JPWO2017164162A1 - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

外観、風合い、さらには伸張率および伸張回復率に優れたシート状物およびその製造方法を提供する。極細繊維と多孔化した弾性体ポリマーから構成されるシート状物であって、前記シート状物は基材層と立毛層からなり、前記極細繊維は、コイル状の捲縮を有し、平均単繊維直径が0.1〜10μmであり、繊維長が8〜90mmの繊維を含み、かつ、前記シート状物の伸張率が10%以上、伸張回復率が80%以上であることを特徴とするシート状物である。

Description

本発明は極細繊維がコイル状の捲縮を有していることにより、優美な外観と優れたストレッチ性を有するシート状物、およびその製造方法に関する。
従来、主として極細繊維と高分子弾性体からなるシート状物は天然皮革にない優れた特徴を有しており、衣料や椅子張り、自動車内装材用途などにその使用が年々広がってきた。そして、最近は、特に衣料用途では着用感、資材用途では成型性の観点から、ストレッチ性に優れるシート状物が求められている。シート状物にストレッチ性を付与することを目的として、シート状物を構成する繊維をサイドバイサイド状に貼り付けた構造を持たせる検討が行われている。
例えば、特許文献1では弾性ポリマーからなる繊維成分と非弾性ポリマーからなる島成分を有する海島構造とが隣接した集束繊維発生型繊維から海成分を除去することによって、島成分が非弾性ポリマーである非弾性極細繊維束発生型繊維と弾性繊維の2種の繊維をサイドバイサイド状に貼り付けた構造の繊維が得られ、その繊維を用いた人工皮革が提案されている。しかしながら、弾性ポリマーであるポリウレタン系の繊維を紡糸する場合、ポリウレタン系繊維はポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いやドレープ性が低下するといった問題がある。さらに、ポリウレタン系繊維はポリエステル用の染料には染まり難く、ポリエステル繊維と併用したとしても、染色工程が複雑になるばかりか所望の色彩に染色することが困難であった。
特許文献2では、固有粘度(IV)差のある2種類のポリエチレンテレフタレート共重合体から形成されたサイドバイサイド型の複合繊維を含んでなる糸を含む織編物を挿入する方法が提案されている。延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じ、捲縮が発現する。しかしながら、シート状物を構成する極細繊維は潜在捲縮発現型繊維ではなく、シート状物の強度を補強する目的で挿入される織編物のみが捲縮するため、シート状物にストレッチ性は付与できるが、シート状物表面の極細繊維の緻密感は発現しないものである。
特許文献3では、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートをサイドバイサイド型に複合紡糸し、得られた潜在捲縮発現型繊維を含む人工皮革が提案されている。しかしながら、このシートを形成する極細繊維長は5mm以下と非常に短く、また直接紡糸法のため繊維束を形成することができないことから、極細繊維同士の絡合および極細繊維の捲縮が小さく、ストレッチ性に乏しいシート状物になる。
一方、特許文献4では固有粘度に差のある2種類のポリエチレンテレフタレートから形成されたサイドバイサイド型の極細繊維からなる不織布と、その内部に水分散型ポリウレタンを含有するシート状物が提案されている。本特許文献では、水分散型ポリウレタンを不織布に含浸しているため、乾燥する際に水分散型ポリウレタンが極細繊維の交絡点を固めた構造となる。また、ポリウレタンは無孔構造であるため、極細繊維の自由度はない。そのため、極細繊維は捲縮してシート状物表面の外観は緻密になるが、ストレッチ性は発現しないものである。
すなわち、これまで緻密な外観と、伸張率および伸張回復率といったストレッチ性を両立したシート状物は得られていない。
また、一般的に表面に立毛を有するスエード調人工皮革において、立毛の方向によって表面繊維の光の反射が変化し、見る角度によって色相が異なる特徴があり、衣料やシート材に使用する際において、方向に注意する必要があった。
特許第03128333号公報 特許第05035117号公報 特開2003−286663号公報 特開2012−136800号公報
上記のような課題を解決する提案に関する文献はこれまでに見られないが、本発明者らは潜在捲縮糸を用いて表面の繊維の方向性に変化をつけることにより、上記の課題を解決することができた。
本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、緻密な外観と、伸張率および伸張回復率といったストレッチ性を両立したシート状物、また、高級感を持ちながら見る角度を変えても色相差が小さいシート状物およびそれらの製造方法を提供するものである。
本発明は、極細繊維と多孔化した弾性体ポリマーから構成されるシート状物であって、前記シート状物は基材層と立毛層からなり、前記極細繊維は、コイル状の捲縮を有し、平均単繊維直径が0.1〜10μmであり、繊維長が8〜90mmの繊維を含み、かつ、前記シート状物の伸張率が10%以上、伸張回復率が80%以上であることを特徴とするシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記シート状物を構成する極細繊維は、繊維長が25〜90mmの繊維を含むことを特徴とするシート状物である。
また、本発明のシート状物の好ましい態様によれば、固有粘度差のある2種類以上のポリエチレンテレフタレート系重合体が繊維長さ方向に沿って、サイドバイサイド型に貼り合わされた、または、偏心した芯鞘構造を形成している平均単繊維直径が0.3μm以上7μm以下の複合繊維からなる不織布と、その内部に高分子弾性体を含有し、表面に立毛層を有する皮革様シート状物であって、皮革様シート状物表面の測定対象点に対し、皮革様シート状物のタテ方向の立毛順方向の上方斜め45°からの視点を視点1、タテ方向の立毛逆方向の上方斜め45°からの視点を視点2、ヨコ方向の任意の一方の上方斜め45°からの視点を視点3とし、視点1と視点2との色差を△E*ab12、視点2と視点3との色差を△E*ab23、視点3と視点1との色差を△E*ab31としたとき、次式を満たすことを特徴とする皮革様シート状物である。
・0.2≦(△E*ab12+△E*ab23+△E*ab31)/3≦1.5
緻密な外観と、伸張率および伸張回復率といったストレッチ性を両立したシート状物、また、スエード調人工皮革の高級感と変化のある表情を持ちながら、見る角度による色相差が小さい皮革様シート状物、およびそれらの製造方法を得ることができる。これによって、成型性や着心地感向上等の機能性に優れ、シート状物の表面を手で触れた場合や座った場合においても、跡が見えにくいシート状物が得られる。
図1は、実施例1で得られたシート状物表面の繊維の形状を示すSEM写真(100倍)である。 図2は、シート状物の色相差を測定する方法と装置を説明するための概略図である。
本発明のシート状物は、極細繊維と多孔化した弾性体ポリマーから構成されるシート状物であって、前記シート状物は基材層と立毛層からなり、前記極細繊維は、コイル状の捲縮を有し、平均単繊維直径が0.1〜10μmであり、繊維長が8〜90mmの繊維を含み、かつ、前記シート状物の伸張率が10%以上、伸張回復率が80%以上であることを特徴とするシート状物である。
本発明における立毛層とは、シート状物の立毛している繊維がなす層であり、基材層とはシート状物の立毛層以外の層を指す。
本発明において、極細繊維の平均単繊維直径は、シート状物の柔軟性や立毛品位の観点から0.1〜10μmであることが重要である。平均単繊維直径は大きくなると、表面品位に乏しいシート状物となることから、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。一方、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、さばけ易さの観点からは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。また、柔軟性や立毛品位および染色時の発色性に優れ、且つ見る角度による色相差が小さくなる特性を考慮した場合の好ましい範囲は0.3μm〜0.7μmである。
なお、極細繊維平均単繊維直径は、シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定し、平均値を計算することで算出される。
極細繊維の断面形状としては、例えば、丸、楕円、扁平および三角などの多角形、扇、十字、Y、H、X、W、C、およびπ型などを用いることができる。
