JP2004103335A - 面状光源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】管状光源を用い、液晶表示ユニットなどの被照明体を全体に亘り均一に照明できる面状光源装置を提供する。
【解決手段】面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面5aから入射させて出射面5bから前方へ出射させるための導光板5と、前記管状光源4の側方及び前記導光板5の裏面側に配設されたリフレクタ手段6a,6bと、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシート7と、前記出射面5bと前記プリズムシート7との間に介在する異方性光拡散フィルム8とを備えている。前記プリズムシートの前面には第2の光散乱フィルムを配設してもよく、複数のプリズムシートを用いてもよい。さらに、導光板にプリズム列を形成してもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面5aから入射させて出射面5bから前方へ出射させるための導光板5と、前記管状光源4の側方及び前記導光板5の裏面側に配設されたリフレクタ手段6a,6bと、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシート7と、前記出射面5bと前記プリズムシート7との間に介在する異方性光拡散フィルム8とを備えている。前記プリズムシートの前面には第2の光散乱フィルムを配設してもよく、複数のプリズムシートを用いてもよい。さらに、導光板にプリズム列を形成してもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置において、光拡散フィルムにより表示面を均一な正面輝度及び斜めから見た場合でも正面輝度に近い輝度で照明するのに有用な面状光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックライト型表示装置(液晶表示装置など)では、表示パネル(液晶表示モジュールなど)を裏面から照明するため、面状光源ユニット(又はバックライトユニット)が利用されている。この面状光源装置には、光を均一化し、かつ液晶表示装置の正面の輝度を上げるため、導光板、拡散シートやプリズムシート、輝度向上シート(反射型偏向板ほか)などが使用されている。
【0003】
例えば、図7に示される面状光源装置は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源71と、この管状光源に側面を隣接させて配設され、かつ管状光源からの光を表示パネルに導くための導光板74と、この導光板74の出射面(又は前面)に配設された拡散板73と、前記導光板の裏面側に配設された反射板75とで構成されている。なお、前記導光板74の厚みは管状光源71側が大きくなっており、管状光源71からの光は、導光板74で案内されつつ、反射板75で反射されて導光板74の出射面(前面)から出射し、前記拡散板73で拡散された後、この拡散板に積層された表示ユニット(図示せず)に入射する。そして、前記導光板の下部には、光を広く放射状に散乱させるための白色散乱体を点状に規則的に配列し、光散乱ドットを形成している。
【0004】
このような管状光源からの出射光の輝度分布は、一般に、均一でなく、管状光源の軸方向に対して直交する方向の輝度分布が不均一である。そのため、導光板を通じて出射面から光を出射させても、表示ユニットを全体に亘り均一に照明できず、表示品質を低下させる。また、表示面を斜めから見たときに急激に輝度が減少し、複数の人間が種々の角度から見る場合に適しない。さらに、作業者が長時間使用したとき、種々の角度から見る必要があるため、この輝度の変化は作業者の疲労を早める。
【0005】
この表示領域の正面輝度の均一性及び斜めから見た場合の輝度の均一性は、TCO(The Swedish Confederation of Professional Employees)の規格で明確に要望されている。水平方向の斜めから見た場合はTCO’99で、水平及び上下方向の斜めから見た場合はTCO’0Xで要求されている。
【0006】
さらに、蛍光管などの管状光源から紫外線が漏洩し、面状光源ユニットの構成部材(例えば、前記の拡散シート、プリズムシート、輝度向上シート(反射型偏光板ほか)、偏光板、位相差板、液晶物質やカラーフィルター)が長期に亘る使用で劣化する。そこで、特開平11−246704号公報には、紫外線防止剤を添加した偏光板保護フィルムを使用し、液晶セルを保護することが提案されている。しかし、配設部位によっては耐熱性の高いフィルムを用いる必要があるとともに、紫外線吸収剤が僅かに可視光を吸収するため、全体に亘り色相が変化する。
【0007】
紫外線の漏洩を防止するため、前記導光板の下部に形成した白色散乱体として、蛍光体(酸化マグネシウム、酸化チタンなど)を用い、蛍光管から微量の紫外線を可視光に転換することが提案されている。しかし、このような方法でも、バックライトユニットから紫外線が漏洩する。そのため、拡散シート、プリズムシート、輝度向上シート(反射型偏光板ほか)は、紫外線に長期間に亘り晒され、黄色味を帯びる。
【0008】
なお、特開2000−348515号公報には、管状光源と、導光板と、管状光源からの光を導光板の方向へ反射させるための反射手段と、前記導光板の取捨面側に順次配設された拡散シートとプリズムシートとを備えた面状光源装置が開示されている。しかし、この面状光源装置を用いても、表示ユニットを全体に亘り均一に照明できず、表示品質を低下させる。また、管状光源からの紫外線により面状光源装置の構成部材が黄変する。
【0009】
特開2001−31774号公報には、互いに屈折率の異なる樹脂で構成された海島構造の光散乱シートにおいて、島ポリマーの平均粒径が0.5〜10μm、海ポリマーと島ポリマーとの割合が70/30〜40/60(重量比)であり、シート厚みが5〜200μmである透過型光散乱シートが開示されている。この文献には、散乱光が散乱角度5〜50°の範囲内で指向して拡散することも開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、管状光源を用いても被照明体を全体に亘り均一に照明でき、斜め(水平方向又は水平及び上下方向)から見た場合でも輝度の変化の少ない面状光源装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、液晶表示ユニットと組み合わせても表示面を全体に亘り均一に照明でき、表示品質を向上できる面状光源装置を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、光源から漏洩する紫外線から構成部品を有効に保護できる面状光源装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、面状光源ユニットの導光板に対して特定の方向に配設された凹凸プリズム列と、異方性光拡散フィルムとを組み合わせると、液晶表示ユニットなどの被照明体を全体に亘り均一に照明でき、斜め(水平方向又は水平及び上下方向)から見た場合でも輝度の変化が少なく、表示品質を向上でき、光拡散性及び紫外線吸収性を備えたフィルムを用いると、低コストで紫外線の漏洩を確実かつ長期間に亘り防止できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の面状光源装置は、少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する異方性光拡散フィルムとを備えている。前記面状光源装置において、プリズムシートが、前記出射面と前記異方性光拡散フィルムとの間に介在されていてもよい。本発明の他の態様において、面状光源装置は、少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する第1の光拡散フィルムと、前記プリズムシートの前面に配置された第2の光散乱フィルムとを備えており、前記第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムのうち少なくとも一方のフィルムが異方性光拡散フィルムで構成されている。
【0015】
このような装置において、導光板の出射面および裏面のうち少なくとも一方の面に、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に延出する凹凸プリズム列を形成してもよい。また、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する凹凸プリズム列を一方の面に有する第2のプリズムシートを、前記導光板の出射面の前方側にさらに配置してもよい。さらに、導光板の表面粗度および凹凸プリズム列を形成する凹凸面の粗度のうち少なくとも一方の粗度を、前記光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。
【0016】
異方性拡散フィルムは、光散乱の異方性(又は異方的光散乱性)を有しているため、面状光源装置として、左右や上下方向の広い角度からみても表示面の輝度の均一性を実現できる。例えば、前記異方性光拡散フィルムは、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、Y軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、θ=4〜30°の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.01又はFy(θ)/Fx(θ)≧1.1の関係式を充足してもよい。このような異方的拡散フィルムでは、明確に左右又は上下方向の輝度の均一性を実現できる。
【0017】
さらに、面状光源装置の構成部材の劣化を抑制するため、異方性拡散フィルムを、光拡散層(1)と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層(2)とで構成し、少なくとも透明樹脂層(2)に紫外線吸収剤を含有させてもよい。
【0018】
前記異方性光散乱フィルムの配設方向に関し、導光板の側面方向に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を直交させて配設してもよい。さらに、液晶表示装置を面状光源装置で照明する場合、前記光拡散フィルムは、面状光源ユニットに対して種々の方向に配置してもよく、例えば、液晶表示面の左右方向(横方向)に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を一致又は沿わせて異方性光散乱フィルムを配設してもよい。このような方向に光拡散フィルムを配設すると、横方向の輝度の均一性を実現でき、TCO’99の斜め(水平方向の斜め)から見た場合の輝度の均一性に関する規格を満足させることができる。また、前述の導光板の側面方向に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を直交して配設した場合、TCO’0Xの斜め(但し、上下方向の斜め)から見た場合の輝度の均一性を満足させることができる。
【0019】
なお、本明細書において、「フィルム」とは厚さの如何を問わず、シートを含む意味に用いる。また、「斜めから見た場合の輝度の変化が少ない」とは、輝度の斜め角度θの変化をL(θ)とするとき、L(0度)/L(θ)が小さく、またL(θ1)/L(θ2)が小さい(θ1>θ2)ことをいう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の面状光源装置及び透過型液晶表示装置の一例を示す概略分解断面図である。
【0021】
図1において、前記表示装置1は、液晶が封入された液晶セルを備えた被照明体としての液晶表示ユニット(又は液晶表示パネル)2と、この表示ユニット(又はパネル)の背面側に配設され、前記表示ユニット2を照明するための面状光源ユニット3とで構成されている。
【0022】
前記面状光源ユニット3は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源4と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光部材(導光板)5とを備えている。この導光板5は、透光性プレート状部材で構成され、管状光源4の長手方向に沿って延び、かつ前記管状光源4からの光が入射する側面5aと、この側面から入射した光を内方に伝播させて前方に出射させる出射面5bとを有している。前記管状光源4の側方及び前記導光板5の裏面側には、光源からの光を前記導光板5の前記側面5a側及び出射面5b側に反射させるためのリフレクタ手段6が配設されており、このリフレクタ手段6は、この例では、前記管状光源4の側方に前記管状光源4のまわりを取り囲んで配設され、かつ光源からの光を導光部材5の側面5aに反射させるためのリフレクタ6aと、前記導光部材5の裏面側に配設され、かつ管状光源4からの光を前方方向(表示ユニット側)に反射して表示ユニット2に導くための反射部材又は反射シート6bとで構成されている。そのため、前記管状光源4からの光は導光部材5の側面から入射して平坦な出射面から出射し、表示ユニット2を照明する。
【0023】
前記導光板5の出射面5bと表示ユニット2との間には、凹部および凸部で構成され、かつ断面三角形状の微小プリズム状凹凸部の延びる方向が前記導光板5の側面5aとほぼ平行な凹凸プリズム列7aを一方の面に有するプリズムシート7が配設されており、このプリズムシートの凸部は導光板5の方向に向いている。なお、凹凸プリズム列7aは導光板5の側面又は管状光源4の軸方向に対して直交する方向に繰り返し形成されている。さらに、前記導光板5の出射面5bと前記プリズムシート7との間には、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成され、かつ連続相8a中に異方形状の分散相8bが分散した相分離構造(又は海島構造)を有する異方性光拡散フィルム8が配設されている。なお、分散相8bの長軸方向は前記管状光源4の軸方向(表示体の水平方向)に垂直に沿って延びている。
【0024】
このような面状光源装置3では、管状光源4からの光を導光板5で案内しつつ出射面5bから前方へ出射させ、拡散フィルム8で拡散しつつプリズムシート7で集光して表示ユニット2を照明できる。特に、異方的散乱特性を有する光拡散フィルム8は、主たる散乱方向がX軸方向ではなくY軸方向である(図2)。すなわち、前記管状光源4の軸方向又は導光板の側面方向(表示体の水平方向)に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向(異方性散乱シートの図2の座標のY軸方向)を一致させている。換言すれば、管状光源4の軸方向(表示体の水平方向)に対して異方性拡散フィルム8のX軸方向(分散相8bの長軸方向)を略平行に又は一致させて配設している。
【0025】
図2は光拡散の異方性を説明するための概念図である。図2に示すように、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、光拡散の異方性は、フィルムのX軸方向(分散相8bの長軸方向)の散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、Fy(θ)/Fx(θ)で表される。そして、分散相8bが長軸方向をX軸方向とする異方的形状をしているため、Fy(θ)>Fx(θ)となり、異方形状の分散相8bによりX軸方向よりもY軸方向の光散乱強度を向上できる。
【0026】
異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向とプリズムシートの凹凸列の方向(表示体の水平方向)を一致させて用いると、管状光源の軸方向(表示体の水平方向)の斜めから見た輝度分布Lh(θ)のθによる変化を少なくできる。このため、TCO’99の水平方向の輝度の角度による変化の要求値を満足するのに有効に寄与する。これは、管状光源の軸方向に凹凸の走るプリズムシート7により、光の配向特性を調整しつつ、多少は左右方向に集光しながら、前方へ集光し、正面及び左右方向の輝度を高めることができるためである。この配置のプリズムシート7は正面輝度を向上するとともに、左右方向の輝度の均一性に関わるTCO’99の規格を満足するのに適しているが、異方性光拡散フィルムを用いると、TCO’99の要求値を容易に満足するとともに、正面輝度を向上することができる。
【0027】
異方性光拡散フィルムは前記導光板の出射面と前記プリズムシートとの間に介在させてもよく、或いは前記プリズムシートの前記出射面とは反対側の表面に配置されてもよく(プリズムシートが前記射出面と異方性光拡散フィルムとの間に介在されていてもよく)、TCO’99の水平方向の輝度の角度による変化の要求値を満足するのに有効である。
【0028】
異方性光拡散フィルムを前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在させた場合は、プリズムシートの凸面と導光板の接触によるキズの発生を防止できる。
【0029】
プリズムシートを前記出射面と異方性光拡散フィルムとの間に介在させた場合は、プリズムシートの基板面の摩擦によるキズの発生を防止できる。
【0030】
異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向をプリズムシートの凹凸列の方向(表示体の水平方向)に垂直になるよう異方性散乱シートを配置すると、管状光源4からの出射光の輝度分布が不均一で、管状光源4の軸方向に直交する方向の輝度分布が不均一であっても、異方性光拡散フィルムにより均一化することができる。さらに、表示体の上下方向に相当する輝度分布Lv(θ)のθによる変化も同時に少なくできる。
【0031】
異方性光拡散フィルムは単独で用いてもよく、光散乱特性の異なるフィルム、例えば、等方性光散乱フィルム及び/又は異方性光拡散フィルムと組み合わせて使用してもよい。図3は本発明の面状光源装置の他の例を示す概略分解斜視図である。なお、前記図1に示す装置と共通する部材には同一又は関連する符号を付して説明する(以下、同じ)。
【0032】
この例において、面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面15aから入射させて出射面15bから前方へ出射させるための導光板15とを備えている。この導光板15の裏面又は背面には、導光板15の側面15aの方向(又は管状光源4の軸方向であるX軸方向)に対してほぼ直交する方向(Y軸方向)に延出する凹凸プリズム列15cが形成されている。この凹凸プリズム列15cは管状光源4の軸方向に沿って繰り返し形成されている。
