JP2018003181A - 銀付人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

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Kuninori Yoshimizu
邦典 吉水
康弘 石倉
Yasuhiro Ishikura
康弘 石倉
行博 松崎
Yukihiro Matsuzaki
行博 松崎
西村 誠
Makoto Nishimura
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Abstract

【課題】本発明は、柔軟性、剥離強力、さらには伸張率および伸張回復率に優れた銀付人工皮革およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の銀付人工皮革は、平均単繊維直径が0.1〜10μmである極細繊維と多孔化した弾性重合体から構成される基材層と、前記基材層の少なくとも片面に形成された樹脂層とからなる銀付人工皮革であって、基材層が極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造であり、かつ樹脂層側の表面の極細繊維が捲縮を有するものであることを特徴とする銀付人工皮革である。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れたストレッチ性とともに基材層と樹脂層との間に高い剥離強力を有する銀付人工皮革およびその製造方法に関するものである。
繊維質基材上に、ポリウレタン等の樹脂をコーティングまたはラミネートして形成される、いわゆる銀付人工皮革は、天然皮革にない優れた柔軟性や機械的特性等の特徴を有しており、靴、鞄、ベルトおよびランドセル等の幅広い用途に利用されている
そして、最近は、特に衣料用途では着用感の観点から、また資材用途では成形性の観点から、ストレッチ性に優れた銀付人工皮革が求められており、これまで、銀付人工皮革にストレッチ性を付与することを目的に種々の提案がされてきた。
例えば、固有粘度(IV)差のある2種類のポリエチレンテレフタレート共重合体から形成されたサイドバイサイド型の複合繊維を含んでなる糸条を含む織編物を、ポリウレタンを含有する極細繊維に挿入する方法が提案されている(特許文献1参照。)。この提案によれば、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じて捲縮が発現し、人工皮革にストレッチ性を付与することができる。しかしながら、この提案の人工皮革を基材として、表面に樹脂層を形成して銀付人工皮革とした場合、基材表面の繊維はストレート糸であり、樹脂層と基材層との剥離強力を強化するためには、樹脂層の塗布量を多くして基材層と樹脂層の接着面積を増加することが必要となり、銀付人工皮革のストレッチ性は薄まるものである。
また別に、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートをサイドバイサイド型に複合紡糸し、得られた潜在捲縮発現型繊維を含む人工皮革が提案されている(特許文献2参照。)。この提案による人工皮革は、基材層を構成する繊維が捲縮を有するため、その上に樹脂層を形成した際に樹脂層と基材層の接着面積が大きくなることにより、剥離強力に優れた銀付人工皮革が得られる。しかしながら、この基材層を形成する極細繊維長は5mm以下と非常に短く、また単成分ポリマーの直接紡糸法のため繊維束を形成することができないことから、弾性重合体による繊維の拘束箇所が多くなり、ストレッチ性に乏しい銀付人工皮革となる。
また別に、固有粘度に差のある2種類のポリエチレンテレフタレートから形成されたサイドバイサイド型の極細繊維からなる不織布と、その内部に水分散型ポリウレタンを含有するシート状物が提案されている(特許文献3参照。)。この提案では、水分散型ポリウレタンを不織布に含浸しているため、乾燥する際に水分散型ポリウレタンが極細繊維の交絡点を固めた構造となる。また、ポリウレタンは無孔構造であるため、極細繊維の自由度はない。そのため、極細繊維は捲縮して銀付人工皮革の剥離強力には優れているが、ストレッチ性は発現しないものである。
すなわち、銀付人工皮革の伸長率および伸長回復率のようなストレッチ性と、樹脂層と基材層との間の強い剥離強力を両立させることは困難であった。
特許第05035117号公報 特開2003−286663号公報 特開2012−136800号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、剥離強力と、伸張率および伸張回復率というストレッチ性を両立させた銀付人工皮革およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の銀付人工皮革は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維と多孔化した弾性重合体から構成されてなる基材層と、前記の基材層の少なくとも片面に形成された樹脂層とからなる銀付人工皮革であって、前記の基材層が前記の極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造を有しており、前記の基材層の前記の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、前記の基材の極細繊維が捲縮を有するものであることを特徴とする銀付人工皮革である。
本発明の銀付人工皮革の好ましい態様によれば、前記の基材層の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、極細繊維はコイル状の捲縮を有しており、その捲縮の半径は5〜100μmの弧状である。
本発明の銀付人工皮革の好ましい態様によれば、前記の極細繊維は、異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされていることである。
本発明の銀付人工皮革の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)は、共にポリエステル系重合体であり、かつ、前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)の固有粘度(IV)差は、0.002〜1.5である。
本発明の銀付人工皮革の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)または前記のポリマー(B)の少なくとも一方は、ポリブチレンテレフタレート系重合体である。
また本発明の銀付人工皮革を製造方法は、前記の銀付人工皮革を製造する方法であって、次の(1)〜(5)の工程を含む銀付人工皮革の製造方法である。
(1)平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を発現可能な極細繊維発現型繊維を絡合させてシート状物Aを得る工程、
(2)極細繊維発現型繊維からなるシート状物Aに極細化処理を施し、極細繊維を発現させてシート状物Bを得る工程、
(3)シート状物Aまたはシート状物Bに弾性重合体を付与する工程、
(4)前記で得られた基材層の少なくとも一方の表面に樹脂層を形成する工程<
(5)熱処理を施し、基材層の極細繊維に捲縮を発現させる工程。
本発明の銀付人工皮革の製造方法の好ましい様態によれば、前記の極細繊維発現型繊維は海島型複合繊維であり、島成分はサイドバイサイド型の複合繊維である。
本発明によれば、剥離強力と、伸張率および伸張回復率に代表されるストレッチ性を両立させた銀付人工皮革が得られる。銀付人工皮革は、樹脂層と基材層の接着部分で剥離しやすいため、樹脂層と基材層の接着が強い程、剥離強力が高くなる。また、伸張率は、定荷重で伸張した際の伸び率を示し、伸張回復率は、定荷重で伸張し、荷重を除いた後の回復率を示す。これらの数値が高ければ、よく伸びて、かつ伸びの回復性も高い人工皮革であることになる。
