JP4468737B2 - 光学用材料用組成物、光学用材料およびその製造方法 - Google Patents

光学用材料用組成物、光学用材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学用材料用組成物、光学用材料及びその製造方法に関するものである。詳しくは、光学的透明性を有し、一定時間、高温高湿下に曝した場合においても、光学的透明性を維持できる光学用材料用組成物、光学用材料及びその製造方法に関する。
ヒドロシリル化反応を利用して得られる硬化性組成物は、その硬化反応性を生かして電子材料の保護材、医療用成形材料、種々の接着剤等として多用されている。また、近年ではこのような材料の使用環境の変化に伴い、より強い熱や光に耐えて物性を維持する材料が望まれている。
硬化性組成物を硬化反応させると硬質になるタイプや軟質になるタイプがあるが、最近では、振動や熱によって応力が発生するような環境下で使用した場合にも歪の吸収ができる軟質タイプが注目されつつある。この軟質タイプに耐候性が付与されれば、柔軟でかつ高温高湿下で使用可能な光学用材料を製造することができる。
ところで、ヒドロシリル化反応は触媒毒の影響を受けやすいことが知られている。例えば、特許文献1には、組成物中に、N、P、S、Sn、As等の元素が微量でも存在すると、あるいは、組成物を塗布し、硬化させる基材中にこれらの元素が存在すると、これが触媒毒になってヒドロシリル化反応が著しく阻害され、ヒドロシリル化反応が十分に進行せず、硬化不良を起こすことがあるとの記述がある。
なお、この特許文献1は、有機鉄化合物及び/又は有機アルミニウム化合物を添加してヒドロシリル化反応させる内容であるが、本発明での硬化性組成物には有機鉄化合物及び/又は有機アルミニウム化合物は必要ではない。また、硬化物の耐候試験における透明性に関する記載はない。
この他、特許文献2には、酸化防止剤を必須成分とするヒドロシリル化反応による硬化性組成物で、酸化防止剤のうち硫黄又はリンを含有する化合物は、その大部分がヒドロシリル化触媒の触媒毒となる可能性があるので、アミン系又はフェノール系の酸化劣化防止剤を使用することが好ましいとの記述がある。
なお、この特許文献2には、硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物で耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、撥水性、撥油性、耐候性、耐酸化劣化性等に優れた硬化物が得られることが記されているが、硬化物の耐候試験での耐光性又は耐着色性に関する記載はない。
特開平6−179821号公報(第2頁) 特開2002−20613号公報(第12頁)
本発明の目的は、光や熱に曝されることによる透明性の低下を低減することができる光学用材料用組成物、その組成物を硬化してなる光学用材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らが鋭意検討したところ、リン又はイオウを含有する化合物を必須成分として含有し、かつ、硬化性を有する光学用材料用組成物、その組成物を硬化してなる光学用材料及びその製造方法により、上記課題が解決されることを見いだした。
即ち、本発明は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)リン又はイオウを含有する化合物を必須成分として含有してなり、かつ、硬化性を有することを特徴とする光学用材料用組成物に関する。
また、本発明は、(D)成分が、一般式(I)
Figure 0004468737
(式中、Rは、炭素数1以上のアルキル基、アルコキシル基、フェニル基又はフェネチル基を示し、Rが複数個ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは1〜5の整数を示す。)
で表されるトリアリーロキシホスフィン系化合物、又は、一般式(II)
Figure 0004468737
(式中、Rは前記と同じ。)
で表されるトリアリールホスフィン系化合物である上記光学用材料用組成物;
(D)成分が、下式
Figure 0004468737
で表されるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである上記光学用材料用組成物に関する。
さらに、本発明は、上記光学用材料用組成物が硬化されてなる光学用材料;
上記光学用材料用組成物をあらかじめ混合し、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と(B)成分中のSiH基の一部又は全部を反応させることによって、硬化させることを特徴とする光学用材料の製造方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学用材料用組成物は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)リン又はイオウを含有する化合物を必須成分として含有してなり、かつ、硬化性を有することを特徴とするものである。
ここで、「硬化性を有する」とは、(A)、(B)、(C)、(D)からなる組成物の115℃での硬化時間(表面温度が115℃である熱板上に厚さ50μmのアルミ箔を置き、その上に上記配合組成物(10〜20mg)を落として、爪楊枝で混ぜながら観察し、ゲル化するまでの時間)が300秒以下であることをいう。
なお、当該硬化時間は、好ましくは150秒以下、さらに好ましくは90秒以下である。また、反応が穏やかで均一な成形体が得られやすいという点において、5秒以上であることが好ましく、さらに好ましくは10秒以上である。
さらに、(A)、(B)、(C)、(D)成分の構造や配合割合によって、所望の硬化時間に調整することができる。
まず、本発明における(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物であれば特に限定されない。
有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
(A)成分における有機化合物は、有機重合体系化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物及びこれらの混合物等が挙げられる。
(A)成分におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、特に限定されないが、下記一般式(III)
Figure 0004468737
(式中、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示されるアルケニル基が、反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0004468737
が特に好ましい。
また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合として、下記一般式(IV)
Figure 0004468737
(式中、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。この場合、それぞれのRは同一であっても、異なっていてもよい。)で示される2価の基が、硬化物の耐熱性が高いという観点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0004468737
で示される2価の基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は、特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は、(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。
