JP2004341541A - 光学機能性膜、光学機能性フィルム、防眩性反射防止フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学機能性膜、光学機能性フィルム、防眩性反射防止フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 第一の目的は、防湿性等のガスバリヤー性に優れた光学機能性膜を提供し、第二の目的は、防眩性と反射防止性を同時に備え、且つ内部の各層の界面における光の反射を低減することができる防眩性反射防止フィルム及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 透明基材フィルム11上に、直接又は他の層を介して、表面が微細な凹凸状の防眩層12が形成されており、さらにその上に防眩層12の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層13が形成されている。防眩層12の屈折率は、その防眩層12が接している低屈折率13の面とは反対側の面に接している層の屈折率よりも高い。この低屈折率13にSiO膜を使用することができるが、SiO膜自体は光学機能膜として、ガスバリヤー性、防汚性に優れ、防湿性、耐擦傷性、基材接着性、透明性、低屈折率性、染料劣化防止性等に優れている特徴を有する。
【選択図】 図12

Description

本発明は、光学機能性フィルムに関し、特に、ワープロ、コンピュータ、テレビ等の各種ディスプレイ、液晶表示装置に用いる偏光板の表面、透明プラスチック類サングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズなどの光学レンズ、各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラス等の表面の反射防止フィルムに好適な光学機能性フィルムならびにその製造方法に関する。
カーブミラー、バックミラー、ゴーグル、窓ガラス、パソコン・ワープロ等のディスプレイ、その他種々の商業ディスプレイ等には、ガラスやプラスチック等の透明基板が用いられており、これらの透明基板を通して物体や文字、図形の視覚情報を或いはミラーでは透明基板を通して反射層からの像を観察する場合に、これらの透明基板の表面が光で反射して内部の視覚情報が見えにくいという問題があった。
従来、光の反射防止技術には、例えば、次のような技術があった。すなわち、ガラスやプラスチック表面に反射防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明基板の表面に膜厚0.1μm程度のMgF等の極薄膜や金属蒸着膜を設ける方法、プラスチックレンズ等のプラスチック表面に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、その上に蒸着によりSiOやMgFの膜を形成する方法、電離放射線硬化型樹脂の硬化膜上に低屈折率の塗膜を形成する方法があった。
前記ガラス上に形成された膜厚0.1μm程度のMgFの薄膜をさらに説明する。入射光が薄膜に垂直に入射する場合に、特定の波長をλ0 とし、この波長に対する反射防止膜の屈折率をn0 、反射防止膜の厚みをh、および基板の屈折率をng とすると、反射防止膜が光の反射を100%防止し、光を100%透過するための条件は、次の式(1)および式(2)の関係を満たすことが必要であることは既に知られている(サイエンスライブラリ 物理学=9「光学」70〜72頁、昭和55年、株式会社サイエンス社発行)。
Figure 2004341541
0 h=λ0 /4 式(2)
ガラスの屈折率ng =約1.5であり、MgF膜の屈折率n0 =1.38、入射光の波長λ0 =5500オングストローム(基準)と既に知られているので、これらの値を前記式(2)に代入すると、反射防止膜の厚みhは約0.1μmが最適であると計算される。
前記式(1)によれば、光の反射を100%防止するためには、上層塗膜の屈折率がその下層塗膜の屈折率の約平方根の値になるような材料を選択すればよいことが分かり、このような原理を利用して、上層塗膜の屈折率を、その下層塗膜の屈折率よりも若干低い値として光の反射防止を行なうことが従来行なわれていた。
また従来、外部または内部からの光をディスプレイ表面が拡散反射または拡散透過させて、眩しくないようにするために、ディスプレイ等の表面に防眩処理を施していた。このような防眩処理には、例えば、二酸化珪素等のフィラーを含む樹脂を、ディスプレイ表面に塗工したり、或いは透明基板に二酸化珪素等のフィラーを含む樹脂が塗工されてなる防眩性基材をディスプレイ表面に貼着していた。
特に、液晶ディスプレイ等の表示体の表面には、光のシャッターの役目をするフィルム状の偏光素子が設けられているが、偏光素子自体がハード性能に劣るために、ガラス、透明プラスチック板、または透明プラスチックフィルム等の透明保護基板により保護されて、偏光板が形成されている。しかしながら、透明プラスチック板または透明プラスチックフィルム等のプラスチックからなる透明保護基板自体においても傷がつきやすいので、近年、このような偏光板の表面にハード性能を持たせたものが開発されている。このような技術として、例えば、特開平1−105738号公報に記載されるものがある。
この公報には、偏光素子に貼合されて偏光板を構成するための、ハード性能、防眩性が付与された透明保護基板、即ち、光制御用トリアセテートフィルムが開示されている。このフィルムは、未ケン化のトリアセテートフィルムの一方の面に、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂からなる硬化塗膜を設けることによりハード性能に優れたトリアセテートフィルムとしている。
前記ハード性能に優れたトリアセテートフィルムに更に防眩性を付与するためには、従来、前記紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂に無定形シリカを添加した樹脂組成物をトリアセテートフィルムの表面に塗布して硬化させていた。このようにして得られたトリアセテートフィルムを偏光素子と貼合させて偏光板とする際に、偏光素子との接着性を上げるためおよび静電防止のためにアルカリによるケン化処理を行い、その後に、偏光素子と貼合させて偏光板を製造している。
しかしながら、基材フィルム上に光の反射防止と同時に防眩性を付与する層を設けて防眩性反射フィルムとするためには、少なくともこれらの機能を有する層や、その他、接着剤層等の各種層を設けるため、例えば、基材フィルムと、基材フィルム上に設けられた最表層との間に一以上の層を設けなければならない。このような場合、各層の界面において、光の反射が起こり、特に、塗布によって形成されたような膜厚が0.5μm以上の比較的厚い、光の波長よりも大きい膜厚を有する界面においては、このような傾向が現れ、反射防止フィルムとしての反射防止効果を低下させるという問題があった。
一方、透明性基材フィルム上の最表面に反射防止層を形成した従来の反射防止フィルムは、反射防止層の厚みが約0.1μm前後と薄いため、形成された反射防止フィルムはハード性能に劣り、傷付きやすいという問題があった。
さらに、反射防止フィルム等の光学機能が付与されたフィルムは、各光学機能性膜が通常積層されているが、このような光学機能膜は、ガスバリヤー性が十分ではなく、防湿性が劣っていた。特に、液晶表示装置に使用される偏光素子は湿気に弱く、防湿性を付与する必要がある。
そこで本発明の第一の目的は、反射防止フィルム、反射防止膜等の光学材料を構成している光学機能性材料について、防湿性等のガスバリヤー性に優れた光学機能性フィルムを提供することである。
本発明の第二の目的は、防眩性と反射防止性を同時に備え、且つ内部の各層間の界面における光の反射を低減することができる防眩性反射防止フィルムおよびその製造方法を提供することである。
本発明の第三の目的は、前記第二番目の目的に加えて、ハード性能を付与した防眩性反射防止フィルム、およびその製造方法を提供することである。
前記した第一番目の目的を達成するために本発明による光学機能性フィルムは、水に対する表面の接触角が40〜180度のSiO膜(xは1.50≦x≦4.00)からなることを特徴とする。このSiO膜は好ましくはプラズマCVD法によって形成された膜からなる。また、本発明においては、上記のSiO膜の動摩擦係数は、1以下であることが好ましい。
この光学機能性フィルムは、代表的には、透明基材フィルム上に、直接または他の層を介して、好ましくはプラズマCVD法によってSiO膜(xは1.50≦x≦4.00)を形成することができるが、各種光学物品の所定の位置に形成することができる。
前記した第二番目の目的を達成するために本発明の防眩性反射防止フィルムは、(1)透明基材フィルム上に、直接または他の層を介して、表面が微細な凹凸状のバインダー樹脂を主体とする防眩層が形成されており、(2)該防眩層上に、該防眩層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層が形成されており、(3)該防眩層の屈折率は、該防眩層が接している前記低屈折率層とは反対側に接している層(例えば、透明基材フィルム、プライマー層、接着剤層、第2ハードコート層等)の屈折率よりも高いことを特徴とする。
