JP2018053404A - シート状物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、天然のヌバック皮革の触感を持ちながら、ストレッチ性に優れたシート状物を提供する。
【解決手段】
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでなる繊維構造物において、前記の極細繊維は2種類の異なるポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされており、前記の繊維構造物の少なくとも一面に立毛面を有し、前記の立毛面は表面積の5%以上が非連続な樹脂層で覆われているシート状物である。また、本発明の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)とポリマー(B)の固有粘度(IV)差は、0.002〜1.5である。
【選択図】 なし
本発明は、天然のヌバック皮革の触感を持ちながら、ストレッチ性に優れたシート状物を提供する。
【解決手段】
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでなる繊維構造物において、前記の極細繊維は2種類の異なるポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされており、前記の繊維構造物の少なくとも一面に立毛面を有し、前記の立毛面は表面積の5%以上が非連続な樹脂層で覆われているシート状物である。また、本発明の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)とポリマー(B)の固有粘度(IV)差は、0.002〜1.5である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、天然のヌバック皮革の触感を持ちながら、ストレッチ性に優れたシート状物に関するものである。
極細繊維と高分子弾性体からなるスエード調の人工皮革は、耐久性や均一性などの点において、天然皮革にはない優れた性質を有している。このような特徴を活かし、スエード調の人工皮革は、家具および自動車用内装材など幅広い用途に使用されており、スエード調以外の品位を有する人工皮革の開発が望まれている。また、衣料用途では品位のほか着用感の観点から、また、資材用途では成形性の観点から、ストレッチ性に優れた素材が求められるなど、機能性を持った人工皮革のニーズが生まれている。
スエード調以外の品位を有する人工皮革の例としては、銀付調やヌバック調などの人工皮革が挙げられる。天然のヌバック皮革は、スエードとは異なり皮革の銀面に起毛処理を施して得られるものである。このため、銀付革のような表面の緻密さとフラットさを有しながら、ウェットな触感を有するという特徴がある。しかしながら、既存のヌバックを模した人工皮革や合成皮革の中には、十分な品位や風合いを達成しているものは存在しなかった。
ヌバック調人工皮革については、例えば、極細繊維からなる皮革状のシートに対して、立毛面に樹脂液を塗布した後に、さらに化学的および/または機械的に分割し、立毛上繊維を露出せしめる方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案の方法では、分割後の樹脂層部のダメージが大きく、その後の耐摩耗性が課題であった。
また、銀付調人工皮革については、グリップ性に優れるものとして、機材の上に被服層と修飾中空ナノシリカ粒子および高分子弾性体からなる表面層からなる銀面部を有する皮革用シート(特許文献2参照。)や、耐摩耗性に優れるものとして、繊維基材の表面に、二層のポリウレタン接着剤層を積層した合成皮革(特許文献3参照。)などが提案されている。しかしながら、これらのいずれの提案においても、表面に立毛繊維が存在しないため、ヌバック皮革特有の短い立毛によるライティング効果もなく、また、通気性にも劣り、品位と快適性が課題であった。
ストレッチ性に優れた人工皮革については、これまで種々の提案がなされてきた。例えば、固有粘度(IV)差のある2種類のポリエチレンテレフタレート共重合体から形成されたサイドバイサイド型の複合繊維を含んでなる糸を含む織編物を挿入する方法が提案されている(特許文献4参照。)。この提案によれば、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じ、捲縮が発現し、人工皮革にストレッチ性を付与することができる。前記の人工皮革を基材として、表面に樹脂層を形成して銀付人工皮革とした場合、この提案における基材表面繊維はストレート糸であり、樹脂層と基材との剥離強力を強化するためには樹脂層の塗布量を多くして、基材と樹脂層の接着面積を増加することが必要となり、このため銀付人工皮革のストレッチ性は薄まるものである。
一方で、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートをサイドバイサイド型に複合紡糸し、得られた潜在捲縮発現型繊維を含む人工皮革が提案されている(特許文献5参照。)。この提案による人工皮革は、基材を構成する繊維が捲縮を有するため、樹脂層を形成した際に樹脂層と基材層の接着面積が大きくなることにより、剥離強力に優れた銀付人工皮革が得られる。しかしながら、この基材層を形成する極細繊維長は5mm以下と非常に短く、また単成分ポリマーの直接紡糸法のため繊維束を形成することができないことから、弾性重合体による繊維の拘束箇所が多くなり、ストレッチ性に乏しい銀付人工皮革となる。
また別に、固有粘度に差のある2種類のポリエチレンテレフタレートから形成されたサイドバイサイド型の極細繊維からなる不織布と、その内部に水分散型ポリウレタンを含有するシート状物が提案されている(特許文献6参照。)。この提案では、水分散型ポリウレタンを不織布に含浸しているため、乾燥する際に水分散型ポリウレタンが極細繊維の交絡点を固めた構造となる。また、ポリウレタンは無孔構造であるため、極細繊維の自由度はない。そのため、極細繊維は捲縮して銀付人工皮革の剥離強力には優れているが、ストレッチ性は発現しないものである。
これらのいずれの提案においても、十分なストレッチ性と風合い、およびヌバック調の品位を兼ね備えるものでなかった。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の実状に鑑み、ヌバック皮革の触感と、伸長率や伸張回復率というストレッチ性を両立させたシート状物を提供することにある。
本発明のシート材物は、上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、次の構成を有するものである。
すなわち、本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでおりなる繊維構造物において、前記の極細繊維は異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされており、前記の繊維構造物は少なくとも一面に立毛面を有し、前記の立毛面は表面積の5%以上が非連続な樹脂層で覆われていることを特徴とするシート状物である。