本発明の銀付人工皮革は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維と多孔化した弾性重合体から構成されてなる基材層と、前記の基材層の少なくとも片面に形成された樹脂層とからなる銀付人工皮革であって、前記の基材層が極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造を有しており、前記の基材層の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、極細繊維が捲縮を有する銀付人工皮革である。
本発明において、極細繊維の平均単繊維直径は、銀付人工皮革の柔軟性の観点から0.1〜10μmであることが重要である。平均単繊維直径は大きくなると、柔軟性に乏しい銀付人工皮革となることから、好ましくは7μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。一方、サンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性とさばけ易さの観点からは、平均単繊維直径は好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上である。
極細繊維平均単繊維直径は、銀付人工皮革断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定し、平均値を計算することにより算出される。
極細繊維の断面形状としては、例えば、丸、楕円、扁平および三角などの多角形、扇、十字、Y、H、X、W、C、およびπ型などを用いることができる。
基材層を構成する極細繊維は、極細繊維束の形態をとっていることが好ましい態様である。極細繊維が束となっていることにより、銀付人工皮革の引張強力や引裂強力等の物理的な強度を向上させ、さらには耐摩耗性も発現することができる。
極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよく、場合によっては部分的に結合していてもよく、凝集していることも許容される。
本発明で用いられる極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体からなるポリエステル繊維が好ましく用いられる。極細繊維を形成するポリマーは、これらのポリマーから選ばれた少なくとも2種以上を組み合わせることができる。
また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維も用いられる。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合され構成されることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていてもよく、また、有機粒子、無機粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。
本発明の銀付人工皮革を構成する極細繊維は、好ましくは異なる2種類のポリマー(A)および(B)で構成される潜在捲縮発現型の複合繊維である。前記のポリマーの貼り合わせとしては、例えば、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型および偏心海島型等があげられる。中でも、強い捲縮を発現可能であることから、異なる2種類のポリマーが繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされた複合繊維が好ましく用いられる。
前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)の組み合わせとしては、前述の極細繊維を形成するポリマーから適宜選ぶことができるが、好ましくは固有粘度差のあるポリエステル系重合体の組み合わせであり、より好ましくは前記のポリマー(A)または前記のポリマー(B)の少なくとも一方は、ポリブチレンテレフタレート系重合体である。潜在捲縮型の複合繊維は、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じ、それによってシート化した後に熱処理することにより、高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて捲縮が発現する。この捲縮により、基材層表面の立毛層部分の繊維の絡まりが大きくなり、ストレッチ性が発現する。
潜在捲縮発現型の複合繊維において、ポリマー(A)とポリマー(B)がポリエステル系共重合体である場合、その固有粘度差は0.002〜1.5であることが好ましい。固有粘度差を0.002以上大きくすると、捲縮特性の優れた繊維が得られる。一方、固有粘度差が1.5を超えると、得られた繊維の捲縮特性は良好ではあるものの、紡糸された繊維が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間の安定した紡糸をすることができない。また、前記ポリマーの組み合わせとしては少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体であることが好ましい態様である。ポリブチレンテレフタレート系重合体は、結晶性が高いポリマーであるため、例えば、もう一方にポリエチレンテレフタレートとした際、両ポリマー間で結晶性に差が生まれ、捲縮が発現しやすい。
本発明で用いられるポリエステル系重合体の固有粘度は、高粘度成分においては0.5〜2.0であることが好ましい。固有粘度を0.5以上とすることにより、十分な強度と伸度を兼ね備えた繊維を製造することが可能となる。また、固有粘度の上限は、溶融押し出しなどの成形の容易さ、製造コスト、工程途中の熱やせん断力によって起きる分子鎖切断による分子量低下の点から、2.0以下であることが好ましい。一方、低粘度成分は、固有粘度を0.3〜1にすることにより安定紡糸が可能となる。
また、両成分の複合比率は、質量比で、高粘度成分:低粘度成分=75:25〜35:65(質量%)の範囲であることが好ましく、より好ましくは65:35〜45:55(質量%)の範囲である。この範囲内であれば、得られる銀付人工皮革のストレッチ性に合わせて複合比を適宜設定可能であり、例えば、ソフト感に優れた銀付人工皮革を得るには、高粘度成分の複合比を低く、タフネスを得るには高粘度成分の複合比を高くすることにより対応することができる。
ポリエステル系重合体の固有粘度差は、重合の時間、温度、触媒量および共重合成分を適宜調節することにより、所望の粘度とすることができる。
本発明でいう固有粘度は、オルソクロロフェノール中に試料を溶かして25℃の温度で測定した値である。
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、ジカルボン酸類またはその誘導体とジオール類またはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものであり、ここでいう主成分とは全体の質量に対して50質量%より多いことをいう。
ポリエステル系重合体は、他のエステル結合が可能な共重合成分を含むものであっても許容される。共重合可能な化合物としては、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸および5−イソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができる。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、および着色顔料などを添加することができる。
