JP2005089368A - 脂環式ケトン化合物の製造方法 - Google Patents

脂環式ケトン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸または発煙硫酸により酸化して高収率で脂環式ケトン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 アダマンタンなどの脂環式炭化水素化合物または1−アダマンタノールなどの脂環式アルコール化合物を硫酸または、発煙硫酸により酸化して2−アダマンタなどの脂環式ケトン化合物を製造する方法において、臭素やヨウ素などのハロゲン単体またはヨウ化カリウムや塩化カリウムなどのハロゲン化金属塩を少なくとも1種以上共存させて酸化する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物の製造方法に関する。
脂環式ケトン化合物は、電子材料や医農薬の中間体として有用な化合物である。たとえば、脂環式ケトン化合物から得られる脂環式アルキルエステル化合物の一種であるアルキルアダマンチルエステル化合物を用いたレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが報告され(例えば特許文献1参照)、半導体用レジスト材料としての可能性が注目されている。
ところで、電子材料等の分野においては競争が激しく製造コスト低減の要求も厳しくなっており、廉価な原材料を用いて簡便な方法で高純度の製品を得ることが極めて重要となっている。例えば、中間体のアダマンタノンの製造においても、アダマンタノール等の誘導体を用いることなくアダマンタンから高純度のアダマンタノンを直接且つ簡便に得る方法が望まれている。
従来、2−アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物を得る方法としては、アダマンタンを濃硫酸で酸化した後水蒸気蒸留により精製する方法が知られている(以下硫酸酸化法という)。該方法では2−アダマンタノンを47〜48%の収率で得ている(非特許文献1を参照)。また、この硫酸酸化法において、反応系40〜60℃で30分以上保持し次いで60〜90℃まで昇温させて反応させることにより高収率で2−アダマンタノンを得ている(特許文献2参照)。
特開平11−189564号公報 特開平5−265212号公報 「オーガニックシンセシス」,1973年,53号,p.8
上記硫酸酸化法は、硫酸という安価で工業的に入手が容易な反応試剤を用いているばかりでなく特殊な反応設備を特に必要としないという点で、工業的な脂環式ケトン化合物の製造方法として極めて魅力的な製造方法である。しかしながら、その収率は工業的な製造方法として採用するには今一つ十分ではなく、さらに収率を向上させることが望まれていた。
特に上記特許文献1による方法においては、タール分等の副生物の生成をより低く抑えるために前段の反応を下限である40℃にして行うと反応性が大きく低下し、反応性を高めるため硫酸濃度が90重量%を越えるようにすると上記副生物の生成が一気に増加し、より高い収率で2−アダマンタノンを製造できなかった。
本発明の課題は、硫酸酸化法の持つ前記特長を損なうことなく、2−アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物の単離収率を大幅に向上させることである。
本発明者らは上記の技術課題に鑑み、硫酸酸化法における反応条件について鋭意検討を行った。その結果、タール分等の副生物の生成は反応時間が長ければ長いほど増加することを見出した。また、硫酸酸化において、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩で代表される特定の化合物を共存させて酸化を行うと、反応時間が大幅に短縮されるために上記副生物の生成が大幅に抑制され、結果として収率が向上することを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を、硫酸または発煙硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する方法において、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を少なくとも1種以上共存させて酸化することを特徴とする脂環式ケトン化合物の製造方法である。
本発明の製造方法は、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩の特定の化合物を1種以上共存させて酸化反応を行う以外は、前記の硫酸法と変わる点は特にない。従って、使用する原料等の反応試剤、反応装置等は従来の硫酸法で使用されている公知のものが使用でき、反応条件等も従来の条件が採用しうる。
原料として使用される脂環式炭化水素化合物は、環状炭化水素化合物で不飽和結合を有さない化合物であれば特に限定されないが、酸化される位置が限られており単一の脂環式ケトン化合物が得られやすいという観点から、対称性が高い飽和の環状炭化水素化合物であるものが好適である。
このような脂環式炭化水素化合物を具体的に例示すれば、アダマンタン、ノルボルネン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、酸化反応が選択的に効率よく進行し、しかも得られる脂環式ケトン化合物が電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物であり、高純度のものが望まれているアダマンタノンの原料となるアダマンタンを用いるのが最も好適である。
前記脂環式アルコール化合物は、上述の脂環式炭化水素化合物の少なくとも一位以上が水酸基(−OH基)で置換されている化合物であれば特に限定されないが、前述同様の理由により対称性が高い飽和の環状炭化水素化合物であるものが好適である。
このような脂環式アルコール化合物として具体的に例示すればシクロヘキサノール、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール等が挙げられる。これらの中でも、酸化反応が選択的に効率よく進行し、しかも得られる脂環式ケトン化合物が電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物であり、高純度のものが望まれている、アダマンタノンの原料となる1−アダマンタノールあるいは2−アダマンタノールが最も好適である。
