JP2005089343A - 脂環式ケトン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸により酸化して高収率で脂環式ケトン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 アダマンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物またはシクロヘキサノール、1−アダマンタノールなどの脂環式アルコール化合物を硫酸中で酸化して2−アダマンタノンなどの脂環式ケトン化合物を製造する方法において、五酸化リン等の反応型乾燥剤を少なくとも1種以上共存させて硫酸酸化する。
【選択図】 なし
【解決手段】 アダマンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物またはシクロヘキサノール、1−アダマンタノールなどの脂環式アルコール化合物を硫酸中で酸化して2−アダマンタノンなどの脂環式ケトン化合物を製造する方法において、五酸化リン等の反応型乾燥剤を少なくとも1種以上共存させて硫酸酸化する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物の製造方法に関する。
脂環式ケトン化合物は電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物である。たとえば、脂環式ケトン化合物から得られる脂環式アルキルエステル化合物の一種であるアルキルアダマンチルエステル化合物を用いたレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが報告され(例えば特許文献1参照)、半導体用レジスト材料としての可能性が注目されている。
また、電子材料等の分野においては競争が激しく製造コスト低減の要求も厳しくなっており、廉価な原材料を用いて簡便な方法で高純度の製品を得ることが極めて重要となっている。従って、中間体のアダマンタノンの製造においても、アダマンタノール等の誘導体を用いることなくアダマンタンから高純度のアダマンタノンを直接且つ簡便に得る方法が望まれている。
従来、2−アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物を得る方法としては、アダマンタンを濃硫酸で酸化した後水蒸気蒸留により精製する方法が知られている(以下硫酸酸化法という)。該方法では2−アダマンタノンを47〜48%の収率で得ている(非特許文献1を参照)。また、当該硫酸酸化法において、反応系を40〜60℃に30分以上保持し、次いで60〜90℃まで昇温させて反応させることにより高収率で2−アダマンタノンを得ている(特許文献2参照)。
上記硫酸酸化法は、硫酸という安価で工業的に入手が容易な反応試剤を用いているばかりでなく特殊な反応設備を特に必要としないという点で、工業的な脂環式ケトン化合物の製造方法として極めて魅力的な製造方法である。しかしながら、その収率は工業的な製造方法として採用するには今一歩十分ではなく、さらに収率を向上させることが望まれていた。
特に上記特許文献2による方法においては、タール分等の副生物の生成をより低く抑えるために前段の反応を下限である40℃で行うと反応性が大きく低下する。反応性を高めるため硫酸濃度が99質量%を越えるようにすると上記副生物の生成が一気に増加し、硫酸濃度を95質量%以下にすると反応終盤で十分な硫酸濃度が得られないために反応が終結しない。結果としてより高い収率で上記2−アダマンタノンを生成させることはできなかった。
本発明の課題は、硫酸酸化法の持つ前記特長を損なうことなく、2−アダマンタノン等の脂環式ケトン化合物の単離収率を向上させることにある。
本発明者らは上記の技術課題に鑑み、硫酸酸化法における反応条件について鋭意検討を行った。その結果、反応により水を除去しうる乾燥剤(以下、反応型乾燥剤と言う)を共存させて反応を行うことにより、反応終盤においても酸化反応に十分な硫酸濃度を維持でき、しかも低温で反応を行うことが可能となるために、上記副生物の生成が大幅に抑制され単離収率が向上することを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する方法において、反応型乾燥剤を共存させて硫酸酸化することを特徴とする脂環式ケトン化合物の製造方法である。
本発明の製造方法は、反応型乾燥剤を1種以上共存させて反応を行う以外は、前記従来の硫酸法と変わる点は特にない。即ち、使用する原料等の反応試剤、反応装置等は従来の硫酸酸化法で使用されている公知のものが使用でき、反応条件等も従来の条件が採用しうる。
原料として用いる脂環式炭化水素化合物は環状炭化水素化合物で不飽和結合を有さない化合物であれば特に限定されないが、酸化される位置が限られており単一の脂環式ケトン化合物が得られやすいという観点から、対称性が高い飽和の環状炭化水素化合物であるものが好適である。
このような脂環式炭化水素化合物を具体的に例示すれば、アダマンタン、ノルボルネン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、酸化反応が選択的に効率よく進行し、しかも得られる脂環式ケトン化合物が電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物であり、高純度のものが望まれているアダマンタノンの原料となるアダマンタンを用いるのが最も好適である。
該アダマンタンは50〜60℃で昇華して反応釜の上部に付着して反応収率が低下する問題点があるため、本発明の反応型乾燥剤を使用することで低温での反応が可能となり、特に効果的である。
本発明に用いる脂環式アルコール化合物は、前述の脂環式炭化水素化合物の少なくとも1つ以上が水酸基(−OH基)に置換されている化合物であれば特に限定されないが、前述同様の理由により対称性が高い飽和の環状炭化水素化合物であるのが好適である。
このような脂環式アルコール化合物として具体的に例示すればシクロヘキサノール、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール等が挙げられる。これらの中でも、酸化反応が選択的に効率よく進行し、しかも得られる脂環式ケトン化合物が電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物であり、高純度のものが望まれているアダマンタノンの原料となる1−アダマンタノールあるいは2−アダマンタノールが最も好適である。
上記脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物は、それぞれ単一でも2種以上を混ぜて反応に供してもよい。しかしながら、生成する脂環式ケトン化合物が異なるものを混ぜて反応した際には生成物が2種以上となるため、精製が煩雑となり好ましくない。アダマンタンと1−アダマンタノールを混ぜて反応させる場合は、生成する脂環式ケトン化合物が同一であるため好適である。
これらの、脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物は、試薬もしくは工業的に入手が可能であり、市販されているものが何等制限無く使用できる。
