JP2004087234A - 面光源ユニット及びそれを用いた透過型表示装置 - Google Patents

面光源ユニット及びそれを用いた透過型表示装置 Download PDF

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稲田 佳信
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Abstract

【課題】透過型液晶表示装置の表示面での高い輝度と均一な照明とを効率よく両立できる面光源装置及びそれを用いた透過型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透過型表示装置1は、液晶表示ユニット2と面光源ユニット3とで構成され、面光源ユニットは、管状光源4と、導光部材5と、異方性散乱シート7、2つのプリズムシート8、9とを備えている。面光源ユニット3では、輝度を向上させるため、プリズムシート8、9は、集光方向をいずれも表示ユニット側に向けるとともに、プリズム列の延出方向を互いに交差させて異方性散乱シートのフロント側に配設されている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光を異方的に散乱できるフィルム及び集光能力のあるフィルムを使用した面光源ユニット(又は装置)及びそれを用いた透過型表示装置(特に透過型液晶表示装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示ユニット(液晶表示モジュールなど)を裏面から照明するバックライト型表示装置(液晶表示装置)においては、表示ユニットの裏面に面光源ユニット(又はバックライトユニット)が配設されている。この面光源ユニットは、例えば、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源と、この管状光源に側面を隣接させて配設され、かつ管状光源からの光を表示パネルに導くための導光板と、この導光板のうち表示ユニットと反対側に配設された反射板とで構成されている。このような面光源ユニットでは、蛍光管からの光を反射板で反射しつつ導光板で案内し、表示パネルを裏面から均一に照明するため、管状光源と表示パネルとの間に拡散フィルムを配設する場合が多い。しかし、このような拡散フィルムを用いると、等方的に光散乱するため、光をユニット面に垂直に入射させることが困難となり、高い輝度で表示パネルを均一に照明できない。
【0003】
そこで、拡散フィルム(拡散板)と液晶層との間にプリズムシートなどの光学素子を設けて、散乱光を屈折させ、光を表示ユニットに垂直に入射させることにより、輝度を向上させている。
【0004】
しかし、等方的な光散乱では、プリズムシートなどの光学素子において充分な集光効果を発揮できないため、表示パネルを高い輝度で均一に照明できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、表示ユニットの均一な照明と輝度の向上とを効率よく両立できる面光源装置及びこの装置を備えた透過型表示装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、発光分布に異方性がある管状光源を備えていても、表示パネルを、均一にかつ高い輝度で照明できる面光源装置及びこの装置を備えた透過型表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、光を異方的に散乱可能なシートと2つのプリズムシートとを組み合わせると、表示パネルを照明する光の均一性と輝度とを効率的に向上できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の面光源ユニットは、管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射して平坦な出射面から出射させるための導光部材とを備えており、前記導光部材と表示ユニットとの間に、2つのプリズムシート及び異方性散乱シートが配設されている。前記2つのプリズムシートは、プリズム列の延出方向を互いに交差又は直交させるとともに、集光方向をいずれも表示ユニット側に向けて配設されており、異方性散乱シートのフロント側に配設されている。
【0009】
前記面光源ユニットにおいて、通常、導光部材の側部には管状光源が略平行に隣接して配設され、前記導光部材の裏面側には、前記管状光源からの光を表示ユニット側に反射するための反射部材(例えば、反射シートやくさび状反射溝など)が配設され、異方性散乱シートが前記導光部材と前記表示ユニットとの間に配設されている。
【0010】
前記異方性散乱シートは、入射光を光の進行方向に散乱可能なフィルムであって、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す光散乱特性F(θ)において、X軸方向の光散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の光散乱特性をFy(θ)とするとき、θ=2〜40゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)の値が1.01以上である。また、互いに屈折率が0.001以上異なる連続相と分散相粒子とで構成されており、分散相粒子の平均アスペクト比が1より大きく、かつ分散相粒子の長軸方向がフィルムのX軸方向に配向していてもよい。さらに、前記異方性散乱シートは、連続相が結晶性樹脂で構成され、分散相粒子(又は分散相)が非結晶性樹脂で構成されており、前記分散相粒子が、平均アスペクト比2〜1000であり、かつ短軸の平均長さが0.1〜10μmであってもよい。また、前記異方性散乱シートは、連続相および分散相に対する相溶化剤を含んでいてもよく、分散相と相溶化剤との割合が、前者/後者=99/1〜50/50(重量比)であってもよい。
【0011】
