JP2009170175A - 膜電極構造体及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な膜電極構造体、及び、当該膜電極構造体を備える燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード触媒層及びカソード触媒層、並びに、アノード触媒層とカソード触媒層との間に配設された電解質膜、を備え、少なくともカソード触媒層は、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有する第1層、及び、第1層に含有されるプロトン伝導体よりも酸強度の大きいプロトン伝導体を含有する第2層、を具備し、電解質膜と第2層との間に、第1層が配設されている膜電極構造体とし、該膜電極構造体と、アノード触媒層と通電可能に配設された第1導電体と、カソード触媒層と通電可能に配設された第2導電体とを備える、燃料電池とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、2層構造の触媒層と電解質膜とを有する膜電極構造体、及び、当該膜電極構造体を備えた燃料電池に関する。
燃料電池は、電解質層(以下「電解質膜」という。)と、電解質膜の両面側にそれぞれ配設される電極(アノード触媒層及びカソード触媒層)とを備える膜電極構造体(以下「MEA」ということがある。)で電気化学反応を起こし、当該電気化学反応により発生した電気エネルギーを外部に取り出す装置である。燃料電池の中でも、家庭用コージェネレーション・システムや自動車等に使用される固体高分子型燃料電池(以下「PEFC」ということがある。)は、低温領域で運転することができる。このPEFCは、高いエネルギー変換効率を示し、起動時間が短く、かつシステムが小型軽量であることから、電気自動車の動力源や携帯用電源として注目されている。
PEFCの単セルは、MEAと、当該MEAを狭持する一対の集電体とを備え、MEAには、含水状態に保たれることによりプロトン伝導性能を発現するプロトン伝導性ポリマーが含有される。PEFCの運転時には、アノードに水素含有ガス(以下「水素」という。)が、カソードに酸素含有ガス(以下「空気」という。)が、それぞれ供給される。アノードへと供給された水素は、アノードの触媒層(以下「アノード触媒層」ということがある。)に含まれる触媒の作用下でプロトンと電子に分離し、水素から生じたプロトンは、アノード触媒層及び電解質膜を通ってカソードの触媒層(以下「カソード触媒層」ということがある。)へと達する。一方、電子は、外部回路を通ってカソード触媒層へと達し、かかる過程を経ることにより、電気エネルギーを取り出すことが可能になる。そして、カソード触媒層へと達したプロトン及び電子と、カソード触媒層へと供給された酸素とが反応することにより、水が生成される。
PEFCの運転時には、多くの場合、カソード触媒層がアノード触媒層よりも高電位となり、カソード触媒層の電位は、PEFCの運転状態に応じて変動し得る。カソード触媒層に含有される触媒(例えば、白金等)は、高電位環境下で強酸環境に曝されると、酸化されてイオンになる。MEAを構成する電解質膜には触媒が含有されないため、カソード触媒層と電解質膜との間には、触媒の濃度勾配が存在する。それゆえ、カソード触媒層で触媒が酸化されてイオンの状態になると、当該イオンは電解質膜へと拡散し、電解質膜とカソード触媒層との界面や電解質膜の内部で触媒が析出することがある。このようにして、カソード触媒層に含有されていた触媒が電解質膜へと移動(以下において「溶出」ということがある。)すると、カソード触媒層に含有された触媒の量が低減するため、PEFCの性能が低下する。したがって、PEFCの性能を向上させるためには、触媒の溶出を抑制することが有効である。
PEFCの性能を向上させることを目的とした技術として、例えば特許文献1には、水素イオン伝導性を有する第1の高分子電解質を含む高分子電解質膜と、高分子電解質膜の主面上に配置される、水素イオン伝導性を有する第2の高分子電解質を含むカソード触媒層と、上記主面と反対側の高分子電解質膜の主面上にカソード触媒層に対向するように配置される、水素イオン伝導性を有する第3の高分子電解質を含むアノード触媒層と、を有しており、第1の高分子電解質の平均EW値が900〜1200であり、第2の高分子電解質の平均EW値が900〜1200であり、かつイオン交換基として、スルホン酸基よりも酸解離定数の小さいイオン交換基を含んでいること、を特徴とする膜触媒層接合体(上記「MEA」に相当)が開示されている。また、特許文献2には、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池に関する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、貴金属粒子の溶出を防ぎ、燃料電池の性能低下を抑制する、燃料電池用電極材料及び燃料電池に関する技術が開示されている。