【0033】
さらに、前記面状光源装置は、前記と同様のリフレクタ手段6と、前記側面15aとほぼ平行に凹凸プリズム列7aが延び、かつ凸部が導光板15に向けて配設されたプリズムシート7と、前記出射面15bと前記プリズムシート7との間に介在する第1の異方性光拡散フィルム18と、前記プリズムシート7の前面(プリズムシート7と表示ユニットとの間)に配置され、かつ前記第1の異方性光拡散フィルム18とは光散乱特性の異なる第2の異方性光散乱フィルム28とを備えている。なお、第1の異方性光拡散フィルム18の光散乱特性F1=Fy(θ)/Fx(θ)と、第2の異方性光散乱フィルム28の光散乱特性F2=Fy(θ)/Fx(θ)とは、F1>F2であり、F1−F2は、例えばθ=18度とした場合、F1−F2=1.1〜10程度に設定され、第2の異方性光散乱フィルム28は小さな異方的散乱性、例えば、F2=Fy(θ)/Fx(θ)=1.01〜2程度に設定されている。
【0034】
このような面状光源装置では、導光板15の凹凸プリズム列15cの反射・屈折作用により、管状光源4の軸方向(X軸方向)において、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整でき、第1の異方性拡散フィルム18により管状光源の軸方向に強く散乱させて輝度分布及び輝度の水平方向の角度による変化を少なくすることができ、プリズムシート7により、光を前方へ集光できる。さらに第2の異方性光拡散フィルム28により異方的散乱特性を調整し、表示ユニットを裏面から均一に照明でき、表示ユニットにおいて正面輝度と水平方向の斜めからの輝度との差を小さくできる。
【0035】
さらに、面状光源装置は単一のプリズムシートを備えていてもよく、複数のプリズムシートを備えていてもよい。図4は本発明の面状光源装置のさらに他の例を示す概略分解斜視図である。
【0036】
この面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面15aから入射させて出射面15bから前方へ出射させるための導光板15と、リフレクタ手段6とを備えている。この例の面状光源装置は、複数のプリズムシート、すなわち、導光板15側に配設された第1のプリズムシート17と、この第1のプリズムシートの前方側に配設された第2のプリズムシート27とを備えている。第1のプリズムシート17は、前記導光板15の側面15aとほぼ平行に凹凸プリズム列17aが延び、かつ凸部が導光板15に向けて配設されており、第2のプリズムシート27の一方の面には、導光板15の側面方向(管状光源4の軸方向)に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する凹凸プリズム列27aが形成されており、このプリズム列の凸部は導光板15とは反対側(表示ユニット側)を向いている。
【0037】
さらに、前記出射面15bと前記第1のプリズムシート17との間には第1の異方性光拡散フィルム38が介在し、第2のプリズムシート27の前方側には、前記第1の異方性光拡散フィルム38とは光散乱特性の異なる第2の異方性光散乱フィルム48が配設されている。
【0038】
このような面状光源装置では、第1の異方性光拡散フィルム38により、管状光源4からの光をX軸方向よりもY軸方向に強く散乱させて輝度分布を略均一化でき、第1のプリズムシート17により、管状光源4の軸方向に対して直交する方向の面内において、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整し、第2のプリズムシート27により、管状光源4の軸方向の面内において、管状光源4からの光の配向特性を調整できる。さらに、第2の異方性光拡散フィルム38により異方的散乱特性を調整し、略等方的な輝度分布の光で均一に照明でき、表示ユニットにおいて正面輝度と斜め方向からの輝度を向上できる。
【0039】
さらに、面状光源装置において、管状光源からの距離が遠ざかるにつれて輝度が低下するのを抑制するため、導光板の表面および凹凸プリズム列の凹凸面のうち少なくとも一方の面の粗度を、前記光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。図5は本発明の面状光源装置の別の例を示す概略分解斜視図である。
【0040】
この例では、図1に示す装置と同様に、面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光が側面25aから入射する導光板25と、リフレクタ手段6とを備えている。この導光板25の裏面には、前記管状光源4の軸方向に対して直交する方向に延びる凹凸プリズム列25cが形成されており、導光板25の出射面25bでは、管状光源4からの距離が大きくなるにつれて粗度が大きく形成されている。
【0041】
さらに、前記図1に示す装置と同様に、前記導光板25の出射面25b側には、凸部が導光板25の方向に向き、かつ凹凸プリズム列7aを一方の面に有するプリズムシート7と、異方性光拡散フィルム8とが順次配設されている。
【0042】
このような装置では、導光板25の凹凸プリズム列25cにより、管状光源4の軸方向に対して、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整しつつ、出射面25bの粗度により管状光源4から離れても光散乱性を向上させて輝度を向上できる。さらに、プリズムシート7により、管状光源4の軸方向に対して直交する方向において、管状光源4からの光の配向特性を調整できるとともに、異方性光拡散フィルム8により、光をX軸方向よりもY軸方向に強く散乱させて均一化して照明できる。そのため、管状光源4から離れてもX軸及びY軸の面内で輝度分布を均一化できる。
【0043】
なお、面状光源装置は少なくとも1つの管状光源を備えていればよく、複数の管状光源を備えている場合、導光板は、厚みが均一な平板状導光部材で構成してもよい。
【0044】
導光板に凹凸プリズム列を形成する場合、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する限り、凹凸プリズム列は、導光板の適所、例えば、導光板の出射面、裏面又はその双方の面に形成してもよい。
【0045】
異方性光散乱フィルムの向きは、光散乱特性に応じて選択できるが、等方的な輝度分布により照明するためには、導光板の側面方向(又は管状光源の軸方向,X軸方向)に対して、異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向(Y軸方向又は分散相の短軸方向)が直交している。なお、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向(Y軸方向又は分散相の短軸方向)は、導光板の側面方向(又は管状光源の軸方向,X軸方向)に対して、角度90°で直交する必要はなく、例えば、角度90°±15°程度の範囲内で交差していてもよい。
【0046】
また、異方性光拡散フィルムの向きは、TCO’99の水平方向の斜めの角度による輝度の減衰を少なくするには、導光板の側面方向に対して異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向を平行にするのが好ましい。また、TCO’0Xの表示体の上下方向の斜めの角度による輝度の減衰を少なくするには、導光板の側面方向に対して異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向を垂直にするのが好ましい。
【0047】
また、複数の光拡散フィルムを用いる場合、少なくとも1つの光拡散フィルムを異方性光拡散フィルムで構成すればよい。例えば、第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムのうち少なくとも一方のフィルムを、異方性光拡散フィルムで構成すればよく、等方性光拡散フィルムと異方性光拡散フィルムとの組合せ、複数の異方性光拡散フィルムの組合せで光拡散フィルムを構成してもよい。さらに、第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムの光散乱特性は異なっていてもよく、光散乱特性の異なる複数の光拡散フィルムの配置順序は特に制限されず、異方的光散乱特性Fy(θ)/Fx(θ)の大きな光拡散フィルムを表示ユニット側又は導光板側に配設してもよく、異方的光散乱特性Fy(θ)/Fx(θ)の小さな光拡散フィルム又は等方性光拡散フィルムを表示ユニット側又は導光板側に配設してもよい。さらに、複数の異方性光拡散フィルムを用いる場合、各光拡散フィルムの主たる散乱方向は、実質的に同じ方向であってもよく、互いに交差又は直交していてもよい。
【0048】
プリズムシートにおいては、プリズムの形状は特に制限されず、断面三角形状に限らず、台形状、正弦波状、三角波状などであってもよい。また、凸部及び凹部の傾斜角や密度、凹凸プリズム列の幅などにより、光の集光又は配向特性を調整してもよい。
【0049】
複数のプリズムシートを利用する場合、少なくとも1つのプリズムシートにおいて凹凸プリズム列が管状光源の軸方向に沿って形成されていればよい。また、第1のプリズムシートと第2のプリズムシートとの配置順序は特に制限されず、凹凸プリズム列が管状光源の軸方向に対して直交する方向に形成された第2のプリズムシートを導光板側に配設してもよく、前記のように第1のプリズムシートと第2の光拡散フィルムとの間や第2の光拡散フィルムの前方側に配設してもよい。
【0050】
導光板には必ずしも凹凸プリズム列を形成する必要はないものの、凹凸プリズム列は、導光板の出射面及び裏面のうち少なくとも一方の面に形成できる。
【0051】
さらに、導光板及び/又はプリズム列の凹凸面の表面粗度は実質的に一定であってもよく、前記のように、導光板及び/又はプリズム列の凹凸面の表面粗度は、光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。表面粗度は、慣用の粗面化処理、例えば、サンドペーパーなどの研磨手段による研磨度の調整、リソグラフィー技術などを利用して行うことができる。
【0052】
なお、プリズムシートの凹凸プリズム列が延びる方向は、管状光源の軸方向に対して完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で交差していてもよい。また、導光板のプリズム列は、管状光源の軸方向に対して直交する方向に対して、角度90°で直交する必要はなく、例えば、角度90°±15°程度の範囲内で交差していてもよい。
【0053】
前記導光板、異方性光拡散フィルム及びプリズムシートのうち隣接する部材は、必要により積層し一体化してもよい。例えば、前記異方性光拡散フィルムとプリズムシート、導光板と異方性光拡散フィルムとは互いに積層してもよい。
【0054】
異方性光拡散フィルムは、樹脂で構成された連続相と、この連続相中に分散した異方形状の分散相とで構成できる。そして、光拡散の異方性は散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、異方性光拡散フィルムは、異方的散乱性の大きなフィルムであってもよい。すなわち、散乱角θ=10〜30゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.1(好ましくは≧1.5)を充足する散乱光強度特性を有する異方的光散乱フィルムであってもよい。Fy(θ)/Fx(θ)の値は、通常、1.1〜500(例えば、10〜500)、好ましくは15〜500、さらに好ましくは50〜500(例えば、100〜400)程度である。
【0055】
このような異方性光拡散フィルムのY軸方向のFy(θ)は、かなり広角の散乱角θまで強度が強く、X軸方向のFx(θ)は小さい角度の散乱角θで強度が減衰するという特色を有する。このような光学特性を有する光拡散フィルムは、表示ユニットの表示面において左右方向又は上下方向の輝度を均一化できる。
【0056】
なお、異方性光拡散フィルムのX軸方向は、面状光源ユニットの管状光源の軸方向(X軸方向)に対して、完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で斜め方向に向けて配設してもよい。
【0057】
さらに、異方性光拡散フィルムは、異方的光散乱性の小さなフィルムであってもよい。このような異方性光拡散フィルムは、散乱角θ=10〜30゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.01(好ましくは≧1.05)を充足する散乱光強度特性を有してしてもよい。Fy(θ)/Fx(θ)の値は、通常、1.01〜50(例えば、1.1〜50)、好ましくは1.5〜50、さらに好ましくは2〜30(例えば、5〜20)程度である。
【0058】
互いに異方的散乱性の異なる複数の光拡散フィルムを組み合わせて用いると、輝度分布が偏った光源を用いても、均一な輝度で照明できる。なお、互いに異方的散乱性の異なる複数の光拡散フィルムにおいて、第1の光拡散フィルムの光散乱特性F1=Fy(θ)/Fx(θ)と第2の光拡散フィルムの光散乱特性F2=Fy(θ)/Fx(θ)との関係は、通常、F1−F2は、例えば、θ=18度とした場合、F1−F2=1.1〜300、好ましくは1.5〜250、さらに好ましくは2〜200(例えば、5〜50)程度の範囲から選択できる。
【0059】
前記面状光源装置において、管状光源から生成する紫外線が、構成部材を劣化させたり変色させる可能性がある。このような場合、紫外線吸収剤を含む異方性又は等方性光拡散フィルムを用いるのが有用である。特に、導光板の出射面に紫外線吸収性光拡散フィルムを配設すると、拡散フィルムだけでなく、導光板から表示ユニットに至る光路に位置する部材、例えば、プリズムシート(必要により輝度向上シート)、光拡散フィルムなどの黄変を防止でき、液晶表示装置の表示面の色相変化を抑制できる。また、一般的に液晶表示パネルの表面に貼付されている偏光板及びその保護フィルム(セルローストリアセテート層など)が劣化するのを抑制できる。そのため、表示品位を長期間に亘り安定化できる。さらに、単一のフィルムで高い光散乱性及び紫外線遮断性を付与できるので、紫外線吸収性フィルムや蛍光体で構成された白色散乱体を必要とせず、面状光源装置及び液晶表示装置の構造を簡素化できる。なお、光拡散フィルムは、面状光源ユニットと表示ユニットとの間に介在すればよく、前記面状光源ユニットの出射面に配設又は積層する必要はない。
【0060】
紫外線吸収性光拡散フィルムは、光拡散性と紫外線吸収性とを有していればよく、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。図6は積層構造を有する光拡散フィルムの他の例を示す概略断面図である。
【0061】
この例において、等方性又は異方性光拡散フィルム58は、光拡散層59と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層60とで構成された積層構造を有している。そして、紫外線吸収性を付与するため、この例では、少なくとも透明樹脂層60に紫外線吸収剤を含有させている。また、光拡散層59は、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成されており、連続相59a中に分散相粒子59bが分散した相分離構造(又は海島構造)を有している。
【0062】
このような積層構造の光拡散フィルムでは、透明樹脂層60を面状光源ユニットの導光板の出射面上に積層又は配設することにより、光拡散層59をも紫外線から有効に保護でき、紫外線の漏洩を確実かつ安定して防止できる。また、透明樹脂層60で光拡散層59を保護することにより、分散相粒子59bの脱落や付着を防止でき、フィルムの耐傷性や製造安定性を向上できるとともに、フィルムの強度や取扱い性を高めることができる。好ましい光拡散フィルムは、光拡散層の両面に透明樹脂層が積層された三層構造を有する紫外線吸収性光拡散フィルムである。
【0063】
なお、紫外線吸収性光拡散フィルムは光拡散性と紫外線吸収性とを備えていればよく、紫外線吸収剤を含有する形態に限らず、紫外線吸収剤を含む塗膜を形成してもよい。なお、光拡散フィルムは少なくとも光拡散層で構成でき、前記のように、光拡散層と透明層との積層体で構成してもよく、透明層としては、樹脂層に限らず種々の透明基材(例えば、ガラスなど)が使用できる。
【0064】
また、紫外線吸収剤は光拡散フィルムを構成する種々の層に含有させることができ、例えば、光散乱特性を有する層(光散乱層)及び透明樹脂層のうち少なくとも一方の層に含有させてもよく、双方の層に含有させてもよい。透明樹脂層を構成する樹脂には、密着性や機械的特性などを損なわない限り、前記光拡散層を構成する連続相及び/又は分散相の樹脂と同一又は異なる樹脂が使用できるが、通常、連続相の樹脂と同一又は共通(又は同系統)の樹脂が好ましく使用される。
【0065】
光拡散層は、連続相(樹脂連続相、マトリックス樹脂)と、この連続相中に分散した分散相(粒子状、繊維状分散相などの散乱因子)と、必要により紫外線吸収剤とで構成されており、前記連続相と分散相とは、互いに屈折率が異なるとともに、通常、互いに非相溶又は難相溶である。連続相および分散相は、通常、透明性物質で形成できる。
【0066】
光拡散フィルムは前記のように光拡散層単独で構成してもよく、光拡散層と樹脂層との積層フィルムで構成してもよい。光拡散フィルムの光拡散層を構成する樹脂(連続相及び/又は分散相を構成する樹脂)には、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂(フッ素系樹脂を含む)、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)など)、および熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが含まれる。好ましい樹脂は熱可塑性樹脂である。
【0067】
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)、プロピレン−メチルペンテン共重合体など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩(例えば、アイオノマー樹脂)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
【0068】
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有単量体の単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン、ポリビニリデンフルオライド、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)などが挙げられる。