本発明でいうポリブチレンテレフタレート系重合体とは、テレフタル酸またはその誘導体と、1,4−ブタンジオールまたはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものである。
本発明の銀付人工皮革の基材層を構成する不織布は、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでも用いられるが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
本発明の銀付人工皮革の基材層に用いられる短繊維不織布としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウエブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られるものや抄紙法で得られるものを採用することができ、また、長繊維不織布としては、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られる不織布を適宜採用することができる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れた基材を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、圧縮特性や表面品位に優れた銀付人工皮革を得ることができる。繊維長は、より好ましくは30〜80mmである。
本発明の銀付人工皮革は、その内層部あるいは表面に強度を向上させるなどの目的で補強層を含ませることができる。補強層としては、織物、編物、不織布(紙を含む)、およびプラスチックフィルムや金属薄膜シートなどのフィルム状物等を採用することができる。補強層が繊維で構成された織物や編物の場合、繊維の平均単繊維直径は、銀付人工皮革の風合いの観点から、0.1〜20μm程度であることが好ましい。
本発明で用いられる織編物を構成する繊維糸条の種類としては、フィラメントヤーン、紡績糸、革新紡績糸およびフィラメントヤーンと紡績糸の混合複合糸などが挙げられる。紡績糸は、その構造上表面に多数毛羽が存在するため、不織布と織物を絡合する際、その毛羽が脱落し表面に露出すると欠点となるため、フィラメントヤーンを用いることが好ましい。フィラメントヤーンには、大別すると単繊維1本で構成されたモノフィラメントと複数本で構成されたマルチフィラメントがあるが、本発明で用いられる織編物では、マルチフィラメントを用いることが好ましい。モノフィラメントでは、繊維の剛性が高くなりすぎるため銀付人工皮革の風合いを損ねることがある。
織編物を構成する繊維糸条の総繊度は、剛性および目付などの理由から、好ましくは50〜150dtexである。
前記の織編物の目付は20〜200g/mが好ましく、さらに好ましくは30〜150g/mである。織編物の目付が20g/m未満では、織編物としての形態が乏しくなり、織編物を不織布と不織布の間に挿入したとき、あるいは織編物を不織布の表面に重ねる際にシワが発生し、均一に積層させることが困難となる。また、織編物の目付が200g/mを超えると、織編物の構造が密となり、不織布と織編物の絡合が困難となる傾向になる。
本発明において用いられる織物の基本組織は、ツイルやサテンを用いることもできるが、目ずれなどが発生しにくい平組織が好ましく用いられる。
本発明の銀付人工皮革は、基材層の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、基材層を構成する極細繊維が捲縮を有することが好ましい態様である。極細繊維が捲縮を有することにより、銀付人工皮革にストレッチ性を付与できるともに、基材層表面の繊維と樹脂の接着面積が上がり、アンカー効果によって優れた剥離強力を付与することができる。
極細繊維が有する捲縮がコイル状であり、前記のコイル状の捲縮の半径は、5〜100μmの弧状であることが好ましく、より好ましくは90μm以下であり、さらに好ましくは85μm以下である。半径が100μmより大きくなると、捲縮は弱くなり、十分な剥離強力およびストレッチ性は得られない。一方、剥離強力の観点から好ましくは7μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。半径が5μmより小さくなると、捲縮は強くなり、基材層表面に立毛層を形成できないため、十分なアンカー効果が得られず、基材層の剥離強力に劣る。一方で、捲縮が発現した銀付人工皮革の内部構造としては、コイル状の極細繊維同士が絡まることにより、引張に対する伸びしろが形成され、ストレッチ性が発現する。
本発明の銀付人工皮革は、樹脂層を除いた基材層中に繊維絡合体(不織布)の極細繊維の質量に対し、好ましくは5〜60質量%の多孔化した弾性重合体を含有する。極細繊維質量に対し少なくとも5質量%の弾性重合体を含有することによって、表面に樹脂層を形成した銀付人工皮革に適度な圧縮特性を付与することが可能となる。また、弾性重合体の質量が60質量%より多い場合は、立毛工程での繊維の開繊性が乏しくなり、樹脂層形成時に十分なアンカー効果が得られず、剥離強力が低下する。環境配慮の面では、弾性重合体を多量に含有せしめることは、製造工程における有機物の使用量が増加するため好ましくなく、弾性重合体が少ない方が、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いた場合、再生回収や廃棄が容易となる。弾性重合体の質量のより好ましい範囲は、15〜55質量%である。
上記の弾性重合体には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤および酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、撥水剤、粘度調整剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、および凝固調整剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子等を含有させることができる。
本発明における弾性重合体は、多孔化していることが重要である。多孔化していることにより、弾性重合体による繊維の把持力を低くすることができ、繊維の捲縮によるストレッチ性を発現させることができる。
弾性重合体としては、ポリウレタン系エラストマー、ポリウレア、ポリアクリル酸、エチレン・酢酸ビニルエラストマーおよびアクリロニトリル・ブタジエンエラストマーおよびスチレン・ブタジエンエラストマー、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール等が挙げられる。耐久性と圧縮特性の観点からは、ポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。弾性重合体には、複数の弾性重合体を含有させることができる。
本発明で特に好ましく用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタンやポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどが挙げられる。
本発明で使用されるポリウレタン系エラストマーは、溶剤系のポリウレタン系エラストマーを用いることができる。
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系エラストマーが好ましく用いられる。
上記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエーテル系ジオールを用いることが好ましい態様である。
上記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
また、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれも採用することができる。
