JP2010285507A - 接着性硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い接着性を有し、かつ、可とう性に優れ、硬化による基材の反りを低減させた透明な硬化物を与えうる接着性硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量5000以下の有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒、および、
(D)(A)成分と(B)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤を必須成分とする、接着性硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は接着性硬化性組成物に関するものであり、更に詳しくは、変性ポリオルガノシロキサン化合物を主成分とし、耐熱性と可とう性に優れた透明性の高い塗膜を与える硬化性組成物材料に関する。
電気電子部品や車載部品等を封止するにあたって、光や熱といった外部環境に対する信頼性での要求が強まっている。封止には、熱硬化性樹脂のなかでもエポキシ樹脂が一般的に使用されてきたが、部材に対する長期信頼性が要求されるようになっており、高い耐熱性や耐光性が要求されるようになってきた。さらに、電子部品の実装技術の進歩により、製品の薄膜化が進んでおり、実装基板も薄くなってきている。
高い熱や強い光に対する耐性のある組成物として、シリコーン樹脂や炭素−炭素二重結合を含有する化合物と、SiH基を含有する化合物と、ヒドロシリル化触媒とからなる硬化性組成物が提案されている。例えば、特許文献1のように、高い接着性を有するシリコーン樹脂が挙げられているが、デュロメータAの硬度しかなく、部品や基材の衝撃に対する保護という意味では十分ではない。また、特許文献2では光学的透明性、強靭性を有する硬化性組成物が挙げられているが、フィルム上に塗布した場合のフィルムの反りに関する記述はなかった。
特開2008−169386号公報 特開2006−291044号公報
本発明は、高い接着性を有し、かつ、可とう性に優れ、硬化による基材の反りを低減させた透明な硬化物を与えうる接着性硬化性組成物、およびそれを硬化させてなる硬化物に関するものであり、更に詳しくは、優れた接着性を有するとともに、強度、耐熱性、耐光性、光学的透明性を有し、基板材料の反りを抑えた硬化物を与えうる硬化性組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する分子量5000以下の有機化合物((A)成分)と特定のSiH基含有ケイ素化合物((B)成分)とこれら100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤からなる接着性硬化性組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量5000以下の有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒、および、
(D)(A)成分と(B)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤を必須成分とし、(E)接着性付与剤を含んでいてもよい接着性硬化性組成物に関する。
前記(A)成分は下記一般式(I)
Figure 2010285507
(式中、R1は炭素数1〜50の一価の酸素、窒素、硫黄、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)、あるいは、
下記一般式(II)
Figure 2010285507
(式中、R2は炭素数1〜50の一価の酸素、窒素、硫黄、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を表し、それぞれのR2は異なっていても同一であってもよい。)の構造を有することが好ましい。
前記(B)成分は環状ポリオルガノシロキサン骨格を有することが好ましく、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンであることがさらに好ましい。
また、前記硬化物のガラス転移温度が30℃以上であり、3mm厚の硬化物の波長550から1000nmの領域での透過率が65%以上である接着性硬化性組成物に関する。
さらに、前記記載の接着性硬化性組成物を用いたコーティング材や光学部品に関する。
また本発明は、下記(A)〜(D)からなる接着性硬化性組成物を用いることを特徴とする、硬化後の基材の反りを抑える方法に関する。
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量5000以下の有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒、および、
(D)(A)成分と(B)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤
本発明の接着性硬化性組成物によれば、高い接着性を有し、かつ、可とう性に優れ、基板の反りを抑えた透明な硬化物をえることができる。
以下に、本発明を実施するにあたって好ましい形態について説明する。
((A)成分)
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する数平均分子量5000以下の有機化合物である。有機化合物の分子構造は、特に限定されないが、上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素の90重量%以上がC、H、N、O、Sおよびハロゲンからなる群から選択される少なくとも1種であるものが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題が生じる場合がある。また、数平均分子量が5000以上のものを使用すると有機化合物の骨格によってはTgが低くなり、硬化物の耐熱性の観点から問題が生じるため好ましくない。本特許において、数平均分子量とは、GPCによるスチレン換算の数平均分子量を示す。
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個有する有機化合物は、有機骨格部分と、その有機骨格部分に共有結合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基とからなるものが好ましい。上記SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基は、有機骨格のどの部位に共有結合していてもよい。
まず、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合について述べる。(A)成分の有機化合物が有する炭素−炭素二重結合を有する基は、SiH基と反応性を有するものであれば特に制限されない。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基とは、例えば、下記一般式(III):
Figure 2010285507
(式中R3は水素原子又はメチル基を表す。)で示されるアルケニル基が、反応性が高いことから好適である。
原料の入手の容易さからは、
Figure 2010285507
が特に好ましい。
硬化物の耐熱性が高いという点では、上記炭素−炭素二重結合を有する基としては、下記一般式(IV):
Figure 2010285507
(式中R4、R5は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。)で示されるアルケニル基が、好適である。
