JP2004292413A - 2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】3−オキソアルカン酸誘導体を原料とし、高選択的かつ高収率に、2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素を用いてフッ素化し、式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法において、式(2)で表される誘導体に溶解した式(1)で表される誘導体を、フッ素でフッ素化することを特徴とする2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法(ただし、式中のRは、アルキル基およびアルケニル基から選ばれる基、または該選ばれる基中の水素原子の1個以上が置換された基を示し、Rはカルボン酸の保護基を示す。)。
【化1】
Figure 2004292413

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を選択的に製造する方法に関する。2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体は、香料、医薬品、農薬、および化学薬品等の中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法としては、フッ素ガスを用いてフッ素化する以下の方法が知られている。
(1)3−オキソアルカン酸誘導体を2−ホルミル−3−オキソアルカン酸誘導体へと導き、つぎに溶媒の不存在下で該2−ホルミル−3−オキソアルカン酸誘導体に直接フッ素ガスを導入することによってフッ素化を行って、2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法(特許文献1参照。)。
(2)溶媒の不存在下に、液体である3−オキソアルカン酸誘導体に、フッ素ガスを導入することによりフッ素化を行って2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法(特許文献2参照。)。
(3)3−オキソアルカン酸誘導体を、酸、ハロゲン化炭化水素、またはアセトニトリルに溶解または分散させ、フッ素ガスを吹き込むことによりフッ素化して2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法(特許文献3、特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−301928号公報
【特許文献2】
特開2002−193886号公報
【特許文献3】
国際公開第94/10120号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第01/79143号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、(1)に示した方法は、フッ素ガスによるフッ素化を行う前に、3−オキソアルカン酸誘導体から2−ホルミル−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法であり、工程数が多い欠点があった。また、フッ素化において2,2−ジフルオロ化体が多量に副生する問題があった。
(2)に示した方法では、2,2−ジフルオロ化体、2,4−ジフルオロ化体、2,5−ジフルオロ化体等の多数の副生物が生成する問題があった。
【0005】
(3)に示した方法のうち、酸として強酸を使用した場合には、原料および目的物の分解反応が進行して収率が低下する問題があった。
酸として弱酸を使用した場合には、目的物が溶媒の弱酸に溶解するため、反応後に、多量の水に反応液を添加し、多量の有機溶媒で抽出する後処理を行う必要があった。有機溶媒の使用は廃液処理の問題があった。この後処理法は操作が複雑であり、容積効率も極めて悪い方法であった。さらに、工業的な製造において、後処理に使用しうる有機溶媒としては、目的物と反応性がなく、経済性に優れかつ原料および目的物の溶解性に優れるものを選択する必要があり、実際にはハロゲン化炭化水素が最も好ましいと考えられた。しかし、ハロゲン化炭化水素は、作業環境上の配慮が必要な溶媒であり、かつ、オゾン層破壊等の環境的な点からも問題であった。
【0006】
(3)に示した方法のうち、アセトニトリルを溶媒とする方法では、フルオロアセトニトリルが生成するおそれがあった。フルオロアセトニトリルは、作業環境上の注意を要するフルオロ酢酸に変換される可能性があることから該方法は、工業的な製造には不利であった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、3−オキソアルカン酸誘導体を原料とし、高選択的かつ高収率に、2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法を提供する。また、本発明は、生成物の後処理が従来よりも作業環境上および地球環境上有利である製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、2−フルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素化反応における溶媒として用いることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素を用いてフッ素化し、下記一般式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法において、式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体に溶解させた式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素でフッ素化することを特徴とする2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法である(ただし、式中のRは、アルキル基およびアルケニル基から選ばれる基、または該選ばれる基中の水素原子の1個または2個以上が、フッ素原子、アリール基、置換アリール基、アルキルオキシ基、およびフェニルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基で置換された基を示し、Rはカルボン酸の保護基を示す。)。
