JP2002283033A - ダイカスト鋳造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な駆動シリンダーを用いた場合でも局
部加圧ピンの進退動作（前進限及び後退限）を的確にコ
ントロール出来るようにする。 【解決手段】 局部加圧用ピン４を進退動作させるため
の駆動用シリンダー６を金型（固定型１，可動型２）に
取付け、該駆動用シリンダーと局部加圧用ピンとを連結
せしめる連結部７の前方及び後方位置に当該局部加圧用
ピンの前進限を位置決めするための前進限ストッパー８
と後退限を位置決めするための後退限ストッパー９を設
けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカスト鋳造装
置に関し、更に詳しくは、金型キャビティに向け局部加
圧用ピンを出没自在に設けて、金型キャビティ内に射出
充満された溶湯が多少凝固した状態においてその鋳造製
品の肉厚部等に上記局部加圧ピンを押し込んで鋳造する
ようにしたダイカスト鋳造装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ダイカスト鋳造では、鋳造製品の一部に
肉厚部があるとその部分が最終凝固部となって凝固収縮
に伴う鋳巣が発生しやすくなるため、製品肉厚部の凝固
収縮を補うべく、金型キャビティ内に射出充満された溶
湯が多少凝固した状態において当該製品肉厚部に局部加
圧ピンを押し込んで加圧する鋳造法が従来から実施され
ている。しかし実際問題として、局部加圧ピンによる加
圧のタイミング及び加圧のストローク（加圧の加減）が
設定通りに行なわれないと所定の加圧効果が期待できな
くなるので、局部加圧ピンの進退動作のコントロールが
難しく、特に局部加圧ピンを駆動シリンダーで進退動作
させる場合、駆動シリンダーの油・空圧を適確にコント
ロールしなければならないため高価な駆動シリンダーを
必要としていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状に鑑みてなされたものであり、安価な駆動シリンダー
を用いた場合でも局部加圧ピンの進退動作（前進限及び
後退限）を的確にコントロールすることが可能なダイカ
スト鋳造装置を提供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成する本
発明の請求項１記載のダイカスト鋳造装置は、金型キャ
ビティに向け局部加圧用ピンを出没自在に設けてなるダ
イカスト鋳造装置において、局部加圧用ピンを進退動作
させるための駆動用シリンダーを金型に取付け、該駆動
用シリンダーと局部加圧用ピンとを連結せしめる連結部
の前方及び後方位置に当該局部加圧用ピンの前進限を位
置決めするための前進限ストッパーと後退限を位置決め
するための後退限ストッパーを設けてなることを特徴と
したものである。また、請求項２記載のダイカスト鋳造
装置は、前記局部加圧用ピンを固定型と可動型のどちら
か一方の型の側壁部分から金型キャビティに向け型合わ
せ面と並行する方向に出没自在に設けると共に、前記前
進限ストッパーを上記局部加圧用ピンを設けた方の型の
側壁部分に設け、前記後退限ストッパーを他方の型の側
壁部分に設けてなることを特徴としたものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な好適実施
例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は図示実
施例のものに限定されるものではなく、いろいろなバリ
エーションが考えられる。

【０００６】図中の符号１は固定型、符号２は可動型を
示し、これら固定型１と可動型２とで構成されるキャビ
ティ３内に射出スリーブ(図示せず)から溶湯を射出充満
させ、キャビティ３内に充満された溶湯が多少凝固した
状態においてその鋳造製品Ｓにおける肉厚部Ｓ’等に局
部加圧ピン４を押し込んで鋳造する仕組みになってい
る。

【０００７】局部加圧ピン４は、キャビティ３を構成す
る固定型１と可動型２のどちらか一方または両方の型の
背面部分１’，２’または側壁部分１”，２”から金型
キャビティ３の所定の場所（製品肉厚部Ｓ’等）に向け
て形成された設置穴５内に出没自在に設けられ、当該局
部加圧ピン４が設置された方の金型（固定型１，可動型
２）に取付けられた駆動用シリンダー６により軸方向に
沿って進退動作するように構成されている。そして、局
部加圧用ピン４と上記駆動用シリンダー６とを連結させ
る連結部７の前方及び後方位置には、当該局部加圧用ピ
ン４の前進限を位置決めするための前進限ストッパー８
と後退限を位置決めするための後退限ストッパー９を設
ける。尚、図中の符号１０は局部加圧用ピン４の進退動
作をスムーズにさせるためのホルダーである。また、駆
動用シリンダー６としては、油圧で動作するものでも空
圧で動作するものでもどちらでも良い。