前記した第三番目の目的を達成するために本発明の防眩性反射防止フィルムは、(1)透明基材フィルム上に、直接または他の層を介して、表面が微細な凹凸状で、ハード性能を有する防眩層が形成されており、(2)該防眩層上に、該防眩層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層が形成されており、(3)該防眩層の屈折率は、該防眩層が接している前記低屈折率層とは反対側に接している層の屈折率よりも高いことを特徴とする。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法は、(1)透明基材フィルム上に、直接または他の層を介して、バインダー樹脂と該バインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子とを含む樹脂組成物であって、且つ該樹脂組成物の屈折率が最終製品としての防眩性反射防止フィルムの層構成における該樹脂組成物を使用する層の下側に直接接する層の屈折率よりも高い屈折率を持つ樹脂組成物を塗工し、(2)形成された塗膜上に、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムを微細な凹凸面を塗膜側にしてラミネートし、(3)得られたラミネート物に対して加熱処理および/または電離放射線照射処理を行なって塗膜を硬化させ、(4)塗膜の硬化したラミネート物から前記賦型フィルムを剥離することにより表面に微細な凹凸を有する防眩層を形成し、(5)前記工程で形成された防眩層上に該防眩層よりも低い屈折率を有する低屈折率層を形成することを特徴とする。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムの別の製造方法は、(1)表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルム上に、バインダー樹脂と該バインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子とを含む樹脂組成物であって、且つ該樹脂組成物の屈折率が最終製品としての防眩性反射防止フィルムの層構成における該樹脂組成物を使用する層の下側に直接接する層の屈折率よりも高い屈折率を持つ樹脂組成物を塗工し、(2)一方、透明基材フィルムに対して、直接または他の層を介して、前記工程で塗膜が形成された賦型フィルムを、該塗膜を内側にしてラミネートし、(3)このラミネート物に対して、加熱処理および/または電離放射線照射処理を行なって、該塗膜を硬化させ、(4)塗膜の硬化したラミネート物から前記賦型フィルムを剥離することにより表面に微細な凹凸を有する防眩層を形成し、(5)前記工程で形成された防眩層上に該防眩層よりも低い屈折率を有する低屈折率層を形成することを特徴とする。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムのさらに別の製造方法は、(1)表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルム上に、バインダー樹脂と該バインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子とを含む樹脂組成物であって、且つ該樹脂組成物の屈折率が最終製品としての防眩性反射防止フィルムの層構成における該樹脂組成物を使用する層の下側に直接接する層の屈折率よりも高い屈折率を持つ樹脂組成物を塗工して塗膜を形成し、(2)該塗膜を硬化させて高屈折率ハードコート層とし、(3)一方、透明基材フィルムの表裏面の少なくとも一面に、接着剤層を介して、前記工程の高屈折率ハードコート層が形成された賦型フィルムを、該高屈折率ハードコート層を内側にしてラミネートし、(4)前記接着剤層を硬化した後、ラミネート物から前記賦型フィルムを剥離して表面に微細な凹凸を有する高屈折率ハードコート層を前記透明基材フィルム側に転写し、(5)次いで、該高屈折率ハードコート層上に、該高屈折率ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設けることを特徴とする。
防眩性と反射防止性
本発明において防眩とは、ディスプレー等の表面に形成された防眩層表面の微細な凹凸により、または防眩層内に配置されたマット材により、外光の反射が拡散されて拡散反射となり、螢光灯などの画面への映り込みが減少される現象をいう。このような防眩層においては、表示体からの透過光が拡散されてしまうため、解像度、コントラストが低下するという欠点がある。
また、本発明において反射防止とは、外光の反射エネルギーを干渉作用によって低下させるため、外光の映り込みが若干低減され、表示体からの透過光量が増大されるため(反射が低減されるため)、解像度、コントラストが高まる現象をいう。図21に光の反射の概念図を、図22に光の透過の概念図を示す。
本発明において、防眩性反射防止とは、防眩性と反射防止性の双方の欠点を補うようにしたものであり、光の正反射、拡散反射、外光映り込み、コントラスト等が改善されている。特に、防眩性が付与されたフィルムは、バックから透過されてくる光が拡散透過されて、このようなフィルムを表示装置に使用した場合、表面の影像が暗くなる欠点があったが、本発明の防眩性反射防止フィルムは、低反射となると同時に透過率が際立って上昇するという特徴を有するので、映像が明るく、コントラストが上がり、視認性がよいという特徴を有する。上記防眩、反射防止、防眩性反射防止の性質を次の表1に対比する。
[表1]
項 目 防 眩 反射防止 防眩性反射防止
正反射 少ない 少ない 少ない
拡散反射 多い 少ない 少ない
外光映り込み 少ない 若干ある 少ない
正透過光量 少ない 多い やや少ない
拡散透過光量 多い 少ない やや多い
透過光量
(正透過光量 少ない 多い やや多い
+拡散透過光量)
解像度 低い 高い やや高い
コントラスト 低い 高い 高い

表1によれば、防眩性反射防止が付与されることによって、ディスプレーに要求される光学特性をほぼ満足することが分かる。即ち、ディスプレーに要求される光学特性とは、表面の正反射が少ないこと、外光映り込みが少ないこと、透過光量が多く明るく見えること、正透過光量が多く、解像度、コントラストが優れていることである。
透明基材フィルム
透明基材フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム等が使用できるが、特に、トリアセチルセルロースフィルム、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れ、光学的に異方性が無い点で好適に用いられる。その厚みは、通常は8μm〜1000μm程度のものが好適に用いられる。
防眩層
本発明の防眩層の表面には、微細な凹凸が形成されている。このような微細な凹凸を形成する方法には、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムを用いて賦型を行なうか、プラスチックビース等のマット材をバインダー樹脂に添加した防眩性塗料により塗膜を形成するか、或いは表面賦型とマット材の添加を併用することによって行なうことができる。防眩性(即ち、内部から発散される光を拡散させて眩しくないようにする性質)付与のためにマット材を用いずに表面に微細な凹凸の賦型とする場合には、得られる防眩性反射防止フィルムの透明性が、特に損なわれない効果を有する。
前記賦型による微細な凹凸の形成方法に用いる賦型フィルムには、離型性のあるPET等のプラスチックフィルム上に所望の凹凸を設けたもの、或いは、PET等のプラスチックフィルム上に微細な凹凸層を形成したもの等を用いることができる。このような賦型フィルムを、樹脂の塗膜上に、例えば、紫外線硬化型樹脂の塗膜上にラミネートして、紫外線を照射して塗膜を硬化することができる。この場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムであると、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収されることになり、紫外線硬化型樹脂の硬化不足になってしまうという欠点がある。したがって、紫外線硬化型樹脂の塗膜に賦型フィルムを適用する場合に、波長254〜300nmの紫外線領域における賦型フィルムの透過率が20%以上のものを使用することが必要である。
前記マット材の添加による微細な凹凸の形成方法に用いるマット材には、例えば、プラスチックビーズが透明度が高く、マトリックス樹脂と屈折率が近いので好適に使用できる。このようにマット材の屈折率をできるだけ樹脂の屈折率に近いものにすると、塗膜の透明性が損なわれずに、しかも、防眩性を増すことができる。マット材としてのプラスチックビーズに、例えば、アクリルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、塩ビビーズ等が用いられる。これらのプラスチックビーズの粒径は、1〜10μmのものが好適に使用される。