本発明の透過型表示装置は、表示ユニット(液晶表示ユニットなど)と、この表示ユニットを照明するための前記面光源ユニットとで構成されている。この装置において、異方性散乱シートは、種々の方向、例えば、主たる光散乱方向を表示ユニットの表示面の横方向に向けて配設してもよい。
【0012】
なお、本明細書において、「シート」とは厚さの如何を問わず、フィルムを含む意味に用いる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の面光源ユニットを含む液晶表示装置の一例を示す概略分解斜視図である。
【0014】
前記表示装置1は、液晶が封入された液晶セルを備えた被照射体としての液晶表示ユニット(又は液晶表示パネル)2と、この表示ユニット(又はパネル)の背面側に配設され、前記表示ユニット2を照明するための面光源ユニット3とで構成されている。
【0015】
前記面光源ユニット3は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源4と、この管状光源からの光を側面から入射して平坦な出射面から出射させるための導光部材(導光板)5とを備えており、この導光部材の出射面からの光により表示ユニット2を照明している。なお、導光部材5は透光性プレート状部材で構成されており、導光部材の側部(又は一辺)に管状光源4が略平行に隣接して配設されている。さらに、管状光源4の外側には光源からの光を導光部材5の側面に反射させるための反射シート6bが配設されており、前記導光部材5の裏面側には、管状光源4からの光を前方方向(表示ユニット側)に反射して表示ユニット2に導くため、反射部材又は反射層6aが配設されている。
【0016】
前記管状光源4と導光部材5のみで面光源ユニット3を構成すると、管状光源4からの出射光の輝度分布は均一でなく、管状光源4の軸方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)の輝度分布が不均一であるため、導光部材5を通じて出射面から光を出射させても、表示ユニット2を均一に照明できないばかりか、表示ユニットの鉛直方向の適切な輝度が得られない。
【0017】
そこで、面光源ユニット3において、前記導光部材5の出射面側には、透過光に異方的散乱性を付与するための異方性散乱シート7が配設(又は積層)されており、前記異方性散乱シート7の表示ユニット側(フロント側又は前方)には、断面三角形状の微小プリズムが所定方向に並列に形成された2つのプリズムシート8及び9が配設(又は積層)されており、さらに、プリズムシート9上には、プリズムシートを保護するための保護シート10が配設されている。なお、プリズムシート8及び9は、それぞれのプリズム列の延出方向を互いに交差又は直交させている。
【0018】
図2は図1の異方性散乱シートの異方的散乱を説明するための概念図である。図2に示されるように、前記異方性散乱シート7は、互いに屈折率が異なる連続相7aと分散相7bとで構成されており、連続相7aおよび分散相7bはそれぞれ透明性の高い樹脂で構成されている。また、前記連続相7aに分散する分散相粒子7bは平均アスペクト比が1より大きく、入射光を光の進行方向に異方的に散乱可能である。すなわち、シートの透過光を、分散相粒子の長軸方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に強く散乱できる。
【0019】
そのため、前記導光部材5から出射した光は、主たる散乱方向を管状光源のY軸方向に向けて前記異方性散乱シート7を配設することにより、異方性散乱シート7により、X軸方向よりも主にY軸方向へ異方的に散乱されて、第1のプリズムシート8によりプリズム列の方向に集光され、さらに第2のプリズムシート9により、前記プリズム列とは異なる方向(交差方向)に集光されて表示ユニット2に到達する。すなわち、前記導光部材から出射した輝度分布の不均一な光は、異方性散乱シートにより均一化され、プリズムシートの集光に対して適切な光散乱となり、2つのプリズムシートにより集光された光は、高い輝度で表示ユニット2を照明できる。
【0020】
このような構造の表示装置では、異方性散乱シートと2つのプリズムシートとを組み合わせて使用するため、表示面の鉛直方向における輝度を大きく向上できる。
【0021】
異方性散乱シートは、2つのプリズムシートよりも導光板側(好ましくは導光板の出射面上)に配置又は積層することにより、異方性散乱シートにより均一化され、プリズムシートに適切な光散乱とすることにより、光を2つのプリズムシートにより集光して表示ユニットに入射させることができ、表示面に対する所定方向の角度による輝度(特に一方向の輝度)の向上効果が大きい。
【0022】
異方性散乱シートの配設方向は、特に制限されず、種々の方向、例えば、主たる散乱方向を表示面の縦方向、横方向や斜め方向などに向けて配置してもよいが、観察者から見た表示面(液晶表示面)の左右方向をX軸とするとき、表示面のY軸に対して、前記異方性散乱シートのY軸(主たる光散乱方向)を沿わせて又は一致させて配設するのが好ましい。なお、異方性拡散シートのY軸方向は、表示ユニットの左右方向(X軸方向)に対して、完全に直交する必要はない。
【0023】
前記プリズムシートの構造は特に制限されず、種々の構造、例えば、断面三角形状の凸部又は溝部を基材シートの前面/背面に形成したシートであってもよく、凹凸部を規則的又はランダムに散在させたシートであってもよい。前記管状光源の軸方向(X軸方向)に対するプリズムシートの配設方向は特に制限されず、一方のプリズムシートのプリズムの延出方向をX軸方向に向け、他方のプリズムシートのプリズムの延出方向をY軸方向に向けてプリズムシートを配設してもよい。また、2つのプリズムシートにおいて、プリズム列の延出方向が互いに少なくとも交差していればよいが、通常、互いに直交している。
【0024】
なお、特に必要でないが、前記保護シートは、光を等方的に拡散(又は散乱)可能な等方性拡散シートで構成してもよい。前記等方性拡散シートとしては、透明性の高い連続相と、この連続相中に平均アスペクト比=約1程度で分散し、かつ前記連続相と屈折率が異なる分散相とで構成でき、例えば、連続相は透明性樹脂やガラスなどで形成でき、分散相は透明性樹脂や気泡などで形成できる。