本発明においては、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する際に、反応型の乾燥剤を少なくとも1種以上共存させることが必須である。共存させる反応型乾燥剤が硫酸酸化過程で生成する水を効果的に捕捉するため、反応終盤においても硫酸濃度が維持され、その結果、従来よりも低温で反応を完結させることが可能となり、タール分等の副生物の生成が抑制されるために収率が向上する。
上記反応型乾燥剤とは、水と反応することで水分を除去する能力を有する乾燥剤である。反応型乾燥剤は、硫酸中で安定に存在し且つ水と反応することによって水分を除去する能力を有するものであれば何等制限無く用いることができる。
一般に濃硫酸は、それ自身が有用な乾燥剤(95質量%硫酸の平衡蒸気圧2×10−5mmHg)であるため、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の乾燥剤では硫酸中の水分を除去することは出来ない。また、酸性条件下であるため、それ自身が塩基性を有する乾燥剤(水素化カルシウム等)は、硫酸と反応する為使用できない。
従って、硫酸中に含まれる水分を除去するためには、水と反応することによって水分を除去する反応型乾燥剤を用いなければならない。反応型乾燥剤を用いることで反応終盤においても高い硫酸濃度が維持できる為、より低温での反応が可能になる。
このような反応型乾燥剤を具体的に例示すれば、無水硫酸(三酸化硫黄)、三酸化硫黄−ピリジン錯体、三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体等が挙げられる。これらの中でも特にその脱水力の強さから、五酸化リンが好適である。なお、上記反応型乾燥剤は各々単独で用いても2種以上を混合して使用することも可能である。
これら、反応型乾燥剤の使用量は特に制限はなく、使用する硫酸中の水分量と反応で副生する水分量および反応型乾燥剤の脱水力および脱水容量を勘案して適宜決定すればよい。大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られなく、あまり量が少ないと十分な脱水効果が得られない。通常、脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物1重量部に対して0.1〜100重量部、特に0.2〜50重量部使用するのが好適である。
また、これら反応型乾燥剤の添加方法は特に制限はなく、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物と同時に添加しても、反応の終盤に添加しても、あるいは反応進行に応じて適宜添加してもいずれにおいても同様の効果が発揮できる。しかしながら、操作が簡便であるという点で、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物と同時に添加した後、反応を開始する方法が好ましい。
硫酸としては、硫酸酸化法として公知の濃度の硫酸が何等制限無く使用できる。本発明においては、反応型乾燥剤を共存させることにより反応時に副生する水分を除去できるばかりではなく、硫酸に含まれる水分も除去できるためさらに低い濃度の硫酸も使用可能である。しかしながら、あまり低い濃度の硫酸を使用した際には用いる反応型乾燥剤の量も増加し好ましくない。通常、硫酸の濃度は95〜100質量%であるのが好適である。
これらの硫酸は試薬もしくは工業的に入手可能であり市販されているものが何等制限無く使用できるが、発煙硫酸、無水硫酸、クロロスルホン酸等を濃度の低い硫酸に加えることで調整することもできる。
使用する硫酸の量は特に制限されないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られなく後処理に手間がかかり、あまり量が少ないと酸化力が低下し原料である脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を懸濁させる能力が低下する。従って、通常、該脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物1重量部に対して3〜500重量部、好適には5〜300重量部で使用される。
本発明における脂環式ケトン化合物の合成反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、必要に応じて有機溶媒を使用する事も可能である。
使用される有機溶媒には、硫酸に対して安定であり、水と相溶せず、反応を阻害せず、且つ脂環式炭化水素化合物および脂環式アルコール化合物を溶解させる有機溶媒であれば何ら制限なく使用できる。
これらの有機溶媒を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等を挙げる事ができる。これらの中でも、特に高い収率が可能なハロゲン化脂肪族炭化水素類あるいはハロゲン化芳香族炭化水素類が好適に採用される。
本発明におけるこれらの有機溶媒の使用量は特に制限は無いが、あまり量が多いと一バッチあたりの収量が小さくなるため経済的ではなく、あまり量が少ないと脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を溶解させることができずに反応速度が低下する。従って、通常、反応液全体に対して、脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物の量が0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%となるように有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明の硫酸酸化法においては反応過程で二酸化硫黄を生じるため、反応は一般に常圧で行うのが好ましい。しかしながら、水分や溶媒の留去のために減圧下で反応する事も可能である。
反応装置としては、十分な撹拌が出来て加熱が可能な装置であり且つ硫酸に耐える材質を使用しているものであれば、何ら制限なく用いられる。例えば、通常のガラスライニング釜が好適に用いられる。
反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実行可能であり、反応液は攪拌下で行うことが好ましい。
本発明の硫酸酸化法における反応温度は、公知の温度条件が何等制限なく採用することができる。非特許文献1記載の如く一定温度での反応も可能であるし、特許文献2記載の如く40〜60℃の温度範囲に30分保持した後、60〜90℃まで昇温して反応(以下2段階昇温法という)させることも可能である。いずれの方法においても、本発明においては、反応型乾燥剤を1種以上共存させることにより、従来よりも低い温度条件にて反応が終結し、しかもタール分等の副生物の生成を抑制することができる。
一定温度に保って反応させる場合、反応温度が低すぎると反応速度が低下して反応時間が長くなるし、反応温度が高すぎればタール分等の副生物が増加する。通常、0〜100℃、特に0〜70℃の範囲で行うのが好適である。