これらのマット材を添加した場合には、樹脂組成物中でマット材が沈降しやすいので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加すればするほどマット材の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。したがって、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1重量%未満程度含ませると沈降防止することができる。このシリカは、従来のマット材として通常使用される粒径5μm程度のシリカとは、粒径が非常に小さい点で異なり、その添加効果も防眩性付与には有効ではない。また、その使用量も、従来のマット材が1〜30重量%使用されるのに対して、本発明では、シリカを0.1重量%以下と極端に少ない量で使用される点で異なる。なお、マット材の沈降防止のための沈降防止剤である無機フィラーを添加しないで本発明を実施する場合には、塗料使用時にマット材が底に沈澱しているので、よく掻き混ぜて均一にすれば使用することができる。
防眩層に用いることのできるバインダー樹脂には、透明性のあるものであればどのような樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等)でも使用することができる。防眩層にハード性能を付与して、最終的に得られる防眩性反射防止フィルムを優れたハード性能とするためには、防眩層の厚みは0.5μm以上、好ましくは、3μm以上とすることにより、硬度を維持することができ、防眩性反射防止フィルムにハード性能を付与することができる。
なお、本発明において、「ハード性能を有する」或いは「ハードコート」とは、JISK5400で示される鉛筆硬度試験で、H以上の硬度を示すものをいう。
また、防眩層の硬度をより向上させるためには、防眩層に使用するバインダー樹脂には、反応硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。前記熱硬化型樹脂には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が使用され、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用する。
前記電離放射線硬化型樹脂には、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し溶剤乾燥型樹脂を10重量部以上100重量部以下含ませてもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使用されるが、特に、電離放射線硬化型樹脂にポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物を使用した場合には、使用する溶剤乾燥型樹脂にはポリメタクリル酸メチルアクリレート又はポリメタクリル酸ブチルアクリレートが塗膜の硬度を高く保つことができる。しかも、この場合、主たる電離放射線硬化型樹脂との屈折率が近いので塗膜の透明性を損なわず、透明性、特に、低ヘイズ値、高透過率、また相溶性の点において有利である。
また、透明基材フィルムとして、特にトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いるときには、電離放射線硬化型樹脂に含ませる溶剤乾燥型樹脂には、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性の点で有利である。
その理由は、上記のセルロース系樹脂に溶媒としてトルエンを使用した場合、透明基材フィルムであるトリアセチルセルロースの非溶解性の溶剤であるトルエンを用いるにもかかわらず、透明基材フィルムにこの溶剤乾燥型樹脂を含む塗料の塗布を行なっても、透明基材フィルムと塗膜樹脂との密着性を良好にすることができ、しかもこのトルエンは、透明基材フィルムであるトリアセチルセルロースを溶解しないので、透明基材フィルムの表面は白化せず、透明性が保たれる利点があるからである。
防眩層の形成には、塗布による方法又は転写による方法が利用できる。前者の塗布による方法には、透明基材フィルムに直接又は他の層を介して、例えばグラビヤリバースコート法等により前記防眩層用の樹脂組成物を塗布して形成することができる。また後者の転写による方法には、表面に微細な凹凸を有する賦型フィルム上に、前記防眩層用の樹脂組成物を例えばグラビヤリバースコート法等により塗工して塗膜を形成し、一方、透明基材フィルムの表裏面の少なくとも一面に、直接又は他の層を介して、前の工程の塗膜が形成された賦型フィルムを、その塗膜を内側にしてラミネートし、このラミネート物に対して、加熱処理及び/又は電離放射線照射処理を行なって該塗膜を硬化させ、その後、ラミネート物から前記賦型フィルムを剥離して防眩層を形成することができ、或いは前記のラミネートを行なう前に、賦型フィルム上の塗膜に加熱処理及び/又は電離放射線照射処理を行なって硬化させた後、接着剤層を介して、透明基材フィルムの表裏面の少なくとも一面にラミネートし、その後、ラミネート物から前記賦型フィルムを剥離して防眩層を形成することができる。
本発明における防眩層は、塗布による塗膜であるので、その膜厚は上記したように0.5μm以上であり、気相法(例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、プラズマCVD法等)による膜に比べて厚い。よって、得られた防眩性反射防止フィルムにはハード性能が付与される。
防眩層の屈折率を高くするためには、高屈折率を持つバインダー樹脂を使用するか、防眩層に用いられるバインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子をバインダー樹脂に添加することによって行なうか、あるいは、これらを併用することによって行なう。
前記高屈折率を持つバインダー樹脂には、1)芳香環を含む樹脂、2)F以外のハロゲン化元素、例えば、Br、I、Cl等を含む樹脂、3)S、N、P等の原子を含む樹脂等が挙げられ、これらの少なくとも一つの条件を満足する樹脂が高屈折率となるため好ましい。前記1)の樹脂の例には、ポリスチレン等のスチロール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルカルバゾール、ビスフェノールAのポリカーボネート等が挙げられる。
前記2)の樹脂の例には、ポリ塩化ビニル、ポリテトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル等が挙げられる。前記3)の樹脂の例には、ポリビスフェノールSグリシジルエーテル、ポリビニルピリジン等が挙げられる。
前記高屈折率微粒子には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO(屈折率2.3〜2.7)、CeO(屈折率1.95)、Sb(屈折率1.71)、SnO、ITO(屈折率1.95)、Y(屈折率1.87)、La(屈折率1.95)、ZrO(屈折率2.05)、Al(屈折率1.63)等が挙げられる。これらの高屈折率微粒子のうち、望ましくはZnO、TiO、CeO等を用いることにより、本発明の防眩性反射防止フィルムにUV遮蔽効果がさらに付与されるので好ましい。また、アンチモンがドープされたSnO或いはITOを用いることにより、電子伝導性が向上し、帯電防止効果によるホコリの付着防止、或いは本発明の防眩性反射防止フィルムをCRTに用いた場合の電磁波シールド効果が得られるので好ましい。高屈折率微粒子の粒径は、防眩層を透明とするためには400nm以下であることが好ましい。
防眩層にバインダー樹脂として電離放射線硬化型樹脂が使用される場合には、その硬化方法は通常の電離放射線硬化型樹脂の硬化方法、即ち、電子線または紫外線の照射によって硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
低屈折率層
前記した防眩層上に接して低屈折率層が形成されている。この低屈折率層の屈折率nL は、防眩層の屈折率nH に比べて低い範囲のものであることは勿論であるが、下記の式(3)
Figure 2004341541
に近づく程、反射防止効果は向上するので、上記式(3)の条件に近づけることが望ましい。
低屈折率層の形成に使用される低屈折率材料は上記条件を満足するものであれば、何でもよいが、無機材料は、硬度が高く、気相法により膜を形成できるので好適に使用できる。低屈折率層を形成する材料としては、例えば、LiF(屈折率1.4)、MgF(屈折率1.4)、3NaF・AlF(屈折率1.4)、AlF(屈折率1.4)、NaAlF(氷晶石、屈折率1.33)、SiO(x:1.50≦x≦4.00、望ましくは1.70≦x≦2.20)(屈折率1.35〜1.48)、NaMgF(屈折率1.36)等の無機材料が使用される。
この低屈折率層は、表面に微細な凹凸を有する防眩層上に形成されるため、低屈折率層の形成により、防眩層の微細な凹凸の凹部に低屈折率層材料が集中して、低屈折率層の表面が平坦にならないようにする。そのためには、低屈折率層の形成には、気相法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等により形成することが望ましい。さらに望ましくは、特にプラズマCVD法でSiO(x:1.50≦x≦4.00)膜を形成したものは、膜の硬度や表面物性が良好であり、樹脂層との密着性に優れ、透明基材フィルムの熱ダメージを他の気相法に比べて低減できるので好ましい。このSiOについては、次に詳細に述べる。
光学機能性膜
前記低屈折率層に使用されるSiO(x:1.50≦x≦4.00)膜は、低屈折率層の用途に限られず、光学機能性膜として広く使用することができる。
