JP4344055B2 - 鏡面性化粧版の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鏡面性に優れ、また、耐火性、不燃性、加工性等に優れる鏡面性化粧板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイルは不燃性、高硬度、耐久性、耐熱性、耐洗浄性等に優れているという理由から、キッチンのコンロ周辺部に多く使用されてきた。しかしながら、タイルの目地部は、空隙質な材料であるセメント系材料が通常使用されているため、特に洗浄が困難であってカビ等が繁殖しやすかった。従って、タイルは、長期間の使用の際の清潔感の面で非常に劣るという欠点があった。更に、意匠性においてもタイル本来の美観は持ち合わせているものの、意匠のバリエーションには欠けていた。加工面においても、切断しにくい等の欠点があり、そのためユニット化が困難であり、長い施工工期を必要とし、さらにタイルそのもののコストも高いため、結果的にトータルコストが高かった。
【0003】
また、ステンレス等の金属箔を珪酸カルシウム板や木質系材料に接着した化粧板も利用されているが、鏡面性のステンレスを用いた場合、キズが非常に目立ちやすく、その為故意に表面の研磨処理を行う等して光沢を減退させ、キズ等が生じても目立ち難くしていた。しかしこのような処理を施すことにより、鏡面性は当然の如く低下し、また油汚れ等を生じ易くしていた。
【0004】
上述の問題を解決するために、工期短縮や化粧板の加工性改善を目的として、セメント系板や珪酸カルシウム板のような無機質基板を用いた化粧板が提案されている。そしてこのような化粧板には、性能面からの易洗浄性と共に、人の外観感覚からも汚れが落ちやすく見えるような鏡面性、高意匠性、加工性が求められ、現在、このような化粧板には次のような手段が採用されている。
【0005】
(1)基板の研磨処理
かさ比重が、1.0前後の珪酸カルシウム板やセメント系板を主とする無機質基板は、樹脂板、木材、木質系板材に比較して、表面平滑性がかなり劣る。このため、こうした材料を基板として鏡面性を求める場合には、何らかの方法により、基板表面の平滑性を向上させなければならない。代表的な例としては、これら無機質基板の表面を研磨処理(研磨紙番手#120以上)することである。しかしながら、パーライト等の数10〜1000μm程度の粒径をもつ軽量骨材等を基板中に使用している場合には、研磨処理を行うことにより、こうした骨材が抜けてしまい凹部を生じさせ、また、ガラス繊維等の補強繊維の抜け穴を発生させたりして、研磨を行うとかえって平滑性が悪化してしまう場合がある。そのため、セメント等を代表とする無機系および有機系または有機−無機系複合穴埋め材を施した後に、研磨処理を行う場合もある。
【0006】
(2)基板表面シーラー処理
珪酸カルシウム板やセメント系板を主とする無機質基板は一般的に表面強度が弱く、脆弱である。そのため、基板表面を補強する目的から、シーラー剤が通常用いられる。これらシーラー剤は、エポキシ系、ウレタン系の溶剤系または水系含浸型が一般的に使用されている。工業塗装の場合には、通常、これらシーラー剤の塗布前後に、ジェットヒーターや赤外線乾燥機等の乾燥機により加熱処理が施され、シーラー剤の含浸性向上、硬化時間の短縮が図られている。
【0007】
(3)目止め処理およびベースコート処理
珪酸カルシウム板やセメント系板を主とする無機質基板を化粧板に使用する場合に鏡面性を付与するためには、(1)および(2)の処理のみでは、表面平滑性が未だ不十分である。そのため、さらに平滑性を向上させるために、(2)の処理後の表面に、目止め処理を行う。通常、炭酸カルシウムフィラーや繊維等の固形分を含有させた反応性樹脂を、加熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法により硬化させ、次に表面を高番手(#180以上)で研磨処理を行い、表面の平滑性を向上させている。更に、この層上に、基板からのアルカリ止め、耐久性、さらには下地色の隠蔽のために、ベースコート層を形成する。ただし、比較的表面平滑性に優れた基板を使用する場合には、塗料自身のレベリング性を利用し、フローコーター等の塗工機により、直接シーラー処理面に1回以上の塗装を行い、より多くの塗料を塗布し、ベースコート層を厚く形成して、目止め処理を省略する場合もある。ベースコート層用塗料は、一般的にウレタン樹脂系が好適に使用される。基板補強シーラーと同様工業塗装としては、硬化時間を短縮させるために、塗布前後にこの板材を加熱させる必要性のある場合がある。
【0008】
(4)化粧層形成
高意匠性を化粧板に付与させるために、様々な方法が知られている。近年においては、転写印刷、スクリーン印刷、ダイレクト印刷等の印刷、スパッタ塗装を直接ベースコート上に行うことが多い。
【0009】
(5)トップコート層の形成
表面の硬さ、耐久性、耐洗浄性を初めとする化粧板自身の性能や意匠性をさらに向上させる目的から、化粧板表面に透明または半透明の樹脂層を形成する。一般的な形成方法にとしては、化粧層形成後の化粧板表面をジェットヒーターや赤外線乾燥機等を代表とする乾燥機において加熱し、フローコーター等の塗工機により紫外線反応硬化樹脂または電子線反応硬化樹脂を塗布し、その後、50℃前後に調節した乾燥機中で数分間静置することにより、塗料自身のレベリング性を利用し、塗料面を平滑に仕上げ、紫外線または電子線を照射することによって樹脂を硬化させて仕上げるものである。紫外線反応硬化樹脂塗料または電子線反応硬化樹脂塗料を塗布する代わりに、既に紫外線反応硬化樹脂または電子線反応硬化樹脂塗料をフィルム化したものを転写し、その後紫外線または電子線を照射することによって樹脂を硬化させて仕上げる場合もある。
