以下に、添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の面状光源装置及び透過型液晶表示装置の一例を示す概略分解断面図である。
図1において、前記表示装置1は、液晶が封入された液晶セルを備えた被照明体としての液晶表示ユニット(又は液晶表示パネル)2と、この表示ユニット(又はパネル)の背面側に配設され、前記表示ユニット2を照明するための面状光源ユニット3とで構成されている。
前記面状光源ユニット3は、蛍光管(冷陰極管)などの管状光源4と、この管状光源からの光を側面から入射させて出射面から前方へ出射させるための導光部材(導光板)5とを備えている。この導光板5は、透光性プレート状部材で構成され、管状光源4の長手方向に沿って延び、かつ前記管状光源4からの光が入射する側面5aと、この側面から入射した光を内方に伝播させて前方に出射させる出射面5bとを有している。
前記管状光源4の側方及び前記導光板5の裏面側(底部)には、光源からの光を前記導光板5の前記側面5a側及び出射面5b側に反射させるためのリフレクタ手段6が配設されており、このリフレクタ手段6は、この例では、前記管状光源4の側方に前記管状光源4の周りを取り囲んで配設され、かつ光源からの光を導光部材5の側面5aに反射させるためのリフレクタ6aと、前記導光部材5の裏面側(底部)に配設され、かつ管状光源4からの光を前方方向(表示ユニット側)に反射して表示ユニット2に導くための反射部材又は反射シート6bとで構成されている。そのため、前記管状光源4からの光は導光部材5の側面から入射して平坦な出射面から出射する。
このような導光板5において、主たる出射光L1は、図2に示すように。出射面5bに垂直な軸V1に対して出射角θ1=45°以上の広角で出射する特性を有している。換言すれば、出射面5bの面方に沿った軸H1からの角度(90°−θ1)で出射光L1は出射面5bから斜め上方に出射している。このような出射特性を有する導光板は、例えば、導光板のうち出射面と反対側の底面(又は下部)に、光の屈折反射を利用して入射光を斜め方向に出射面から広角で出射させるための凹凸部(通常、微小凹凸部)が形成されている。この例では、出射角θ1=65〜80°程度で主たる出射光が出射可能な導光板が利用されている。
なお、このような出射特性を示す導光板の一例を図3に示す。図3は、X軸方向(X軸は図2のH1に一致し、X軸に示す角度はV1とH1が形成する平面内のV1に対する角度を表す)の輝度分布と角度θ1の関係において、θ1=約75度の強度が非常に強く、主たる出射光の角度は75度であることを表している。
本発明において、異方性拡散シートはその粒子状分散相の長軸方向を図2のH1にほぼ平行にして配置される。
導光板5の出射面側には、異方性拡散シート7が配設されており、この異方性拡散シートは、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成され、かつ連続相18中に異方形状の分散相28が分散した相分離構造(又は海島構造)を有する。なお、分散相28の長軸方向(X軸方向)は前記管状光源4の軸方向(表示体の水平方向,Y軸方向)に対して垂直方向に沿って延びている。
図4は異方性拡散シート7による光拡散を説明するための概念図である。異方性拡散シート7に対して垂直方向に光が入射した場合、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、光拡散の異方性は、フィルムのX軸方向(分散相28の長軸方向)の散乱特性をFx(θ)、X軸方向と直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、Fy(θ)/Fx(θ)で表される。そして、分散相28が長軸方向をX軸方向とする異方的形状をしているため、Fy(θ)>Fx(θ)となり、異方形状の分散相28によりX軸方向よりもY軸方向の光散乱強度を向上でき、X軸方向にはあまり強い散乱が生じない。換言すれば、異方性拡散シート7に対して斜め方向から光がX軸方向に沿って入射すると、入射光は分散相28により散乱されながら異方性拡散シート7を透過し、Y軸方向に光散乱強度が高い透過光を生成する。すなわち、異方性拡散シート7に対して斜め方向から出射光Llが入射すると、偏向して出射面5bの垂直軸に対して角度θ1よりも小さな角度θ2(θ2<θ1)で拡散光L2を透過できる。図5は異方性拡散シートによる多重散乱と偏向現象及び全反射現象を説明するための模式図である。
図5に示されるように、導光板5からの主たる出射光L1は広角の入射角θ1で異方性拡散シート7に入射する。出射光(入射光)L1は異方性拡散シート7の界面で屈折し、第1の分散粒子28aの散乱断面29aで散乱される。分散粒子が長軸方向をX軸方向に向けた異形粒子であるため、斜め入射に対する散乱断面29aは大きな散乱角をもたらす円形状ではなくある程度の散乱をもたらす楕円形状である。そのため、分散粒子28aは入射光をある程度散乱し、散乱光のうち異方性拡散シート7の入射面に対して小さな角度で散乱した光は第2の分散粒子28bにより散乱断面29bで散乱される。この散乱断面29bは第1の分散粒子28aの散乱断面29aよりも円形状に近く、散乱直径長さが小さいのでより強く散乱される。この散乱された光は異方性拡散シート7の出射面に到達したとき、全反射角を越える成分が多くなり、多くの全反射光L3を生じる。
一方、異方性拡散シート7の入射面に対して大きな角度で拡散シート7の出射面の方向に散乱された光は第3の分散粒子28cにより散乱断面29cで散乱される。この散乱断面29cは第1の分散粒子28aの散乱断面29aよりも楕円の長軸径が大きく、散乱直径長さが大きいので、散乱光はあまり散乱されず、異方性拡散シート7の出射面に到達したとき、ほとんどそのまま出射し出射光L2となる。
従って、入射光L1の入射角度θ1よりも小さい出射角θ2で主たる出射光L2が出射するので、異方性拡散シート7は入射光L1に対して一種の偏向効果を有することになる。
このように、異方性拡散シート7に主たる光が入射角θ1=45°以上の角度で入射し、しかも異方性拡散シート7が、入射光を入射面の面方向よりも入射面に対して垂直方向に強く散乱させて透過させると(光を異方性拡散シートに垂直方向に入射させたとき、強く散乱する方向に対して、異方性拡散シート7に対する入射光の投影軸が垂直である場合には)、多重散乱により、入射光は入射角度では出射せず、偏向して入射角よりも小さな角度で出射する。また、多重散乱により、異方性拡散シート7内でより広角に散乱された光は全反射することになり、この全反射光は反射板で回帰し、再利用され輝度の向上に寄与する。
このような散乱の理論は種々あるが、例えば、1個の球状粒子からの理論散乱関数(構造因子)P(q)は下記式で表される。
P(q)=(9π/2R3q3)×J3/2 2(qR)
