JP5088293B2 - 皮革様シート状物、それを用いた内装材、衣料用資材および工業用資材ならびに皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物、それを用いた内装材、衣料用資材および工業用資材ならびに皮革様シート状物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高級な外観、物性に優れ、ソフトでしなやかな風合い、さらには耐摩耗性に優れた皮革様シート状物、並びにそれを用いてなる内装材及び衣料用資材及び工業用資材に関するものである。
主として極細繊維とポリウレタンからなる皮革様シート状物は優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。とりわけポリエステル系極細繊維を用いた皮革様シート状物は耐光性に優れるため、衣料や椅子張り、自動車内装材用途等にその使用が年々広がってきた。
皮革様シート状物の分野では、高品質化が要求され、外観(スエード感、ピリング)、風合い(柔軟な手触り)、発色性(色の鮮明さ、濃度感)等の感性面での要求をすべて高いレベルで満足するような高品質のものが求められており、これを解決すべく種々の提案がなされてきた。
例えば、高級な外観や柔軟でしなやかな風合いの皮革様シート状物を得るために、皮革様シート状物を構成している繊維を極細化する方法が一般に用いられているが、繊維を単に極細化していくと、細くなるにつれてよりくすんだ白っぽい色にしか染色できないので、外観や風合いがいくら優れていても発色性の点で劣るという欠点を有している。
このような皮革様シート状物の発色性改良については、特許文献1でスエード調人工皮革の立毛表面に易染性樹脂を付与して染色することが提案されており、また特許文献2ではアルカリの存在下で還元されて水溶性となる染料で染色し、酸化して染料を固着する染色法も提案されている。しかしながら、上記の特許文献に記載されているような発色性の改良方法は、発色性自体は改良できるものの、外観や触感、風合いを低下させるものであった。
この発色性、風合いを改善しようと、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸の低級アルキルエステルと、プロピレンテレフタレートを重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタレートを用いて種々検討が進められている。ポリトリメチレンテレフタレートは、低弾性率、ソフトな風合い、易染性といった特徴が注目され、近年、その需要が大きく拡大している。しかし、ポリトリメチレンテレフタレート単独の糸では強度の弱い布帛しか得られず、製織編の際、糸に張力が加わると簡単に切れてしまうといった欠点があった。また高強度な糸を得るためには延伸倍率を高くすれば良いことは一般に知られているが、高延伸倍率では伸度が低下するため、発色性が悪くなってしまう。
このようにポリトリメチレンテレフタレート単独では、発色性、ソフト性良好且つ高強度なものは得られなかった。そこでポリトリメチレンテレフタレート単独糸の欠点を補うために、ポリエチレンテレフタレートと、ポリトリメチレンテレフタレートとの芯鞘型複合繊維の開発が進められている。例えば特許文献3では、芯部にポリエチレンテレフタレートを配し、鞘部にポリトリメチレンテレフタレートを配することによる、強度及び弾性率の補強について開示している。しかしながら、これでは強度は補強されるが弾性率はポリエチレンテレフタレートライクとなってしまい、このため発色性、ソフト感がポリエチレンテレフタレート同等のものとなり、ポリトリメチレンテレフタレート特有の発色性及びソフト性を両立しながら強度(タフネス)を後加工に良好な領域まで高めることが出来なかった。さらに、上記のような芯鞘型複合繊維は、糸として技術開発が進められているが、極細繊維に適用するには、紡糸糸切れなどの製糸性や摩耗性などの特性に大きな課題があり、人工皮革などの皮革様シート状物を検討するに至らなかった。
以上のように、高級な外観、物性に優れ、ソフトでしなやかな風合い、さらには優れた耐摩耗性を有する皮革様シート状物はこれまでに提供できていなかった。
特開昭50−135331号公報 特開平7−173778号公報 特開平11−93021号公報(特許請求の範囲)
本発明は、高級な外観、物性に優れ、ソフトでしなやかな風合い、さらには耐摩耗性に優れた皮革様シート状物、並びにそれを用いてなる内装材及び衣料用資材及び工業用資材に関するものである。
本発明の皮革様シート状物は、「平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維からなる不織布と弾性重合体とからなる皮革様シート状物であって、極細繊維が芯鞘型複合繊維であり、芯成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯比率が30%以上80%未満の芯鞘型複合繊維であることを特徴とする皮革様シート状物」である。
本発明によれば、外観、風合い、耐摩耗性に優れた皮革様シート状物、並びにそれを用いてなる内装材及び衣料用資材及び工業用資材を得ることができる。
本発明の皮革様シート状物は、平均単繊維直径が0.3〜7μm(ポリトリメチレンテレフタレート繊維の密度1.4g/cmで換算すると平均繊度0.001〜0.5dtex)の極細繊維からなる不織布に弾性重合体を含有した皮革様シート状物である。
本発明における皮革様シート状物とは、天然皮革のようなスエード、ヌバック、銀面等の優れた表面外観を有してなるものであり、好ましくはスエードやヌバックといった立毛調の外観において、滑らかなタッチと優れたライティングエフェクトを有するものである。
不織布を構成する極細繊維の平均単繊維直径は7μm(ポリトリメチレンテレフタレート繊維の密度1.4g/cmで換算すると平均繊度0.5dtex)以下、好ましくは6μm(平均繊度が0.35dtex)以下、より好ましくは5μm(平均繊度が0.25dtex)以下とすることで、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、0.3μm(平均繊度が0.001dtex)以上、好ましくは0.7μm(平均繊度が0.005dtex)以上、より好ましくは1μm(平均繊度が0.01dtex)以上とすることで、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性、さばけ易さに優れる。
