JP2000177517A - 自動車用内装部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃吸収機能をもつクリップ取付座と衝撃吸
収パッドをトリムの内面側に設けた自動車用内装部品に
おいて、内装部品を車体パネルに取り付ける際に、クリ
ップ取付座が座屈破損することがなく、かつクリップ取
付座への樹脂クリップの装着作業性を高める。 【解決手段】 衝撃吸収パッド５０をクリップ取付座４
０側に延長形成し、この延長部５１をクリップ取付座４
０の着座プレート４１とトリム３０内面との間に挿入す
るとともに、クリップ取付座４０の座屈力を衝撃吸収パ
ッド５０の破壊強度よりも小さく設定することにより、
内装部品１０を車体パネル１０に取り付ける際の応力を
衝撃吸収パッド５０の延長部５１で受けることができ、
パネル７０への円滑な取り付けを図る一方、衝撃吸収パ
ッド５０を樹脂クリップ６０のガイドとして使用するこ
とにより、樹脂クリップ６０の装着作業性を高める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、衝撃吸収パッド
並びに衝撃吸収機能をもつクリップ取付座を備えた自動
車用内装部品に係り、車体取付時にクリップ取付座の破
損がないとともに、クリップ取付座へのクリップの円滑
な装着を可能にした自動車用内装部品に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、自動車室内には各種内装部品が装
着されており、車室内の美観向上並びに乗員の保護を図
っているが、最近では、車両に側方から衝撃が加わった
際、乗員を確実に保護できるように、側突対応を考慮し
た内装部品が多く採用されている。

【０００３】図１０は、側突対応を考慮した自動車用ド
アトリム１を示すもので、トリムアッパー２とトリムロ
ア３との上下二分割体から構成されており、特に、トリ
ムロア３のリヤ側は、側突時、乗員の腰部が当たる部位
であることから、図１１に示すように、トリムロア３の
裏面に設置するクリップ取付座４に衝撃吸収機能をもた
せている。

【０００４】すなわち、このクリップ取付座４は、図１
２に示すように、クリップｃを装着する着座プレート５
と、この着座プレート５をロアトリム３と所定間隔を隔
てて支持するための縦壁部６とから構成されており、こ
の従来例では、トリムロア３がＰＰ樹脂の射出成形体か
ら構成されているため、クリップ取付座４はトリムロア
３と一体に形成されている。

【０００５】そして、この縦壁部６の一部に傾斜部７を
設定することにより、側突時等、応力が加わった際、傾
斜部７と着座プレート５との境界部ａ並びに傾斜部７と
縦壁部６との境界部ｂに応力が集中して、クリップ取付
座４の座屈変形を誘発して、衝撃荷重を有効に吸収する
という構成である。

【０００６】また、このクリップ取付座４の隣接部位
に、硬質ポリウレタンフォーム等からなる衝撃吸収パッ
ド８を貼付し、併行して衝撃を緩和する構成も採用され
ている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このように、側突対応
の自動車用ドアトリム１においては、座屈変形により衝
撃を吸収できるクリップ取付座４が設けられているが、
通常、ドアトリム１を車体パネルに装着する際には、ド
アトリム１を車体パネルに対して適正位置にロケートし
た後、クリップｃを車体パネルの取付孔に圧入嵌合させ
るために強固な押圧力をドアトリム１に加える必要があ
り、そのとき、クリップ取付座４の傾斜部７を基にクリ
ップ取付座４が座屈変形して円滑なドアトリム１の取り
付けが達成できないという欠点が指摘されている。

【０００８】更に、クリップ取付座４の側突時における
座屈変形を損なうことがないように、クリップ取付座４
の内部スペースには、ガイドリブ等、干渉物が排除され
ているため、クリップｃをクリップ取付座４に装着する
際のロケートがうまく行なわれず、クリップｃの取付作
業性の低下を招くという問題点もあった。

【０００９】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、クリップ取付座と衝撃吸収パッドが隣接して
取り付けられることに着目して、衝撃吸収パッドをスペ
ーサとして利用することにより、車体取付時におけるク
リップ取付座の破損を防止するとともに、衝撃吸収パッ
ドをクリップ装着時のガイドとして利用し、クリップ取
付座へのクリップの円滑な装着を可能にした自動車用内
装部品を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の請求項１に記載の発明は、内装トリムの裏面
に衝撃吸収パッドが貼付されるとともに、それと隣接し
て内装トリムと別体あるいは一体にクリップ取付座が設
けられ、このクリップ取付座の縦壁部の一部に座屈によ
り衝撃を吸収する傾斜部を備えた自動車用内装部品にお
いて、前記衝撃吸収パッドをクリップ取付座側に延長
し、クリップ取付座の着座プレートの下方に延長部を収
容するとともに、クリップ取付座の座屈力が衝撃吸収パ
ッドの破壊強度よりも小さく設定されていることを特徴
とする。

