の発明によると、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防止することができ、角速度の推定応答を速くすることができ、位置の推定応答を調整しながら速くした永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供できる。
請求項4に記載の発明によると、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防止することができ、角速度の推定応答を速くすることができ、さらに位置の推定応答も角度誤差調整にともなうリプル成分を除去しながら、速くした永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供できる。
請求項5に記載の発明によると、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防止することができ、角速度の推定応答を速くすることができる速度制御型の永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供できる。
請求項6に記載の発明によると、誘起電圧定数の変化による推定精度の悪化を防止することができ、角速度の推定応答を速くすることができる位置制御型の永久磁石界磁同期電動機制御装置を提供できる。
図1は、本発明の永久磁石界磁同期電動機の制御装置の角速度と位置を推定する制御ブロック図である。図において、εδestを4の誘起電圧定数の逆数と乗算し、その結果を第1推定角速度としている。また、角度誤差推定器1は、εγestとεδestの乗算値をεγestの2乗値にεδestの2乗値を加算した値の平方根で除算し、その結果を比例制御器2と積分制御器3による比例積分制御により第2推定角速度を生成する。第1推定角速度と第2推定角速度を加算器6で加算し、推定角速度とする。推定位置は推定角速度を積分して生成する。
本発明が従来技術と異なる部分は、εδestを誘起電圧定数の逆数と乗算して第1推定角速度を生成し、tan−1演算を用いずにεγestとεδestから演算した角度誤差をゼロに制御して第2推定角速度を生成し、第1推定角速度と第2推定角速度を加算して角速度を生成することである。つぎに本発明の導出過程を説明する。導出において、式(1)の永久磁石界磁電動機のモデル式を用いた。
右辺第3項は誘起電圧に関する項であり、誘起電圧を式(2)のように定義する。
式(1)、式(2)より電流と誘起電圧を推定する電流・誘起電圧推定器は、式(3)のように構成することができる。
ここで、Kは推定器のフィードバックゲイン行列であり、添字の「est」は推定値を示している。電流・誘起電圧推定器は実装するにあたり、離散値系に展開し、式(4)の形で実装する。
式(4)で時間(k+1)Ts秒時の電流推定値Iγest(k+1)、Iδest(k+1)、誘起電圧推定値εγest(k+1)とεδest(k+1)を求め、その結果を用いて角速度と位置を推定している。図1は説明を容易にするために連続系で表しているが実装時には離散値系へ展開している。図1において、誘起電圧振幅値に基づく、第1の角速度推定値ω1(k+1)は、式(5)で推定する。
電流・誘起電圧推定器は1サンプル先である(k+1)Ts秒時の値を推定するため、ここでの遅れ時間はない。しかしながら、誘起電圧定数φmagが設定値より変化した場合、推定精度は悪化することになる。そこで、推定精度が悪化した場合の補正手段として、角度誤差に基づく第2の角速度推定値ω2(k+1)が必要となる。まず角度誤差θerr(k+1)を式(6)で推定する。
式(6)の演算では、式(2)のωφmagの値が分母分子でキャンセルされるため、誘起電圧定数の影響がないことがわかる。また、デジタル演算において多くの演算ステップを有するtan−1の計算が不要のため、制御演算量を削減できる。従来例に引用した非特許文献1では演算に使用しているεγestとεδestが純粋な誘起電圧ではなく、拡張誘起電圧あり、その振幅にd軸インダクタンスとq軸インダクタンスの偏差で生じる固定子磁束の変化分を含んでいる。固定子電流が変化する場合、拡張誘起電圧の振幅も変化するため瞬時に振幅変化を除去し、角度誤差を求めることができるtan−1の計算を必要としたのである。
つぎに(6)でえられた角度誤差推定値をゼロにするように比例積分制御を実施し、その制御出力を第2の角速度推定値としている。
ここでは、比例積分制御(PI制御)を実施したが、微分項を加えたPID制御やその他IP制御なども有効である。
式(5)、式(7)で推定された第1推定角速度と第2推定角速度とを加算して推定角速度を求める。
また、推定角速度を積分して、推定位置を生成する。
このように本発明によると、第1推定角速度は応答遅れなく生成され、誘起電圧定数の変化による角度誤差を第2推定角速度により補正することにより、従来の課題を解決できる。
微分結果Δθerrは、誤差角度があっても一定の場合ゼロとなる。したがって、γ軸とd軸がある一定の角度誤差で制御が安定している場合は不用意に調整しないようにする。微分結果にもとづき、角度誤差調整器408で調整量を決め、ローパスフィルタ410を通す。ローパスフィルタ410は角度誤差が激しく急変した場合に調整量を制限する役目がある。ローパスフィルタ410の出力を積分することによって角度誤差調整値の次元をもとの角度へもどしている。
2 比例制御器
3 積分制御器
4 誘起電圧定数の逆数
5、6、309、409 加算器
7、411 積分器
208、308、408 角度誤差調整器
412 微分器
310、410 ローパスフィルタ
801 速度制御部
802 δ軸電流制御部
803 γ軸電流制御部
804 ベクトル制御部
805 インバータ
806 永久磁石界磁同期電動機
807 座標変換器
808 γ−δ軸電流・誘起電圧推定部
809 角速度導出部
810 位置推定部
Claims (6)
- δ軸電流指令とδ軸推定電流に基づいてδ軸電圧指令を生成するδ軸電流制御部と、γ軸電流指令とγ軸推定電流に基づいてγ軸電圧指令を生成するγ軸電流制御部と、前記δ軸電圧指令と前記γ軸電圧指令より電圧振幅指令と電圧位相指令を生成するベクトル制御部と、前記電圧振幅指令と前記電圧位相指令より永久磁石界磁同期電動機に3相電流を供給するインバータ部と、前記3相電流をγ−δ軸電流に変換する座標変換部と、前記γ−δ軸電流と前記γ軸電圧指令とδ軸電圧指令とγ―δ軸推定位置よりγ―δ推定電流とγ―δ推定誘起電圧を推定するγ−δ軸電流・誘起電圧推定部と、を備える永久磁石界磁同期電動機制御装置において、
前記δ軸推定誘起電圧を同期電動機の誘起電圧定数で除算した第1推定角速度と、前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の乗算値を前記γ軸推定誘起電圧と前記δ軸推定誘起電圧の二乗和平方根で除算した位相誤差をゼロ制御して得られる第2推定角速度と、を用いて推定角速度を算出する角速度導出部と、
前記推定角速度を積分して前記γ―δ軸推定位置を生成する位置推定部と、
を備えることを特徴とする永久磁石界磁同期電動機制御装置。 - 前記位置推定部は、前記推定角速度を積分して第1推定位置を生成する積分部と、前記位相誤差から第2推定位置を生成する角度誤差調整部と、第1推定位置と第2推定位置を加算して推定位置を生成する加算部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置。
- 前記位置推定部は、前記第2推定位置を所定のカットオフ周波数のローパスフィルタを通して新たな第2推定位置を生成することを特徴とする請求項2記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置。
- 前記位置推定部は、第2推定位置を積分して新たな第2推定位置を生成することを特徴とする請求項3記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置。
- 速度指令と前記推定角速度から前記δ軸電流指令を生成する速度制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置。
- 位置指令と前記推定位置から速度指令を生成し、前記速度指令と前記推定角速度から前記δ軸電流指令を生成する速度制御部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の永久磁石界磁同期電動機制御装置。
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