J3/2(qR)=(2/πq3R3)1/2[sin(qR)−qR・cos(qR)]
q=(4π/λ)×sin(θ/2)
(式中、R:球状粒子の半径、λ:試料中の光波長、θ:試料中の散乱角である)
Rが小さいほど散乱が激しく、Rが大きいほど散乱が少なくなる。粒子が楕円体粒子の場合、短径方向は、Rが小さい方向に相当し、散乱が激しく、長径方向はRが大きい方向に相当する。従って、楕円体粒子の散乱は異方性散乱となり図4のようになる。
図6は異方性拡散シートによる入射光の偏向現象の一例を示すグラフである。図6では、入射角θ1=75°に絞って光を入射させたとき、出射角θ2=70°に偏向して出射している例を示している。なお、このような異方性拡散シートでは、出射角θ2が70°以下の低角域でも光をある程度散乱している。
前記異方性拡散シート7は、入射光の多重散乱と、この多重散乱に伴う偏向現象及び全反射現象により、異方性拡散シート7からの透過光において、第1のプリズムシート8が正面方向に集光する光の成分を増加させ、正面輝度を向上させる。しかも、通常の等方性拡散シートと異なり、種々の方向に光拡散せず、再帰作用がないので、その輝度分布をほとんど狭めることなく正面輝度を向上できる。
図7は本発明の異方性拡散シートにより、輝度分布において、導光板からの主たる出射光が偏向された例を示すグラフである。図7に示されるように、導光板からの出射光の輝度分布において角度θ=約75°に主たる輝度ピーク(主たる出射光)を有する出射光(図3参照)は、異方性拡散シートを透過することにより、角度θ=約60°に主たる輝度ピークを有する透過光(主たる出射光)となる。また、角度θ=60°を超える広角域では全反射効果により輝度が低下し、角度θ=60°以下の低角域では、導光板からの出射光の輝度よりも高い輝度が得られる。
そして、前記異方性拡散シート7と表示ユニット2との間には、断面三角形状の微小プリズム状凸部で構成され、かつ微小プリズム状凸部の延びる方向が前記導光板5の側面5aとほぼ平行な凸プリズム列8aを一方の面に有する第1のプリズムシート(凸プリズムシート)8が配設されており、このプリズムシート8の凸部は導光板5に対して反対側(異方性拡散シートの光透過面側)に向いている。なお、凸プリズム列8aは導光板5の側面又は管状光源4の軸方向に対して直交する方向に所定間隔毎に繰り返し形成されている。この第1のプリズムシート8は異方性拡散シートからの透過光を正面方向に集光する機能を有する。
このような面状光源装置3では、管状光源4からの光を導光板5で案内しつつ出射面5bから前方へ出射させ、拡散シート7で拡散しつつ第1のプリズムシート(凸プリズムシート)8で集光して表示ユニット2を照明できる。
図8(a)は凸プリズムシートによる集光機構を説明するための概略図である。凸プリズムシートによる集光機構は単純化すれば屈折現象で説明できる。図8(a)に示されるように、断面形状が二等辺三角形状の凸部(凸プリズム部)の入射面に対する入射光L2の入射角をθ2、入射面に対する入射光L2の屈折角をθ3、出射面に対する屈折光の入射角をθ4,出射面に対する出射光L3の出射角をθ5、凸部(凸プリズム部)の正面方向に対する出射光の角度をΘ、凸部(凸プリズム部)の屈折率をnとすると、これらの関係は次のように表される。
1)Sinθ2/Sinθ3=n
2)Sinθ5/Sinθ4=n(θ4+θ3=45°)
3)Θ=θ5−45°
図8(b)は前記関係式に基づき、入射角θ2と出射角Θの関係を計算し、グラフ化した図である。
従って、例えば、凸プリズム部の屈折率nを1.49(例えば、アクリル系樹脂)とすると、凸プリズムシートへの入射光の入射角が約26°であるとき(図では、入射角θ2は26°よりも大きい角度として示している)、正面輝度(Θ=0°)の向上に寄与することになる。なお、図8(a)では、正面とは、三角形の底辺に垂直な方向である。
なお、前記図7を参照すると、異方性拡散シートからの出射光(透過光)において、入射角θ2=±26°及びその周辺域での輝度が増大しており、これらの入射角度域での輝度向上が正面輝度の向上に寄与している。また、入射角θ2=±26°及びその周辺域以外の広角及び低角域での輝度の減少が大きくないため、正面方向に対して斜め方向からみても、輝度(すなわち輝度分布)の変化が少ない。
このように、特定の角度で出射光を出射する導光板と、特定の方向に配設された異方性拡散シートと、第1のプリズムシートとを組み合わせると、正面方向の輝度レベルを向上できるとともに、斜め方向からみても輝度(輝度分布)の変化を防止でき、輝度分布幅を拡げることができる。そのため、表示ユニットによる表示を広い視野角で鮮明に視認できる。
なお、面状光源装置は、導光板と異方性拡散シートと第1のプリズムシートとを備えていればよい。導光板の出射面は、通常、平滑面として形成され、平坦であってもよく湾曲していてもよい。図3及び図7では、出射光の輝度分布において、出射面に垂直な軸に対して極座標の一方の角度θ1に輝度ピークを有する主たる出射光の例を示したが、出射面に垂直な軸に対して互いに反対方向に主たる出射光が出射してもよい。例えば、極座標において、反対方向の角度θ1=±α°(例えば、+70°及び−70°)で主たる出射光が出射してもよい。このような出射光は、通常、極座標において互いに反対極の所定の位置(所定角度θ1)で同等の強度を有する。
導光板は、出射面に垂直な軸に対して出射角θ1=45°以上の広角で主たる出射光を出射すればよく、出射面に対する出射光の出射角θ1は、50〜85°、好ましくは60〜83°(例えば、65〜80°)程度であってもよく、70〜80°程度であってもよい。このような導光板は、出射面に対する反対面(底面)に、出射面からの光を広角に散乱させるための微小な凹凸部(傾斜部を有していてもよい凹凸部)が形成されている場合が多い。
出射面に対する主たる出射光の投影軸は、面状光源に対して種々の方向に設定でき、方形状面上光源に対して斜め方向であってもよいが、通常、平面形状が方形状の面状光源の辺方向にほぼ一致させる場合が多い。例えば、面状光源の平面形状が長方形状である場合、出射光の投影軸は、面状光源の長辺方向又は短辺方向に向けることができる。
光源の種類は特に制限されないが、通常、管状光源又は棒状光源である場合が多い。光源は(管状光源又は棒状光源)、導光板の側部及び/又は底部に配設すればよく、図1に示すように導光板の一方の側面にだけ配設してもよく、互いに対向する側面(例えば、互いに平行な両側面)に配設してもよく、互いに隣接する側面(例えば、1つの側面と、この側面に対して直交して延びる隣接する側面)に配設してもよく、導光板の全側面に配設してもよい。また、光源(管状光源又は棒状光源)は、導光板の出射面に対して反対側(底面)に配設してもよい。なお、管状光源及び棒状光源は冷陰極管で構成してもよく、並設された複数の発光素子(発光ダイオードなど)で構成してもよい。