【００１１】ここで、内装トリムとしては、車両の側壁
パネルに内装される自動車用ドアトリム，リヤコーナー
トリム，ラゲージサイドトリム等に適用される。

【００１２】衝撃吸収パッドとしては、コスト，成形
性，衝撃吸収機能を考慮すれば、モールド成形による硬
質ポリウレタンフォームが適しているが、この他に発泡
ビーズ成形体等の使用も可能である。

【００１３】次いで、クリップ取付座は、内装トリムと
一体成形しても良く、また、仕様によっては、内装トリ
ムの裏面に別体のクリップ取付座のフランジを超音波溶
着等により固着するようにしても良い。

【００１４】上記衝撃吸収パッドの延長部は、クリップ
取付座内に挿入されるが、クリップ取付座の形状に合致
するのが好ましく、また、衝撃吸収パッド面とクリップ
取付座の着座プレートの下面との間には、樹脂クリップ
のヘッドフランジ厚み以上のクリアランスが設定されて
いる。

【００１５】従って、請求項１に記載の発明によれば、
クリップ取付座の着座プレートと内装トリム面との間に
衝撃吸収パッドの延長部が挿入されているため、車体パ
ネルに内装トリムを取り付ける際、内装トリムへの押圧
力は、衝撃吸収パッドが受けるため、トリム取付時にお
けるクリップ取付座の座屈を確実に防止できる。

【００１６】本願の請求項２に記載の発明は、クリップ
取付座の係止孔の開口方向が衝撃吸収パッド側に向けら
れていることを特徴とする。

【００１７】従って、請求項２記載の発明によれば、ク
リップ取付座の着座プレートに設けられているクリップ
係止孔の開口方向は、衝撃吸収パッド側に向いているた
め、クリップ取付座にクリップを装着する際、クリップ
を衝撃吸収パッドの上面に沿ってスライド操作させるこ
とにより、クリップのガイドとして衝撃吸収パッドが機
能し、クリップの装着を手際良く行なえる。

【００１８】本願の請求項３記載の発明は、クリップ取
付座の着座プレートは、内装トリム裏面側との間に設け
られる連結サポート部により支持されていることを特徴
とする。

【００１９】従って、請求項３に記載の発明によれば、
着座プレートのほぼ中央部と内装トリムとの間はサポー
ト部により連結されているため、車体パネルに内装トリ
ムを取り付ける際、クリップ取付座に斜め方向からの押
圧力が加わっても、このサポート部によりクリップ取付
座が支持され、クリップ取付座が斜め方向に座屈変形す
ることがない。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る自動車用内装
部品の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細
に説明する。

【００２１】図１，図２は本発明を適用する自動車用ド
アトリムの第１の実施形態を示す正面図並びに断面図、
図３は同自動車用ドアトリムを裏面側からみた平面図、
図４は同自動車用ドアトリムの裏面に設置されるクリッ
プ取付座を示す斜視図、図５，図６は同自動車用ドアト
リムの要部構成を示す各断面図である。

【００２２】また、図７乃至図９は本発明の第２の実施
形態を示すもので、図７はドアトリムの裏面側からみた
平面図、図８，図９は同ドアトリムにおける要部構成を
示す各断面図である。

【００２３】図１，図２において、自動車用ドアトリム
１０は、トリムアッパー２０とトリムロア３０との上下
二分割体から構成されており、トリムアッパー２０は、
タルクを混入したＰＰ樹脂をモールドプレス成形するこ
とにより、所望の曲面形状に成形されている樹脂芯材２
１と、この樹脂芯材２１の表面にモールドプレス成形時
一体貼着される表皮材２２とから構成されており、表皮
材２２としては、クロス裏面にポリウレタンフォームを
裏打ちした積層シート材料、あるいはＰＶＣシート裏面
にポリエチレンフォームを裏打ちした積層シート材料
等、クッション性並びに手触り感の優れた素材が使用さ
れて良い。

【００２４】一方、トリムロア３０は、ＰＰ樹脂の射出
成形体から構成され、ポケット用開口３１並びにスピー
カーグリル３２が一体成形され、本発明の要部ではない
が、トリムアッパー２０とトリムロア３０の接合構造と
しては、両者の接合ラインに沿ってトリムロア３０の裏
面側に適宜ピッチ間隔で取付用ボス３３が突設形成され
トリムアッパー２０の取付孔２３内に取付用ボス３３を
挿入した後、その先端を超音波カシメ加工することによ
り両者が接合固定される。