また、原料の入手の容易さからは、
Figure 2010285507
が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基は2価以上の官能基を介して、有機骨格部分に共有結合していても良い。
2価以上の官能基とは、炭素数0〜10の官能基であることが好ましい。特に制限はないが、このような官能基の例としては、
Figure 2010285507
Figure 2010285507
等が挙げられる。
また、これらのうち、2つ以上の官能基が共有結合によりつながって、より大きな単位で1つの2価以上の官能基を構成していてもよい。
上記炭素−炭素二重結合を有する基の具体例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、3−(アリルオキシ)プロピル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 2010285507
が挙げられる。
次に、有機骨格部分について述べる。有機骨格とは、主に炭素、水素、ニクトゲン原子、酸素を含むカルコゲン原子、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる元素から構成される骨格であり、上記元素からなるものであれば特に限定されない。例えば、飽和炭化水素系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)等の有機重合体骨格や、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、脂肪族アルコール系、環状炭化水素系等及びこれらの2種以上からなる有機単量体骨格が挙げられる。
分子量について、数平均分子量が5000より大きくなると、有機骨格によっては、Tgが低くなり、耐熱性の点で好ましくない。
有機重合体骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリエーテル系重合体が挙げられる。
有機重合体骨格として用いられるその他の重合体としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合またはラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体;ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体;ポリクロロプレン;ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体;ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体;ポリイソプレンを水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水素系)重合体、ポリブタジエンを水素添加して得られるポリオレフィン系重合体、イソプレンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系重合体、ブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系重合体;エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル;エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル系共重合体;前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;ビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体;ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等のフェノール系樹脂等が挙げられる。
さらに、上記の有機重合体骨格の側鎖又は末端にアルケニル基を導入した(A)成分の有機化合物の具体的な例としては、
Figure 2010285507
(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7、R8は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、直接結合又は炭素数1〜48の二価の有機基、p、q、rはそれぞれ1〜300であり、p+q+r≦300の数を表す。)
Figure 2010285507
(式中、R9は水素原子又はメチル基、R10、R11は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、直接結合又は炭素数1〜48の二価の有機基、nは1〜300の数を表す。)
Figure 2010285507
(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13、R14、R15は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、直接結合又は炭素数1〜48の二価の有機基、nは1〜300の数を表す。)
なお、R7、R8は、好ましくは炭素数1〜200の二価の炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜200のアルキレン基である。R10、R11、R13、R14、R15は、好ましくは炭素数1〜6の二価の炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。X、Yは、好ましくは直接結合又は炭素数1〜48の二価の炭化水素基、より好ましくは直接結合又は炭素数1〜48のアルキレン基である。
有機単量体の例としては、エタン、プロパン、イソブタンといった脂肪族鎖状化合物や、シクロペンタン、ジシクロペンタン、ノルボルナンといった脂肪族環状化合物、あるいは、エポキシ系、オキセタン系、フラン系、チオフェン系、ピロール系、オキサゾール系、イソオキサゾール系、チアゾール系、イミダゾール系、ピラゾール系、フラザン系、トリアゾール系、テトラゾール系、ピラン系、チイン系、ピリジン系、オキサジン系、チアジン系、ピリダジン系、ピリミジン系、ピラジン系、ピペラジン系、イソシアヌレート系といった複素環化合物がある。ここで、複素環とは、環状骨格中にヘテロ元素を有する環状の化合物であれば特に限定されない。ただし、環を形成する原子にSiが含まれるものは除かれる。また、環を形成する原子数は特に制限はなく、3以上であればよい。入手性からは、10以下であることが好ましい。
有機単量体からなる(A)成分の具体例として、エチレン、ブチレン、n−ヘキセン等の脂肪鎖状化合物系、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、アリルグリシジルエーテル、ビニルジオキソラン、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、4−ビニル−1,3−ジオキソラン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフタルアミド、1−ビニルピロリドン、
Figure 2010285507
Figure 2010285507