上記脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物は、それぞれ単一でも2種以上を混ぜて反応に供してもよいが、異なるものを混ぜて反応させた際には生成する脂環式ケトン化合物が2種以上あるため、精製が煩雑となり好ましくない。アダマンタンと1−アダマンタノールを混ぜて反応させた場合は、生成する脂環式ケトン化合物が同一であるため好適である。
これらの脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物は、試薬もしくは工業的に入手が可能であり、市販されているものが何等制限無く使用できる。
本発明においては、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸または発煙硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する際に、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を少なくとも1種以上共存させることが必須である。共存させるハロゲン単体またはハロゲン化金属塩が酸化剤である硫酸および発煙硫酸を活性化することで反応時間が大幅に短縮され、タール分等の副生物の生成が抑制されるために収率が向上すると推測される。
上記ハロゲン単体としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、あるいはヨウ素(I)が挙げられる。これらの中でも、室温で液体または固体で取り扱いが容易な臭素およびヨウ素が好適に用いられ、反応時間の短縮効果が高いという点で、特にヨウ素が好ましい。
上記ハロゲン化金属塩としては、代表的にはハロゲン原子とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩が挙げられる。好適なハロゲン化金属塩を例示すれば、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等のヨウ化物;臭化カリウム、臭化カルシウム等の臭化物;塩化カルシウム等の塩化物を挙げることができる。
上記ハロゲン単体およびハロゲン化金属塩は各々単一で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩の使用量は特に制限はないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られなく、あまり量が少ないと十分な反応時間短縮効果が得られないため、通常、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物1モルに対して0.01〜0.5モル、特に0.01〜0.2モルとなるように使用するのが好ましい。
本発明に使用する硫酸としては、硫酸酸化法にて公知の濃度の硫酸が何等制限無く使用できる。なお、前記硫酸酸化法では水が副生するため、使用する硫酸の濃度が95%質量未満では反応速度が遅くなり、反応速度を上げるために反応温度を上げるとタール分の副生が増加する傾向がある。従って、使用する硫酸の濃度は95〜100質量%であることが好ましい。さらに、反応時間とタール分の副生とのバランスから96.5〜100質量%であるのが特に好適である。これらの硫酸は試薬もしくは工業的に入手可能であり市販されているものが何等制限無く使用できるが、発煙硫酸、無水硫酸、クロロスルホン酸等を濃度の低い硫酸に加えることで調整することもできる。
発煙硫酸としては特に制限はないが、濃度が濃すぎるとタール分の副生が増加する傾向にあるため、発煙硫酸の濃度としては、0.01〜30質量%、特に0.01〜10質量%が好適である。これらの発煙硫酸は試薬もしくは工業的に入手可能であり市販されているものが何等制限無く使用できるが、濃硫酸等を高濃度の発煙硫酸に加えることで調整することもできる。
使用する硫酸または発煙硫酸の量は特に制限はないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得らなく後処理に手間がかかり、あまり量が少ないと酸化力が低下し原料である脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物を懸濁させる能力が低下する。従って、通常脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物に対して3倍量〜500倍量、好適には5倍量〜300倍量で使用される。
本発明における脂環式ケトン化合物の合成反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、必要に応じて有機溶媒を使用する事もできる。
使用される有機溶媒は、硫酸または発煙硫酸に対して安定であり、水と相溶せず、反応を阻害せず、脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物を溶解させる有機溶媒であれば何等制限なく使用できる。
これらの有機溶媒の種類を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等を挙げることができる。これらの中でも、特に高い収率が期待できる、ハロゲン化脂肪族炭化水素類あるいはハロゲン化芳香族炭化水素類が好適に採用される。
当該有機溶媒の使用量は特に制限はないが、あまり量が多いと一バッチあたりの収量が小さくなるため経済的ではなく、あまり量が少ないと脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を溶解させることができずに反応速度が低下する。従って、通常、反応液全体に対して、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物の量が0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%となるように有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明の硫酸または発煙硫酸による酸化法においては二酸化硫黄を生じるため、反応は一般に常圧で行うのが好ましい。しかしながら、水分や溶媒の留去のために減圧下で反応する事も可能である。