なお、不織布を構成する極細繊維の平均単繊維直径は、極細繊維の断面が円形または円形に近い楕円形の場合は、皮革様シート状物(もしくは不織布)表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、極細繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して平均値を計算することで算出される。一方、不織布を構成する極細繊維が異形断面の場合は、同様にして、異形断面の外周円直径を単繊維直径として算出する。さらに、円形断面と異形断面が混合している場合、単繊維直径が大きく異なるものが混合している場合等は、それぞれが同数程度となるように100本を選び、算出する。また、平均単繊維繊度は算出した平均単繊維直径と素材ポリマーの比重(ポリトリメチレンテレフタレートの場合は1.4)から換算する。
不織布を構成する極細繊維の単繊維直径の均一性に関しては、繊維束内の単繊維直径CVが10%以下であることが好ましい。ここで単繊維直径CVとは、繊維束を構成する繊維の単繊維直径標準偏差を束内平均単繊維直径で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど均一であることを示すものである。単繊維直径CVを10%以下とすることで、本発明の皮革様シート状物表面の立毛の外観は優美となり、また染色も均質で良好なものとすることができる。極細繊維の断面が円形または円形に近い楕円形でない場合の単繊維直径CVは、平均単繊維直径の算出と同様の方法による。
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形、十字型などの異形断面のものを採用してもよい。また芯鞘形状は、同心芯鞘、偏心芯鞘など、特に限定しない。
本発明の皮革様シート状物を構成する不織布を構成する極細繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯成分は90モル%以上がプロピレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートである。ポリトリメチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、トリメチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%未満の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマー酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
また、鞘部に配する成分は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、6ナイロン、66ナイロン等のポリアミド等が挙げられ、特に限定するものではないが、強度、耐光性などの観点から、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%未満の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマー酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
本発明では、ポリトリメチレンテレフタレートを極細繊維の芯部に配することが重要である。芯部にポリトリメチレンテレフタレートを配することで、ポリトリメチレンテレフタレートの耐摩耗性の悪さを鞘部でカバーすることができ、かつソフトな風合いを得ることができる。
不織布を構成する極細繊維のポリトリメチレンテレフタレート芯比率は30wt%以上80wt%未満であることが重要である。30%wt以上、好ましくは40wt%以上、より好ましくは50wt%以上とすることで、ソフト性といったポリトリメチレンテレフタレートの特性が発揮される。また、80%未満とすることで、鞘部による繊維強度補強効果が発現することができる。
本発明で得られる極細繊維の引張強度は、シート状物の実使用の観点から、2.0cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは2.2cN/dtex以上である。また、同様に極細繊維からなるシート状物の引張強力は、100N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは、120N/cm以上である。
芯部に配するポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度に対して、鞘部に配するポリマーの極限粘度は高く、その差は0.2〜1.2であることが好ましい。極限粘度の差が規定の範囲以下では、ポリトリメチレンテレフタレートの粘度を高くした場合、一般に粘度に合わせ紡糸温度も高く設定する必要があり、高い紡糸温度ではポリトリメチレンテレフタレートの熱劣化が進み、紡糸糸切れの発生はもちろん、低強度糸や更にはポリトリメチレンテレフタレート熱劣化によるソフト性の低下が起こるため好ましくない。また、ポリトリメチレンテレフタレートの粘度を低くした場合は、発色性、ソフト性といったポリトリメチレンテレフタレートの特性が発揮されないため好ましくない。極限粘度の差の下限としては、さらに好ましくは0.3以上である。一方、極限粘度の差が規定の範囲以上では、鞘部ポリマーの粘度を低くした場合、鞘部ポリマーの強度補強効果が失われ、低強度糸となるため好ましくなく、またポリトリメチレンテレフタレートの粘度を高くした場合には、製糸そのものが困難となるため好ましくない。極限粘度の差の上限としては、好ましくは1.0以下である。さらに、本発明の芯鞘複合繊維において、ポリトリメチレンテレフタレート特有の発色性及びソフト性を損なわないためには、鞘部ポリマーの極限粘度が0.40〜0.70、ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が0.80〜1.70の範囲が特に好ましい。なお、極限粘度は後述する方法で測定した値をいう。
本発明の皮革様シート状物を構成する不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位を重視する場合には、短繊維不織布が好ましい。同様に風合いや品位を重視する場合は、短繊維の繊維長は絡合による耐摩耗性を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
不織布は異なる素材の極細繊維が混合されて構成されていてもよく、また不織布の内部に、強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入してもよい(以下において、挿入した織物・編物をスクリムと言うことがある)。織物もしくは編物の種類としては、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編およびそれらの編み方を基本とした各種編物、あるいは平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本とした各種織物などいずれも採用することができ、特に限定されるものでではない。
