JP2002119910A - 表面保護塗膜の積層方法およびその積層方法を用いて製造された表面保護塗膜付き化粧材 - Google Patents

表面保護塗膜の積層方法およびその積層方法を用いて製造された表面保護塗膜付き化粧材

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JP2002119910A
JP2002119910A JP2000312433A JP2000312433A JP2002119910A JP 2002119910 A JP2002119910 A JP 2002119910A JP 2000312433 A JP2000312433 A JP 2000312433A JP 2000312433 A JP2000312433 A JP 2000312433A JP 2002119910 A JP2002119910 A JP 2002119910A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れ且つ表面に接触する他の物体
を傷つけない表面保護塗膜の生産性のよい積層方法と、
その方法を用いて製造された耐摩耗性及び表面に接触す
る他の物体に対する安全性に優れ、また、光沢度にも自
由度のある表面保護塗膜付き化粧材を提供する。 【解決手段】 化粧基材など基材1の表面上に、架橋硬
化性樹脂5中に該架橋硬化性樹脂よりも高硬度の粒子6
を分散させてなる第1の表面保護塗膜3と、架橋硬化性
樹脂5′からなる第2の表面保護塗膜4とを、この順
に、それぞれの塗布液を多層同時コーティング法を用い
て同時に塗布し、乾燥、架橋硬化させて積層する。架橋
硬化性樹脂5、5′には電離放射線硬化型樹脂を用いる
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面保護塗膜の積
層方法、およびその積層方法を用いて製造される耐摩耗
性に優れた表面保護塗膜付き化粧材の技術分野に属し、
化粧材としては、特に、建築物の床面、壁面、天井など
の内装、家具ならびに各種キャビネットなどの表面装飾
用材料として好適に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧材の表面の耐摩耗性を向上さ
せる方法として、例えば、化粧材の表面に、比較的硬
度が高く耐摩耗性に優れた樹脂の塗膜を表面保護塗膜と
して積層する方法、また、硬度が高く耐摩耗性に優れ
た樹脂として、架橋性樹脂を用い、これにアルミナなど
高硬度の粒子を含有させた樹脂組成物よりなる塗膜を化
粧材の表面に積層して耐摩耗性を向上させる方法、更
に、表面保護塗膜を下層と上層の2層で構成し、化粧
材の表面に、先ず、下層として、硬度が高く耐摩耗性に
優れた架橋性樹脂にそれよりも高硬度の粒子を含有させ
た樹脂組成物よりなる塗膜を積層し、次いでその上に、
上層として、表面保護塗膜の折り曲げ加工などの加工性
を損なわないよう、下層に用いた架橋性樹脂よりは可撓
性の高い架橋性樹脂の塗膜を積層して、折り曲げなどの
加工性を低下させることなく耐摩耗性を向上させる方法
がある。
【0003】しかし、前記の方法では、耐摩耗性の向
上は可能であるが、そのレベルが低く、床材など摩擦条
件の厳しい用途に使用する場合には、耐摩耗性が不十分
であった。また、の方法によれば、耐摩耗性のレベル
は一段と向上させることができる。しかしその反面、塗
膜表面に高硬度の粒子が露出するため、皮膚や衣服、ス
トッキングなどを傷つける問題があり、また、表面に露
出した粒子が光を拡散反射するため、低光沢となり、光
沢度に自由度がなくなる問題があった。この点、の方
法は、耐摩耗性のレベルを更に向上させることができる
上、塗膜表面に高硬度の粒子が露出することもないの
で、皮膚や衣服、ストッキングなどを傷つけることもな
く、また、光沢度にも自由度が得られ、前記の方法の
欠点を解消することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の方法
でも、化粧材の表面に表面保護塗膜を積層する際、従来
の方法では、下層と上層の塗布液を別々に塗布し、それ
ぞれを乾燥、架橋硬化させて積層する必要があり、工程
が2工程になると共に、特に下層の架橋性樹脂が電離放
射線硬化型樹脂の場合、下層の樹脂が先に十分に硬化し
やすく、十分に硬化してしまうと上層の樹脂の下層の樹
脂に対する接着性が不十分になりやすい問題があった。
【0005】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであり、その目的とするところは、基材
の表面上に、架橋硬化性樹脂中に該架橋硬化性樹脂より
も高硬度の粒子を分散させてなる第1の表面保護塗膜
と、架橋硬化性樹脂からなる第2の表面保護塗膜とを、
この順に積層する表面保護塗膜の積層方法であって、積
層工程を簡略化できると共に、前記第1の表面保護塗膜
と前記第2の表面保護塗膜との接着性も強く安定化で
き、耐摩耗性に優れ、且つ、表面に前記高硬度の粒子が
露出することがなく、表面に接触する衣服やストッキン
グなどの物体を傷つけることもなく、光沢度においても
自由度のある表面保護塗膜の積層方法を提供し、また、
その積層方法を用いて製造された耐摩耗性に優れ、且
つ、表面に接触する衣服やストッキングなどの物体を傷
つけることもなく、光沢度においても自由度のある表面
保護塗膜付き化粧材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、以下の本
発明により解決することができる。即ち、請求項1に記
載した発明は、基材の表面上に、架橋硬化性樹脂中に該
架橋硬化性樹脂よりも高硬度の粒子を分散させてなる第
1の表面保護塗膜と、架橋硬化性樹脂からなる第2の表
面保護塗膜とを、この順に積層する表面保護塗膜の積層