リフレクタ手段は、導光板の周囲に配設され、光源からの光を出射面の方向に反射可能であればよく、通常、光源の側方及び前記導光板の底部に配設することができる。
第1のプリズムシートは、異方性拡散シートからの透過光を正面方向に集光可能であればよく、プリズムシートの凸プリズム列は、異方性拡散シートの光透過面側に向けて配置される。プリズムシートのプリズム(凸部、プリズム状凸部)の形状は特に制限されず、断面三角形状に限らず、台形状、正弦波状、三角波状などであってもよい。また、凸部及び凹部の傾斜角や密度、凹凸プリズム列の幅などにより、光の集光性又は配向特性を調整してもよい。
さらに、面状光源装置は、導光板と異方性拡散シートとの間、及び異方性拡散シートとプリズムシートの間のうち少なくとも一方の間に第2のプリズムシートを介在させてもよい。例えば、図9に示されるように、導光板5の出射面5bと異方性拡散シート7との間に、第2のプリズムシート18を配設してもよく、異方性拡散シート7と第1のプリズムシート8との間に第2のプリズムシートを配設してもよく、導光板5の出射面5bと異方性拡散シート7と第1のプリズムシート8との間のそれぞれに第2のプリズムシートを配設してもよい。なお、図9に示す例では、凸プリズム列18aを導光板5に向けて第2のプリズムシート18が配設されており、凸プリズム列18aは湾曲した断面三角波状に形成されている。このような第2のプリズムシートは、その凸部(凸面)を第1のプリズムシート8の方向に向けて配設してもよいが、通常、導光板5に対してその凸面を向けて配設する場合が多い。
必要であれば、第1のプリズムシート上には、さらに種々の機能シート、例えば、プリズムシート(第3のプリズムシート)、偏光変換型輝度上昇シート及び視野制限シートから選択された少なくとも一種のシートを配設し、出射光の特性を調整してもよい。
複数のプリズムシートを利用する場合、導光板の出射面に対するプリズム列(凸プリズム列)の配列方向は特に制限されず、少なくとも1つのプリズムシートのプリズム列(凸プリズム列)は、導光板からの主たる出射光の投影軸(出射面に対する主たる出射光の投影軸)に対して平行に配列していてもよいが、通常、投影軸に対して直交している。なお、プリズムシートの凸プリズム列が延びる方向は、導光板からの主たる出射光の投影軸に対して完全に直交している必要はなく、例えば、角度±15°程度の範囲内で交差していてもよい。複数のプリズムシートを配設する場合、各プリズムシートの配置方向は特に制限されず、凸プリズム列は同じ方向であってもよく異なる方向であってもよい。例えば、第1のプリズムシートと第2のプリズムシートとの配置において、第1のプリズムシートのプリズム列に対して第2のプリズムシートのプリズム列は直交していてもよい。
偏光変換型輝度上昇シートは、偏向軸と異なる方向の光を反射させて輝度を向上させるシートであってもよく、視野制限シートは複数のルーバーが厚み方向に傾斜して形成されたルーバーシートであってもよい。
前記異方性拡散シートは、導光板の出射面側に配置され、斜め方向から入射した入射光を入射面の面方向(入射面に対する入射光の投影方向)よりも入射面に対して垂直方向(プリズムシート方向又は正面方向)に強く散乱(異方的に散乱)させて透過可能であればよい。このような異方性拡散シートでは、出射面に投影する投影軸に対しほぼ垂直方向には強く光を散乱し、投影軸方向にはあまり強く散乱しない。より詳細には、異方性拡散シートは、異方性拡散シートは、樹脂で構成された連続相と、この連続相中に分散した異方形状の分散相とで構成できる。すなわち、異方性拡散シートにおいて、互いに屈折率が異なる連続相と粒子状分散相とを有し、かつ前記粒子状分散相の平均アスペクト比が1より大きい。そして、上記散乱特性をもたらすため、導光板の出射面に対する主たる出射光の投影軸をX軸としたとき、粒子状分散相の長軸方向をX軸方向に向けて異方性拡散シートが配設されている。換言すれば、異方性拡散シートのX軸方向が導光板の出射面に対する主たる出射光の投影軸に沿って配設されている。
異方性拡散シートの散乱特性は、散乱角θと散乱光強度Fとの関係を示す散乱特性F(θ)において、シートのX軸方向の散乱特性をFx(θ)、X軸方向に対してシート面内で直交するY軸方向の散乱特性をFy(θ)としたとき、異方性拡散シートが、散乱角θ=18°で、1000≧Fy(θ)/Fx(θ)≧1.5の関係式を充足する。散乱角θ=18°において、異方性の指標となるFy(θ)/Fx(θ)の値は、斜め入射した出射光をさらに正面方向寄りの斜め方向に優位に散乱可能な範囲、例えば、1.5〜1000程度の範囲から選択でき、2〜500(例えば、3〜300)、好ましくは5〜100(例えば、7〜50)、さらに好ましくは10〜25(例えば、10〜20)程度であってもよい。異方性の程度が高すぎると、偏向効果が少なくなるとともに異方性散乱が強すぎ、正面輝度を向上できなくなる。例えば、Fy(θ)/Fxが1000を超えうると、Y軸方向の散乱が少なく、偏向効果が非常に少なくなるとともに、X軸方向の散乱が過度に大きくなり輝度を向上するのが困難となる。一方、異方性の程度が低すぎると、等方的散乱となり、偏向効果は大きくなるものの、微粒子的散乱により光が大きく散乱されるため、輝度分布の幅が狭くなる。
また、異方性拡散シートの光拡散の程度の指標となるヘイズ値は、例えば、50〜95%、好ましくは60〜90%(例えば、65〜85%)、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜85%)程度であってもよい。ヘイズ値が低すぎると、偏向効果及び全反射効果が少なすぎ、広角に出射した光に対し偏向の程度が少なく、正面輝度が向上できない。ヘイズ値が高すぎると、多重散乱が多くなりすぎ、透過光成分が少なくなりすぎ、多くの成分が拡散光となるため、正面輝度を向上できなくなる。従って、異方性拡散シートの全光線透過率は、少なくとも85%以上(特に、87%以上)あるのが好ましく、通常、87〜95%(例えば、88〜93%)程度である。
異方性拡散シートは、斜め方向から入射した入射光を入射面の面方向よりも入射面に対して垂直方向に強く散乱させて透過させるための光拡散層(1)で構成されていればよく、異方性拡散シートは、光拡散層(1)の単一層構造であってもよく、光拡散層を保護するため、光拡散層(1)と、この光拡散層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層(2)とで構成された積層構造であってもよい。好ましい積層構造の異方性拡散シート37は、図10に示すように、光拡散層7aの両面に透明樹脂層38が積載された積層構造であり、2種3層の積層構造とすれば、分散相粒子の脱落や化学的安定性も高めることができる。光拡散層7aは、前記と同様に、連続相17と、この連続相中に分散した異方形状の分散相27とで構成されている。