【0069】
ビニルアルコール系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが含まれる。ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。
【0070】
ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメチルエーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
【0071】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0072】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル(特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂)、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
【0073】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0074】
ポリエステル系樹脂には、芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど)、液晶性ポリエステルなどが例示できる。コポリエステルとしては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性である。
【0075】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド(キシリレンジアミンアジペート(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなど)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0076】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0077】
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
【0078】
なお、前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)されていてもよい。また、前記樹脂成分で連続相マトリックスを構成し、このマトリックス樹脂に分散相成分をグラフト又はブロック共重合してもよい。このような重合体としては、例えば、ゴムブロック共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)など)、ゴムグラフトスチレン系樹脂(アクリロニトリブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など)などが例示できる。
【0079】
分散相(光散乱因子)は、マトリックス樹脂に対する無機又は有機の微粒子や繊維の添加、マトリックス樹脂に対する屈折率の異なる樹脂の添加及び混練などにより形成できる。無機又は有機微粒子としては、無機酸化物(シリカ、アルミナ、酸化チタンなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、硫酸塩(硫酸バリウムなど)、天然鉱物又はケイ酸塩(タルクなど)などの無機粒子;架橋ポリスチレンビーズなどの架橋スチレン系樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチルなどの架橋アクリル系樹脂、架橋グアナミン系樹脂などの架橋樹脂粒子などが例示できる。繊維状分散相には、有機繊維、無機繊維などが含まれる。有機繊維は、耐熱性有機繊維、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維などであってもよい。無機繊維としては、例えば、繊維状フィラー(ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維,ジルコニア繊維などの無機繊維)、薄片状フィラー(マイカなど)などが挙げられる。
【0080】
連続相又は分散相を構成する好ましい成分には、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが含まれる。また、前記連続相及び/又は分散相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよく、連続相及び分散相を非結晶性樹脂で構成してもよい。好ましい態様において、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることができる。すなわち、連続相及び分散相のうち一方の相(例えば、連続相)を結晶性樹脂で構成し、他方の相(例えば、分散相)を非結晶性樹脂で構成できる。
【0081】
結晶性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン系樹脂など)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステル、液晶性芳香族ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン46,ナイロン6,ナイロン66などの短鎖セグメントを有する脂肪族ポリエステルなど)などが例示できる。これらの結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。結晶性樹脂(結晶性ポリプロピレン系樹脂など)の結晶化度は、例えば、10〜80%程度、好ましくは20〜70%程度、さらに好ましくは30〜60%程度である。
【0082】
連続相を構成する樹脂としては、通常、透明性および熱安定性の高い樹脂が使用される。好ましい連続相を構成する樹脂は、溶融特性として流動性の高い結晶性樹脂である。
【0083】
非結晶性樹脂としては、例えば、ビニル系重合体(アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール系樹脂などのビニル系単量体の単独又は共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、ポリカーボネート系重合体、非晶性ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、ジオール成分及び/又は芳香族ジカルボン酸成分の一部が置換されたポリアルキレンアリレートコポリエステル、ポリアリレート樹脂など)、ポリアミド系樹脂(長鎖セグメントを有する脂肪族ポリアミド、非結晶性芳香族ポリアミド)、熱可塑性エラストマー(ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマーなど)などが例示できる。前記非晶性ポリエステル系樹脂において、ポリアルキレンアリレートコポリエステルとしては、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどが含まれる。非結晶性コポリエステル(例えば、エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=10/90〜60/40(モル%)、特に25/75〜50/50(モル%)程度のジオール成分を用いたポリエチレンテレフタレートコポリエステルや、フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンをジオール成分として用いたコポリエステルなど)は、屈折率が高く(例えば、1.57程度)、前記結晶性樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)とのコンパウンド化が比較的良好である。これらの非結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0084】
分散相を構成する樹脂としては、通常、透明性が高く、1軸延伸温度などの配向処理温度で容易に変形し、実用的な熱安定性を有する樹脂が使用される。分散相を構成する非結晶性樹脂のうち、非結晶性コポリエステル系樹脂およびポリスチレン系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂が好ましい。
【0085】
連続相と分散相との屈折率の差は、例えば、0.001以上(例えば、0.001〜0.3程度)、好ましくは0.01〜0.3程度、さらに好ましくは0.01〜0.1程度である。
【0086】
光拡散層において、連続相と分散相との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜30/70(例えば、95/5〜40/60)程度、好ましくは99/1〜50/50(例えば、95/5〜50/50)程度、さらに好ましくは99/1〜75/25程度の範囲から適宜選択できる。
【0087】
光散乱シートは、必要に応じて相溶化剤を含有してもよい。相溶化剤を用いると、連続相と分散相との混和性および親和性を高めることができ、フィルムを配向処理しても欠陥(ボイドなどの欠陥)が生成するのを防止でき、フィルムの透明性の低下を防止できる。さらに、連続相と分散相との接着性を高めることができ、フィルムを一軸延伸しても、延伸装置への分散相の付着を低減できる。
【0088】
相溶化剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、変性基(カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリニル基など)で変性された変性樹脂、ジエン又はゴム含有重合体[例えば、ジエン系単量体単独又は共重合性単量体(芳香族ビニル単量体など)との共重合により得られるジエン系共重合体(ランダム共重合体など);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのジエン系グラフト共重合体;スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素化(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)ブロック共重合体などのジエン系ブロック共重合体又はそれらの水素添加物など]、前記変性基(エポキシ基など)で変性したジエン又はゴム含有重合体などが例示できる。これらの相溶化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0089】
相溶化剤としては、通常、ポリマーブレンド系の構成樹脂と同じ又は共通する成分を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)、ポリマーブレンド系の構成樹脂に対して親和性を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)などが使用される。
【0090】
なお、変性は、変性基に対応する単量体(例えば、カルボキシル基変性では(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、酸無水物基変性では無水マレイン酸、エステル基変性では(メタ)アクリル系単量体、マレイミド基変性ではマレイミド系単量体、エポキシ変性では、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体)を共重合することにより行うことができる。また、エポキシ変性は、不飽和二重結合のエポキシ化により行ってもよい。
【0091】
好ましい相溶化剤は、未変性又は変性ジエン系共重合体、特に変性ブロック共重合体(例えば、共役ジエンブロック又はその部分水素添加ブロックと、芳香族ビニルブロックとで構成され、前記共役ジエンブロックの二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたエポキシ化されたスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体などのエポキシ化ジエン系ブロック共重合体又はエポキシ変性ジエン系ブロック共重合体)である。
【0092】
なお、相溶化剤(エポキシ化ブロック共重合体など)の屈折率は、分散相樹脂と略同程度(例えば、分散相樹脂との屈折率の差が、0〜0.01程度、好ましくは0〜0.005程度)であってもよい。
【0093】
相溶化剤の使用量は、例えば、樹脂組成物全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
【0094】
好ましい光拡散フィルムにおいて、連続相、分散相、及び相溶化剤の割合は、例えば、(1)連続相/分散相(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは98/2〜60/40程度、さらに好ましくは90/10〜60/40程度、特に80/20〜60/40程度、(2)分散相/相溶化剤(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは99/1〜70/30程度、さらに好ましくは98/2〜80/20程度である。
【0095】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤[N−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、[2−(2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール]など]、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤[2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−スルホベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなど)、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)など]、ベンゾエート系紫外線吸収剤[2,4−ジt−ブチルフェニル−3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど]、サリチル酸系紫外線吸収剤[サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなど]、トリアジン系紫外線吸収剤[2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールなど]などが例示できる。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
【0096】
紫外線吸収剤は、通常、樹脂に対して相溶性又は溶解性を有する化合物が使用される。光拡散層が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤は、通常、主に連続相に溶解又は微分散している。
【0097】
紫外線吸収剤の使用量は、例えば、紫外線吸収剤を含有する層又は連続相を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2.5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部程度である。
【0098】
なお、紫外線吸収剤は、種々の安定剤(酸化防止剤、熱安定剤)、特に、樹脂の劣化を防止する光安定剤と組み合わせて使用してもよい。安定剤には、紫外線安定剤(ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケル−ジブチルジチオカルバメートなど)、ヒンダードアミン系光安定剤([ビス(2,2,6,6−テトラメチル4−ピペリジル)セバケートなど])などが含まれる。
【0099】
さらに、光散乱性に悪影響を及ぼさない限り、紫外線吸収性微粒子(例えば、微粒子酸化亜鉛や酸化チタンなどの無機微粒子など)を、光散乱性や光透過性などを損なわない範囲(例えば、0.01〜1重量%程度の少量)で併用してもよい。
【0100】
さらに、光拡散フィルムは、慣用の添加剤、例えば、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤などを含有していてもよい。
【0101】
光拡散フィルムにおいて、分散相粒子は、長軸の平均長さLと短軸の平均長さWとの比(平均アスペクト比、L/W)が1である球状粒子であってもよい。また、異方性光拡散フィルムでは、アスペクト比が1より大きく、例えば、1.5〜1000(例えば、2〜1000)程度、好ましくは5〜1000程度、さらに好ましくは5〜500(例えば、20〜500)程度であり、通常、50〜500(特に70〜300)程度である。このような分散相粒子は、フットボール型形状(回転楕円状など)、繊維形状、直方形状などであってもよい。アスペクト比が大きい程、異方的な光散乱性を高めることができる。
【0102】
なお、分散相の長軸の平均長さLは、例えば、0.1〜200μm程度、好ましくは1〜150μm程度、特に2〜100μm程度(例えば、2〜50μm程度)であり、通常、10〜100μm(例えば、10〜50μm)程度である。また、分散相の短軸の平均長さWは、例えば、0.01〜10μm(例えば、0.1〜10μm)程度、好ましくは0.15〜5μm(例えば、0.5〜5μm)程度、さらに好ましくは0.2〜2μm(例えば、0.5〜2μm)程度である。
【0103】
分散相粒子の配向係数は、例えば、0.7以上(0.7〜1程度)、好ましくは0.8〜1程度、さらに好ましくは0.9〜1程度であってもよい。分散相粒子の配向係数が高い程、散乱光に高い異方性を付与できる。なお、配向係数は、下記式に基づいて算出できる。
【0104】
配向係数=(3<cos2θ>−1)/2
式中、θは粒子状分散相の長軸とフィルムのX軸との間の角度を示し(長軸とX軸とが平行の場合、θ=0゜)、<cos2θ>は各分散相粒子について算出したcos2θの平均を示し、下記式で表される。
【0105】
<cos2θ>=∫n(θ)・cos2θ・dθ
(式中、n(θ)は、全分散相粒子中の角度θを有する分散相粒子の割合(重率)を示す)
異方性光拡散フィルムは、拡散光の指向性を有していてもよい。すなわち、指向性を有するとは、異方的拡散光において散乱の強い方向のうち、散乱強度が極大を示す角度があることを意味する。拡散光が指向性を有している場合、拡散光強度Fを拡散角度θに対してプロットしたとき、プロット曲線が、特定の拡散角度θの範囲(θ=0°を除く角度域)で極大又はショルダー(特に、極大などの変曲点)を有している。
【0106】