【0025】
さらに、表示ユニットは、液晶表示ユニットに限定されることなく、種々の表示パネルが利用できる。液晶表示ユニットは、液晶層だけでなく、カラーフィルター、偏光板(又は偏光フィルム)、位相差板などの種々の光学部材又は素子で構成できる。例えば、液晶表示ユニットは、第1の偏光フィルム,第1のガラス基板、このガラス基板に形成された第1の電極,この電極上に積層された第1の配向膜、液晶層、第2の配向膜、第2の電極、カラーフィルター、第2のガラス基板、および第2の偏光フィルムを順次積層することにより形成してもよい。
【0026】
なお、前記導光部材(導光板)は、通常、表示ユニットに対して略平行な平坦面(出射面)を有しており、反射層側の面は管状光源に隣接する側の厚みが大きくなるように下方に傾斜していてもよい。管状光源としては、通常、冷陰極管(蛍光管)を利用する場合が多く、単一又は複数の管状光源を用いてもよい。また、前記導光部材(導光板)の裏面には、さらに集光性を高めるため、前記反射部材に限らず、くさび状反射溝(又は反射凹凸部)で構成された反射手段を形成してもよい(図示せず)。前記くさび状反射溝としては、例えば、特開2000−305073号公報、特開2000−34185号公報、特開2000−352719号公報、特開2000−353413号公報などに開示された反射溝などを使用できる。
【0027】
以下に、異方性散乱シートについて詳述する。
【0028】
[異方性散乱シート]
異方性散乱シートは、輝度分布を均一化し、管状光源からの入射光を光の進行方向に散乱可能であり、かつその散乱が異方的な光散乱性、例えば、所定の方向(例えば、Y軸)の散乱強度が、その方向と直交する方向(例えば、X軸)での散乱角度よりも強い光散乱性を有するフィルムであればよい。
【0029】
すなわち、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す光散乱特性F(θ)において、X軸方向(通常、シートを構成する分散相の長軸方向)の光散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の光散乱特性をFy(θ)とするとき、Fy(θ)/Fx(θ)の値が、1を越える値、具体的には、1.01以上、例えば、1.01〜500(例えば、1.01〜400)、好ましくは1.01〜300(例えば、1.01〜200)、さらに好ましくは1.01〜150(例えば、1.01〜100)程度であればよく、通常、1.1〜100程度である。なお、このようなFy(θ)/Fx(θ)を有する角度θの範囲は、特に限定されないが、実用的な観点から、例えば、θ=2〜60°、好ましくは2〜50°、さらに好ましくは2〜40°程度である。
【0030】
前記のように、このような異方性散乱シートは、管状光源の軸方向をX軸方向とすると、Y軸方向に光を強く散乱する。そのため、異方性散乱シートの分散相の長軸方向(X軸方向)を表示面の縦方向(Y軸方向)に向けて配設すると、光を横方向(X軸方向)へ強く散乱させることができ、表示ユニットの横方向(左右方向)の角度が大きく異なっても輝度の低下を抑制でき、表示面での表示を鮮明に視認できる。
【0031】
なお、散乱特性F(θ)は、例えば、図3に示すような測定装置を用いて測定できる。この装置は、異方性散乱シート7に対してレーザ光を照射するためのレーザ光照射装置(NIHON KAGAKU ENG NEO−20MS)31と、異方性散乱シート7を透過したレーザ光の強度を測定するための検出器32とを備えている。そして、異方性散乱シート7に対して90°の角度で(垂直に)レーザ光を照射し、フィルムにより拡散された光の強度(拡散強度)Fを拡散角度θに対して測定(プロット)することにより光散乱特性を求めることができる。
【0032】
異方性散乱シートは、光散乱の異方性が高いと、所定の方向における散乱の角度依存性をより少なくでき、そのため、輝度の角度依存性もより少なくできる。
【0033】
異方性散乱シートは、連続相(樹脂連続相など)と、この連続相中に分散した分散相(粒子状、繊維状分散相など)とで構成されており、前記連続相と分散相とは、互いに屈折率が異なるとともに、通常、互いに非相溶又は難相溶である。連続相および分散相は、通常、透明性物質で形成できる。
【0034】
連続相及び分散相を構成する樹脂には、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂(フッ素系樹脂を含む)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)、ビニルエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース誘導体など)および熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが挙げられる。好ましい樹脂は熱可塑性樹脂である。
【0035】
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)、プロピレン−メチルペンテン共重合体など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)などが挙げられる。
【0036】
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンなどのハロゲン化ビニルの単独又は共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのハロゲン化ビニルと共重合性単量体との共重合体など)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。ビニルエステル系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体の単独又は共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体などのビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂には、ポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体などが含まれる。