異方性拡散フィルムの表面は平滑であってもよく、全光線透過率、光学的異方散乱特性、ヘイズ値などを満足する範囲内で、粗面化されていてもよい。このような粗面化により、隣接又は接触する部材(導光板、第1のプリズムシートなど)との密着を防止できる。いう補正拡散シートは少なくとも一方の面を粗面化すればく、両面を粗面化するとさらに好ましい。
光拡散層は、連続相(樹脂連続相、マトリックス樹脂)と、この連続相中に分散した分散相(粒子状、繊維状分散相などの散乱因子)とで構成されており、前記連続相と分散相とは、互いに屈折率が異なるとともに、通常、互いに非相溶又は難相溶である。連続相および分散相は、通常、透明性物質で形成できる。
光拡散層を構成する樹脂(連続相及び/又は分散相を構成する樹脂)には、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ハロゲン含有樹脂(フッ素系樹脂を含む)、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー)、および熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂など)などが含まれる。好ましい樹脂は熱可塑性樹脂である。
オレフィン系樹脂には、例えば、C2−6オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂など)、C2−6オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩(例えば、アイオノマー樹脂)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
ハロゲン含有樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有単量体の単独重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)、ハロゲン化ビニリデン系樹脂(ポリビニリデンフルオライド、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体)などが挙げられる。
ビニルアルコール系樹脂には、ポリビニルアルコールなどが含まれる。ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体又はそれらの誘導体)が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル(特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂)、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
ポリエステル系樹脂には、芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)として含むコポリエステルなど)、液晶性ポリエステルなどが例示できる。コポリエステルとしては、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。ポリエステル系樹脂は、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性であってもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド(キシリレンジアミンアジペート(MXD−6)などの芳香族ポリアミドなど)などが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシC2−4アルキルセルロース;C1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
なお、前記樹脂成分は、必要に応じて、変性(例えば、ゴム変性)されていてもよい。また、前記樹脂成分で連続相マトリックスを構成し、このマトリックス樹脂に分散相成分をグラフト又はブロック共重合してもよい。このような重合体としては、例えば、ゴムブロック共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)など)、ゴムグラフトスチレン系樹脂(アクリロニトリブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など)などが例示できる。
分散相(光散乱因子)は、マトリックス樹脂に対する無機又は有機微粒子や繊維の添加、マトリックス樹脂に対する屈折率の異なる樹脂の添加及び混練などにより形成できる。無機又は有機微粒子としては、無機酸化物(シリカ、アルミナ、酸化チタンなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、硫酸塩(硫酸バリウムなど)、天然鉱物又はケイ酸塩(タルクなど)などの無機粒子;架橋ポリスチレンビーズなどの架橋スチレン系樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチルなどの架橋アクリル系樹脂、架橋グアナミン系樹脂などの架橋樹脂粒子などが例示できる。繊維状分散相には、有機繊維、無機繊維などが含まれる。有機繊維は、耐熱性有機繊維、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維などであってもよい。無機繊維としては、例えば、繊維状フィラー(ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維,ジルコニア繊維などの無機繊維)、薄片状フィラー(マイカなど)などが挙げられる。
連続相又は分散相を構成する好ましい成分には、熱可塑性樹脂、例えば、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが含まれる。また、前記連続相及び/又は分散相を構成する樹脂は結晶性又は非晶性であってもよく、連続相及び分散相を非結晶性樹脂で構成してもよい。好ましい態様において、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることができる。すなわち、連続相及び分散相のうち一方の相(例えば、連続相)を結晶性樹脂で構成し、他方の相(例えば、分散相)を非結晶性樹脂で構成できる。