方法であって、前記第1の表面保護塗膜の塗布液と前記
第2の表面保護塗膜の塗布液とを、多層同時コーティン
グ法を用いて、この順に基材の表面上に同時に塗布し、
その後、両方の塗布液を同時に架橋硬化させて積層する
ことを特徴とする表面保護塗膜の積層方法である。
【0007】請求項1に記載した発明によれば、前記第
1の表面保護塗膜の塗布液と、前記第2の表面保護塗膜
の塗布液とを1工程で基材の表面上に塗布し、且つ、架
橋硬化させて表面保護塗膜を積層することができるの
で、工程を簡略化できると共に、第1の表面保護塗膜が
先に架橋硬化されることがないので、第1の表面保護塗
膜と第2の表面保護塗膜との接着性も強く安定化され、
耐摩耗性に優れ、且つ、第2の表面保護塗膜には高硬度
の粒子が含まれていないので、表面に高硬度の粒子が露
出せず、表面に接触する衣服やストッキングなどの物体
を傷めることもなく、光沢度においても自由度のある表
面保護塗膜の積層方法を提供することができる。
【0008】尚、このような表面保護塗膜の積層方法
は、建築物の床面、壁面、天井などの内装、家具ならび
に各種キャビネットなどに用いる化粧材の表面保護塗膜
の積層に好適に使用できるが、化粧材以外の分野でも、
耐摩耗性を必要とする部材であれば、その表面保護塗膜
の積層に広く利用できるものである。
【0009】請求項2に記載した発明は、前記第1の表
面保護塗膜に用いられる架橋硬化性樹脂と、前記第2の
表面保護塗膜に用いられる架橋硬化性樹脂とが、電離放
射線硬化型樹脂であり、前記塗布液の架橋硬化を電離放
射線の照射により行うことを特徴とする請求項1記載の
表面保護塗膜の積層方法からなる。
【0010】このような積層方法を採ることにより、請
求項1に記載した発明の作用効果に加えて、基材の表面
上に塗布された前記第1の表面保護塗膜用の塗布液と前
記第2の表面保護塗膜用の塗布液とを同時に殆ど瞬時に
架橋硬化させて積層することができるので、生産性を著
しく向上させることができる。
【0011】請求項3に記載した発明は、化粧基材の表
面上に、架橋硬化性樹脂中に該架橋硬化性樹脂よりも高
硬度の粒子を分散させてなる第1の表面保護塗膜と、架
橋硬化性樹脂からなる第2の表面保護塗膜とが、この順
に積層されてなる化粧材であって、前記第1の表面保護
塗膜と前記第2の表面保護塗膜とが、それぞれの塗布液
を多層同時コーティング法を用いて、この順に化粧基材
の表面上に、同時に塗布され、架橋硬化されて積層され
ていることを特徴とする表面保護塗膜付き化粧材からな
る。
【0012】このような構成を採ることにより、本発明
の表面保護塗膜付き化粧材は、下層となる第1の表面保
護塗膜と上層となる第2の表面保護塗膜の両方に、架橋
硬化性樹脂が用いられているので、耐摩耗性に優れてお
り、更に、第1の表面保護塗膜には、その架橋硬化性樹
脂よりも高硬度の粒子が分散されているので、一層耐摩
耗性が向上される。そして、上層の第2の表面保護塗膜
には、前記高硬度の粒子が含まれていないので、化粧材
の表面に高硬度の粒子が露出することがなく、そのため
表面に接触する衣服やストッキングなどの物体を傷める
こともなく、また、光沢度においても自由度のある化粧
材とすることができる。また、第1の表面保護塗膜と第
2の表面保護塗膜とが、それぞれの塗布液を多層同時コ
ーティング法で塗布され、且つ、同時に架橋硬化されて
積層されているので、生産性が向上されると共に、両者
の接着性が強く安定化され、層間で剥離するようなこと
がなく、耐摩耗性の向上にも寄与している。
【0013】請求項4に記載した発明は、前記第1の表
面保護塗膜に用いられる架橋硬化性樹脂と、前記第2の
表面保護塗膜に用いられる架橋硬化性樹脂とが、電離放
射線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項3に記載
の表面保護塗膜付き化粧材である。
【0014】このような構成を採ることにより、請求項
3に記載した発明の作用効果に加えて、化粧基材の表面
上に塗布された前記第1の表面保護塗膜用の塗布液と前
記第2の表面保護塗膜用の塗布液とを、電離放射線の照
射により、同時に、且つ殆ど瞬時に架橋硬化させて積層
することができるので、一層生産性が向上され、また、
第1の表面保護塗膜と第2の表面保護塗膜との接着性も
強く安定化され、耐摩耗性、表面に接触する物体に対す
る摩擦安全性、光沢度に対する自由度などの性能に一層
優れた表面保護塗膜付き化粧材を提供することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を具体
的に説明する。図1は、本発明の表面保護塗膜付き化粧
材の一実施例の構成を示す模式断面図である。また、図
2、図3、図4は、それぞれ本発明の表面保護塗膜の積
層方法に用いる多層同時コーティング法の一例を説明す
る要部の断面図であり、図2は多層エクストルージョン
コート法、図3は多層カーテンコート法、図4は多層ス
ライドコート法を説明する図である。
【0016】図1に示した表面保護塗膜付き化粧材10
0は、基材1の表面上に模様2が設けられ、模様2を含
む基材1の全面の上に、架橋硬化性樹脂5にその架橋硬
化性樹脂5よりも高硬度の粒子6が分散されてなる第1
の表面保護塗膜3が設けられ、更にその上に、架橋硬化
性樹脂5′よりなる第2の表面保護塗膜4が設けられて
構成されている。そして、上記第1の表面保護塗膜3と
第2の表面保護塗膜4とは、それぞれの塗布液を多層同
時コーティング法を用いて、同時に模様2を含む基材1
の全面の上に塗布し、乾燥、架橋硬化させる方法で、両
者の積層体からなる表面保護塗膜7として積層されてい
る。
【0017】従って、最外層となる第2の表面保護塗膜
4には前記高硬度の粒子6が含まれず、且つ、第1の表
面保護塗膜3が先に架橋硬化されることもないので、表
面保護塗膜7の表面に高硬度の粒子6が露出することも
