JP2010163520A - 光学材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、光学設計が容易で、低線膨張係数であり、高耐熱及び高透明性を有する樹脂材料からなる光学材料を提供することである。
【解決手段】本発明の光学材料は、(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)ヒドロシリル化触媒、および、(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物を含有する硬化性組成物を硬化させてなる硬化物であり、イソシアヌル酸基の含有量が硬化物1gあたり0.1mmol以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料に関する。
透明性が高く、耐熱性が高い光学材料としてはガラス材料が一般的に用いられてきているが、近年ではその加工性の低さやコスト面及び材料の軽量化の観点から樹脂材料が使用されるようになってきている。しかし、樹脂材料を用いる場合は、その線膨張係数の高さから、レンズ等に成形した場合に焦点距離等の光学設計を広範囲の温度において保障することができず、適用される部材は一部に限定されており、ガラス代替材料として広範囲に渡って適用されるためには、樹脂本来の成形加工性を維持したまま、低線膨張係数を有する高耐熱及び高透明性の樹脂材料が求められている。例えば、特許文献1に記載されているポリオルガノシロキサン組成物では特定構造とすることにより線膨張係数の低減を図っているが、十分ではない。また、特許文献2に記載されている透明複合体組成物では無機フィラーを添加することにより線膨張係数の低減を図っているが、無機フィラーを樹脂に添加することにより樹脂粘度が大きく増加し作業性が低下すること、透明性を維持するためには樹脂と無機フィラーの屈折率を合わせる必要があること、ならびに樹脂の靭性を低下させ脆い材料となるといった問題がある。よって、高耐熱及び高透明性を維持したまま、樹脂自体が有する線膨張係数を下げる必要がある。
特開2006−335857号公報 特開2004−300433号公報
本発明の目的は、光学設計が容易で、低線膨張係数であり、高耐熱及び高透明性を有する樹脂材料からなる光学材料を提供することである。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、イソシアヌル酸基が線膨張係数の低減に関係することを見出し、低線膨張係数を有し、かつ透明性・耐熱性に優れた硬化物を作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、
(B)ヒドロシリル化触媒、および、
(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
を含有する硬化性組成物を硬化させてなる硬化物であり、
Figure 2010163520
で表されるイソシアヌル酸基の含有量が硬化物1gあたり0.1mmol以上である、光学材料。
上記(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物は、下記化合物のヒドロシリル化反応生成物であることが好ましい:
(α)下記一般式(I)
Figure 2010163520
(式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される有機化合物、
(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する、鎖状、環状、分岐状およびかご型のポリオルガノシロキサン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種。
上記(α)有機化合物は、ジアリルイソシアヌル酸及び/又はモノアリルイソシアヌル酸であることが好ましい。
上記(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物は、下記一般式(I)
Figure 2010163520
(式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)が好ましい。
上記(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物は、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、および、ジアリルイソシアヌル酸から選ばれる少なくとも一種であるであることが好ましい。
上記(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する、鎖状、環状、分岐状およびかご型のポリオルガノシロキサン化合物の少なくとも一種として、下記一般式(II)
Figure 2010163520
(式中R2、R3は炭素数1〜10の有機基を表し、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物が含有されることが好ましい。
本発明によれば、光学設計が容易で、低線膨張係数であり、高耐熱及び高透明性を有する樹脂材料からなる光学材料を提供することが可能となる。また、本発明の光学材料に使用される樹脂が樹脂本来の加工性を維持しているので、所望どおりの形状に形成させられる。
本発明の光学材料は、(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)ヒドロシリル化触媒、および、(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物を含有する硬化性組成物を硬化させてなる硬化物であり、
Figure 2010163520
で表されるイソシアヌル酸基の含有量が硬化物1gあたり0.1mmol以上であることを特徴とする。これにより、低線膨張係数であり、かつ、高耐熱および高透明性を有し、光学設計が容易となる。
以下に(A)、(B)及び(C)の各成分について説明する。
(成分(A))
成分(A)はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物である。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、および、ハロゲンからなる群から選ばれる元素を含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものは、ガス透過性やはじきの問題が発生する場合がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
成分(A)の有機化合物は、有機重合体系化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
特に、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系が耐熱性および透明性の点から好適である。
有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖型脂肪族炭化水素系:シクロヘキサン、ノルボルネン、アダマンタン等の脂環式炭化水素系:イソシアヌル化合物、テトラヒドロピラン、トリアジン等の複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(III)
Figure 2010163520
(式中R4は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、上記一般式中のR4が水素原子である基が特に好ましい。
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(IV)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
Figure 2010163520
(式中R5は水素原子あるいはメチル基を表す。)また、原料の入手の容易さからは、上記一般式(IV)においてR5が共に水素原子である部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は成分(A)の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、および、ハロゲンからなる群から選ばれる元素のみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 2010163520
Figure 2010163520
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、ビニルエーテル基、
Figure 2010163520
が挙げられる。