特開2007−157453号公報 特開2006−261004号公報 特開2007−5292号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術のように、カソード触媒層に含有される高分子電解質の全てを、スルホン酸基よりも酸解離定数の小さいイオン交換機を含む高分子電解質により構成すると、触媒の溶出を抑制することが可能になる反面、カソード触媒層のプロトン伝導抵抗が増大して燃料電池の発電性能が低下しやすい、という問題があった。かかる問題は、特許文献2及び特許文献3に開示されている技術によっても解決が困難であり、特許文献1〜特許文献3に開示された2以上の発明を組み合わせても、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することは困難であった。
そこで本発明は、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な膜電極構造体、及び、当該膜電極構造体を備える燃料電池、を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
第1の本発明は、アノード触媒層及びカソード触媒層、並びに、アノード触媒層とカソード触媒層との間に配設された電解質膜、を備え、少なくともカソード触媒層は、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有する第1層、及び、第1層に含有されるプロトン伝導体よりも酸強度の大きいプロトン伝導体を含有する第2層、を具備し、電解質膜と第2層との間に、第1層が配設されていることを特徴とする、膜電極構造体である。
ここに、第1の本発明において、「アノード触媒層」は、少なくとも、水素から電子及びプロトンが生じる電気化学反応の触媒として機能する物質(例えば、白金等。以下において「触媒」という。)と、当該電気化学反応で生じたプロトンを電解質膜側へと移動させるプロトン伝導体と、当該電気化学反応で生じた電子を電解質膜から離れる側へと移動させる導電体と、を含有していれば、その形態は特に限定されない。さらに、第1の本発明において、「カソード触媒層」は、少なくとも、アノード触媒層から移動してきたプロトンを移動させるプロトン伝導体と、アノード触媒層から移動してきた電子を移動させる導電体と、電子及びプロトンと酸素とが反応して水が生じる電気化学反応の触媒と、を含有している。さらに、「相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有する第1層」とは、第2層に含有されるプロトン伝導体と比較して酸強度の小さいプロトン伝導体が、第1層に含有されることを意味する。
第2の本発明は、上記第1の本発明にかかる膜電極構造体と、アノード触媒層と通電可能に配設された第1導電体と、カソード触媒層と通電可能に配設された第2導電体と、を備えることを特徴とする、燃料電池である。
ここに、第2の本発明において、「アノード触媒層と通電可能に配設された第1導電体」とは、アノード触媒層で生じた電子が第1導電体へと移動可能な形態で、第1導電体が配設されていることを意味する。さらに、第2の本発明において、「カソード触媒層と通電可能に配設された第2導電体」とは、第2導電体へと移動してきた電子がカソード触媒層へと移動可能な形態で、第2導電体が配設されていることを意味する。
第1の本発明によれば、電解質膜と接触する第1層に、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体が含有されたカソード触媒層を具備する膜電極構造体を提供することができる。ここで、PEFCの運転中に様々な電位状態に曝されるカソード触媒層では、電解質膜側の領域で触媒量が低減することがある。ところが、第1の本発明では、触媒量が低減する虞のある第1層に、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体が含有されるので、触媒の溶出を抑制することができる。一方、酸強度の小さいプロトン伝導体がカソード触媒層に含有されると、プロトンの伝導抵抗が増大して、発電性能(例えば、初期性能等)が低下する虞がある。ところが、第1の本発明によれば、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体が含有される第1層は、カソード触媒層の全体を構成せず、その一部を構成するのみであるため、発電性能の低下を抑制することができる。したがって、第1の本発明によれば、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な、膜電極構造体を提供することができる。
