JP4473567B2 - 化粧材の製造方法 - Google Patents
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Description
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度な柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材上に、必要に応じて絵柄層を設けた上で、その表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化型樹脂組成物が好ましく用いられている(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、近年、化粧材の表面保護層と基材等とのさらに強度の高い密着性が要求されるようになってきており、基材と表面保護層あるいはその中間に位置する着色層や絵柄層との接着性に関し、さらなる改良が望まれていた。
そこで、本発明者は、以上の考察を斟酌した上で、プライマー層、及び表面保護層の両層に共に高強度の硬化型樹脂を用い、両層が界面で分離した状態を形成せずに、両層の界面近傍において、両層の混在する層を形成して、物理的にアンカー硬化を持たせること、また、かかる混在層を形成するための手段として、プライマー層を少なくとも一部が未硬化の状態にて指触乾燥させること、すなわち、該プライマー層が指触乾燥はしているが、硬化反応は完了していない状態で、表面保護層を形成し、両層界面近傍で両層を相互に溶解、分散、浸透等させて、混在させることによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
(1)基材上に、少なくとも硬化型樹脂の硬化物からなるプライマー層と、該プライマー層に接する硬化型樹脂の硬化物からなる表面保護層とを順次積層してなる化粧材であって、プライマー層と表面保護層の間に、該プライマー層と該表面保護層を構成する材料が混在する混合層が形成されていることを特徴とする化粧材、
(2)表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂組成物が架橋硬化したものである上記(1)に記載の化粧材、
(3)プライマー層が、ウレタン系樹脂の硬化物である上記(1)又は(2)に記載の化粧材、
(4)プライマー層に無機固体粒子を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧材、
(5)基材上に着色層、絵柄層、プライマー層及び該プライマー層に接する表面保護層を順次積層してなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧材、
(6)基材上に、少なくとも硬化型樹脂の硬化物からなるプライマー層と、硬化型樹脂の硬化物からなる表面保護層とを順次積層してなる化粧材の製造方法において、未硬化で液状のプライマー層を形成する工程、該プライマー層を少なくとも一部が未硬化の状態にて指触乾燥する工程、該プライマー層に接して未硬化で液状の表面保護層を形成すると共にプライマー層と表面保護層との間に両者の混在する混合層を形成せしめる工程、かかる状態にて所定の時間経過させる養生工程、及び表面保護層及びプライマー層を硬化する工程を含むことを特徴とする化粧材の製造方法、
(7)前記表面保護層及びプライマー層を硬化する工程が、表面保護層を架橋硬化し、次いでプライマー層を完全硬化するものである上記(6)記載の化粧材の製造方法。
(8)表面保護層を構成する材料が、電離放射線硬化型樹脂組成物である上記(6)又は(7)に記載の化粧材の製造方法、
(9)プライマー層を構成する材料がウレタン系樹脂である上記(6)〜(8)のいずれかに記載の化粧材の製造方法、
を提供するものである。
この混合層は、例えば以下の方法で形成させることができる。まず、必要に応じて設けられた着色層及び絵柄層を有する基材に、硬化型樹脂の液状物を用いて、プライマー層を塗工して、これを少なくとも一部が未硬化の状態にて指触乾燥する。ここで少なくとも一部が未硬化の状態とは、プライマー層を形成するための硬化型樹脂液状物の、架橋硬化反応が全く進行していない状態、又は該架橋硬化反応が完全には終了していない不完全硬化状態をいう。また指触乾燥とは、指で触った際に、指に接着又は粘着しない程度の乾燥状態にすることを指す。
この少なくとも一部が未硬化の状態のプライマー層に接するように、硬化型樹脂の液状物を用いて表面保護層を形成した後、所定時間養生する。この養生過程において、プライマー層を構成する材料と表面保護層を構成する材料が、一部相互に溶解、分散、膨潤、又は一方の材料が他方の材料に浸透するかのいずれか、あるいは、これらの2種以上が複合的に起こり、混合層が形成される。そして、表面保護層を構成する樹脂組成物及びプライマー層を硬化させることにより、プライマー層と表面保護層とが、該混合層を介して、強固に接着した化粧材が得られる。ここで、表面保護層とプライマー層の硬化の順序については特に制限はなく、表面保護層の硬化の後にプライマー層を硬化させてもよいし、プライマー層の硬化の後に表面保護層を硬化させてもよい。また表面保護層とプライマー層を同時に硬化させてもよい。これらのうち、先に表面保護層を架橋硬化させ、その後にプライマー層を架橋硬化させる方法が、プライマー層と表面保護層とがより強固に接着した化粧材が得られるため好ましい。なお、混合層において、プライマー層と表面保護層とは上記の如き機構によって、混合した状態を形成するが、プライマー層と表面保護層は、さらに、相互に化学反応で結合していてもよいし、あるいはしていなくてもよい。