なく、また、第1の表面保護塗膜3と第2の表面保護塗
膜4との接着性が損なわれることもなくなり、耐摩耗性
に優れると共に、表面に接触する衣服やストッキングな
どを傷つけることもなく安全で、光沢度の点でも自由度
のある表面保護塗膜付き化粧材100を提供することが
できる。
【0018】尚、図には化粧材として、基材1の表面上
に模様2が設けられたもののみ例示したが、模様2は必
要に応じて設けられるものであり、不要な場合は省略す
ることができる。即ち、本発明は、表面に耐摩耗性に優
れた表面保護塗膜を形成して耐久性を向上させるべきも
のであれば、いずれにも適用することができる。また、
図には示していないが、基材1の積層面が、例えばポリ
プロピレンなどのように、印刷などによる模様2や表面
保護塗膜3との接着性が乏しい材質の場合は、その積層
面にコロナ放電処理やプライマーコートなどの前処理を
施して接着性を向上させることができる。
【0019】基材1としては、通常、化粧材に用いられ
ている材料であれば、いずれも使用可能であり、紙、プ
ラスチック、金属箔、板などが用いられ、形状としても
シート状のもの、板状のものなどいずれも使用可能であ
り、更に表面に凹凸を有するものや、立体形状を有する
ものを使用することも可能である。
【0020】基材1として、紙を用いる場合、具体的に
は薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、
石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル塗工また
はドライラミネートした所謂ビニル壁紙原反、そして、
上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パ
ーチメント紙、パラフィン紙、和紙などが挙げられる。
また、紙類似のシートも基材として用いることができ、
例えば硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミ
ナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維などの無機質繊維や、ポ
リエステル、ビニロン、ポリアミド、ポリプロピレンな
どの合成繊維を用いた織布または不織布などが挙げられ
る。
【0021】また、基材1として、プラスチックシート
を用いる場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニ
ロンなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート−イソフタレート共重合体などのポリエステル樹
脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなど
のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポ
リアミド、三酢酸セルロース、セロファンなどのセルロ
ース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリア
リレート、ポリイミドなどの合成樹脂フィルム、または
シートの単層体または積層体が挙げられる。また、金属
箔を用いる場合、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、鉄
箔、銅箔などが挙げられる。
【0022】基材1として、板を用いる場合、木材単
板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維
板)などの木質板、石膏板、石膏スラグ板などの石膏系
板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コン
クリート板、中空押出セメント板、パルプセメント板、
石綿セメント板、木片セメント板などの繊維セメント
板、陶器、磁噐、石器、土器、硝子、琺瑯などのセラミ
ックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル
塗工鋼板、アルミニウム板、銅板などの金属板、ポリオ
レフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS樹脂板、ポリ
カーボネート樹脂板などの熱可塑性樹脂板、フェノール
樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリ
ウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板など
の熱硬化性樹脂板、そして、フェノール樹脂、尿素樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂
などの樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各
種繊維質基材に含浸硬化して複合化した所謂FRP板な
どの樹脂板が挙げられる。基材1は、以上のような各種
基材の2種以上を接着剤、熱融着などの公知の手段によ
り積層した複合基材を用いてもよい。
【0023】本発明において、第1の表面保護塗膜3と
第2の表面保護塗膜4に用いる架橋硬化性樹脂5、5′
には、電離放射線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂(常温
硬化型樹脂、2液反応硬化型樹脂を含む)などの従来公
知の化粧材の架橋硬化性樹脂として用いられる樹脂を使
用することができる。架橋硬化性樹脂5、5′として
は、電離放射線硬化型樹脂が、硬化速度が速く作業性も
良好であり、しかも柔軟性や硬度などの樹脂の物性の調
節も容易であり、特に柔軟な基材を用いた場合には、シ
ート状の化粧材を効率よく連続生産できるため好まし