ここで言う、非連続な樹脂層とは、シート状物に形成されている樹脂層が表面上に不規則かつ非連続に配置されていることを示し、すなわち、本発明のシート状物に、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、島状で点在している樹脂部分の間に立毛部分が存在する表面層の状態を言う。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の立毛面のシート状物表面に占める樹脂層の割合は、5%以上であることが好ましい態様である。5%よりも樹脂層の割合が少ない場合は、立毛感が強く、ヌバック調の表面感と感触を得ることがむずかしくなり、樹脂層の割合が99%よりも多い場合は、銀付人工皮革の表面感と触感に近づくため、好ましくない。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のシート状物のタテ方向および/またはヨコ方向の伸長率は15〜35%であり、ならびに、タテ方向および/またはヨコ方向の伸長回復率は70〜100%である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)はポリエステル系重合体であり、かつ固有粘度(IV)差は0.002〜1.5である。
本発明のシート材の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)は、ポリエステル系重合体であるシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)の少なくとも一方は、ポリブチレンテレフタレート系重合体である。
本発明によれば、天然のヌバック皮革に近い触感を持ちながら、ストレッチ性に優れたシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでおりなる繊維構造物において、前記の極細繊維は異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされており、前記の繊維構造物は少なくとも一面に立毛面を有し、前記の立毛面は表面積の5%以上が非連続な樹脂層で覆われていることを特徴とするシート状物である。
すなわち、本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでなる繊維構造物において、前記の繊維構造物の少なくとも一面が立毛されたものであって、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されている。
本発明において、極細繊維の平均単繊維直径は、0.1〜10μmであることが重要である。平均単繊維直径は大きくなると、柔軟性に乏しい銀付人工皮革となることから、好ましくは7μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。一方、サンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性とさばけ易さの観点から、平均単繊維直径は好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上である。
極細繊維の平均単繊維直径は、シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定し、平均値を計算することにより算出される。
繊維構造物を構成する極細繊維は、極細繊維束の形態をとっている。極細繊維が束となっていることにより、シート状物としたときの引張強力や引裂強力のような物理的な強度を向上させ、さらには耐摩耗性も発現させることができる。極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよく、場合によっては部分的に結合していてもよく、凝集している形態をとることもできる。
本発明のシート状物を構成する繊維構造物としては、不織布や、その繊維構造物の中に高分子弾性体が充填された人工皮革等のいずれの形態でもよく、用途や目的毎に要求されるコストおよび特性に応じて、適宜使い分けることができる。本発明で用いられる不織布としては、一般的な短繊維不織布や長繊維不織布、ニードルパンチ不織布や抄造不織布、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、エレクトロスピニング不織布等、および種々のカテゴリーで表現される全ての不織布を適用することができる。ここで、充実感のある風合いや微細な立毛による品位の点では不織布が好ましいが、これら構造の中に高分子弾性体が充填された人工皮革は、シート状物の耐久性や、表面の耐摩耗性に優れているとい観点でより好ましく用いられる。
また、繊維構造物は、その少なくとも一面が立毛されたものである。立毛面を有することにより、その後の樹脂層との接着性に優れ、更にはシート状物表面に露出した立毛繊維により、より天然皮革に近い表面触感を得ることができる。
また、その立毛面には、非連続な樹脂層が形成されており、かつその樹脂層は好ましくは2層以上で構成されている。この樹脂層は、接着層、中間層および表面層の3層構造であることが好ましい態様である。
まず、非連続に樹脂層が形成されることにより、非樹脂部において、皮革様のシート状物の持つ十分な通気性が確保されると共に、シート状物が屈曲した際には、樹脂層の割れも発現せず、良好な品位と風合いを維持することができる。更には、樹脂層が2層以上であることにより、自動車シートやソファーなど、より耐久性が要求される摩耗性に優れた皮革様布帛を得ることができる。樹脂層が1層以下の場合は、摩耗性に劣ることになる。
また、本発明において上記の樹脂層は、その総厚みが0.001〜0.400mmであることが好ましい態様である。総厚みが0.001未満の場合は、耐摩耗性に劣る傾向があり、また総厚みが0.400mmを超える場合は、風合いが硬いものとなる。樹脂層の総厚みは、より好ましくは0.01〜0.100mmの範囲である。
また、樹脂層の各層の厚みは、1層目と2層目はそれぞれ好ましくは0.001〜0.02mmであり、3層目は好ましくは0.008〜0.06mmである。また、1層目と2層目はそれぞれ最大0.065mm程度で、3層目は最大0.25mm程度である。
