JP2013212947A - ガラス板積層体及びガラス板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができるガラス板積層体及びガラス板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るガラス板積層体は、ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配されるガラス板用挿入シートと、を備え、前記挿入シートは、シート本体と、前記シート本体の少なくとも表面に保持される水溶性有機物と、を有し、前記水溶性有機物は、融点が15〜55℃であることを特徴とする。このガラス板積層体から前記ガラス板を取り出して水又はアルカリ洗浄する。洗浄工程後の前記ガラス板表面の接触角は3.5°以下である。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の一態様に係るガラス板積層体は、ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配されるガラス板用挿入シートと、を備え、前記挿入シートは、シート本体と、前記シート本体の少なくとも表面に保持される水溶性有機物と、を有し、前記水溶性有機物は、融点が15〜55℃であることを特徴とする。このガラス板積層体から前記ガラス板を取り出して水又はアルカリ洗浄する。洗浄工程後の前記ガラス板表面の接触角は3.5°以下である。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガラス板積層体及びガラス板の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス板は、出荷される前や、所定のサイズに切断後に形状加工される前に、複数枚が積層され、この状態で、出荷先や形状加工のための工場等に運搬され、保管される。積層されたガラス板は、隣接して重ねられたガラス板同士が、運搬される際の振動等によって、直接或いはガラス板間に細かなガラス粒やホコリが介在した状態で擦れることで、ガラス板表面に傷がつくことがある。また、積層されたガラス板は、運搬、保管中に、空気中の有機物がガラス表面に付着して汚染されたり、ガラス板同士が密着して1枚ずつ剥がす作業に支障をきたしたりする。
このようなガラス板の傷等の防止のために、従来より、隣接する2枚のガラス板の間に紙又は樹脂材料からなる挿入シートを挟み込み、隣接するガラス板を分離することが行われている。挿入シートには、フィルム状のものも含まれる。
樹脂材料からなる挿入シートには、滑剤をシート組成物に含ませる場合がある。滑剤として、例えば、脂肪酸アミドや脂肪酸、高級アルコール、パラフィンワックスやポリエチレンワックスなどの炭化水素、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、ステアリン酸モノグリセリドなどのアルコール脂肪酸エステルが挙げられる。これら滑剤が挿入シートから積み重ねられたガラス板の表面に付着することがある。紙からなる挿入シートにおいても、例えば、紙の抄紙工程において剥離剤として使用されるパラフィンワックスやポリエチレンワックスなどが、ガラス板に付着することがある。
従来のこの種のガラス板表面の保護方法として、例えば、特許文献1に示す方法が既に知られている。この方法では、ガラス板の表面を保護するための滑剤としてエルカ酸アミドなどを含んだ挿入シートが、ガラス板の表面に押圧されることで、滑剤が意図的にガラス板の表面に転写される。ガラス板に転写された滑剤は、積層されたガラス板が運搬される際に、隣接するガラス板同士の接触等によってガラス板表面に傷が生じるのを抑える。
このようなガラス板の傷等の防止のために、従来より、隣接する2枚のガラス板の間に紙又は樹脂材料からなる挿入シートを挟み込み、隣接するガラス板を分離することが行われている。挿入シートには、フィルム状のものも含まれる。
樹脂材料からなる挿入シートには、滑剤をシート組成物に含ませる場合がある。滑剤として、例えば、脂肪酸アミドや脂肪酸、高級アルコール、パラフィンワックスやポリエチレンワックスなどの炭化水素、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、ステアリン酸モノグリセリドなどのアルコール脂肪酸エステルが挙げられる。これら滑剤が挿入シートから積み重ねられたガラス板の表面に付着することがある。紙からなる挿入シートにおいても、例えば、紙の抄紙工程において剥離剤として使用されるパラフィンワックスやポリエチレンワックスなどが、ガラス板に付着することがある。
従来のこの種のガラス板表面の保護方法として、例えば、特許文献1に示す方法が既に知られている。この方法では、ガラス板の表面を保護するための滑剤としてエルカ酸アミドなどを含んだ挿入シートが、ガラス板の表面に押圧されることで、滑剤が意図的にガラス板の表面に転写される。ガラス板に転写された滑剤は、積層されたガラス板が運搬される際に、隣接するガラス板同士の接触等によってガラス板表面に傷が生じるのを抑える。
ガラス板表面の傷からの保護は、絶えず、種々の方法で求められている。
本発明は、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができるガラス板積層体及びガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができるガラス板積層体及びガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るガラス板積層体は、
ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートと、備え、
前記挿入シートは、シート本体と、前記シート本体の少なくとも表面に保持される水溶性有機物と、を有し、前記水容性有機物は、融点が15〜55℃であることを特徴とする。
ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートと、備え、