特に、CVD法、好ましくはプラズマCVD法により形成したSiO膜は、通常の真空蒸着膜と比べて密度が高く、ガスバリヤー性が高い。さらに加えて、光学機能性膜に適したすぐれた特性を有している。特に、防湿性に優れるので、プラズマCVD法によるSiO膜を形成した反射防止フィルムを偏光素子にラミネートして使用する場合に、湿気に弱いとされている偏光素子の防湿機能を果たす利点がある。
下記の表2にプラズマCVD法により形成したSiO膜の優位性を示す実験データを示す。防湿実験の対象としたフィルムには、トリアセチルセルロースフィルム(TACと表示する)、トリアセチルセルロースフィルム上に膜厚7μmのハードコート樹脂の塗膜を形成したもの〔HC(7μm)/TACと表示する〕、トリアセチルセルロースフィルム上に膜厚1μmのフッ化ビニリデンの塗膜を形成したもの〔Kコート:フッ化ビニリデン(1μm)/TACと表示する〕、トリアセチルセルロースフィルム上に膜厚1000AのSiOのプラズマCVD膜を形成したもの〔SiO(1000オングストローム)/TACと表示する〕を使用した。これらの各フィルムを湿度90%、温度40℃で、JIS(Z0208)の防湿試験に従ってその1日当りの透湿度を測定した。
[表2]
層構成(最上層が左側) 透湿度(1日当たり)
TAC 600g/m2
HC(7μm)/TAC 300g/m2
Kコート:フッ化ビニリデン(1μm)/TAC 20g/m2
SiO(1000オングストローム)/TAC 5g/m2 以下

上記表2によれば、SiO(1000オングストローム)/TACが透湿度が一番少なく、防湿性に優れていることが分かる。なお、フッ化ビニリデン(1μm)/TACは、防湿性はやや良いが、その塗膜が柔らかいこと及び経時的に黄変するため光学材料として用いることは好ましくない。
さらにその偏光素子や、その他の層中に染料等が使用されている場合には、プラズマCVD膜はガスバリヤー性を有するため、染料等の劣化を防止することができる。プラズマCVD法により形成したSiO膜は、密度が高いことから、耐擦傷性の膜となる。
また、プラズマCVD法は通常の真空蒸着膜と比べて、SiO膜のxの値の変更が比較的容易であり、さらに通常の真空蒸着膜のxは2未満であるのに対して、プラズマCVD法は2を超えることが可能である。そのため、プラズマCVD法により形成したSiO膜は、通常の真空蒸着膜よりも低屈折率とすることができ、得られた膜は透明性が高いという利点がある。また、プラズマCVD膜は、通常の真空蒸着膜よりも基材との接着性に優れている。
下記の表3に真空蒸着によるSiO膜とプラズマCVD法によるSiO膜の性質の差異を示した。
[表3]
真空蒸着 プラズマCVD
密 度 低い 高い
(粒子同士がぶつかり合い (基板に付着後に
SiOの固まりがついて SiO膜となる。)
膜となる。)
X>2となるものも
O含有量 X<2 存在する。
酸素含有量が真空蒸着
より多い。
ガスバリヤー性 低い 高い
透明性 色(黄色)がつきやすい 透明
屈折率 高い 低い
摩擦係数 高い 低い
本発明における光学機能性膜としての酸化ケイ素膜は、水に対する表面の接触角が40〜180度のSiO膜(xは1.50≦x≦4.00)からなることが好ましく、さらに好ましい接触角は、70度以上、特に好ましくは100度以上である。本発明者の知見によれば、接触角が40度以上になると、防汚性が向上し、光学機能性膜としての用途に好適な状態となる。
また、上記SiO膜の動摩擦係数は1以下、さらに好ましくは0.5以下であることが望ましい。この場合の動摩擦係数は、JIS−K7125に規定された方法に基づく測定値を基準とする。動摩擦係数が小さくなるほど、特に1以下の場合に膜表面の滑り性が増大する傾向があり、膜表面の耐傷性ないし耐破壊性が増大するので好ましい。
上記SiO膜は、上記のように、CVD、好ましくはプラズマCVDによって形成することが好ましい。
本発明において、プラズマCVDとは、CVDの内でもプラズマを利用した従来公知の方法を意味する。一般に、プラズマCVDにおいては、熱エネルギーとともに電気的エネルギーが利用される。すなわち、プラズマCVDにおいては、形成する酸化ケイ素膜の原料ガスをCVD装置中で放電によりプラズマ化し、これによって実現される非平衡状態下で成膜反応を進行させる。
特に、本発明においては、このプラズマCVDを下記の条件下で行うことが、光学特性と表面物性の双方にすぐれた酸化ケイ素膜を形成する上で好ましい。
(a)有機シロキサンを原料ガスとする。
(b)原料ガスを放電によりプラズマ化する。
(c)無機蒸着原の非存在下でCVDを行う。
(d)被蒸着基材フィルムを比較的低温度に維持する。
(e)未分解の有機シロキサンが、生成されるSiO膜に残存するような成膜条件で行う。
原料ガスとしての有機シロキサンとしては、通常オルガノシリコンと呼ばれているシランないしシロキサンを適宜用いることができる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルフェニルジメトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、n−オクチルトリエトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,2,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンから選ばれた1種または2種以上を適宜用いられ得る。
また、本発明においては、固体の無機ケイ素化合物は蒸着源として用いないことが望ましい。さらに、本発明においては、未分解の原料ガス(有機シロキサン)が、生成されるSiO膜に残存するような成膜条件で行うことが好ましい。すなわち、原料ガスを完全に分解することなく、未分解の有機シロキサンが、生成される酸化ケイ素膜に混入ないし取り込まれることによって、光学特性と表面物性の双方にすぐれたSiO膜が得られ、特に上記の成膜条件は、膜表面の接触角を増大させ、動摩擦係数を小さい範囲に制御する上で有利である。
通常、プラズマCVDによるSiOの製膜プロセスにおいては、プラズマによって活性化されたオルガノシロキサンが基材に衝突し、表面に吸着されたオルガノシロキサンがさらに気層中からきた活性化したオルガノシロキサンや酸素と反応することにより、炭素を含む有機基が外れることにより、Si−O−Siのマトリクスを作りながら膜が成長すると考えられる。その時、プラズマのエネルギーが低かったり、プラズマ中の活性酸素の濃度が低かったりすると、基材表面のオルガノシロキサンが完全に分解されずに有機基が残り、表面(一部内部)においてあたかもシリコンゴム、シリコングリースのような基が残ることにより、撥水性、あるいは、摩擦係数が小さくなるという性質が発現するものと考えられる。
しかしながら、オルガノシロキサンの分解が不完全でSiの酸化数が小さいと、逆に形成された膜の屈折率は大きくなり、反射防止膜の低屈折率層としては、実用的でなくなる。また、オルガノシロキサンが完全に分解され、表面に有機基が無くなってしまうと、屈折率は低くなるが、表面が親水性になり汚れがつきやすく取り難くなるばかりか、摩擦係数も大きくなり、擦り傷等の欠陥を誘発しやすくなり、反射防止膜の表面層としての実用性に乏しくなるので、成膜条件のコントロールには留意する必要がある。
以下、種々の方法により形成した形成した膜の物性を参考のために列記する。
サンプル 接触角 摩擦 屈折率 原 料
(°) 係数
(真空蒸着法による成膜)
SiO2 /HC/TAC 32 1.50 1.44 SiO2
(バッチ式プラズマCVDによる成膜)
SiOx /HC/TAC 1) 50 1.10 1.42 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC 2) 104 0.44 1.44 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC 3) 155 0.40 1.60 HMDSO+O2
(連続式プラズマCVDによる成膜)
SiOx/HC/TAC 1) 55 0.45 1.42 HMDSO+O2
SiOx/HC/TAC 2) 102 0.47 1.44 HMDSO+O2
SiOx/HC/TAC 3) 152 0.40 1.50 HMDSO+O2
(連続式プラズマCVDによる成膜、表面にコロナ処理を施す)
SiOx /HC/TAC 59 0.92 1.44 HMDSO+O2
(バッチ式プラズマCVDによる成膜)
SiOx /HC/TAC 43.9 1.13 1.44 SiH4
(真空蒸着法による成膜)
SiOx /HC/TAC 11.2 1.12 1.50 SiO
SiOx /HC/TAC 12.3 1.89 1.50 SiO
鹸化TAC 19 − −
上記表中の記号の意味は以下の通りである。
HC:ハードコート層
TAC:トリアセチルセルロースフィルム
HMDSO:ヘキサメチルジシロキサン
SiOx/HC/TAC :TAC層上にHCおよびSiO層をこの順序で形成した構造
他の層
本発明の防眩性反射防止フィルムには、上記に説明した各層の他に、各種機能性を付与するための層をさらに設けることができる。例えば、透明基材フィルムとハードコート層との接着性を向上させる等の理由で、透明基材フィルム上にプライマー層や或いは接着剤層を設けたり、また、ハード性能や防眩性の向上のためにハードコート層と防眩層を別個に設けたり、それぞれの層を複数層設けてもよい。
上記のように、透明基材フィルムと防眩層の中間に設けられるその他の層の屈折率は、透明基材フィルムの屈折率と防眩層の屈折率との中間の値とすることが好ましい。