【０００８】図面実施例の場合、局部加圧用ピン４を可
動型２の側壁部分２”から金型キャビティ３の製品肉厚
部３’に向けて型合わせ面２ａと並行する方向に出没自
在に設け、駆動用シリンダー６を同じ可動型２の側壁部
分２”にブラケット１１を介して取付けたものである。
そして、駆動用シリンダー６のロッド６ａと局部加圧用
ピン４とを連結ロッド１２を介して分離自在に連結せし
める。

【０００９】即ち、連結ロッド１２の一端側にカップリ
ング部１２ａを形成すると共に、連結ロッド１２の他端
側には局部加圧用ピン４の基端側に形成された係合凸部
４ａを分離自在に係合連結させるための連結部７を形成
し、駆動用シリンダー６のロッド６ａと連結ロッド１２
の一端側（カップリング部１２ａ）とをカップリング１
３で連結せしめ、連結ロッド１２の他端側（連結部７）
に局部加圧用ピン４の係合凸部４ａを分離自在に係合連
結させるものである。尚、連結ロッド１２を用いずに、
駆動用シリンダー６のロッド６ａと局部加圧用ピン４の
係合凸部４ａとをカップリング１３等で直接連結させる
ようにしても良い。その場合には、当該カップリング１
３が連結部７に相当することになる。

【００１０】そして、局部加圧用ピン４と駆動用シリン
ダー６とを連結せしめる連結部７の前方及び後方位置に
は、局部加圧用ピン４の前進限を位置決めするための前
進限ストッパー８と後退限を位置決めするための後退限
ストッパー９を設ける。具体的には、図示実施例の場
合、局部加圧用ピン４が設けられた方の型（可動型２）
の側壁部分２”に、連結部７が進入し得る程度の大きさ
を有する室１４を形成し、その室１４内の奥壁に前進限
ストッパー８をその突出加減を自由に調節できるように
突設せしめ、また他方の型（固定型１）の側壁部分１”
に、金型（固定型１，可動型２）が型閉めされた状態に
おいて連結部７の後方に位置するように後退限ストッパ
ー９を設けてなる。

【００１１】次に、駆動用シリンダー６により進退動作
する局部加圧用ピン４の挙動について、工程順に説明す
る。金型（固定型１，可動型２）が型開きされた状態で
は、局部加圧用ピン４はその先端部４ｂが設置穴５内に
完全に没入して金型キャビティ３から引っ込んでいる位
置まで後退している。この時の局部加圧用ピン４の後退
限は、カップリング１３がブラケット１１に当接するこ
とにより位置決め規制されている。（図１参照）

【００１２】次に、金型（固定型１，可動型２）が型閉
めされた初期の状態では、局部加圧用ピン４が前進動作
して、駆動用シリンダー６と局部加圧用ピン４との連結
部７が可動型２の側壁部分２”に形成された室１４内に
進入し、最終的に室１４内の奥壁に突設せしめた前進限
ストッパー８に連結部７が当接することにより局部加圧
用ピン４の前進動作が停止する。この時、局部加圧用ピ
ン４の先端部４ｂは設置穴５から金型キャビティ３内に
最大限突出した状態に設定される。一方、金型（固定型
１，可動型２）の型閉め動作の完了と同時に、固定型１
の側壁部分１”に設けられた後退限ストッパー９が、駆
動用シリンダー６と局部加圧用ピン４との連結部７の後
方に所定の間隔Ｌ_１をおいて位置するようになる。（図
２参照）

【００１３】而して、金型（固定型１，可動型２）の型
閉め動作が完了した後、金型キャビティ３内に溶湯を射
出充満する前に、局部加圧用ピン４を一旦後退動作させ
る。局部加圧用ピン４の後退動作は、駆動用シリンダー
６と局部加圧用ピン４との連結部７が固定型１側に設け
られた後退限ストッパー９に当接することにより所定の
位置（図２において、間隔Ｌ_１だけ後退した位置）で停
止する。すると、局部加圧用ピン４の先端部４ｂが金型
キャビティ３内に僅かに突出するか或いは金型キャビテ
ィ３と面一状となる位置に位置決めされ、局部加圧用ピ
ン４が加圧待機状態となる（図３参照）。その後に、金
型キャビティ３内に溶湯を射出充満させる。

