JPWO2011118502A1

JPWO2011118502A1 - ガラス板梱包体

Info

Publication number: JPWO2011118502A1
Application number: JP2012506975A
Authority: JP
Inventors: 布施　裕児; 裕児布施; 敦義竹中
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 2010-03-26
Filing date: 2011-03-17
Publication date: 2013-07-04
Also published as: TW201144185A; KR20130033361A; CN102822071A; WO2011118502A1

Abstract

本発明は、複数枚のガラス板が合紙を介して積層されたガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体において、前記合紙の、合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下であるガラス板梱包体に関する。

Description

本発明は、ガラス板梱包体に関する。

ガラス板であって、建築用ガラス板、自動車用ガラス板、並びにプラズマディスプレイ用ガラス基板及び液晶ディスプレイ用ガラス基板等のＦＰＤ（Flat Panel Display）用ガラス基板は、保管中や搬送中に表面に疵や汚染が付き、製品欠陥となり易い。特に、液晶ディスプレイ用に使用される無アルカリガラス基板のように、その表面に電気回路を組み込むガラス基板として用いる場合には、その表面にわずかな疵や汚染があっても断線やパターニング不良が発生する。よって、このようなガラス基板には、きわめて高い表面特性が要求される。

ガラス板の表面の疵は、ガラス板を積層して保管や搬送する際に、隣接するガラス板との間で擦れが生じることによって発生する場合が多い。また、ガラス板の表面の汚染は、搬送雰囲気中の有機物（汚染物質）がガラス板の表面に付着することによって発生する場合が多い。この有機物は、水洗のみではガラス板の表面から除去することは困難である。そのため、この有機物は、例えば酸やアルカリを用いて洗浄する必要がある。しかしながら、このような洗浄は、洗浄時の作業環境を悪化させるとともに洗浄及び廃液処理コストも増大させる。また、このような洗浄を行っても有機物をガラス板の表面から完全に除去することは困難である。

そこで、ガラス板の保管中や搬送中の疵や汚染を防止する方法として、積層するガラス板とガラス板との間に紙を介在させて隣接するガラス板の表面同士を分離する、いわゆる合紙を介装したガラス板積層体が、特許文献１に開示されている。

ところで、ガラス板積層体を高温・高湿条件下の倉庫で保管したり、トラック輸送してガラス板と合紙とが擦れたりすると、合紙からガラス板への転写汚れ（パーティクルの付着）が発生し易くなるという問題があった。

特許文献２〜５では、このような転写汚れの問題を解決している。

特許文献２には、坪量を６５ｇ／ｍ^２とし、合紙表裏のベック平滑度を２０ｓｅｃ以下、樹油脂分含有量を０．３％以下、合紙密度を０．４ｇ／ｃｍ^３以下、合紙ＰＨを６〜７とした合紙が開示されている。特許文献３には、トリポリリン酸ナトリウムを０．１重量％以上含む合紙が開示されている。特許文献４には、４硼酸ナトリウムを５０ｍｇ／ｍ^２含有する合紙が開示されている。特許文献５には、機械パルプ古紙を原料として抄造されたものであって、熱水可溶性成分の含有量が０．１重量％〜０．７重量％である合紙が開示されている。

日本国特開２００８−１４３５４２号公報日本国特開平１−２６６２９９号公報日本国特開平６−３１６４３２号公報日本国特開平７−１０１４８３号公報日本国特開２００３−４１４９８号公報

しかしながら、特許文献２〜５に開示されたガラス板梱包体用の合紙であっても、高温・高湿条件下（例えば梅雨時）では、合紙からガラス板への転写汚れを飛躍的に改善することができないという問題があった。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、合紙からガラス板への転写汚れを飛躍的に改善することができるガラス板梱包体を提供することを目的とする。

本発明は、前記目的を達成するために、複数枚のガラス板が合紙を介して積層されたガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体において、前記合紙の、合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下である、ガラス板梱包体を提供する。ここで、高級飽和脂肪酸とは、脂肪酸の炭素鎖を構成する炭素数が１１以上のもので不飽和結合を有しないものを言う。

また、本発明においては、前記合紙質量に対する、ヘキサデカン酸及びオクタデカン酸の少なくとも一つの含有率は０．０４質量％以下であることが好ましい。

複数枚のガラス板の間に合紙を介在させて積層したガラス板積層体を、高温・高湿条件下の倉庫で保管したり、トラック輸送してガラス板と合紙とが擦れたりすると、合紙からガラス板への転写汚れが発生し易くなる。