結晶性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン含量が90モル%以上のポリプロピレン系樹脂、ポリ(メチルペンテン−1)など)、ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン系樹脂など)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレートホモポリエステル、アルキレンアリレート単位の含有量が80モル%以上のコポリエステル、液晶性芳香族ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン46,ナイロン6,ナイロン66などの短鎖セグメントを有する脂肪族ポリエステルなど)などが例示できる。これらの結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。結晶性樹脂(結晶性ポリプロピレン系樹脂など)の結晶化度は、例えば、10〜80%程度、好ましくは20〜70%程度、さらに好ましくは30〜60%程度である。
連続相を構成する樹脂としては、通常、透明性および熱安定性の高い樹脂が使用される。好ましい連続相を構成する樹脂は、溶融特性として流動性の高い結晶性樹脂である。非結晶性樹脂としては、例えば、ビニル系重合体(アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール系樹脂などのビニル系単量体の単独又は共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、ポリカーボネート系重合体、非晶性ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、ジオール成分及び/又は芳香族ジカルボン酸成分の一部が置換されたポリアルキレンアリレートコポリエステル、ポリアリレート樹脂など)、ポリアミド系樹脂(長鎖セグメントを有する脂肪族ポリアミド、非結晶性芳香族ポリアミド)、熱可塑性エラストマー(ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマーなど)などが例示できる。前記非晶性ポリエステル系樹脂において、ポリアルキレンアリレートコポリエステルとしては、ジオール成分(C2−4アルキレングリコール)及び/又は芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、フタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸など)から選択された少なくとも一種を用いたコポリエステルなどが含まれる。非結晶性コポリエステル(例えば、エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=10/90〜60/40(モル%)、特に25/75〜50/50(モル%)程度のジオール成分を用いたポリエチレンテレフタレートコポリエステルや、フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンをジオール成分として用いたコポリエステルなど)は、屈折率が高く(例えば、1.57程度)、前記結晶性樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)とのコンパウンド化が比較的良好である。これらの非結晶性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
分散相を構成する樹脂としては、通常、透明性が高く、1軸延伸温度などの配向処理温度で容易に変形し、実用的な熱安定性を有する樹脂が使用される。分散相を構成する非結晶性樹脂のうち、非結晶性コポリエステル系樹脂およびポリスチレン系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂が好ましい。
連続相と分散相との屈折率の差は、例えば、0.001以上(例えば、0.001〜0.3程度)、好ましくは0.01〜0.3程度、さらに好ましくは0.01〜0.1程度である。
光拡散層において、連続相と分散相との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜30/70(例えば、95/5〜40/60)程度、好ましくは99/1〜50/50(例えば、95/5〜50/50)程度、さらに好ましくは99/1〜75/25程度の範囲から適宜選択できる。
光散乱シート(異方性拡散シート)は、必要に応じて相溶化剤を含有してもよい。相溶化剤を用いると、連続相と分散相との混和性および親和性を高めることができ、フィルムを配向処理しても欠陥(ボイドなどの欠陥)が生成するのを防止でき、フィルムの透明性の低下を防止できる。さらに、連続相と分散相との接着性を高めることができ、フィルムを一軸延伸しても、延伸装置への分散相の付着を低減できる。
相溶化剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、変性基(カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリニル基など)で変性された変性樹脂、ジエン又はゴム含有重合体[例えば、ジエン系単量体単独又は共重合性単量体(芳香族ビニル単量体など)との共重合により得られるジエン系共重合体(ランダム共重合体など);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのジエン系グラフト共重合体;スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン(SB)ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素化(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)ブロック共重合体などのジエン系ブロック共重合体又はそれらの水素添加物など]、前記変性基(エポキシ基など)で変性したジエン又はゴム含有重合体などが例示できる。これらの相溶化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
相溶化剤としては、通常、ポリマーブレンド系の構成樹脂と同じ又は共通する成分を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)、ポリマーブレンド系の構成樹脂に対して親和性を有する重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体)などが使用される。なお、変性は、変性基に対応する単量体(例えば、カルボキシル基変性では(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、酸無水物基変性では無水マレイン酸、エステル基変性では(メタ)アクリル系単量体、マレイミド基変性ではマレイミド系単量体、エポキシ変性では、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体)を共重合することにより行うことができる。また、エポキシ変性は、不飽和二重結合のエポキシ化により行ってもよい。