【0038】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、スチレン系単量体と共重合性単量体との共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)などが挙げられる。
【0039】
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを用いた芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、アルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど)、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、液晶性ポリエステルなどが含まれる。
【0040】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、メタキシリレンジアミンアジペート(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂は、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0041】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0042】
セルロース誘導体としては、セルロースエステル(セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースフタレートなど)、セルロースカーバメート類(セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(アルキルセルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シアノエチルセルロースなど)が挙げられる。
【0043】
なお、前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)されていてもよい。
【0044】
また、前記樹脂成分で連続相マトリックスを構成し、このマトリックス樹脂に分散相成分をグラフト又はブロック共重合してもよい。このような重合体としては、例えば、ゴムブロック共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)など)、ゴムグラフトスチレン系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など)などが例示できる。
【0045】
繊維状分散相には、有機繊維、無機繊維などが含まれる。有機繊維は、耐熱性有機繊維、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維などであってもよい。無機繊維としては、例えば、繊維状フィラー(ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維,ジルコニア繊維などの無機繊維)、薄片状フィラー(マイカなど)などが挙げられる。
【0046】
連続相又は分散相を構成する好ましい成分には、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが含まれる。また、前記連続相及び/又は分散相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよく、連続相及び分散相を非結晶性樹脂で構成してもよい。好ましい態様において、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることができる。すなわち、連続相及び分散相のうち一方の相(例えば、連続相)を結晶性樹脂で構成し、他方の相(例えば、分散相)を非結晶性樹脂で構成できる。
【0047】
結晶性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン系樹脂など)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステル、液晶性芳香族ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン46,ナイロン6,ナイロン66などの短鎖セグメントを有する脂肪族ポリエステルなど)などが例示できる。これらの結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい結晶性樹脂には、廉価であり、熱安定性の高い結晶性ポリプロピレン系樹脂が含まれる。
【0048】
結晶性樹脂(結晶性ポリプロピレン系樹脂など)の結晶化度は、例えば、10〜80%程度、好ましくは20〜70%程度、さらに好ましくは30〜60%程度である。
【0049】
なお、連続相を構成する樹脂は、融点又はガラス転移温度が130〜280℃程度、好ましくは140〜270℃程度、さらに好ましくは150〜260℃程度の樹脂であってもよい。
【0050】