光拡散フィルムの厚みは、3〜300μm程度、好ましくは5〜200μm(例えば、30〜200μm)程度、さらに好ましくは5〜100μm(例えば、50〜100μm)程度である。また、光散乱シートの全光線透過率は、例えば、85%以上(85〜100%)、好ましくは90〜100%程度、さらに好ましくは90〜95%程度である。
【0107】
積層構造の光拡散フィルムにおいて、透明樹脂層を構成する透明樹脂は前記例示の樹脂から選択できるが、耐熱性や耐ブロッキング性を高めるためには、耐熱性樹脂(ガラス転移温度又は融点が高い樹脂など)、結晶性樹脂などが好ましい。透明樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点は、前記連続相を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点と同程度であってもよく、例えば、130〜280℃程度、好ましくは140〜270℃程度、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
【0108】
透明樹脂層の厚みは、前記光散乱シートと同程度であってもよい。例えば、光散乱層の厚みが3〜300μm程度の場合、透明樹脂層の厚みは3〜150μm程度から選択できる。光拡散層と透明樹脂層との厚みの割合は、例えば、光拡散層/透明樹脂層=5/95〜99/1程度、好ましくは50/50〜99/1程度、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。積層フィルムの厚みは、例えば、6〜600μm程度、好ましくは10〜400μm程度、さらに好ましくは20〜250μm程度である。
【0109】
なお、光拡散フィルムの表面には、光学特性を妨げない範囲で、シリコーンオイルなどの離型剤を塗布してもよく、コロナ放電処理してもよい。さらに、異方性を有する有する光拡散フィルムには、フィルムのX軸方向(分散相の長軸方向)に延びる凹凸部を形成してもよい。このような凹凸部を形成すると、フィルムにより高い異方的光散乱性を付与できる。
【0110】
[光拡散フィルムの製造方法]
光拡散フィルムは、樹脂と光散乱成分と必要により紫外線吸収剤とを組み合わせることにより製造できる。例えば、基材フィルム上に、光散乱成分とバインダー樹脂と必要により紫外線吸収剤とで構成された組成物を塗布するコーティング法や、前記組成物をラミネートする押し出しラミネート法などで製造できる。また、単層構造の光拡散フィルムは、樹脂と光散乱成分と必要により紫外線吸収剤とを含む樹脂組成物を、キャスティング法、押出成形法などの慣用のフィルム成形法を利用して成形することにより製造できる。
【0111】
なお、積層構造を有する光拡散フィルムは、光拡散層に対応する成分で構成された樹脂組成物と、透明樹脂層に対応する成分で構成された樹脂組成物とを、共押し出し成形し、成膜する共押出成形法、予め作製した一方の層に対して他方の層を押し出しラミネートにより積層する方法、それぞれ作製した光拡散層と透明樹脂層とを積層するドライラミネート法などにより形成できる。
【0112】
異方性光拡散フィルムは、連続相を構成する樹脂中に分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)を分散して配向させることにより得ることができる。例えば、連続相を構成する樹脂と分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)と必要により紫外線吸収剤とを、必要に応じて慣用の方法(例えば、溶融ブレンド法、タンブラー法など)でブレンドし、溶融混合し、Tダイやリングダイなどから押出してフィルム成形することにより分散相を分散できる。
【0113】
また、分散相の配向処理は、例えば、(1)押出成形シートをドローしながら製膜する方法、(2)押出成形シートを一軸延伸する方法、(3)前記(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法などにより行うことができる。なお、(4)前記各成分を溶液ブレンドし、流延法などにより成膜することによっても異方性を有する光拡散フィルムを形成できる。
【0114】
溶融温度は、樹脂成分(連続相樹脂、分散相樹脂)の融点以上の温度、例えば、150〜290℃、好ましくは200〜260℃程度である。ドロー比(ドロー倍率)は、例えば、2〜40倍程度、好ましくは5〜30倍程度、さらに好ましくは7〜20倍程度である。延伸倍率は、例えば、1.1〜50倍程度(例えば、3〜50倍程度)、好ましくは1.5〜30倍程度(例えば、5〜30倍程度)である。なお、ドローと延伸とを組み合わせる場合には、ドロー比は、例えば、2〜10倍程度、好ましくは2〜5倍程度であってもよく、延伸倍率は、例えば、1.1〜20倍程度(例えば、2〜20倍程度)、好ましくは1.5〜10倍程度(例えば、3〜10倍程度)であってもよい。
【0115】
分散相のアスペクト比を容易に高める方法には、フィルム(例えば、製膜し、冷却したフィルム)を一軸延伸する方法、例えば、固化したフィルムの両端を引っ張る方法(引っ張り延伸)、互いに対向する一対のロール(2本ロール)を複数系列(例えば、2系列)並列し、それぞれの2本ロールにフィルムを挿入すると共に、繰り入れ側の2本ロールと繰出し側の2本ロールとの間にフィルムを張り渡し、繰出し側の2本ロールのフィルムの送り速度を繰り入れ側の2本ロールより速くすることにより延伸する方法(ロール間延伸)、互いに対向する一対のロールの間にフィルムを挿入し、ロール圧でフィルムを圧延する方法(ロール圧延)などが挙げられる。
【0116】
好ましい一軸延伸方法には、フィルムの量産化が容易な方法、例えば、ロール間延伸、ロール圧延などが含まれ、特にロール圧延によれば、非結晶性樹脂のみならず、結晶性樹脂であっても容易に延伸できる。すなわち、通常、樹脂シートを一軸延伸すると、局部的にフィルムの厚みと幅が減少するネックインが発生し易いのに対し、ロール圧延によればネックインを防止でき、フィルムの延伸工程を安定化できる。そして、延伸の前後でフィルム幅の減少が少なく、かつ幅方向の厚みを均一にできるため、フィルムの幅方向において光散乱特性を均一化でき、製品の品質を維持しやすく、フィルムの使用率(歩留まり)も向上できる。さらに、延伸倍率を幅広く設定できる。なお、ロール圧延の場合、延伸の前後でフィルム幅を維持できるため、フィルム厚みの減少率の逆数と延伸倍率とが略等しくなる。ロール圧延の圧力は、例えば、1×104〜1×107N/m(約0.01〜10t/cm)程度、好ましくは1×105〜1×107N/m(約0.1〜10t/cm)程度である。ロール圧延は、例えば、厚み減少率(圧下率)0.9〜0.1程度、好ましくは0.77〜0.2程度、さらに好ましくは0.67〜0.33程度で行うことができる。
【0117】
延伸温度は、分散相樹脂の融点又はガラス転移温度以上であってもよい。また、連続相を構成する樹脂として、分散相樹脂よりもガラス転移温度又は融点が高い樹脂(例えば、5〜200℃程度、好ましくは5〜100℃程度高い樹脂)を用い、分散相樹脂を融解又は軟化しながら一軸延伸すると、連続相樹脂に比べて分散相樹脂が非常に変形し易いため、分散相粒子のアスペクト比を大きくでき、光散乱の異方性が特に大きいフィルムが得られる。また、ロール圧延の温度は、連続相樹脂が結晶性樹脂の場合、樹脂の融点以下であって融点近傍の温度であってもよく、連続相樹脂が非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度以下であってガラス転移温度近傍の温度であってもよい。
【0118】
[面状光源装置の用途]
本発明の面状光源装置は、表示装置(特に液晶表示装置)を照明するために有用であり、表示ユニット(液晶表示ユニット又は液晶表示装置)と組み合わせるのが好ましい。この表示装置において、異方性光拡散フィルムは、種々の方向に向けて配置してもよいが、表示面(液晶表示面)の左右方向をY軸とするとき、表示面のY軸に対して、前記異方性光散乱フィルムのY軸(主たる光散乱方向)を沿わせて、又は一致させて配設するのが好ましい。この配置が、TCO’99の水平方向の正面輝度と斜めから見たときの輝度の差を小さくし、この規格を充足するのに有効である。なお、異方性光拡散フィルムのY軸方向は、表示ユニットの左右方向(Y軸方向)に対して、完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で斜め方向に向けて配設してもよい。このような方向に異方性光拡散フィルムを配設すると、輝度分布を均一化し、表示面に対する輝度の角度依存性を低減できるため、左右方向(横方向)の輝度を均一化でき、TCOなどの規格を充足できる。
【0119】
【発明の効果】
本発明では、特定の光拡散フィルムとプリズムシートとを組み合わせているため、管状光源を用いても、被照明体を全体に亘り均一に照明できる。特に、液晶表示ユニットと組み合わせても、面状光源装置により表示面を全体に亘り均一に照明でき、表示品質を向上できる。さらに、紫外線吸収剤を有する光拡散フィルムを用いると、光源から漏洩する紫外線から構成部品を有効に保護できる。
【0120】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0121】
実施例1
(異方性光拡散フィルムの作製)
連続相樹脂として結晶性ポリプロピレン系樹脂PP(グランドポリマー(株)製F133,屈折率1.503)90重量部と、分散相樹脂としてポリスチレン系樹脂GPPS(汎用ポリスチレン系樹脂、ダイセル化学工業(株)製 GPPSHRM10N、屈折率1.589)9.5重量部、相溶化剤としてエポキシ化ジエン系ブロック共重合体樹脂(ダイセル化学工業(株)製、エポフレンドAT202;スチレン/ブタジエン=70/30(重量比)、エポキシ当量750、屈折率1.57)0.5重量部を用いて、光拡散層成分とした。前記結晶性ポリプロピレン系樹脂PPを用いて、透明層成分とした。
【0122】
光拡散層成分と透明層成分をそれぞれ70℃で約4時間乾燥し、バンバリーミキサーで混練し、光拡散層成分と、表面層として透明層成分とを多層押出機で約220℃で溶融し、Tダイからドロー比約3倍で、表面温度60℃の冷却ドラムに対して押出し、中心層(光拡散層)60μmの両面に表面層(透明層)45μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み150μm)を作製した。
【0123】
透過型顕微鏡(TEM)により中心の光拡散層を観察したところ、前記中心層中に分散相がラグビーボール状の形状(アスペクト比約10、平均粒径約5μm)で分散していた。このシートの光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)≒10で比較的大きな値を示した。
【0124】
(面状光源装置の作製)
このようにして得られた二種三層の異方性光拡散フィルムを用いて、面状光源装置を作製した。図8は実施例1における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。
【0125】
管状光源4とリフレクタ6aが導光板15の側面15aにあり、導光板15の出射面15b側に異方性光拡散フィルム88、出射面15bの反対側に反射シート6bを配置し、異方性光拡散フィルムの上にプリズムシート7を配置している。
【0126】
導光板の出射面15bの反対側は楔形状であり、楔の凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に一致している。即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直である。
【0127】
異方性光拡散フィルム88の主たる散乱方向も管状光源4の長さ方向に一致している。
【0128】
プリズムシート7のプリズム面は異方性光拡散フィルム88側(導光板15側)に面するよう配置され、プリズムの凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に対し垂直に配置されている。
【0129】
このような面状光源装置において、管状光源4より発せられた光は、直接又はリフレクタから反射され導光板15に入射する。導光板15に入射した光は導光板15の出射面側表面と、その反対側表面の間で全反射を繰り返しながら管状光源4の反対側まで伝播する。光はその過程の中で導光板15の出射面15bの表面で、光が出射面15bの表面の法線となす角が臨界角以下となることにより、出射面15bの表面から出射される。
【0130】
この出射された光は、導光板15の出射面の反対側が楔形状であるため(楔の凹凸方向は管状光源4の長さ方向に一致し、即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直)、管状光源の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0131】
このような出射特性の導光板15の上に異方性光拡散フィルム88を用いると、この微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性を滑らかにすることができ、かつ輝度、特に正面輝度の低下が少ない。さらに、この異方性光拡散フィルム88の上に、凹凸面を異方性光拡散フィルム88側にして、プリズムシート7を用いると、適度に集光され、被照明体全体にわたり均一に照明できる。
【0132】
比較例1
図9は、比較例1における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。管状光源4とリフレクタ6aが導光板15の側面15aにあり、導光板15の出射面15b側に等方性光拡散フィルム98、出射面の反対側に反射シート6bを配置し、等方性光拡散フィルム98の上にプリズムシート7を配置している。
【0133】
導光板15の出射面の反対側は楔形状であり、楔の凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に一致している。即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直である。
【0134】
プリズムシート7のプリズム面は、等方性光拡散フィルム98側(導光板15側)に面するよう配置され、プリズムの凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に対し垂直に配置されている。
【0135】
管状光源4から発せられた光の動向は、導光板15から光が出射するまでは、実施例1と同じである。導光板15から出射された光は、実施例1と同様に、管状光源4の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0136】
等方性光拡散フィルム98を用いると、不均一度を低下させるためには、拡散度の高い等方性光拡散フィルムを用いる必要があり、また、正面輝度も低下する。
【0137】
実施例2
図10は実施例2における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。この面状光源装置は、異方性光拡散フィルム88とプリズムシート7の位置が逆である以外は実施例1と同じ構成である。
【0138】
管状光源4から発せられた光の動向は、導光板15から光が出射するまでは、実施例1と同じである。
【0139】
導光板15から出射された光は、実施例1と同様に、管状光源の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0140】
そして、プリズムシート7で集光された光は、実施例1において異方性光拡散フィルムを用いたほど高くはないが、管状光源4の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。さらに、前記出射特性の光が、プリズムシート7の上に配置された異方性光拡散フィルム88を通過することにより、実施例1と同様に、被照明体全体に亘り均一に照明できる面状光源装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の面状光源装置及び透過型液晶表示装置の一例を示す概略分解断面図である。
【図2】図2は光拡散の異方性を説明するための概念図である。
【図3】図3は本発明の面状光源装置の他の例を示す概略分解斜視図である。
【図4】図4は本発明の面状光源装置のさらに他の例を示す概略分解斜視図である。
【図5】図5は本発明の面状光源装置の別の例を示す概略分解斜視図である。
【図6】図6は積層構造を有する光拡散フィルムの他の例を示す概略断面図である。
【図7】図7は従来の透過型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図8】図8は実施例1における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【図9】図9は比較例1における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【図10】図10は実施例2における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【符号の説明】
1…表示装置
2…液晶表示ユニット
3…面状光源ユニット(面状光源装置)
4…管状光源
5,15,25…導光板(導光部材)
5a,15a,25a…側面
5b,15b,25b…出射面
15c,25c…凹凸プリズム列
6a…リフレクタ
6b…反射部材又は反射層
7,17,27…プリズムシート
7a,17a,27a…プリズム列
8,18,28,38,48…異方性光拡散フィルム
8a…連続相
8b…分散相
59…光拡散層
59a…連続相
59b…分散相
60…透明樹脂層
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置において、光拡散フィルムにより表示面を均一な正面輝度及び斜めから見た場合でも正面輝度に近い輝度で照明するのに有用な面状光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックライト型表示装置(液晶表示装置など)では、表示パネル(液晶表示モジュールなど)を裏面から照明するため、面状光源ユニット(又はバックライトユニット)が利用されている。この面状光源装置には、光を均一化し、かつ液晶表示装置の正面の輝度を上げるため、導光板、拡散シートやプリズムシート、輝度向上シート(反射型偏向板ほか)などが使用されている。
【0003】