等が挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.1mmol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.5mmol以上含有するものがより好ましく、1mmol以上含有するものがさらに好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも1個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならないため、耐熱性が著しく低下することがある。そのため、1分子あたり少なくともSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合1個有する(A)成分は、全ての(A)成分に含まれる炭素−炭素二重結合数のうち、90%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、80%以下であり、最も好ましくは70%以下である。
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましく、線状でも枝分かれ状でもよい。分子量の下限は50、上限は5000の任意のものが使用できるが、好ましい下限は54、好ましい上限は4500、さらに好ましい下限は68、さらに好ましい上限は3000である。分子量が50より低いものは揮発性が大であり、分子量が5000を越えるものでは一般に原料が高粘度となり作業性に劣るとともに、アルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難く、耐熱性が劣る傾向にある。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において3000Pa・s未満のものが好ましく、2000Pa・s未満のものがより好ましく、1000Pa・s未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシドが特に好ましい。
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの反応性基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの反応性基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
特に(A)成分としては耐熱性・耐光性が高いという観点から上述した一般式(I)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 2010285507
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基であって、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2010285507
等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのR1のうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 2010285507
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、グリシジル基、
Figure 2010285507
等が挙げられる。
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 2010285507
等が挙げられる。
硬化物の樹脂強度向上と耐光性を両立させるためにはトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物であることが好ましい。該混合物はイソシアヌル環骨格を有するため耐熱性の点からも有効である。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためにはトリアリルイソシアヌレート/ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(モル比)=99/1〜1/99が好ましく、95/5〜5/95がさらに好ましく、90/10〜10/90が特に好ましい。
さらに、可とう性を付与するためには上記混合比で設定されたトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物とモノアリルジグリシジルイソシアヌレートの混合物であることが好ましい。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためにはトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート混合物/モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(モル比)=99/1〜1/99が好ましく、90/10〜10/90がさらに好ましく、80/20〜20/80が特に好ましい。
特に(A)成分としては耐熱性・屈折率が高いという観点から下記一般式(II)で表されるジビニルベンゼン類、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマーや、ビスフェノールAジアリルエーテルや、ビス〔4−(2−アリルオキシ)フェニル〕スルホン、フェノールノボラック樹脂等の芳香環含有エポキシ樹脂に結合するグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置換したものが好ましい。
Figure 2010285507
(式中、R2は炭素数1〜50の一価の有機基であって、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。それぞれのR2は異なっていても同一であってもよい。)
上記一般式(II)のR2としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、
Figure 2010285507
のように複数の芳香環をもつことが好ましい。
(A)成分は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((B)成分)
次に、(B)成分について説明する。
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されない。ここで、シロキサン骨格とは、
(R16SiO3/2p(R16 2SiO2/2q(R16 3SiO1/2r(SiO4/2t(R16はそれぞれ同一または異種の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、p、q、r及びtは各シロキサン単位のモル数を示し、p、q、r、tは0または正数であり、p+q+r+t=1である)のように、主鎖がSiO結合の連続のみからなる骨格をいう。
基材の保護の観点からは、(B)成分はシロキサン骨格のみからなる化合物でないことが好ましい。理由として、pやqの値が大きい場合は、気体や水分の透過率が上がったり、線膨張係数が大きくなったりしてしまい、光学部品として適用し難く、rやtの値が大きい場合は、熱衝撃をかけたときに割れ易くなることが挙げられる。
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機系化合物(α)と、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、硬化性組成物の流動性をより制御しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは10,000、さらに好ましくは2,000である。
((α)成分)