非結晶性樹脂としては、例えば、ビニル系重合体(アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール系樹脂などのビニル系単量体の単独又は共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、MS樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、ポリカーボネート系重合体、非晶性ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、ジオール成分及び/又は芳香族ジカルボン酸成分の一部が置換されたポリアルキレンアリレートコポリエステル、ポリアリレート樹脂など)、ポリアミド系樹脂(長鎖セグメントを有する脂肪族ポリアミド、非結晶性芳香族ポリアミド)、熱可塑性エラストマーなどが例示できる。前記非晶性ポリエステル系樹脂において、ポリアルキレンアリレートコポリエステルとしては、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどが含まれる。これらの非結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非結晶性樹脂のうち、非結晶性コポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0051】
連続相と分散相とは、互いに屈折率の異なる成分で構成されている。互いに屈折率が異なる成分を用いると、フィルムに光拡散性を付与できる。連続相と分散相との屈折率の差は、例えば、0.001以上(例えば、0.001〜0.3程度)、好ましくは0.01〜0.3程度、さらに好ましくは0.01〜0.1程度である。
【0052】
異方性散乱シートは、必要に応じて、相溶化剤を含有してもよい。相溶化剤を用いると、連続相と分散相との混和性および親和性を高めることができ、配向処理時の欠陥(ボイドなどの欠陥)の生成や、フィルムの透明性の低下を防止できる。相溶化剤としては、連続相および分散相の種類に応じて慣用の相溶化剤から選択でき、例えば、オキサゾリン化合物、変性基(カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリニル基など)で変性された変性樹脂、ジエン又はゴム含有重合体[例えば、ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなどの置換基を有していてもよいC4−20共役ジエンなど)単独又は共重合性単量体(スチレンなどの芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル系単量体、マレイミド系単量体など)との共重合により得られるジエン系共重合体(ランダム共重合体など);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのジエン系グラフト共重合体;スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素化(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)ブロック共重合体などのジエン系ブロック共重合体又はそれらの水素添加物など]、前記変性基(エポキシ基など)で変性したジエン又はゴム含有重合体などが例示できる。これらの相溶化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0053】
相溶化剤としては、通常、ポリマーブレンド系の構成樹脂と同じ又は共通する成分を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)、ポリマーブレンド系の構成樹脂に対して親和性を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)などが使用される。
【0054】
なお、変性は、変性基に対応する単量体(例えば、カルボキシル基変性では(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、酸無水物基変性では無水マレイン酸、エステル基変性では(メタ)アクリル系単量体、マレイミド基変性ではマレイミド系単量体、エポキシ変性では、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体)を共重合することにより行うことができる。また、エポキシ変性は、不飽和二重結合のエポキシ化により行ってもよい。
【0055】
好ましい相溶化剤は、未変性又は変性ジエン系共重合体、特にエポキシ変性ブロック共重合体[例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体などの共役ジエンブロック(又はその部分水素添加ブロック)と、芳香族ビニルブロックとで構成された共役ジエン系ブロック共重合体など]である。
【0056】
前記芳香族ビニルブロックと共役ジエンブロック(又はその水素添加ブロック)との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=5/95〜80/20程度(例えば、25/75〜80/20程度)であり、通常、50/50〜80/20程度である。また、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体中において、二重結合の一部又は全部がエポキシ化されており、そのエポキシ基の割合は、オキシランの酸素濃度として、例えば、0.1〜8重量%(例えば、1〜5重量%)程度であってもよく、エポキシ当量(JIS K 7236)は、例えば、300〜1000(例えば、500〜900)程度であってもよい。
【0057】
前記エポキシ化ブロック共重合体は、ジエン系ブロック共重合体(又は部分的に水素添加されたブロック共重合体)を慣用の方法でエポキシ化(例えば、過酸類、ハイドロパーオキサイド類などのエポキシ化剤によるエポキシ化など)することにより製造できる。
【0058】
ブロック共重合体の分子構造は、直線状、分岐状、放射状あるいはこれらの組み合わせであってもよい。ブロック共重合体のブロック構造としては、例えば、モノブロック構造、テレブロック構造などのマルチブロック構造、トリチェインラジアルテレブロック構造、テトラチェインラジアルテレブロック構造などが例示できる。
【0059】
なお、相溶化剤(エポキシ化ブロック共重合体など)の屈折率は、分散相樹脂と略同程度(例えば、分散相樹脂との屈折率の差が、0〜0.01程度、好ましくは0〜0.005程度)であってもよい。