繊維絡合体を構成する極細繊維は、極細繊維束の形態をとっている。極細繊維が束となっていることで、シート状物の引張強力や引裂強力といった物理的な強度を向上し、さらには耐摩耗性も発現することができるものである。極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよく、場合によっては部分的に結合していてもよく、凝集していてもよい。本発明で用いられる極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体からなるポリエステル繊維が好ましく用いられる。なお、これらのポリマーから選ばれる少なくとも2種以上が組み合わされていてもよい。
また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維であってもよい。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合され構成されることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良く、また、有機粒子、無機粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。
本発明のシート状物を構成する極細繊維は、異なる2種類のポリマー(A)および(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされた複合繊維であってもよい。
前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)の組み合わせとしては、前述の極細繊維を形成するポリマーから適宜選ぶことができるが、好ましくは固有粘度差のあるポリエステル系重合体の組み合わせであり、より好ましくは前記ポリマー(A)または前記ポリマー(B)の少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体である。特に、かかる組み合わせのポリマーを繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせた構造を形成するよう紡糸、延伸して得られる極細繊維は、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じ、それによってシート化した後に熱処理することにより、高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じてコイル状の捲縮が発現する。この捲縮により、シート状物表面の立毛層部分の繊維の絡まりが大きくなり、ストレッチ性が発現する。
サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維において、ポリマー(A)とポリマー(B)がポリエステル系共重合体である場合、その固有粘度差は0.002〜1.5であることが好ましい。固有粘度差を0.002以上大きくすると、捲縮特性の優れた繊維が得られる。一方、固有粘度差が1.5を越えると、得られた繊維の捲縮特性は良好ではあるものの、紡糸された繊維が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間の安定した紡糸をすることができない。また、前記ポリマーの組み合わせとしては少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体であることが好ましい。ポリブチレンテレフタレート系重合体は、結晶性が高いポリマーであるため、例えばもう一方にポリエチレンテレフタレートとした際、両ポリマー間で結晶性に差が生まれ、捲縮発現しやすい。
本発明におけるポリエステル系重合体の固有粘度は、高粘度成分においては0.5〜2.0であることが好ましい。固有粘度を0.5以上とすることにより、十分な強度と伸度を兼ね備えた繊維を製造することが可能となる。また、固有粘度の上限は溶融押し出しなどの成形の容易さ、製造コスト、工程途中の熱やせん断力によって起きる分子鎖切断による分子量低下の点から、2.0以下が好ましい。一方、低粘度成分は、固有粘度を0.3〜1にすることにより安定紡糸が可能となる。
また、両成分の複合比率は、質量比で、高粘度成分:低粘度成分=75:25〜35:65(質量%)の範囲が好ましく、より好ましくは65:35〜45:55(質量%)の範囲である。この範囲内であれば、得られるシート状物のストレッチ性に合わせて複合比を適宜設定可能であり、例えば、ソフト感に優れたシート状物を得るには、高粘度成分の複合比を低く、タフネスを得るには高粘度成分の複合比を高くすればよい。
ポリエステル系重合体の固有粘度差は、重合の時間、温度、触媒量や共重合成分を適宜調節することにより、所望の粘度とすることができる。
本発明における固有粘度は、オルソクロロフェノール中に試料を溶かして25℃の温度で測定した値である。
本発明におけるポリエステル系重合体とは、ジカルボン酸類またはその誘導体とジオール類またはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものであり、ここで主成分とは全体の重量に対して50重量%より多いことをいう。ポリエステル系重合体は、他のエステル結合が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物としては、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸および5−イソフタル酸などのジカルボン酸類や、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができる。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、および着色顔料などを添加してもよい。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート系重合体とは、テレフタル酸またはその誘導体と、1,4−ブタンジオールまたはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものである。
本発明のシート状物を構成する不織布は、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
本発明のシート状物に用いられる短繊維不織布としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウエブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られるものや抄紙法で得られるもの、長繊維不織布としては、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られるものを適宜採用することができる。
短繊維不織布における短繊維は、8〜90mmの繊維長を含むことが重要である。繊維長を8mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、シート状物の圧縮特性や表面品位に優れたシート状物を得ることができる。繊維長は、より好ましくは25〜90mmである。
繊維長が8mmより小さい繊維は絡合されにくく、シート状物の製造工程中に繊維脱落が発生する。また、90mmより長い繊維は絡合性に優れるが、立毛部を構成した際は耐摩耗性に乏しく、また表面品位に劣る傾向になる。
極細繊維の8〜90mmの繊維長の割合は、シート状物を構成する極細繊維全体の50質量%以上であることが好ましい。
なお、繊維長8〜90mmの割合は、まずシート状物中の弾性体ポリマーを抽出・除去し極細繊維のみとした後、繊維をランダムに100本抜き出し、繊維長を測定し、繊維長のヒストグラムを作成することによって算出される。
前記のようにして得られた不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチームによって収縮処理を施すことができる。温水やスチームの温度は、後述する極細繊維の捲縮が発現することがないように、シート状物の温度が100℃未満となるように処理することが好ましい。ただし、シート状物自体の温度が100℃未満に保たれるのであれば、シート状物を収縮させるために付与する温水やスチームの温度は100℃以上であることも許容される。また、この収縮処理の際に、不織布を構成する極細繊維発現型繊維の沸騰水における収縮率が高い場合、シート状物の収縮処理温度が100℃未満の場合においても収縮処理後に捲縮が発現してしまう場合がある。また、繊維の収縮率が低い場合はシート状物の緻密性が上がらず、皮革様シート状物としての優れた表面感が得られなくなる。これにより、不織布を構成する極細繊維発現型繊維の沸騰水における収縮率は、5〜25%であることが好ましい。
本発明のシート状物は、その内層部あるいは表面に強度を向上させるなどの目的で補強層を含ませることができる。補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)、およびプラスチックフィルムや金属薄膜シートなどのフィルム状物等を採用することができる。補強層が繊維で構成された織物や編物の場合、繊維の平均単繊維直径は、0.1〜20μm程度であることがシート状物の風合いの観点から好ましい。