2価以上の置換基としては、炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0004468737
Figure 0004468737
等が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって、1つの2価以上の置換基を構成してもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0004468737
等が挙げられる。
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 0004468737
Figure 0004468737
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系;ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
また、(A)成分としては、有機重合体骨格にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基が共有結合したものも好ましい。
有機重合体骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリエーテル系重合体、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合又はラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水素系)重合体、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体、ビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等のフェノール系樹脂等が挙げられる。
また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基については、前記説明のものが挙げられる。
アルケニル基を前記重合体骨格に導入する方法については、種々提案されているものを用いることができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法と、重合中にアルケニル基を導入する方法に大別することができる。
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する有機重合体に、その官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物を反応させることにより、アルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。
上記官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等の炭素数3〜20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物等や、アリルクロロホルメート(CH=CHCHOCOCl)、アリルブロモホルメート(CH=CHCHOCOBr)等の炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン、アリルイソシアネート等が挙げられる。
また、エステル交換法を用いてアルケニル基を導入する方法がある。この方法は、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基を、エステル交換触媒を用いてアルケニル基含有アルコール又はアルケニル基含有フェノール誘導体とエステル交換する方法である。アルコール残基との交換に用いるアルケニル基含有アルコール及びアルケニル基含有フェノール誘導体は、少なくとも1個のアルケニル基を有し、少なくとも1個の水酸基を有するアルコール又はフェノール誘導体であれば良いが、水酸基を1個有する方が好ましい。触媒は使用してもしなくても良いが、用いる触媒はチタン系及び錫系のものが良い。
さらに、上記アルコール又はフェノール誘導体の酢酸エステル等のエステル化物と、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分を、エステル交換触媒を用いてエステル交換しながら、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基の酢酸エステル等の低分子量エステル化物を生成させ、減圧脱揮等で系外に留去する方法で、アルケニル基を導入する方法もある。
また、リビング重合によりメチル(メタ)アクリレート等の重合を行った後、リビング末端をアルケニル基を有する化合物によって停止させる方法により、末端にアルケニル基を導入することもできる。
重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、ラジカル重合法で、本発明に用いる(A)成分の有機重合体骨格を製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマーや、アリルメルカプタン等のラジカル反応性の低いアルケニル基を有するラジカル連鎖移動剤を用いることにより、有機重合体骨格の側鎖や末端にアルケニル基を導入することができる。
上記(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を、(A)成分1gあたり1mmol以上含有するものが好ましく、1gあたり5mmol以上含有するものがさらに好ましく、1gあたり8mmol以上含有するものが特に好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上させたい場合には、2個を越えることが好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。また、未反応の炭素−炭素二重結合は、熱や光によって酸化されて着色の原因となる。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、及び良好な作業性を得るためには、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましく、線状でも枝分かれ状でもよい。
(A)成分の分子量は特に制約はないが、好ましくは50〜100,000、より好ましくは100〜30,000である。分子量が100,000を超えると、一般に原料が高粘度となり作業性が低下する傾向があり、アルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難くなる傾向がある。
また、(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点から、フェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。
フェノール性水酸基とは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示す。フェノール性水酸基の誘導体とは、上述のフェノール性水酸基の水素原子が、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
また、複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに、耐候性が良好であるという観点からは、(A)成分中の芳香環成分の重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