【0010】
その他の従来技術としては、例えば、木質系板にアルミ箔を介して中塗り樹脂層、化粧シート、化粧紙を接着し、その表面に紫外線塗装層を設けてなる家具に使用する化粧板(特開平2−175240号公報)、樹脂フィルム積層金属パネルと無機系パネルとを接合してなる複合パネル(特開平5−33190号公報)、フッ素樹脂フィルムと金属箔等の不燃性または難燃性のシート基板とを複合してなる化粧シートを、無機質系板の表面に貼付してなる化粧板(特開平10−109386号公報)、繊維混入スラグセメント板、金属板、更にその表面にフッ素樹脂フィルムを接着し、フッ素樹脂フィルムの裏面または金属板の表面に印刷模様を施したキッチンパネル(特開平9−125562号公報)、基礎板材、金属箔、化粧剤および紫外線硬化型硬化樹脂からなる化粧板において、その紫外線硬化型硬化樹脂の塗膜層が7〜20μmであり、鉛筆硬度が7H以上のウレタンーアクリレート系オリゴマー紫外線硬化樹脂である化粧板(特開平9−216308号公報)等が挙げられる。
【0011】
しかしながら、上記従来技術によって得られる化粧板には、次のような欠点がある。即ち、(1)基板の研磨処理に関しては、無機質基板自身非常に凹凸があり且つ空隙の分布が不均一のため、数10μm以上の穴については、研磨によって平滑にできないため、使用できる基板に制限がある。また、このような問題点を解決するためには穴埋め材を必要とし、コスト高につながった。(3)の目止め処理およびベースコート処理に関しては、炭酸カルシウムフィラー等の増量剤や補強繊維等の固形分を非常に多く含んだ反応性樹脂を、加熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法により硬化させるが、いずれの硬化方法においても、硬化直後には、樹脂層の温度が上昇してしまい、特に厚さが数mm程度の比較的薄い基板を処理する場合には基板が反ってしまい、加えて樹脂層の厚みが数10〜100μm程度と非常に薄いため、後の研磨工程において未研磨や過研磨等のトラブルが生じやすい。即ち、基板表面樹脂層の温度変化による収縮や基板の含水率変化による寸法変化が複雑に関係し合うため、製造工程中の「反り」の管理が非常に難しく、結果的に未研磨や過研磨といった不良品を多く生むことになっていた。更に、鏡面性を高くするためには、この層において非常に高平滑仕上げにする必要があり、研磨紙番手を非常に高くする必要がある。高番手研磨を行うには、粗研磨から細研磨を順に複数回行う必要があって生産性が悪く、設備コストがかなり必要となる。更に、細研磨を行う場合、細研磨用研磨紙は消耗が激しいため、ランニングコストも高くなる。しかしながら、こうした非常に手間のかかる作業を行っても、最終製品において、鏡面性の面で決して満足できるものではない。
【0012】
また、上記特開平2−175240号公報、特開平5−33190号公報、特開平10−109386号公報、特開平9−125562号公報、特開平9−216308号公報等に開示された化粧板の鏡面性もいまだ改善の余地があるものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、従来の化粧板より、鏡面性が一層優れたものであるとともに、耐火性、不燃性、加工性等にも優れた鏡面性化粧板の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記の従来の課題を解決することを得た。即ち、本発明は、無機質基板に、接着剤層、金属箔層、塗膜層または印刷層あるいは塗膜層と印刷層からなる化粧層、およびトップコート層がこの順に積層されてなる鏡面性化粧板の製造方法において、無機質基板の表面および/または金属箔の裏面に接着剤を塗布し、この無機質基板と金属箔をスチールベルトプレス法または多段プレス法により50kPa〜1000kPaの面圧を加えて接着し、無機質基板上に接着剤層と金属箔層を形成し、この金属箔層上に化粧層を設けることにより、この化粧層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さとカットオフ0.8mmのときの中心線平均粗さとの差を0.15μm以下にする工程と、この化粧層の表面上に透明または半透明の紫外線または電子線硬化型樹脂塗料をフローコーターにより塗布し、硬化させて透明または半透明のトップコート層を設けることにより、トップコート層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さを0.15μm以下とする工程とを有することを特徴とするものである。また、化粧層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さとカットオフ0.8mmのときの中心線平均粗さとの差を0.15μm以下にする工程は、予め金属箔上に化粧層を設けて積層体となし、無機質基板の表面および/または積層体の金属箔の裏面に接着剤を塗布し、この無機質基板と積層体をスチールベルトプレス法または多段プレス法により50kPa〜1000kPaの面圧を加えて接着し、無機質基板上に接着剤層、金属箔層および化粧層を設けることにより行うこともできる。なお、金属箔は、アルミニウム箔またはステンレス箔であることが好ましい。