【0009】
【化2】
Figure 2004292413
【0010】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」のように記す。他の式で表される化合物についても同様に記す。また本明細書における圧力は絶対圧で記載する。
本発明において、原料として使用する3−オキソアルカン酸誘導体は化合物(1)であり、2つのカルボニル基に挟まれた活性メチレン基を有する化合物である。 本発明の製造方法において、「フッ素化」とは、炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子に置き換える反応をいう。
【0011】
本明細書において、「アルキル基」とは、非置換のアルキル基をいい、炭素数1〜10の直鎖又は分枝鎖のアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜6の該基が好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、およびn−オクチル基等が挙げられる。
また、本明細書において「アルケニル基」とは、非置換のアルケニル基をいい、炭素数2〜10の直鎖又は分枝鎖のアルケニル基が好ましく、特に炭素数2〜6の該基が好ましい。アルケニル基中の二重結合は、1個又は2個以上であり、1個が好ましい。アルケニル基に存在する二重結合はシスまたはトランスのいずれの配置であってもよい。アルケニル基の具体例としては、アリル基、1−プロペニル基、2−(1−プロペニル)基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ヘキセニル基、および2−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0012】
本明細書において、アリール基としては、フェニル基およびナフチル基等が好ましい。置換アリール基とは、アリール基中の水素原子の1個以上が置換基で置換された基をいい、低級アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されたフェニル基、および低級アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されたナフチル基等が挙げられる。
アルキルオキシ基としては、炭素数1〜6の基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、およびブトキシ基等が挙げられる。
【0013】
化合物(1)および化合物(2)におけるRは、アルキル基およびアルケニル基から選ばれる基、または該選ばれる基中の水素原子の1個または2個以上が、フッ素原子、アリール基、置換アリール基、アルキルオキシ基、およびフェニルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基で置換された基である。
としては、これらのうち、非置換のアルキル基が好ましく、特にメチル基またはエチル基が好ましい。
【0014】
また、Rは、カルボン酸の保護基として用いられる公知または周知の基から採用することができ、特に限定されない。Rとしては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、または置換アリール基が好ましい。 さらにRとしては、アルキル基が特に好ましく、メチル基またはエチル基がとりわけ好ましい。
【0015】
化合物(1)としては、3−オキソ酪酸エステル類、3−オキソペンタン酸エステル類等が好ましく、3−オキソ酪酸メチルエステル、3−オキソ酪酸エチルエステル、3−オキソペンタン酸メチルエステル、3−オキソペンタン酸エチルエステルが特に好ましい。
【0016】
本発明においては、化合物(2)で化合物(1)を溶解させる。すなわち、化合物(2)は本発明の製造方法の目的化合物であるとともにフッ素化反応における溶媒でもある。化合物(2)の量は、原料である化合物(1)に対して0.1〜20倍質量が好ましく、反応の容積効率から1〜10倍質量がより好ましい。
また、化合物(1)が溶解した溶液は、化合物(1)および化合物(2)のみから実質的になることが好ましい。化合物(1)および化合物(2)のみから実質的になる溶液とは、該溶液が化合物(1)と化合物(2)だけから構成され、他の成分が存在していないことをいう。ただし、該溶液中に化合物(1)および化合物(2)以外の成分(以下、該成分を「他の成分」という。)が存在していたとしても、他の成分が本発明の反応に関与しない成分である場合、他の成分の量が少なく(他の成分の量は溶液中に5%以下であるのが好ましく、より好ましくは1%以下である。)、または他の成分が溶液を構成する成分ではない(たとえば、溶液中に固体として存在する等)場合等についても、化合物(1)および化合物(2)のみから実質的になる溶液の概念に含まれる。本発明においては、化合物(1)が溶解した溶液は、化合物(1)と化合物(2)だけから構成される溶液であるのが好ましい。
化合物(1)および化合物(2)のみから実質的になる溶液においてフッ素化反応を行うことにより、フッ素化における副生物の生成量が減少し、後述する反応処理操作が容易になる。
【0017】