得られる硬化物の着色性及び光学特性から、(A)成分としては、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン等が好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
また、上記(A)成分を単独で用いても2種以上を混合使用してもよい。
次に、(B)成分について説明する。
(B)成分としては、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開第WO96/15194号に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点から、さらに、下記一般式(V)
Figure 0004468737
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
なお、一般式(V)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、前記(A)成分と良好な相溶性を有するという観点からは、(B)成分としては、鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンと、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物(以降(E)成分と称する)との反応物も好ましい。この場合、反応物の(A)成分との相溶性をさらに高めるために、反応物から未反応のシロキサン類等を脱揮等により除去したものを用いることもできる。
なお、(E)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機系骨格からなる有機化合物であって、前記(A)成分で説明したものと同じものも使用できる。
(B)成分の(A)成分に対する相溶性を高くし得るという観点からは、(E)成分の好ましい具体例として、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ジアリルフタレート、フタル酸のビス(2−アリルオキシエチル)エステル、スチレン、α−メチルスチレン、アリル末端ポリプロピレンオキシド、アリル末端ポリエチレンオキシド、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
(E)成分の有機化合物は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
上記各種(B)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
上記(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、一般に前記(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数(X)と、前記(B)成分中のSiH基の数(Y)との比が、2.0≧Y/X≧0.5であることが好ましい。Y/X>2.0の場合は、十分な硬化性が得られなかったり、充分な強度が得られない場合があり、Y/X<0.5の場合は、炭素−炭素二重結合が過剰となり着色の原因となる場合がある。
次に、(C)成分について説明する。
(C)成分のヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO));白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu);白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒;モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体等が挙げられる。
また、白金化合物以外のヒドロシリル化触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ヒドロシリル化触媒(C)の添加量は特に限定されないが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましくは0.01〜1.0重量部であり、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。0.01重量部未満であると硬化不良となる場合があり、1.0重量部を超えると硬化物の着色原因となる可能性がある。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例として、ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物;トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して、10−2〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは10−1〜10モルの範囲である。
次に、(D)成分について説明する。
(D)成分のリン又はイオウを含有する化合物としては、硬化性の不良が生じない限り、特に制限されるものではなく、リン化合物、イオウ化合物等が挙げられる。
リン化合物としては、一般式(I)
Figure 0004468737
(式中、Rは、炭素数1以上のアルキル基、アルコキシル基、フェニル基又はフェネチル基を示し、Rが複数個ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは1〜5の整数を示す。)
で表されるトリアリーロキシホスフィン系化合物;一般式(II)
Figure 0004468737
(式中、Rは前記と同じ。)
で表されるトリアリールホスフィン系化合物;下式
Figure 0004468737
で表されるオルガノフォスファイト類等が例示される。
の炭素数1以上のアルキル基、アルコキシル基としては、好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜9のものであり、触媒毒となり難いという点からはt−ブチル基が特に好ましい。
なお、一般式(I)、(II)において、リン原子に結合している3つの基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記リン化合物のなかでも、トリアリーロキシホスフィン系化合物、トリアリールホスフィン系化合物が好ましい。また、トリアリーロキシホスフィン系化合物の好ましい具体例としては、例えば下式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0004468737
また、硬化性の観点からは、下式
Figure 0004468737
で表されるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
トリアリーロキシホスフィンのフェニル基にtert−ブチル基のような嵩高い置換基を有したリン化合物が、より好ましい硬化性を有する組成物を与え、また硬化物の着色防止により効果を有する。これは、リン原子が嵩高い置換基を有するために、ヒドロシリル化触媒への配位が妨げられ、触媒毒としての機能が抑制されたためと考えられる。
イオウ化合物としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