【0015】
ところで、鏡面性とは、例えば、蛍光灯等の像を化粧板等の表面に映した場合、コントラストが低下せず、その像が鮮明に映る表面形状を示すものである。即ち、平滑性と光沢の両者を総称したものといえる。森田著(塗装による平面の平滑化と外観/表面技術vol.40,No.1,1989)には、人の外観感覚表現とその表面形状(表面粗さ)について、表面形状を形成する凹凸(波)の粗さ成分を波長別に分類した場合、数10μm以下の短波長成分が主に光沢感を、また数10μmから数100μmの中波長成分はウジ感、ムジ感を、更に数100μmから数mmの長波長成分が映った像の歪み感をそれぞれ人の感覚に与えるとしている。
【0016】
そして、本発明者らは、波長が2.5mm以下の波長成分の一つの特性値であるカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さ(以下Ra(2.5)という)が、鏡面性を示す表面平滑度と密接に関係しており、その値が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下のときに優れた鏡面性を発揮できることを見出した。
【0017】
そこで、本発明者らは、不燃性、加工性を兼ね備え、しかも化粧面のRa(2.5)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下の化粧板を開発すべく鋭意研究を行った結果、珪酸カルシウム板やセメント系板を主とする無機質基板の表面に、好ましくは特定の粗さ曲線をもつ金属箔層を積層し、さらに、該金属箔層表面に特定の粗さ曲線をもつ化粧層、さらにその上に特定の粗さ曲線をもった透明または半透明樹脂層からなるトップコート層を順次形成してなる鏡面性化粧板は、意匠性、耐洗浄性、加工性、生産性に優れており、特に鏡面性において優れることを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
具体的には、本発明の製造方法の特徴は、化粧層表面の特定の波長成分に着目し、この成分を限定すること、即ち、この化粧層表面のカットオフ2.5mmとカットオフ0.8mmのときの中心線平均粗さ(Ra)の差(以下△Ra(2.5-0.8)という)を0.15μm以下にする(金属箔層に応じて設けられる塗膜層のみからなる化粧層についても△Ra(2.5-0.8)を0.15μmとする)ことにより、透明または半透明樹脂層であるトップコート層の表面のRa(2.5)を0.15μm以下にすることができることにある。本発明の製造方法によれば、森田が指摘した数100μmから数mmの長波長成分、特に鏡面性に大きく影響する500μm〜2000μmの波長の形状を基板表面で少なくすることができ、しかも従来の化粧板と同等の加工性、作業量を保持しながら、高い生産性により鏡面性化粧板を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明でいう中心線平均粗さ(Ra)およびカットオフ値の定義は、JISB0601で規定されている。例えば、カットオフ値は次のように説明される。
・カットオフ値
電気的に表面粗さのパラメーターを直読する計器では、表面の凹凸の高波長成分を除くために、基準長さを用いないで断面曲線をフーリエ解析した波長成分のうち、長波長成分を除去したものを考える。この長波長成分を除去する限界の波長がカットオフ値である。なお、基準長さとは、断面曲線(被測定面に直角な平面で被測定物を切断した時に、その切り口に現れる輪郭)の一定長さを取った部分の長さを意味する。
【0020】
波長別の粗さ成分分布が、選択したカットオフ値の波長から極端に離れて存在し、カットオフ値付近の波長においてその成分量が少なければ、どのカットオフ値を選択してもRaに差は生じない。しかしながら、波長別の粗さ成分分布が、いくつかの選択したカットオフ値の波長域に不均一に存在する場合、選択するカットオフ値によってRaの表面粗さは当然の如く変わってしまう。例えば、ステンレス板のように、数10μm程度の波長成分がほとんどを支配するときは、Ra(0.8)もRa(2.5)も大きな差はない。逆に、溶融亜鉛メッキ鋼板箔のように、鋼板の表面に比較的大きな亜鉛結晶が析出しているようなものは、Ra(0.8)とRa(2.5)には大きな差がある。表1に代表的なステンレス箔と亜鉛メッキ鋼板箔のカットオフ別のRaについて示す。
【0021】
【表1】
【0022】
Ra(0.8)は、0.8mm以下の波長成分を示して、さらにRa(2.5)は2.5mm以下の波長成分を示すこととなる。かくして、本発明で規定した△Ra(2.5-0.8)は、Ra(2.5)とRa(0.8)の差を示し、波長0.8mm付近〜2.5μm付近の粗さ成分を間接的に示すものである。
【0023】
本発明の製造方法に使用される無機質基板は、耐熱性、不燃性でありまた容易に入手できる等の観点から、繊維補強珪酸カルシウム成形体、繊維補強セメント成形体、繊維補強セラミックス成形体、軽量気泡コンクリート(ALC)、ガラス、タイル、石材、およびこれらの複合材が例示できる。
【0024】