【００２５】ところで、図１は運転席側のドアパネルに
装着されるドアトリムで、ドライバーの腰部に相当する
箇所、すなわち、トリムロア３０のリヤ側の裏面に衝撃
吸収構造として衝撃吸収機能をもつクリップ取付座４０
と衝撃吸収パッド５０が併用されており、本発明は、衝
撃吸収機能をもつクリップ取付座４０と衝撃吸収パッド
５０を併用することを前提として、このドアトリム１０
を車体パネルに取り付ける際に、クリップ取付座４０が
座屈変形することがなく、かつクリップ取付座４０にク
リップ６０を装着する際の作業性を高めることが課題で
ある。

【００２６】そのために、図３，図４に示すように、ま
ず、クリップ取付座４０は、トリムロア３０の裏面に一
体に成形されており、クリップ６０を装着する着座プレ
ート４１をトリムロア３０の裏面とほぼ平行で所定間隔
あけて設定されるように縦壁部４２が形成され、また、
着座プレート４１と縦壁部４２との間に座屈変形を誘発
する傾斜部４３が形成されており、かつ着座プレート４
１にはクリップ６０を係着する係止孔４４が開設されて
いる。

【００２７】尚、本実施形態では、傾斜部４３の座屈を
より促進させるために、傾斜部４３と着座プレート４１
との境界部及び傾斜部４３と縦壁部４２との境界部に凹
溝４５が設けられているが、この凹溝４５は省略しても
良い。

【００２８】一方、衝撃吸収パッド５０は、クリップ取
付座４０と隣接するその中央側に取り付けられており、
本願においては、この衝撃吸収パッド５０のクリップ取
付座４０側の端末をクリップ取付座４０側に延長させ
て、この延長部５１をクリップ取付座４０内に収容する
とともに、この衝撃吸収パッド５０の破壊強度よりもク
リップ取付座４０の座屈力が小さく設定されていること
が特徴である。

【００２９】また、クリップ取付座４０の着座プレート
４１に設けられている係止孔４４は、その開口が衝撃吸
収パッド５０側に向けて開口されている。

【００３０】従って、図５に示すように、クリップ取付
座４０の係止孔４４内に樹脂クリップ６０を装着した状
態で、車体パネル７０にドアトリム１０を取り付ける
際、車体パネル７０の取付孔７１内に樹脂クリップ６０
を位置決めして、ドアトリム１０の表面側から押圧力Ｆ
を加えて樹脂クリップ６０を車体パネル７０の取付孔７
１内に圧入嵌合させるが、その際の押圧力Ｆがクリップ
取付座４０の座屈方向に加わるが、衝撃吸収パッド５０
の延長部５１によりこの押圧力Ｆを受けることができ、
従来のようにトリムを車体パネルに取り付ける際のクリ
ップ取付座の座屈変形が防止でき、円滑な取付作業が期
待できるという利点がある。

【００３１】更に、クリップ取付座４０に樹脂クリップ
６０を装着する作業についても、図６に示すように、衝
撃吸収パッド５０の上面５０ａに沿って樹脂クリップ６
０のヘッドフランジ６１をクリップ取付座４０側に摺接
させれば、この衝撃吸収パッド５０及び延長部５１が樹
脂クリップ６０のガイドとして有効に機能するため、樹
脂クリップ６０の装着作業性が著しく向上するという有
利さもある。

【００３２】また、クリップ取付座４０の寸法バラツキ
や取付バラツキを考慮して、クリップ取付座４０の着座
プレート４１の下面と衝撃吸収パッド５０の延長部５１
の上面５１ａとの間の間隙ｄは樹脂クリップ６０のヘッ
ドフランジ部６１の厚み寸法に上記バラツキ寸法を加味
した寸法に設定しておけば良い。

【００３３】以上の実施形態は、クリップ取付座４０を
トリムロア３０と一体成形したものであり、傾斜部４３
は、着座プレート４１と縦壁部４２との間に設定したも
のであるが、クリップ取付座４０をトリムロア３０とは
別体に成形し、取付用フランジを超音波溶着固定等によ
り取り付ける別体型のクリップ取付座４０を使用しても
良く、また、傾斜部４３の形成箇所についても縦壁部４
１の下部側に設定するようにしても良い。このように、
クリップ取付座４０は、トリムロア３０と一体あるいは
別体いずれでも良く、傾斜部４３を採用した座屈変形を
利用した衝撃吸収タイプであれば、形状変更等、適宜バ
リエーションを付加しても良い。

【００３４】次いで、図７乃至図９は、本発明に係る自
動車用内装部品の第２の実施形態を示すもので、第１の
実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説
明は省略する。