ここで(α)成分は、上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機系化合物と同じものを用いることができる。
(α)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。また、(α)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、(A)成分のところで説明した官能基が好ましい。
(α)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類でき、それぞれの骨格は(A)成分のところで説明した骨格が好ましい。
(α)成分として、耐熱性が高いという観点からは、上述した一般式(I)、
Figure 2010285507
あるいは、一般式(II)
Figure 2010285507
の骨格を有する化合物が好ましい。
(α)成分として、可とう性が付与されるという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物が好ましい。好ましい具体例としては、アリルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、アリルビニルエーテル、アリルメタクリレート、アリロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。
(α)成分は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((β)成分)
本発明に使用できる1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するポリオルガノシロキサンについては、特に制限がなく、例えば国際公開第96/15194号パンフレットに記載される化合物で、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するものが使用できる。
上記鎖状オルガノポリシロキサンの具体的な例としては、下記一般式(V)
Figure 2010285507
(式中、それぞれのR17、R18は、水素あるいは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR17、R18は異なっていても同一であってもよいが、少なくとも2個は水素である。nは1〜1000の数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
17、R18としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜15の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR17、R18の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシ基、エトキシ基、ビニル基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。
上記環状ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、下記一般式(VI)
Figure 2010285507
(式中、R19は水素あるいは炭素数1〜6の有機基を表し、それぞれのR19は異なっていても同一であってもよいが、少なくとも2個は水素である。nは2〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。なお、上記一般式(VI)におけるR21は、C、H、Oから構成される炭素数1〜6の有機基であることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。また、nは3〜10の数であることが好ましい。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状及び/又は網目状ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、(A)成分との相溶性の面からは、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状のポリオルガノシロキサン、又は分子量が10000以下の直鎖状のポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される環状ポリオルガノシロキサンの好ましい具体例としては、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
また、上記記載の硬化剤を得るために用いる1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するポリオルガノシロキサンについて、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(予備反応)
上述した一般式(I)や(II)の骨格を有する1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物を得るための反応について説明する。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機系化合物(α)と1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するポリオルガノシロキサン(β)とをヒドロシリル化反応させる場合の、(α)成分と(β)成分の混合比率は、1分子中に2個以上SiH基が残る範囲であれば、特に限定されない。
得られる硬化物の強度を考えた場合、(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合のモル数(X)と、(β)成分中のSiH基のモル数(Y)との比は、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。
ヒドロシリル化させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば後述する(C)成分を用いることができる。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、SiH基を有するポリオルガノシロキサン(β)成分のSiH基1モルに対して10-10モル、より好ましくは10-8モルであり、好ましい添加量の上限はSiH基を有するポリオルガノシロキサン(β)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-3モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
反応時の触媒混合方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分にヒドロシリル化触媒(C)を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。(α)成分と(β)成分との混合物にヒドロシリル化触媒(C)を混合する方法では反応の制御が困難な場合がある。また、(β)成分とヒドロシリル化触媒(C)を混合したものに(α)成分を混合する方法では、ヒドロシリル化触媒(C)の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が高いと工業的に不利な場合がある。反応は一定の温度で行ってもよく、また必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。反応時間については特に限定されない。経済的な面からは、好ましくは20時間以内、さらに好ましくは10時間以内である。圧力も特に限定されないが、特殊な装置が必要になったり、操作が煩雑になったりする、という面から、好ましくは大気圧〜5MPa、さらに好ましくは大気圧〜2MPaである。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応を均一、かつ、促進させるためには、(α)成分を完全に溶解できる量が好ましい。(α)成分100重量部に対して20重量部以上500重量部以下が好ましく、50重量部以上300重量部以下がより好ましい。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