必要に応じて、これら無機質基板の表層には、基板補強樹脂塗料が用いられる。基板補強樹脂塗料は、基板への含浸性が良好で、十分な基板強度を発揮させることができ、しかも多くの無機質基板が有するアルカリ成分によっても侵されないものであるが、特にこれに限定されるものではない。該塗料は、溶剤系または水系であることができ、含まれる樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が好ましい。基板補強樹脂塗料の塗布量は、使用する基板、使用する樹脂、粘度等により異なり、特に制限されないが、例えば、かさ比重が1.0前後の珪酸カルシウム板に湿気硬化型ウレタン系の基板補強樹脂塗料を塗布する場合には、50g/m2〜200g/m2程度の塗布量が好ましい。50g/m2より少なければ、基板補強が不十分であり、また、200g/m2より多い場合には、珪酸カルシウム板表面に樹脂膜を形成してしまい、後述する金属箔との接着の際、接着剤が一部基板に浸透して接着強度を増大させるアンカー効果が期待できず、接着強度が低下させてしまうことになる。この基板補強樹脂塗料の塗布方法は、公知の方法を採用することができる。例えば、ロールコーター、フローコーター、エアースプレー、エアレススプレー等の塗工機が用いられる。さらに、無機質基板への含浸および生産性を上げるために、予め無機質基板表面を加熱するのがよい。同様に、塗布後において、硬化時間を短縮するために加熱してもよい。
【0025】
本発明の製造方法において、接着剤層の形成のために使用される接着剤は、従来から公知のものを用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂系接着剤では、ユリア系、メラミン系、レゾルシノール系、フェノール系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリアロマチック系、ポリエステル系等が挙げられ、また、熱可塑性樹脂系接着剤では、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、アクリル系、ポリエチレン系、セルロース系等が挙げられる。また、エストラマー系では、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、SBR系、SBS-SIS系、ポリサルファド系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系等が挙げられる。また、極力、耐熱性や難燃性にすぐれた接着剤を使用することが好ましいことから無機系接着剤の使用も好ましい。また、固化および硬化方法では室温硬化形、熱硬化形、ホットメルト形、感圧形、再湿形等が好適に使用できる。さらに、接着剤の形態では、水溶液形、溶剤形、エマルジョン形、固形(特にフィルム状)、テープ形等が好適に使用できる。
【0026】
接着剤の塗布量は、接着剤層の厚さが20μm〜200μm、好ましくは50μm〜150μmとなるような量がよい。接着剤層の厚さが20μm未満の場合には、接着剤を均一に塗布することが困難であり、しかも、無機質基板の凹凸が、後述の所定の方法で金属箔を接着しても、金属箔上に凹凸が生じて好ましくない。また、200μmを超える場合には、経済的に好ましくない。
【0027】
接着剤の塗工方法については、金属箔接着後の表面の粗さ曲線を小さくするような接着剤および接着剤の塗布方法、および接着方法が用いられる。最も好ましい塗工方法としては、フローコーター、ナイフコーター、ドクターナイフコーター、ダイコーターを用いた方法が、接着剤を均一に塗布することができて好ましい。ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー等の塗工機を用いた塗工方法は、塗着面を平滑に仕上げることが困難であるが、後述の接着方法を用いれば採用可能である。
【0028】
本発明の製造方法で使用される金属箔は、目的に応じて適宜選択できるが、極力硬質なものが好ましい。すなわち、厚さ0.05mm〜0.5mm、好ましくは0.1mm〜0.5mmのアルミニウム箔またはステンレス箔がよい。厚さがこの範囲のアルミニウム箔またはステンレス箔であると、無機質基板や接着剤層に起因する凹凸が残存し難く、最終製品において良好な鏡面性が得られる。また、経済性、耐久性、加工性等の観点からも好ましい。なお銅箔も使用可能である。また、金属箔の△Ra(2.5-0.8)は、0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下がよい。この条件を満たす金属箔は、例えば、JIS G4305「冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯.6表面仕上げ」に規定する表面仕上げ(仕上げ記号、No.2D、No.2B、No.3、No.4、#240、#320、#400、BA、HL)により表面処理を行ったものが挙げられる。なお、前記表面仕上げを超える艶消し処理や凹凸模様を加えたものについては、使用が好ましくない。さらに、亜鉛メッキ鋼板のように、表面に亜鉛の結晶が通常の凝固過程において生成し、スパングルをもつものに対しては、その表面形状の△Ra(2.5-0.8)が0.5μm程度あるため、使用が好ましくない。
【0029】
次に、無機質基板と金属箔とを接着剤により接着するが、接着後の金属箔の表面も、△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下であるのがよい。0.15μmを超えると、最終製品の表面形状において十分な平滑面が得られず、結果的に優れた鏡面性は得られ難い。