上記リン又はイオウを含有する化合物は、酸化防止剤の役割を果たすものでもあり、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、リン又はイオウを含有する化合物(D)の添加量は特に限定されないが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましくは0.01〜1.0重量部であり、より好ましくは0.05〜0.3重量部である。0.01重量部未満であると酸化防止剤としての効果が十分に発現しにくい傾向があり、1.0重量部を超えると硬化遅延の原因となる可能性がある。
さらに、本発明の組成物及び硬化剤の酸化劣化を防止する目的で添加することができる、他の酸化防止剤について説明する。
酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオールビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール類、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール等が挙げられる。
これらの中では、酸化防止剤自体の熱分解温度が高いという観点から、ペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール等が好ましい。
酸化防止剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対する好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.2重量部であり、好ましい添加量の上限は30重量部、より好ましくは20重量部である。添加量が0.1重量部より少ないと高温下での酸化防止効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が30重量部より多いと硬化物から酸化防止剤がブリードし易くなる傾向がある。
また、これらの酸化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
さらに、本発明の組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。
窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチンが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1molに対し、10−1〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜50モルの範囲である。
本発明の組成物には接着性改良剤を添加することができる。接着性改良剤としては、一般に用いられている接着剤の他、例えば、種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ポリスチレン系樹脂、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等との重縮合体;クレゾールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等との重縮合体等が挙げられる。
クマロン−インデン樹脂としては、例えば、石炭乾留ガス軽油及び/又はコールタールを蒸留して得られる沸点140〜200℃留分(クマロン、インデン、スチレン、フェノール等の混合物)を含む炭化水素油を、脱タール塩基処理した後、重合したもの等が挙げられる。
ロジンエステル樹脂としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、レボビマル酸等の樹脂酸を主成分とする、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等を、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコールでエステル化したもの等が挙げられる。
テルペン−フェノール樹脂としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等のテルペン類と、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール類との共重合体等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
また、接着性改良剤としての上記カップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ポリスチレン系樹脂、芳香族ポリイソシアネートは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
接着性改良剤の添加量としては、種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、下限は好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、上限は好ましくは50重量部、より好ましくは25重量部である。接着性改良剤の添加量が0.1重量部より少ないと接着性改良効果が十分に発揮されない傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物中での相溶性が低下しやすくなったり、硬化物からブリードしやすくなったりする傾向がある。
また、本発明において、接着性改良剤として上記カップリング剤やエポキシ化合物を用いる場合には、その効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては、特に限定されないが、アルミニウム系化合物、チタン系化合物、ホウ酸エステル等を好ましく用いることができる。
シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示できる。取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。
シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類;チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類;オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
また、シラノール縮合触媒となるホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリ−2−エチルヘキシル、ホウ酸ノルマルトリオクタデシル、ホウ酸トリノルマルオクチル、ホウ酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ホウ酸トリノルマルブチル、ホウ酸トリ−sec−ブチル、ホウ酸トリ−tert−ブチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリノルマルプロピル、ホウ酸トリアリル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ素メトキシエトキサイドが例示できる。入手性の点からホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリノルマルブチルが好ましい。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量としては、種々設定できるが、カップリング剤及びエポキシ化合物の合計100重量部に対して、下限は好ましくは0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、上限は好ましくは50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が0.1重量部より少ないと接着性向上効果が十分に発揮されない傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物中での相溶性が低下し易くなる傾向がある。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明の組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加すると、組成物の流動性の防止、材料の高強度化に効果がある。