また、ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。
また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で用いられるポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、ポリウレタン系エラトマーの分子量が一定の場合、500〜4000の範囲であることが好ましい。数平均分子量を好ましくは500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、銀付人工皮革が硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタン系エラストマーとしての強度を維持することができる。
本発明で用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
鎖伸長剤としては、好ましくはエチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを、鎖伸長剤として用いることもできる。
本発明で用いられるポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で、架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタン系エラストマーに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、またポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤も用いることができる。ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できるという観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。
本発明の銀付人工皮革の見かけ密度は、0.10〜0.80g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.70g/cmである。見かけ密度が0.10g/cm以上になると、銀付人工皮革の緻密感や機械物性が良好であり、0.80g/cm以下であると、風合いが硬くなることを避けることができる。
本発明の銀付人工皮革は、基材層のどちらか一方または両面に樹脂からなる樹脂層が形成されている。
樹脂層を形成する樹脂としては、例えば、ポリウレタン、アクリル系弾性体、シリコーン系弾性体、ジエン系弾性体、ニトリル系弾性体、フッ素系弾性体、ポリスチレン系弾性体、ポリオレフィン系弾性体、ポリアミド系弾性体等のエラストマーのエマルジョン、サスペンジョン、ディスパーションまたは溶液等の樹脂液が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの樹脂の中では、耐摩耗性や機械的特性に優れているため、ポリウレタンが好ましく用いられる。また、前記の樹脂成分には、必要に応じて、着色剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤および酸化防止剤などを含有させることができる。
樹脂層は弾性重合体からなる発泡層と乾式層のいずれでもよく、また両方を組み合わせて用いることもできる。
銀付人工皮革の厚みは、0.1〜7mmであることが好ましい。この厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、銀付人工皮革の形態安定性と寸法安定性に優れる。一方、厚さを7mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、銀付人工皮革の成形性に優れる。
本発明の銀付人工皮革は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、および耐候剤などの機能性薬剤を含有させることができる。
次に、本発明の銀付人工皮革を製造する方法について説明する。
本発明の銀付人工皮革に用いられる不織布を構成する極細繊維を得る手段としては、極細繊維発現型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発現型繊維をあらかじめ絡合し不織布とした後で、繊維の極細化を行うことによって、極細繊維の束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤などへの溶解性の異なる熱可塑性高分子成分を海成分および島成分とし、後工程で海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、ウォータージェット等の物理的な力や溶剤の膨潤により剥離分割する剥離分割型繊維を採用することができるが、好ましくは極細繊維径を均一に制御可能な海島型複合繊維である。海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができ、かつ1本あたりの複合繊維から特に繊維径の小さな極細繊維を効率良く発現させることができ、銀付人工皮革に柔らかな風合いや嵩高性などを付与することができる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られるという点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましく用いられる。
また、本発明において、前記の極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維であり、島成分が異なる2種類のポリマーからなる潜在捲縮発現型の複合繊維であることが好ましい態様である。中でも、熱処理時の捲縮発現が強くなるため、繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされる断面構造であることが好ましい。
また、本発明で用いられる海島型複合繊維における海成分と島成分の質量割合は、海成分:島成分=5:95〜80:20の範囲であることが好ましい。海成分の質量割合が5質量%を下回る場合、島成分の極細化が不十分となる。また、海成分の質量割合が80質量%を超える場合、溶出成分の割合が多いため生産性が低くなる。海成分と島成分の質量割合は、より好ましくは、海成分:島成分=10:90〜60:40の範囲である。
本発明において、海島型複合繊維で代表される極細繊維発現型繊維を延伸する場合は、未延伸糸を一旦巻取り後、別途延伸を行うか、もしくは未延伸糸を引取りそのまま連続して延伸を行うなど、いずれの方法も採用することができる。延伸は、湿熱または乾熱あるいはその両者によって、1段〜3段延伸する方法で適宜行うことができる。次に、延伸された海島型複合繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。
海島型繊維の海成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびPVAなどが挙げられる。
海島型繊維の繊維極細化処理(脱海処理)は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し、搾液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いられる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液や熱水が用いられる。
繊維極細化処理には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