【0030】
このような接着方法としては、無機質基板および金属箔層に圧力を面圧として加えられるスチールベルトプレス法や多段プレス法が用いられる。図1は、スチールベルトプレス法を説明するための図である。スチールベルトプレス機1は、1対のスチールベルト11および12がローラー13、13および14、14の回りをそれぞれ巻回している構造を主要部として有している。ロール状に巻かれた金属箔21は、ガイドローラー31、32を経てダイコーター等の塗工機41によりその表面に接着剤をコーティングされ、さらにガイドローラー33、34、35、36を経てスチールベルト11および12間に送り込まれ、同時に、進んできた無機質基板51と接着される。両者の接着は、加圧ローラー61、61・・・および61'、61’・・・により加圧されながら行われ、ローラー13、14によるものではない。即ち、ローラー13、14部分におけるスチールベルト11と12間の間隔は、基板の厚さと金属箔の厚さの和より大きくする必要がある。無機質基板51と金属箔21は、スチールベルト11の回転に応じて加圧されながら移動し、接着が完了した後は、カッター71により所望の大きさに切断される。スチールベルトプレス法は、無機質基板の送り速度を調整するか、或いはスチールベルトの長さを調整するかして、加圧時間の調整を行うことができ、更にスチールベルトを加熱することにより、接着剤の硬化を促進させることも可能である。なお、スチールベルトプレス法による生産性を良好にするためには、加圧時間を短くするのが望ましく、そのため接着剤として、例えば、二液硬化ウレタン系やホットメルト系、エストラマー系の接着剤を採用するのが好ましい。ホットメルト系接着剤を用いる場合には、加熱温度が100℃〜150℃、加圧時間は、1分〜2分程度が好ましい。
【0031】
図2は、多段プレス法を説明するための図である。多段プレス機2は、図2(a)で示すようにプレス用金型81、82、および複数枚のプレス用中間板83から構成されている。プレス用金型81、82とプレス用中間板83との間、またはプレス用中間板の間に、無機質基板51と金属箔21とを接着剤を介して積層して設置し、続いて図2(b)で示すようにプレス用金型81および82間に圧力を加えるものである。なお、多段プレス法の場合も、スチールベルトプレス法と同様な接着剤が好適に用いられる。多段プレス法における加圧時間は、装置の大小にかかわらず調整が可能である。しかしながら、多段プレス法はバッチ式であるため生産効率はスチールベルトプレス法に比べて劣る。
【0032】
スチールベルトプレス法および多段プレス法による接着圧力としては、十分な接着強度発現と接着後の平滑性を確保するため、50kPa〜1000kPa程度が必要である。50kPaより小さい場合は十分な接着強度が得られず、1000kPaより大きい場合は、金属箔上の△Ra(2.5-0.8)の差が0.15μmより大きくなりやすい。
【0033】
一方、圧力が線圧として加えられるロールプレス方式や無機質基板と金属箔との間の空気を吸引して接着する真空プレス方式による場合には、金属箔表面に無機質基板および接着剤層に起因する凹凸が生じ易く結果的に△Ra(2.5-0.8)が0.15μmより大きくなりやすい。
【0034】
次に、金属箔上に化粧層が形成される。化粧層は、塗膜層または印刷層の単層あるいは塗膜層と印刷層の複層からなり、塗膜層は、次工程において行われる印刷に関連して、金属箔の色の隠蔽、印刷柄の意匠性の向上、印刷層の密着性の向上等を目的として設けられる。
【0035】
塗膜層の表面形状は、△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下がよい。そのために、塗膜層は、透明な塗料や顔料を加えた塗料を、フローコーターにより塗布して形成するのが好ましい。スプレーコーターを使用した場合には、ゆず肌に代表されるような比較的大きな形状を生成しやすく、最終製品において、鏡面性が低下してしまう。また、ロールコーターを使用した場合には、塗膜面に「ロール目」に代表されるような凹凸が生成し、同様に好ましくない。顔料を使用する場合には、その粒径が、その塗膜表面形状の△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下を満足できるような大きさであれば特に制限はされない。使用できる樹脂、硬化方法についても、先の条件を満たすものであれば特に制限はない。塗膜層用の樹脂は、それに求められる性能を満足できるものであれば、特に制限されることはない。ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等を例示することができ、また、塗膜層の柄に対応した着色を施すための、顔料や染料を加えたものが、好適に使用できる。硬化方法については、常温硬化、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法を例示できるが、特に、紫外線硬化や電子線硬化の方法の場合には、塗膜層表面に凹凸が生じ難く、特に好ましい。また、塗膜層の厚みについては、先の塗膜層の性能を満足すれば、何ら制限はない。しかしながら、実質上、10μmより薄いと、金属箔色を隠蔽することが難しく、また200μmより厚い場合は、経済上好ましくない。