好ましい相溶化剤は、未変性又は変性ジエン系共重合体、特に変性ブロック共重合体(例えば、共役ジエンブロック又はその部分水素添加ブロックと、芳香族ビニルブロックとで構成され、前記共役ジエンブロックの二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたエポキシ化されたスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体などのエポキシ化ジエン系ブロック共重合体又はエポキシ変性ジエン系ブロック共重合体)である。
なお、相溶化剤(エポキシ化ブロック共重合体など)の屈折率は、分散相樹脂と略同程度(例えば、分散相樹脂との屈折率の差が、0〜0.01程度、好ましくは0〜0.005程度)であってもよい。
相溶化剤の使用量は、例えば、樹脂組成物全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
好ましい拡散シートにおいて、連続相、分散相、及び相溶化剤の割合は、例えば、(1)連続相/分散相(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは98/2〜60/40程度、さらに好ましくは90/10〜60/40程度、特に80/20〜60/40程度、(2)分散相/相溶化剤(重量比)=99/1〜50/50程度、好ましくは99/1〜70/30程度、さらに好ましくは98/2〜80/20程度である。
異方性散乱シートには紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが例示できる。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤は、通常、樹脂に対して相溶性又は溶解性を有する化合物が使用される。光拡散層が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤は、通常、主に連続相に溶解又は微分散している。
紫外線吸収剤の使用量は、例えば、紫外線吸収剤を含有する層又は連続相を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2.5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部程度である。
なお、紫外線吸収剤は、種々の安定剤(酸化防止剤、熱安定剤)、特に、樹脂の劣化を防止する光安定剤と組み合わせて使用してもよい。安定剤には、紫外線安定剤(ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケル−ジブチルジチオカルバメートなど)、ヒンダードアミン系光安定剤([ビス(2,2,6,6−テトラメチル4−ピペリジル)セバケートなど])などが含まれる。
さらに、光散乱性に悪影響を及ぼさない限り、紫外線吸収性微粒子(例えば、微粒子酸化亜鉛や酸化チタンなどの無機微粒子など)を、光散乱性や光透過性などを損なわない範囲(例えば、0.01〜1重量%程度の少量)で併用してもよい。
さらに、拡散シートは、慣用の添加剤、例えば、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤などを含有していてもよい。
拡散シートにおいて、分散相粒子は、長軸の平均長さLと短軸の平均長さWとの比(平均アスペクト比、L/W)が1である球状粒子であってもよい。また、異方性拡散シートでは、斜め入射の出射光を少なくとも正面方向側(入射方向よりも正面方向によった斜め方向)に優位に散乱させるため、アスペクト比が1より大きく、例えば、1.5〜1000(例えば、2〜500)程度、好ましくは3〜300程度、さらに好ましくは5〜200(例えば、7〜100)程度であり、通常、5〜50(例えば、10〜25)程度である。このような分散相粒子は、フットボール型形状(回転楕円状など)、繊維形状、直方形状などであってもよい。アスペクト比が大きい程、異方的な光散乱性を高めることができる。
なお、分散相の長軸の平均長さLは、例えば、0.1〜200μm程度、好ましくは1〜150μm程度、特に2〜100μm程度(例えば、2〜50μm程度)であり、通常、10〜100μm(例えば、10〜50μm)程度である。また、分散相の短軸の平均長さWは、例えば、0.01〜10μm(例えば、0.1〜10μm)程度、好ましくは0.15〜5μm(例えば、0.5〜5μm)程度、さらに好ましくは0.2〜2μm(例えば、0.5〜2μm)程度である。
分散相粒子の配向係数は、例えば、0.7以上(0.7〜1程度)、好ましくは0.8〜1程度、さらに好ましくは0.9〜1程度であってもよい。分散相粒子の配向係数が高い程、散乱光に高い異方性を付与できる。なお、配向係数は、下記式に基づいて算出できる。
配向係数=(3<cos2θ>−1)/2
式中、θは粒子状分散相の長軸とフィルムのX軸との間の角度を示し(長軸とX軸とが平行の場合、θ=0゜)、<cos2θ>は各分散相粒子について算出したcos2θの平均を示し、下記式で表される。
<cos2θ>=∫n(θ)・cos2θ・dθ
(式中、n(θ)は、全分散相粒子中の角度θを有する分散相粒子の割合(重率)を示す)
異方性拡散シートは、拡散光の指向性を有していてもよい。すなわち、指向性を有するとは、異方的拡散光において散乱の強い方向のうち、散乱強度が極大を示す角度があることを意味する。拡散光が指向性を有している場合、拡散光強度Fを拡散角度θに対してプロットしたとき、プロット曲線が、特定の拡散角度θの範囲(θ=0°を除く角度域)で極大又はショルダー(特に、極大などの変曲点)を有している。
拡散シートの厚みは、3〜300μm程度、好ましくは5〜200μm(例えば、30〜200μm)程度、さらに好ましくは5〜100μm(例えば、50〜100μm)程度である。また、光散乱シート(異方性拡散シート)の全光線透過率は、例えば、85%以上(85〜100%)、好ましくは90〜100%程度、さらに好ましくは90〜95%程度である。
積層構造の拡散シートにおいて、透明樹脂層を構成する透明樹脂は前記例示の樹脂から選択できるが、耐熱性や耐ブロッキング性を高めるためには、耐熱性樹脂(ガラス転移温度又は融点が高い樹脂など)、結晶性樹脂などが好ましい。透明樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点は、前記連続相を構成する樹脂のガラス転移温度又は融点と同程度であってもよく、例えば、130〜280℃程度、好ましくは140〜270℃程度、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