無機フィラーとしては、光学特性を低下させない、微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、硬化物の透明性を維持しやすいという点から、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは1〜50重量部である。
さらに、本発明の組成物の特性を改質する目的で、種々の樹脂を添加することも可能である。
樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
樹脂の添加量は特に限定されないが、硬化物の耐熱耐候性の点から、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部であり、より好ましくは1〜50重量部である。
本発明の組成物をそのままフィルム等に成形することも可能であるが、該組成物を有機溶剤に溶解してワニスとすることも可能である。
使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は、用いる反応性(A)成分1gに対し、下限0mL、上限10mLの範囲で用いるのが好ましく、下限0.5mL、上限5mLの範囲で用いるのがさらに好ましく、下限1mL、上限3mLの範囲で用いるのが特に好ましい。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する傾向がある。
本発明の組成物には、その他、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
なお、有機鉄化合物、有機アルミニウム化合物を含まない方が本発明の効果が顕著であり、好ましい。
本発明の光学用材料とは、上記光学用材料用組成物が硬化されてなるものである。つまり、上記光学用材料用組成物の硬化物を、光学用材料として用いることができる。
また、上記光学用材料用組成物をあらかじめ混合し、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、(B)成分中のSiH基の一部又は全部を反応させることによって、硬化させることにより、当該光学用材料を製造することができる。
混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A)成分に(C)成分を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好ましい。(A)成分と(B)成分との混合物に(C)成分を混合する方法だと反応の制御が困難である。(B)成分に(C)成分を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、(C)成分の存在下、(B)成分が水分と反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。(D)成分は、(A)成分又は(B)成分に添加できる。
組成物を反応させて硬化させる場合において、(A)、(B)、(C)、(D)各成分それぞれの必要量を一度に混合して反応させてもよいが;一部を混合して反応させた後、残量を混合してさらに反応させる方法や;混合した後、反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により、組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行い、さらに硬化させる方法等をとることもできる。これらの方法によれば、成形時の粘度調整が容易となる。
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、100〜250℃がより好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい傾向がある。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間は、所望に応じて種々設定できる。
反応時の圧力は、必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
また、硬化させて得られる光学用材料の硬度には特に制限はないが、光学用材料用途としては、デュロメータ硬さHDAが20以上、HDDが90以下であることが好ましい。なお、硬度の測定方法はJIS K 7215に準ずる。
硬化させて得られる光学用材料の形状は、用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えばフィルム状、シート状、チューブ状、ロッド状、塗膜状、バルク状等の形状とすることができる。
成形する方法としては、従来の熱硬化性樹脂の成形方法をはじめとして、種々の方法をとることができる。例えば、キャスト法、プレス法、注型法、トランスファー成形法、コーティング法、RIM法等の成形方法を適用することができる。
成形型は、研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を適用することができる。
また、成形型との離型性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を適用することができる。
成形時に、必要に応じて各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために、組成物あるいは一部反応させた組成物を、遠心、減圧等により脱泡する処理、プレス時に一旦圧力を開放する処理等を適用することもできる。
本発明で得られる硬化物は、光学用材料をはじめ各種用途に使用できる。
光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。
液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶用フィルム等の液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤;LED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤;プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム;有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等である。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等である。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルム等である。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤等である。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤等である。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤等である。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等である。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等である。
