JP2005082582A - 2−アダマンタノンの製造方法 - Google Patents

2−アダマンタノンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
2−アダマンタノンの単離収率を向上させ、かつ樹脂状化合物の含有量の少ない2−アダマンタノンを製造する。
【解決手段】
アダマンタン、1−アダマンタノール、および2−アダマンタノールよりなる群から選ばれる少なくとも一種の原料化合物を濃硫酸または発煙硫酸中、該原料化合物に対して0.01〜10倍当量の硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機塩の存在下に酸化させて2−アダマンタノンを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医農薬中間体や電子材料原料等として有用な2−アダマンタノンの製造方法に関する。詳しくは、アダマンタン、1−アダマンタノール、および2−アダマンタノールよりなる群から選ばれる少なくとも一種の原料化合物を濃硫酸または発煙硫酸を用いて酸化し、2−アダマンタノンを効率よく製造する方法に関する。
2−アダマンタノンは、電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物である。例えば、アルキルアダマンチルエステル化合物を原料として得られるレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが報告され(特許文献1)、半導体レジスト材料としての可能性が注目されている。しかして、2−アダマンタノンは、上記アルキルアダマンチルエステル化合物の原料として重要な化合物である。
また、電子材料等の分野においては競争が激しく、製造コスト低減の要求も厳しくなってきているため、廉価な原材料を用いて簡便な方法で高収率の2−アダマンタノンを得ることが極めて重要となってきている。
従来、2−アダマンタノンを得る方法としては、アダマンタンを濃硫酸で酸化した後、水蒸気蒸留により精製する方法が知られている(非特許文献1)。該方法により2−アダマンタノンを47〜48%の収率で得ている。またその改良方法として、前記、濃硫酸酸化法において、反応系の反応温度を40〜60℃で30分以上保持した後、60〜90℃まで昇温し、反応することで2−アダマンタノンを70〜90%の収率で得ている(特許文献2)。
本発明者等が、特許文献2を追試した結果、目的化合物を収率87%で単離でき、非特許文献1と比較して著しく収率が改善されていることが確認できた。しかしながら、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)を用いた内部標準による純度測定(内部標準物質としてブロモベンゼンを使用した純度測定方法、以下、GC純度という)を行ったところ、GC純度92%、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)による樹脂状化合物の含有量は4%であった。よって、樹脂状化合物の含有量を考慮すると、2−アダマンタノンの実質的な収率は83%であり、特許文献2の技術は近年の電子材料用途における高純度化への対応としては、まだ十分満足できるものではなかった。
上記のいずれの方法においても純度という点で、反応中に大量に副生する樹脂状化合物が、単離後の2−アダマンタノン中に残存し、純度の低下の原因となっていた。高純度の2−アダマンタノンを得るためには水蒸気蒸留、薄膜蒸留またはクロマトグラフィーにより精製操作を行う必要があり、工程増加に伴う収率の低下、操作の煩雑さ、特別な設備の使用が課題とされ、簡便な操作で高純度の2−アダマンタノンを製造する方法が望まれていた。
ここで、特許文献2では反応系内の水分量を一定にする目的で硫酸ナトリウム等を脱水剤として使用することが開示されているが、実際には濃硫酸の脱水能の方が硫酸ナトリウムの脱水能よりも格段に高いために、硫酸ナトリウムにより脱水を行おうとすれば濃硫酸に対して100倍当量以上もの大量の硫酸ナトリウムを使用しなければならない。したがって、特許文献2は、乾燥剤として大量の硫酸ナトリウムの使用を示唆するものであると言える。
さらに、反応系中の濃硫酸の濃度を発煙硫酸の添加によって一定に維持する技術が提案されているが、収率は依然76%程度であり、該収率からも分かるように、樹脂状化合物の副生が抑制された技術とは言い難かった(特許文献3)。
一方、1−アダマンタノール、2−アダマンタノールを原料として濃硫酸中で酸化させる方法が知られている(非特許文献1)。この方法は収率が70%程度に過ぎず、また、上述のアダマンタンを原料とした方法と同様に、大量の樹脂状化合物の副生を伴い、目的物である2−アダマンタノンの収率と純度の低下という問題は未解決のままであった。
濃硫酸を用いる方法以外の2−アダマンタノンの製造方法としては鉄錯体、過酸化水素、ピリジン、酢酸の系が知られている(非特許文献2)他、パラジウム、銅、またはニッケルなどをアルミナ上に担持した触媒の存在下、高温でアダマンタンと二酸化イオウを反応させる方法(非特許文献3)があるが、いずれも触媒活性や安定性、反応性、選択性、触媒の除去法に課題が多く工業的な製造に適しているとは言い難い。
このように、濃硫酸を使用する方法は、鉄錯体やパラジウム、銅、ニッケルを触媒として使用する方法と比較してより経済的であるが、電子材料向けの主要原料として収率、純度という点において、克服すべき課題が残されていた。また、従来技術においては、発煙硫酸の酸化反応による2−アダマンタノンを製造した例はない。
特開平5−265212号公報 特開平11−189564号公報 特開2003−212810号公報 エイチ ダブリュ ゲーリュック (H.W.Geluk) 他1名著、オーガニック シンセシス(Organic Syntheses)第53巻、1973年、8ページ ディー エイチ アール バートン(D.H.R.Burton) 他2名著、テトラヘドロン(Tetrahedron)第53巻、1997年、16017ページ エヌ サマン(N.Samman) 著、ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイェティー パーキン トランザクション 2(Journal of the Chemical Society Transaction 2)1979年、529ページ