糸種によっては、ニードルパンチで不織布と一体化する場合、織物もしくは編物が切断されやすいことがあり、これを防止する手段として、これらの糸種が強撚糸であることが好ましい。本発明では、織物もしくは編物を構成する糸条として撚数が500T/m以上4500T/m以下である強撚糸を用いることが好ましい。500T/m未満では糸を構成する単糸同士の絞まりが不十分であるため、ニードルに引っかかり損傷しやすく、また、撚り数が多すぎても、繊維が硬くなりすぎ、製品の風合いや柔軟性の点から好ましくないので、4500T/m以下が好ましい。織物もしくは編物は上記の強撚糸を少なくとも一部に用いたものが好ましく、特に好ましいものとしては、全てが強撚糸を使用したものであり、この場合、高強力が発揮できる。また、これらの強撚糸がポリビニルアルコール系、アクリル系の糊剤が付与されたものであってもよい。織物もしくは編物を構成する繊維は、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの共重合体類を用いるのが好ましい。
なお、織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径は特に限定はなく、0.3〜9.5μm(ポリトリメチレンテレフタレート繊維の密度1.4g/cmで換算すると平均繊度0.001〜1dtex)の繊維であってもよい。
不織布に含有される弾性重合体は、ポリウレタン、合成ゴム、アクリル酸エステル系重合体または共重合体、可塑剤の使用によって弾性化した樹脂、例えばポリ塩化ビニル、ポリアミド等の弾性重合体およびそれらから選ばれた少なくとも1種類の弾性重合体を主体とした重合体が選択できるが、弾性回復性、スポンジ形成性等が良好なことからポリウレタンが好ましい。
ポリウレタンは、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールあるいはポリエステルポリエーテルジオール等のポリマージオール等から選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、4、4’ージフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族系、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族系、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系のジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種類のジイソシアネートと、エチレングリコール、ブタンジオール、エチレンジアミン、4、4’ージアミノジフェニルメタン等の2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種類の低分子化合物とを所定のモル比で反応させて得たポリウレタンおよびその変性物が挙げられる。
なお、樹脂は有機溶剤中に溶解していても、あるいは水中に分散していてもどちらでもよい。
弾性重合体は、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤等を含有していてもよい。
本発明のシート状物は引張強度がタテ・ヨコそれぞれ100N/cm以上であることが好ましい。100cN/cm未満であると、強度が低すぎて実用に耐えることが難しく、更に好ましくは120cN/cm以上である。
次に、本発明の皮革様シート状物の製造方法について説明する。
本発明の皮革様シート状物の製造方法は、(1)〜(3)の工程を含むものである。
(1)ポリトリメチレンテレフタレートを島芯成分とした、海島芯鞘複合の極細繊維発生型繊維の不織布からシートを作成する工程。
(2)シートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる工程。
(3)シートに弾性重合体を付与し、凝固する工程。
(1)〜(3)を実施することで、皮革様シート状物を得ることができる。
なお、順序については、(1)が最初であればよく、(1)(2)(3)の順、(1)(3)(2)の順のいずれでも可能であり、特に制限するものではない。
先ず(1)の工程について説明する。
不織布を構成する極細繊維を得る手段としては極細繊維発生型繊維を用いる。極細繊維発生型繊維をあらかじめ絡合した後に繊維の極細化を行うことによって、極細繊維が絡合してなる不織布を得ることができる。極細繊維発生型繊維としては、海島型複合用口金を用い、海・島鞘(島成分の鞘成分)・島芯(島成分の芯成分)の3成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式の海島芯鞘複合繊維を用いるのが、均一な単繊維直径の極細繊維が得られる点で好ましい。
極細繊維発生型繊維は、海成分を溶解剤ないしは分解剤等を用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする。
極細繊維発生型繊維中で溶解または分解除去される成分としては、極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、極細繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸性の観点から、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート共重合体やポリ乳酸などのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。また、ポリエチレンテレフタレート共重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルに5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を5〜12mol%共重合した共重合ポリエステルや、ポリ乳酸などを用いることができる。特に耐熱性、弱アルカリ水溶液への溶解性から、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを5〜12mol%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体を用いることが好ましい。また、これらの共重合体は2元のみならず、3元以上の多元共重合体であってもよい。
本発明の海島芯鞘複合繊維は、いずれの公知の方法においても製造されるが、複合構造の安定性、生産性を考慮すると、溶融紡糸法が最も優れている。該複合繊維を溶融紡糸する上では、島鞘成分となるポリマーとして例えばポリエステルは、260〜300℃にて溶融されるのが好ましい。溶融するに際し、プレッシャーメルター法およびエクストルーダー法が挙げられるが、均一溶融と滞留防止の観点からエクストルーダーによる溶融が好ましい。