ここで、本発明の実施形態においては、シート状物における極細繊維発生型繊維として海島型繊維を用いる場合については、後で詳しく説明するが、本発明のシート状物を構成する極細繊維は、溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発現型繊維を用いて得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤に対する溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分および島成分とし、その海成分を溶剤を用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維表面を放射状または多層状に交互に配置し、溶剤処理により剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるため、繊維構造物の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られるという点で、高分子配列体方式による海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型複合繊維の島成分、すなわち、本発明で用いられる繊維構造物の製造方法で得られる繊維構造物を構成する極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体からなるポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、これらのポリマーから選ばれる少なくとも2種以上のポリマーが組み合わされてなる形態とすることもできる。
また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いることもできる。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合され構成されることができる。
また、極細繊維を構成するポリマーには、他の成分が共重合されていても良く、また、有機粒子、無機粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させることもできる。
本発明のシート状物を構成する極細繊維は、異なる2種類のポリマー(A)およびポリマー(B)で構成される潜在捲縮発現型の複合繊維であるが、前記のポリマー(A)とポリマー(B)の貼り合わせとしては、例えば、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型および偏心海島型等が挙げられる。中でも、強い捲縮を発現可能であることから、異なる2種類のポリマーが繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼りあわされた複合繊維であることが好ましい。
前記のポリマー(A)と前記のポリマー(B)の組み合わせとしては、前述の極細繊維を形成するポリマーから適宜選ぶことができるが、好ましくは固有粘度差のあるポリエステル系重合体の組み合わせであり、より好ましくは前記のポリマー(A)または前記のポリマー(B)の少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体である。
潜在捲縮型の複合繊維は、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じ、それによってシート化した後に熱処理することにより、高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて捲縮が発現する。この捲縮により、シート状物表面の立毛層部分の繊維の絡まりが大きくなり、ストレッチ性が発現する。
潜在捲縮発現型の複合繊維において、ポリマー(A)とポリマー(B)がポリエステル系共重合体である場合、その固有粘度差は0.002〜1.5であることが好ましい態様である。固有粘度差を0.002以上大きくすると、捲縮特性の優れた繊維が得られる。一方、固有粘度差が1.5を越えると、得られた繊維の捲縮特性は良好ではあるものの、紡糸された繊維が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間の安定した紡糸をすることが困難となる。また、前記のポリマー(A)とポリマー(B)の組み合わせとしては、少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体であることが好ましい態様である。ポリブチレンテレフタレート系重合体は、結晶性が高いポリマーであるため、例えば、もう一方のポリマーをポリエチレンテレフタレートとした際、両ポリマー間で結晶性に差が生まれ、捲縮発現しやすい。
本発明で用いられるポリエステル系重合体の固有粘度は、高粘度成分においては0.5〜2.0であることが好ましい態様である。固有粘度を0.5以上とすることにより、十分な強度と伸度を兼ね備えた繊維を製造することが可能となる。また、固有粘度の上限は溶融押し出しなどの成形の容易さ、製造コスト、工程途中の熱やせん断力によって起きる分子鎖切断による分子量低下の点から、固有粘度は2.0以下であることが好ましい。一方、低粘度成分は、固有粘度を0.3〜1にすることにより安定紡糸が可能となる。
また、両成分の複合比率は、質量比で、高粘度成分:低粘度成分=75:25〜35:65(質量%)の範囲であることが好ましく、より好ましくは65:35〜45:55(質量%)の範囲である。このような範囲内であれば、得られるシート状物のストレッチ性に合わせて複合比を適宜設定することが可能であり、例えば、ソフト感に優れたシート状物を得るには、高粘度成分の複合比を低く、タフネスを得るには高粘度成分の複合比を高くすることが好ましい。
ポリエステル系重合体の固有粘度差は、重合の時間、温度、触媒量および共重合成分を適宜調節することにより、所望の粘度とすることができる。
本発明でいう固有粘度は、オルソクロロフェノール中に試料を溶かして25℃の温度で測定した値である。
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、ジカルボン酸類またはその誘導体とジオール類またはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものであり、ここでいう主成分とは、全体の質量に対して50質量%より多いことをいう。ポリエステル系重合体は、他のエステル結合が可能な共重合成分を含有することができる。共重合可能な化合物としては、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸および5−イソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができる。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、および着色顔料などを添加することができる。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート系重合体とは、テレフタル酸またはその誘導体と、1,4−ブタンジオールまたはその誘導体とが共重合してなる構造を主成分としたものである。
本発明において、島成分を形成するポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することができる。
極細繊維の断面形状は、丸断面の他、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