従来の方法では、専ら基材にプライマー層を塗工した後に、該プライマー層を完全に硬化させ、その上に表面保護層を塗工して、架橋硬化する方法が用いられていた。これは通常プライマー層の架橋硬化が加熱により行われ、一方表面保護層の架橋硬化が、これとは硬化の機構、条件が異なる電離放射線の照射により行われることから、それぞれの架橋硬化工程が別個独立の装置で行われていたためである。すなわち、従来の方法では、必要に応じて着色層、絵柄層等が設けられた基材にプライマー層が形成された後、該シートをいったん巻き取ってロール状にし、その後に表面保護層の塗工及び架橋硬化のための装置に搬送する必要があった。このため、プライマー層を塗工した後に、完全に架橋硬化を行わず、指触乾燥を行った程度では、巻き取って、ロール状にする際にシートが互いに接着(いわゆるブロッキング)する不都合があるため、プライマー層を架橋硬化した後に表面保護層を形成することは当業界の常識であった。従って、本発明の方法においては、プライマー層を形成するための材料を塗工する工程、これを少なくとも一部が未硬化の状態にて指触乾燥する工程、該指触乾燥したプライマー層上に表面保護層を形成するための材料を塗工する工程、プライマー層を形成するための材料及び表面保護層を形成するための材料を架橋硬化する工程を連続的に、1つの装置で行うことが望ましい。
混合層は上述のように、プライマー層を構成する材料及び表面保護層を構成する材料が混在し、その濃度分布は表面保護層からプライマー層に向けて、プライマー層を構成する材料と表面保護層を構成する材料の存在比で0:100から100:0に変化するが、本発明では、かかる材料の存在比が5:95〜95:5(質量比)の領域を該混合層の厚さと定義する。この混合層の厚さは、プライマー層を構成する材料及び表面保護層を構成する材料に応じて適宜選定されるが、通常0.1〜10μm(但し、最大でもプライマー層と表面保護層の総厚みより1μm以上薄い厚み)であることが好ましい。0.1μm以上であると、十分な接着強度が得られ、10μm以下であると養生工程に要する時間が短く、生産性の点で都合がよい。このような観点から、混合層の厚さはさらに0.5〜2μmであることが好ましい。
なお、ここで混合層の厚みの測定は、両層を含む断面を顕微鏡で拡大観察し、さらに必要に応じて、各層を判別するため、偏光フィルターを通して観察したり、各層を染色したり、あるいは各層のスペクトルを分光分析する方法を用いて測定した。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化型樹脂組成物として電子線硬化型樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化型樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られ、これに加えて、顔料等の着色剤を添加して不透明化した場合でも硬化が可能だからである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、後に詳述する指触乾燥状態のプライマー層の上に、硬化後の厚さが1〜100μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
プライマー層を構成する硬化型樹脂としては、本発明の混合層を形成し、上記効果を有するものであれば特に限定されず、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができるが、基材との密着強度、耐久性、製造の容易性等の観点から2液硬化型のウレタン系樹脂が好ましい。
上記2液硬化型ウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを硬化剤とするウレタン樹脂であるが、ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートは、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(脂環式も含む)イソシアネートが用いられる。あるいはまた、イソシアネートとしては、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。なお、耐熱変色性、耐候性の点では、イソシアネートには、脂肪族ないしは脂環式イソシアネートが好ましい。
この指触乾燥に続いて、前述の表面保護層の塗工が行われ、次いで表面保護層の架橋硬化の前又は後、もしくは同時にプライマー層の架橋硬化が行われる。プライマー層の架橋硬化の条件としては、プライマー層を構成する樹脂の種類に応じて適宜選定されるが、通常40〜80℃、好ましくは40〜60℃で、1〜6日程度、好ましくは3〜5日の条件が用いられる。
プライマー層の硬化後の厚さについては、前記混合層を形成し、かつ基材への表面保護層の浸透を防止し得る範囲であれば、特に制限はなく、通常1〜10μm程度であり、さらに好ましくは1〜5μmの範囲である。
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチック、金属、木材などの木質系材料、窯業系素材等からなるシートないしはフィルム、板等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材2は、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダー(結合剤)に顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが、基材、プライマー層の材料に応じて使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース等の中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層3は厚さ1〜20μm程度の厚さであり、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等、公知の印刷方法を用いて形成される。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧材について、以下の方法で評価した。