例えば、図7に示される面状光源装置は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源71と、この管状光源に側面を隣接させて配設され、かつ管状光源からの光を表示パネルに導くための導光板74と、この導光板74の出射面(又は前面)に配設された拡散板73と、前記導光板の裏面側に配設された反射板75とで構成されている。なお、前記導光板74の厚みは管状光源71側が大きくなっており、管状光源71からの光は、導光板74で案内されつつ、反射板75で反射されて導光板74の出射面(前面)から出射し、前記拡散板73で拡散された後、この拡散板に積層された表示ユニット(図示せず)に入射する。そして、前記導光板の下部には、光を広く放射状に散乱させるための白色散乱体を点状に規則的に配列し、光散乱ドットを形成している。
【0004】
このような管状光源からの出射光の輝度分布は、一般に、均一でなく、管状光源の軸方向に対して直交する方向の輝度分布が不均一である。そのため、導光板を通じて出射面から光を出射させても、表示ユニットを全体に亘り均一に照明できず、表示品質を低下させる。また、表示面を斜めから見たときに急激に輝度が減少し、複数の人間が種々の角度から見る場合に適しない。さらに、作業者が長時間使用したとき、種々の角度から見る必要があるため、この輝度の変化は作業者の疲労を早める。
【0005】
この表示領域の正面輝度の均一性及び斜めから見た場合の輝度の均一性は、TCO(The Swedish Confederation of Professional Employees)の規格で明確に要望されている。水平方向の斜めから見た場合はTCO’99で、水平及び上下方向の斜めから見た場合はTCO’0Xで要求されている。
【0006】
さらに、蛍光管などの管状光源から紫外線が漏洩し、面状光源ユニットの構成部材(例えば、前記の拡散シート、プリズムシート、輝度向上シート(反射型偏光板ほか)、偏光板、位相差板、液晶物質やカラーフィルター)が長期に亘る使用で劣化する。そこで、特開平11−246704号公報には、紫外線防止剤を添加した偏光板保護フィルムを使用し、液晶セルを保護することが提案されている。しかし、配設部位によっては耐熱性の高いフィルムを用いる必要があるとともに、紫外線吸収剤が僅かに可視光を吸収するため、全体に亘り色相が変化する。
【0007】
紫外線の漏洩を防止するため、前記導光板の下部に形成した白色散乱体として、蛍光体(酸化マグネシウム、酸化チタンなど)を用い、蛍光管から微量の紫外線を可視光に転換することが提案されている。しかし、このような方法でも、バックライトユニットから紫外線が漏洩する。そのため、拡散シート、プリズムシート、輝度向上シート(反射型偏光板ほか)は、紫外線に長期間に亘り晒され、黄色味を帯びる。
【0008】
なお、特開2000−348515号公報には、管状光源と、導光板と、管状光源からの光を導光板の方向へ反射させるための反射手段と、前記導光板の取捨面側に順次配設された拡散シートとプリズムシートとを備えた面状光源装置が開示されている。しかし、この面状光源装置を用いても、表示ユニットを全体に亘り均一に照明できず、表示品質を低下させる。また、管状光源からの紫外線により面状光源装置の構成部材が黄変する。
【0009】
特開2001−31774号公報には、互いに屈折率の異なる樹脂で構成された海島構造の光散乱シートにおいて、島ポリマーの平均粒径が0.5〜10μm、海ポリマーと島ポリマーとの割合が70/30〜40/60(重量比)であり、シート厚みが5〜200μmである透過型光散乱シートが開示されている。この文献には、散乱光が散乱角度5〜50°の範囲内で指向して拡散することも開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、管状光源を用いても被照明体を全体に亘り均一に照明でき、斜め(水平方向又は水平及び上下方向)から見た場合でも輝度の変化の少ない面状光源装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、液晶表示ユニットと組み合わせても表示面を全体に亘り均一に照明でき、表示品質を向上できる面状光源装置を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、光源から漏洩する紫外線から構成部品を有効に保護できる面状光源装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、面状光源ユニットの導光板に対して特定の方向に配設された凹凸プリズム列と、異方性光拡散フィルムとを組み合わせると、液晶表示ユニットなどの被照明体を全体に亘り均一に照明でき、斜め(水平方向又は水平及び上下方向)から見た場合でも輝度の変化が少なく、表示品質を向上でき、光拡散性及び紫外線吸収性を備えたフィルムを用いると、低コストで紫外線の漏洩を確実かつ長期間に亘り防止できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の面状光源装置は、少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する異方性光拡散フィルムとを備えている。前記面状光源装置において、プリズムシートが、前記出射面と前記異方性光拡散フィルムとの間に介在されていてもよい。本発明の他の態様において、面状光源装置は、少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する第1の光拡散フィルムと、前記プリズムシートの前面に配置された第2の光散乱フィルムとを備えており、前記第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムのうち少なくとも一方のフィルムが異方性光拡散フィルムで構成されている。
【0015】
このような装置において、導光板の出射面および裏面のうち少なくとも一方の面に、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に延出する凹凸プリズム列を形成してもよい。また、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する凹凸プリズム列を一方の面に有する第2のプリズムシートを、前記導光板の出射面の前方側にさらに配置してもよい。さらに、導光板の表面粗度および凹凸プリズム列を形成する凹凸面の粗度のうち少なくとも一方の粗度を、前記光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。
【0016】
異方性拡散フィルムは、光散乱の異方性(又は異方的光散乱性)を有しているため、面状光源装置として、左右や上下方向の広い角度からみても表示面の輝度の均一性を実現できる。例えば、前記異方性光拡散フィルムは、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、Y軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、θ=4〜30°の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.01又はFy(θ)/Fx(θ)≧1.1の関係式を充足してもよい。このような異方的拡散フィルムでは、明確に左右又は上下方向の輝度の均一性を実現できる。
【0017】
さらに、面状光源装置の構成部材の劣化を抑制するため、異方性拡散フィルムを、光拡散層(1)と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層(2)とで構成し、少なくとも透明樹脂層(2)に紫外線吸収剤を含有させてもよい。
【0018】
前記異方性光散乱フィルムの配設方向に関し、導光板の側面方向に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を直交させて配設してもよい。さらに、液晶表示装置を面状光源装置で照明する場合、前記光拡散フィルムは、面状光源ユニットに対して種々の方向に配置してもよく、例えば、液晶表示面の左右方向(横方向)に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を一致又は沿わせて異方性光散乱フィルムを配設してもよい。このような方向に光拡散フィルムを配設すると、横方向の輝度の均一性を実現でき、TCO’99の斜め(水平方向の斜め)から見た場合の輝度の均一性に関する規格を満足させることができる。また、前述の導光板の側面方向に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向を直交して配設した場合、TCO’0Xの斜め(但し、上下方向の斜め)から見た場合の輝度の均一性を満足させることができる。
【0019】
なお、本明細書において、「フィルム」とは厚さの如何を問わず、シートを含む意味に用いる。また、「斜めから見た場合の輝度の変化が少ない」とは、輝度の斜め角度θの変化をL(θ)とするとき、L(0度)/L(θ)が小さく、またL(θ1)/L(θ2)が小さい(θ1>θ2)ことをいう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の面状光源装置及び透過型液晶表示装置の一例を示す概略分解断面図である。
【0021】
図1において、前記表示装置1は、液晶が封入された液晶セルを備えた被照明体としての液晶表示ユニット(又は液晶表示パネル)2と、この表示ユニット(又はパネル)の背面側に配設され、前記表示ユニット2を照明するための面状光源ユニット3とで構成されている。
【0022】
前記面状光源ユニット3は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源4と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光部材(導光板)5とを備えている。この導光板5は、透光性プレート状部材で構成され、管状光源4の長手方向に沿って延び、かつ前記管状光源4からの光が入射する側面5aと、この側面から入射した光を内方に伝播させて前方に出射させる出射面5bとを有している。前記管状光源4の側方及び前記導光板5の裏面側には、光源からの光を前記導光板5の前記側面5a側及び出射面5b側に反射させるためのリフレクタ手段6が配設されており、このリフレクタ手段6は、この例では、前記管状光源4の側方に前記管状光源4のまわりを取り囲んで配設され、かつ光源からの光を導光部材5の側面5aに反射させるためのリフレクタ6aと、前記導光部材5の裏面側に配設され、かつ管状光源4からの光を前方方向(表示ユニット側)に反射して表示ユニット2に導くための反射部材又は反射シート6bとで構成されている。そのため、前記管状光源4からの光は導光部材5の側面から入射して平坦な出射面から出射し、表示ユニット2を照明する。
【0023】
前記導光板5の出射面5bと表示ユニット2との間には、凹部および凸部で構成され、かつ断面三角形状の微小プリズム状凹凸部の延びる方向が前記導光板5の側面5aとほぼ平行な凹凸プリズム列7aを一方の面に有するプリズムシート7が配設されており、このプリズムシートの凸部は導光板5の方向に向いている。なお、凹凸プリズム列7aは導光板5の側面又は管状光源4の軸方向に対して直交する方向に繰り返し形成されている。さらに、前記導光板5の出射面5bと前記プリズムシート7との間には、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成され、かつ連続相8a中に異方形状の分散相8bが分散した相分離構造(又は海島構造)を有する異方性光拡散フィルム8が配設されている。なお、分散相8bの長軸方向は前記管状光源4の軸方向(表示体の水平方向)に垂直に沿って延びている。
【0024】
このような面状光源装置3では、管状光源4からの光を導光板5で案内しつつ出射面5bから前方へ出射させ、拡散フィルム8で拡散しつつプリズムシート7で集光して表示ユニット2を照明できる。特に、異方的散乱特性を有する光拡散フィルム8は、主たる散乱方向がX軸方向ではなくY軸方向である(図2)。すなわち、前記管状光源4の軸方向又は導光板の側面方向(表示体の水平方向)に対して、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向(異方性散乱シートの図2の座標のY軸方向)を一致させている。換言すれば、管状光源4の軸方向(表示体の水平方向)に対して異方性拡散フィルム8のX軸方向(分散相8bの長軸方向)を略平行に又は一致させて配設している。
【0025】
図2は光拡散の異方性を説明するための概念図である。図2に示すように、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、光拡散の異方性は、フィルムのX軸方向(分散相8bの長軸方向)の散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、Fy(θ)/Fx(θ)で表される。そして、分散相8bが長軸方向をX軸方向とする異方的形状をしているため、Fy(θ)>Fx(θ)となり、異方形状の分散相8bによりX軸方向よりもY軸方向の光散乱強度を向上できる。
【0026】
異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向とプリズムシートの凹凸列の方向(表示体の水平方向)を一致させて用いると、管状光源の軸方向(表示体の水平方向)の斜めから見た輝度分布Lh(θ)のθによる変化を少なくできる。このため、TCO’99の水平方向の輝度の角度による変化の要求値を満足するのに有効に寄与する。これは、管状光源の軸方向に凹凸の走るプリズムシート7により、光の配向特性を調整しつつ、多少は左右方向に集光しながら、前方へ集光し、正面及び左右方向の輝度を高めることができるためである。この配置のプリズムシート7は正面輝度を向上するとともに、左右方向の輝度の均一性に関わるTCO’99の規格を満足するのに適しているが、異方性光拡散フィルムを用いると、TCO’99の要求値を容易に満足するとともに、正面輝度を向上することができる。
【0027】
異方性光拡散フィルムは前記導光板の出射面と前記プリズムシートとの間に介在させてもよく、或いは前記プリズムシートの前記出射面とは反対側の表面に配置されてもよく(プリズムシートが前記射出面と異方性光拡散フィルムとの間に介在されていてもよく)、TCO’99の水平方向の輝度の角度による変化の要求値を満足するのに有効である。
【0028】
異方性光拡散フィルムを前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在させた場合は、プリズムシートの凸面と導光板の接触によるキズの発生を防止できる。
【0029】
プリズムシートを前記出射面と異方性光拡散フィルムとの間に介在させた場合は、プリズムシートの基板面の摩擦によるキズの発生を防止できる。
【0030】
異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向をプリズムシートの凹凸列の方向(表示体の水平方向)に垂直になるよう異方性散乱シートを配置すると、管状光源4からの出射光の輝度分布が不均一で、管状光源4の軸方向に直交する方向の輝度分布が不均一であっても、異方性光拡散フィルムにより均一化することができる。さらに、表示体の上下方向に相当する輝度分布Lv(θ)のθによる変化も同時に少なくできる。
【0031】
異方性光拡散フィルムは単独で用いてもよく、光散乱特性の異なるフィルム、例えば、等方性光散乱フィルム及び/又は異方性光拡散フィルムと組み合わせて使用してもよい。図3は本発明の面状光源装置の他の例を示す概略分解斜視図である。なお、前記図1に示す装置と共通する部材には同一又は関連する符号を付して説明する(以下、同じ)。
【0032】
この例において、面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面15aから入射させて出射面15bから前方へ出射させるための導光板15とを備えている。この導光板15の裏面又は背面には、導光板15の側面15aの方向(又は管状光源4の軸方向であるX軸方向)に対してほぼ直交する方向(Y軸方向)に延出する凹凸プリズム列15cが形成されている。この凹凸プリズム列15cは管状光源4の軸方向に沿って繰り返し形成されている。
【0033】
さらに、前記面状光源装置は、前記と同様のリフレクタ手段6と、前記側面15aとほぼ平行に凹凸プリズム列7aが延び、かつ凸部が導光板15に向けて配設されたプリズムシート7と、前記出射面15bと前記プリズムシート7との間に介在する第1の異方性光拡散フィルム18と、前記プリズムシート7の前面(プリズムシート7と表示ユニットとの間)に配置され、かつ前記第1の異方性光拡散フィルム18とは光散乱特性の異なる第2の異方性光散乱フィルム28とを備えている。なお、第1の異方性光拡散フィルム18の光散乱特性F1=Fy(θ)/Fx(θ)と、第2の異方性光散乱フィルム28の光散乱特性F2=Fy(θ)/Fx(θ)とは、F1>F2であり、F1−F2は、例えばθ=18度とした場合、F1−F2=1.1〜10程度に設定され、第2の異方性光散乱フィルム28は小さな異方的散乱性、例えば、F2=Fy(θ)/Fx(θ)=1.01〜2程度に設定されている。
【0034】
このような面状光源装置では、導光板15の凹凸プリズム列15cの反射・屈折作用により、管状光源4の軸方向(X軸方向)において、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整でき、第1の異方性拡散フィルム18により管状光源の軸方向に強く散乱させて輝度分布及び輝度の水平方向の角度による変化を少なくすることができ、プリズムシート7により、光を前方へ集光できる。さらに第2の異方性光拡散フィルム28により異方的散乱特性を調整し、表示ユニットを裏面から均一に照明でき、表示ユニットにおいて正面輝度と水平方向の斜めからの輝度との差を小さくできる。
【0035】
さらに、面状光源装置は単一のプリズムシートを備えていてもよく、複数のプリズムシートを備えていてもよい。図4は本発明の面状光源装置のさらに他の例を示す概略分解斜視図である。
【0036】
この面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光を側面15aから入射させて出射面15bから前方へ出射させるための導光板15と、リフレクタ手段6とを備えている。この例の面状光源装置は、複数のプリズムシート、すなわち、導光板15側に配設された第1のプリズムシート17と、この第1のプリズムシートの前方側に配設された第2のプリズムシート27とを備えている。第1のプリズムシート17は、前記導光板15の側面15aとほぼ平行に凹凸プリズム列17aが延び、かつ凸部が導光板15に向けて配設されており、第2のプリズムシート27の一方の面には、導光板15の側面方向(管状光源4の軸方向)に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する凹凸プリズム列27aが形成されており、このプリズム列の凸部は導光板15とは反対側(表示ユニット側)を向いている。