また、島芯成分となるポリトリメチレンテレフタレートは、プレッシャーメルターあるいはエクストルーダーを用い、240〜280℃での溶融が好ましい。別々に溶融されたポリマーは別々の配管を通り、計量された後、口金パックへ流入する。この際、熱劣化を抑制する観点から、配管通過時間が5〜30分であることが好ましい。パックへ流入したポリマーは口金により合流され、公知の技術により同心円芯鞘型の形態に複合され口金より吐出される。この際のポリマー温度は、263〜280℃が適当である。この範囲であれば、生産性の低下や熱劣化による発色性やソフト感の低下を防止できる。
得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等によりウエブとし、次いで極細繊維発生型繊維を絡合して不織布とする。
極細繊維発生型繊維を絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチ等の通常の方法を用いることができる。得られた前記不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチーム処理によって収縮処理を施してもよい。
また、前記不織布は、弾性重合体を付与する前に、不織布厚み方向に半裁(2枚に分割すること)、ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
次に(2)の工程について説明する。
本発明の皮革様シート状物は、極細繊維発生型繊維からなるシートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる。
極細繊維発生型繊維を、繊維構成ポリマーのうちの海成分構成ポリマーを溶解剤若しくは分解剤で処理して、または機械的若しくは化学的処理により極細繊維を発現せしめる。極細繊維発生型繊維の発現処理は弾性重合体の付与前後のどちらでもよい。弾性重合体付与前に変性処理を行う場合には、シート状物の風合い柔軟化のために極細繊維と弾性重合体が接着しないようにポリビニルアルコールなどの溶解除去可能な仮充填剤を不織布に付与した後に弾性重合を付与し、その後に該仮充填剤を除去することが好ましい。
溶解剤若しくは分解剤としては、溶剤系の場合はトリクロロエチレンやトルエンなどが用いられる。また、水分散系の場合にはアルカリ水溶液や熱水が用いられる。
(3)の工程について説明する。
本発明の皮革様シート状物は、不織布に弾性重合体を付与し、凝固させる。不織布に弾性重合体の付与する方法としては特に制約は無く、弾性重合体溶液中に浸漬しニップする方法や、不織布上に弾性重合体溶液を付与し高速回転するロールで摺り込む方法等が挙げられる。
不織布に弾性重合体を付与した後に弾性重合体を凝固させるが、その凝固方法としては、弾性重合体の非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固する方法、ゲル化させた後加熱乾燥する乾式凝固方法などが挙げられる。前述のように弾性重合体の付与後に極細繊維発生型繊維の発現処理を行ってもよい。すなわち、(2)の工程と(3)の工程は順序を問わない。
本発明の皮革様シート状物においては、極細繊維からなる不織布全重量に対する弾性重合体の含有量は20重量%以上200重量%以下であることが好ましい。20重量%以上とすることで、シート強度を得て、かつ繊維の脱落を防ぐことができ、200重量%以下とすることで、風合いが必要以上に硬くなるのを防ぎ、目的とする良好な立毛品位を得ることができる。より好ましくは30重量%以上180重量%以下である。
弾性重合体の付与に際して、該弾性重合体中に必要に応じて着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の皮革様シート状物は、少なくとも片面に極細繊維の立毛を有している立毛調の皮革様シート状物としてもよい。皮革様シート状物表面に立毛を形成するための起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によって皮革様シート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい。
皮革様シート状物は、起毛処理を行う前に、シート厚み方向に半裁、ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
本発明の皮革様シート状物は、例えば染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐候剤等の機能性薬剤を含んでいてもよい。
本発明の皮革様シート状物は、染色されたものでもよい。染色は、分散染料、カチオン染料やその他反応性染料を用い、必要に応じ分散剤、pH調整剤および金属イオン封鎖剤等を用い、高温高圧染色機により行う。染色温度は80〜150℃が好ましい。80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上とすることで、ポリトリメチレンテレフタレート中に分散染料が充分に拡散する。150℃以下、より好ましくは140℃以下とすることで、該基材中の主に弾性重合体の加水分解により基材の強度低下、毛羽脱落等が懸念される。なお、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色の均一性や再現性をアップする目的で染色時に染色助剤を使用することは好ましい。さらにシリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤等の仕上げ剤処理を施してもよく、仕上げ処理は染色後でも、染色と同浴でもよい。
本発明の皮革様シート状物は、各種材料の表皮材として使用でき、家具、椅子、壁材や、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、及びそれらの一部に使用する衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布等の工業用資材として好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)平均単繊維直径
不織布、または皮革様シート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して平均値を計算することで算出した。
(2)平均単繊維繊度
不織布、または皮革様シート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して繊維の素材ポリマーの比重(ポリトリメチレンテレフタレートの比重は1.4)から繊度に換算し、さらに100本の平均値を計算することで算出した。