他の層の形成方法は、上記のように透明基材フィルム上に直接または間接的に塗布して形成してもよく、また透明基材フィルム上にハードコート層を転写により形成する場合には、予め賦型フィルム(または表面に微細な凹凸が形成された賦型フィルム)上に形成したハードコート層上に、他の層を塗布して形成し、その後、透明基材フィルムに転写してもよい。
本発明の防眩性反射防止フィルムの下面には、接着剤や粘着剤が塗布されていてもよく、このような反射防止フィルムは、反射防止すべき対象物の表面に貼着して用いることができる。
界面での反射防止の作用
図1は、屈折率1.49のトリアセチルセルロースフィルム(略:TAC基材フィルム)1上に屈折率1.46のSiO蒸着膜3が形成された積層フィルムを示す。図5にこの積層フィルムの分光反射率曲線を示す。
図2は、屈折率1.49のTAC基材フィルム1上に屈折率1.49のハードコート層(略:HC層)2、及びさらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜3が形成された積層フィルムを示す。図6にこの積層フィルムの分光反射率曲線を示す。
図3は、図2の積層フィルムにおけるHC層の屈折率を高めたものについてであり、屈折率1.49のTAC基材フィルム1上に、屈折率1.55で膜厚6μmのHC層2、及びさらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜3が形成された積層フィルムを示す。図7にこの積層フィルムの分光反射率曲線を示す。図7の分光反射率曲線を図6のものと重ね合わせると、目標波長550nm(人間の目に最も感じられると言われている波長)付近では、図7の波の一番高い所と図6の曲線が重なり、図7の他の波長部分では、波が低くなった分だけ反射率は低くなる。
従って、SiO蒸着層とTAC基材フィルムとの中間のHC層の屈折率を、他の各層よりも高くすると界面での反射防止が行なえることが分かる。
また、図8の分光反射率曲線は、波のピッチは、膜厚が薄くなると大きくなることを示している。この場合も、図5と図8に示されている反射率の傾向は同じであることが分かる。なお、図8の分光反射率曲線を持つ積層フィルムの層構成は、基材TAC(屈折率1.49)/HC層(膜厚3μm、屈折率1.55)/反射防止層(膜厚95nm、屈折率1.46)からなる。
図9は、図3の積層フィルムにおいて、HC層の屈折率をさらに1.65に高めた場合の分光反射率曲線を示す。このようにHC層の屈折率を上げると、波が大きく(深くなり)、その分だけ反射率を下げることができることが分かる。
図4は、ケン化処理された屈折率1.49のTAC基材フィルム1上に、屈折率1.55のプライマー層4を設け、さらにその上に高屈折率微粒子であるZnOを分散した樹脂からなる屈折率1.65のHC層2を形成し、さらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜3が形成された積層フィルムを示す。ここで、このプライマー層4はHC層2に比べて厚みが薄い層とし、その屈折率は、HC層2とTAC基材フィルム1の各屈折率の中間程度のものとした。図10にこの積層フィルムの分光反射率曲線を示す。図10の分光反射率曲線によれば、その分光反射率は、図9の波の間の値になり、目標波長550nm付近では、波の高さが小さくなって、最表層にSiOよりも低い屈折率の材料を積層したような効果を生じたことを示している。
しかしながら、HC層とプライマー層は、ロールコート等のようなコーティング塗膜であるので、HC層−透明基材フィルム間の界面、HC層−プライマー層間の界面、プライマー−透明基材フィルム間の界面は明確ではないと思われ、屈折率差ができにくく、実際には、分光反射率曲線に表れる波は出来にくい。
図11に、TAC基材フィルム(屈折率1.49)/高屈折率ハードコート層(屈折率1.62)/低屈折率層(屈折率1.46)からなる積層フィルムの分光反射率曲線を示し、比較のため、TAC基材フィルムのみの場合と、TAC基材フィルム(屈折率1.49)/通常ハードコート層(屈折率1.49)/低屈折率層(屈折率1.46)からなる積層フィルムの分光反射率曲線を併せて示す。図11によれば、短波長側ではほとんど波が無くなっている。
偏光板及び液晶表示装置
偏光素子に本発明の防眩性反射防止フィルムをラミネートすることによって、反射防止性の改善された偏光板とすることができる。この偏光素子には、よう素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。このラミネート処理にあたって接着性を増すため及び静電防止のために、前記防眩性反射防止フィルムの透明基材フィルムが例えば、トリアセチルセルロースフィルムである場合には、トリアセチルセルロースフィルムにケン化処理を行う。このケン化処理はトリアセチルセルロースフィルムにハードコートを施す前または後のどちらでもよい。
図19に本発明の防眩性反射防止フィルムが使用された偏光板の一例を示す。図中のTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルムの略語)19、高屈折率防眩層12、低屈折率層13からなる積層体は本発明の防眩性反射防止フィルムに相当し、この防眩性反射防止フィルムが偏光素子20上にラミネートされており、一方、偏光素子20の他面にはTACフィルム19がラミネートされている。この偏光板の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられる。特に、高屈折率防眩層12と透明基材フィルムとしてのTACフィルム19との間に、接着剤層を設けることが望ましい。この図19に示した偏光板の層構成は、TACフィルム/偏光素子/防眩性反射防止フィルムと簡略に表示することができる。
図20に本発明の防眩性反射防止フィルムが使用された液晶表示装置の一例を示す。液晶表示素子21上に、図19に示した偏光板、即ち、TACフィルム/偏光素子/防眩性反射防止フィルムからなる層構成の偏光板がラミネートされており、また液晶表示素子21の他方の面には、TACフィルム/偏光素子/TACフィルムからなる層構成の偏光板がラミネートされている。図20の液晶表示装置において、最下面のTACフィルム19側にさらに反射防止層として、高屈折率層及びさらにその外側に低屈折率層が形成されていてもよい。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子21と偏光板との間に、位相差板が挿入される。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられる。
[実施例1]
透明基材フィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(FT−UV−80:商品名、富士写真フィルム製、屈折率1.49)を用意した。一方、屈折率1.9のZnO超微粒子(ZS−300:商品名、住友セメント製)と屈折率1.52の電離放射線硬化型樹脂(HN−3:商品名、三菱油化製)を重量比で2:1に混合した。得られた樹脂組成物を前記トリアセチルセルロースフィルム上に、膜厚7μm/dryとなるようにグラビアリバースコートにより塗工し、溶媒を乾燥除去した。
表面に微細な凹凸を有するマットPETフィルム(X−45:商品名、東レ製、厚さ23μm)を、先の乾燥樹脂層を有するトリアセチルセルロースフィルム上に、その樹脂層を介してラミネートし、その後、電子線を150KVで4Mrad照射し、樹脂層を硬化し、マットPETフィルムを剥離除去することにより、樹脂層の表面に微細な凹凸を形成した。次いで、この樹脂層の微細な凹凸表面に、SiOをプラズマCVD法にて蒸着して、膜厚100nmのSiO層(屈折率1.46)を形成して、本実施例1の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.5%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図12は、本実施例1で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、12はハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例2]
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(FT−UV−80:商品名、富士写真フィルム製、屈折率1.49)を60℃、2N KOH槽中に1分間浸漬しケン化処理を行なったものを透明基材フィルム(屈折率1.49)とした。その透明基材フィルム上に、塩酢ビ系樹脂(SBPプライマーG:商品名、大日精化製)に硬化剤としてイソシアネートを該樹脂に対して10重量部加えたプライマー(屈折率1.55)を、膜厚0.7μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、60℃で1分間乾燥した後、40℃で2日間エージングした。得られたプライマー層上に前記実施例1と同様の方法で表面に凹凸を有するハードコート層を形成し、さらにその上にSiO層を設けて、本実施例2の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は94%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図13は、本実施例2で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、14はプライマー層、12はハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例3]