ヒドロシリル化反応後に、溶媒並びに/または未反応のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機系化合物(α)と1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するポリオルガノシロキサン(β)を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる硬化剤が揮発分を有さないため、硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は120℃であり、より好ましくは100℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、硬化剤の例としては、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物や、αメチルスチレン及びジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテル及びジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、1−ヘキセン及びトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレン及びトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビス〔4−(2−アリルオキシ)フェニル〕スルホンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物がより好ましい。
本発明では、(B)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((C)成分)
次に、(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)a、Pt[(MeViSiO)4b);白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34);白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、a、bは、整数を示す。);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能である。助触媒の例としては、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物、水等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、上記ヒドロシリル化触媒1モルに対して、下限10-5モル、上限102モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限10-3モル、上限10モルの範囲である。
((D)成分)
次に、(D)成分である酸化防止剤について説明する。(A)成分と(B)成分と(C)成分からなる硬化物の酸化劣化を妨げるものであれば特に限定されない。例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、クエン酸等の有機酸や、リン系や硫黄系酸化防止剤、ラジカル禁止剤等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRAGNOX1330、IRGANOX3114をはじめとして、各種のものが用いられる。なお、具体的な化合物名としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマ
ミド)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート)などを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるIRGAFOS12、IRGAFOS38、IRGAFOS168が挙げられる。
ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらの酸化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
((E)成分)
(E)成分について説明する。接着性付与剤とは、硬化性組成物の接着性を改善するものであれば特に限定されない。例えば、一般に用いられている接着剤の他、種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等がある。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/または安定化が可能である。
このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、ホウ素系化合物、アルミニウム系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物が好ましい。
本発明の硬化性組成物に用いられうるホウ素系化合物としては、ホウ酸トリ−2−エチルヘキシル、ホウ酸ノルマルトリオクタデシル、ホウ酸トリノルマルオクチル、ホウ酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ホウ酸トリノルマルブチル、ホウ酸トリ−sec−ブチル、ホウ酸トリ−tert−ブチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリノルマルプロピル、ホウ酸トリアリル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ素メトキシエトキサイド等のホウ酸エステル類が例示できる。
これらホウ酸エステル類は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行っても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
これらホウ酸エステル類のうち、容易に入手でき工業的実用性が高いという点からは、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリノルマルブチルが好ましく、なかでもホウ酸トリメチルがより好ましい。
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ホウ酸ノルマルトリオクタデシル、ホウ酸トリノルマルオクチル、ホウ酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ホウ酸トリノルマルブチル、ホウ酸トリ−sec−ブチル、ホウ酸トリ−tert−ブチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリノルマルプロピル、ホウ酸トリアリル、ホウ素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもホウ酸ノルマルトリオクタデシル、ホウ酸トリ−tert−ブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリノルマルブチルがより好ましい。