【0036】
金属箔上または塗膜層上に印刷層を設ける方法としては、公知の印刷方法が利用できる。即ち、例えば、転写印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷また、インクジェットプリンターを用いて化粧柄を形成する方法が好ましい。
【0037】
しかしながら、印刷層については、その表面形状が△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下である必要がある。△Ra(2.5-0.8)が0.15μmを超えると、透明または半透明紫外線硬化樹脂層からなるトップコート層を形成した後の鏡面性が著しく低下する。なお、転写箔を利用して印刷する場合には、転写箔自身のインキ層表面の△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下がよい。これ以上の△Ra(2.5-0.8)を持つ転写箔を利用して印刷した場合には、当然の如く印刷層の△Ra(2.5-0.8)が0.15μmより大きくなる。
【0038】
なお、予め金属箔層と印刷層とからなる積層体、または、予め金属箔層、塗膜層および印刷層が順次積層されてなる積層体を、先に示したスチールベルトプレス法や多段プレス法で無機質基板上に所定の圧力で接着してもよい。この場合も、積層体上の表面形状は、△Ra(2.5-0.8)が0.15μm以下、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下である。
【0039】
本発明の製造方法でトップコート層を形成するために使用される透明または半透明樹脂塗料は、従来公知の樹脂塗料であることができ、またその硬化方法も特に制限されない。しかしながら、塗料中の溶剤が物理的に蒸発することによって塗膜が形成されるようなラッカータイプ、例えばニトロセルロース誘導体、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ビニルアセタール樹脂、塩素化ゴム等は、いずれも塗料中の揮発分が蒸発して塗膜を形成するものであり、溶剤の蒸発速度が速いほど早く乾燥塗膜になるが、塗膜面に凹凸を生じる場合があり、その選定や乾燥条件には注意を要する。
【0040】
そこで、溶剤を全く含まない若しくは含有量が極端に少ない、紫外線硬化樹脂または電子線硬化樹脂が本発明の製造方法では採用される。透明または半透明樹脂塗料を紫外線または電子線によって硬化させる場合は、樹脂が縮合または付加反応により硬化するときに大きなエネルギーを受けており、一般的に架橋密度が高く、硬度が増し、耐洗浄性に優れるため、また非常に硬化時間が短いために生産性に優れる等の利点がある。
【0041】
本発明の製造方法に使用できる紫外線硬化型塗料は、塗膜特性の優れた透明塗膜或いは半透明塗膜を形成することができる塗料であれば好ましく使用できる。紫外線硬化型塗料は、反応性共重合体、光重合性化合物、光重合性開始剤を必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤塗料用添加剤を添加して得られる。例えば、反応性共重合体には、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が主に挙げられる。また、光重合性化合物(重合性モノマー)は、不飽和ポリエステルやスチレン等が挙げられる。また、光重合性開始剤としては、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、ハロゲン化物、硫黄化合物等が主に使用できる。
【0042】
電子線硬化樹脂により形成される透明塗膜または半透明塗膜は、電子線の照射によって架橋、重合しうる樹脂からなる。この方法で硬化された樹脂は紫外線硬化型樹脂と異なり、紫外線による変色、劣化が少なく、製品が屋外にも使用できるという利点を持つ。同樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂など)、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等の飽和結合を骨格とする官能基含有基体、それら官能基と付加或いは重合しうる基を有するビニル系単量体よりなり、必要により、反応性希釈剤或いは架橋性オリゴマーを加えることができる。該ビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アリルアルコール、無水マレイン酸、メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸グリシジル、アミノアルキル、メタクリル酸アミノアルキル等がある。また、反応性希釈剤としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン等がある。また、架橋性オリゴマーとしては、2〜4個の重合性ビニル基を有する分子量1000以下の化合物が挙げられ、ジアリルフタレート、エチレングリコールメタアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス-(エチレングリコールフタレート)ジ(メタ)アクリレート、ビス-(ジエチレングリコールフタレート)ジ(メタ)アクリレーと、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)メタアクリレート等がある。