成分(A)の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌル酸、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、テトラアリルビスフェノールA、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 2010163520
Figure 2010163520
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基、もしくは(メタ)アクリロイル基に置き換えたもの等が挙げられる。
成分(A)としては、上記のように骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり2〜6個あればよいが、硬化物の力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり1個以下の場合は、成分(C)と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。一方、成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり6個より多い場合は、硬化性組成物の貯蔵安定性が悪くなる。
成分(A)としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
成分(A)としては、良好な作業性を得るためには、23℃における粘度が100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。ここでの粘度はE型粘度計によって測定した値を指す。
成分(A)としては、得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、成分(A)としてはビニルシクロヘキセン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン等のビニル基またはアリル基を2個以上有する炭素数6〜50の脂肪族環状オレフィン化合物、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のビニル基またはアリル基を2個以上有するイソシアヌル誘導体が好ましく、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
特に、耐熱性、耐光性が高いという観点から下記一般式(I)
Figure 2010163520
(式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、有機基は構成元素としてC、H、O、およびNからなる群から選ばれる元素のみからなる基であることが好ましく、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数が1〜10であることがより好ましく、炭素数が1〜4であることがさらに好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2010163520
等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好
になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、およびOからなる群から選ばれる元素のみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 2010163520
等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、反応性が良好になるという観点からは、3
つのR1のうち少なくとも1つが
Figure 2010163520
で表される基を1個以上含み、かつ構成元素としてC、H、O、およびNからなる群から選ばれる元素のみ含まれる炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(V)
Figure 2010163520
(式中R6は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含み、かつ構成元素としてC、H、O、およびNからなる群から選ばれる元素のみ含まれる炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのR1のうち少なくとも2つが下記一般式(VI)
Figure 2010163520
(式中R8は直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、R7は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のR7およびR8はそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(VI)のR8は、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。
上記一般式(VI)のR8としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、およびOからなる群から選ばれる元素のみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
また、上記一般式(VI)のR8としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点から、好ましいR8の例としては、
Figure 2010163520
が挙げられる。
上記一般式(V)のR6は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい例におい
ても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、
トリアリルイソシアヌレート、
Figure 2010163520
等が挙げられる。
硬化物の線膨張係数低減の観点からは、
Figure 2010163520
で表される有機構造を一分子中に有するものが好ましく、ジアリルイソシアヌル酸が挙げられる。
本発明においては、硬化物の線膨張係数低減の観点から、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素結合を1個有し、上記有機構造を一分子中に有する有機化合物を成分(A)と併用させることもできる。1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素結合を1個有し、上記有機構造を一分子中に有する有機化合物としては、例えばモノアリルイソシアヌル酸等が挙げられる。ただし、当該有機化合物は炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり1個以下であり、成分(C)と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならないため、炭素−炭素二重結合の数を平均して1分子当たり2〜6個となるように、成分(A)を適宜選択・調整して併用して用いる必要がある。
成分(A)は、単独又は2種以上のものを用いることが可能である。
(成分(B))
次に、成分(B)であるヒドロシリル化触媒について説明する。
成分(B)のヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)a、Pt[(MeViSiO)4b);白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34);白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、a、bは、整数を示す。);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
成分(B)の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましいの添加量の下限は、成分(C)のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は成分(C)のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能である。助触媒としては、例えば、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、上記ヒドロシリル化触媒1モルに対して、下限10-2モル、上限102モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限10-1モル、上限10モルの範囲である。
(成分(C))