光学用材料の他の用途としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI等用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TAB等用のポッティング封止、フリップチップ等用のアンダーフィル、BGA、CSP等のICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィル)等を挙げることができる。
本発明により、光や熱に曝されることによる透明性の低下を低減することができる光学用材料用組成物、その組成物を硬化してなる光学用材料及びその製造方法が得られる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例で得られた組成物、硬化物を用いて、以下のようにして各物性を測定した。
(1)115℃での硬化時間
表面温度が115℃である熱板上に、厚さ50μmのアルミ箔を置き、その上に、得られた配合組成物(混合液)(10〜20mg)を落として、爪楊枝で混ぜながら観察し、ゲル化するまでの時間を測定した。
(2)150℃×7日間の耐熱試験後の着色度
得られた硬化物を縦5mm、横30mm、厚さ3mmに切出し、150℃で7日間、熱風循環オーブン中に保管した後、硬化物の着色を目視にて観察し、5段階評価した。1は全く着色が見られない状態、5は褐色に着色した状態を示す。
(合成例1)トリアリルイソシアヌレートによる1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン変性体(1)の合成
冷却管、攪拌機、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、信越化学工業製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン288gを入れ、トルエン360gを加えて溶解した後、110℃に保った。別途、トリアリルイソシアヌレート40gをトルエン40gに溶かし、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.3gを加えた溶液を用意し、これを4つ口フラスコ中の溶液に10分かけて滴下した後、攪拌しながら6時間反応させた。反応後、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.6gを加えて溶解した後、25℃まで放冷した。その後、反応液を1Lのナスフラスコに移し、減圧下、60℃で揮発分を留去することによって、130gの変性体(1)を得た。
変性体(1)のヒドロシリル基含有量はプロトンNMR分析の結果、8.04mmol/gであった。また、同分析の結果、アリル基残存量は0.10mmol/gであった。なお、ヒドロシリル基含有量及びアリル基残存量は、1,2−ジブロモエタンを内部標準とし、この標準物質のプロトンの化学シフト(3.65ppm)面積とヒドロシリル基のプロトンの化学シフト(4.7ppm)面積又はアリル基のプロトンの化学シフト(4.5ppm)面積を比較することによって決定した。
(実施例1)
両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチル(鐘淵化学製SA100A、アリル価:0.08mmol/g)4.904g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成製)1.226g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.024g、ホウ酸トリメチル0.040g及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:IRGAFOS168)のトルエン溶液(重量比で1/6希釈)0.048gを混合し、攪拌溶解した。続いて、合成例1の変性体(1)1.870g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.024g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製、商品名:A−187)0.200gを混合し、攪拌溶解、真空脱泡した。
次に、45mmφの軟膏缶にこの混合液4.8gを流し込んで蓋したものを、60℃×6時間、70℃×1時間、80℃×1時間、120℃×1時間、150℃×1時間の多段階で加熱したところ、淡黄色半透明の柔軟性のある硬化物が得られた。
この硬化物を縦5mm、横30mm、厚さ3mmに切出し、150℃×7日間の耐熱試験を行い、硬化物の着色を目視にて観察したところ、茶色だった。但し、比較例1と比べて着色は低減された。また、この混合液の115℃における硬化時間は72秒だった。
(比較例1)
両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチル(鐘淵化学製SA100A、アリル価:0.08mmol/g)4.904g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成製)1.226g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.024g、ホウ酸トリメチル0.040gを混合し、攪拌溶解した。続いて、合成例1の変性体(1)1.870g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.024g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製、商品名:A−187)0.200gを混合し、攪拌溶解、真空脱泡した。
次に、45mmφの軟膏缶にこの混合液4.8gを流し込んで蓋したものを、60℃×6時間、70℃×1時間、80℃×1時間、120℃×1時間、150℃×1時間の多段階で加熱したところ、淡黄色半透明の柔軟性のある硬化物が得られた。
この硬化物を縦5mm、横30mm、厚さ3mmに切出し、150℃×7日間の耐熱試験を行い、硬化物の着色を目視にて観察したところ、褐色であった。また、この混合液の115℃における硬化時間は22秒だった。
表1に、実施例1及び比較例1の配合比、配合物の115℃での硬化時間、硬化物の150℃×7日間耐熱試験後の着色度を示した。
表1より明らかなように、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを添加した硬化物は、これを添加しない硬化物に比べて、150℃×7日間耐熱試験後の着色が低減された。
Figure 0004468737
(実施例2)