【0043】
透明または半透明樹脂層表面のRa(2.5)は、0.15μm以下であり、好ましくは0.10μm以下、より好ましくは0.06μm以下である。0.15μmより大きい場合、光沢、鮮映性等の低下により鏡面性が劣ってしまう。このような、表面形状を形成させる方法として、フローコーターが用いられる。スプレーコーターを使用する場合には、ゆず肌に代表されるような比較的大きな形状を生成しやすく、塗膜面に入射する光の正反射方向が変化して、結果的に鏡面性が低下してしまう。また、ロールコーターを使用した場合には、塗膜面に「ロール目」に代表されるような凹凸が生成し易い。更に、近年、UV透明または半透明フィルムをロールプレスにより接着後、UV照射により硬化させる方法もあるが、この方法についても、ロールコーターと同様に塗膜面に凹凸が生じ易い。
【0044】
また、塗布量は、トップコート層である透明または半透明樹脂層の厚みが、20μmより大きく200μm以下になるような塗布量がよく、例えば、20g/m2〜250g/m2程度が好ましい。塗料塗布後のレベリングを利用し、平滑面を得るために、塗布量は多ければ多い程よい。そのため塗膜厚さは、20μmより大きいことが望ましい。しかしながら、こうした紫外線を利用した硬化方法は、紫外線が進入できる塗膜厚さでなければならないので、その塗膜厚みは200μm以下が好ましい。なお、本発明の製造方法でいう「透明または半透明」とは、全光線透過率70〜100%を意味する。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を実施例および比較例により説明するが、本発明の方法はこの実施例によりなんら制限を受けるものではない。各層の表面粗さ(Ra)は、JIS B0601付属書に従って測定した。なお、金属箔層、塗膜層、印刷層については作成途中で測定した。測定条件を表2に示す。
【0046】
【表2】
Ra カットオフ(mm) 評価長さ(mm)
Ra(0.8) 0.8 8
Ra(2.5) 2.5 8
【0047】
実施例1
まず、予め研磨紙番手120で研磨をした珪酸カルシウム板((株)アスク製、商品名セルストン、厚み6mm)に、ロールコーターにより、湿気硬化型ウレタンシーラー((株)トウペ製、商品名トアASシーラー)を100g/m2塗布し、24時間室内に放置後、積み重ねて、2週間さらに室内に放置養生した。次に、厚さ0.1mmのステンレス箔(川崎製鉄(株)製、SUS304 BA仕上げ)裏面に、ダイコーターによりホットメルト系接着剤を100g/m2(武田薬品工業(株)製)を塗布し、塗布後30秒間放置後、プレス圧力が300kPaのスチールベルトプレス法により珪酸カルシウム板と接着を行った。この金属箔層を有する基板を、100℃に調節した乾燥機中に5分間放置し、金属箔表面を50℃程度にした後、フローコーターにより塗膜層用塗料(日本ペイント(株)製、商品名ルリール310/溶剤ウレタン系)を塗布し、100℃に調節した乾燥機中で5分間焼き付けを行い、厚さ30μmの塗膜層を形成した。次に、転写箔(大日本印刷(株)自然石柄)をゴム硬度70、ロール温度200℃、送り速度3m/分の条件で、熱ロール転写を行い、印刷層を形成した。次いで、印刷層上にフローコーターを用いて、紫外線硬化型塗料(日本ペイント(株)製、商品名AF1クリア)80g/m2を塗布した。2分間室内で静置させた後、紫外線を照射し硬化させ、トップコート層(透明または半透明樹脂層)を形成させた。
【0048】
実施例2
実施例1と同様に、珪酸カルシウム板にシーラーを塗布、養生を行った。次に、厚さ0.1mmのステンレス箔(川崎製鉄(株)製、SUS304 No.4仕上げ)裏面および珪酸カルシウム板表面に、合成ゴム系接着剤(コニシ(株)製、商品名ボンドGシリーズ)を各100g/m2ずつエアースプレーにて塗布した。塗布後1分間放置した後、ステンレス箔と珪酸カルシウム板を接着し、ハンドロールで軽くプレスを行った後、プレス圧力300kPa、加圧時間60分の条件で多段プレスを行い、ステンレス箔と珪酸カルシウム板を接着した。次いで、化粧層とトップコート層を実施例1と同様の方法で形成した。
【0049】
実施例3
実施例1と同様に、珪酸カルシウム板にシーラーを塗布、養生、更に金属箔と珪酸カルシウム板を接着した。塗膜層は、形成しなかった。次に、転写箔(凸版印刷(株)製の自然石柄)をゴム硬度70、ロール温度200℃、送り速度3m/分の条件で、熱ロール転写を行い、印刷層を形成した。ついで、トップコート層を実施例1と同様の方法で形成させた。
【0050】
実施例4
実施例2と同様に、珪酸カルシウム板にシーラーを塗布、養生、更に金属箔と珪酸カルシウム板を接着した。なお金属箔には0.1mm厚のアルミニウム箔(東海アルミ箔(株)製)を使用した。塗膜層、印刷層、トップコート層については、実施例1と同様に行った。
【0051】
比較例1
実施例1と同様に、珪酸カルシウム板にシーラーを塗布、養生を行った。次に、実施例4と同様のアルミ箔裏面に、アクリルウレタン系エマルジョン型接着剤(コニシ(株)製、商品名CVCシリーズ)80g/m2をロールコーターにて塗布した。さらに、プレス圧力300kPa、温度110℃、圧締時間3分の条件において真空プレス方式により、アルミ箔と珪酸カルシウム板を接着した。塗膜層、印刷層、トップコート層については、実施例1と同様に行った。