【0060】
相溶化剤の使用量は、例えば、樹脂組成物全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
【0061】
異方性散乱シートにおいて、連続相と分散相との割合は、樹脂の種類や溶融粘度、光拡散性などに応じて、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜30/70程度、好ましくは99/1〜50/50程度、さらに好ましくは99/1〜75/25程度の範囲から適宜選択できる。
【0062】
異方性散乱シートにおいて、分散相粒子は、長軸の平均長さLと短軸の平均長さWとの比(平均アスペクト比、L/W)が1より大きく、かつ粒子の長軸方向はフィルムのX軸方向に配向している。好ましい平均アスペクト比(L/W)は、例えば、1.1〜1000程度、好ましくは2〜1000程度、さらに好ましくは5〜500(例えば、20〜500)程度であり、通常、50〜500(特に70〜300)程度である。このような分散相粒子は、フットボール型形状(回転楕円状など)、繊維形状、直方形状などであってもよい。アスペクト比が大きい程、異方的な光散乱性を高めることができる。
【0063】
なお、分散相の長軸の平均長さLは、例えば、0.1〜200μm程度(例えば、1〜100μm程度)、好ましくは1〜150μm程度(例えば、1〜80μm程度)、特に2〜100μm程度(例えば、2〜50μm程度)であり、通常、10〜100μm(例えば、30〜100μm、特に10〜50μm)程度である。また、分散相の短軸の平均長さWは、例えば、0.1〜10μm程度、好ましくは0.15〜5μm(例えば、0.5〜5μm)程度、さらに好ましくは0.2〜2μm(例えば、0.5〜2μm)程度である。分散相の短軸の平均長さWは、例えば、0.01〜0.5μm程度、好ましくは0.05〜0.5μm程度、さらに好ましくは0.1〜0.4μm程度であってもよい。
【0064】
分散相粒子の配向係数は、例えば、0.7以上(0.7〜1程度)、好ましくは0.8〜1程度、さらに好ましくは0.9〜1程度であってもよい。分散相粒子の配向係数が高い程、散乱光に高い異方性を付与できる。
【0065】
なお、配向係数は、下記式に基づいて算出できる。
【0066】
配向係数=(3<cosθ>−1)/2
式中、θは粒子状分散相の長軸とフィルムのX軸との間の角度を示し(長軸とX軸とが平行の場合、θ=0゜)、<cosθ>は各分散相粒子について算出したcosθの平均を示し、下記式で表される。
【0067】
<cosθ>=∫n(θ)・cosθ・dθ
(式中、n(θ)は、全分散相粒子中の角度θを有する分散相粒子の割合(重率)を示す)
なお、異方性散乱シートは、拡散光の指向性を有していてもよい。すなわち、指向性を有するとは、異方的拡散光において散乱の強い方向のうち、散乱強度が極大を示す角度があることを意味する。拡散光が指向性を有している場合、前記図3の測定装置において、拡散光強度Fを拡散角度θに対してプロットしたとき、プロット曲線が、特定の拡散角度θの範囲(θ=0°を除く角度域)で極大又はショルダー(特に、極大などの変曲点)を有している。
【0068】
異方性散乱シートに指向性を付与する場合、連続相樹脂と、分散相粒子との屈折率差は、例えば、0.005〜0.2程度、好ましくは0.01〜0.1程度であり、分散相粒子の長軸の平均長さは、例えば、1〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。アスペクト比は、例えば、10〜300(例えば、20〜300)程度、好ましくは50〜200程度であり、40〜300程度であってもよい。
【0069】
異方性散乱シートは、慣用の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などの安定化剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤などを含有していてもよい。
【0070】
異方性散乱シートの厚みは、3〜300μm程度、好ましくは5〜200μm(例えば、30〜200μm)程度、さらに好ましくは5〜100μm(例えば、50〜100μm)程度である。また、異方性散乱シートの全光線透過率は、例えば、85%以上(85〜100%)、好ましくは90〜100%程度、さらに好ましくは90〜95%程度である。
【0071】
なお、異方性散乱シートは、異方性散乱層単独で構成された単層フィルムであってもよく、異方性散乱層の少なくとも一方の面(特に両面)に透明樹脂層が積層された積層フィルムであってもよい。透明樹脂層で異方性散乱層を保護すると分散相粒子の脱落や付着を防止でき、フィルムの耐傷性や製造安定性を向上できるとともに、フィルムの強度や取扱い性を高めることができる。
【0072】
透明樹脂層の樹脂は、前記連続相又は分散相の構成成分として例示した樹脂から選択できる。好ましい透明樹脂層は、連続相と同系統(特に、同一)の樹脂により形成されている。
【0073】
耐熱性や耐ブロッキング性を高めるための好ましい透明樹脂には、耐熱性樹脂(ガラス転移温度又は融点が高い樹脂など)、結晶性樹脂などが含まれる。透明樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点は、前記連続相を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点と同程度であってもよく、例えば、130〜280℃程度、好ましくは140〜270℃程度、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
【0074】
透明樹脂層の厚みは、例えば、前記異方性散乱シートと同程度であってもよい。特に、異方性散乱層の厚みが3〜300μm程度の場合、透明樹脂層の厚みは3〜150μm程度から選択できる。
【0075】