島型複合繊維の海成分(ポリマー)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびPVAなどが挙げられる。
極細繊維は、シート状物において前述のとおり不織布(極細繊維ウエブ)の形態をなしていることが好ましい態様である。不織布とすることにより、均一で優美な外観や風合いを得ることができる。不織布(極細繊維ウェブ)の形態としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位を重視する場合には短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布とする場合の極細繊維の繊維長は、25mm以上90mm以下であることが好ましい。極細繊維の繊維長を90mm以下とすることにより、良好な品位および風合いとなり、繊維長を25mm以上とすることにより、耐摩耗性が良好なシート状物とすることができる。
本発明では、得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカット加工して不織布の原綿を得ることができる。極細繊維発生型繊維を所定長にカット加工せず長繊維不織布として用いることもできるが、風合いや品位を重視する場合には、所定長にカット加工し短繊維不織布とすることが好ましい態様である。同様に、風合いや品位を重視する場合は、短繊維の繊維長は絡合による耐摩耗性を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
捲縮加工やカット加工は、公知の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等により繊維ウェブとし、繊維ウェブの目付は、最終製品の設計、後工程での寸法変化および加工マシンの特性等を考慮して、適宜設定することができる。
本発明のシート状物の製造方法においては、極細繊維発生型繊維からなる繊維絡合体(不織布)を絡合させる方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等の方法を用いることができる。中でも、ニードルパンチによる交絡処理が製品の品位の観点から好ましい態様である。
このようにして得られた極細繊維発生型繊からなる繊維絡合体(不織布)は、緻密化の観点から、高分子弾性体を付与する前の段階において、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。この収縮処理は、極細繊維を発現させる前に行っても、発現させた後に行っても構わないが、収縮に極細繊維発生型繊維の海成分ポリマーの特性を利用できる点において、極細繊維発生前に収縮処理を行うことが好ましい態様である。
また、この収縮工程における積層シートの面積収縮率の範囲は、15〜35%であることが好ましい。面積収縮率を15%より高くすることにより、収縮による品位の向上効果を好ましく得ることができる。また、面積収縮率を35%より低くすることにより、後に高分子弾性体を付与した後に効率的に収縮させることが可能となる。より好ましい面積収縮率の範囲は15〜30%であり、さらに好ましくは15〜25%の範囲である。
本発明で用いられる極細繊維の発生処理方法としては、極細繊維発生型繊維を構成する樹脂(ポリマー)の一方を、溶剤によって溶解させる方法が挙げられる。特に、海成分が易溶解性ポリマーからなり、島成分が難溶解性ポリマーからなる極細繊維発生型海島複合繊維について、海成分を溶解させる方法が好ましい。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いられる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液や熱水が、溶剤として用いられる。
また、この極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細化可能繊維からなる繊維絡合体を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
次いで、得られた極細繊維を含む繊維絡合体に、高分子弾性体を付与する処理を行う。本発明のシート状物は、高分子弾性体を含んでなるものである。高分子弾性体を含有させることにより、充実感のある触感や皮革様の外観や実使用に耐える物性を得ることができる。
高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、例えば、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、風合いと物性のバランスが取れる点で、ポリウレタンを主成分としてなる高分子弾性体、具体的には50質量%以上がポリウレタンからなる高分子弾性体が好ましく用いられる。
ポリウレタンには、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどがあるが、本発明においてはどちらも採用することができる。
本発明で用いられるポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を適宜反応させた構造を有するポリウレタンを用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオール、フッ素系ジオール、およびこれらを組み合わせた共重合体を用いることができる。中でも、耐光性の観点から、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエステル系ジオールを用いることが好ましい態様である。さらに、耐加水分解性と耐熱性の観点から、ポリカーボネート系ジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応によって、または、ホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれも用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることができる。中でも、耐久性や耐熱性を重視する場合には、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、また、耐光性を重視する場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく用いられる。
また、鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系鎖伸長剤、エチレングリコール等のジオール系鎖伸長剤、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体は、バインダーとしての性能や風合いを損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。