発明者は、転写汚れ防止策を鋭意検討した結果、合紙に含まれる樹脂成分のうち、特に高級飽和脂肪酸が転写汚れの主たる原因であり、合紙の合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下の合紙を使用することでガラス板への転写汚れを飛躍的に改善することができるとの知見を得た。

ここで重要なことは、高級脂肪酸には不飽和結合を有する高級不飽和脂肪酸と、不飽和結合を有しない高級飽和脂肪酸があるが、高級飽和脂肪酸が転写汚れに大きく影響するので、高級飽和脂肪酸の含有率を０．０８質量％以下にすることである。特に、高級飽和脂肪酸の中でもヘキサデカン酸（慣用名：パルミチン酸）及びオクタデカン酸（慣用名：ステアリン酸）のいずれも転写汚れに大きく影響する。

また、本発明においては、前記ガラス板梱包体内には、乾燥剤が配置されていることが好ましい。これは、高温・高湿条件下、例えば温度２０〜６０℃で湿度が８０％以上では、転写汚れがより一層発生し易くなるため、本発明が特に有効だからである。

本発明のガラス板梱包体によれば、ガラス板とガラス板との間に介装される合紙において、合紙の合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率を０．０８質量％以下としたので、合紙からガラス板への転写汚れを飛躍的に改善することができる。

図１は、本発明の実施の形態のガラス板梱包体の斜視図である。図２は、図１に示したガラス板梱包体の全体構造を示した斜視図である。図３は、ガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体の側面図である。図４は、平積みされたサンプルに錘を載せた試験物の斜視図である。図５は、高温高湿設定条件を示した温度サイクルの説明図である。図６は、評価方法のフローチャートである。図７は、平流し式洗浄機の概略図である。図８は、洗浄条件を示した表図である。図９は、高温高湿保管品の合紙のパーティクル評価結果を示したグラフである。図１０（Ａ）、１０（Ｂ）及び１０（Ｃ）は、ガラス板に付着した付着物のＳＥＭ写真である。図１１は、合紙転写物の分析結果を示したトータルイオンクロマトグラムである。図１２は、Ｒｅｆガラス板の分析結果を示したトータルイオンクロマトグラムである。

以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板梱包体の好ましい実施の形態について詳説する。

図１には、矩形状の複数枚のガラス板Ｇが矩形状の合紙１０、１０…を介して縦置きに積層されたガラス板積層体１２が、本発明の好ましい実施の形態のガラス板梱包体１４に梱包された状態が示されている。

図２は、ガラス板梱包体１４の全体構成を示す斜視図であり、下部横押さえ部材１５Ａ、１５Ｂ、及び上部横押さえ部材１７Ａ、１７Ｂが示されている。図３は、ガラス板積層体１２が梱包されたガラス板梱包体１４の右側面図である。また、図３には、ガラス板積層体１２の側部が下部横押さえ部材１５Ｂと上部横押さえ部材１７Ｂとによって押さえ付けられてガラス板梱包体１４にガラス板積層体１２が梱包された状態が示されている。すなわち、ガラス板積層体１２の梱包形態が図３に示され、ガラス板Ｇと合紙１０の取り出し形態が図１に示されている。つまり、ガラス板Ｇと合紙１０の取り出し時には、図２に示した下部横押さえ部材１５Ａおよび１５Ｂの着脱可能なユニット部分と上部横押さえ部材１７Ａおよび１７Ｂがガラス板梱包体１４から取り外される。

図２の如くガラス板梱包体１４は、上面に平坦な搭載面１６が形成された台座１８を備えている。また、ガラス板梱包体１４は、搭載面１６に対し約１５°の角度（θ_１）で傾斜して設けられるとともにガラス板の下縁が載置される平坦な底板２０を備えている。更に、ガラス板梱包体１４は、底板２０に対して約９０°（θ_２）の角度で傾斜して立設された傾斜台２２を備えている。この傾斜台２２の前面には、平坦な樹脂製の背板２４が接着剤によって固着されている。この背板２４にガラス板Ｇの面が受けられてガラス板積層体１２が縦置きにガラス板梱包体１４に搭載される。なお、ガラス板梱包体１４に搭載されるガラス板Ｇ及び合紙１０の枚数は、例えば第６世代のガラス基板の場合はそれぞれ３００枚以上、第７世代のガラス基板の場合はそれぞれ２５０枚以上である。

また、ガラス板梱包体１４は、底板２０を搭載面１６に対して約１５°の角度（θ_１）をもって搭載面１６に支持する底板受け部材２６と、図１の如く搭載面１６に立設されて傾斜台２２の背面を支持する枠状受け部材２８とを有している。