本発明の目的は、アダマンタン、1−アダマンタノール、および2−アダマンタノールから選ばれる少なくとも一種を原料として濃硫酸または発煙硫酸による酸化を行う系(以後、濃硫酸による酸化法を濃硫酸法、および、発煙硫酸による酸化法を発煙硫酸法と略す)において、従来技術における課題、すなわち副生する樹脂状化合物の量を抑制し、高収率かつ樹脂状化合物の含有量が低い高純度の2−アダマンタノンを製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記の技術課題に鑑み、濃硫酸法および発煙硫酸法における反応条件について種々検討を行った。先ず、反応温度、反応時間について検討を行ったところ、単に温度、時間を変えるだけでは、その最高収率は従来技術(70〜83%)と同等であり、樹脂状化合物の副生も4〜30%であった。
そこで、本発明者等は、上述の樹脂状化合物の副生を抑え、かつ反応を促進させる添加剤について種々検討を行った。その結果、反応系に無機塩を添加することで前記樹脂状化合物の副生を抑制し、かつ高収率、高純度で2−アダマンタノンを単離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、アダマンタン、1−アダマンタノール、および2−アダマンタノールよりなる群から選ばれる少なくとも一種の原料化合物を濃硫酸または発煙硫酸中、該原料化合物に対して0.01〜10倍当量の無機塩の存在下に酸化させることを特徴とする2−アダマンタノンの製造方法である。
本発明により得られた2−アダマンタノンは、収率85%程度、GC純度95%以上、樹脂状化合物の含有量は1%以下であり、上述の従来の技術(特許文献2)による収率83%程度、GC純度92%程度、樹脂状化合物4%程度と比較して、収率を維持したまま、GC純度、樹脂状化合物の含有量が向上していることが伺える。
これは、無機塩を加えることで、反応中に副生する樹脂状化合物の生成量が抑制され、硫酸相中の樹脂化合物の濃度が低下したことで、硫酸相の粘度が低下し、溶媒による抽出操作の際、分液性が向上したためであると考えられる。
以上より、本発明によれば、2−アダマンタノンの単離収率を向上させ、かつ樹脂状化合物の含有量の少ない2−アダマンタノンを製造することができる。本発明により得られた高純度の2−アダマンタノンは、耐熱性高分子等の機能性材料やレジスト等の電子材料などの原料として有効に使用することができる。
本発明における原料化合物のアダマンタン、1−アダマンタノール、2−アダマンタノールは工業的に入手容易なものが何等制限なく使用できる。また、本発明における濃硫酸、発煙硫酸は工業的に入手可能なものが何等制限なく使用できる。
本発明において、濃硫酸とは90質量%以上の硫酸である。濃硫酸は一般的には96〜98質量%として市販されているため、98〜100質量%の濃硫酸を得るには発煙硫酸または三酸化イオウを添加すればよい。また、上記濃度調整において、使用する三酸化イオウは既存のものを何等制限無く使用可能である。
本発明における発煙硫酸は60質量%以下のものが好適である。ここで、60質量%という値は全体の質量の内、60質量%が三酸化イオウであることを意味する。例えば5%発煙硫酸とは、全体の質量のうち5質量%が三酸化イオウであることを意味している。
本発明における無機塩は公知のものが何等制限なく使用できる。具体的には、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、硫酸ルビジウム、硫酸水素ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸水素セシウム、硫酸フランシウム、硫酸水素フランシウム等の硫酸アルカリ金属塩類および硫酸水素アルカリ金属塩類;硫酸カルシウム、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸ラジウム等の硫酸アルカリ土類金属塩類;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸アルカリ金属および亜硫酸水素アルカリ金属塩類;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸フランシウム、炭酸水素フランシウム等の炭酸アルカリ金属塩類および炭酸水素アルカリ金属塩類;炭酸カルシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸ラジウム等の炭酸アルカリ土類金属塩類;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化フランシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化フランシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化フランシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化フランシウム等のハロゲン化アルカリ金属塩類;塩化カルシウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウム、フッ化カルシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化ラジウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ベリリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化ラジウム、臭化カルシウム、臭化ベリリウム、臭化マグネシウム、臭化ストロンチウム、臭化バリウム、臭化ラジウム等のハロゲン化アルカリ土類金属塩類が好適に使用される。