表面に微細な凹凸を有するマットPETフィルム(X−45:商品名、東レ製、厚さ23μm)上に、ZnO超微粒子(ZS−300:商品名:住友セメント製、屈折率1.9)と電離放射線硬化型樹脂(HN−2:商品名、三菱油化製、屈折率1.54)とを重量比で2:1に混合して得た樹脂組成物を、5μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工した後、電子線を150KVで3Mrad照射し、塗膜を硬化した。
この樹脂層が形成されたマットPETフィルムとは別に、前記実施例1で用いた透明基材フィルム上に、ウレタン系接着剤(タケネートA310:商品名)に硬化剤としてイソシアネートを該接着剤樹脂に対して10重量部加えてなるドライラミネート樹脂を、2μm/dryになるように塗工し、次いで塗膜中の溶剤を乾燥除去した。
得られた接着剤層が形成された透明基材フィルム上に、先程作製した樹脂層が形成されたマットPETフィルムを樹脂層同志を介してラミネートした。その後、50℃で3日間エージングし、接着剤層を完全硬化させた後、マットPETフィルムで剥離除去した。得られた表面に微細な凹凸が形成された樹脂層上に、SiOをプラズマCVD法にて膜厚100nmとなるように蒸着してSiO層を形成して、本実施例3の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.8%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が2Hであり、ハード性能にも優れていた。
図14は、本実施例3で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、15は接着剤層、12はハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例4]
表面に微細に凹凸を有するマットPETフィルム(X−45:商品名、東レ製、厚さ23μm)上に、ZnO超微粒子(ZS−300:商品名、住友セメント製、屈折率1.9)と電離放射線硬化型樹脂(HN−2:商品名、三菱油化製、屈折率1.54)を重量比で2:1に混合して得た樹脂組成物を、膜厚が3μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、次いで電子線を150KVで3Mrad照射してこの樹脂層をハーフキュアーした。
このハーフキュアーの樹脂層が形成されたマットPETフィルムとは別に、前記実施例1で用いたトリアセチルセルロースフィルム上に、電離放射線硬化型樹脂(EXG40−9:商品名、大日精化製、屈折率1.50)を3μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、塗膜の溶剤乾燥後、先程作製したハーフキュアーの樹脂層が形成されたマットPETフィルムと樹脂層同志を合わせてラミネートした後、電子線を150KV、5Mradで照射して樹脂層を完全硬化し、マットPETを剥離除去した。得られた表面に微細な凹凸が形成された樹脂上に、前記実施例1と同様にSiO膜を100nmの膜厚で形成して、本実施例4の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.5%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図15は、本実施例4で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、16はクリアハードコート層、12はハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例5]
前記実施例2で示されるように、ケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムを透明基材フィルムとし、同様にプライマー処理した。このプライマー処理されたフィルムを用いて、さらに前記実施例4と同様にして、クリアハードコート層、ハード性能が付与された高屈折率防眩層、低屈折率層を形成して本実施例5の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.5%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図16は、本実施例5で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、14はプライマー層、16はクリアハードコート層、12はハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例6]
表面に微細な凹凸を有するマットPETフィルム(X−45:商品名、東レ製、23μm)上に、ZnO超微粒子(ZS−300:商品名、住友セメント製、屈折率1.9)と指触乾燥型電離放射線硬化型樹脂(H−4000:商品名、三菱油化製、屈折率1.5)を重量比で2:1になるように混合したものを、膜厚3μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、60℃で1分間乾燥して指触乾燥した。
この指触乾燥された樹脂層が形成されたマットPETフィルムとは別に、トリアセチルセルロースフィルム上に電離放射線硬化型樹脂(EXG40−9:商品名、大日精化製、屈折率1.50)を3μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、溶媒乾燥後、先程の指触乾燥された樹脂層が形成されたマットPETフィルムと樹脂層同志を合わせてラミネートした後、電子線を150KV、5Mradで照射して樹脂層を完全硬化し、その後、マットPETフィルムを剥離除去した。これによって形成された表面が微細な凹凸面に前記実施例1と同様にSiOを蒸着して膜厚100nmのSiO膜を形成して、本実施例6の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.5%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が2Hであり、ハード性能にも優れていた。
[実施例7]
前記実施例2で示されるように、ケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムを透明基材フィルムとし、同様にプライマー処理した。このプライマー処理されたフィルムを用いて、前記実施例4と同様に、クリアハードコート層、ハード性能が付与された高屈折率防眩層、低屈折率層を形成して、本実施例7の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は93.5%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が2Hであり、ハード性能にも優れていた。
[実施例8]
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(FT−UV−80:商品名、富士写真フィルム製)上に、粒径5μmのポリメタクリル酸メチルビーズと電離放射線硬化型樹脂(HN−2:商品名、三菱油化製、屈折率1.54)及びZnO超微粒子(ZS−300:商品名、住友セメント製、屈折率1.9)を重量比で1:10:20の割合で混合した樹脂を膜厚6μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、電子線を150KVで4Mrad照射した。トリアセチルセルロースフィルム上に形成された硬化塗膜の表面は、ポリメタクリル酸メチルビーズの微細な粒による微細な凹凸が形成されていた。この硬化塗膜上に、さらにSiOを前記実施例1の方法で蒸着して、膜厚100nmのSiO膜を形成して、本実施例8の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は94%、ヘイズ値5.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図17は、本実施例8で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、17はマット材18を有しハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例9]
前記実施例2で示されるように、ケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムを透明基材フィルムとし、同様にプライマー処理した。このプライマー処理されたフィルムを用いて、前記実施例8と同様に、ハード性能が付与された高屈折率防眩層、低屈折率層を形成して、本実施例9の防眩性反射防止フィルムを作製した。
得られた防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は94%、ヘイズ値5.0であり、反射防止性、防眩性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