台座１８は、長短多数本の鋼材を縦横、高さ方向に溶着することにより構成され、溶着組み立て後に研削加工によってその搭載面１６が所定の平坦度に加工されている。また、台座１８の前後方向の面には、フォークリフトの爪（不図示）が挿抜される開口部３０、３０が備えられている。

合紙１０は、ガラス板Ｇを保護するために、ガラス板Ｇよりも大きいサイズの紙であり、合紙１０の一部は、ガラス板Ｇの辺部からはみ出ている。この合紙１０の、はみ出た部分のうちガラス板Ｇの上辺部からはみ出した細長の上縁部分１０ｃが、不図示のアンパッカーの吸着パッドに吸着把持されて、合紙１０がガラス板梱包体１４から取り出される。なお、合紙１０の原料はバージンパルプが好ましい。更にセルロース等を含有している原料を用いてもよい。

下部横押さえ部材１５Ａ、１５Ｂは、板状に形成されている本体３２、ハンドル３４、及び押さえ板３６等から構成される。

本体３２は、所定の形状の金属製板材をプレス成型によって屈曲された形状を有しており、不図示のボルトによって台座１８の搭載面１６に着脱自在に固定される。ハンドル３４の中央部には、ねじ棒３８が固定され、このねじ棒３８は本体３２に水平方向に螺合されている。また、ねじ棒３８の先端部には、押さえ板３６が当接されている。押さえ板３６は、一対のガイドバー４０、４０を介して本体３２に水平方向に移動自在に係合されている。またハンドル３４、押さえ板３６、ねじ棒３８、ガイドバー４０、４０がユニット化されている。下部横押さえ部材１５Ａ、１５Ｂに対して前記ユニット部材は落とし込んで係合される構造になっている。したがって、ハンドル３４を締め込む方向に回動すると、ハンドル３４のねじ棒３８に押されて押さえ板３６が、ガラス板積層体１２の下部側面を押し込む方向に移動する。また、この動作によって、図２に示す一対の下部横押さえ部材１５Ａ、１５Ｂの各々の押さえ板３６、３６によってガラス板積層体１２の下部側面が挟持され、ガラス板積層体１２がガラス板梱包体１４に固定される。

図３の如く、ガラス板梱包体１４に積載されたガラス板積層体１２の表面には、所定の厚さの矩形状の緩衝板４２が載置され、その表面に前枠４４が被せられている。前枠４４の下端部は台座１８に係合され、下端部を支点に傾動されて緩衝材４２の表面に当接されている。

上部横押さえ部材１７Ｂは、その基端部が枠状受け部材２８に係合されて片持ち支持された状態で、ガラス板積層体１２の側面に当接されている。また、前枠４４の上部の側部にはフック４６が設けられ、このフック４６にはベルト４８が掛けられている。また、このベルト４８は、上部横押さえ部材１７Ｂを横切るように配され、ベルト４８の端部が、ラチェット式巻上装置５０を介して傾斜台２２に連結されている。したがって、ラチェット式巻上装置５０を駆動してベルト４８を巻き上げることにより、ベルト４８の張力によって前枠４４が傾斜台２２に固定される。なお、上部横押さえ部材１７Ａについても、上部横押さえ部材１７Ｂと同一の構成である。

ところで、実施の形態の合紙１０は、合紙１０が含有する樹脂成分がガラス板Ｇの表面に転写されて紙肌模様や焼けや汚れが生じることを防ぐため、紙の平滑度が２０秒以下、好ましくは１８秒以下の粗面とされている。これにより、ガラス板Ｇの表面との接触面積が減少するので、樹脂成分の転写を防ぐことができる。

また、実施の形態の合紙１０は、合紙１０の合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下のものが使用されている。ここで、高級飽和脂肪酸とは、脂肪酸の炭素鎖を構成する炭素数が１１以上のもので不飽和結合を有しないものを言う。

発明者は、転写汚れ防止策を鋭意検討した結果、合紙１０に含まれる樹脂成分のうち、特に高級飽和脂肪酸が転写汚れの主たる原因であり、合紙１０の合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下の合紙を使用することでガラス板Ｇへの転写汚れを飛躍的に改善することができるとの知見を得た。

高級脂肪酸には不飽和結合を有する高級不飽和脂肪酸と、不飽和結合を有しない高級飽和脂肪酸があるが、高級飽和脂肪酸が転写汚れに大きく影響する。従って、ここで重要なことは、高級飽和脂肪酸の含有率を０．０８質量％以下にすることである。特に、高級飽和脂肪酸の中でもヘキサデカン酸（慣用名：パルミチン酸）及びオクタデカン酸（慣用名：ステアリン酸）のいずれもが転写汚れに大きく影響する。そのため、前記合紙質量に対する、ヘキサデカン酸及びオクタデカン酸の少なくとも一つの含有率が０．０４質量％以下であることが好ましい。