また、高分子弾性体には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤、および染料などを含有させることができ、添加剤の含有量は、使用する高分子弾性体の種類、製造方法および風合を考慮して、適宜調整することができる。
前記の極細繊維発現型繊維から極細繊維を発現させる処理と、高分子弾性体を付与する処理とは、いずれを先に行う方法も採用することができる。極細繊維の発現処理を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持するため、極細繊維の脱落等が無くより長期の使用に耐え得るものとなる。また、高分子弾性体の付与を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持していない構造となるため、良好な風合いのシート状物が得られる。いずれを先に行うかは、使用するポリウレタンの種類等により適宜選択することができる。
また、極細繊維の発現処理の後に高分子弾性体の付与を行う場合は、両工程の間に水溶性樹脂を付与する工程を設けることが好ましい態様である。この水溶性樹脂を付与する工程を設けることにより、繊維の表面が水溶性樹脂により保護され、高分子弾性体と直接接合している箇所が連続的ではなく断続的に存在することとなり、接着面積を適度に抑えることができる。その結果、高分子弾性体による良好な手持ち感を有するシート状物を得ることができる。
このような水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、糖類および澱粉などを用いることができる。その中でも、鹸化度が80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
水溶性樹脂の付与量は、付与直前の繊維絡合体(不織布)の質量に対し、1〜30質量%であることが好ましい。付与量を1質量%以上とすることにより、良好な風合いが得られる。また、付与量を30質量%以下とすることにより、加工性が良く耐摩耗性等の物性が良好な人工皮革が得られる。また、後の工程において繊維絡合体(不織布)への高分子弾性体付与可能量が増加するため、シート状物の高密度化および触感の緻密化が可能である。
本発明のシート状物の製造方法においては、高分子弾性体が付与されたシート状物の前駆体シートを平面方向に半裁する工程を経ることができる。半裁工程を含むことによって、シート状物の生産性を向上させることができる。例えば、織編物の積層方法として、極細繊維発生型繊維からなる不織布層を織編物層で挟む方法を採用している場合には、前駆体シートを半裁し、内側の面を立毛面とすることが、緻密な品位を達成する方法として好ましい態様である。
本発明のシート状物は、少なくとも片面に立毛を有する。立毛は、不織布面に形成される。立毛処理は、不織布表面をサンドペーパーやロールサンダーなどを用いてバフすることによって行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、シート状物の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい態様である。
本発明のシート状物は、好適に染色される。染色は、分散染料、カチオン染料やその他反応性染料を用い、染色されるシート状物の風合いを柔軟にするためにも、高温高圧染色機により行うことが好ましい。
さらに、必要に応じて、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤および耐光剤等の仕上げ処理を施すことができ、このような仕上げ処理は、染色後でも染色と同浴でも行うことができる。難燃処理は、臭素や塩素などのハロゲン系の難燃剤やリンなどの非ハロゲン系の難燃剤を用いることができ、染色後に浸積による付与でも、ナイフコーティングやロータリースクリーン法などのバックコーティングによる付与でも行うことができる。
また、潜在捲縮発現型の極細繊維は、熱処理によって捲縮発現する。前記の熱処理は繊維絡合体(不織布)表面に樹脂層を形成する前に行うことが好ましい。前記の熱処理によって、繊維絡合体(不織布)表面の極細繊維に捲縮が発現し、樹脂層形成時に樹脂層と繊維絡合体(不織布)層の接着が強いため、剥離強力に優れたシート状物が得られる。
前記の熱処理は、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、熱風循環ドライヤー、熱風貫流ドライヤー、サクションドラムドライヤー、フラットカレンダーロール、エンボスロール等のヒートロール、また、連続染色機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。中でも、熱処理による捲縮発現と同時に揉み効果を与えて本発明のシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。
前記の処理温度は、高すぎると弾性重合体が劣化する場合があり、逆に低すぎると十分な極細繊維の捲縮が得られないことから、繊維の種類により設定することが好ましい。また、熱処理温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。
本発明のシート状物は、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつその樹脂層が好ましくは2層以上の層構造である。さらには、前記の樹脂層が、接着層、中間層および表面層からなる3層構造からなることがより好ましい態様である。ここで、接着層は、繊維絡合体(不織布)と中間層および表面層の樹脂層の接着機能を有する。
本発明における樹脂層の形成方法としては、繊維絡合体(不織布)の表面に非連続状に塗布できる方法であり、例えば、フラットスクリーンやロータリースクリーン等のスクリーン法やグラビアコーティング法等での塗布後に乾燥して樹脂層を形成する方法や、離型紙等の支持基材上に非連続状の樹脂膜を形成した後、その樹脂膜の表面に接着剤を塗布し、基材となる表面に貼り合わせて接着し、離型紙を剥離することによって、樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
さらに、樹脂層を2層や3層にするためには、上記の方法を2度または3度と繰り返すことにより形成することができる。また、上記の方法については、同じ方法を繰り返しても良く、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明のシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感とストレッチ性に優れており、従来スエード調人工皮革および銀付人工皮革が用いられた用途である家具、椅子および車両内装材から衣料用途まで幅広く好適に用いることができる。
次に、実施例を用いて本発明のシート状物とその製造方法について、さらに具体的に説明する。実施例で用いた評価法とその測定条件は、次のとおりである。
(1)固有粘度IV:
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