両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチル(鐘淵化学製SA100A、アリル価:0.08mmol/g)4.904g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成製)1.226g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.024g、ホウ酸トリメチル0.040g、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:IRGAFOS168)のトルエン溶液(重量比で1/6希釈)0.048g及びペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:イルガノックス1010)のアセトン溶液(重量比で1/2希釈)0.160gを混合し、攪拌溶解した。続いて、合成例1の変性体(1)1.870g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.024g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製、商品名:A−187)0.200gを混合し、攪拌溶解、真空脱泡した。
次に、45mmφの軟膏缶にこの混合液4.8gを流し込んで蓋したものを、60℃×6時間、70℃×1時間、80℃×1時間、120℃×1時間、150℃×1時間の多段階で加熱したところ、淡黄色半透明の柔軟性のある硬化物が得られた。
この硬化物を縦5mm、横30mm、厚さ3mmに切出し、150℃×7日間の耐熱試験を行い、硬化物の着色を目視にて観察したところ、少し着色が見られる程度だった。比較例2と比べて着色は低減された。また、この混合液の115℃における硬化時間は65秒だった。
(比較例2)
両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチル(鐘淵化学製SA100A、アリル価:0.08mmol/g)4.904g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成製)1.226g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.024g、ホウ酸トリメチル0.040g及びペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:イルガノックス1010)のアセトン溶液(重量比で1/2希釈)0.160gを混合し、攪拌溶解した。続いて、合成例1の変性体(1)1.870g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.024g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製、商品名:A−187)0.200gを混合し、攪拌溶解、真空脱泡した。
次に、45mmφの軟膏缶にこの混合液4.8gを流し込んで蓋したものを、60℃×6時間、70℃×1時間、80℃×1時間、120℃×1時間、150℃×1時間の多段階で加熱したところ、淡黄色半透明の柔軟性のある硬化物が得られた。
この硬化物を縦5mm、横30mm、厚さ3mmに切出し、150℃×7日間の耐熱試験を行い、硬化物の着色を目視にて観察したところ、少し着色が見られる程度だった。また、この混合液の115℃における硬化時間は25秒だった。
(比較例3)
両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチル(鐘淵化学製SA100A、アリル価:0.08mmol/g)4.904g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成製)1.226g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.024g、ホウ酸トリメチル0.040g及びペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:イルガノックス1010)0.080gを混合し、攪拌溶解した。ペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)は、予めSA100Aと混合し、120℃×30分間の加熱により溶解させた。続いて、合成例1の変性体(1)1.870g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.024g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製、商品名:A−187)0.200g、モノデシル−ジフェニルホスファイト(旭電化製、商品名:アデカスタブ135A)0.009gを混合し、攪拌溶解、真空脱泡した。
次に、45mmφの軟膏缶にこの混合液4.8gを流し込んで蓋したものを、60℃×6時間、70℃×1時間、80℃×1時間、120℃×1時間、150℃×1時間の多段階で加熱したところ、硬化物は得られなかった。混合液の115℃における硬化時間は300秒を超えた。
表2に、実施例2、比較例2、3の配合比、配合物の115℃での硬化時間、硬化物の150℃×7日間耐熱試験後の着色度を示した。表2より明らかなように、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを添加した硬化物は、これを添加しない硬化物に比べて、150℃×7日間耐熱試験後の着色が低減された。また、モノデシル−ジフェニルホスファイトを添加した配合物は、硬化不良を生じた。
Figure 0004468737
本発明により、光や熱に曝されることによる透明性の低下を低減することができる光学用材料用組成物、その組成物を硬化してなる光学用材料及びその製造方法が得られる。

Claims (4)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)リン又はイオウを含有する化合物を必須成分として含有してなり、かつ、硬化性を有することを特徴とする光学用材料用組成物であって、
    (D)成分が、一般式(I)
    Figure 0004468737
    (式中、R は、炭素数1以上のアルキル基、アルコキシル基、フェニル基又はフェネチル基を示し、R が複数個ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは1〜5の整数を示す。)
    で表されるトリアリーロキシホスフィン系化合物であり、
    (B)成分の混合比率は、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数(X)と、前記(B)成分中のSiH基の数(Y)との比が、2.0≧Y/X≧0.5であり、
    (C)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であり、
    化合物(D)の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.01〜1.0重量部である光学用材料用組成物
  2. (D)成分が、下式
    Figure 0004468737
    で表されるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである請求項1記載の光学用材料用組成物。
  3. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学用材料用組成物が硬化されてなる光学用材料。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学用材料用組成物をあらかじめ混合し、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と(B)成分中のSiH基の一部又は全部を反応させることによって、硬化させることを特徴とする光学用材料の製造方法。
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