次に、成分(C)について説明する。
成分(C)は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であり、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物等が挙げられるが、成分(A)との相溶性の観点より、ポリオルガノシロキサン化合物と有機化合物とを一部反応させたもの(変性)が好ましい。変性のための反応は特に限定はされず、付加反応、縮合反応、脱水素反応等が使用できるが、副反応が進行しにくく安定的にSiH基含有化合物が得られやすいという観点より、下記有機化合物(α’)とポリオルガノシロキサン化合物(β’)とのヒドロシリル化生成物(以下、「変性ポリオルガノシロキサン化合物」と称することがある。)であることが好ましい。
(有機化合物(α’))
以下に、有機化合物(α’)について説明する。
有機化合物(α’)には、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物であればよく、上記成分(A)に挙げた化合物も同様に使用することができる。
本発明においては、成分(A)との相溶性の観点から、下記一般式(I)
Figure 2010163520
(式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される有機化合物(α)を使用することが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸などが挙げられる。
中でも、有機化合物(α’)は線膨張係数をより下げる観点から
Figure 2010163520
で表される有機構造を一分子中に有するものが好ましく、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸が挙げられる。
上記した各種有機化合物(α’)には単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(ポリオルガノシロキサン化合物(β’))
次に、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)について説明する。
ポリオルガノシロキサン化合物(β’)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用でき、耐酸化劣化性の観点から、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する、鎖状、環状、分岐状またはかご型のポリオルガノシロキサン化合物(β)が好適である。
これらのうち、硬化物に柔軟性が付与されるという観点より、
Figure 2010163520
(式中、R9、R10は炭素数1〜10の有機基を表し同一であっても異なっても良く、lは、0〜50、nは1〜50、mは0〜10の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。またR9、R10は入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましく、硬化物の強度が高くなるという観点より、特にフェニル基であるものが好ましい。
これらのうち、硬化物の耐熱性が高いという観点より、
Figure 2010163520
Figure 2010163520
(式中、R11、R12は炭素数1〜6の有機基を表し、nは0〜50の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有し、分子中にTまたはQ構造を有する分岐状またはかご状オルガノポリシロキサンが好ましく、R11、R12は入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましい。
これらのうち、入手性および化合物(α’)との反応性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(II)
Figure 2010163520
(式中R2、R3は炭素数1〜6の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
一般式(II)で表される化合物中の置換基R2、R3は、C、H、およびOからなる群から選ばれる元素から構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記した各種ポリオルガノシロキサン化合物(β’)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)をヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、成分(B)で挙げた触媒ならびに助触媒を同様に用いることができる。
触媒の添加量は特に限定されないが、硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため、好ましい添加量の下限は、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限はポリオルガノシロキサン化合物(β’)のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。
(有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)の反応)
本発明における変性ポリオルガノシロキサン化合物は、有機化合物(α’)、およびポリオルガノシロキサン化合物(β’)を、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物である。
有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)の反応の順序、方法としては種々挙げられるが、低分子量体を含有しにくいと言う観点から、過剰の有機化合物(α’)とポリオルガノシロキサン化合物(β’)もしくは過剰のポリオルガノシロキサン化合物(β’)と有機化合物(α’)とをヒドロシリル化反応させた後、一旦、未反応の有機化合物(α’)もしくはポリオルガノシロキサン化合物(β’)を除く方法がより好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる反応物が揮発分を有さないため、該反応物を用いて硬化物を作成する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては、例えば、減圧脱揮が挙げられる。減圧脱揮する場合、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)の混合比率はSiH基が1分子中に2個以上SiH基が残るような範囲であれば、特に限定されない。本発明の硬化物の強度を考えた場合、(β’)成分のSiH基が多い方が好ましいため、有機化合物(α’)中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合のモル数(A1)と、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)中のSiH基のモル数(B1)との比が、B1/A1≧2であることが好ましく、B1/A1≧2.5であることがより好ましい。
(ゲル化抑制剤)
得られる反応物の保存安定性を改良する目的、或いは有機化合物(α’)、ポリオルガノシロキサン化合物(β’)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を減圧脱揮により除去する場合の加熱処理による増粘等の変質を抑制する目的で、ゲル化抑制剤を使用することができる。ゲル化抑制剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスフォン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらのゲル化抑制剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、トリフェニルホスフィンが好ましい。
ゲル化抑制剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対する好ましい添加量の下限は10-1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は103モル、より好ましくは102モルである。添加量が少ないと、所望の保存安定性や減圧脱揮時のゲル化抑制効果が得られない。添加量が多いと、硬化反応時の硬化阻害剤になり得る。
また、これらのゲル化抑制剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(イソシアヌル酸基のモル数)