(2)平均単繊維直径:
シート状物を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、平均値を算出した。
シート状物を厚み方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、平均値を算出した。
(3)ストレッチ性:
シート状物の各方向について、次のとおり、伸長率と伸長回復率を測定し、目標値を超えた場合は評価を「○」とし合格、どちらか一方または両方が目標を超えなかった場合は「×」とし、不合格とした。
・伸長率:
JIS L 1096(2015) 8.14.1 B法(定荷重法)において、シート状物の伸長率(%)を測定した。また、つかみ間隔は50cmとした。本発明において良好なレベルは、伸長率15〜35%である。
・伸長回復率:
JIS L 1096(2015) 8.14.2 B−1法(定荷重法)においてシート状物の伸長回復率(%)を測定した。また、つかみ間隔は50cmとし、荷重を取り除いた後の放置時間は1時間とした。本発明において良好なレベルは、伸長回復率70〜100%である。
シート状物の各方向について、次のとおり、伸長率と伸長回復率を測定し、目標値を超えた場合は評価を「○」とし合格、どちらか一方または両方が目標を超えなかった場合は「×」とし、不合格とした。
・伸長率:
JIS L 1096(2015) 8.14.1 B法(定荷重法)において、シート状物の伸長率(%)を測定した。また、つかみ間隔は50cmとした。本発明において良好なレベルは、伸長率15〜35%である。
・伸長回復率:
JIS L 1096(2015) 8.14.2 B−1法(定荷重法)においてシート状物の伸長回復率(%)を測定した。また、つかみ間隔は50cmとし、荷重を取り除いた後の放置時間は1時間とした。本発明において良好なレベルは、伸長回復率70〜100%である。
(4)シート状物の表面触感評価:
対象者10名の官能検査により評価した。6名以上が、ヌバック調の緻密でウェットな触感を有すると判定したものを(○)、3〜5名が判断したものを(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。○を合格とした。この判定では、天然ヌバック調の触感を有するものが高い判定となる。
対象者10名の官能検査により評価した。6名以上が、ヌバック調の緻密でウェットな触感を有すると判定したものを(○)、3〜5名が判断したものを(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。○を合格とした。この判定では、天然ヌバック調の触感を有するものが高い判定となる。
(5)シート状物の表面立毛感評価:
対象者10名の官能検査により評価した。6名以上が、スエード調の立毛感を有すると判定したものを(○)、3〜5名が判断したものを(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。○を合格とした。この判定では、天然スエード調の触感を有するものが高い判定となる。
(6)シート状物表面に占める樹脂層表面積比率:
走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)を用いて、シート
状物における樹脂層がコーティングされている面を観察面として撮影(倍率40倍)し、シート状物表面に対して樹脂層が占める表面積を測定した。n数は10でその平均値を求めた。
対象者10名の官能検査により評価した。6名以上が、スエード調の立毛感を有すると判定したものを(○)、3〜5名が判断したものを(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。○を合格とした。この判定では、天然スエード調の触感を有するものが高い判定となる。
(6)シート状物表面に占める樹脂層表面積比率:
走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)を用いて、シート
状物における樹脂層がコーティングされている面を観察面として撮影(倍率40倍)し、シート状物表面に対して樹脂層が占める表面積を測定した。n数は10でその平均値を求めた。
[実施例1]
(原綿)
島成分として、固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用い、また海成分として、JIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を延伸し、捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径が26μmの極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
島成分として、固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用い、また海成分として、JIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を延伸し、捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径が26μmの極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が580g/m2で、厚みが2.6mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が580g/m2で、厚みが2.6mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。
得られた前駆体シートは、シート厚みが0.70mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、60%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、60%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.51のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.51のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が575g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が575g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が35質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