本発明で用いられる織編物を構成する繊維糸条の種類としては、フィラメントヤーン、紡績糸、革新紡績糸およびフィラメントヤーンと紡績糸の混合複合糸などが挙げられる。紡績糸は、その構造上表面に多数毛羽が存在するため、不織布と織物を絡合する際、その毛羽が脱落し表面に露出すると欠点となるため、フィラメントヤーンを用いることが好ましい。フィラメントヤーンには、大別すると単繊維1本で構成されたモノフィラメントと複数本で構成されたマルチフィラメントとがあるが、本発明で用いられる織編物では、マルチフィラメントを用いることが好ましい。モノフィラメントでは、繊維の剛性が高くなりすぎるためシート状物の風合いを損ねることがある。
織編物を構成する繊維糸条の総繊度は、剛性および目付などの理由から、好ましくは50〜150dtexである。
前記織編物の目付は20〜200g/mが好ましく、さらに好ましくは30〜150g/mである。織編物の目付が20g/m未満では、織編物としての形態が乏しくなり、織編物を不織布と不織布の間に挿入したとき、あるいは織編物を不織布の表面に重ねる際にシワが発生し、均一に積層させることが困難となる。また、織編物の目付が200g/mを超えると、織編物の構造が密となり、不織布と織編物の絡合が困難となる傾向になる。
本発明において用いられる織物の基本組織は、ツイルやサテンを用いても良いが、目ずれなどが発生しにくい平組織が好ましく用いられる。
本発明のシート状物は、シート状物の片面または両面に立毛層を有する。また、極細繊維がコイル状の捲縮を有することで、シート状物に嵩高感を付与でき、ストレッチ性も発現できる。
本発明のシート状物の伸張率は10%以上、伸張回復率が80%以上であることが重要である。伸張率が10%以上、伸張回復率が80%以上であることにより、ストレッチ性に優れたシート状物を得ることができる。
なお、伸長率はJIS L 1096(2010)8.16.1 B法(定荷重法)において、伸長回復率はJIS L 1096(2010)8.16.2 B−1法(定荷重法)において測定した。また、つかみ間隔は10cmとし、荷重を取り除いた後の放置時間は1時間とした。
立毛層を構成する極細繊維が有するコイル状の捲縮の半径は、5〜100μmの弧状であることが好ましく、より好ましくは、90μm以下、さらに好ましくは85μm以下である。半径が100μmより大きくなると、捲縮は弱くなり、ストレッチ性は得られにくい。一方、表面品位の観点から好ましくは7μm以上、より好ましくは20μm以上である。半径が5μmより小さくなると、捲縮は強くなり、表面品位は悪化する。極細繊維がコイル状に捲縮することで、シート状物表面の極細繊維のカバー率は捲縮がない場合よりも高くなり、立毛の下の不織布自体が見えずに立毛のみの外観となるため、緻密で優美な外観となる。また、シート状物の内部構造としては、コイル状の極細繊維同士が絡まることで、引張に対する伸びしろが形成され、ストレッチ性が発現する。
本発明のシート状物は、繊維絡合体の極細繊維質量に対し5〜60質量%の多孔化した弾性体ポリマーを含有することが好ましい。極細繊維質量に対し5質量%以上の弾性体ポリマーを含有することによって、シート状物に適度な圧縮特性を付与することが可能となる。弾性体ポリマーの質量が60質量%より多い場合は、立毛工程での繊維の開繊性が乏しくなり、またシート状物のしなやかさが低下することがある。さらには、シート状物が染色されて用いられる場合、染色後の繊維絡合体の繊維と弾性体ポリマーの色調に差が生じるため、弾性体ポリマーは少ない方が好ましい場合がある。環境配慮の面では、弾性体ポリマーを多量に含有せしめることは、製造工程における有機物の使用量が増加するため好ましくなく、弾性体ポリマーが少ない方が、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いた場合、再生回収や廃棄が容易となる。弾性体ポリマーの質量のより好ましい範囲は、15〜55質量%である。
上記の弾性体ポリマーには、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤および酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、撥水剤、粘度調整剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、および凝固調整剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子等を含有させることができる。
本発明における弾性体ポリマーは多孔化していることが重要である。多孔化していることで、弾性体ポリマーによる繊維の把持力を低くすることができ、繊維の捲縮によるストレッチ性を発現することができる。
本発明で用いられる弾性体ポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリウレア、ポリアクリル酸、エチレン・酢酸ビニルエラストマーおよびアクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール等が挙げられ、耐久性と圧縮特性の観点からは、ポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。高分子弾性体には、複数の高分子弾性体を含有せしめることができる。
本発明で特に好ましく用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタンやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどが挙げられる。
本発明で使用されるポリウレタン系エラストマーは、溶剤系のポリウレタン系エラストマーを用いることができる。
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
上記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエーテル系ジオールを用いることが好ましい態様である。
上記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
また、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれも採用することができる。
また、ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。
また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で用いられるポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、ポリウレタン系エラトマーの分子量が一定の場合、500〜4000の範囲であることが好ましい。数平均分子量を好ましくは500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、シート状物が硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーとしての強度を維持することができる。
本発明で用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
鎖伸長剤としては、好ましくはエチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
本発明で用いられるポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタン系エラストマーに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、またポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤も用いることができる。ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できるという観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。
本発明のシート状物の見かけ密度は、0.10〜0.80g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.70g/cmである。見かけ密度が0.10g/cm以上になると、シート状物の緻密感や機械物性が良好であり、0.80g/cm以下であると、風合いが硬くなることを避けることができる。