い。また、上記架橋硬化性樹脂の選択は、化粧材の用途
に応じて適宜選択することができる。架橋硬化性樹脂
は、その架橋密度が高くなるほど耐摩耗性は向上する
が、柔軟性は低下する。そのため架橋硬化性樹脂の架橋
密度は、化粧材の用途などによって耐摩耗性と柔軟性に
応じて、基材の種類などと合わせて適宜選定することが
好ましい。
【0024】架橋硬化性樹脂5、5′として電離放射線
硬化型樹脂を用いる場合、電離放射線硬化型樹脂は、具
体的には、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基
を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または
荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギ
ー量子を有するものを意味し、通常、紫外線または電子
線が用いられる。
【0025】上記プレポリマー、オリゴマーの例として
は、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物など
の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレー
ト、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリ
レート、メラミンメタクリレートなどのメタクリレート
類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレートな
どのアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物など
が挙げられる。
【0026】ウレタンアクリレートとしては、例えばポ
リエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて
得られる下記(化1)の一般式で表されるポリエーテル
系ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、上
記「・・・(メタ)アクリレート」の記載は、・・・ア
クリレートまたは・・・メタクリレートの意味であり、
以下の文中でも同様に略記する。 (化1) CH2 =C(R1 )−COOCH2 CH2 −OCONH
−X−NHCOO−〔−CH(R2 )−(CH2 n
O−〕m −CONH−X−NHCOO−CH2 CH2
COC(R1 )=CH2 (式中、R1 、R2 は、それぞれ水素またはメチル基で
あり、Xはジイソシアネート残基、nは1〜3の整数、
mは6〜60の整数である。)
【0027】上記のポリエーテル系ウレタン(メタ)ア
クリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例
えばイソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイ
ソシアネートなどが挙げられる。上記のポリエーテルジ
オールとしては、分子量が500〜3000のポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げら
れる。
【0028】電離放射線硬化型樹脂に用いるモノマーの
例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチ
レン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル
酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メト
キシブチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エス
テル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メ
タクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メ
タクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類、ア
クリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メ
タクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、
アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)メチ
ル、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)プロ
ピルなどの不飽和置換の置換アミノアルコールエステル
類、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カ
ルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、
プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジア
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレートな
どの化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレートなどの多官能性化合物、及び/又は、分子中に
2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例
えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、ト
リメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエ
リスリトールテトラチオグリコールなどが挙げられる。
【0029】通常、以上の化合物を必要に応じて1種も
しくは2種以上を混合して用いる。モノマーの選定に際
しては、硬化物に可撓性が要求される場合は、モノマー
の量を少なめにしたり、1官能または2官能アクリレー
トモノマーを用いて、比較的低架橋密度の構造とするこ
とができる。また、硬化物の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤
性などが重視される場合は、モノマーの量を多めにした
り、3官能以上のアクリレートモノマーを用いることで
高架橋密度の構造とすることができる。尚、1、2官能
モノマーと3官能以上のモノマーを混合し、塗工適性と
硬化物の物性とを調整することもできる。
【0030】以上のような1官能アクリレートモノマー
としては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシル
アクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどが挙
げられる。2官能アクリレートとしては、エチレングリ
コールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジア
クリレートなどが、また、3官能以上のアクリレートと
しては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられ
る。
【0031】更に、電離放射線硬化型樹脂には、必要に
応じて、硬化物の可撓性、表面硬度などの物性を調整す
るための電離放射線非硬化性樹脂を添加することができ
る。このような電離放射線非硬化性樹脂としては、ウレ
タン系樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アク
リル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維素
系樹脂、ウレタン系樹脂、ブチラール系樹脂が可撓性の
点で好ましい。
【0032】以上のような組成の電離放射線硬化型樹脂
を架橋硬化させるために紫外線を照射する場合には、光
重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシ
ムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、
チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、メタロセンを、また、光重合促進剤(増感
剤)として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ト
リ−n−ブチルホスフィンなどを、更に混合して用いる
ことができる。
【0033】また、架橋硬化性樹脂5、5′として、熱
硬化性樹脂を用いる場合は、具体的には、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹
脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂(2液型ポリウレタンも含む)、エポキ
シ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合
樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などを使用するこ
とができる。これらの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重
合開始剤などの硬化剤、重合促進剤などを添加して用い
る。
【0034】上記硬化剤としては通常、イソシアネート
または有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂や
ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチ
ルエチルケトンパーオキサイドなどの過酸化物やアゾイ
ソブチルニトリルなどのラジカル開始剤が不飽和ポリエ
ステルなどに使用される。上記のイソシアネートとして
は、2価以上の脂肪族または芳香族イソシアネートを使
用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシ
アネートが望ましい。具体的なイソシアネートとして、
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0035】上記の2液型ポリウレタンとしては、その
分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオー
ル化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合物
からなる第2液とを、水酸基とイソシアネート基の当量
比が0.7〜1.5になるように配合したものが挙げら
れる。上記のエポキシ樹脂としては、その分子構造中に
エポキシ基を平均して2個以上有するエポキシ樹脂と、
エポキシ基と反応する活性水素を1分子中に3個以上有
するモノまたはポリアミンとをエポキシ樹脂のエポキシ
当量とモノまたはポリアミンの活性水素当量の比が、
0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられ
る。
【0036】本発明において、第1の表面保護塗膜3に
用いる架橋硬化性樹脂5と、第2の表面保護塗膜4に用
いる架橋硬化性樹脂5′には、以上のような架橋硬化性
樹脂を使用することができる。そして、第1の表面保護
塗膜3に用いる架橋硬化性樹脂5の塗工組成物には、そ
の架橋硬化性樹脂5よりも高硬度の粒子6が分散される