反応時間は、反応温度によっても異なるが、ガスクロマトグラフィー(GC)等の分析機器を用いて反応の進行を確認しながら適宜決定すれば良い。反応温度にもよるが一般には0.5〜200時間で十分である。
本発明を実施する操作手順としては、如何なる手順により実施しても良い。通常は、反応容器に所定の濃度に調整した硫酸を仕込み、次いで所定量の脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を加えたのち、必要に応じて反応活性化剤であるハロゲン単体またはハロゲン化合物を加え、温度等の諸反応条件を設定して反応を行うのが一般的である。
反応液からの脂環式ケトン化合物の単離精製方法としては、特に制限はなく公知の方法が採用される。例えば、反応後の反応液を氷中に投入して析出する結晶をろ過や遠心分離する方法、溶媒により抽出し、次いで洗浄、溶媒留去、および乾燥を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで処理して分離精製する方法が挙げられる。さらには、特開2000−012570号公報に示されるように、反応終了後硫酸濃度が60〜90質量%になるよう希釈したのち、有機溶媒にて抽出する方法も可能である。なお、本発明に使用する反応型乾燥剤はいずれも硫酸または水に可溶であるため、有機溶媒にて目的物を抽出する際に除去される。
このようにして得られた脂環式ケトン化合物は、用途によってはそのまま使用しても可能な純度であるが、さらに精製が必要な場合には再結晶、減圧蒸留、水蒸気蒸留あるいは昇華精製などの方法で精製することができる。
本発明の製造方法によれば、従来の硫酸法の特長を保ったまま、反応時間が大幅に短縮でき、しかもタール分等の副生を抑制できることから目的物の脂環式ケトン化合物の単離収率を向上させることが出来る。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.50mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、五酸化リン22.1g(155.7mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、35℃で30時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは0.9%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン13.4g(89.2mmol、収率91%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.50mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、五酸化リン22.1g(155.7mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、35℃で30時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは0.9%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン13.4g(89.2mmol、収率91%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
実施例2
98.0質量%の濃硫酸240g(硫酸分として2.40mol)に、1−アダマンタノール25g(0.16mol)、五酸化リン35.0g(0.25mol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、40℃で20時間反応を行った。反応終了時、GCで1−アダマンタノールは1.8%だった。放冷後、100gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン27.4g(0.18mol、収率90%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.3%であった。
98.0質量%の濃硫酸240g(硫酸分として2.40mol)に、1−アダマンタノール25g(0.16mol)、五酸化リン35.0g(0.25mol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、40℃で20時間反応を行った。反応終了時、GCで1−アダマンタノールは1.8%だった。放冷後、100gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン300mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン27.4g(0.18mol、収率90%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.3%であった。
実施例3
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.6mmol)、五酸化リン22.1g(155.7mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、65℃で5時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.3%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン10.6g(70.6mmol、収率72%)を得た。
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.6mmol)、五酸化リン22.1g(155.7mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、65℃で5時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.3%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン10.6g(70.6mmol、収率72%)を得た。
実施例4
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.50mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、三酸化イオウ−ピリジン錯体12.4g(77.9mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、35℃で42時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは1.3%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン13.2g(87.9mmol、収率88%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.50mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、三酸化イオウ−ピリジン錯体12.4g(77.9mmol)を順次加えて、激しく攪拌しながら、35℃で42時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは1.3%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン13.2g(87.9mmol、収率88%)で得た。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