その後、前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.65mmで、平均単繊維直径が4.4μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、65%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、65%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.655のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.655のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.651のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別々に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が558g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が558g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%ポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。このようにして得られたシート状物の前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.65mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が34質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%ポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が35質量%のシート状物の前駆体シートを得た。
その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。このようにして得られたシート状物の前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.65mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、70%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、70%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更にはストレッチ性に優れることを有していた。結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートを、海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を延伸し、捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートを、海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を延伸し、捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が550g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が550g/m2で、厚みが2.5mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が36質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が36質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。
このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.66mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、61%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感はあるものの、ストレッチ性は乏しいものであった。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、61%であった。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感はあるものの、ストレッチ性は乏しいものであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
(原綿)
実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布を得た。
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
前駆体シートに対して、サンドペーパーを用いて研削することなく、立毛面を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物の前駆体シートを得た。このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.95mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
前駆体シートに対して、サンドペーパーを用いて研削することなく、立毛面を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして、シート状物の前駆体シートを得た。このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.95mm、平均単繊維直径が4.4μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの片面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、65%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性に優れるものの、天延のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感はなかった。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの片面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、65%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性に優れるものの、天延のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感はなかった。結果を表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布を得た。
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
実施例1と同様にして、シート状物の前駆体シートを得た。
実施例1と同様にして、シート状物の前駆体シートを得た。
(シート状物)
非連続に表面が被覆された1層のポリウレタン樹脂層を形成せしめたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、3%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性は優れているが、天然のヌバック皮革の触感は有しておらず、スエード皮革の立毛感も乏しいものであった。結果を表1に示す。
非連続に表面が被覆された1層のポリウレタン樹脂層を形成せしめたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は、3%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性は優れているが、天然のヌバック皮革の触感は有しておらず、スエード皮革の立毛感も乏しいものであった。結果を表1に示す。
[比較例4]
(原綿)
島/海質量比率を20/80としたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(原綿)
島/海質量比率を20/80としたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維発現型繊維(海島型複合繊維)の原綿を得た。
(海島型複合繊維からなる不織布)
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付340g/m2で、厚みが1.85mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、2800本/cm2のパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付340g/m2で、厚みが1.85mmの海島型複合繊維からなる不織布を得た。
(シート状物の前駆体シート)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.50mm、平均単繊維直径が0.05μmであった。
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これにPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、不織布の質量に対するPVA質量が30質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布(脱海シート)を、濃度が12%のポリカーボネート系ポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAを熱水に浸漬して除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる前記の極細繊維の質量に対するポリウレタン質量が37質量%のシート状物の前駆体シートを得た。その後、上記の前駆体シートを厚さ方向に半裁し、半裁面を320メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、立毛面を形成した。このようにして得られた前駆体シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮発現処理を行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、前駆体シートを得た。得られた前駆体シートは、シート厚みが0.50mm、平均単繊維直径が0.05μmであった。
(シート状物)
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は58%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性に乏しく、スエード皮革の立毛感は得られなかった。結果を表1に示す。
上記の前駆体シートの立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめシート状物を得た。得られたシート状物表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂層部分がシート状物表面に占める割合は58%であった。このようにして得られたシート状物は、ストレッチ性に乏しく、スエード皮革の立毛感は得られなかった。結果を表1に示す。
Claims (5)
- 平均単繊維直径が0.1〜10μmの極細繊維を含んでなる繊維構造物において、前記極細繊維は2種類の異なるポリマー(A)およびポリマー(B)が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされており、前記繊維構造物の少なくとも一面に立毛面を有し、前記立毛面は表面積の5%以上が非連続な樹脂層で覆われていることを特徴とするシート状物。
- シート状物のタテ方向および/またはヨコ方向の伸長率が15〜35%であり、タテ方向および/またはヨコ方向の伸長回復率が70〜100%であることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- ポリマー(A)とポリマー(B)の固有粘度(IV)差が、0.002〜1.5であることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- ポリマー(A)とポリマー(B)がポリエステル系重合体であることを特徴とする請求項1または3記載のシート状物。
- ポリマー(A)とポリマー(B)の少なくとも一方が、ポリブチレンテレフタレート系重合体であることを特徴とする請求項1または3または4記載のシート状物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016193595A JP2018053404A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | シート状物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109112845A (zh) * | 2018-10-19 | 2019-01-01 | 江苏尚科聚合新材料有限公司 | 一种柔软复合人工皮革及其制备方法 |
CN109338734A (zh) * | 2018-10-19 | 2019-02-15 | 江苏尚科聚合新材料有限公司 | 一种耐磨复合人工皮革及其制备方法 |
-
2016
- 2016-09-30 JP JP2016193595A patent/JP2018053404A/ja active Pending
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