図18は、本実施例9で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。11は透明基材フィルム、14はプライマー層、17はマット材18を有しハード性能が付与された高屈折率防眩層、13は低屈折率層である。
[実施例10]
表面に微細な凹凸が形成されているPETフィルム(T−600:商品名、ダイヤホイル株式会社製、厚さ50μm)上に電子線硬化型樹脂(HN−3:商品名、三菱油化製)とZnO超微粒子(ZS−300:商品名、住友セメント製、屈折率1.9)を2:1に配合した樹脂を7μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、電子線を加速電圧175KVで4Mrad照射して塗膜を硬化してハード性を有する高屈折率防眩層を形成した。得られたPETフィルムの高屈折率防眩層上に接着剤(タケラック:商品名、武田薬品工業製)をグラビアリバースコートにより塗工して接着層を形成し、次いで、この接着層を介してトリアセチルセルロースフィルム(FT−UV−80:商品名、富士フィルム製、厚さ80μm)をラミネートし、40℃で3日間エージングした後、PETフィルムを剥離して、高屈折率防眩層をトリアセチルセルロースフィルム上に転写させた。このトリアセチルセルロースフィルム上の高屈折率防眩層の表面は、前記PETフィルムの表面形状と同じ、微細な凹凸上となっている。さらにこの高屈折率防眩層上にSiOをプラズマCVD法により膜厚が100nmとなるように低屈折率のプラズマCVD膜を形成して、本実施例10の防眩性反射防止フィルムを得た。
得られた本実施例10の防眩性反射防止フィルムの全光線透過率は94.5%、ヘイズ値0.7であり、反射防止性は優れていた。またその表面鉛筆硬度が3Hであり、ハード性能にも優れていた。
[比較例]
基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(FT−UV−80:商品名、富士写真フィルム製)を用意し、このフィルム上に電離放射線硬化型樹脂(EXG40−9:商品名、大日精化製、屈折率1.50)を7μm/dryになるようにグラビアリバースコートにより塗工し、溶剤乾燥した。その乾燥した樹脂上に、表面に微細な凹凸を有するマットPETフィルム(X−45:商品名、東レ製、23μm)をラミネートし、その後、電子線を150KVで4Mrad照射して樹脂層を硬化した。その後、マットPETフィルムを剥離除去し、その樹脂表面の微細な凹凸面にSiOを蒸着して100nm膜厚のSiO膜を形成した。
得られた比較例のフィルムの全光線透過率は91.8%、ヘイズ値9.0であり、反射防止性は前記実施例に比較して低下している。またその表面鉛筆硬度は2Hであった。
[実施例11]
下記のサンプルを製造した。
サンプル 接触角 摩擦 屈折率 原 料
(°) 係数
(バッチ式プラズマCVDによる成膜)
SiOx /HC/TAC 1) 50 1.10 1.42 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC2) 104 0.44 1.44 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC 3) 155 0.40 1.60 HMDSO+O2

表面にアクリル‐メラミン樹脂により処理されている離型フィルム(麗光株式会社製MC−19)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製40−9)を固形分重量比2:1に混合したものを固形分30重量%にメチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希釈し、ワイヤーバーにて、乾燥膜厚約6μmになるように塗布し、乾燥EBキュアーにより硬化させた。さらに、接着剤(主剤:武田薬品製タケラックA−310と硬化剤武田薬品製タケネートA−3を6:1で混合)を乾燥時膜厚4μmで塗布し、次いで、前記塗工された離型フィルムと最終的に製品に用いる基材TACフィルムをラミネートして、40℃、2日間のエージングにより硬化した。その後、離型フィルムを剥がし、以下の条件にてSiOのCVDを行い、反射防止フィルムを得た。
バッチ式プラズマCVD装置 製膜条件1)
真空度 0.45torr
電力(周波数) 100W(13.56MHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=100:100:1
プロセスガス流量 He+モノマー、25sccm、O、25sccm
バッチ式プラズマCVD装置 製膜条件2)
真空度 0.45torr
電力(周波数) 100W(13.56MHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=100:100:4.6
プロセスガス流量 He+モノマー、25sccm、O、25sccm
バッチ式プラズマCVD装置 製膜条件3)
真空度 0.45torr
電力(周波数) 100W(13.56MHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=100:100:10
プロセスガス流量 He+モノマー、25sccm、O、25sccm
蒸着機 日電アネルバ他の部品を使った手作り装置
蒸着物質 モノマー;HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)+O
(HMDSO:Oをかえることによりサンプル1)、2)、3)を作製)
キャリアーガス He
基板温度 室温
蒸着濃度 1.3オングストローム/S
膜厚 1000オングストローム
[実施例12]
下記のサンプルを製造した。
サンプル 接触角 摩擦 屈折率 原 料
(°) 係数
(連続式プラズマCVDによる成膜)
SiOx /HC/TAC 1) 83 0.90 1.42 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC 2) 102 0.47 1.44 HMDSO+O2
SiOx /HC/TAC 3) 162 0.40 1.50 HMDSO+O2
(連続式プラズマCVDによる成膜、表面にコロナ処理を施す)
SiOx /HC/TAC 2) 58 0.92 1.44 HMDSO+O2

表面に微細な凹凸を有する厚さ25μmのマットPETフィルム(ユニチカ製、エンブレットPTH)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製40−9)を固形分重量比2:1に混合したものを固形分30重量%にメチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希釈し、ワイヤーバーにて、乾燥膜厚約6μmになるように塗布し、乾燥EBキュアーにより硬化させた。さらに、接着剤(主剤:武田薬品製タケラックA−310と硬化剤武田薬品製タケネートA−3を6:1で混合)を乾燥時膜厚4μmで塗布し、次いで、前記塗工された離型フィルムと最終的に製品に用いる基材TACフィルムをラミネートして、40℃、2日間のエージングにより硬化した。その後、マット化されたPETフィルムを剥がし、以下のようにモノマーであるHMDSO:Oの条件をかえてSiOのプラズマCVDを行い、反射防止フィルムを得た。また2)は、さらにコロナ放電処理で親水性を付与することにより、水との接触角が減少し、摩擦係数が増大した。
連続式プラズマCVD製膜条件1)
真空度 5×10-2 torr
電力(周波数) 30kW(40kHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=16:90:1
マシン速度 10m/min
連続式プラズマCVD製膜条件2)
真空度 5×10-2 torr
電力(周波数) 30kW(40kHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=16:16:1
マシン速度 10m/min
連続式プラズマCVD製膜条件3)
真空度 5×10-2 torr
電力(周波数) 30kW(40kHz)
プロセスガス組成比 He:O:モノマー=16:6:1
マシン速度 10m/min
[参考例1]
下記のサンプルを製造した。
サンプル 接触角(°) 摩擦係数 屈折率 原料
(バッチ式プラズマCVDによる成膜)
SiOx /HC/TAC 43.9 1.13 1.44 SiH

表面にアクリル‐メラミン樹脂により処理されている離型フィルム(麗光株式会社製MC−19)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製C−19)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製40−9)を固形分重量比2:1に混合したものを固形分30重量%にメチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希釈し、ワイヤーバーにて、乾燥膜厚約6μmになるように塗布し、乾燥EBキュアーにより硬化させた。さらに、接着剤(主剤:武田薬品製タケラックA−310と硬化剤武田薬品製タケネートA−3を6:1で混合)を乾燥時膜厚4μmで塗布し、次いで、前記塗工された離型フィルムと最終的に製品に用いる基材TACフィルムをラミネートして、40℃、2日間のエージングにより硬化した。その後、離型フィルムを剥がし、以下の条件にてSiOのCVDを行い、反射防止フィルムを得た。