シート状物の厚みは、0.1〜7mmであることが好ましい。この厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、シート状物の形態安定性と寸法安定性に優れる。一方、厚さを7mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、シート状物の成形性に優れる。
本発明のシート状物は、見る角度による色相差が小さいこと、すなわち、シートの表面に対して3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間で色相差△E*abを求め、その平均値が0.2〜1.5の範囲であることを特徴とする。一般的に△E*abが1.5を超えると色相が感知できるほどに異なるとされているため、色相差は1.5以下であることが好ましい。一方で、色相差が0.2以下になると、表情の変化が少なく高級感に乏しいものとなる。よって、皮革様シート状物を3方向から見たときの色相差を0.2〜1.5の範囲にすることにより、高級感と変化のある表情を持ちながら、見る角度による色相差が小さい、すなわち、自動車シートやソファー等の立体型に成型した場合においても光が当たる部分の反射が抑制でき、つぎはぎ感が少なく、ボケが生じにくく、シート状物の表面を手で触れた場合や座った場合においても、跡が見えにくいシート状物が得られる。
本発明のシート状物は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、および耐候剤などの機能性薬剤を含んでいてもよい。
次に、本発明のシート状物を製造する方法について説明する。
本発明のシート状物に用いられる不織布を構成する極細繊維を得る手段としては、極細繊維発現型繊維であることが重要である。極細繊維発現型繊維をあらかじめ絡合し不織布とした後で、繊維の極細化を行うことによって、極細繊維の束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤などへの溶解性の異なる熱可塑性高分子成分を海成分および島成分とし、後工程で海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、ウォータージェット等の物理的な力や溶剤の膨潤により剥離分割する剥離分割型繊維を採用することができるが、好ましくは極細繊維径を均一に制御でき、シート状物の表面外観を優美にできる海島型複合繊維である。海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができ、かつ1本あたりの複合繊維から特に繊維径の小さな極細繊維を効率良く発現させることができ、シート状物に柔らかな風合いや嵩高性などを付与することができるので好ましく用いられる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましく用いられる。
また、本発明において、前記極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維であり、島成分がサイドバイサイド型であることが好ましいが、偏心した芯鞘型でもよい。島成分において、異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型、または偏心した芯鞘型に貼り合わされることで、潜在捲縮型の島成分繊維が得られる。
また、本発明で用いられる海島型複合繊維における海成分と島成分の質量割合は、海成分:島成分=5:95〜80:20の範囲であることが好ましい。海成分の質量割合が5質量%を下回る場合、島成分の極細化が不十分となる。また、海成分の質量割合が80質量%を超える場合、溶出成分の割合が多いため生産性が低くなる。海成分と島成分の質量割合は、より好ましくは、海成分:島成分=10:90〜60:40の範囲である。
本発明において、海島型複合繊維で代表される極細繊維発現型繊維を延伸する場合は、未延伸糸を一旦巻取り後、別途延伸を行うか、もしくは未延伸糸を引取りそのまま連続して延伸を行うなど、いずれの方法も採用することができる。延伸は、湿熱または乾熱あるいはその両者によって、1段〜3段延伸する方法で適宜行うことができる。次に、延伸された海島型複合繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。
海島型繊維の海成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびPVAなどが挙げられる。
海島型繊維の繊維極細化処理(脱海処理)は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し、搾液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いられる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液や熱水が用いられる。
繊維極細化処理には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性体ポリマーを含浸する前、含浸した後、および起毛処理後のいずれのタイミングでも行うことができる。弾性体ポリマー付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接弾性体ポリマーが密着する構造となって極細繊維を強く把持できることから、シート状物の耐摩耗性がより良好となる。一方、弾性体ポリマー付与後に脱海処理を行うと、弾性体ポリマーと極細繊維間に、脱海された海成分に起因する空隙が生成することから、極細繊維を直接弾性体ポリマーが把持せずにシート状物の圧縮特性が良好となる。
本発明では、極細繊維束内の繊維数は10〜9000本/束であることが好ましく、より好ましくは10〜4000本/束である。繊維数が10本/束未満の場合には、極細繊維の緻密性が乏しく、例えば、摩耗等の機械物性が低下する傾向がある。また、繊維数が9000本/束より多い場合には、立毛時の開繊性が低下し、立毛面の繊維分布が不均一となる傾向がある。
繊維の密集性の観点からは、極細繊維束内の繊維密集度合いは30〜1000であることが好ましく、より好ましくは50〜700である。繊維密集度合いは、(極細繊維束内の繊維数)×(単繊維直径)で算出し、極細繊維の束の大きさの指標となる。このように、極細繊維束内の繊維密集度合いを30〜1000とすることにより、繊維絡合体とする際の加工操業性が良く、繊維束の緻密性が良くなる。
本発明で用いられる繊維絡合体を得る方法としては、繊維ウエブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維で構成された繊維絡合体の見かけ密度は、0.15〜0.40g/cmであることが好ましい。見かけ密度を0.15g/cm以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた繊維絡合体にできる。一方、見かけ密度を0.40g/cm以下、好ましくは0.30g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を繊維間に維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維で構成された繊維絡合体は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって熱収縮処理させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。また、繊維絡合体はカレンダー処理等により、厚み方向に圧縮させることもできる。
また、シート状物表面の繊維分布の緻密性および均一性を得るためには、弾性体ポリマーは極細繊維の繊維束が絡合されてなる不織布等の繊維絡合体について、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しないことが好ましい態様である。繊維束内部にまで弾性体ポリマーが存在すると、弾性体ポリマーが各極細繊維と接着して存在することになるため、バフィング処理の際の開繊性が乏しくなる。
高分子弾性体が、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しない形態を得る方法としては、例えば、弾性体ポリマーを溶液とし、
(1)極細繊維発生型の海島型繊維で構成された繊維絡合体に、前記の弾性体ポリマー溶液を含浸し凝固させた後、海島型繊維の海成分を、弾性体ポリマーは溶解しない溶剤で溶解除去する方法や、
(2)極細繊維発生型の海島型繊維で構成された繊維絡合体に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いで前記の弾性体ポリマー溶液を含浸し凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法、などを好ましく用いることができる。
前記のポリビニルアルコールとしては、鹸化度80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