実施例5〜7
表1に示す反応条件で実施例1と同様の方法で実施した。結果も表1に併記した。
表1に示す反応条件で実施例1と同様の方法で実施した。結果も表1に併記した。
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.5mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、35℃で120時間反応を行ったところ、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは5.2%、1−アダマンタノールは24.6%残存していた。さらに35℃で100時間反応を行ったが、アダマンタンは3.8%、1−アダマンタノールは18.6%残存しており反応は完結しなかった。
比較例2
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.5mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、75℃で10時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは0.9%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン8.1g(53.9mmol、収率53%)しか得られなかった。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.5mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、75℃で10時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは0.9%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン8.1g(53.9mmol、収率53%)しか得られなかった。このアダマンタノンを、ドデカンを内部標準にしてGCで分析したところ、純度は99.0%であった。
比較例3
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.6mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、65℃で10時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.2%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン7.1g(47.3mmol、収率48%)を得た。
96.5質量%濃硫酸150g(硫酸分として1.48mol)に、アダマンタン13.3g(97.6mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、65℃で10時間反応を行った。反応終了時、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは0.1%以下、1−アダマンタノールは2.2%だった。放冷後、120gの氷に反応混合物をあけ、ジクロロメタン130mlで2回抽出した。有機層を1N−水酸化ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、20%食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧下留去し、アダマンタノン7.1g(47.3mmol、収率48%)を得た。
比較例4
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.5mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、硫酸ナトリウム2.8g(199.6mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、35℃で120時間反応を行ったが、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは6.2%、1−アダマンタノールは22.3%残存していた。さらに35℃で100時間反応を行ったが、アダマンタンは3.8%、1−アダマンタノールは18.6%残存しており反応は完結しなかった。
98.0質量%濃硫酸149.9g(硫酸分として1.5mol)に、アダマンタン13.6g(99.8mmol)、硫酸ナトリウム2.8g(199.6mmol)を加えて、激しく攪拌しながら、35℃で120時間反応を行ったが、ガスクロマトグラフィー(GC)でアダマンタンは6.2%、1−アダマンタノールは22.3%残存していた。さらに35℃で100時間反応を行ったが、アダマンタンは3.8%、1−アダマンタノールは18.6%残存しており反応は完結しなかった。
比較例1から、反応型乾燥剤を共存させない系では、反応中に副生する水によって硫酸濃度が低下するために酸化力が低下して反応が完結しないことが分かる。反応を完結させるには比較例2に示すように高い反応温度が必要であるが、タール分の副生が増加するため、実施例1と比較して収率が低いことがわかる。さらに、比較例3と実施例3の比較から、反応型乾燥剤を共存させた系では、前出非特許文献1に記載の反応条件と同様の条件においても収率が向上することが分かる。また、比較例4の結果から、乾燥剤として通常の硫酸ナトリウムを用いても、乾燥剤としての脱水効果が発揮できないために反応が完結しないことが分かる。
Claims (3)
- 脂環式炭化水素化合物または脂環式アルコール化合物を硫酸により酸化して脂環式ケトン化合物を製造する方法において、反応型乾燥剤を共存させて硫酸酸化することを特徴とする脂環式ケトン化合物の製造方法。
- 脂環式炭化水素化合物がアダマンタンであり、脂環式アルコール化合物が1−アダマンタノールまたは2−アダマンタノールであり、得られる脂環式ケトン化合物が2−アダマンタノンである請求項1記載の脂環式ケトン化合物の製造方法。
- 反応型乾燥剤が五酸化リンである請求項1または2記載の脂環式ケトン化合物の製造方法。
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JP2003322605A JP2005089343A (ja) | 2003-09-16 | 2003-09-16 | 脂環式ケトン化合物の製造方法 |
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Family Applications (1)
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