第2の本発明によれば、第1の本発明にかかる膜電極構造体が備えられるので、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な、燃料電池を提供することができる。
本発明者は、PEFCの性能について調査したところ、カソード触媒層のうち、電解質膜側の一部に、触媒量低減領域が発現する場合があることを知見した。そこで、電解質膜側の領域には導電体及びプロトン伝導体を分散させ、かつ、電解質膜から離れた側の領域には導電体及び触媒並びにプロトン伝導体を分散させた二層構造のカソード触媒層と、全領域に導電体及び触媒並びにプロトン伝導体を分散させたアノード触媒層とを有するMEAを備えた単セル(以下において「参考例1の単セル」という。)の発電性能を評価した。併せて、全領域に触媒及びプロトン伝導体を分散させたアノード触媒層及びカソード触媒層を有するMEAを備えた単セル(以下において「参考例2の単セル」という。)の発電性能を評価し、それぞれの発電性能を比較した。相対湿度100%の水素ガス及び相対湿度100%の空気をアノード触媒層及びカソード触媒層へと供給した状態(以下において「高加湿状態」という。)で行った発電性能評価試験の結果を図1に示す。また、相対湿度20%の水素ガス及び相対湿度30%の空気をアノード触媒層及びカソード触媒層へと供給した状態(以下において「低加湿状態」という。))で行った発電性能評価試験の結果を図2に示す。
図1より、高加湿状態で運転すると、参考例1の単セル及び参考例2の単セルの性能差は小さかった。しかし、図2より、低加湿状態で運転すると、二層構造のカソード触媒層を有する参考例1の単セルで顕著な性能低下が認められた。高加湿状態下における性能差が小さかったのは、高加湿状態下ではプロトンが伝導されやすく、プロトン伝導抵抗が小さいことから、電解質膜から離れた位置に分散された触媒へとプロトンが到達するのに要するプロトン伝導抵抗と、電解質膜近傍に分散された触媒へとプロトンが到達するのに要するプロトン伝導抵抗との差が小さかったためであると考えられる。これに対し、低加湿状態下における性能差が大きかったのは、低加湿状態下ではプロトンが伝導され難く、プロトン伝導抵抗が大きいことから、電解質膜から離れた位置に分散された触媒へとプロトンが到達するのに要するプロトン伝導抵抗と、電解質膜近傍に分散された触媒へとプロトンが到達するのに要するプロトン伝導抵抗との差が大きかったためであると考えられる。以上より、カソード触媒層のうち、電解質膜近傍の部位で触媒量が低減すると、低加湿状態下で発電性能が大きく低下するため、当該性能低下を抑制するには、電解質膜近傍部位における触媒量の低減を抑制するための対策を施すことが重要である。
本発明は、かかる観点からなされたものであり、その第1の要旨は、カソード触媒層を多層構造とし、カソード触媒層の電解質膜近傍領域に触媒量の低減を抑制するための対策を施すことにより、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な膜電極構造体を提供することにある。また、本発明の第2の要旨は、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な燃料電池を提供することにある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の膜電極構造体及び燃料電池について説明する。なお、以下に示す形態はあくまでも例示であり、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
1.膜電極構造体(MEA)