透明樹脂層の厚みは、前記光散乱シート(異方性拡散シート)と同程度であってもよい。例えば、光散乱層の厚みが3〜300μm程度の場合、透明樹脂層の厚みは3〜150μm程度から選択できる。光拡散層と透明樹脂層との厚みの割合は、例えば、光拡散層/透明樹脂層=5/95〜99/1程度、好ましくは50/50〜99/1程度、さらに好ましくは70/30〜95/5程度である。積層フィルムの厚みは、例えば、5〜600μm程度、好ましくは10〜400μm程度、さらに好ましくは20〜250μm程度である。
なお、拡散シートの表面には、光学特性を妨げない範囲で、シリコーンオイルなどの離型剤を塗布してもよく、コロナ放電処理してもよい。さらに、異方性を有する拡散シートには、フィルムのX軸方向(分散相の長軸方向)に延びる凹凸部を形成してもよい。このような凹凸部を形成すると、フィルムにより高い異方的光散乱性を付与できる。
[拡散シートの製造方法]
拡散シートは、樹脂と光散乱成分とを組み合わせることにより製造できる。例えば、基材フィルム上に、光散乱成分とバインダー樹脂とで構成された組成物を塗布するコーティング法や、前記組成物をラミネートする押し出しラミネート法などで製造できる。また、単層構造の拡散シートは、樹脂と光散乱成分とを含む樹脂組成物を、キャスティング法、押出成法などの慣用のフィルム成形法を利用して成形することにより製造できる。
なお、積層構造を有する拡散シートは、光拡散層に対応する成分で構成された樹脂組成物と、透明樹脂層に対応する成分で構成された樹脂組成物とを、共押し出し成形し、成膜する共押出成形法、予め作製した一方の層に対して他方の層を押し出しラミネートにより積層する方法、それぞれ作製した光拡散層と透明樹脂層とを積層するドライラミネート法などにより形成できる。
異方性拡散シートは、連続相を構成する樹脂中に分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)を分散して配向させることにより得ることができる。例えば、連続相を構成する樹脂と分散相を構成する成分(樹脂成分、繊維状成分など)と必要により紫外線吸収剤とを、必要に応じて慣用の方法(例えば、溶融ブレンド法、タンブラー法など)でブレンドし、溶融混合し、Tダイやリングダイなどから押出してフィルム成形することにより分散相を分散できる。
また、分散相の配向処理は、例えば、(1)押出成形シートをドローしながら製膜する方法、(2)押出成形シートを一軸延伸する方法、(3)前記(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法などにより行うことができる。なお、(4)前記各成分を溶液ブレンドし、流延法などにより成膜することによっても異方性を有する拡散シートを形成できる。
溶融温度は、樹脂成分(連続相樹脂、分散相樹脂)の融点以上の温度、例えば、150〜290℃、好ましくは200〜260℃程度である。ドロー比(ドロー倍率)は、例えば、1.5〜40倍(例えば、2〜30倍)、好ましくは3〜20倍、さらに好ましくは5〜15倍程度である。延伸倍率は、例えば、1.1〜50倍程度(例えば、3〜50倍程度)、好ましくは1.5〜30倍程度(例えば、5〜30倍程度)である。なお、ドローと延伸とを組み合わせる場合には、ドロー比は、例えば、1.5〜15倍(例えば、2〜10倍)程度、好ましくは2〜5倍程度であってもよく、延伸倍率は、例えば、1.1〜20倍程度(例えば、2〜20倍程度)、好ましくは1.5〜10倍程度(例えば、3〜10倍程度)であってもよい。
分散相のアスペクト比を容易に高める方法には、フィルム(例えば、製膜し、冷却したフィルム)を一軸延伸する方法、例えば、固化したフィルムの両端を引っ張る方法(引っ張り延伸)、互いに対向する一対のロール(2本ロール)を複数系列(例えば、2系列)並列し、それぞれの2本ロールにフィルムを挿入すると共に、繰り入れ側の2本ロールと繰出し側の2本ロールとの間にフィルムを張り渡し、繰出し側の2本ロールのフィルムの送り速度を繰り入れ側の2本ロールより速くすることにより延伸する方法(ロール間延伸)、互いに対向する一対のロールの間にフィルムを挿入し、ロール圧でフィルムを圧延する方法(ロール圧延)などが挙げられる。
好ましい一軸延伸方法には、フィルムの量産化が容易な方法、例えば、ロール間延伸、ロール圧延などが含まれ、特にロール圧延によれば、非結晶性樹脂のみならず、結晶性樹脂であっても容易に延伸できる。すなわち、通常、樹脂シートを一軸延伸すると、局部的にフィルムの厚みと幅が減少するネックインが発生し易いのに対し、ロール圧延によればネックインを防止でき、フィルムの延伸工程を安定化できる。そして、延伸の前後でフィルム幅の減少が少なく、かつ幅方向の厚みを均一にできるため、フィルムの幅方向において光散乱特性を均一化でき、製品の品質を維持しやすく、フィルムの使用率(歩留まり)も向上できる。さらに、延伸倍率を幅広く設定できる。なお、ロール圧延の場合、延伸の前後でフィルム幅を維持できるため、フィルム厚みの減少率の逆数と延伸倍率とが略等しくなる。ロール圧延の圧力は、例えば、1×104〜1×107N/m(約0.01〜10t/cm)程度、好ましくは1×105〜1×107N/m(約0.1〜10t/cm)程度である。ロール圧延は、例えば、厚み減少率(圧下率)0.9〜0.1程度、好ましくは0.77〜0.2程度、さらに好ましくは0.67〜0.33程度で行うことができる。
延伸温度は、分散相樹脂の融点又はガラス転移温度以上であってもよい。また、連続相を構成する樹脂として、分散相樹脂よりもガラス転移温度又は融点が高い樹脂(例えば、5〜200℃程度、好ましくは5〜100℃程度高い樹脂)を用い、分散相樹脂を融解又は軟化しながら一軸延伸すると、連続相樹脂に比べて分散相樹脂が非常に変形し易いため、分散相粒子のアスペクト比を大きくでき、光散乱の異方性が特に大きいフィルムが得られる。また、ロール圧延の温度は、連続相樹脂が結晶性樹脂の場合、樹脂の融点以下であって融点近傍の温度であってもよく、連続相樹脂が非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度以下であってガラス転移温度近傍の温度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(面光源装置)
導光板、プリズムシートとして、市販の7インチの透過型液晶表示装置(長方形状であり、長辺が横方向(Y軸方向、水平方向)に向けられている)に装着されている部材を用いた。この市販の7インチの面光源装置は、導光板の両側面に蛍光管が配置され、導光板には白色のリフレクタ手段(拡散型反射シート)が配置されている。導光板上には第2のプリズムシート及び第1のプリズムシート(X軸方向である縦方向に凸プリズム列が繰り返されて延びており、縦方向の光を集光する)と、偏光変換型輝度上昇シートとが順次積層されている。