これらの無機塩の中でも、硫酸アルカリ金属塩類、硫酸水素アルカリ金属塩類、硫酸アルカリ土類金属塩類等の硫酸塩が好適に使用される。これらの無機塩は一種類でもよく、二種類以上組み合わせて使用しても良い。
本発明では、反応を無機塩の存在下に行うことが最大の特徴である。本発明によれば、無機塩の効果により、従来技術と比較して樹脂状化合物の副生を抑制し高収率、高純度で2−アダマンタノンを製造することが可能となる。
本発明における無機塩の使用量は、少なすぎると効果が発現せず、多すぎると経済的でないため、原料化合物であるアダマンタン、1−アダマンタノール、2−アダマンタノールに対して0.01〜10倍当量の範囲である必要があり、好ましくは0.02〜5倍当量、さらに好ましくは0.03〜3倍当量の範囲から選択するとよい。
反応における反応剤の添加方法は特に制限されない。例えば、濃硫酸または発煙硫酸を反応容器に注入した後に原料化合物を固体で添加しても良く、その逆の添加順序でもよい。
本発明における無機塩の添加は、濃硫酸または発煙硫酸と原料化合物とを反応容器に加えた直後でもよく、しばらく経過した後であってもよい。しかしながら反応時間を短縮する目的で、濃硫酸または発煙硫酸と原料化合物とを反応容器に加えた後、2時間以内で添加すると良い。
本発明の製造方法における反応装置は特に制限されないが、例えば、反応系を攪拌可能なように機械的動力源に接続された撹拌翼、温度計、コンデンサー、ガス抜き管を装着したガラスライニング、ゴムライニング、フッ素樹脂ライニング、若しくはその他の耐酸性の材質の反応容器が挙げられる。
本発明の製造方法においては、反応の特性から二酸化イオウが発生するため、ガス抜き管の先に逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップを該順番で接続し装着するとより良い。該反応容器は、温度変化を行えるように水浴や油浴に浸された状態で使用したり、あるいはその他の温度調整手段を備えたものが好ましい。撹拌翼も特に制限されるものではなく、ファウドラー翼、半月翼、タービン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼などから適宜選択するとよい。また本発明の製造方法においては、実施するスケールにもよるが、撹拌翼のかわりにマグネティックスターラーを使用してもよい。この場合、スターラーピースの形状は特に制限されない。
反応圧力は、大気圧下、加圧下、減圧下いずれでもよい。反応温度は、濃硫酸の濃度が高くなると樹脂状化合物の副生が助長されるため、濃硫酸を使用する場合には、反応初期は20〜50℃、中期から終盤は50〜70℃で反応すると良い。一方、発煙硫酸を使用する場合には、反応初期は0〜40℃、中期から終盤は40〜70℃で反応すると良い。
反応時間は、濃硫酸を用いる場合は、反応温度と濃硫酸の濃度にもよるが、反応初期は20〜50℃の範囲で30分以上反応させた後、反応が終息するまで50〜70℃で反応すると良い。濃硫酸の場合、おおむね、300時間あれば反応は完結する。一方、発煙硫酸を使用する場合には、反応初期は0〜40℃の範囲で60分以上反応させた後、反応が終息するまで40〜70℃で反応すると良い。発煙硫酸の場合、おおむね、250時間あれば反応は完結する。
本発明において使用される濃硫酸または発煙硫酸の量は特に制限はないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られるわけではなく、あまり使用量が少ないと酸化力が低下し、原料化合物を懸濁させる能力が低下するため、原料化合物に対して3〜500倍当量、好適には5〜300倍当量で使用される。発煙硫酸の場合には、硫黄原子を元にモル数を計算して求めると良い。
反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶媒中で実施することも可能である。本発明において使用される溶媒については、反応を阻害せず、原料化合物を溶解させる有機溶媒が何等制限無く使用できる。これらの有機溶媒の種類を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等を挙げる事ができる。
これらの中でも、特に高い収率が期待できる、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類が好適に採用される。
本発明におけるこれらの有機溶媒の使用量は特に制限は無いが、あまり量が多いと一バッチあたりの収量が小さくなるため経済的ではなく、あまり量が少ないと原料化合物を溶解させることができずに反応速度が低下するため、通常、反応液全体に対して、原料化合物の量が0.001〜60質量%、好ましくは0.01〜50質量%となるように有機溶媒を使用することが好ましい。
反応は、GCで追跡することが可能である。反応の終点は、残存するアダマンタンが面積百分率で1%以下、1−アダマンタノールが5%以下とすると最も効果的である。
反応液からの2−アダマンタノンの単離精製方法としては、特に制限はなく公知の方法が採用される。例えば、反応後の反応液を氷にあけ、析出する結晶をろ過や遠心分離することも可能であるし、溶媒により抽出し、洗浄、溶媒留去、乾燥後、固体の2−アダマンタノンを得ることができる。また、反応液に氷水、あるいは水を加えて結晶を析出させても良い。
上述の溶媒による抽出の際の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等を挙げる事ができる。これらの溶媒は二種類以上組み合わせて使用しても良い。
以下、実施例を掲げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。
なお、以下の実施例および比較例における収率とは、2−アダマンタノンのGC純度を100%に換算したときの収率である。