バッチ式プラズマCVD装置 製膜条件
真空度 0.45torr
電力(周波数) 100W(13.56MHz)
プロセスガス組成比 He:O:SiH=100:100:4.6
プロセスガス流量 He+SiH、25sccm、O、25sccm
蒸着機 日電アネルバ他の部品を使った手作り装置
蒸着物質 SiH+O
キャリアーガス He
基板温度 室温
蒸着速度 1.3オングストローム/S
膜厚 1000オングストローム
[参考例2]
下記のサンプルを製造した。
サンプル 接触角(°) 摩擦係数 屈折率 原料
(真空蒸着法による成膜)
SiO2 /HC/TAC 32 1.50 1.44 SiO

表面にアクリル‐メラミン樹脂により処理されている離型フィルム(麗光株式会社製MC−19)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製40−9)を固形分重量比2:1に混合したものを固形分30重量%にメチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希釈し、ワイヤーバーにて、乾燥膜厚約6μmになるように塗布し、乾燥EBキュアーにより硬化させた。さらに、接着剤(主剤:武田薬品製タケラックA−310と硬化剤武田薬品製タケネートA−3を6:1で混合)を乾燥時膜厚4μmで塗布し、次いで、前記塗工された離型フィルムと最終的に製品に用いる基材TACフィルムをラミネートして、40℃、2日間のエージングにより硬化した。その後、離型フィルムを剥がし、SiOの蒸着を以下の条件にて行い、反射防止フィルムを得た。
蒸着機 シンクロン BMC−700
蒸着物質 SiO
真空度 4×10-2torr
基板温度 室温
EB加熱蒸着
加速電圧 8kV
EMISSION 40mA
蒸着速度 4オングストローム/S
膜厚 1000オングストローム
[参考例3]
下記のサンプルを製造した。
サンプル 接触角(°) 摩擦係数 屈折率 原料
(真空蒸着法による成膜)
SiO/HC/TAC 11.2 1.12 1.50 SiO
SiO /HC/TAC 12.3 1.89 1.50 SiO
表面にアクリル‐メラミン樹脂により処理されている離型フィルム(麗光株式会社製MC−19)上にZnOコーティング液(住友セメント製ZS−300)とハードコート樹脂(大日精化製40−9)を固形分重量比2:1に混合したものを固形分30重量%にメチルエチルケトン:トルエン=1:1溶液で希釈し、ワイヤーバーにて、乾燥膜厚約6μmになるように塗布し、乾燥EBキュアーにより硬化させた。さらに、接着剤(主剤:武田薬品製タケラックA−310と硬化剤武田薬品製タケネートA−3を6:1で混合)を乾燥時膜厚4μmで塗布し、次いで、前記塗工された離型フィルムと最終的に製品に用いる基材TACフィルムをラミネートして、40℃、2日間のエージングにより硬化した。その後、離型フィルムを剥がし、SiOの蒸着を以下の条件にて行い、反射防止フィルムを得た。
蒸着機 シンクロン BMC−700
蒸着物質 SiO
真空度 4×10-2torr
基板温度 室温
EB加熱蒸着
加速電圧 5kV
EMISSION 40mA
蒸着速度 4オングストローム/S
膜厚 1000オングストローム
発明の効果
本発明の光学機能性膜、光学機能性フィルムは、特定のSiO(x:1.50≦x≦4.00)膜によって構成されているので、防湿性と防汚性に優れ、膜の硬度が良好であり、樹脂層との密着性に優れ、SiO膜の形成時において透明基材フィルムに対する熱ダメージを他の気相法に比べて低減できる。
本発明の防眩性反射防止フィルムによれば、防眩層上に、該防眩層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層が形成されており、その防眩層の屈折率は、該防眩層が接している低屈折率層の面とは反対側の面に接している層の屈折率よりも高いものとしているので、防眩層とその防眩層が接している低屈折率層の面とは反対側の面に接している層との界面における光の反射を低減することができる。したがって、本発明の防眩性反射防止フィルムは防眩性を有すると同時に反射防止効果に優れる。
本発明の防眩性反射防止フィルムの防眩層に高屈折率微粒子として、機能性微粒子が用いられた場合、例えば、ZnO、TiOが用いられた場合、防眩性且つ反射防止性に加えて、各種機能、例えばUV遮蔽効果がさらに付与される。
屈折率1.49のトリアセチルセルロースフィルム上に屈折率1.46のSiO蒸着膜が形成された積層フィルムを示す。 屈折率1.49のTAC基材フィルム上に屈折率1.49のハードコート層、及びさらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜が形成された積層フィルムを示す。 屈折率1.49のトリアセチルセルロースフィルム上に屈折率1.55のハードコート層、及びさらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜が形成された積層フィルムを示す。 屈折率1.49のケン化トリアセチルセルロースフィルム上に、屈折率1.55のプライマー層を設け、さらにその上に高屈折率微粒子であるZnOを分散した樹脂からなる屈折率1.65のハードコート層を形成し、さらにその上に屈折率1.46のSiO蒸着膜が形成された積層フィルムを示す。 図1で示される積層フィルムの分光反射率曲線を示す。 図2で示される積層フィルムの分光反射率曲線を示す。 図3で示される積層フィルムの分光反射率曲線を示す。 波のピッチは、膜厚が薄くなると大きくなることを示す分光反射率曲線を示す。 図3の積層フィルムにおいて、HC層の屈折率をさらに1.65に高めた場合の分光反射率曲線を示す。 図4で示される積層フィルムの分光反射率曲線を示す。 TAC基材フィルム(屈折率1.49)/高屈折率ハードコート層(屈折率1.62/低屈折率層(屈折率1.46)からなる積層フィルムと他の積層フィルムとの分光反射率曲線の比較を示す。 実施例1で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例2で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例3で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例4で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例5で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例8で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 実施例9で得られた防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面図である。 本発明の防眩性反射防止フィルムがラミネートされてなる偏光板の層構成を示す。 本発明の防眩性反射防止フィルムがラミネートされている偏光板を使用した液晶表示装置の層構成を示す。 光の反射の概念図を示す。 光の透過の概念図を示す。
符号の説明
11 透明基材フィルム
12,17 高屈折率防眩層
13 低屈折率層
14 プライマー層
15 接着剤層
16 クリアハードコート層
18 マット材
19 TACフィルム
20 偏光素子
21 液晶表示素子

Claims (8)

  1. 透明基材フィルム上に、直接または他の層を介して、酸化ケイ素膜が形成されてなる光学機能性フィルムであって、
    前記酸化ケイ素膜が、水に対する表面の接触角が40〜180度のSiO膜(xは1.50≦x≦4.00)からなることを特徴とする、光学機能性フィルム。
  2. 前記SiO膜の動摩擦係数が、1以下である、請求項1に記載の光学機能性フィルム。
  3. 前記SiO膜が、CVD、好ましくはプラズマCVDによって形成されたものである、請求項1に記載の光学機能性フィルム。
  4. CVDを下記の条件下で行うことによって得られた、請求項3に記載の光学機能性フィルム。
    (a)有機シロキサンを原料ガスとする。
    (b)原料ガスを放電によりプラズマ化するプラズマCVDで行う。
    (c)無機蒸着源の非存在下でCVDを行う。
    (d)被蒸着基材フィルムを比較的低温度に維持する。
    (e)未分解の有機シロキサンが、生成されるSiO膜に残存するような成膜条件で行う。
  5. 水に対して40〜180度の接触角を有するSiO膜(xは1.50≦x≦4.00)からなることを特徴とする、光学機能性膜。
  6. 前記SiO膜の動摩擦係数が、1以下である、請求項5に記載の光学機能性膜。
  7. 前記SiO膜が、CVD、好ましくはプラズマCVDによって形成されたものである、請求項5に記載の光学機能性膜。
  8. CVDを下記の条件下で行うことによって得られた、請求項5に記載の光学機能性膜。
    (a)有機シロキサンを原料ガスとする。
    (b)原料ガスを放電によりプラズマ化するプラズマCVDで行う。
    (c)無機蒸着源の非存在下でCVDを行う。
    (d)被蒸着基材を比較的低温度に維持する。
    (e)未分解の有機シロキサンが、生成されるSiO膜に残存するような成膜条件で行う。
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