反応装置としては、十分な撹拌が出来て加熱が可能な装置であり且つ硫酸または発煙硫酸に耐える材質を使用しているものであれば、何ら制限なく用いられる。例えば、通常のガラスライニング釜が好適に用いられる。
反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実行可能であり、反応液は攪拌下で行うことが好ましい。
本発明の酸化法における反応温度は、公知の温度条件が制限なく用いることができる。非特許文献1に記載の一定温度での反応も可能であるし、特許文献2に記載の40〜60℃の温度範囲に30分保持した後、60〜90℃まで昇温して反応(以下2段階昇温法という)させることも可能である。いずれの方法においても、本発明においては、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を1種以上共存させることにより、従来と同じ温度条件で、約半分の反応時間で反応が終結する。
一定温度に保って反応させる場合、反応温度が低すぎると反応速度が低下し、反応時間が長くなる。反応温度が高すぎれば、タール分等の副生物が増加する。従って、通常0〜100℃、特に0〜70℃の範囲で行うのが好適である。発煙硫酸を用いて反応を行う際には、反応温度が高すぎるとタール分等の副生物の生成が急激に増加するため、特に0〜50℃の範囲で行うのが好ましい。
反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)等の分析機器を用いて、反応の進行を確認しながら適宜決定すれば良い。反応温度にもよるが一般には0.5〜200時間で十分である。
本発明を実施する操作手順としては、如何なる手順により実施しても良い。通常は、反応容器に所定の濃度に調整した濃硫酸または発煙硫酸を仕込み、次いで、所定量の脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を加えたのち、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を加え、温度等の諸反応条件を設定して反応を行うのが一般的である。
反応液からの脂環式ケトン化合物の単離精製方法としては、特に制限はなく公知の方法が採用される。例えば、反応後の反応液を氷中に投入して析出する結晶をろ過や遠心分離する方法、溶媒により抽出し、洗浄、溶媒留去および乾燥を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの処理により分離精製する方法が挙げられる。さらには、特開2000−012570号公報に示されるように、反応終了後硫酸濃度が60〜90重量%になるよう希釈したのち、有機溶媒にて抽出する方法も可能である。
反応後の液には、通常、過剰の塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンが残存しているため、これを取り除くことが望ましい。ハロゲンの除去方法としては既知のあらゆる方法を用いることができるが、一般的には水による洗浄、還元剤による還元、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。特に、チオ硫酸ナトリウムや亜二チオン酸ナトリウム等の還元剤の水溶液による洗浄は、除去効果が高く安価である為に有用である。
このようにして得られた脂環式ケトン化合物は、用途によってはそのまま使用しても可能な純度であるが、さらに精製が必要な場合には再結晶、減圧蒸留、水蒸気蒸留や昇華精製などの方法で精製することができる。
本発明の製造方法によれば、従来の硫酸法の特長を保ったまま反応時間の大幅に短縮でき、しかもタール分等の副生を抑制できることから脂環式ケトン化合物の単離収率を向上させることが出来る。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
96.5質量%濃硫酸128gに30%質量発煙硫酸24.8gを加え、98.04質量%の濃硫酸(硫酸分として1.53mol)にし、アダマンタン13.3g(97.7mmol)、ヨウ素1.24g(4.9mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、50℃で1時間、60℃で3時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.1%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン13.4g(89.2mmol、収率91%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は98.9%であった。
実施例2
96.5質量%濃硫酸207gに30質量%発煙硫酸34gを加え、98.01質量%の濃硫酸(硫酸分として2.4mol)にし、1−アダマンタノール25g(0.16mol)、ヨウ素2.1g(8.3mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、50℃で5時間反応を行った。反応終了時、GCで1−アダマンタノールは1.6%だった。放冷後、100gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン22.2g(0.15mol、収率90%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.3%であった。
実施例3
98.0質量%濃硫酸180gに30質量%発煙硫酸60gを加え、0.86質量%の発煙硫酸(硫酸分として2.4mol)にし、アダマンタン22g(0.16mol)、ヨウ素2.1g(8.3mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、30℃で50時間反応を行った。反応終了時、GCでアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.3%だった。放冷後、80gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン22.6g(0.15mol、収率93%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.4%であった。
実施例4