図3は、本発明の膜電極構造体の形態例を示す断面図である。図3の紙面左右方向が、MEAの厚さ方向である。図3に示すように、本発明の膜電極構造体1(以下において「MEA1」という。)は、電解質膜2と、電解質膜2の一方の面に形成されたアノード触媒層3と、電解質膜2の他方の面に形成されたカソード触媒層4と、を備える。カソード触媒層4は、第1層4a及び第2層4bを有し、電解質膜2と第2層4bとの間に第1層4aが配置される形態で、第1層4a及び第2層4bが形成されている。電解質膜2は、パーフルオロスルホン酸系のポリマーに代表されるプロトン伝導体により構成され、アノード触媒層3、第1層4a、及び、第2層4bには、導電体及び触媒(例えば、炭素に白金が担持された、白金担持カーボン等)が分散されている。加えて、アノード触媒層3及び第2層4bにはパーフルオロスルホン酸系のプロトン伝導体(末端基にCF−SOHを有するポリマー)が、第1層4aには、第2層4bに含有されるプロトン伝導体よりも酸強度の小さいプロトン伝導体(例えば、末端基に−COOH、Ar−SOH、又は、R−SOH等を有するポリマー(Arは芳香族環、Rはアルキル基を意味する。))が含有されている。
MEA1を備えるPEFCの運転時には、例えば、加湿された水素がアノード触媒層3へと供給され、アノード触媒層3に分散された触媒の作用下で、水素からプロトン及び電子が生じる電気化学反応が起こる。アノード触媒層3で生じたプロトンは、アノード触媒層3及び電解質膜2に含有されるプロトン伝導体を伝ってカソード触媒層4へと達し、第1層4a及び第2層4bに含有されるプロトン伝導体を伝って、第1層4aに分散された触媒、及び、第2層4bに分散された触媒へと達する。これに対し、アノード触媒層3で生じた電子は、外部回路を経由して、カソード触媒層4の第2層4b及び第1層4aへと達する。カソード触媒層4の第1層4a及び第2層4bへと達したプロトン及び電子は、第1層4a及び第2層4bに分散された触媒の作用下で、カソード触媒層4へと供給される加湿された空気に含有される酸素と反応し、水が生成される。アノード触媒層3で生じたプロトンは、プロトン伝導体によって、水とともに伝導されるため、プロトン伝導抵抗を下げるべく、MEA1を備えるPEFCの運転時には、加湿された水素及び空気が供給される。
上述のように、プロトンは、アノード触媒層3で生じ、アノード触媒層3及び電解質膜2を経由して、カソード触媒層4へと達する。それゆえ、MEA1を有するPEFCの運転初期の性能は、電解質膜2側に位置する第1層4a内に分散された触媒へと到達するプロトンの量と相関があると考えられる。
一方、MEA1を備えるPEFCの運転時には、アノード触媒層3とカソード触媒層4との間に電位差が生じ、カソード触媒層4はアノード触媒層3よりも高電位に曝される。加えて、カソード触媒層4には、ポリマーの末端基に酸性基が含有されるので、PEFCの運転時に、カソード触媒層4は酸性環境に曝される。強酸環境下で高電位状態に曝されると、カソード触媒層4に分散された触媒(例えば、白金)は、酸化されてイオン(例えば、白金イオン)になりやすい。ここで、上述のように、カソード触媒層4には触媒が分散されているのに対し、電解質膜2には触媒が分散されていない。それゆえ、電解質膜2とカソード触媒層4との間には、触媒の濃度勾配が存在し、イオンの状態になった触媒は、電解質膜2の表面及び/又は内部へと拡散しやすい。
以下、図4〜図7を参照しつつ、カソード触媒層に分散された触媒の溶出挙動について説明する。図4は、運転初期における従来のMEAの形態例を示す断面図である。図5は、運転後における従来のMEAの形態例を示す断面図である。図6は、運転初期におけるMEA1の形態例を示す断面図である。図7は、運転後におけるMEA1の形態例を示す断面図である。図4〜図7の紙面左右方向が、MEAの厚さ方向である。触媒の溶出挙動に関する理解を容易にするため、図4〜図7ではMEAの一部(電解質膜及びカソード触媒層)のみを抽出し、拡大して示している。
通常、MEAの作製時には全体に触媒が分散された形態のカソード触媒層を形成するため、従来のMEAであっても、運転初期には、カソード触媒層の全体に触媒が分散されている(図4参照)。ところが、運転によりカソード触媒層が様々な電位環境に曝されると、カソード触媒層に分散された触媒、特に、電解質膜近傍領域に分散されていた触媒が、濃度勾配により電解質膜へと溶出し、運転終了後にはカソード触媒層の電解質膜近傍に、触媒量低減領域が出現する(図5参照)。このようにして、電解質膜近傍に触媒層低減領域が出現すると、カソード触媒層の電解質膜近傍領域で生じる電気化学反応の頻度が低下するため、運転初期等に代表される低加湿環境下の性能が低下すると考えられる。