本発明において、線膨張係数を低減する観点から、イソシアヌル酸基量は硬化物1gに対して0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。イソシアヌル酸基量が硬化物1gに対して0.1mmol未満の場合、硬化物のガラス転位温度+10℃における平均線膨張係数が100ppmを超えやすくなる。
ここでいうイソシアヌル酸基の含有量は、成分(A)及び/又は成分(C)を始めとする、硬化性組成物中に含まれるイソシアヌル酸基の総モル量に相当し、硬化物1gを得るために必要な硬化性組成物の配合量から計算されるものである。
(硬化性組成物の調整方法および硬化方法)
硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製しても良く、全成分を予め混合調製した一液の状態で低温貯蔵しておいても良い。変性ポリオルガノシロキサン化合物の他に、物性改良の目的で熱可塑性樹脂等の添加剤を使用する場合は、これらの添加剤と硬化触媒である白金化合物を予め混合して貯蔵しておき、硬化直前にそれぞれの所定量を混合して調製しても良い。
熱硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の下限は30℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは90℃である。好ましい温度の上限は250℃、より好ましくは200℃、さらに好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる。反応温度が高いと着色や***することがある。
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、着色が少なく、歪の少ない硬化物が得られやすいという点において好ましい。
反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
硬化させて得られる光学材料の形状も用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えばレンズ状、フィルム状、シート状、チューブ状、ロッド状、塗膜状、バルク状などの形状とすることができる。
成形する方法も従来の熱硬化性樹脂の成形方法をはじめとして種々の方法をとることができる。例えば、キャスト法、プレス法、注型法、トランスファー成形法、コーティング法、RIM法、LIM法などの成形方法を適用することができる。成形型は研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を適用することができる。また、成形型との離型性を向上させるためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素又はめっきにより表面処理された金型等を適用することができる。
成形時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために組成物あるいは一部反応させた組成物を遠心、減圧などにより脱泡する処理、プレス時に一旦圧力を開放する処理などを適用することもできる。
成分(A)と成分(C)の比率は[(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合のモル数/(C)成分のSiH基のモル数]の値が、下限0.05、上限10の範囲となる比率であることが好ましく、下限0.1、上限5の範囲となる比率であることがより好ましい。下限値が0.05より小さい場合はアルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が不十分になる傾向にあり、上限値が10より大きい場合は硬化物から未反応の(A)成分がブリードしてくる場合がある。
本発明の硬化組成物では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(添加剤)
(リン化合物)
本発明の硬化性組成物を熱により硬化させ、特に透明性を要求される用途で使用する場合は、硬化後の色相を改善するために、リン化合物を使用するのが好ましい。リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
リン化合物の使用量は、成分(A)及び成分(C)との総量100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。リン化合物の使用量が0.01重量部より少ないと、色相の改善効果が少なくなる。使用量が10重量部より多くなると、硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(接着性改良剤)
本発明の硬化性組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、成分(C)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物、オキセタン化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン等を挙げることができる。
エポキシ化合物、オキセタン化合物の添加量としては種々設定できるが、成分(A)及び成分(C)との総量100重量部に対して、好ましい添加量は1〜50重量部、より好ましくは3〜25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/又は酸無水物類を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類および/または酸無水物類のうち、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、好ましいカルボン酸類および/または酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類および/または酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の範囲は0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類および/または酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(熱可塑性樹脂)
本発明の硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製パンライト等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えばデュポン製ライナイト等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/またはSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/またはSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、成分(A)及び成分(C)との混合物との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の範囲は硬化性組成物全体の5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなり易い。添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は成分(A)及び/又は成分(C)に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。また、熱可塑性樹脂を成分(A)及び/又は成分(C)に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
本発明の硬化性組成物には透明性を損なわない範囲において、充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/及び提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本発明の硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本発明の硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(溶剤)
本発明の硬化組成物が高粘度である場合、溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他添加剤)
本発明の硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(用途)
本発明の光学材料は、硬化性組成物を硬化させてなる硬化物を成形してなる。