が、更に、それぞれの塗工組成物には、前記架橋硬化性
樹脂の成分以外に、必要に応じて、染料や顔料などの着
色剤、その他のCaCO3 、BaSO4 、ナイロン樹脂
ビーズなどの公知の艶消し調整剤、充填剤、消泡剤、レ
ベリング剤などの添加剤や、塗工適性をよくするための
粘度調整のための有機溶剤などを適宜の範囲で加えるこ
とができる。
【0037】また、第1の表面保護塗膜3に用いる架橋
硬化性樹脂5と、第2の表面保護塗膜4に用いる架橋硬
化性樹脂5′とは、同一配合の架橋硬化性樹脂でもよい
が、同一の硬化手段で架橋硬化でき、且つ両者の接着性
が損なわれない限り、例えば、最外層となる第2の表面
保護塗膜4の柔軟性を多少高めるなどの目的で架橋硬化
性樹脂の配合を変えることもできる。
【0038】第1の表面保護塗膜3の架橋硬化性樹脂5
に分散して用いられる該架橋硬化性樹脂5よりも高硬度
の粒子6としては、例えば、α−アルミナ、シリカ、酸
化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛、窒化ホウ素、
炭化珪素などの無機粒子、および、架橋アクリルなどの
合成樹脂ビーズなどの有機樹脂粒子が挙げられる。上記
α−アルミナとしては、溶融アルミナ、バイヤー法アル
ミナなどがあり、また、上記以外の無機粒子として、ジ
ルコニア、チタニア、或いはこれらと溶融アルミナ、バ
イヤー法アルミナなどとの共融混合物が挙げられる。
【0039】このような高硬度の粒子6の形状は、球状
または球を偏平にした楕円球状などのほか、多角形立体
状、鱗片状、針状、或いはこれらの混合系などいずれの
形状のものも使用できるが、中でも球状または楕円球状
などのように表面が滑らかな形状の粒子が特に好まし
い。球状または楕円球状などのように表面が滑らかな形
状の粒子であれば、塗工の際、塗工装置を傷つけたり摩
耗させることがなく、基材に塗工後、塗膜の透明性を損
なわず、実際の使用段階で表面保護塗膜が徐々に摩耗し
て粒子が表面に露出した場合でも、これに接触する物体
を滑らせるので傷つける恐れが少なく、表面保護塗膜自
体の耐摩耗性を大きく向上させることができる。
【0040】また、このような高硬度の粒子は、その粒
子表面を表面処理することができる。例えば、ステアリ
ン酸などの脂肪酸で処理することにより、分散性が向上
し、また、シランカップリング剤で処理することによ
り、バインダーとなる架橋硬化性樹脂との密着性や、塗
工組成物中での粒子の分散性が向上する。シランカップ
リング剤としては、分子中にビニルやメタクリルなどの
ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシラン
や、分子中にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基など
の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。シラ
ンカップリング剤は、球状粒子と共に使用する架橋硬化
性樹脂の種類に応じて、例えば(メタ)アクリレートな
どの電離放射線硬化型樹脂の場合には、ラジカル重合性
不飽和結合を有するアルコキシシランを用い、2液硬化
型ウレタン樹脂の場合には、エポキシ基やアミノ基を有
するアルコキシシランを用いるように、ラジカル重合性
不飽和結合や官能基の種類などを選択することが好まし
い。
【0041】このような高硬度の粒子6の粒子径は、例
えば表面保護塗膜の外側に突出すると、表面光沢度を低
下させたり、そこに接触する物体を傷つける恐れがある
ため、表面保護塗膜の総厚に対応して外側に突出しない
範囲とすることが好ましい。このために本発明では、実
質的な耐摩耗層となる下層の第1の表面保護塗膜3のみ
に高硬度の粒子6を分散させ、上層の第2の表面保護塗
膜4は、高硬度の粒子6を含有しない架橋硬化性樹脂の
層で構成したものである。また、表面保護塗膜の総厚
は、化粧材の用途によっても異なるため、一律には決め
られないが、第1の表面保護塗膜3は比較的厚めに設定
し、第2の表面保護塗膜4は必要最小限に薄く設定する
ことが好ましい。具体的には、第1の表面保護塗膜3の
厚さをt1 (μm)とし、第2の表面保護塗膜4の厚さ
をt2 (μm)とし、また、高硬度の粒子6の平均粒子
径をd(μm)としたとき、t1 は5〜30μm程度の
範囲で、t2 は1〜10μm程度の範囲が好ましく、且
つ、t1 、t2 、dの間には、t1 ≧t2 で、0.3t
1≦d≦2.0t1 の関係が成り立つように設定するこ
とが好ましい。高硬度の粒子6の平均粒子径dが0.3
1 未満の場合は、十分な耐摩耗性が得られない恐れが
あり、また、高硬度の粒子6の平均粒子径dが2.0t
1 を超えると、表面保護塗膜7の表面に高硬度の粒子6
が露出し、接触する物体を傷つけ、或いは表面光沢度を
低下させるため好ましくない。
【0042】また、高硬度の粒子6の第1の表面保護塗
膜3への添加量は、その架橋硬化性樹脂成分100重量
部に対して5〜30重量部の範囲であることが好まし
い。高硬度の粒子6の添加量が5重量部未満の場合は十
分な耐摩耗性の向上効果が得られない恐れがあり、ま
た、高硬度の粒子6の添加量が30重量部を超える場合
は塗工組成物のコーティング適性が損なわれ、形成され
た塗膜強度も低下するため好ましくない。
【0043】次に、本発明に用いる多層同時コーティン
グ法について説明する。本発明に用いる多層同時コーテ
ィング法は、例えば、図2、図3、図4に示したような
方法を採ることができる。但し、図はいずれも3層の同
時コーティングが可能な装置で示したが、本発明に用い
る場合は2層でよい。図2は、多層エクストルージョン
コート法を説明する要部の断面図であり、Tダイ形式の
多層の塗工ヘッド8からそれぞれの塗布液を下方に膜状
に同時に押し出し、所定の速度で移動する基材1の上に
受けて多層の塗布膜9を形成させる方法であり、この