これに対し、電解質膜2側に位置する第1層4aに酸強度の小さいプロトン伝導体を含有させた、本発明のMEA1では、触媒が溶出しやすい第1層4aが強酸環境に曝され難い形態とされているため、第1層4aに分散された触媒が酸化され難く、結果として電解質膜2への触媒の溶出が抑制される。さらに、本発明のMEA1によれば、第1層4aよりも酸強度の大きいプロトン伝導体を含有させた第2層4bに分散された触媒が酸化され、電解質膜2側へと拡散した場合であっても、酸化されたイオン状態の触媒は、電解質膜2へと達する前に第1層4aを通る。そのため、第2層4bから移動してきたイオン状態の触媒は、当該第1層4aで析出しやすく、その結果、電解質膜2への触媒の溶出が抑制される。それゆえ、本発明のMEA1によれば、運転初期及び運転終了後において、第1層4aに多くの触媒が分散された状態を維持することが可能になる(図6及び図7参照)。すなわち、本発明のMEA1によれば、運転初期等に代表される低加湿環境下の性能低下を抑制することが可能になる。
ここで、酸強度の小さいプロトン伝導体は、酸強度の大きいプロトン伝導体と比較して、プロトン伝導抵抗が大きい傾向が認められる。それゆえ、カソード触媒層4の全体に、酸強度の小さいプロトン伝導体を含有させると、触媒の溶出抑制効果を向上させることが可能になる反面、プロトン伝導抵抗の増大により性能が低下すると考えられる。そこで、本発明のMEA1では、カソード触媒層4の全体に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有させることは避け、カソード触媒層4の一部を構成する第1層4aにのみ、酸強度の小さいプロトン伝導体を含有させている。すなわち、本発明では、カソード触媒層4の一部(第1層4a)にのみ酸強度の小さいプロトン伝導体を含有させることにより、性能低下を抑制しつつ、触媒の溶出を抑制することが可能な、MEA1を提供している。
このように、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有する第1層4a、及び、相対的に酸強度の大きいプロトン伝導体を含有する第2層4bを具備するカソード触媒層4を有するMEA1によれば、性能低下を抑制しつつ、触媒の溶出を抑制することが可能になるが、MEA1は、第1層4aのプロトン伝導抵抗が増大しやすい構成となっている。そのため、第1層4aにおけるプロトン伝導抵抗の増大を抑制し、特に初期性能を向上させるという観点からは、第1層4aに含有されるプロトン伝導体の比率を、第2層4bに含有されるプロトン伝導体の比率よりも大きくすることが好ましい。かかる形態とすることにより、第1層4aに含有されプロトンの伝導経路として機能するプロトン伝導体の量を増大させることが可能になるので、第1層4a及び第2層4bに含有されるプロトン伝導体の比率が略同一である場合と比較して、第1層4aにおけるプロトン伝導抵抗の増大が抑制され、初期性能を向上させることが可能になる。
また、本発明のMEA1において、第1層4aは、多層構造であるカソード触媒層4の、電解質膜側の一部を構成していればよく、性能低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制し得る形態で備えられていれば、その厚みは特に限定されない。触媒の溶出を容易に抑制可能な形態とする観点からは、第1層4aを厚くすることが好ましい一方、プロトン伝導抵抗の低減を抑制可能な形態とする観点からは、第1層4aを薄くすることが好ましい。ここで、単層構造のカソード触媒層に、パーフルオロスルホン酸系のポリマー及び白金担持カーボンが分散されている場合、本発明者が行った実験によれば、カソード触媒層のうち、電解質膜側の一部領域(カソード触媒層全体の厚さを100とするとき、電解質膜側の厚さ15〜30程度の領域)で、白金消失層が確認された。それゆえ、性能低下を効果的に抑制しつつ触媒の溶出を抑制し得るMEA1を提供する観点から、カソード触媒層4の厚さを100とするとき、第1層4aの厚さは15以上30以下とすることが好ましい。
また、本発明のMEA1において、第1層4a及び第2層4bを有するカソード触媒層4の作製方法は、特に限定されるものではなく、触媒層を作製する方法として公知の方法を適宜使用することができる。例えば、第1層4aを構成すべきプロトン伝導体や触媒等を分散させた第1組成物、及び、第2層4bを構成すべきプロトン伝導体や触媒等を分散させた第2組成物をそれぞれ作製し、電解質膜2に第1組成物を塗布し乾燥させて第1層4aを形成した後、形成された第1層4aの表面に第2組成物を塗布し乾燥させて第2層4bを形成することにより、電解質膜2の一方の面にカソード触媒層4を形成することができる。このほか、本発明のMEA1を有する単セルにガス拡散層が備えられる場合には、電解質膜2に第1組成物を塗布し乾燥させて第1層4aを形成する一方、ガス拡散層に第2組成物を塗布し乾燥させて第2層4bを形成した後、第1層4aと第2層4bとを接合させることにより、電解質膜2の一方の面にカソード触媒層4を形成することもできる。