フッ素ガスを用いるフッ素化は、公知の選択的フッ素化の手法にしたがって実施できる。例えば、撹拌機および温度計を備えた反応器に化合物(1)を仕込み、次いで化合物(2)を添加して溶解させることによって溶液を形成し、この溶液に撹拌下、窒素等の不活性ガスで希釈したフッ素ガスをバブリングしながら反応させる方法、フッ素ガスを溶解させた化合物(2)を化合物(1)に添加する方法などが挙げられる。前者の方法においては、化合物(1)もまた化合物(2)に連続的に導入してもよい。また本発明のフッ素化は、バッチ方式であっても連続方式であっても実施できる。
このとき用いるフッ素ガスの濃度は特に限定されず、不活性ガスで希釈して5〜30質量%としたフッ素ガスが好ましい。
フッ素化は、化合物(1)の量、フッ素ガスの吹き込み速度等により適宜変更され、反応温度は、好ましくは−60〜20℃であり、より好ましくは−40〜0℃の温度である。反応時間は、1〜120時間が好ましく、より好ましくは1〜50時間である。
【0018】
本発明の製造方法におけるフッ素化では、活性メチレン水素原子の1個がフッ素化された化合物(2)の他に、化合物(1)中の水素原子の2個以上がフッ素原子で置換された化合物が副生する場合がある。
副生する化合物(以下、「副生成物」という。)としては、2,2−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体、2,4−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体、および2,5−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体等のジフルオロ化体、2,2,4−トリフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体および2,2,5−トリフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体等のトリフルオロ化体が挙げられる。
本発明の方法によれば、これらの副生成物の量を従来と比べて少なくできる。副生成物の生成量は、2,2−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体、2,4−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体、および2,5−ジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体等のジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の合計質量が、化合物(1)および化合物(2)の合計質量に対して20質量%以下であるのが後述する精製操作の容易さの観点から好ましく、特に10質量%以下であることが好ましい。本発明の方法で反応を行えば、通常、副生成物の量を20質量%以下にできる。
【0019】
本発明の製造方法においては、反応したフッ素ガスと等量のフッ化水素が生成する。通常、該フッ化水素はそのまま反応粗液に溶解されて含まれるため、生成物からこのフッ化水素を除去する操作を行うのが好ましい。
フッ化水素の除去は、フッ素化が終了した後の反応粗液を後処理することによって行うのが好ましい。反応粗液からフッ化水素を除去する方法としては、反応粗液を洗浄する方法(以下、方法(a)と記す。)、反応粗液を減圧蒸留する方法(以下、方法(b)と記す。)、窒素などの不活性ガスを導入する方法(以下、方法(c)と記す。)等が挙げられ、特に方法(a)によるのが好ましい。また、これらの後処理方法は、適宜組み合わせて実施できる。
【0020】
方法(a)としては、例えば、反応粗液に水および/またはアルカリ水を接触させることにより、反応粗液を洗浄する操作を1回以上、好ましくは1〜6回行う方法が挙げられる。水およびアルカリ水の量は、水とアルカリ水の総量が反応粗液に対して0.1〜10倍質量であるのが好ましい。
方法(a)におけるアルカリ水としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩等を水溶液にしたものが挙げられ、例えばNaHCO、KHCO、NaCO、KCO、NaOH、KOH等の水溶液が挙げられる。アルカリ水の濃度は特に限定されず、室温における飽和濃度〜1質量%の濃度が好ましい。洗浄温度は、特に限定されず、5〜40℃が好ましい。
方法(a)によって後処理を行う場合には、洗浄に有機溶媒を使用せずに実施できる点において有利である。この方法(a)は、本発明の製造方法における反応溶媒に有機溶媒を使用しない場合に特に有利な方法である。また、反応処理操作が極めて簡便であり、容積効率にも優れる。
【0021】
方法(a)における洗浄は、水および/またはアルカリ水のみで行うのが好ましいが、必要に応じて洗浄に用いた水またはアルカリ水に対して不溶である有機溶媒を洗浄時に併用してもよい。該有機溶媒としては、例えば、トルエン,キシレン、酢酸エチルなどが使用できる。該有機溶媒を併用する場合には、反応液中のフッ化水素は水および/またはアルカリ水で洗浄され、目的物である化合物(2)は有機溶媒層に抽出される。そして該有機溶媒層については必要に応じて水洗した後、蒸留によって有機溶媒を分離して、化合物(2)を得ることができる。
【0022】
方法(b)においては、反応液を減圧蒸留することによりフッ化水素を除去する。減圧蒸留時の温度は80℃以下が好ましく、化合物の安定性から40℃以下がより好ましい。また、該温度は、−40℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましい。減圧蒸留は、常圧〜4.00kPa程度まで、フッ化水素量に応じて任意に設定できる。さらに圧力を該範囲内で徐々に下げていく方法をとった場合には、操作性の面からより好ましい。
【0023】
方法(c)における不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、またはヘリウム等のガスが挙げられ、不活性ガスは反応終了後の反応粗液にバブリングさせる等の方法で導入するのが好ましい。導入時の反応粗液の温度は、−80℃〜+80℃が好ましく、化合物の安定性、目的物の揮発性から5℃〜40℃がより好ましい。