【0037】
さらに、前記出射面15bと前記第1のプリズムシート17との間には第1の異方性光拡散フィルム38が介在し、第2のプリズムシート27の前方側には、前記第1の異方性光拡散フィルム38とは光散乱特性の異なる第2の異方性光散乱フィルム48が配設されている。
【0038】
このような面状光源装置では、第1の異方性光拡散フィルム38により、管状光源4からの光をX軸方向よりもY軸方向に強く散乱させて輝度分布を略均一化でき、第1のプリズムシート17により、管状光源4の軸方向に対して直交する方向の面内において、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整し、第2のプリズムシート27により、管状光源4の軸方向の面内において、管状光源4からの光の配向特性を調整できる。さらに、第2の異方性光拡散フィルム38により異方的散乱特性を調整し、略等方的な輝度分布の光で均一に照明でき、表示ユニットにおいて正面輝度と斜め方向からの輝度を向上できる。
【0039】
さらに、面状光源装置において、管状光源からの距離が遠ざかるにつれて輝度が低下するのを抑制するため、導光板の表面および凹凸プリズム列の凹凸面のうち少なくとも一方の面の粗度を、前記光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。図5は本発明の面状光源装置の別の例を示す概略分解斜視図である。
【0040】
この例では、図1に示す装置と同様に、面状光源装置は、管状光源4と、この管状光源からの光が側面25aから入射する導光板25と、リフレクタ手段6とを備えている。この導光板25の裏面には、前記管状光源4の軸方向に対して直交する方向に延びる凹凸プリズム列25cが形成されており、導光板25の出射面25bでは、管状光源4からの距離が大きくなるにつれて粗度が大きく形成されている。
【0041】
さらに、前記図1に示す装置と同様に、前記導光板25の出射面25b側には、凸部が導光板25の方向に向き、かつ凹凸プリズム列7aを一方の面に有するプリズムシート7と、異方性光拡散フィルム8とが順次配設されている。
【0042】
このような装置では、導光板25の凹凸プリズム列25cにより、管状光源4の軸方向に対して、管状光源4からの光の極端な指向又は偏りを抑制して配向特性を調整しつつ、出射面25bの粗度により管状光源4から離れても光散乱性を向上させて輝度を向上できる。さらに、プリズムシート7により、管状光源4の軸方向に対して直交する方向において、管状光源4からの光の配向特性を調整できるとともに、異方性光拡散フィルム8により、光をX軸方向よりもY軸方向に強く散乱させて均一化して照明できる。そのため、管状光源4から離れてもX軸及びY軸の面内で輝度分布を均一化できる。
【0043】
なお、面状光源装置は少なくとも1つの管状光源を備えていればよく、複数の管状光源を備えている場合、導光板は、厚みが均一な平板状導光部材で構成してもよい。
【0044】
導光板に凹凸プリズム列を形成する場合、導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する限り、凹凸プリズム列は、導光板の適所、例えば、導光板の出射面、裏面又はその双方の面に形成してもよい。
【0045】
異方性光散乱フィルムの向きは、光散乱特性に応じて選択できるが、等方的な輝度分布により照明するためには、導光板の側面方向(又は管状光源の軸方向,X軸方向)に対して、異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向(Y軸方向又は分散相の短軸方向)が直交している。なお、異方性光散乱フィルムの主たる散乱方向(Y軸方向又は分散相の短軸方向)は、導光板の側面方向(又は管状光源の軸方向,X軸方向)に対して、角度90°で直交する必要はなく、例えば、角度90°±15°程度の範囲内で交差していてもよい。
【0046】
また、異方性光拡散フィルムの向きは、TCO’99の水平方向の斜めの角度による輝度の減衰を少なくするには、導光板の側面方向に対して異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向を平行にするのが好ましい。また、TCO’0Xの表示体の上下方向の斜めの角度による輝度の減衰を少なくするには、導光板の側面方向に対して異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向を垂直にするのが好ましい。
【0047】
また、複数の光拡散フィルムを用いる場合、少なくとも1つの光拡散フィルムを異方性光拡散フィルムで構成すればよい。例えば、第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムのうち少なくとも一方のフィルムを、異方性光拡散フィルムで構成すればよく、等方性光拡散フィルムと異方性光拡散フィルムとの組合せ、複数の異方性光拡散フィルムの組合せで光拡散フィルムを構成してもよい。さらに、第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムの光散乱特性は異なっていてもよく、光散乱特性の異なる複数の光拡散フィルムの配置順序は特に制限されず、異方的光散乱特性Fy(θ)/Fx(θ)の大きな光拡散フィルムを表示ユニット側又は導光板側に配設してもよく、異方的光散乱特性Fy(θ)/Fx(θ)の小さな光拡散フィルム又は等方性光拡散フィルムを表示ユニット側又は導光板側に配設してもよい。さらに、複数の異方性光拡散フィルムを用いる場合、各光拡散フィルムの主たる散乱方向は、実質的に同じ方向であってもよく、互いに交差又は直交していてもよい。
【0048】
プリズムシートにおいては、プリズムの形状は特に制限されず、断面三角形状に限らず、台形状、正弦波状、三角波状などであってもよい。また、凸部及び凹部の傾斜角や密度、凹凸プリズム列の幅などにより、光の集光又は配向特性を調整してもよい。
【0049】
複数のプリズムシートを利用する場合、少なくとも1つのプリズムシートにおいて凹凸プリズム列が管状光源の軸方向に沿って形成されていればよい。また、第1のプリズムシートと第2のプリズムシートとの配置順序は特に制限されず、凹凸プリズム列が管状光源の軸方向に対して直交する方向に形成された第2のプリズムシートを導光板側に配設してもよく、前記のように第1のプリズムシートと第2の光拡散フィルムとの間や第2の光拡散フィルムの前方側に配設してもよい。
【0050】
導光板には必ずしも凹凸プリズム列を形成する必要はないものの、凹凸プリズム列は、導光板の出射面及び裏面のうち少なくとも一方の面に形成できる。
【0051】
さらに、導光板及び/又はプリズム列の凹凸面の表面粗度は実質的に一定であってもよく、前記のように、導光板及び/又はプリズム列の凹凸面の表面粗度は、光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成してもよい。表面粗度は、慣用の粗面化処理、例えば、サンドペーパーなどの研磨手段による研磨度の調整、リソグラフィー技術などを利用して行うことができる。
【0052】
なお、プリズムシートの凹凸プリズム列が延びる方向は、管状光源の軸方向に対して完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で交差していてもよい。また、導光板のプリズム列は、管状光源の軸方向に対して直交する方向に対して、角度90°で直交する必要はなく、例えば、角度90°±15°程度の範囲内で交差していてもよい。
【0053】
前記導光板、異方性光拡散フィルム及びプリズムシートのうち隣接する部材は、必要により積層し一体化してもよい。例えば、前記異方性光拡散フィルムとプリズムシート、導光板と異方性光拡散フィルムとは互いに積層してもよい。
【0054】
異方性光拡散フィルムは、樹脂で構成された連続相と、この連続相中に分散した異方形状の分散相とで構成できる。そして、光拡散の異方性は散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、異方性光拡散フィルムは、異方的散乱性の大きなフィルムであってもよい。すなわち、散乱角θ=10〜30゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.1(好ましくは≧1.5)を充足する散乱光強度特性を有する異方的光散乱フィルムであってもよい。Fy(θ)/Fx(θ)の値は、通常、1.1〜500(例えば、10〜500)、好ましくは15〜500、さらに好ましくは50〜500(例えば、100〜400)程度である。
【0055】
このような異方性光拡散フィルムのY軸方向のFy(θ)は、かなり広角の散乱角θまで強度が強く、X軸方向のFx(θ)は小さい角度の散乱角θで強度が減衰するという特色を有する。このような光学特性を有する光拡散フィルムは、表示ユニットの表示面において左右方向又は上下方向の輝度を均一化できる。
【0056】
なお、異方性光拡散フィルムのX軸方向は、面状光源ユニットの管状光源の軸方向(X軸方向)に対して、完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で斜め方向に向けて配設してもよい。
【0057】
さらに、異方性光拡散フィルムは、異方的光散乱性の小さなフィルムであってもよい。このような異方性光拡散フィルムは、散乱角θ=10〜30゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.01(好ましくは≧1.05)を充足する散乱光強度特性を有してしてもよい。Fy(θ)/Fx(θ)の値は、通常、1.01〜50(例えば、1.1〜50)、好ましくは1.5〜50、さらに好ましくは2〜30(例えば、5〜20)程度である。
【0058】
互いに異方的散乱性の異なる複数の光拡散フィルムを組み合わせて用いると、輝度分布が偏った光源を用いても、均一な輝度で照明できる。なお、互いに異方的散乱性の異なる複数の光拡散フィルムにおいて、第1の光拡散フィルムの光散乱特性F1=Fy(θ)/Fx(θ)と第2の光拡散フィルムの光散乱特性F2=Fy(θ)/Fx(θ)との関係は、通常、F1−F2は、例えば、θ=18度とした場合、F1−F2=1.1〜300、好ましくは1.5〜250、さらに好ましくは2〜200(例えば、5〜50)程度の範囲から選択できる。
【0059】
前記面状光源装置において、管状光源から生成する紫外線が、構成部材を劣化させたり変色させる可能性がある。このような場合、紫外線吸収剤を含む異方性又は等方性光拡散フィルムを用いるのが有用である。特に、導光板の出射面に紫外線吸収性光拡散フィルムを配設すると、拡散フィルムだけでなく、導光板から表示ユニットに至る光路に位置する部材、例えば、プリズムシート(必要により輝度向上シート)、光拡散フィルムなどの黄変を防止でき、液晶表示装置の表示面の色相変化を抑制できる。また、一般的に液晶表示パネルの表面に貼付されている偏光板及びその保護フィルム(セルローストリアセテート層など)が劣化するのを抑制できる。そのため、表示品位を長期間に亘り安定化できる。さらに、単一のフィルムで高い光散乱性及び紫外線遮断性を付与できるので、紫外線吸収性フィルムや蛍光体で構成された白色散乱体を必要とせず、面状光源装置及び液晶表示装置の構造を簡素化できる。なお、光拡散フィルムは、面状光源ユニットと表示ユニットとの間に介在すればよく、前記面状光源ユニットの出射面に配設又は積層する必要はない。
【0060】
紫外線吸収性光拡散フィルムは、光拡散性と紫外線吸収性とを有していればよく、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。図6は積層構造を有する光拡散フィルムの他の例を示す概略断面図である。
【0061】
この例において、等方性又は異方性光拡散フィルム58は、光拡散層59と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層60とで構成された積層構造を有している。そして、紫外線吸収性を付与するため、この例では、少なくとも透明樹脂層60に紫外線吸収剤を含有させている。また、光拡散層59は、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成されており、連続相59a中に分散相粒子59bが分散した相分離構造(又は海島構造)を有している。
【0062】
このような積層構造の光拡散フィルムでは、透明樹脂層60を面状光源ユニットの導光板の出射面上に積層又は配設することにより、光拡散層59をも紫外線から有効に保護でき、紫外線の漏洩を確実かつ安定して防止できる。また、透明樹脂層60で光拡散層59を保護することにより、分散相粒子59bの脱落や付着を防止でき、フィルムの耐傷性や製造安定性を向上できるとともに、フィルムの強度や取扱い性を高めることができる。好ましい光拡散フィルムは、光拡散層の両面に透明樹脂層が積層された三層構造を有する紫外線吸収性光拡散フィルムである。
【0063】
なお、紫外線吸収性光拡散フィルムは光拡散性と紫外線吸収性とを備えていればよく、紫外線吸収剤を含有する形態に限らず、紫外線吸収剤を含む塗膜を形成してもよい。なお、光拡散フィルムは少なくとも光拡散層で構成でき、前記のように、光拡散層と透明層との積層体で構成してもよく、透明層としては、樹脂層に限らず種々の透明基材(例えば、ガラスなど)が使用できる。
【0064】
また、紫外線吸収剤は光拡散フィルムを構成する種々の層に含有させることができ、例えば、光散乱特性を有する層(光散乱層)及び透明樹脂層のうち少なくとも一方の層に含有させてもよく、双方の層に含有させてもよい。透明樹脂層を構成する樹脂には、密着性や機械的特性などを損なわない限り、前記光拡散層を構成する連続相及び/又は分散相の樹脂と同一又は異なる樹脂が使用できるが、通常、連続相の樹脂と同一又は共通(又は同系統)の樹脂が好ましく使用される。
【0065】
光拡散層は、連続相(樹脂連続相、マトリックス樹脂)と、この連続相中に分散した分散相(粒子状、繊維状分散相などの散乱因子)と、必要により紫外線吸収剤とで構成されており、前記連続相と分散相とは、互いに屈折率が異なるとともに、通常、互いに非相溶又は難相溶である。連続相および分散相は、通常、透明性物質で形成できる。
【0066】
光拡散フィルムは前記のように光拡散層単独で構成してもよく、光拡散層と樹脂層との積層フィルムで構成してもよい。光拡散フィルムの光拡散層を構成する樹脂(連続相及び/又は分散相を構成する樹脂)には、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂(フッ素系樹脂を含む)、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)など)、および熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが含まれる。好ましい樹脂は熱可塑性樹脂である。
【0067】
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)、プロピレン−メチルペンテン共重合体など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩(例えば、アイオノマー樹脂)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
【0068】
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有単量体の単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン、ポリビニリデンフルオライド、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)などが挙げられる。
【0069】
ビニルアルコール系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが含まれる。ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。
【0070】
ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメチルエーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
【0071】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0072】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル(特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂)、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
【0073】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0074】
ポリエステル系樹脂には、芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど)、液晶性ポリエステルなどが例示できる。コポリエステルとしては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性である。
【0075】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド(キシリレンジアミンアジペート(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなど)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0076】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0077】
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
【0078】
なお、前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)されていてもよい。また、前記樹脂成分で連続相マトリックスを構成し、このマトリックス樹脂に分散相成分をグラフト又はブロック共重合してもよい。このような重合体としては、例えば、ゴムブロック共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)など)、ゴムグラフトスチレン系樹脂(アクリロニトリブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など)などが例示できる。