後、塗布液に溶剤を添加している場合は、乾燥装置に送
って溶剤成分を除いた後、例えば、電離放射線の照射装
置や加熱装置などの硬化装置に送って塗布膜9を架橋硬
化させて基材1に積層することができる。
【0044】図3は、多層カーテンコート法を説明する
要部の断面図であり、この多層の塗工ヘッド8は、上部
にスリット状に平行して開口する各層の開口部を備え、
且つ、各開口部間を含む塗工ヘッドの上面が、各開口部
の長さ方向と直交する方向に傾斜を有する形状に形成さ
れている。そして、塗工ヘッド8の下側から定量ポンプ
で上方に送られた各層の塗布液が、スリット状の開口部
から吐出された後、上面の傾斜に沿って流れ、多層の膜
状に重なった後、カーテン状に下方に流動し、所定の速
度で移動する基材1の上に受けて多層の塗布膜9が形成
されるものである。この後は、前記図2の多層エクスト
ルージョンコート法の場合と同様に、乾燥装置、硬化装
置に送って塗布膜9を架橋硬化させて基材1に積層する
ことができる。
【0045】図4は、多層スライドコート法を説明する
要部の断面図であり、この場合も多層の塗工ヘッド8の
構造は、前記図3に示した多層カーテンコート法の塗工
ヘッドと類似したものであり、異なる点は、塗工ヘッド
8の上面の傾斜面で多層に重ねた塗布液を、カーテン状
に下方に落下させるのではなく、傾斜面の下端で、所定
の速度で移動する基材1の上に受けて多層の塗布膜9を
形成する点である。この場合も、基材1の上に形成され
た多層の塗布膜9の乾燥および架橋硬化は、前記図2の
多層エクストルージョンコート法で説明した方法と同じ
方法で、同様に行うことができる。
【0046】
〔表面保護塗膜付き化粧材の作製〕
(実施例1)基材として厚み100μmの2軸延伸ポリ
プロピレンフィルムを用い、その両面にコロナ放電処理
を施した後、その一方の面にプライマーコートとして、
アクリルポリオール/1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート(重量比100/8)からなる2液硬化型ウレ
タン樹脂溶液を乾燥時の厚みが2μmとなるように塗布
し、その上に下記の配合の第1の表面保護塗膜用塗布液
と第2の表面保護塗膜用塗布液とを、多層エクストルー
ジョンコート方式で、それぞれ乾燥時の厚みが、下層の
第1の表面保護塗膜が20μm、上層の第2の表面保護
塗膜が10μmとなるように塗布し、希釈溶剤の乾燥
後、電子線照射装置により加速電圧175KV、照射線
量5Mrad、酸素濃度200PPM以下の条件で電子
線を照射し、両層の架橋硬化性樹脂を架橋硬化させて実
施例1の表面保護塗膜付き化粧材を作製した。
【0047】 (第1の表面保護塗膜用塗布液の配合) 2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 60重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 40重量部 球状α−アルミナ粒子(平均粒径25μm) 15重量部 酢酸エチル(希釈溶剤) 100重量部 (第2の表面保護塗膜用塗布液の配合) 2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 60重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 40重量部 シリカ(平均粒径2μm、マット化剤として) 10重量部 酢酸エチル(希釈溶剤) 100重量部
【0048】(比較例1)前記実施例1の表面保護塗膜
付き化粧材の構成において、表面保護塗膜の構成を2層
構成ではなく、1層構成に変更すると共に、表面保護塗
膜用塗布液の配合を下記の配合に変え、塗布方式も通常
のロールコート方式で乾燥時の膜厚が25μmとなるよ
うに変更して塗布したほかは、基材とその表面処理、お
よび表面保護塗膜の架橋硬化条件など、総て実施例1と
同様に加工して比較例1の表面保護塗膜付き化粧材を作
製した。 (表面保護塗膜用塗布液の配合) 2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 60重量部 トリメチロールプロパントリアクリレート 40重量部 アルミナ粒子(平均粒径2μm) 15重量部 シリカ粒子(平均粒径2μm) 10重量部 酢酸エチル(希釈溶剤) 100重量部
【0049】(比較例2)前記実施例1の表面保護塗膜
付き化粧材の構成において、第1の表面保護塗膜用塗布
液と第2の表面保護塗膜用塗布液の塗布方法のみを、多
層同時コーティング法ではなく、通常のロールコート方
式に変更し、両者を別々に塗布し、その都度、乾燥、架
橋硬化させたほかは、総て実施例1と同様に加工して比
較例2の表面保護塗膜付き化粧材を作製した。
【0050】〔試験〕以上のように作製した実施例1、
および比較例1、2の表面保護塗膜付き化粧材につい
て、その表面保護塗膜の接着性と、表面に接触する物
体、例えばストッキングなどを傷つけることがないか、
その安全性を評価するため、湿熱接着性とストッキ
ングに対する安全性の試験を下記の方法で行い、その結
果を表1に示した。 耐湿熱接着性試験 実施例1、および比較例1、2の表面保護塗膜付き化粧
材の試料を、60℃、90%RHの環境下に2週間放置
した後、塗膜面にカッターナイフを用いて2mm間隔で
縦横各11本の切り込みを入れ、縦横各10列の碁盤目
を形成し、その面にセロハン粘着テープ〔セロテープL
D−18 ニチバン(株)製〕を貼着後、45°方向に
急激に剥離して塗膜の剥離の有無を調べた。 ストッキングに対する摩擦安全性試験 実施例1、および比較例1、2の表面保護塗膜付き化粧
材の試料を、平滑な面に貼着し、ストッキングを金属ロ
ールに巻き付けたもので20kg荷重で100回往復擦
り、ストッキングの傷み具合を目視で観察評価した。