ポリウレタン系エラストマー液を繊維絡合体に含浸等し、凝固させる場合、ポリウレタン系エラストマーは有機溶剤系のポリウレタン系エラストマーであることが重要である。
有機溶剤系ポリウレタンは、乾熱凝固または湿式凝固あるいはこれらを組み合わせて凝固させることができるが、なかでも水中に浸漬して凝固させる湿式凝固が好ましく用いられる。湿式凝固とすることにより、極細繊維の交絡点にポリウレタンが集中することがなく、ポリウレタン自体も多孔化するため、極細繊維同士の自由度が増し、構造的にシート状物にストレッチ性を付与することができる。一方、ポリウレタン系エラストマーが水分散型のポリウレタンの場合、凝固方法として乾熱凝固があるが、極細繊維の交絡点にポリウレタンが集中して極細繊維を強く把持し、さらにポリウレタン自体も無孔構造となるため、極細繊維に自由度がなく、ストレッチ性は発現できない。
湿式凝固の温度は、特に限定はされない。
繊維絡合体に弾性体ポリマーを付与後、得られた弾性体ポリマー付与シート状物を、シート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。
本発明のシート状物は、シート状物の少なくとも一面に、立毛を有することが重要である。
本発明のシート状物の表面に極細繊維の立毛を形成するための起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前に、シート状物にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、上記の起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい態様である。
シート状物は、起毛処理を行う前に、シート状物厚み方向に半裁ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
シート状物は、用途に応じて染色することができる。シート状物の染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。シート状物の染色温度は、高すぎると高分子弾性体が劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により設定することが好ましい。染色温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。前記染色工程による熱処理および揉みにより極細繊維の捲縮が発現されやすくなる。
極細繊維の捲縮を発現させるための製造工程としては、下記(1)〜(3)の順番で実施することが好ましい。
(1)極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させる工程、
(2)極細繊維からなる不織布を起毛させる工程、
(3)起毛処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度で熱処理を施すことにより、立毛層の極細繊維に捲縮を発現させる工程。
例えば、極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させる工程の前に、不織布に100℃以上の温度の熱処理を施すと、海成分を溶解後に捲縮が発現し、後工程で起毛処理加工した際に捲縮が伸ばされる形となってしまい、本発明の目的とする立毛表面が得られにくくなる。
また、本発明の皮革様シート状物の製造方法において、立毛層における極細繊維の捲縮は、極細繊維からなる起毛加工処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度の熱処理を施すことにより達成される。立毛層の極細繊維が捲縮することにより、異方性を持った立毛表面が得られ、見る角度による色相差の少ないシート状物を得ることができる。
染料は、シート状物を構成する繊維の種類にあわせて、選択することができる。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。
また、シート状物の染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明のシート状物は、優美で緻密な外観とストレッチ性(伸縮性)を両立しているため、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、等の工業用資材として好適に用いることができる。さらに、本発明のシート状物では、単繊維同士もしくは繊維の絡合部に多数の数nm〜500nm程度の隙間が生まれるため、多孔性材料のような特異的な性質を示す場合もあり、フィルターなどの用途としての使用も可能である。
本発明のシート状物は、その表面にコーティング層を形成して、銀付人工皮革に用いることもできる。銀付人工皮革とするためのコーティング層や下引き層の形成方法としては、乾式造面法、ダイレクトコート法などがあり、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。各層の厚みは、用途に応じて適宜設定することができる。好ましい厚みは10〜1000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。
コーティング層に用いられる樹脂はポリウレタンが最も好適である。前記の樹脂には、適宜他の樹脂を混合して用いることもできる。近年、多くの用途で耐久性が要求されていることから、ポリカーボネート系などの耐久性に優れたポリウレタンを用いることが好ましい。耐摩耗性の点からは、シリコーン変性ポリウレタンが好ましく用いられる。同じ理由で、ポリウレタン樹脂にシリコーンオイルや固体のシリコーン系化合物を含有させて使用することもできる。
次に、実施例を用いて本発明のシート状物とその製造方法についてさらに具体的に説明する。次に、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。
(1)固有粘度IV
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η0:OCPの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:OCPの落下時間(秒)
d0:OCPの密度(g/cm)。
(2)平均単繊維直径
シート状物を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、平均値を算出した。
(3)捲縮半径
走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)を用いて、シート状物の表面を撮影(倍率100倍)し、捲縮され弧状を示す繊維の半径を測定した。n数は20で、その平均値を求めた。弧状を円の一部とした際、該弧状からなる円周部分が円全体の1/2を超えない場合には、当該繊維は捲縮された繊維に該当しないものとして測定対象から除外するものとした。
(4)シート状物の目付
JIS L 1096(1999)8.4.2に記載された方法で測定した。
20cm×20cmの試験片を5枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(5)シート状物の厚さ
0.01mm目盛りの厚さ計(ディスク直径9mm以上)を用い、10kPa荷重下で、シート幅方向等間隔に5点測定し、その平均値を求めた。
(6)ストレッチ性
伸長率、伸長回復率により行った。シートの各方向について、伸長率、伸長回復率の両方が目標値を超えた場合は評価を「○」とし合格、どちらか一方または両方が目標を超えなかった場合は「×」とし、不合格とした。
・伸長率
JIS L 1096(2010) 8.16.1 B法(定荷重法)においてシート状物の伸長率を測定した。
なお、本発明において良好なレベル(目標値)は、伸長率10%以上である。
・伸長回復率
JIS L 1096(2010) 8.16.2 B−1法(定荷重法)においてシート状物の伸長回復率を測定した。また、つかみ間隔は10cmとし、荷重を取り除いた後の放置時間は1時間とした。
なお、本発明において良好なレベル(目標値)は、伸長回復率80%以上である。
(7)皮革様シート状物の色相差:
色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−410)を用いて、図2に記載のとおり、皮革様シート状物1の表面を2、タテ方向を3、ヨコ方向を4、厚さ方向を5、立毛順方向を6とした場合、皮革様シート状物1の表面2の測定対象点に対し、皮革様シート状物1のタテ方向3の立毛順方向6の上方斜め45°からの視点を視点1とし、タテ方向3の立毛逆方向の上方斜め45°からの視点を視点2とし、ヨコ方向4の任意の一方の上方斜め45°からの視点を視点3とした場合、各視点でそれぞれL*、a*、およびb*を測定した。測定の際には、装置の光が漏れないように45°に斜めカットした円筒形の枠を作成して装置の先端にはめて測定した。視点1と視点2との色差を△E*ab12とし、視点2と視点3との色差を△E*ab23とし、視点3と視点1との色差を△E*ab31としたとき、測定したL*、a*、およびb*から、各点間の色差△E*abを算出した。△E*abは、次の計算式で求められる。