【0079】
分散相(光散乱因子)は、マトリックス樹脂に対する無機又は有機の微粒子や繊維の添加、マトリックス樹脂に対する屈折率の異なる樹脂の添加及び混練などにより形成できる。無機又は有機微粒子としては、無機酸化物(シリカ、アルミナ、酸化チタンなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、硫酸塩(硫酸バリウムなど)、天然鉱物又はケイ酸塩(タルクなど)などの無機粒子;架橋ポリスチレンビーズなどの架橋スチレン系樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチルなどの架橋アクリル系樹脂、架橋グアナミン系樹脂などの架橋樹脂粒子などが例示できる。繊維状分散相には、有機繊維、無機繊維などが含まれる。有機繊維は、耐熱性有機繊維、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維などであってもよい。無機繊維としては、例えば、繊維状フィラー(ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維,ジルコニア繊維などの無機繊維)、薄片状フィラー(マイカなど)などが挙げられる。
【0080】
連続相又は分散相を構成する好ましい成分には、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが含まれる。また、前記連続相及び/又は分散相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよく、連続相及び分散相を非結晶性樹脂で構成してもよい。好ましい態様において、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることができる。すなわち、連続相及び分散相のうち一方の相(例えば、連続相)を結晶性樹脂で構成し、他方の相(例えば、分散相)を非結晶性樹脂で構成できる。
【0081】
結晶性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン系樹脂など)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステル、液晶性芳香族ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン46,ナイロン6,ナイロン66などの短鎖セグメントを有する脂肪族ポリエステルなど)などが例示できる。これらの結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。結晶性樹脂(結晶性ポリプロピレン系樹脂など)の結晶化度は、例えば、10〜80%程度、好ましくは20〜70%程度、さらに好ましくは30〜60%程度である。
【0082】
連続相を構成する樹脂としては、通常、透明性および熱安定性の高い樹脂が使用される。好ましい連続相を構成する樹脂は、溶融特性として流動性の高い結晶性樹脂である。
【0083】
非結晶性樹脂としては、例えば、ビニル系重合体(アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール系樹脂などのビニル系単量体の単独又は共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、ポリカーボネート系重合体、非晶性ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、ジオール成分及び/又は芳香族ジカルボン酸成分の一部が置換されたポリアルキレンアリレートコポリエステル、ポリアリレート樹脂など)、ポリアミド系樹脂(長鎖セグメントを有する脂肪族ポリアミド、非結晶性芳香族ポリアミド)、熱可塑性エラストマー(ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマーなど)などが例示できる。前記非晶性ポリエステル系樹脂において、ポリアルキレンアリレートコポリエステルとしては、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどが含まれる。非結晶性コポリエステル(例えば、エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=10/90〜60/40(モル%)、特に25/75〜50/50(モル%)程度のジオール成分を用いたポリエチレンテレフタレートコポリエステルや、フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンをジオール成分として用いたコポリエステルなど)は、屈折率が高く(例えば、1.57程度)、前記結晶性樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)とのコンパウンド化が比較的良好である。これらの非結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0084】
分散相を構成する樹脂としては、通常、透明性が高く、1軸延伸温度などの配向処理温度で容易に変形し、実用的な熱安定性を有する樹脂が使用される。分散相を構成する非結晶性樹脂のうち、非結晶性コポリエステル系樹脂およびポリスチレン系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂が好ましい。
【0085】
連続相と分散相との屈折率の差は、例えば、0.001以上(例えば、0.001〜0.3程度)、好ましくは0.01〜0.3程度、さらに好ましくは0.01〜0.1程度である。
【0086】
光拡散層において、連続相と分散相との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜30/70(例えば、95/5〜40/60)程度、好ましくは99/1〜50/50(例えば、95/5〜50/50)程度、さらに好ましくは99/1〜75/25程度の範囲から適宜選択できる。
【0087】
光散乱シートは、必要に応じて相溶化剤を含有してもよい。相溶化剤を用いると、連続相と分散相との混和性および親和性を高めることができ、フィルムを配向処理しても欠陥(ボイドなどの欠陥)が生成するのを防止でき、フィルムの透明性の低下を防止できる。さらに、連続相と分散相との接着性を高めることができ、フィルムを一軸延伸しても、延伸装置への分散相の付着を低減できる。
【0088】
相溶化剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、変性基(カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリニル基など)で変性された変性樹脂、ジエン又はゴム含有重合体[例えば、ジエン系単量体単独又は共重合性単量体(芳香族ビニル単量体など)との共重合により得られるジエン系共重合体(ランダム共重合体など);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのジエン系グラフト共重合体;スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素化(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)ブロック共重合体などのジエン系ブロック共重合体又はそれらの水素添加物など]、前記変性基(エポキシ基など)で変性したジエン又はゴム含有重合体などが例示できる。これらの相溶化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0089】
相溶化剤としては、通常、ポリマーブレンド系の構成樹脂と同じ又は共通する成分を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)、ポリマーブレンド系の構成樹脂に対して親和性を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)などが使用される。
【0090】
なお、変性は、変性基に対応する単量体(例えば、カルボキシル基変性では(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、酸無水物基変性では無水マレイン酸、エステル基変性では(メタ)アクリル系単量体、マレイミド基変性ではマレイミド系単量体、エポキシ変性では、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体)を共重合することにより行うことができる。また、エポキシ変性は、不飽和二重結合のエポキシ化により行ってもよい。
【0091】
好ましい相溶化剤は、未変性又は変性ジエン系共重合体、特に変性ブロック共重合体(例えば、共役ジエンブロック又はその部分水素添加ブロックと、芳香族ビニルブロックとで構成され、前記共役ジエンブロックの二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたエポキシ化されたスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体などのエポキシ化ジエン系ブロック共重合体又はエポキシ変性ジエン系ブロック共重合体)である。
【0092】
なお、相溶化剤(エポキシ化ブロック共重合体など)の屈折率は、分散相樹脂と略同程度(例えば、分散相樹脂との屈折率の差が、0〜0.01程度、好ましくは0〜0.005程度)であってもよい。
【0093】
相溶化剤の使用量は、例えば、樹脂組成物全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
【0094】
好ましい光拡散フィルムにおいて、連続相、分散相、及び相溶化剤の割合は、例えば、(1)連続相/分散相(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは98/2〜60/40程度、さらに好ましくは90/10〜60/40程度、特に80/20〜60/40程度、(2)分散相/相溶化剤(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは99/1〜70/30程度、さらに好ましくは98/2〜80/20程度である。
【0095】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤[N−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、[2−(2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール]など]、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤[2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−スルホベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなど)、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)など]、ベンゾエート系紫外線吸収剤[2,4−ジt−ブチルフェニル−3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど]、サリチル酸系紫外線吸収剤[サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなど]、トリアジン系紫外線吸収剤[2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールなど]などが例示できる。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
【0096】
紫外線吸収剤は、通常、樹脂に対して相溶性又は溶解性を有する化合物が使用される。光拡散層が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤は、通常、主に連続相に溶解又は微分散している。
【0097】
紫外線吸収剤の使用量は、例えば、紫外線吸収剤を含有する層又は連続相を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2.5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部程度である。
【0098】
なお、紫外線吸収剤は、種々の安定剤(酸化防止剤、熱安定剤)、特に、樹脂の劣化を防止する光安定剤と組み合わせて使用してもよい。安定剤には、紫外線安定剤(ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケル−ジブチルジチオカルバメートなど)、ヒンダードアミン系光安定剤([ビス(2,2,6,6−テトラメチル4−ピペリジル)セバケートなど])などが含まれる。
【0099】
さらに、光散乱性に悪影響を及ぼさない限り、紫外線吸収性微粒子(例えば、微粒子酸化亜鉛や酸化チタンなどの無機微粒子など)を、光散乱性や光透過性などを損なわない範囲(例えば、0.01〜1重量%程度の少量)で併用してもよい。
【0100】
さらに、光拡散フィルムは、慣用の添加剤、例えば、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤などを含有していてもよい。
【0101】
光拡散フィルムにおいて、分散相粒子は、長軸の平均長さLと短軸の平均長さWとの比(平均アスペクト比、L/W)が1である球状粒子であってもよい。また、異方性光拡散フィルムでは、アスペクト比が1より大きく、例えば、1.5〜1000(例えば、2〜1000)程度、好ましくは5〜1000程度、さらに好ましくは5〜500(例えば、20〜500)程度であり、通常、50〜500(特に70〜300)程度である。このような分散相粒子は、フットボール型形状(回転楕円状など)、繊維形状、直方形状などであってもよい。アスペクト比が大きい程、異方的な光散乱性を高めることができる。
【0102】
なお、分散相の長軸の平均長さLは、例えば、0.1〜200μm程度、好ましくは1〜150μm程度、特に2〜100μm程度(例えば、2〜50μm程度)であり、通常、10〜100μm(例えば、10〜50μm)程度である。また、分散相の短軸の平均長さWは、例えば、0.01〜10μm(例えば、0.1〜10μm)程度、好ましくは0.15〜5μm(例えば、0.5〜5μm)程度、さらに好ましくは0.2〜2μm(例えば、0.5〜2μm)程度である。
【0103】
分散相粒子の配向係数は、例えば、0.7以上(0.7〜1程度)、好ましくは0.8〜1程度、さらに好ましくは0.9〜1程度であってもよい。分散相粒子の配向係数が高い程、散乱光に高い異方性を付与できる。なお、配向係数は、下記式に基づいて算出できる。
【0104】
配向係数=(3<cos2θ>−1)/2
式中、θは粒子状分散相の長軸とフィルムのX軸との間の角度を示し(長軸とX軸とが平行の場合、θ=0゜)、<cos2θ>は各分散相粒子について算出したcos2θの平均を示し、下記式で表される。
【0105】
<cos2θ>=∫n(θ)・cos2θ・dθ
(式中、n(θ)は、全分散相粒子中の角度θを有する分散相粒子の割合(重率)を示す)
異方性光拡散フィルムは、拡散光の指向性を有していてもよい。すなわち、指向性を有するとは、異方的拡散光において散乱の強い方向のうち、散乱強度が極大を示す角度があることを意味する。拡散光が指向性を有している場合、拡散光強度Fを拡散角度θに対してプロットしたとき、プロット曲線が、特定の拡散角度θの範囲(θ=0°を除く角度域)で極大又はショルダー(特に、極大などの変曲点)を有している。
【0106】
光拡散フィルムの厚みは、3〜300μm程度、好ましくは5〜200μm(例えば、30〜200μm)程度、さらに好ましくは5〜100μm(例えば、50〜100μm)程度である。また、光散乱シートの全光線透過率は、例えば、85%以上(85〜100%)、好ましくは90〜100%程度、さらに好ましくは90〜95%程度である。
【0107】
積層構造の光拡散フィルムにおいて、透明樹脂層を構成する透明樹脂は前記例示の樹脂から選択できるが、耐熱性や耐ブロッキング性を高めるためには、耐熱性樹脂(ガラス転移温度又は融点が高い樹脂など)、結晶性樹脂などが好ましい。透明樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点は、前記連続相を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点と同程度であってもよく、例えば、130〜280℃程度、好ましくは140〜270℃程度、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
【0108】
透明樹脂層の厚みは、前記光散乱シートと同程度であってもよい。例えば、光散乱層の厚みが3〜300μm程度の場合、透明樹脂層の厚みは3〜150μm程度から選択できる。光拡散層と透明樹脂層との厚みの割合は、例えば、光拡散層/透明樹脂層=5/95〜99/1程度、好ましくは50/50〜99/1程度、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。積層フィルムの厚みは、例えば、6〜600μm程度、好ましくは10〜400μm程度、さらに好ましくは20〜250μm程度である。
【0109】
なお、光拡散フィルムの表面には、光学特性を妨げない範囲で、シリコーンオイルなどの離型剤を塗布してもよく、コロナ放電処理してもよい。さらに、異方性を有する有する光拡散フィルムには、フィルムのX軸方向(分散相の長軸方向)に延びる凹凸部を形成してもよい。このような凹凸部を形成すると、フィルムにより高い異方的光散乱性を付与できる。
【0110】
[光拡散フィルムの製造方法]
光拡散フィルムは、樹脂と光散乱成分と必要により紫外線吸収剤とを組み合わせることにより製造できる。例えば、基材フィルム上に、光散乱成分とバインダー樹脂と必要により紫外線吸収剤とで構成された組成物を塗布するコーティング法や、前記組成物をラミネートする押し出しラミネート法などで製造できる。また、単層構造の光拡散フィルムは、樹脂と光散乱成分と必要により紫外線吸収剤とを含む樹脂組成物を、キャスティング法、押出成形法などの慣用のフィルム成形法を利用して成形することにより製造できる。
【0111】