(輝度分布の測定)
面光源装置を回転台の上に載置し、面光源の電源により発光させ、面光源装置を回転させて輝度分布を測定した。なお、輝度計(MINORUTA SPECTROMETAR CS-1000)を用い、面光源までの距離を30cmで測定した。
(導光板の輝度分布)
面光源装置の導光板からの出射特性(水平方向ではなくX軸方向である縦方向の出射特性)を測定したところ、図3に示す出射特性が測定された。導光板下部には特殊な溝が形成されており、この溝が図3に示す出射特性を示すと思われる。
比較例1
前記市販の7インチの面状光源装置、すなわち、図9において、拡散シート(異方性拡散シート)を備えておらず、導光板と第2のプリズムシートと第1のプリズムシートと偏光変換型輝度上昇シートとを備えた装置の輝度分布を、面光源装置の輝度分布を水平方向(横方向)及び垂直方向(縦方向)についてそれぞれ測定した。
そして、測定した輝度分布から、正面輝度と、縦方向及び横方向において正面輝度に対して輝度が1/3減少した位置の輝度分布の幅を算出し表1に示した。なお、比較例1で得られた上記正面輝度、輝度分布の幅を基準値とした。
実施例1
(異方性拡散シートの作製)
連続相樹脂として結晶性ポリプロピレン系樹脂PP(グランドポリマー(株)製F133,屈折率1.503)90重量部と、分散相樹脂としてポリスチレン系樹脂GPPS(汎用ポリスチレン系樹脂、ダイセル化学工業(株)製 GPPSHRM10N、屈折率1.589)9.5重量部、相溶化剤としてエポキシ化ジエン系ブロック共重合体樹脂(ダイセル化学工業(株)製、エポフレンドAT202;スチレン/ブタジエン=70/30(重量比)、エポキシ当量750、屈折率1.57)0.5重量部を用いて、光拡散層成分とした。前記結晶性ポリプロピレン系樹脂PPを用いて、透明層成分とした。
光拡散層成分と透明層成分をそれぞれ70℃で約4時間乾燥し、バンバリーミキサーで混練し、光拡散層成分と、表面層として透明層成分とを多層押出機で約220℃で溶融し、Tダイからドロー比約3倍で、表面温度60℃の冷却ドラムに対して押出し、中心層(光拡散層)60μmの両面に表面層(透明層)60μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み180μm)を作製した。
光学顕微鏡により中心の光拡散層を観察したところ、前記中心層中に分散相がラグビーボール状の形状(アスペクト比約8、平均長軸径約8μm、平均短軸径約1μm)で分散していた。このシートの異方性に関する光散乱特性は、Fy(18°)/Fx(18°)=約12の値を示した。また、ヘイズは75%、全光線透過率は90%であった。
(輝度分布の測定)
前記比較例1の面光源装置の第2のプリズムシートに代えて、上記異方性散乱シートを導光板上に配置した。なお、分散相の長軸方向(X軸方向)を導光板の縦方向(X軸方向)に向けて異方性拡散シートを配設した。さらに異方性拡散シート上に第1のプリズムシート及び偏光変換型輝度上昇シートを置いた状態で、面光源装置の輝度分布を水平方向(横方向)及び垂直方向(縦方向)についてそれぞれ測定した。
そして、測定した輝度分布から、面光源に対して垂直な方向の正面輝度と、縦方向及び横方向において正面輝度に対して輝度が1/3減少した位置の輝度分布の幅を算出し、表1に示した。なお、表1に示す値は、前記比較例1での値(正面輝度と、縦方向及び横方向での上記輝度分布幅)をそれぞれ基準値とし、正面輝度は比較例1での基準値「1」に対する比率で示し、輝度分布の幅は基準値に対する差で示した。
比較例2
比較例1において、第2のプリズムシートに代えて当方性拡散フィルム(ツジデン製D117T ヘイズ73%)を用い、比較例1と同様にして輝度分布を測定した。
実施例2
比較例1の第1のプリズムシートと第2プリズムシートとの間に実施例1の異方性拡散シートを配設し、比較例1と同様にして輝度分布を測定した。
比較例3
比較例1の装置から第2のプリズムシートを除去して、プリズムシートとして第1のプリズムシートだけを備えた装置の輝度分布を測定した。
実施例3
実施例1と同様にして、異方性拡散シートとして、中心層(光拡散層)80μmの両面に表面層(透明層)50μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み180μm)を作製した。このシートの異方性に関する光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)=約10の値を示した。また、ヘイズは85%、全光線透過率は89%であった。
実施例1の異方性拡散シートに代えて、得られた異方性拡散シートを用いる以外、実施例1と同様にして輝度分布を測定した。
実施例4
実施例1と同様にして、異方性拡散シートとして、中心層(光拡散層)40μmの両面に表面層(透明層)60μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み180μm)を作製した。このシートの異方性に関する光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)=約14の値を示した。また、ヘイズは65%、全光線透過率は91%であった。
実施例1の異方性拡散シートに代えて、得られた異方性拡散シートを用いる以外、実施例1と同様にして輝度分布を測定した。
実施例5
ドロー比を10倍とする以外、実施例1と同様にして、異方性拡散シートとして、中心層(光拡散層)60μmの両面に表面層(透明層)10μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み80μm)を作製した。このシートの異方性に関する光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)=約16の値を示した。また、ヘイズは75%、全光線透過率は90%であった。
実施例1の異方性拡散シートに代えて、得られた異方性拡散シートを用いる以外、実施例1と同様にして輝度分布を測定した。
実施例6
ドロー比を2倍とする以外、実施例1と同様にして、異方性拡散シートとして、中心層(光拡散層)40μmの両面に表面層(透明層)130μmを積層し、透明層/光拡散層/透明層で構成された二種三層の積層シート(厚み300μm)を作製した。このシートの異方性に関する光散乱特性はFy(18°)/Fx(18°)=約4の値を示した。また、ヘイズは76%、全光線透過率は89%であった。
実施例1の異方性拡散シートに代えて、得られた異方性拡散シートを用いる以外、実施例1と同様にして輝度分布を測定した。
実施例1では、比較例1(市販の7インチの面状光源装置)に比べ、輝度が約7%向上しており、等方拡散シートを使用した比較例2に比べて、輝度分布の幅の低下は小さい。