・△E*ab=(△L*^2+△a*^2+△b*^2)1/2
(式中、△L*は2点間のL*値の差、△a*は2点間のa*値の差、△b*は2点間のb*値の差を、それぞれ表す。)
[実施例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、メルトフローレート(以下、MFRという)が120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が312g/mで、厚みが1.70mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は25μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が335g/mで、厚みが1.85mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は30μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.655のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が350g/mで、厚みが1.90mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.82mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は55μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.654のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径52μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.85mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.82mm、平均単繊維径が8.8μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は45μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテルフタレートを用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径16μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が310g/mで、厚みが1.70mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を96℃の温度の熱水で収縮させた後、80℃に加熱した濃度15g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去し、極細繊維とポリウレタンからなるシート状物を得た。次に、120℃の温度の熱風で10分間乾燥し、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させ、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。 このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が2.8μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は30μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
(紡糸、製布)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.654のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20となるように口金から吐出した。紡速が4000m/分となるようにエジェクター圧力を調整し、平均単繊維直径14μmの海島型複合長繊維をネットで捕集し、30g/mの長繊維不織布シートを得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の長繊維不織布シートを用いて、クロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が300g/mで、厚みが1.80mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が38質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維直径が2μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は70μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
(紡糸、製布)
島成分のうち芯成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートを、鞘成分として固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島で島成分が偏心芯鞘型である海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20となるように口金から吐出した。紡速が4000m/分となるようにエジェクター圧力を調整し、平均単繊維直径25μmの海島型複合長繊維をネットで捕集し、30g/mの長繊維不織布シートを得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の長繊維不織布シートを用いて、クロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が300g/mで、厚みが1.80mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が40質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維直径が3.6μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は80μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を10mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が162g/m2で、厚みが0.87mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.72mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は20μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例9]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を80mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cm2のパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が172g/m2で、厚みが0.94mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.73mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は30μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。シート状物のストレッチ性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例10]
島成分として固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.48のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により3.2倍に延伸し、クリンパー処理後、繊維を51mmの長さにカットして、平均単繊維直径が4.4μmの海島型複合繊維で沸騰水収縮率が14.5%の原綿を得た。