(3)単繊維直径CV
不織布、または皮革様シート状物の内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍で観察し、その写真から、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の単繊維直径を測定し、繊維束を構成する繊維の単繊維直径標準偏差を束内平均単繊維直径で割った値を百分率(%)で表した。5つの束状繊維について、同様の測定を行い、平均値を単繊維直径CVとした。
(4)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 0005088293
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノールで溶解したポリマーの希釈溶液の25℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(5)糸強度測定
JIS−L1013(1999)に従い、海成分を溶解後の極細繊維糸強度(cN/dtex)を測定した。
(6)シート状物の引張強力測定
JIS−L1096(1990)の8.12.1の引張強さ及び伸び率の測定方法に基づき、引張強力(N/cm)を測定した。
(7)外観品位
シート状物の表面品位は目視と官能評価にて下記のように評価した。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:立毛長・繊維の分散状態共に良好である。
△:立毛長は良好であるが、繊維の分散は不良である。
×:立毛長・繊維の分散状態共に不良。
(8)ピリング評価
皮革様シート状物のピリング評価は、マーチンデール摩耗試験機として、James H.Heal&Co.製のModel 406を、標準摩擦布として同社のABRASTIVE CLOTH SM25を用い、12kPa相当の荷重をかけ、摩耗回数20,000回の条件で摩擦させた後の試料の外観を目視で観察し、評価した。評価基準は試料の外観が摩擦前と全く変化が無かったものを5級、毛玉が多数発生したものを1級とし、その間を0.5級ずつ区切った。また、本発明における合格レベルは4級以上とした。
(9)風合い
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、下記の評価を触感で判別を行い、最も多かった評価を風合いとした。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:非常に柔軟であり、かつ適度な反発感がある。
△:柔軟であるが、反発感がない。または、反発感はあるが、硬い。
×:硬い。
[化学物質の表記]
各実施例・比較例で用いた化学物質の略号の意味は以下の通りである。
PTT:ポリトリメチレンテレフタレート
PET:ポリエチレンテレフタレート
PHC:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
H12MDI:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
3MPC:ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)ジオール
HDA:ヘキサメチレンジアミン。
[ポリウレタン種]
実施例、比較例で用いたポリウレタンの組成は下記の通りである。また、各溶液の固形分濃度は30重量%とした。
(1)溶剤系ポリウレタン(PU−1)
ポリイソシアネート:MDI
ポリオール :PHC
内部乳化剤 :なし
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
含有有機溶剤 :100重量%(溶媒N,N−ジメチルホルムアミド)。
(2)自己乳化型ポリウレタン水分散液(PU−2)
ポリイソシアネート:H12MDI
ポリオール :3MPC
鎖伸長剤 :HDA
内部乳化剤 :側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物
内部架橋剤 :γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
含有有機溶剤 :0.1重量%。
[実施例1]
海成分として共重合ポリスチレンを30部、島芯成分としてポリトリメチレンテレフタレートを53部、島鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを17部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が16μm(平均単繊維繊度2.8dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を熱水収縮させた後、ポリビニルアルコール水溶液を含浸し、乾燥温度125℃で10分間熱風乾燥することで、不織布の島成分重量に対するポリビニルアルコール重量が45重量%となるようにポリビニルアルコールを付与したシートを得た。このシートをトリクロロエチレン中で海成分を溶解除去し、極細繊維が絡合してなる脱海シートを得た。
この極細繊維からなる脱海シートを固形分濃度12%に調整した有機溶剤系ポリウレタン液(PU−1)を含浸し、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド)濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固せしめた。その後、ポリビニルアルコールおよびDMFを熱水で除去し、120℃10分間熱風乾燥することで、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が30重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
そして、脱海シートを厚さ方向に半裁し、半裁面と反対となる面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明の皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[実施例2〜4]
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度および島芯鞘比率をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、本発明の皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[実施例5、6]