【0051】
【表1】
【0052】表1に示した結果から明らかなように、実
施例1の表面保護塗膜付き化粧材は、耐湿熱接着性試験
で塗膜の剥離がなく良好であり、ストッキングに対する
摩擦安全性試験でも、ストッキングに傷つきや摩耗がな
く良好であったのに対して、比較例1の表面保護塗膜付
き化粧材は、ストッキングに対する摩擦安全性試験で繊
維が切れて傷つきがあり、また、比較例2の表面保護塗
膜付き化粧材は、耐湿熱接着性試験で2層の表面保護塗
膜の層間で剥離が認められ、いずれも劣っていた。ま
た、実施例1の表面保護塗膜付き化粧材は、別に実施し
たJIS K6902に準じた耐摩耗性試験の結果でも
第1の表面保護塗膜に高硬度の粒子が分散されているの
で優れていた。
【0053】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明に
よれば、基材の表面上に、架橋硬化性樹脂中にその架橋
硬化性樹脂よりも高硬度の粒子を分散させてなる第1の
表面保護塗膜と、架橋硬化性樹脂からなる第2の表面保
護塗膜とを、この順に積層する表面保護塗膜の積層方法
であって、積層工程を簡略化できると共に、前記第1の
表面保護塗膜と前記第2の表面保護塗膜との接着性も強
く安定化でき、耐摩耗性に優れ、且つ、表面に前記高硬
度の粒子が露出することがなく、表面に接触する衣服や
ストッキングなどの物体を傷つけることもなく安全性に
優れ、更に光沢度においても自由度のある表面保護塗膜
の積層方法を提供でき、また、その積層方法を用いて化
粧材を製造することにより、耐摩耗性に優れ、且つ、表
面に接触する衣服やストッキングなどの物体を傷つける
こともなく安全性に優れると共に、光沢度においても自
由度のある表面保護塗膜付き化粧材を生産性よく提供で
きる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面保護塗膜付き化粧材の一実施例の
構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の表面保護塗膜の積層方法に用いる多層
同時コーティング法の第1の例を説明する要部の断面図
である。
【図3】本発明の表面保護塗膜の積層方法に用いる多層
同時コーティング法の第2の例を説明する要部の断面図
である。
【図4】本発明の表面保護塗膜の積層方法に用いる多層
同時コーティング法の第3の例を説明する要部の断面図
である。
【符号の説明】
1 基材 2 模様 3 第1の表面保護塗膜 4 第2の表面保護塗膜 5、5′架橋硬化性樹脂 6 高硬度の粒子 7 表面保護塗膜 8 塗工ヘッド 9 塗布膜 100 表面保護塗膜付き化粧材
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AC02 AC14 AC15 AC72 AE23 BB26Z BB42Z BB46Z BB47Z CA02 CA13 CA47 CB04 DA04 DA06 DB02 DB04 DB05 DB06 DB07 DB12 DB14 DB18 DB20 DB21 DB33 DB35 DB36 DB37 DB38 DB40 DB43 DB46 DB47 DB48 DB53 DB61 DC02 DC31 DC38 EA07 EA21 EB14 EB22 EB24 EB32 EB33 EB35 EB37 EB38 EB42 EB45 EC01 EC07 EC60 4F100 AA19H AK01B AK01C AK25 AK51 AL06 AR00A BA03 BA07 BA10A BA10C CA23B CC02B CC02C DE01B DE01H DE04H EH46 GB08 GB81 HB00A JB12B JB12C JB14B JB14C JK06 JK09 JK12B JK12H JK15 JL10A JN21

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面上に、架橋硬化性樹脂中に該架
    橋硬化性樹脂よりも高硬度の粒子を分散させてなる第1
    の表面保護塗膜と、架橋硬化性樹脂からなる第2の表面
    保護塗膜とを、この順に積層する表面保護塗膜の積層方
    法であって、前記第1の表面保護塗膜の塗布液と前記第
    2の表面保護塗膜の塗布液とを、多層同時コーティング
    法を用いて、この順に基材の表面上に同時に塗布し、そ
    の後、両方の塗布液を同時に架橋硬化させて積層するこ
    とを特徴とする表面保護塗膜の積層方法。
  2. 【請求項2】前記第1の表面保護塗膜に用いられる架橋
    硬化性樹脂と、前記第2の表面保護塗膜に用いられる架
    橋硬化性樹脂とが、電離放射線硬化型樹脂であり、前記
    塗布液の架橋硬化を電離放射線の照射により行うことを
    特徴とする請求項1記載の表面保護塗膜の積層方法。
  3. 【請求項3】化粧基材の表面上に、架橋硬化性樹脂中に
    該架橋硬化性樹脂よりも高硬度の粒子を分散させてなる
    第1の表面保護塗膜と、架橋硬化性樹脂からなる第2の
    表面保護塗膜とが、この順に積層されてなる化粧材であ
    って、前記第1の表面保護塗膜と前記第2の表面保護塗
    膜とが、それぞれの塗布液を多層同時コーティング法を
    用いて、この順に化粧基材の表面上に、同時に塗布さ
    れ、架橋硬化されて積層されていることを特徴とする表
    面保護塗膜付き化粧材。
  4. 【請求項4】前記第1の表面保護塗膜に用いられる架橋
    硬化性樹脂と、前記第2の表面保護塗膜に用いられる架
    橋硬化性樹脂とが、電離放射線硬化型樹脂であることを
    特徴とする請求項3に記載の表面保護塗膜付き化粧材。
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