このようにして得られた海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施した後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、シート状物を得た。
このようにして得られたシート状物を、96℃の温度の熱水で収縮させた後、濃度12%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度95℃の熱風で15分間乾燥することにより、繊維シート状物基体の質量に対するPVA質量が20質量%のシート状物を得た。このシート状物をトリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維と織物が絡合してなる脱海シートを得た。このようにして得られた脱海シートを、固形分濃度が12%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、95℃の温度の熱風で15分間乾燥することにより、単繊維繊度が0.21dtexの島成分からなる前記の極細繊維からなるシート状物の質量に対するポリウレタン質量が28質量%の皮革基材シートを得た。
このようにして得られた皮革基材シートを厚さ方向に垂直に半裁し、半裁面をサンドペーパー番手180番のエンドレスサンドペーパーで研削し、立毛面を形成させた。このようにして得られた皮革基材シートを液流染色機に投入し、120℃の温度の条件下で、ベージュ色に染色と捲縮処理を同時に行った後に乾燥機で乾燥を行い、皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚みは150μmで、表面の立毛はコイル状に捲縮が発現し、立毛の方向はランダムであることを確認した。得られたシートの表面について、前述の測定方法によって、3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は0.72で、見る角度による色相差は無かった。また、表情が豊かで高級感もあり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感も無かった。結果を表2に示す。
[実施例11]
上記の実施例1において、島数を36島とし、島/海質量比率を60/40に変更したこと以外は、実施例1と同一条件で加工して、平均単繊維直径が2.1μmの皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚さは180μmで、表面の立毛はコイル状に捲縮が発現し、立毛の方向はランダムであることを確認した。得られたシートの表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は1.20で、見る角度による色相差は無かった。また、表情が豊かで高級感もあり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感も無かった。結果を表2に示す。
[実施例12]
上記の実施例1において、島成分として固有粘度(IV)が1.21のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.48のポリエチレンテレフタレートを使用し、延伸倍率3.7倍、沸騰水収縮率21.5%の原綿を得たこと以外は、実施例1と同一条件で加工して皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚さは150μmで、表面の立毛はコイル状に捲縮が発現し、立毛の方向はランダムであることを確認した。得られた皮革様シート状物の表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は0.46で、見る角度による色相差は無かった。また、表情が豊かで高級感もあり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感も無かった。結果を表2に示す。
[比較例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートを、海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が560g/mで、厚みが3.15mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が33質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が32質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.90mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していないことを確認した。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、シート状物のストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(紡糸)
固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートを紡糸口金から押出し、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し、74dtex/350fの複合マルチフィラメント(極細繊維)を得た。
一方、上記と同様にして、56dtex/12fのマルチフィラメントを得た。この複合フィラメントを撚糸(1500/m)したものを経糸及び緯糸に用いて、平織の織物を作製した。
先に製造した74dtex/350fの複合マルチフィラメント(極細繊維)を長さ5mmにカットした後、水中に分散させ、表層用と裏層用の抄造用スラリーを作製した。表層目付を100g/m、裏層目付を100g/m とし、上記織物を挿入して、積層構造繊維シートを形成し、高速水流の噴射により抄造シートを構成する繊維同士を三次元交絡させて不織布を得た。
その後、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、DMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が33質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物の表面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて染色した。得られたシート状物は、シート厚みが0.90mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、極細繊維は繊維束を構成しておらず、また立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していないことを確認した。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、シート状物のストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.652のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.80mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が33質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が38質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認したが、捲縮の半径平均値は110μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、シート状物のストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例4]
(原綿)
島/海質量比率を20/80としたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.85mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに12%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細中空繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、固形分濃度を12%に調整したポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維径が0.05μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は3μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、シート状物のストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例5]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.83mmのシート状物を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、乾燥温度100℃で5分間熱風乾燥した。その後、ポリウレタン固形分濃度が12質量%の水分散型ポリウレタン液(エーテル系)を含浸し、乾燥温度100℃で10分間熱風乾燥することで、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が45質量%のシート状物を得た。