揮発性の抑制、および作業性がよいという点からは、ホウ酸トリノルマルブチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもホウ酸トリノルマルブチルがより好ましい。
高温下での着色性が低いという点からは、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルが好ましく、なかでもホウ酸トリメチルがより好ましい。
本発明の硬化性組成物に用いられうるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。
本発明の硬化性組成物に用いられうるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類、オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
本発明の硬化性組成物に用いられうるジルコニウム系化合物としては、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等のテトラアルコキシジルコニウム類、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムアシレート類等が例示できる。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対して好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/または安定化が可能である。このようなシラノール源化合物としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類および/または酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/または安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類および/または酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類および/または酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類および/または酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類および/または酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(その他の添加物)
本発明の硬化性組成物は、溶剤を添加して粘度を調整し、作業性を向上させることも可能である。使用できる溶剤としては、特に限定されるものではないが、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸n−ブチル、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤等を好適に用いることができる。また、当該溶剤は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶剤として用いることもできる。
使用する溶剤量は、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、下限0.1重量部、上限100重量部の範囲で用いるのが好ましく、下限0.5重量部、上限50重量部の範囲で用いるのがより好ましく、下限1重量部、上限30重量部の範囲で用いるのがさらに好ましい。使用量が0.1重量部より少ないと、低粘度化の効果が得られにくくなる傾向があり、使用量が100重量部より多いと、材料に溶剤が残留して耐熱性の低下等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり易い傾向がある。
本発明の硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、又は、製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上併用してよい。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機硫黄化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対して、下限10-1モル、上限103モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限1モル、上限50モルの範囲である。
次に、本発明の硬化性組成物の特性を改質する目的で添加することが可能な種々の樹脂について説明する。当該樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加すると、材料の高強度化や難燃性向上などに効果がある。無機フィラーとしては、微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
フィラーを添加する方法としては、例えば、アルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマー又はオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド又はハロゲン化物等を、本発明の硬化性組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法等も挙げることができる。
本発明の硬化性組成物には、その他、難燃剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の硬化性組成物は、上記各成分を混合等することにより得られる。
また、本発明の硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、下限25℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限50℃、上限280℃がより好ましく、下限100℃、上限260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
本発明の硬化性組成物は、成形体として使用することができる。成型方法としては、既存の液状樹脂に用いられる方法であれば特に限定されない。例えば、押出成型、圧縮成型、ブロー成型、真空成型、射出成型、液状射出成型、注型成型などがある。
本発明の硬化性組成物を硬化してなる硬化物を光学用途に適用する場合には、透明性を有することが好ましい。より具体的には、透明性について、3mm厚硬化物の550nmにおける透過率が65%以上であること好ましい。当該透過率が65%を超えないと十分な透過光を確保することができないため、ノイズの除去がし難くなる。さらに、70%以上あることが好ましく、75%以上あることがさらに好ましい。また、光や熱に対する環境試験後の変色、着色の度合いが低い場合、試験前後での透過率の変化が小さく、長期間の使用に耐えうることを示す。具体的には、後述の耐光性試験後、3mm厚みの硬化物の550nmにおける透過率が65%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