【００３５】この第２の実施形態においては、着座プレ
ート４１の縁部とトリムロア３０との間に橋掛け状に連
結サポート部４６が形成されている。

【００３６】そして、この連結サポート部４６は、非常
に大きな荷重が加わった際、クリップ取付座４０が傾斜
部４３を基に座屈変形する際の障害とはならず、自動車
用ドアトリム１０をドアパネル７０にクリップを介して
装着固定する際、ドアトリム１０から斜め方向の押圧力
Ｆ１，Ｆ２が作用した際、この連結サポート部４５がな
い場合には、図９中点線で示すように、クリップ取付座
４０は斜め方向の変形を誘発しやすいが、この連結サポ
ート部４６により斜め方向の変形を有効に規制すること
ができ、ドアトリム１０を車体パネル７０に取り付ける
際の作業性をより高めることができる。

【００３７】以上説明した本発明の第１の実施形態及び
第２の実施形態は、上下二分割タイプの自動車用ドアト
リム１０におけるトリムロア３０に適用したが、一体型
のドアトリム、リヤコーナートリム、ラゲージサイドト
リム等、車両の側壁に設置される内装部品に適用するこ
ともできる。

【００３８】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る自動車
用内装部品は、衝撃吸収パッド並びに衝撃吸収機能をも
つクリップ取付座を隣接して取り付けたものにおいて、
衝撃吸収パッドの延長部をクリップ取付座内に収容する
とともに、クリップ取付座の座屈力を衝撃吸収パッドの
破壊強度より小さく設定することにより、側突等、衝撃
が加わった際、クリップ取付座からの反力が乗員に加わ
ることがなく、有効な衝撃吸収機能が得られる一方、内
装部品を車体パネルに取り付ける際には、取付時の押圧
力によりクリップ取付座が座屈変形することがなく、円
滑な取り付けが期待できるとともに、衝撃吸収パッドの
一面をガイドとして利用でき、樹脂クリップの装着作業
性も高めることができる等、種々の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る自動車用内装部品を自動車用ドア
トリムに適用した第１の実施形態を示す正面図である。

【図２】図１中II−II線断面図である。

【図３】図１に示す自動車用ドアトリムを裏面側からみ
た要部平面図である。

【図４】図１に示す自動車用ドアトリムに設置されるク
リップ取付座を示す斜視図である。

【図５】図１に示す自動車用ドアトリムを車体パネルに
取り付ける状態を示す断面図である。

【図６】図１に示す自動車用ドアトリムにおける樹脂ク
リップの装着作業要領を示す断面図である。

【図７】本発明に係る自動車用内装部品をドアトリムに
適用した第２の実施形態を示す要部平面図である。

【図８】図７中VIII−VIII線断面図である。

【図９】図７に示す自動車用ドアトリムを車体パネルに
取り付ける状態を示す説明図である。

【図１０】従来の自動車用ドアトリムの正面図である。

【図１１】従来の自動車用ドアトリムに設置されるクリ
ップ取付座の断面図である。

【図１２】従来の自動車用ドアトリムに適用するクリッ
プ取付座を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム ２０ トリムアッパー ３０ トリムロア ４０ クリップ取付座 ４１ 着座プレート ４２ 縦壁部 ４３ 傾斜部 ４４ 係止孔 ４５ 凹溝 ４６ 連結サポート部 ５０ 衝撃吸収パッド ５１ 延長部 ６０ 樹脂クリップ ７０ 車体パネル ７１ 取付孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内装トリム（３０）の裏面に衝撃吸収パ
   ッド（５０）が貼付されるとともに、それと隣接して内
   装トリム（３０）と別体あるいは一体にクリップ取付座
   （４０）が設けられ、このクリップ取付座（４０）の縦
   壁部（４２）の一部に座屈により衝撃を吸収する傾斜部
   （４３）を備えた自動車用内装部品において、 前記衝撃吸収パッド（５０）をクリップ取付座（４０）
   側に延長し、クリップ取付座（４０）の着座プレート
   （４１）の下方に延長部（５１）を収容するとともに、
   クリップ取付座（４０）の座屈力が衝撃吸収パッド（５
   ０）の破壊強度よりも小さく設定されていることを特徴
   とする自動車用内装部品。
2. 【請求項２】 クリップ取付座の係止孔（４４）の開口
   方向が衝撃吸収パッド（５０）側に向けられていること
   を特徴とする請求項１に記載の自動車用内装部品。
3. 【請求項３】 クリップ取付座（４０）の着座プレート
   （４１）は、内装トリム（３０）裏面側との間に設けら
   れる連結サポート部（４６）により支持されていること
   を特徴とする請求項１又は２に記載の自動車用内装部
   品。