海成分の溶解除去は、弾性重合体を含浸する前、含浸した後、および起毛処理後のいずれのタイミングでも行うことができる。弾性重合体付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接弾性重合体が密着する構造となって極細繊維を強く把持できることから、基材層の耐摩耗性がより良好となる。一方、弾性重合体付与後に脱海処理を行うと、弾性重合体と極細繊維間に、脱海された海成分に起因する空隙が生成することから、極細繊維を直接弾性重合体が把持せずに銀付人工皮革の圧縮特性が良好となる。
本発明では、極細繊維束内の繊維数は10〜9000本/束であることが好ましく、より好ましくは10〜4000本/束である。繊維数が10本/束未満の場合には、極細繊維の緻密性が乏しく、例えば、摩耗等の機械物性が低下する傾向がある。また、繊維数が9000本/束より多い場合には、立毛時の開繊性が低下し、立毛面の繊維分布が不均一となる傾向がある。
繊維の密集性の観点からは、極細繊維束内の繊維密集度合いは30〜1000であることが好ましく、より好ましくは50〜700である。繊維密集度合いは、(極細繊維束内の繊維数)×(単繊維直径)で算出し、極細繊維の束の大きさの指標となる。このように、極細繊維束内の繊維密集度合いを30〜1000とすることにより、繊維絡合体とする際の加工操業性が良く、繊維束の緻密性が良くなる。
本発明で用いられる基材層を構成する繊維絡合体(不織布)を得る方法としては、繊維ウエブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、およびメルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどの処理を経る方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維で構成された繊維絡合体の見かけ密度は、0.15〜0.40g/cmであることが好ましい。見かけ密度を0.15g/cm以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた繊維絡合体にできる。一方、見かけ密度を0.40g/cm以下、好ましくは0.30g/cm以下とすることにより、弾性重合体を付与するための十分な空間を繊維間に維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発現型繊維で構成された繊維絡合体(不織布)は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって熱収縮処理させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。また、繊維絡合体はカレンダー処理等により、厚み方向に圧縮させることもできる。
また、基材層表面の繊維分布の緻密性および均一性を得るためには、弾性重合体は極細繊維の繊維束が絡合されてなる不織布等の繊維絡合体について、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しないことが好ましい態様である。繊維束内部にまで弾性重合体が存在すると、弾性重合体が各極細繊維と接着して存在することになるため、バフィング処理の際の開繊性が乏しくなる。
弾性重合体が、極細繊維の繊維束内部には実質的に存在しない形態を得る方法としては、例えば、弾性重合体を溶液とし、
(1)極細繊維発現型の海島型繊維で構成された繊維絡合体(不織布)に、前記の弾性重合体溶液を含浸し凝固させた後、海島型繊維の海成分を、弾性重合体は溶解しない溶剤で溶解除去する方法や、
(2)極細繊維発現型の海島型繊維で構成された繊維絡合体(不織布)に、鹸化度が好ましくは80%以上のポリビニルアルコールを付与し、繊維の周囲の大部分を保護した後、海島型繊維の海成分を、ポリビニルアルコールは溶解しない溶剤で溶解除去し、次いで前記の弾性重合体を含浸し凝固させた後、ポリビニルアルコールを除去する方法、などを好ましく用いることができる。
前記のポリビニルアルコールとしては、鹸化度80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
ポリウレタン系エラストマー液を不織布等の繊維絡合体に含浸等し、凝固させる場合、ポリウレタン系エラストマーは有機溶剤系のポリウレタン系エラストマーであることが好ましい。
有機溶剤系ポリウレタンは、乾熱凝固または湿式凝固あるいはこれらを組み合わせて凝固させることができるが、なかでも水中に浸漬して凝固させる湿式凝固が好ましく用いられる。湿式凝固とすることにより、極細繊維の交絡点にポリウレタンが集中することがなく、ポリウレタン自体も多孔化するため、極細繊維同士の自由度が増し、構造的に銀付人工皮革にストレッチ性を付与することができる。
一方、ポリウレタン系エラストマーが水分散型のポリウレタンの場合、凝固方法として乾熱凝固があるが、極細繊維の交絡点にポリウレタンが集中して極細繊維を強く把持し、さらにポリウレタン自体も無孔構造となるため、極細繊維に自由度がなく、十分なストレッチ性は発現できない。
不織布等の繊維絡合体に弾性重合体を付与後、得られた弾性重合体付与シート状物を、シート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。
潜在捲縮発現型の複合繊維は、熱処理によって捲縮を発現する。前記の熱処理は基材層表面に樹脂層を形成する前に行うことが好ましい。前記の熱処理によって、基材層表円の極細繊維に捲縮が発現し、樹脂層形成時に樹脂層と基材層の接着が強いため、剥離強力に優れた銀付人工皮革が得られる。
前記の熱処理には、例えば、熱風循環ドライヤー、熱風貫流ドライヤー、サクションドラムドライヤー、フラットカレンダーロール、エンボスロール等のヒートロール、また、連続染色機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。中でも、熱処理による捲縮発現と同時に揉み効果を与えて、本発明の銀付人工皮革を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。前記の熱処理温度は、高すぎると弾性重合体が劣化する場合があり、逆に低すぎると十分な極細繊維の捲縮が得られないことから、繊維の種類により設定することが好ましい。
また、染色温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。前記の染色工程による熱処理および揉みにより、極細繊維の捲縮が発現されやすくなる。
本発明の銀付人工皮革に樹脂加工を施す前の基材層は、少なくとも片面に起毛処理が施されていることが好ましい態様である。立毛処理により、基材層の厚さは均一になり、表面に樹脂層を形成する際に均一に樹脂を塗布、またはラミネートすることができる。
前記の起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前に、基材層にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することができる。
また、上記の起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によって研削前の基材から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい態様である。
前述した起毛処理を行う前に、シート状物厚み方向に半裁ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
本発明は、基材層の少なくとも一方の表面に樹脂層を形成して銀付人工皮革としたものである。
銀付人工皮革とするためのコーティング層や下引き層の形成方法としては、乾式造面法やダイレクトコート法などがあり、従来公知の種々の方法を採用することができる。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。各層の厚みは、用途に応じて、適宜設定することができる。好ましい厚みは10〜1000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。