なお、高級飽和脂肪酸の含有率測定方法は、ＪＩＳＰ８２２４（２００２年）に準拠する測定方法によって実施した。また、高級飽和脂肪酸の含有率を０．０８質量％以下にするための達成方法としては、針葉樹などの樹脂成分の少ないバージンパルプで、且つ、ケミカル処理のなされたクラフトパルプを用いて合紙を製造する方法、または、樹脂成分０．０７質量％以下のパルプを原料として合紙を製造する方法によって達成できる。

また、ガラス板梱包体１４には、図１の如く乾燥剤５１、５１…が配置されていることが好ましい。これは、高温・高湿条件下、例えば温度２０〜６０℃で湿度が８０％以上では、転写汚れがより一層発生し易くなるため、乾燥剤５１がガラス板梱包体１４に配置されていることが有効となる。

乾燥剤５１はネットに詰められて、ガラス板梱包体１４の底板受け部材２６に備えられている開口部２７に挿入配置されている。乾燥剤５１の配置位置は、これに限定されるものではない。すなわち、ガラス板積層体１２が梱包されたガラス板梱包体１４は、出荷時にビニルシートによって包装されるが、ビニルシートに包装されて形成される空間内であって、ガラス板積層体１２に空間的に連通している箇所であれば、如何なる箇所に乾燥剤５１が配置されていてもよい。

〔合紙梱包の基礎試験結果〕
１．目的
合紙からガラス板へ転写した転写物を落とすための基礎試験を実施した。

２．サンプル試作方法
ａ）高温・高湿保管サンプル
図４の如く研磨、最終洗浄の終了したガラス板と合紙とからなるサンプル５４を平積みにするとともに錘５６を載せて、特殊の高温・高湿槽にて６０℃〜２０℃のサイクルを７サイクル、一週間継続させた。図５に、そのサイクル条件が示されている。図５によれば、１サイクルは２時間かけて２０℃から６０℃まで昇温し、６０℃を１０時間継続させ、その後、２時間かけて２０℃まで降温し、２０℃を１０時間継続するまでを１サイクルとしている。

ｂ）試験条件
ガラス基板：６７０ｃｍ×５５０ｃｍ、厚み０．７ｍｍ、４０枚
錘：鉄製、約７０ｋｇｆ
保管環境：６０℃〜２０℃、湿度８０％、１週間保管
３．評価方法
ａ）評価フロー
図６に評価のフローを示す。

サンプルを作成する前に、ガラス板の研磨、最終洗浄が終了した時点でパーティクル評価を行い（Ｓ１）、外観検査（Ｓ２）を行って良品を選別した。なお、研磨・洗浄上がり終了時点でのガラス板の状態をｒｅｆとする。

さらに選んだ良品を高温・高湿保管（Ｓ３）し、洗浄試験（Ｓ４）を実施した後、パーティクルの測定（Ｓ５）、付着物分析（Ｓ６）、及び外観検査（Ｓ７）を実施した。なお、洗浄試験は、後述するようにガラス板ごとに洗浄方法を変えて行った。

ｂ）パーティクルの測定
日立Ｄｅｃｏ製ＧＩ−４８００による測定
ｃ）外観検査
高輝度光源（１０ｋｌｕｘ）を用いた目視検査
ｄ）洗浄方法
平流し式洗浄機５８の概略を図７に示す。ガラス基板は長辺方向に流動する。図７の平流し式洗浄機５８は、上流側から下流側に向けて、ディスクブラシ部６０を含む超音波アルカリ洗剤槽６２、ロールブラシ部６４を含む超音波純水槽６６、及び基板乾燥部６８から構成される。

ｅ）洗浄試験
各ガラス板について、前段のアルカリ洗剤を使用した場合と前段のアルカリ洗剤を使用せずに純水のみで洗浄した場合について、ディスクブラシＯＦＦ（接触させない）の場合とＯＮの場合、ロールブラシＯＦＦの場合とＯＮの場合等の洗浄条件を変更して洗浄した。図８に洗浄条件を記す。

４．評価結果
ａ）パーティクル評価結果
高級飽和脂肪酸の含有率が０．１質量％、及び０．０８質量％の合紙のパーティクル評価結果を図９に示す。Ｓはパーティクルサイズが１μｍ以上３μｍ未満、Ｍは３μｍ以上５μｍ未満、Ｌは５μｍ以上を表している。