方法(a)〜方法(c)以外の方法でフッ化水素を除去する方法としては、共沸剤を使用してフッ化水素との共沸組成物を形成させて蒸留する方法が挙げられる。共沸剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、およびジイソプロピルエーテル等のエーテル類;CFCHCl、CCl、CHClF、およびCHCl等のハイドロクロロフルオロカーボン類;ならびにブタン、イソブタン等の炭化水素類が挙げられる。これらの共沸剤は、反応粗液にそのまま加えても、連続的にバブリングしながら供給しても良い。
【0024】
フッ化水素はできる限り除去することが好ましく、反応粗液中に2.0質量%以下にするのが好ましく、特に1.0質量%以下にするのが好ましい。フッ化水素が2.0重量%を越えるまま蒸留等を行うと、得られる化合物(2)の純度と収率が低下するおそれがある。
【0025】
本発明の製造方法においては、反応粗液から方法(a)〜方法(c)等の方法でフッ化水素を除去した後、さらに蒸留を行って化合物(2)を高純度のものにするのが好ましい。蒸留は、減圧下で行うことが好ましく、4.00kPa以下の圧力で行うことが好ましい。蒸留温度は低いほど好ましく、特に化合物の安定性から125℃以下が好ましい。−40℃〜+125℃が特に好ましく、−20℃〜+125℃がより好ましい。
【0026】
化合物(2)はその構造中に不斉炭素原子を有するため、光学異性体が存在する。そして、本発明の製造方法により得られる化合物(2)は、通常はラセミ体であることから、必要に応じて光学分割を行ってもよい。
本発明の製造方法により得られる化合物(2)は、香料、医薬品、農薬、および化学薬品等の中間体として有用な化合物である。
【0027】
本発明によれば、有用な該化合物(2)を、効率的な方法で、副生成物の生成を抑制して製造できる効果を奏する。
該効果を奏する原因については、必ずしも明確ではないが、反応溶媒として使用する化合物(2)が、原料である化合物(1)よりもフッ素化されにくい化合物であること、さらに化合物(1)溶解性に優れることから、溶媒効果(溶媒の使用により反応温度の制御が容易になる効果、溶解しなかった化合物同士が分子間で反応する分子間反応を抑制する効果)を発揮したものと考えられる。
そして、本発明の製造方法の結果得られる反応粗液中には、副生成物の量が減少すること、および反応溶媒に有機溶媒を必須としないことから、後処理の操作を容易にできる効果も奏する。
たとえば、後処理において、通常行われる有機溶媒による後処理、特にハロゲン化炭化水素を用いた後処理を必須としない点は、作業環境および環境保護の観点において有利であり、かつ経済性の点でも有利である。
特にRがエチル基であり、Rがメチル基である化合物(1)において本発明の製造方法を行った場合には、化合物(2)の粘性が低いことから、特に反応の操作性に優れる利点も有する。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。また、実施例、比較例においては化合物名を略号で記し、その正式名称はつぎのとおりである。
MOP:3−オキソペンタン酸メチルエステル、MFOP: 2−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル、2,5−DFOP: 2,5−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル、2,2−DFOP: 2,2−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル。
なお、これらの化合物の構造は公知のデータと比較することにより決定し、含有量および純度はガスクロマトグラフィーにより測定した。また、圧力は絶対圧で記す。
【0029】
[実施例1]
温度計および撹拌器を備えた200mLのハステロイ製反応容器に、MOP(12.88g,0.099mol)とMFOP(64.42g,0.435mol)を入れて溶液を形成させ該溶液に、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら導入し、−20℃でフッ素化反応を行った。3.5時間後、フッ素ガスの導入を止め、窒素ガスを1時間バブリングさせた後、得られた反応粗液を撹拌下に氷水(50mL)に30℃以下で加えた。次いで有機層を分層し、有機層を3%KCO水溶液(50mL)で1回洗浄後、水(50mL)で2回洗浄した。この時の水層のpHは8であった。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、粗MFOP(77.90g)を得た。得られた粗MFOPは、MFOP:94質量%、MOP:0.1質量%、2,2−DFOP:0.6質量%、および2,4−DFOP:0.8質量%を含有していた。2,2−DFOPは確認されなかった。
次いでこの粗MFOPを1.33kPaで減圧蒸留し、目的とするMFOP(66.6g、収率52.8%:反応器に仕込んだMOPより算出。)を得た。MFOPの純度は99.2%であった。
【0030】
[比較例1]
温度計および撹拌器を備えた200mLのハステロイ製反応容器に、MOP(77.30g,0.594mol)を入れ、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら導入し、−20℃でフッ素化反応を行った。21時間後、フッ素ガスの導入を止め、窒素ガスを1時間バブリングさせた後、得られた反応粗液を撹拌下、氷水(200mL)に30℃以下で加えた。次いでこの溶液をジクロロメタン(100mL)で2回抽出し、3%KCO水溶液(100mL)で1回洗浄後、水(100mL)で2回洗浄した。この時の水層のpHは9であった。得られたジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、40℃、および2.7kPa下で溶媒を留去し、粗MFOP(73.79g)を得た。得られた粗MFOPは、MFOP:36質量%、MOP:16質量%、および2,2−DFOP:3質量%を含有していた。また、2,5−DFOP含め、6種類以上の副生物を含有していた。