次に、このようにして得られたシート状物を、80℃の温度に加熱された濃度15g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い海島型複合繊維の海成分を除去し、極細繊維と水分散型ポリウレタンからなるシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度1.0m/分、バフロールとシートが接触するシート接触角を50°としてバフィングを行い、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物は、シート厚みが0.75mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は60μmであった。また、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは無孔化しており、シート状物のストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例6]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.750のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.025のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にしたところ、口金吐出の際に糸曲がりが著しく、糸切れ多発して安定に製造できなかった。
[比較例7]
上記の実施例1において、島成分を固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレート単成分としたこと以外は、実施例1と同一条件で皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚さは210μmで、表面の立毛は捲縮がなく、立毛の方向は一方向に揃っていた。得られたシートの表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は2.51で、見る角度によって色相差があり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感が生じた。結果を表2に示す。
[比較例8]
上記の実施例1において、ニードルパンチ後のシート状物を96℃の温度の熱水で収縮させた後、12%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度120℃の熱風で15分間乾燥したこと以外は、実施例1と同一条件で皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚さは195μmで、表面の立毛は捲縮が弱く、起毛処理加工前に発現した捲縮が起毛処理加工によって伸ばされた形となった。得られたシートの表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は2.31で、見る角度によって色相差があり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感が生じた。結果を表2に示す。
[比較例9]
上記の実施例3において、島成分として固有粘度(IV)が1.21のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.48のポリエチレンテレフタレートを使用し、延伸倍率3.9倍、沸騰水収縮率25.2%の原綿を得たこと以外は、実施例3と同一条件で加工して皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚さは170μmで、表面の立毛は捲縮が弱く、起毛処理加工前の熱収縮工程にて発現した捲縮が起毛処理加工によって伸ばされた形となった。得られたシートの表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、およびb*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は1.98で、見る角度によって色相差があり、シートに成型した際につぎはぎ感やボケ感が生じた。結果を表2に示す。
[比較例10]
上記の実施例1において、厚み方向に半裁後のサンドペーパー処理において、番手を320番のサンドペーパーに変更したこと以外は実施例1と同一条件で加工して皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物について、立毛層の厚みは40μmで、表面の立毛はコイル状に捲縮が発現し、立毛の方向はランダムであることを確認した。得られたシートの表面について、前述の測定方法にて3方向からL*、a*、b*を測定し、各点間の△E*abを求め、その3点の△E*ab平均値は0.17で、見る角度による色相差は無かったが、表情の変化が乏しく高級感に欠けるものであった。結果を表2に示す。
1:皮革様シート状物
2:皮革様シート状物の表面
3:タテ方向
4:ヨコ方向
5:厚さ方向
6:立毛順方向

Claims (9)

  1. 極細繊維と多孔化した弾性体ポリマーから構成されるシート状物であって、前記シート状物は基材層と立毛層からなり、前記極細繊維は、コイル状の捲縮を有し、平均単繊維直径が0.1〜10μmであり、繊維長が8〜90mmの繊維を含み、かつ、前記シート状物の伸張率が10%以上、伸張回復率が80%以上であることを特徴とするシート状物。
  2. 前記シート状物を構成する極細繊維は、繊維長が25〜90mmの繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のシート状物。
  3. 前記立毛層を構成する極細繊維が有するコイル状の捲縮の半径が、5〜100μmの弧状であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物。
  4. 前記極細繊維が、異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
  5. 前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)はポリエステル系重合体であり、かつ固有粘度(IV)差が0.002〜1.5であることを特徴とする請求項4に記載のシート状物。
  6. 前記ポリマー(A)または前記ポリマー(B)の少なくとも一方はポリブチレンテレフタレート系重合体であることを特徴とする請求項4または5に記載のシート状物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のシート状物を製造する方法であって、極細繊維発現型繊維からなるシート状物から極細繊維を発現させることを特徴とするシート状物の製造方法。
  8. 前記極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維であり、島成分がサイドバイサイド型であることを特徴とする請求項7に記載のシート状物の製造方法。
  9. 固有粘度差のある2種類以上のポリエチレンテレフタレート系重合体が繊維長さ方向に沿って、サイドバイサイド型に貼り合わされた、または、偏心した芯鞘構造を形成している平均単繊維直径が0.3μm以上7μm以下の複合繊維からなる不織布と、その内部に高分子弾性体を含有し、表面に立毛層を有する皮革様シート状物であって、皮革様シートの状物表面の測定対象点に対し、皮革様シート状物のタテ方向の立毛順方向の上方斜め45°からの視点を視点1、タテ方向の立毛逆方向の上方斜め45°からの視点を視点2、ヨコ方向の任意の一方の上方斜め45°からの視点を視点3とし、視点1と視点2との色差を△E*ab12、視点2と視点3との色差を△E*ab23、視点3と視点1との色差を△E*ab31としたとき、次式を満たすことを特徴とする皮革様シート状物。
    ・0.2≦(△E*ab12+△E*ab23+△E*ab31)/3≦1.5
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