スクリム条件を変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、本発明の皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[実施例7]
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、島芯成分としてポリトリメチレンテレフタレートを56部、島鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを14部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が16μm(平均単繊維繊度2.8dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を90℃の湯中で2分処理して収縮させ、100℃5分で乾燥した。次いで、自己乳化型ポリウレタン水分散液(PU−1)を含浸し、100℃の湿熱雰囲気下で5分処理後、乾燥温度125℃で10分熱風乾燥することで、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が50重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
次にこのシートを90℃に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。
そして、脱海シートを厚さ方向に半裁し、半裁面と反対となる面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明のシート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[実施例8]
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として50部、島芯成分としてポリトリメチレンテレフタレートを40部、島鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを10部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が20μm(平均単繊維繊度4.3dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を用いた以外は実施例7と同様にして本発明のシート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[実施例9]
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として20部、島芯成分としてポリトリメチレンテレフタレートを64部、島鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを16部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊維直径が19μm(平均単繊維繊度3.9dtex)の海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、スクリムとして84dtex−72フィラメントの2000T/m強撚糸を用いた織物をウェブ上下に積層し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を用いた以外は実施例7と同様にして本発明のシート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位、耐摩耗性、風合いは良好であった。
[比較例1〜5]
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度および島芯鞘比率、スクリムをそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シート状物はいずれも外観品位、耐摩耗性、風合いに劣るものであった。
Figure 0005088293
Figure 0005088293

Claims (9)

  1. 平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維からなる不織布と弾性重合体とからなる皮革様シート状物であって、該極細繊維は芯鞘型複合繊維であり、芯成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯比率が30wt%以上80wt%未満の芯鞘型複合繊維であることを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 芯鞘型複合繊維の鞘成分がポリエステルであり、鞘成分に配するポリエステルの極限粘度に対し、芯成分に配するポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が高く、且つその差が0.2以上1.2以下であることを特徴とする請求項1記載の皮革様シート状物。
  3. ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が0.80〜1.68であることを特徴とする請求項1または2記載の皮革様シート状物。
  4. 皮革様シート状物が極細繊維からなる不織布と、織物もしくは編物が絡合した構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  5. 織物もしくは編物を構成する糸条が撚数500T/m以上4500T/m以下である強撚糸であることを特徴とする請求項4に記載の皮革様シート状物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする内装材。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする衣料用資材。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物を表皮材とすることを特徴とする工業用資材。
  9. 請求項1〜5のいずれかの皮革様シート状物の製造方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を有する皮革様シート状物の製造方法。
    (1)ポリトリメチレンテレフタレートを島芯成分とした、海島芯鞘複合の極細繊維発生型繊維の不織布からシートを作成する工程。
    (2)シートを溶解剤若しくは分解剤で処理して極細繊維を発現せしめる工程。
    (3)シートに弾性重合体を付与し、凝固する工程。
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