図９の試験４、５およびｒｅｆから以下のことが明らかとなった。高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％の合紙を用いたサンプルの場合、ガラス板をアルカリ洗剤なしで洗浄した場合でも機械的にスクラブ洗浄すれば研磨・洗浄上がり（ｒｅｆ）と同レベルまで洗浄できることがわかった。一方、高級飽和脂肪酸の含有率が０．１質量％の合紙を用いたサンプルの場合にはアルカリ洗剤なしでは、ガラス板を機械的にスクラブ洗浄しても研磨・洗浄上がり（ｒｅｆ）と同レベルまで洗浄できないことがわかった。つまり高級飽和脂肪酸の含有率が０．１質量％の合紙を用いたサンプルの場合には、ガラス板を良品と同等レベルまで洗浄するにはアルカリ洗剤を使った機械的なスクラブ洗浄が必要であることが判明した。

ｂ）外観検査
本実験に供した２０枚のサンプルの外観検査を実施したが、疵などの発生は認められなかった。

ｃ）付着物の分析結果
ＳＥＭ、ＥＤＸ分析結果
図８に示した試験５のサンプルの中から、付着物の分析を行った。

図１０に付着物のＳＥＭ写真を示す。図１０（Ａ）は、付着物の拡大写真であり、図１０（Ｂ）は、図１０（Ａ）のＡ部拡大写真、図１０（Ｃ）は、図１０（Ａ）のＢ部拡大写真である。これらの写真に示すように、ＥＤＸ分析を実施したところ、Ａ部からは紙の主成分である炭素が顕著に観察されたが、Ｂ部からはバックグランドのガラスと同じ成分しか観察されなかった。

ｄ）合紙からの転写有機物分析
ＳＥＭ観察の結果より、粘着性を持った有機物であることが想定された。そのため、合紙からどのような有機物が紙に転写するのか、改めて別の方法にてサンプルを作り、ガスクロマトグラフィ分析を実施した。

ｅ）Ａサンプル
希ＨＦにて洗浄した無アルカリガラス（旭硝子株式会社製、商品名：ＡＮ１００）、厚み０．７ｍｍ、１０ｃｍ×１０ｃｍサイズ）に合紙を載せて、その上に６．５ｃｍ×６．５ｃｍの無アルカリガラス板をやはり希ＨＦにて洗浄した後、合紙の上に載せてＡサンプルを作製し、デシケーターに保管し、高温・高湿（６０℃、８５％）の条件下で二日間保管した。

ｆ）分析方法
Ａサンプルの６．５ｃｍ×６．５ｃｍの無アルカリガラス板の、合紙との接触部分を昇温し、ガスクロマトグラフィ分析を行った。

ｇ）分析結果
Ａサンプルの６．５ｃｍ×６．５ｃｍの無アルカリガラス板のガスクロマトグラフィ分析結果のトータルイオンクロマトグラムを図１１に、Ｒｅｆ（ガラス板のみ）のものを図１２に示す。図１１より、Ａサンプルの６．５ｃｍ×６．５ｃｍの無アルカリガラス板においては、ヘキサデカン酸やオクタデカン酸などの高級飽和脂肪酸が、ガラス板に付着していることが判明した。

本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、２０１０年３月２６日出願の日本特許出願２０１０−０７２３３０に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Ｇ…ガラス板、１０…合紙、１２…ガラス板積層体、１４…ガラス板梱包体、１５Ａ、１５Ｂ…下部横押さえ部材、１６…搭載面、１７Ａ、１７Ｂ…上部横押さえ部材、１８…台座、２０…底板、２２…傾斜台、２４…背板、２６…底板受け部材、２８…枠状受け部材、３０…開口部、３２…本体、３４…ハンドル、３６…押さえ板、３８…ねじ棒、４０…ガイドバー、４２…緩衝板、４４…前枠、４６…フック、４８…ベルト、５０…ラチェット式巻上装置、５１…乾燥剤、５４…サンプル、５６…錘、５８…平流し式洗浄機、６０…ディスクブラシ部、６２…超音波アルカリ洗剤槽、６４…ロールブラシ部、６６…超音波純水槽、６８…基板乾燥部

Claims

複数枚のガラス板が合紙を介して積層されたガラス板積層体が梱包されたガラス板梱包体において、
前記合紙の、合紙質量に対する高級飽和脂肪酸の含有率が０．０８質量％以下であるガラス板梱包体。
前記合紙質量に対する、ヘキサデカン酸及びオクタデカン酸の少なくとも一つの含有率は０．０４質量％以下である請求項１に記載のガラス板梱包体。
前記ガラス板梱包体内には、乾燥剤が配置されている請求項１又は２に記載のガラス板梱包体。