なお、積層構造を有する光拡散フィルムは、光拡散層に対応する成分で構成された樹脂組成物と、透明樹脂層に対応する成分で構成された樹脂組成物とを、共押し出し成形し、成膜する共押出成形法、予め作製した一方の層に対して他方の層を押し出しラミネートにより積層する方法、それぞれ作製した光拡散層と透明樹脂層とを積層するドライラミネート法などにより形成できる。
【0112】
異方性光拡散フィルムは、連続相を構成する樹脂中に分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)を分散して配向させることにより得ることができる。例えば、連続相を構成する樹脂と分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)と必要により紫外線吸収剤とを、必要に応じて慣用の方法(例えば、溶融ブレンド法、タンブラー法など)でブレンドし、溶融混合し、Tダイやリングダイなどから押出してフィルム成形することにより分散相を分散できる。
【0113】
また、分散相の配向処理は、例えば、(1)押出成形シートをドローしながら製膜する方法、(2)押出成形シートを一軸延伸する方法、(3)前記(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法などにより行うことができる。なお、(4)前記各成分を溶液ブレンドし、流延法などにより成膜することによっても異方性を有する光拡散フィルムを形成できる。
【0114】
溶融温度は、樹脂成分(連続相樹脂、分散相樹脂)の融点以上の温度、例えば、150〜290℃、好ましくは200〜260℃程度である。ドロー比(ドロー倍率)は、例えば、2〜40倍程度、好ましくは5〜30倍程度、さらに好ましくは7〜20倍程度である。延伸倍率は、例えば、1.1〜50倍程度(例えば、3〜50倍程度)、好ましくは1.5〜30倍程度(例えば、5〜30倍程度)である。なお、ドローと延伸とを組み合わせる場合には、ドロー比は、例えば、2〜10倍程度、好ましくは2〜5倍程度であってもよく、延伸倍率は、例えば、1.1〜20倍程度(例えば、2〜20倍程度)、好ましくは1.5〜10倍程度(例えば、3〜10倍程度)であってもよい。
【0115】
分散相のアスペクト比を容易に高める方法には、フィルム(例えば、製膜し、冷却したフィルム)を一軸延伸する方法、例えば、固化したフィルムの両端を引っ張る方法(引っ張り延伸)、互いに対向する一対のロール(2本ロール)を複数系列(例えば、2系列)並列し、それぞれの2本ロールにフィルムを挿入すると共に、繰り入れ側の2本ロールと繰出し側の2本ロールとの間にフィルムを張り渡し、繰出し側の2本ロールのフィルムの送り速度を繰り入れ側の2本ロールより速くすることにより延伸する方法(ロール間延伸)、互いに対向する一対のロールの間にフィルムを挿入し、ロール圧でフィルムを圧延する方法(ロール圧延)などが挙げられる。
【0116】
好ましい一軸延伸方法には、フィルムの量産化が容易な方法、例えば、ロール間延伸、ロール圧延などが含まれ、特にロール圧延によれば、非結晶性樹脂のみならず、結晶性樹脂であっても容易に延伸できる。すなわち、通常、樹脂シートを一軸延伸すると、局部的にフィルムの厚みと幅が減少するネックインが発生し易いのに対し、ロール圧延によればネックインを防止でき、フィルムの延伸工程を安定化できる。そして、延伸の前後でフィルム幅の減少が少なく、かつ幅方向の厚みを均一にできるため、フィルムの幅方向において光散乱特性を均一化でき、製品の品質を維持しやすく、フィルムの使用率(歩留まり)も向上できる。さらに、延伸倍率を幅広く設定できる。なお、ロール圧延の場合、延伸の前後でフィルム幅を維持できるため、フィルム厚みの減少率の逆数と延伸倍率とが略等しくなる。ロール圧延の圧力は、例えば、1×104〜1×107N/m(約0.01〜10t/cm)程度、好ましくは1×105〜1×107N/m(約0.1〜10t/cm)程度である。ロール圧延は、例えば、厚み減少率(圧下率)0.9〜0.1程度、好ましくは0.77〜0.2程度、さらに好ましくは0.67〜0.33程度で行うことができる。
【0117】
延伸温度は、分散相樹脂の融点又はガラス転移温度以上であってもよい。また、連続相を構成する樹脂として、分散相樹脂よりもガラス転移温度又は融点が高い樹脂(例えば、5〜200℃程度、好ましくは5〜100℃程度高い樹脂)を用い、分散相樹脂を融解又は軟化しながら一軸延伸すると、連続相樹脂に比べて分散相樹脂が非常に変形し易いため、分散相粒子のアスペクト比を大きくでき、光散乱の異方性が特に大きいフィルムが得られる。また、ロール圧延の温度は、連続相樹脂が結晶性樹脂の場合、樹脂の融点以下であって融点近傍の温度であってもよく、連続相樹脂が非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度以下であってガラス転移温度近傍の温度であってもよい。
【0118】
[面状光源装置の用途]
本発明の面状光源装置は、表示装置(特に液晶表示装置)を照明するために有用であり、表示ユニット(液晶表示ユニット又は液晶表示装置)と組み合わせるのが好ましい。この表示装置において、異方性光拡散フィルムは、種々の方向に向けて配置してもよいが、表示面(液晶表示面)の左右方向をY軸とするとき、表示面のY軸に対して、前記異方性光散乱フィルムのY軸(主たる光散乱方向)を沿わせて、又は一致させて配設するのが好ましい。この配置が、TCO’99の水平方向の正面輝度と斜めから見たときの輝度の差を小さくし、この規格を充足するのに有効である。なお、異方性光拡散フィルムのY軸方向は、表示ユニットの左右方向(Y軸方向)に対して、完全に一致する必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で斜め方向に向けて配設してもよい。このような方向に異方性光拡散フィルムを配設すると、輝度分布を均一化し、表示面に対する輝度の角度依存性を低減できるため、左右方向(横方向)の輝度を均一化でき、TCOなどの規格を充足できる。
【0119】
【発明の効果】
本発明では、特定の光拡散フィルムとプリズムシートとを組み合わせているため、管状光源を用いても、被照明体を全体に亘り均一に照明できる。特に、液晶表示ユニットと組み合わせても、面状光源装置により表示面を全体に亘り均一に照明でき、表示品質を向上できる。さらに、紫外線吸収剤を有する光拡散フィルムを用いると、光源から漏洩する紫外線から構成部品を有効に保護できる。
【0120】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0121】
実施例1
(異方性光拡散フィルムの作製)
連続相樹脂として結晶性ポリプロピレン系樹脂PP(グランドポリマー(株)製F133,屈折率1.503)90重量部と、分散相樹脂としてポリスチレン系樹脂GPPS(汎用ポリスチレン系樹脂、ダイセル化学工業(株)製 GPPSHRM10N、屈折率1.589)9.5重量部、相溶化剤としてエポキシ化ジエン系ブロック共重合体樹脂(ダイセル化学工業(株)製、エポフレンドAT202;スチレン/ブタジエン=70/30(重量比)、エポキシ当量750、屈折率1.57)0.5重量部を用いて、光拡散層成分とした。前記結晶性ポリプロピレン系樹脂PPを用いて、透明層成分とした。
【0122】
光拡散層成分と透明層成分をそれぞれ70℃で約4時間乾燥し、バンバリーミキサーで混練し、光拡散層成分と、表面層として透明層成分とを多層押出機で約220℃で溶融し、Tダイからドロー比約3倍で、表面温度60℃の冷却ドラムに対して押出し、中心層(光拡散層)60μmの両面に表面層(透明層)45μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み150μm)を作製した。
【0123】
透過型顕微鏡(TEM)により中心の光拡散層を観察したところ、前記中心層中に分散相がラグビーボール状の形状(アスペクト比約10、平均粒径約5μm)で分散していた。このシートの光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)≒10で比較的大きな値を示した。
【0124】
(面状光源装置の作製)
このようにして得られた二種三層の異方性光拡散フィルムを用いて、面状光源装置を作製した。図8は実施例1における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。
【0125】
管状光源4とリフレクタ6aが導光板15の側面15aにあり、導光板15の出射面15b側に異方性光拡散フィルム88、出射面15bの反対側に反射シート6bを配置し、異方性光拡散フィルムの上にプリズムシート7を配置している。
【0126】
導光板の出射面15bの反対側は楔形状であり、楔の凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に一致している。即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直である。
【0127】
異方性光拡散フィルム88の主たる散乱方向も管状光源4の長さ方向に一致している。
【0128】
プリズムシート7のプリズム面は異方性光拡散フィルム88側(導光板15側)に面するよう配置され、プリズムの凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に対し垂直に配置されている。
【0129】
このような面状光源装置において、管状光源4より発せられた光は、直接又はリフレクタから反射され導光板15に入射する。導光板15に入射した光は導光板15の出射面側表面と、その反対側表面の間で全反射を繰り返しながら管状光源4の反対側まで伝播する。光はその過程の中で導光板15の出射面15bの表面で、光が出射面15bの表面の法線となす角が臨界角以下となることにより、出射面15bの表面から出射される。
【0130】
この出射された光は、導光板15の出射面の反対側が楔形状であるため(楔の凹凸方向は管状光源4の長さ方向に一致し、即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直)、管状光源の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0131】
このような出射特性の導光板15の上に異方性光拡散フィルム88を用いると、この微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性を滑らかにすることができ、かつ輝度、特に正面輝度の低下が少ない。さらに、この異方性光拡散フィルム88の上に、凹凸面を異方性光拡散フィルム88側にして、プリズムシート7を用いると、適度に集光され、被照明体全体にわたり均一に照明できる。
【0132】
比較例1
図9は、比較例1における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。管状光源4とリフレクタ6aが導光板15の側面15aにあり、導光板15の出射面15b側に等方性光拡散フィルム98、出射面の反対側に反射シート6bを配置し、等方性光拡散フィルム98の上にプリズムシート7を配置している。
【0133】
導光板15の出射面の反対側は楔形状であり、楔の凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に一致している。即ち、凹凸の稜線は管状光源4の長さ方向に垂直である。
【0134】
プリズムシート7のプリズム面は、等方性光拡散フィルム98側(導光板15側)に面するよう配置され、プリズムの凹凸の方向は管状光源4の長さ方向に対し垂直に配置されている。
【0135】
管状光源4から発せられた光の動向は、導光板15から光が出射するまでは、実施例1と同じである。導光板15から出射された光は、実施例1と同様に、管状光源4の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0136】
等方性光拡散フィルム98を用いると、不均一度を低下させるためには、拡散度の高い等方性光拡散フィルムを用いる必要があり、また、正面輝度も低下する。
【0137】
実施例2
図10は実施例2における面状光源装置を説明するための分解斜視図である。この面状光源装置は、異方性光拡散フィルム88とプリズムシート7の位置が逆である以外は実施例1と同じ構成である。
【0138】
管状光源4から発せられた光の動向は、導光板15から光が出射するまでは、実施例1と同じである。
【0139】
導光板15から出射された光は、実施例1と同様に、管状光源の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。しかし、出射特性は滑らかに減衰する出射特性でなく、微小角度の差で輝度が大きく変化する出射特性となっている。
【0140】
そして、プリズムシート7で集光された光は、実施例1において異方性光拡散フィルムを用いたほど高くはないが、管状光源4の長さ方向(表示体の水平方向)に比較的輝度の強い出射特性を有する。さらに、前記出射特性の光が、プリズムシート7の上に配置された異方性光拡散フィルム88を通過することにより、実施例1と同様に、被照明体全体に亘り均一に照明できる面状光源装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の面状光源装置及び透過型液晶表示装置の一例を示す概略分解断面図である。
【図2】図2は光拡散の異方性を説明するための概念図である。
【図3】図3は本発明の面状光源装置の他の例を示す概略分解斜視図である。
【図4】図4は本発明の面状光源装置のさらに他の例を示す概略分解斜視図である。
【図5】図5は本発明の面状光源装置の別の例を示す概略分解斜視図である。
【図6】図6は積層構造を有する光拡散フィルムの他の例を示す概略断面図である。
【図7】図7は従来の透過型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図8】図8は実施例1における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【図9】図9は比較例1における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【図10】図10は実施例2における面状光源装置を示す概略分解斜視図である。
【符号の説明】
1…表示装置
2…液晶表示ユニット
3…面状光源ユニット(面状光源装置)
4…管状光源
5,15,25…導光板(導光部材)
5a,15a,25a…側面
5b,15b,25b…出射面
15c,25c…凹凸プリズム列
6a…リフレクタ
6b…反射部材又は反射層
7,17,27…プリズムシート
7a,17a,27a…プリズム列
8,18,28,38,48…異方性光拡散フィルム
8a…連続相
8b…分散相
59…光拡散層
59a…連続相
59b…分散相
60…透明樹脂層
Claims (11)
- 少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する異方性光拡散フィルムとを備えている面状光源装置。
- プリズムシートが、導光板の出射面と異方性光拡散フィルムとの間に介在する請求項1記載の面状光源装置。
- 少なくとも1つの管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光板と、前記管状光源の側方及び前記導光板の裏面側に配設され、かつ光源からの光を前記導光板の前記側面側及び出射面側に反射させるためのリフレクタ手段と、前記側面とほぼ平行に凹凸プリズム列が延び、かつ凸部が導光板方向に向けて配設されたプリズムシートと、前記出射面と前記プリズムシートとの間に介在する第1の光拡散フィルムと、前記プリズムシートの前面に配置された第2の光散乱フィルムとを備えており、前記第1の光拡散フィルム及び第2の光拡散フィルムのうち少なくとも一方のフィルムが異方性光拡散フィルムで構成されている面状光源装置。
- 導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に延出する凹凸プリズム列が、導光板の出射面および裏面のうち少なくとも一方の面に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の面状光源装置。
- 導光板の側面方向に対してほぼ直交する方向に凹凸部が延出する凹凸プリズム列を一方の面に有する第2のプリズムシートが、前記導光板の出射面の前方側にさらに配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の面状光源装置。
- 導光板の表面粗度および凹凸プリズム列を形成する凹凸面の粗度のうち少なくとも一方の粗度が、前記光源からの距離が遠ざかるにつれて大きく形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の面状光源装置。
- 異方性光拡散フィルムが、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、Y軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、θ=4〜30°の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.01の関係式を充足する請求項1〜6のいずれかに記載の面状光源装置。
- 異方性光拡散フィルムが、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、フィルムのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、Y軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、θ=4〜30°の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)≧1.1の関係式を充足する請求項1〜7のいずれかに記載の面状光源装置。
- 異方性光拡散フィルムが、光拡散層(1)と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層(2)とで構成され、少なくとも透明樹脂層(2)に紫外線吸収剤を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の綿状光源装置。
- 導光板の側面方向に対して、異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向が直交している請求項1〜9のいずれかに記載の面状光源装置。
- 液晶表示装置を照明するための面状光源装置であって、液晶表示面の左右方向に対して、異方性光拡散フィルムの主たる散乱方向が一致している請求項1〜10のいずれかに記載の面状光源装置。
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