異方性散乱層と透明樹脂層との厚みの割合は、例えば、異方性散乱層/透明樹脂層=5/95〜99/1程度、好ましくは50/50〜99/1程度、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。積層フィルムの厚みは、例えば、6〜600μm程度、好ましくは10〜400μm程度、さらに好ましくは20〜250μm程度である。
【0076】
異方性散乱シートの表面には、光学特性を妨げない範囲で、シリコーンオイルなどの離型剤を塗布してもよく、コロナ放電処理してもよい。
【0077】
なお、異方性散乱シートの表面には、フィルムのX軸方向(分散相の長軸方向)に延びる凹凸部を形成してもよい。このような凹凸部を形成すると、フィルムにより高い異方的光散乱性を付与できる。
【0078】
[異方性散乱シートの製造方法]
異方性散乱シートは、連続相を構成する樹脂中に分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)を分散して配向させることにより得ることができる。例えば、連続相を構成する樹脂と分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)とを、必要に応じて慣用の方法(例えば、溶融ブレンド法、タンブラー法など)でブレンドし、溶融混合し、Tダイやリングダイなどから押出してフィルム成形することにより分散相を分散できる。また、分散相の配向処理は、例えば、(1)押出成形シートをドローしながら製膜する方法、(2)押出成形シートを一軸延伸する方法、(3)前記(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法などにより行うことができる。なお、(4)前記(1)の溶融混練成分を溶液ブレンドし、流延法などにより成膜することによっても異方性散乱シートを形成できる。
【0079】
溶融温度は、樹脂成分(連続相樹脂、分散相樹脂)の融点以上の温度、例えば、150〜290℃、好ましくは200〜260℃程度である。ドロー比(ドロー倍率)は、例えば、2〜40倍程度、好ましくは5〜30倍程度、さらに好ましくは7〜20倍程度である。延伸倍率は、例えば、1.1〜50倍程度(例えば、3〜50倍程度)、好ましくは1.5〜30倍程度(例えば、5〜30倍程度)である。
【0080】
なお、ドローと延伸とを組み合わせる場合には、ドロー比は、例えば、2〜10倍程度、好ましくは2〜5倍程度であってもよく、延伸倍率は、例えば、1.1〜20倍程度(例えば、2〜20倍程度)、好ましくは1.5〜10倍程度(例えば、3〜10倍程度)であってもよい。
【0081】
分散相のアスペクト比を容易に高める方法には、フィルム(例えば、製膜し、冷却したフィルム)を一軸延伸する方法が含まれる。一軸延伸法としては、例えば、固化したフィルムの両端を引っ張る方法(引っ張り延伸)、互いに対向する一対のロール(2本ロール)を複数系列(例えば、2系列)並列し、それぞれの2本ロールにフィルムを挿入すると共に、繰り入れ側の2本ロールと繰出し側の2本ロールとの間にフィルムを張り渡し、繰出し側の2本ロールのフィルムの送り速度を繰り入れ側の2本ロールより速くすることにより延伸する方法(ロール間延伸)、互いに対向する一対のロールの間にフィルムを挿入し、ロール圧でフィルムを圧延する方法(ロール圧延)などが挙げられる。
【0082】
好ましい一軸延伸方法には、ロール間延伸、ロール圧延などが含まれる。特にロール圧延によれば、非結晶性樹脂のみならず、結晶性樹脂であっても容易に延伸できる。
【0083】
ロール圧延の圧力は、例えば、1×10〜1×10N/m(約0.01〜10t/cm)程度、好ましくは1×10〜1×10N/m(約0.1〜10t/cm)程度である。
【0084】
延伸倍率は、幅広い範囲から選択でき、例えば、延伸倍率1.1〜10倍程度、好ましくは延伸倍率1.3〜5倍程度であってもよい。ロール圧延は、例えば、厚み減少率(圧下率)0.9〜0.1程度、好ましくは0.77〜0.2程度で行うことができる。
【0085】
延伸温度は、延伸成形が可能な限り特には限定されないが、例えば、100〜200℃(110〜200℃)程度、好ましくは110〜180℃(130〜180℃)程度である。また、ロール圧延の温度は、連続相樹脂が結晶性樹脂の場合、樹脂の融点以下であって融点近傍の温度であってもよく、連続相樹脂が非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度以下であってガラス転移温度近傍の温度であってもよい。
【0086】
なお、前記積層フィルムは、慣用の方法、例えば、共押出成形法、ラミネート法(押出ラミネート法、ドライラミネート法など)などにより、異方性散乱層の少なくとも一方の面に透明樹脂層を積層し、前記と同様に配向処理して分散相粒子を配向させることにより得ることができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明では、2つのプリズムシートと異方性散乱シートとを組み合わせるので、透過型表示装置において、発光分布に異方性がある管状光源を備えていても、表示パネルの均一な照明と輝度の向上とを効率よく両立できる。
【0088】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0089】
なお、実施例及び比較例で使用した異方性散乱シート及びこの異方性散乱シートと2つのプリズムシートを用いた面光源装置の特性は、下記の方法に従って評価した。
【0090】
[異方性]
図3の測定装置を用いて、散乱角θに対する散乱光強度Fを測定した。なお、異方性散乱シートの延伸方向をX軸方向、この方向と直交する方向をY軸方向とした。
【0091】
[面光源装置の輝度]
透過型液晶表示装置から取り出したバックライトユニットと、このバックライトユニットの拡散シートに代えて異方性散乱シートを配置したユニットとについて、正面輝度を、図4に示すように、輝度計41をバックライトユニット42の正面に配置して測定した。
【0092】
実施例1