硬化物の接着力は、長期間使用していくことにより、光や熱がかかり、樹脂自体が劣化して低下していく傾向にある。本発明の硬化物は、メタルハライドランプによる1平方メートルあたり50MJ照射後(耐光性試験)における硬化物(厚みが10〜40μm)の接着力が、上記照射前における硬化物の接着力(初期状態の接着力)に比べて70%以上であることが好ましく、80%以上あることがより好ましい。このような接着力を示すことは、紫外線を長時間当てても接着力が低下しないことを明示し、長期間にわたって良好な接着性を維持することを実現できるような、優れた接着性を有することが示される。本発明における接着力の評価は、耐久性の指標として、初期状態と一定の条件下で保存したものの接着力の差を提示する方法(米国 MIL STD−883)を参考にしておこなっている。ここでの接着力としては、後述している実施例のダイシェア接着強度を用いる。
本発明で言うコーティング材とは、各種基材の上に付着させ、各種機能発現を目的に用いる材料一般を示す。例えば、各種塗料や、保護膜、平坦化膜、封止剤、モールド剤等が挙げられる。
また、本発明で言う光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
例えば、カラーフィルター保護膜、TFT平坦化膜、基板材料のような液晶表示装置に用いられる材料や、封止剤、ダイボンド剤等の発光ダイオード(LED)に用いられる材料が挙げられる。さらに、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、カラーフィルター等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
また、LED表示装置に使用されるLED素子のモールド剤、LEDの封止剤、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
また、カラーPDP(プラズマディスプレイ)の反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤接着剤等も挙げられる。また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
その他、光記録分野では、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、受光センサー部、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光センシング機器のレンズ用材料、各種フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルールやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
その他光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
自動車・輸送機分野では、自動車用ヘッドランプ・テールランプ・室内ランプ等のランプ材料、ランプリフレクタ、ランプレンズ、外装板・インテリアパネル等の各種内外装品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、鉄道車輌用の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、航空機の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
反応後のSiH基価を下記の方法で定めた。
(NMR)
バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHz NMR装置を用いた。(B)成分合成でのアリル基の反応率は、反応液を重クロロホルムで1%程度まで希釈したものをNMR用チューブに加えて測定し、未反応アリル基由来のメチレン基のピークと、反応アリル基由来のメチレン基のピークから求めた。反応生成物であるSiH基含有化合物の官能基価は、ジブロモエタン換算でのSiH基価(mmol/g)を求めた。
(粘度)
東京計器(株)製、E型粘度計を用いた。測定温度23℃、EHD型48φコーンで測定した。
(合成例1)
2Lオートクレーブにトルエン700g、1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン470gを加えて、内温が105℃になるように加熱した。そこに、ビス〔4−(2−アリルオキシ)フェニル〕スルホン52gと、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.06g、トルエン15gの混合物を滴下した。滴下中、内温が110℃まで上昇した。未反応の1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエン、キシレンを減圧留去した。1H−NMRによりこのものは1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がビス〔4−(2−アリルオキシ)フェニル〕スルホンと反応したもの(部分反応物B1と称す、SiH価:6.3mmol/g)であることがわかった。本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
Figure 2010285507
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、窒素雰囲気下、50℃で加熱攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上になるまで反応した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間反応させ、反応率95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。溶媒を減圧留去し、無色透明の液体を得た。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテルとトリアリルイソシアヌレートが反応した化合物群(部分反応物B2と称す、SiH価:3.9mmol/g、粘度1.8Pa・s)であることがわかった。本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
Figure 2010285507
(合成例3)
2Lオートクレーブにトルエン500g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン200gを入れ、窒素雰囲気下、50℃で加熱攪拌した。アリルグリシジルエーテル95g、トルエン95g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.027gの混合液を80分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上になるまで反応した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート22g、トルエン22g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.048gの混合液の5分の1量を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート88g、トルエン88g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.192gを30分かけて滴下した。滴下終了から2時間反応させ、反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。溶媒を減圧留去し、微黄色透明の液体を得た。1H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートのアリル基と反応したした化合物群(部分反応物B3と称す、SiH価:4.3mmol/g、粘度2.8Pa・s)であることがわかった。本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