実施例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに98質量%濃硫酸180g、30質量%発煙硫酸60gを入れた(滴定により0.8質量%発煙硫酸)。さらに、アダマンタン22g(0.161mol、1当量)、硫酸ナトリウム4.59g(0.032mol、0.2倍当量)を加え、30℃で100時間撹拌した。さらに45℃で10時間撹拌した。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.6g、収率85%、GC純度96%、樹脂状化合物含量は0.5%であった。該樹脂状化合物の定量はGPCにより測定した。
比較例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに98質量%濃硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol、1当量)を加え、60℃で4時間、70℃で6時間、80℃で1時間撹拌した。この間の平均昇温速度は0.04℃/分に制御した。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.1g、収率83%、GC純度92%、樹脂状化合物含量は4%であった。
比較例2
硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして反応を行った。収量21.1g、収率83%、GC純度92%、樹脂状化合物含量2.0%であった。
実施例2
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに96質量%濃硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol、1当量)、硫酸ナトリウム13.77g(0.096mol、0.6倍当量)を加え、40℃で30時間撹拌した。さらに55℃で10時間撹拌した。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.7g、収率86%、GC純度97%、樹脂状化合物含量は0.2%であった。
比較例3
硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は、実施例2と同様にして反応を行った。収量21.1g、収率83%、GC純度91%、樹脂状化合物含量4.5%であった。
実施例3
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに98質量%濃硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol、1当量)、硫酸ナトリウム13.77g(0.096mol、0.6倍当量)を加え、40℃で30時間撹拌した。さらに55℃で10時間撹拌した。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.8g、収率86%、GC純度97%、樹脂状化合物含量は0.2%であった。
比較例4
硫酸ナトリウムをアダマンタンに対して50倍当量(濃硫酸に対して3.3倍当量)添加した以外は、実施例2と同様に反応を行った。反応中、スラリー濃度が高すぎ攪拌ができず、全く反応しなかった。
比較例5
硫酸ナトリウムをアダマンタンに対して30倍当量(濃硫酸に対して2倍当量)添加した以外は、実施例2と同様にして反応を行った。反応中、スラリー濃度が高すぎ反応が完結しなかった。2−アダマンタノンの収量は7.5g、収率31%、GC純度50%、樹脂状化合物含量は3.0%であった。
比較例6
硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は、実施例3と同様にして反応を行った。2−アダマンタノンの収量は15.0g、収率62%、GC純度88%、樹脂状化合物含量は7.5%であった。
比較例7
硫酸ナトリウムの使用量を0.5mmol(0.003倍当量)にした以外は実施例3と同様にして反応を行った。2−アダマンタノンの収量は14.5g、収率60%、GC純度89%、樹脂状化合物含量は7.7%であった。
実施例4〜7
硫酸ナトリウムの使用量を表1に示した量に変更した以外は実施例3と同様に反応を行った。結果を表1に示した。
Figure 2005082582
実施例8〜22
硫酸ナトリウムの代わりに、表2に示した無機塩を使用した以外は、実施例3と同様に反応を行った。結果を表2に示した。
Figure 2005082582
実施例23
アダマンタンの代わりに当量の1−アダマンタノールを使用した以外は実施例3と同様に反応を行った。2−アダマンタノンの収量は22.0g、収率91%、GC純度98%、樹脂状化合物含量は0.1%であった。
実施例24
アダマンタンの代わりに当量の2−アダマンタノールを使用した以外は実施例3と同様に反応を行った。2−アダマンタノンの収量は22.1g、収率91%、GC純度98%、樹脂状化合物含量は0.1%であった。

Claims (1)

  1. アダマンタン、1−アダマンタノール、および2−アダマンタノールよりなる群から選ばれる少なくとも一種の原料化合物を濃硫酸または発煙硫酸中、該原料化合物に対して0.01〜10倍当量の無機塩の存在下に酸化させることを特徴とする2−アダマンタノンの製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009280453A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Wako Pure Chem Ind Ltd 高濃度硫酸含有シリカゲルの製造法

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JP2009280453A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Wako Pure Chem Ind Ltd 高濃度硫酸含有シリカゲルの製造法

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