連続相樹脂として結晶性ポリプロピレン系樹脂PP(三井住友ポリオレフィン(株)製、F109BA、屈折率1.503)95重量部、分散相樹脂としてポリスチレン樹脂(東洋スチレン(株)製、HRM40N、屈折率1.592)4.75重量部、相溶化剤としてエポキシ化ジエン系ブロック共重合体樹脂(ESBS系樹脂)相溶化剤(エポキシ当量870、屈折率約1.567)0.25重量部を用いた。なお、連続相樹脂と分散相樹脂との屈折率差は0.09である。
【0093】
連続相樹脂と分散相樹脂とを、バンバリーミキサーで混練し、中心層を形成するための混練物と、表面層を形成するための連続相樹脂(ポリプロピレン系樹脂)とを多層用押出機で約220℃で溶融し、Tダイからドロー比約2倍で、表面温度80℃の冷却ドラムに対して押出し、中心層100μmの両面に表面層(透明樹脂層)25μmを積層し、三層構造の積層シート(厚み150μm)を作製した。透過型電子顕微鏡(TEM)により中心層を観察したところ、前記中心層中に、分散相が、アスペクト比の小さいラグビーボール状(アスペクト比が約2、長軸長さ約2μm、短軸長さ約1μm)の形状で分散していた。
【0094】
得られた異方性散乱シートの光散乱特性を測定したところ、図2に示すように顕著な光散乱の異方性を示した。また、光散乱特性は、Fy(18°)/Fx(18°)=2.23であり、強く散乱するY軸方向の散乱においてはFy(2°)/Fy(6°)=1.9であった。
【0095】
面光源装置のバックライト部の導光板上に配置されている拡散シート、2つのプリズムシートおよび保護シートのうち、拡散シートに代えて前記異方性散乱シートを散乱方向(Y軸方向)が横方向(水平方向)となるように図1のように配置し、この面光源装置を、図4に示す方法で、正面輝度を測定した。なお、輝度の均一性として、面光源ユニットの13点の輝度を測定し、標準偏差値を計算した。
【0096】
比較例1
拡散シートを用いた面光源装置にて、正面輝度を実施例1と同様に測定した。バックライト部に配置されていた拡散シートの光散乱特性を実施例1と同様にして図3の方法で測定したところ、散乱の異方性はなくFy(18°)/Fx(18°)=1.0であった。
【0097】
【表1】
Figure 2004087234
【0098】
表から明らかなように、比較例に比べて、実施例の異方性散乱シートは異方的散乱性が大きく、プリズムシートに対して適切な散乱光となり、輝度の均一性を向上させることができるとともに、正面輝度を大きく向上できる(実施例に対して比較例では約3%向上した)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の面光源ユニットを含む液晶表示装置の一例を示す概略分解斜視図である。
【図2】図2は図1の異方性散乱シートの異方的散乱を説明するための概念図である。
【図3】図3は光散乱特性の測定方法を説明するための概略斜視図である。
【図4】図4は面光源装置及びそれを使用した透過型液晶表示装置の輝度の角度依存性の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…表示装置
2…液晶表示ユニット
3…面光源ユニット
4…管状光源
5…導光部材
6a…反射部材又は反射層
6b…反射シート
7…異方性散乱シート
7a…連続相
7b…分散相
8,9…プリズムシート
10…保護シート

Claims (12)

  1. 管状光源と、この管状光源からの光を側面から入射して平坦な出射面から出射させるための導光部材とを備えている面光源ユニットであって、前記導光部材と表示ユニットとの間に、2つのプリズムシート及び異方性散乱シートが配設されている面光源ユニット。
  2. プリズムシートが、プリズム列の延出方向を互いに交差又は直交させるとともに、集光方向をいずれも表示ユニット側に向けて配設されている請求項1記載の面光源ユニット。
  3. 2つのプリズムシートが、異方性散乱シートのフロント側に配設されている請求項1記載の面光源ユニット。
  4. 導光部材の側部に管状光源が略平行に隣接して配設され、前記導光部材の裏面側に、前記管状光源からの光を表示ユニット側に反射するための反射部材が配設されている請求項1記載の面光源ユニット。
  5. 反射部材が反射シートで構成されている請求項4記載の面光源ユニット。
  6. 異方性散乱シートが、入射光を光の進行方向に散乱可能なフィルムであって、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す光散乱特性F(θ)において、X軸方向の光散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の光散乱特性をFy(θ)とするとき、θ=2〜40゜の範囲で、Fy(θ)/Fx(θ)の値が1.01以上である請求項1記載の面光源ユニット。
  7. 異方性散乱シートが、互いに屈折率が0.001以上異なる連続相と分散相粒子とで構成されており、分散相粒子の平均アスペクト比が1より大きく、かつ分散相粒子の長軸方向がフィルムのX軸方向に配向している請求項1記載の面光源ユニット。
  8. 連続相が結晶性樹脂で構成され、分散相粒子が非結晶性樹脂で構成されており、前記分散相粒子が、平均アスペクト比2〜1000であり、かつ短軸の平均長さが0.1〜10μmである請求項7記載の面光源ユニット。
  9. 異方性散乱シートが、連続相および分散相に対する相溶化剤を含み、分散相と相溶化剤との割合が、前者/後者=99/1〜50/50(重量比)である請求項1記載の面光源ユニット。
  10. 表示ユニットと、この表示ユニットを照明するための請求項1記載の面光源ユニットとで構成されている透過型表示装置。
  11. 表示ユニットが液晶表示ユニットである請求項10記載の透過型表示装置。
  12. 主たる光散乱方向を表示ユニットの表示面の横方向に向けて異方性散乱シートが配設されている請求項10記載の透過型表示装置。
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