本発明の銀付人工皮革は、基材層と樹脂層との剥離強力と、伸張率および伸張回復率に代表されるストレッチ性(伸縮性)を両立しているため、家具、椅子および壁材、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材として好適に用いることができる。
次に、実施例を用いて本発明の銀付人工皮革とその製造方法についてさらに具体的に説明する。次に、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。
(1)固有粘度IV:
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に、試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、t0はOCPの落下時間(秒)、およびd0はOCPの密度(g/cm)を、それぞれ表す。)
(2)平均単繊維直径:
銀付人工皮革を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、平均値を算出した。
(3)捲縮半径:
走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)を用いて、樹脂層を形成する前の基材層の表面を撮影(倍率100倍)し、捲縮され弧状を示す繊維の半径を測定した。n数は20で、その平均値を求めた。弧状を円の一部とした際、その弧状からなる円周部分が円全体の1/2を超えない場合には、当該繊維は捲縮された繊維に該当しないものとして測定対象から除外するものとした。
(4)銀付人工皮革の目付:
JIS L 1096(1999)8.4.2に記載された方法で測定した。
20cm×20cmの試験片を5枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(5)銀付人工皮革の厚さ:
0.01mm目盛りの厚さ計(ディスク直径9mm以上)を用い、10kPa荷重下で、シート幅方向等間隔に5点測定し、その平均値を求めた。
(6)ストレッチ性:
伸長率と伸長回復率により、ストレッチ性の判定を行った。銀付人工皮革の各方向について、伸長率と伸長回復率の両方が、目標値を超えた場合は評価を「○」とし合格、どちらか一方または両方が目標を超えなかった場合は「×」とし、不合格とした。
・伸長率
JIS L 1096(2010) 8.16.1 B法(定荷重法)において銀付人工皮革の伸長率を測定した。本発明において良好なレベル(目標値)は、伸長率10%以上である。
・伸長回復率
JIS L 1096(2010) 8.16.2 B−1法(定荷重法)において銀付人工皮革の伸長回復率を測定した。また、つかみ間隔は10cmとし、荷重を取り除いた後の放置時間は1時間とした。本発明において良好なレベル(目標値)は、伸長回復率80%以上である。
(7)剥離強力:
銀付人工皮革の剥離強力をJIS K6854−2:1999に規定の測定方法に準じて測定した。剛性被接着材として、ポリウレタン製クレープゴム板(長さ150mm、幅27mm、厚さ5mm)を使用し、また、たわみ性被接着材として、縦方向、横方向それぞれに3枚ずつ切り出した、長さ250mm、幅25mmの銀付人工皮革を使用した。ポリウレタン系2液接着材を用いて銀付人工皮革とゴム板とを接着力が十分に発揮されるように接着して試験片を作製した。試験片を50mm/分の速度で引き剥がしたときに要する応力と剥離長さとを測定し応力−剥離長さ曲線を求めた。得られた曲線から平均剥離強力を求めた。縦方向、横方向それぞれについて得られた3個の平均剥離強力を平均して算出した。
本発明において良好なレベル(目標値)は、剥離強力100N/cm以上である。
[実施例1]
(原綿)
島成分として、固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分として、JIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が312g/mで、厚みが1.70mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。その後、このシート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は25μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材の立毛処理を施した面上に、ポリエーテル系ポリウレタンをナイフコーターにより、付量110g/mとなるようにコーティングし、DMF濃度が30%の水溶液中で凝固させた。その後、剥離紙上に形成した、ポリエーテル・ポリカーボネート系ポリウレタンからなるトップ層(100g/m)を接着剤にて最外層に接着させ、銀付人工皮革とした。
得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.00mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が335g/mで、厚みが1.85mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。
得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は30μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。
得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.00mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.655のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が350g/mで、厚みが1.90mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.82mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は55μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.12mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.654のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径52μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.85mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.82mm、平均単繊維直径が8.8μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は45μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.12mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテルフタレートを用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径16μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が310g/mで、厚みが1.70mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を96℃の温度の熱水で収縮させた後、80℃の温度に加熱した水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去し、極細繊維とポリウレタンからなるシート状物を得た。ポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させ、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成しこのようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が2.8μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は30μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.10mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