また、本発明のMEA1に関する上記説明では、単層構造のアノード触媒層3が備えられる形態を例示したが、本発明のMEAは当該形態に限定されるものではなく、多層構造のアノード触媒層が備えられる形態とすることも可能である。
2.燃料電池
図8は、本発明の燃料電池の形態例を示す断面図であり、本発明の燃料電池に備えられる単セルの一部を拡大して示している。図8の紙面左右方向が、単セルの積層方向である。図8に示すように、本発明の燃料電池10は、MEA1と、アノード触媒層3側に配設されたガス拡散層5(以下において「ガス拡散層5a」という。)と、カソード触媒層4側に配設されたガス拡散層5(以下において「ガス拡散層5b」という。)と、ガス拡散層5a側に配設されたセパレータ6(以下において「セパレータ6a」という。)と、ガス拡散層5b側に配設されたセパレータ6(以下において「セパレータ6b」という。)と、を有するセルを備える。セパレータ6aには水素流路7、7、…が備えられる一方、セパレータ6bには空気流路8、8、…が備えられ、燃料電池10の運転時には、図示されていない冷媒流路を流通する冷媒によって、セルの温度が制御される。
このように、本発明の燃料電池10には、第1層4a及び第2層4bを有するMEA1が備えられる。それゆえ、燃料電池10によれば、カソード触媒層4に含有された触媒の電解質膜2への溶出を低減することができ、第1層4aがカソード触媒層4の一部を構成する形態とすることにより、性能の低下を抑制することができる。したがって、本発明によれば、発電性能の低下を抑制しつつ触媒の溶出を抑制することが可能な、燃料電池10を提供することができる。
なお、本発明のMEA1及び燃料電池10に関する上記説明では、平板形態をした膜状の構成部材が積層されることにより構成されたMEA1及び燃料電池10を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、チューブ型形状のMEAや燃料電池に適用することも可能である。
また、本発明のMEA1及び燃料電池10に関する上記説明では、電解質膜2、アノード触媒層3、及び、カソード触媒層4の第2層4bに、パーフルオロスルホン酸系のポリマーが含有される形態を例示したが、本発明のMEA1及び燃料電池10は当該形態に限定されるものではない。電解質膜2を構成するプロトン伝導体は、炭化水素系のポリマーであっても良く、アノード触媒層3に含有されるプロトン伝導体と異なるプロトン伝導体が、第2層4bに含有されていても良い。
また、本発明のMEA1及び燃料電池10に関する上記説明では、アノード触媒層3及びカソード触媒層4に白金担持カーボンが分散されている形態を例示したが、本発明のMEA1及び燃料電池10は当該形態に限定されるものではない。本発明のMEA及び燃料電池に備えられるアノード触媒層及びカソード触媒層には、公知の触媒を分散させることができる。
発電性能評価試験(高加湿状態)の結果を示す図である。 発電性能評価試験(低加湿状態)の結果を示す図である。 本発明のMEA1の形態例を示す断面図である。 運転初期における従来のMEAの形態例を示す断面図である。 運転後における従来のMEAの形態例を示す断面図である。 運転初期におけるMEA1の形態例を示す断面図である。 運転後におけるMEA1の形態例を示す断面図である。 本発明の燃料電池の一部を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1…MEA(膜電極構造体)
2…電解質膜
3…アノード触媒層
4…カソード触媒層
4a…第1層
4b…第2層
5…ガス拡散層
6…セパレータ
6a…セパレータ(第1導電体)
6b…セパレータ(第2導電体)
7…水素流路
8…空気流路
10…燃料電池

Claims (2)

  1. アノード触媒層及びカソード触媒層、並びに、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配設された電解質膜、を備え、
    少なくとも前記カソード触媒層は、相対的に酸強度の小さいプロトン伝導体を含有する第1層、及び、前記第1層に含有される前記プロトン伝導体よりも酸強度の大きいプロトン伝導体を含有する第2層、を具備し、前記電解質膜と前記第2層との間に、前記第1層が配設されていることを特徴とする、膜電極構造体。
  2. 請求項1に記載の膜電極構造体と、前記アノード触媒層と通電可能に配設された第1導電体と、前記カソード触媒層と通電可能に配設された第2導電体と、を備えることを特徴とする、燃料電池。
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