ここでいう光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料であり、具体的には下記のとおりである。
例えば、(デジタル)カメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、プロジェクションレンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、絶縁被覆材、高放熱性接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用材料、光造形、太陽電池用材料、表示材料、記録材料、複写機用感光ドラムに応用できる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
なお、合成例1及び合成例2におけるアリル基の反応率は、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製300MHz−NMR装置を用い、反応液を重クロロホルムで1%程度まで希釈したものをNMR用チューブに加えて測定し、未反応アリル基由来のメチレン基のピークと、反応アリル基由来のメチレン基のピーク比から算出した。
(合成例1)
1L四つ口フラスコにトルエン360g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルイソシアヌル酸41.7g、トルエン120g及び白金ジビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.195gの混合分散液を1時間半かけて滴下した。滴下終了から2時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。トルエン及び未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物D」を得た。
(合成例2)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12.7g、トルエン12.7g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0112gの混合溶液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。トルエン及び未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物E」を得た。
(実施例1〜2)
合成例1および合成例2で得た反応物DおよびEに対し、表1に示される配合組成で硬化性組成物を調製した。さらに、硬化性組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとして挟み込んで作製したセルに、硬化性組成物を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、100℃1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃30分間空気中にて加熱を行い、低線膨張係数かつ透明硬質な硬化物を得た。
(比較例1)
合成例2で得た反応物Eに対し、表1に示される配合組成で硬化性組成物を調製した。さらに、硬化性組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとして挟み込んで作製したセルに、硬化性組成物を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、100℃1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃30分間空気中にて加熱を行い、透明硬質な硬化物を得たが、線膨張係数が高い硬化物であった。
(比較例2)
合成例2で得た反応物Eに対し、線膨張係数を低減するために無機フィラーのAEROSIL−R972を添加し、表1に示される配合組成で硬化性組成物を調製した。さらに、硬化性組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとして挟み込んで作製したセルに、硬化性組成物を塗り、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、100℃1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃30分間空気中にて加熱を行い、硬化物を得た。得られた硬化物は低線膨張係数を有しているが、硬化組成物の粘度が高いため作業性が悪く、また得られた硬化物も不透明であった。
(測定、試験)
(ガラス転位温度)
アイティー計測制御社製DVA−200を用いて、引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温速度5℃/分の条件にて動的粘弾性測定を行い、tanδのピーク温度を硬化物のガラス転移温度(Tg)とした。
(線膨張係数)
ダイヤモンドカッターで5×5mmにカットした硬化物をリガク社製Thermoplus−TMA8510を用いて、圧縮モード、2gf荷重、昇温速度10℃/分にて1st−Scanは室温〜200℃、2nd−Scanは−50℃〜200℃にて硬化時の歪みの影響を排除するため線膨張係数の測定を2回行い、2nd−ScanでのTg+5℃〜Tg+15℃における線膨張係数の平均値を硬化物の平均線膨張係数とした。
(光線透過率)
ダイヤモンドカッターで10×30mmにカットした硬化物を、(株)日立製作所製U−3300を用いて、スキャンスピード300nm/minにて470nmでの光線透過率(%T)を評価した。
Figure 2010163520

Claims (6)

  1. (A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、
    (B)ヒドロシリル化触媒、および、
    (C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物
    を含有する硬化性組成物を硬化させてなる硬化物であり、
    Figure 2010163520
    で表されるイソシアヌル酸基の含有量が硬化物1gあたり0.1mmol以上である、光学材料。
  2. 前記(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物が、下記化合物のヒドロシリル化反応生成物である、請求項1に記載の光学材料:
    (α)下記一般式(I)
    Figure 2010163520
    (式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される有機化合物、
    (β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する、鎖状、環状、分岐状およびかご型のポリオルガノシロキサン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種。
  3. 前記(α)有機化合物が、ジアリルイソシアヌル酸及び/又はモノアリルイソシアヌル酸である、請求項2に記載の光学材料。
  4. 前記(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物が、下記一般式(I)
    Figure 2010163520
    (式中R1は水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学材料。
  5. 前記(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物が、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、および、ジアリルイソシアヌル酸から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学材料。
  6. 前記(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する、鎖状、環状、分岐状およびかご型のポリオルガノシロキサン化合物の少なくとも1種として、下記一般式(II)
    Figure 2010163520
    (式中R2、R3は炭素数1〜10の有機基を表し、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物が含有される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の光学材料。
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