(紡糸、製布)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.654のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20となるように口金から吐出した。紡速が4000m/分となるようにエジェクター圧力を調整し、平均単繊維直径14μmの海島型複合長繊維をネットで捕集し、30g/mの長繊維不織布シートを得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の長繊維不織布シートを用いて、クロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が300g/mで、厚みが1.80mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が38質量%のシート状物を得た。その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維直径が2.0μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は70μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。 得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.10mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
(紡糸、製布)
島成分のうち芯成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートを、鞘成分として固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島で島成分が偏心芯鞘型である海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20となるように口金から吐出した。紡速が4000m/分となるようにエジェクター圧力を調整し、平均単繊維直径25μmの海島型複合長繊維をネットで捕集し、30g/mの長繊維不織布シートを得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の長繊維不織布シートを用いて、クロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が300g/mで、厚みが1.80mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が40質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維直径が3.6μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は80μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。
得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.10mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は良好であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートを、海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が560g/mで、厚みが3.15mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が33質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が32質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.90mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していないことを確認した。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。 得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.20mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認した。銀付人工皮革のストレッチ性および剥離強力は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(紡糸)
固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、質量比率1:1で、サイドバイサイド型複合紡糸用の口金から押し出し、延伸倍率2.5倍で延伸し、74dtex/350fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメント(極細繊維)を得た。
一方、上記と同様にして、56dtex/12fのマルチフィラメントを得た。この複合フィラメントを撚糸(1500T/m)したものを経糸及び緯糸に用いて、平織の織物を作製した。
先に製造した74dtex/350fの複合マルチフィラメント(極細繊維)を長さ5mmにカットした後、水中に分散させ、表層用と裏層用の抄造用スラリーを作製した。表層目付を100g/m、裏層目付を100g/m とし、上記織物を挿入して、積層構造繊維シートを形成し、高速水流の噴射により抄造シートを構成する繊維同士を三次元交絡させて不織布を得た。
その後、ポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が33質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られたシート状物を、液流染色機を用いて捲縮発現処理した。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.90mm、平均単繊維径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、極細繊維は繊維束を構成しておらず、また立毛層を構成する極細繊維の捲縮の半径平均値はxxμmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.20mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、ストレッチ性および剥離強力は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.652のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.80mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が33質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が38質量%のシート状物を得た。