Figure 2010285507
(実施例1および比較例〜3)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートを用い、(B)成分として、合成例1〜3を用い、(C)成分として白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)を用い、(D)成分としてチバスペシャリティケミカルズ社製IRGANOX1010、IRGANOX3114、IRGAFOS38、TINUVIN123Sを用い、(E)成分としてγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング製、A−187)とホウ酸トリメチルを用いて、表1、表2に示した配合で硬化性組成物を作製した。この硬化性組成物を、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとして挟み込んで作製したセルに流し込み、80℃3時間、100℃1時間、120℃1時間、150℃1時間、180℃1時間、200℃1時間加熱し硬化物を得た。
得られた各硬化性組成物および各硬化物について、硬化物の光線透過率・接着性・耐光性・耐熱性・反りおよび可とう性を以下に述べる試験方法(粘度に関しては前述の測定方法)により測定した。
(光線透過率)
得られた硬化物について、550−1000nmの光線透過率を分光光度計(U−4000、日立)を用いて測定した。上記波長領域の光線透過率が65%以上であると○、65%未満の場合×と記載した。
(耐光性試験)
得られた硬化物に対してスガ試験機M6T型メタリングウェザーメーター(照射量:50MJ/m2)を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験後の硬化物について、550−1000nmの光線透過率を測定した。
(耐熱性試験)
得られた硬化物に対して280℃の熱風オーブンで5分間耐熱性試験を行った。耐熱性試験後の硬化物について、550−1000nmの光線透過率を測定した。
(硬さ評価)
ASTM D2240に準拠してタイプD硬度を測定した。
(ガラス転移温度)
硬化物より30×5×3mmの試験片を切り出し、アイティー計測制御社製DVA−200を用いて、引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温側度5℃/分の条件にて動的粘弾性測定を行った。tanδのピーク温度を硬化物のガラス転移温度とした。
(ダイシェア接着性試験)
得られた硬化性組成物を50μmのブレードで塗布し、その塗膜に、2×2×0.2mmのガラス板のダイを2×2mmの面を下方にしてスタンプし、硬化性組成物をダイにつけた。このダイを、硬化性組成物が付着した面を下方にしてガラス繊維強化エポキシ(FR4)基材に乗せ、150℃1時間、180℃1時間、200℃1時間加熱により硬化して試験片を作製した。このとき、得られる硬化物(ダイと基材との間の硬化物層)は厚み約30μm(厚みが10〜40μmの範囲内)になる。得られた試験片について、デイジ社製、シリーズ4000ボンドテスター試験機、DS100KGロードセルを用いて接着強度(単位;kgF)を測定した。各硬化性組成物につきサンプル(試験片)5個を測定し、最高値と最低値を除く3点の平均を接着強度とした。
(反り試験、可とう性試験)
25μm厚のPIフィルム上に硬化性組成物を50μmのドクターブレードで約5x10cm面積を塗布し、前記条件で硬化した。基板が変形(カール)しなかったものを○、変形したものを×とした。硬化物でコーティングされた面を下にして置いたフィルムを270度曲げた後、元に戻して剥離状況を調べた。剥離しなかったものを○、剥離したものを×とした。
Figure 2010285507
Figure 2010285507
本発明による硬化物は、高い接着性を有し、かつ、可とう性に優れ、硬化による基材の反りを低減させた透明な硬化物を与えることが示された。

Claims (10)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量5000以下の有機化合物、
    (B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
    (C)ヒドロシリル化触媒、および、
    (D)(A)成分と(B)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤を必須成分とする、接着性硬化性組成物。
  2. さらに、(E)接着性付与剤を含む、請求項1に記載の接着性硬化性組成物。
  3. 前記(A)成分が下記一般式(I)
    Figure 2010285507
    (式中、R1は炭素数1〜50の一価の酸素、窒素、硫黄、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)、あるいは、
    下記一般式(II)
    Figure 2010285507
    (式中、R2は炭素数1〜50の一価の酸素、窒素、硫黄、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を表し、それぞれのR2は異なっていても同一であってもよい。)の構造を有する請求項1または2に記載の接着性硬化性組成物。
  4. 前記(B)成分が環状ポリオルガノシロキサン骨格を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着性硬化性組成物。
  5. 前記(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化剤。
  6. 硬化物のガラス転移温度が30℃以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着性硬化性組成物。
  7. 3mm厚の硬化物の波長550から1000nmの領域での光線透過率が65%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の接着性硬化性組成物。
  8. 請求項1〜7に記載の接着性硬化性組成物を用いたコーティング材。
  9. 請求項1〜7に記載の接着性硬化性組成物を用いた光学用材料。
  10. 下記(A)〜(D)からなる接着性硬化性組成物を用いることを特徴とする、硬化後の基材の反りを抑える方法。
    (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量5000以下の有機化合物、
    (B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
    (C)ヒドロシリル化触媒、および、
    (D)(A)成分と(B)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の酸化防止剤
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