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.7mmol)、ヨウ素1.24g(4.9mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、65℃で5時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.3%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン10.6g(70.6mmol、収率72%)を得た。
実施例5〜7
表1に示す反応条件で実施例1と同様の方法で実施した。結果も表1に併記した。
Figure 2005089368
実施例8
96.5質量%濃硫酸128gに30質量%発煙硫酸24.8gを加え、98.04質量%の濃硫酸(硫酸分として1.53mol)にし、アダマンタン13.3g(97.7mmol)、臭素0.78g(4.9mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、50℃で2時間、60℃で6時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは1.8%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン12.8g(85.2mmol、収率87%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は98.9%であった。
実施例9、10
表2に示す、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を用い、表2に示す反応条件で実施例1と同様の方法で実施した。結果も表2に併記した。
Figure 2005089368
比較例1
96.5質量%濃硫酸128gに30質量%発煙硫酸24.8gを加え、98.04質量%の濃硫酸(硫酸分として1.53mol)にし、アダマンタン13.3g(97.7mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、50℃で3時間、60℃で15時間反応を行った。反応終了時、GCでアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは1.9%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン12.5g(83.2mmol、収率85%)を得た。
実施例1と比較例1から、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を共存させた系では反応時間が大幅に短縮され、タール分の副生が抑制されたために収率が向上していることがわかる。
比較例2
96.5質量%濃硫酸207gに30質量%発煙硫酸34gを加え、98.01質量%の濃硫酸(硫酸分として2.4mol)にし、1−アダマンタノール25g(0.16mol)を加えて、激しく攪拌しながら、50℃で反応を行ったところ、10時間後のGCにおいても、1−アダマンタノールが37%残存していたため、さらに60℃で5時間反応させた。反応終了時、GCで1−アダマンタノールは1.6%だった。放冷後、100gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン17.8g(0.12mol、収率72%)を得た。
実施例2と比較例2から、ハロゲン単体を入れない系では、同じ温度では反応が遅く、反応を完結させるために温度を上げるとタール分等の副生物が増加し収率が低下することが分かる。以上からハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を共存させた系では反応時間が大幅に短縮され、タール分の副生が抑制されたために収率が向上していることがわかる。
比較例3
98.0質量%濃硫酸180gに30質量%発煙硫酸60gを加え、0.86質量%の発煙硫酸(硫酸分として2.4mol)にし、アダマンタン22g(0.16mol)を加えて激しく攪拌しながら、30℃で200時間反応を行った。反応終了時、GCでアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは1.8%だった。放冷後、80gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン21.0g(0.14mol、収率86%)を得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.4%であった。
比較例4
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.7mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、65℃で10時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.2%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン7.1g(47.3mmol、収率48%)を得た。
実施例4と比較例4との比較から、ハロゲン単体を共存させることで、前記非特許文献1記載と同様の反応条件においても反応時間の短縮が図られ、収率の向上が認められた。

Claims (3)

  1. 脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を、硫酸または発煙硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する方法において、ハロゲン単体またはハロゲン化金属塩を少なくとも1種以上共存させて酸化することを特徴とする脂環式ケトン化合物の製造方法。
  2. 脂環式炭化水素化合物がアダマンタンであり、脂環式アルコール化合物が1−アダマンタノールまたは2−アダマンタノールであり、得られる脂環式ケトン化合物が2−アダマンタノンである請求項1記載の脂環式ケトン化合物の製造方法。
  3. ハロゲン単体が、臭素またはヨウ素である請求項1または2記載の脂環式ケトン化合物の製造方法。

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