【００１４】そして、金型キャビティ３内に射出充満さ
れた溶湯が多少凝固した状態において、局部加圧用ピン
４を前進動作させてその先端部４ｂを製品肉厚部Ｓ’に
押し込む。すると、局部加圧用ピン４は、駆動用シリン
ダー６と局部加圧用ピン４との連結部７が前進限ストッ
パー８に当接するまで前進動作して、前退限の位置決め
がされる。その結果、局部加圧用ピン４の先端部４ｂが
金型キャビティ３の製品肉厚部Ｓ’内部に所定のストロ
ーク（図３に示した間隔Ｌ_２分）で進入することにな
る。（図４参照）

【００１５】最後に、金型キャビティ３内の溶湯が完全
に凝固したら、金型（固定型１，可動型２）の型開きを
行なう。すると、可動型２の側壁部分２”に設けられた
後退限ストッパー９が可動型２と一緒になって固定型１
から離れ、その結果、駆動用シリンダー６と局部加圧用
ピン４との連結部７の後方が開放されることになる。そ
こで、鋳造製品Ｓを金型キャビティ３から取り出す前
に、局部加圧用ピン４を後退動作させて、局部加圧用ピ
ン４の先端部４ｂを鋳造製品Ｓの肉厚部Ｓ’から引き抜
き、然る後に、鋳造製品Ｓを金型キャビティ３から取り
出すと、図１の状態となるので、以下この工程を繰り返
して製品を鋳造する。

【００１６】

【発明の効果】本発明に係るダイカスト鋳造装置によれ
ば、局部加圧用ピンを進退動作させるための駆動用シリ
ンダーを金型に取付け、該駆動用シリンダーと局部加圧
用ピンとを連結せしめる連結部の前方及び後方位置に当
該局部加圧用ピンの前進限を位置決めするための前進限
ストッパーと後退限を位置決めするための後退限ストッ
パーを設けてなるので、安価な駆動シリンダーを用いた
場合でも局部加圧ピンの進退動作（前進限及び後退限の
位置決め）を的確にコントロールすることが可能とな
り、局部加圧用ピンによる効果的な局部加圧を行なうこ
とが出来る。

【００１７】また、特に請求項２記載に係るダイカスト
鋳造装置によれば、局部加圧用ピンを固定型と可動型の
どちらか一方の型の側壁部分から金型キャビティに向け
型合わせ面と並行する方向に出没自在に設けると共に、
前進限ストッパーを上記局部加圧用ピンを設けた方の型
の側壁部分に設け、後退限ストッパーを他方の型の側壁
部分に設けてなるので、局部加圧用ピンを型合わせ面と
並行する方向に設置することが出来ると共に、局部加圧
ピンの後退限を位置決めするための後退限ストッパーは
金型の開閉動作により自動的に駆動用シリンダーと局部
加圧用ピンとの連結部から係脱させることが可能とな
る。従って、後退限ストッパーを駆動用シリンダーと局
部加圧用ピンとの連結部から係脱させるための格別な機
構を必要とせず、安価に構成することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明実施の一例を示す模式断面図で、型開
き状態を示す。

【図２】 同型閉め初期時の状態を示す模式断面図。

【図３】 同金型キャビティ内に溶湯を充満させた状態
を示す模式断面図。

【図４】 同製品肉厚部に局部加圧用ピンを押し込んで
いる状態を示す模式断面図。

【符号の説明】

１：固定型 ２：可動型 １’，２’：背面部分 １”，２”：側壁
部分 ３：キャビティ ４：局部加圧用ピ
ン ５：設置穴 ６：駆動用シリン
ダー ７：連結部 ８：前進限ストッ
パー ９：後退限ストッパー １０：ホルダー １１：ブラケット １２：連結ロッド １３：カップリング １４：室

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型キャビティに向け局部加圧用ピンを
   出没自在に設けてなるダイカスト鋳造装置において、前
   記局部加圧用ピンを進退動作させるための駆動用シリン
   ダーを金型に取付け、該駆動用シリンダーと前記局部加
   圧用ピンとを連結せしめる連結部の前方及び後方位置に
   当該局部加圧用ピンの前進限を位置決めするための前進
   限ストッパーと後退限を位置決めするための後退限スト
   ッパーを設けてなることを特徴とするダイカスト鋳造装
   置。
2. 【請求項２】 前記局部加圧用ピンを固定型と可動型の
   どちらか一方の型の側壁部分から金型キャビティに向け
   型合わせ面と並行する方向に出没自在に設けると共に、
   前記前進限ストッパーを上記局部加圧用ピンを設けた方
   の型の側壁部分に設け、前記後退限ストッパーを他方の
   型の側壁部分に設けてなる請求項１記載のダイカスト鋳
   造装置。