次いで、この粗MFOPを1.33kPaで減圧蒸留し、目的とするMFOP(22.74g、収率25.9%)を得た。MFOPの純度は96.5%であった。
【0031】
[比較例2]
温度計および撹拌器を備えた200mLのハステロイ製反応容器に、MOP(13.0g,0.10mol)と98%ギ酸(100mL)を入れ、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら導入し、3℃でフッ素化反応を行った。24時間後、フッ素ガスの導入を止め、窒素ガスを1時間バブリングさせた後、得られた反応粗液を撹拌下氷水(200mL)に30℃以下で加えた。次いでこの溶液をジクロロメタン(50mL)で3回抽出し、得られたジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、40℃、および2.7kPa下で溶媒を減圧留去し、粗MFOP(12.11g)を得た。得られた粗MFOPは、MFOP:66質量%、MOP:0.2質量%、2,2−DFOP:5質量%、2,4−DFOP:5質量%、および2,5−DFOP:0.1質量%を含有していた。
次いでこの粗MFOPを1.33kPaで減圧蒸留し、目的とするMFOP(7.17g、収率48.4%)を得た。MFOPの純度は98.1%であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、3−オキソアルカン酸誘導体を原料とし、作業環境および環境保護に優れた反応条件で、高選択的かつ高収率に、香料、医薬品、農薬、および化学薬品等の中間体として有用な2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造できる。すなわち、本発明の方法によれば、溶媒を全く使用しない方法よりも副生成物の生成量を抑制し、かつ高い収率で目的化合物(2)を得ることができる。また公知の方法にある溶媒を使用するよりも、副生成物の量を抑制し、高い収率で目的化合物(2)を得ることができる。また反応で生成した反応粗液は、有機溶媒を使用しなくても後処理ができるため、後処理の操作自体が簡便になり、また廃液の問題なく、作業環境においても有利な方法である。また本発明の方法は、以上のことから、経済性においても有利な方法である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素を用いてフッ素化し、下記一般式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体を製造する方法において、式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体に溶解させた式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体を、フッ素でフッ素化することを特徴とする2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法(ただし、式中のRは、アルキル基およびアルケニル基から選ばれる基、または該選ばれる基中の水素原子の1個または2個以上が、フッ素原子、アリール基、置換アリール基、アルキルオキシ基、およびフェニルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基で置換された基を示し、Rはカルボン酸の保護基を示す。)。
    Figure 2004292413
  2. フッ素ガスを、式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体および式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体のみから実質的になる溶液に導入することによってフッ素化を行う請求項1に記載の2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法。
  3. フッ素化反応の終了時点の反応粗液において、式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体中の2個の水素原子がフッ素原子で置換されたジフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の合計質量が、式(1)で表される3−オキソアルカン酸誘導体と式(2)で表される2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体との合計質量に対して10質量%以下である請求項1または2に記載の2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法。
  4. フッ素化により生成した反応粗液を、水および/またはアルカリ水を用いて洗浄する請求項1〜3のいずれかに記載の2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法。
  5. 洗浄に有機溶媒を用いない請求項4に記載の2−モノフルオロ−3−オキソアルカン酸誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009155267A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd 含フッ素化合物及びその製造方法
JP2017214336A (ja) * 2016-06-01 2017-12-07 ダイキン工業株式会社 エステル化合物の製造方法

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