(1)耐剥離性
実施例及び比較例にて得られた化粧材の表面の一部を、消しゴムで10回擦り、その部分に室温下、セロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(商標)」25mm幅)を強く貼着させ、化粧材表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。プライマー層と表面保護層の層間が剥離せず、紙間等の他の部分が剥離した場合を〇、プライマー層と表面保護層の層間が剥離した場合を×と評価した。
(2)耐摩耗性
JAS摩耗C試験に準拠して測定した摩耗値で評価した。
(3)表面の艶の評価
グロスメーター(村上色彩技術研究所製「GMX−203」)を用い、入射角75度の条件で、高光沢領域と低光沢領域におけるグロス値を測定した。数字が高いほど高光沢(高艶)であることを示し、数字が低いほど低光沢(低艶)であることを示す。
(4)表面の状態
実施例及び比較例にて得られた化粧材の表面を目視にて観察した。表面保護層の塗工面が、均一でむらの無いものを〇、また、むらがあるものを×と評価した。
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿との混合物をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層3とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層4をグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量7g/m2で全面にグラビア印刷し、120℃で5秒間乾燥処理を行い、不完全硬化状態で、かつ指触乾燥状態のプライマー層5を形成した。
これらインキ層の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径1.5μmの焼成カオリナイト粒子10質量部、平均粒子径0.005μmのシリカ粒子0.5質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1.5質量部からなる電子線硬化型樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。その後100℃で10秒間、混合層を形成するための養生を行い、電子線硬化型樹脂組成物の反応性を高めると共に、未硬化液状の該組成物を低粘度化してプライマー層への浸透度を高めることにより、混合層の形成を促進した。その後、加速電圧175kV、照射線量30kGyの電子線を照射して、電子線硬化型樹脂組成物を硬化させて、表面保護層6とした。次いで、70℃で1日間、加熱処理して、不完全硬化状態のプライマー層5を完全に硬化させ、化粧材を得たところ、混合層が認められた。
この化粧材について、耐剥離性、耐摩耗性、表面の艶の評価及び表面の状態について評価した。その結果を第1表に示す。
実施例1に記載のプライマー層を、バインダー樹脂100質量部に対して、平均粒子径2μmのシリカ粒子を15質量部添加したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして化粧材を得た。
この化粧材について、耐剥離性、耐摩耗性、表面の艶の評価及び表面の状態について評価した。その結果を第1表に示す。
プライマー層5を形成するための塗工を行った後に70℃で1日間、加熱処理して、完全に硬化した状態のプライマー層5を得た後、該プライマー層5の上に表面保護層6を設けたこと以外は、実施例1と同様にして化粧材を得た。この化粧材においては、混合層は見られなかった。
また、この化粧材について、耐摩耗性、表面の艶の評価及び表面の状態について評価した。その結果を第1表に示す。
プライマー層5を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして化粧材を得た。この化粧材について、耐剥離性、耐摩耗性、表面の艶の評価及び表面の状態について評価した。その結果を第1表に示す。
2.基材
3.着色層
4.絵柄層
5.プライマー層
6.表面保護層
7.混合層
Claims (5)
- 基材上に、少なくとも硬化型樹脂の硬化物からなるプライマー層と、硬化型樹脂の硬化物からなる表面保護層とを順次積層してなる化粧材の製造方法において、未硬化で液状のプライマー層を形成する工程、該プライマー層を少なくとも一部が未硬化の状態にて指触乾燥する工程、該プライマー層に接して未硬化で液状の表面保護層を形成した後、所定時間養生することによりプライマー層と表面保護層との間に両者の混在する混合層を形成せしめる工程、及び表面保護層及びプライマー層を硬化する工程を含むことを特徴とする化粧材の製造方法。
- 前記混合層を形成せしめる工程が、20〜150℃の温度範囲で、0.01〜300秒経過させる工程である請求項1に記載の化粧材の製造方法。
- 前記表面保護層及びプライマー層を硬化する工程が、表面保護層を架橋硬化し、次いでプライマー層を完全硬化するものである請求項1又は2に記載の化粧材の製造方法。
- 表面保護層を構成する材料が、電離放射線硬化型樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧材の製造方法。
- プライマー層を構成する材料が、ウレタン系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧材の製造方法。
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