【0052】
比較例2
実施例1と同様に、塗膜層形成まで行った。次に、ロール転写により転写箔(和信化学工業(株)製の大理石柄)をゴム硬度70、ロール温度200℃、材料送り速度3m/分の条件で、転写柄を印刷し、印刷層を形成した。次いで、実施例1と同様のトップコート層を形成した。
【0053】
比較例3
実施例1と同様に印刷層形成まで行った。次いで、UV透明または半透明フィルム(日本ペイント(株)製)をゴム硬度70、ロール温度200℃、材料送り速度3m/分の条件で、ロールプレスにより接着後、UV照射により硬化させ、トップコート層を形成させた。
【0054】
比較例4
実施例2と同様に、珪酸カルシウム板にシーラーを塗布、養生、更に金属箔と珪酸カルシウム板を接着した。尚、金属箔には0.1mm厚の溶融亜鉛メッキ鋼板(川崎製鉄(株)製、レギラースパングル)を使用した。塗膜層、印刷層、トップコート層については、実施例1と同様に行った。
【0055】
比較例5
予め研磨紙番手120で研磨を行った珪酸カルシウム板((株)アスク製、商品名セルストン6mm)を使用した。この基板を100℃雰囲気中に5分程度放置した後、ロールコーターにより、湿気硬化型ウレタンシーラー(日本ペイント(株)製、商品名U−60)を60g/m2塗布した。その後、紫外線硬化型塗料(日本ペイント(株)製、商品名ユービコート60サンディングシーラー)60g/m2を、ロールコーターおよびナチュラルリバースコーターにより塗布し、次いで紫外線を照射し、硬化させた。その直後に、研磨紙番手180により研磨を行った。次いで、焼き付け型ウレタン塗料(日本ペイント(株)製、商品名ルリール310)110g/m2をフローコーターにより塗布し、100℃雰囲気中で5分間焼き付けを行った。ロール転写以降の処理については、実施例1と同様に行った。
【0056】
実施例および比較例で作製した試験体について、各層のRa(2.5)、Ra(0.8)およびΔRa(2.5-0.8)を表3に示す。表3から、実施例の化粧板は、トップコート層下の表面形状のΔRa(2.5-0.8)が比較例に比べて小さく、トップコート層上のRa(2.5)も小さくなり、結果的に鏡面性に優れることが分かる。
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、不燃性、耐熱性、耐洗浄性を兼ね備え、さらに意匠性、特に鏡面性に優れた化粧板を提供することができる。特に、本発明の製造方法は、このような化粧板を従来の化粧板と同等の加工性、作業量を保持しながら、高い生産性で提供できるものである。本発明の製造方法により得られる化粧板は、特に台所のガスコンロ周辺部に配置されるキッチンパネルに好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スチールベルトプレス法を説明するための図である。
【図2】 多段プレス法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 スチールベルトプレス機
11,12 スチールベルト
13,14 ローラー
21 金属箔
31,32,33,34,35,36 ガイドローラー
51 無機質基板
61,61’ 加圧ローラー
71 カッター
81,82 プレス用金型
83 プレス用中間板
Claims (3)
- 無機質基板に、接着剤層、金属箔層、塗膜層または印刷層あるいは塗膜層と印刷層からなる化粧層、およびトップコート層がこの順に積層されてなる鏡面性化粧板の製造方法において、前記無機質基板の表面および/または金属箔の裏面に接着剤を塗布し、この無機質基板と金属箔をスチールベルトプレス法または多段プレス法により50kPa〜1000kPaの面圧を加えて接着し、無機質基板上に接着剤層と金属箔層を形成し、この金属箔層上に化粧層を設けることにより、この化粧層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さとカットオフ0.8mmのときの中心線平均粗さとの差を0.15μm以下にする工程と、この化粧層の表面上に透明または半透明の紫外線または電子線硬化型樹脂塗料をフローコーターにより塗布し、硬化させて透明または半透明のトップコート層を設けることにより、トップコート層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さを0.15μm以下とする工程とを有することを特徴とする鏡面性化粧板の製造方法。
- 上記化粧層の表面のカットオフ2.5mmのときの中心線平均粗さとカットオフ0.8mmのときの中心線平均粗さとの差を0.15μm以下にする工程を、予め金属箔上に化粧層を設けて積層体となし、無機質基板の表面および/または積層体の金属箔の裏面に接着剤を塗布し、この無機質基板と積層体をスチールベルトプレス法または多段プレス法により50kPa〜1000kPaの面圧を加えて接着し、無機質基板上に接着剤層、金属箔層および化粧層を設けることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の鏡面性化粧板の製造方法。
- 上記金属箔が、アルミニウム箔またはステンレス箔であることを特徴とする請求項1または2に記載の鏡面性化粧板の製造方法。
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