その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。
得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.80mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認したが、捲縮の半径平均値は110μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.12mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したがストレッチ性および剥離強力は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例4]
(原綿)
島/海質量比率を20/80としたこと以外は、実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.85mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)をポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物を得た。その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が0.05μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は3μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.00mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは多孔化していることを確認したが、シート状物のストレッチ性および剥離強力は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例5]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用い、また海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が340g/mで、厚みが1.83mmの不織布を得た。
(シート状物)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、乾燥温度100℃で5分間熱風乾燥した。その後、水分散型ポリウレタン液(エーテル系)を含浸し、乾燥温度100℃で10分間熱風乾燥することで、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が45質量%のシート状物を得た。
次に、このようにして得られたシート状物を、80℃の温度に加熱された水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い海島型複合繊維の海成分を除去し、極細繊維と水分散型ポリウレタンからなるシート状物を得た。その後、シート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようして得られたシート状物を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、銀付人工皮革用基材を得た。得られた銀付人工皮革用基材は、シート厚みが0.75mm、平均単繊維直径が4.4μmで、立毛層部分を観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に捲縮が発現していることを確認し、捲縮の半径平均値は60μmであった。
(銀付人工皮革)
上記の銀付人工皮革用基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。
得られた銀付人工皮革は、シート厚みが1.05mmで、断面のSEM観察(500倍)により、ポリウレタンは無孔化しており、シート状物の剥離強力には優れるがストレッチ性は不良であった。結果を表1に示す。
[比較例6]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.750のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.025のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にしたところ、口金吐出の際に糸曲がりが著しく、糸切れ多発して安定に製造できなかった。
Figure 2018003181

Claims (7)

  1. 平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維と多孔化した弾性重合体から構成されてなる基材層と、前記基材層の少なくとも片面に形成された樹脂層とからなる銀付人工皮革であって、前記基材層が前記極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造を有しており、前記基材層の前記樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、前記極細繊維が捲縮を有するものであることを特徴とする銀付人工皮革。
  2. 基材層の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、極細繊維がコイル状の捲縮を有しており、前記捲縮の半径が5〜100μmの弧状であることを特徴とする請求項1記載の銀付人工皮革。
  3. 極細繊維が、異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされていることを特徴とする請求項1または2記載の銀付人工皮革。
  4. ポリマー(A)とポリマー(B)が共にポリエステル系重合体であり、かつ、前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)の固有粘度(IV)差が、0.002〜1.5であることを特徴とする請求項3記載の銀付人工皮革。
  5. ポリマー(A)またはポリマー(B)の少なくとも一方が、ポリブチレンテレフタレート系重合体であることを特徴とする請求項3または4記載の銀付人工皮革。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の銀付人工皮革を製造する方法であって、次の(1)〜(5)の工程を含む銀付人工皮革の製造方法。
    (1)平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を発現可能な極細繊維発現型繊維を絡合させてシート状物Aを得る工程、
    (2)極細繊維発現型繊維からなるシート状物に極細化処理を施し、極細繊維を発現させてシート状物Bを得る工程、
    (3)シート状物Aまたはシート状物Bに弾性重合体を付与する工程、
    (4)前記で得られた基材層の少なくとも一方の表面に樹脂層を形成する工程、
    (5)熱処理を施し、基材層の極細繊維に捲縮を発現させる工程。
  7. 極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維であり、島成分がサイドバイサイド型の複合繊維であることを特徴とする請求項6記載の銀付人工皮革の製造方法。
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