前記挿入シートは、シート本体と、前記シート本体の少なくとも表面に保持される水溶性有機物と、を有し、前記水容性有機物は、融点が15〜55℃であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るガラス板の製造方法は、
上述のガラス板積層体から前記ガラス板を取り出す工程と、取り出した前記ガラス板を水又はアルカリ洗浄する工程と、を備え、
洗浄工程後の前記ガラス板表面の接触角を3.5°以下とする、ことを特徴とする。
上述のガラス板積層体から前記ガラス板を取り出す工程と、取り出した前記ガラス板を水又はアルカリ洗浄する工程と、を備え、
洗浄工程後の前記ガラス板表面の接触角を3.5°以下とする、ことを特徴とする。
本発明によれば、積層されたガラス板表面の耐傷性を向上させることができる。
以下、本実施形態のガラス板積層体及びガラス板の製造方法について説明する。
(挿入シート)
まず、ガラス板積層体に用いられる挿入シートについて説明する。
図1は、挿入シートの縦断面を示す模式図である。
挿入シート1は、ガラス板に重ねて配されるシートであって、紙あるいは樹脂材料からなるシート本体3と、シート本体3の少なくとも表面に保持され、融点が15〜55℃である水溶性有機物5と、を備える。
まず、ガラス板積層体に用いられる挿入シートについて説明する。
図1は、挿入シートの縦断面を示す模式図である。
挿入シート1は、ガラス板に重ねて配されるシートであって、紙あるいは樹脂材料からなるシート本体3と、シート本体3の少なくとも表面に保持され、融点が15〜55℃である水溶性有機物5と、を備える。
(シート本体)
シート本体3は、ガラス板間に挟み込む合紙として通常用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、パルプ紙や、古紙パルプが配合された再生紙、樹脂発泡シート、樹脂フィルムを用いることができる。パルプ紙は、例えば、酸性紙、中性紙が挙げられ、酸性紙が好ましく用いられる。樹脂発泡シートは、例えば、ポリエチレン(PE)発泡シート、ポリプロピレン(PP)発泡シートが挙げられ、コストが低い点で、PE発泡シートが好ましく用いられる。これらは市販のものを用いることができる。
シート本体3は、水溶性有機物5のガラス板への転写のしやすさから、平滑なものが好ましく用いられる。具体的には、挿入シート1の後述する表面粗さRaと同様の表面粗さを有するものが用いられる。表面粗さは、シート本体3の表面及び裏面において、同一又は異なってよい。なお、本発明において、シート本体3の表面は、表面粗さRaの小さい方をいい、裏面は表面粗さRaの大きい方をいう。
シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、クッション性の理由から、坪量が、35g/m2以上のものが好ましく用いられ、45g/m2以上のものがより好ましく用いられる。また、紙厚の理由から、坪量が、70g/m2以下のものが好ましく用いられ、60g/m2以下のものがより好ましく用いられる。
シート本体3として樹脂フィルムあるいは樹脂発泡シートを用いる場合は、クッション性の理由から、弾性率が、550MPa以下のものが好ましく用いられ、480MPa以下のものがより好ましく用いられる。また、積載時のシート厚維持の理由から、弾性率が、200MPa以上のものが好ましく用いられ、250MPa以上のものがより好ましく用いられる。
シート本体3は、ガラス板間に挟み込む合紙として通常用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、パルプ紙や、古紙パルプが配合された再生紙、樹脂発泡シート、樹脂フィルムを用いることができる。パルプ紙は、例えば、酸性紙、中性紙が挙げられ、酸性紙が好ましく用いられる。樹脂発泡シートは、例えば、ポリエチレン(PE)発泡シート、ポリプロピレン(PP)発泡シートが挙げられ、コストが低い点で、PE発泡シートが好ましく用いられる。これらは市販のものを用いることができる。
シート本体3は、水溶性有機物5のガラス板への転写のしやすさから、平滑なものが好ましく用いられる。具体的には、挿入シート1の後述する表面粗さRaと同様の表面粗さを有するものが用いられる。表面粗さは、シート本体3の表面及び裏面において、同一又は異なってよい。なお、本発明において、シート本体3の表面は、表面粗さRaの小さい方をいい、裏面は表面粗さRaの大きい方をいう。
シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、クッション性の理由から、坪量が、35g/m2以上のものが好ましく用いられ、45g/m2以上のものがより好ましく用いられる。また、紙厚の理由から、坪量が、70g/m2以下のものが好ましく用いられ、60g/m2以下のものがより好ましく用いられる。
シート本体3として樹脂フィルムあるいは樹脂発泡シートを用いる場合は、クッション性の理由から、弾性率が、550MPa以下のものが好ましく用いられ、480MPa以下のものがより好ましく用いられる。また、積載時のシート厚維持の理由から、弾性率が、200MPa以上のものが好ましく用いられ、250MPa以上のものがより好ましく用いられる。
シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、後述するようにガラス板を立てかけた状態で保管し、あるいは運搬するとき、隣接するガラス板の上端部分より上方に突出して延びる部分が折れ曲がる合紙倒れを防止する観点から、JAPAN TAPPI No40に準拠する縦方向ガーレー剛度が、0.25mN以上であるのが好ましく、0.40mN以上であるのがより好ましい。また、シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合は、後述するガラス積層体を得る際に、柔軟性を確保し、ガラス板表面に対し隙間なく重ねる観点から、縦方向ガーレー剛度が、1.00mN以下であるのが好ましい。
シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合のシート本体3の厚さは、上記縦方向ガーレー剛度を満たす範囲であれば、特に制限されない。
また、シート本体3として樹脂フィルムや樹脂発泡シートなどの樹脂材料を用いる場合は、シート本体3は、積み付け作業時の破断を防止する観点から、JIS規格(JIS K7127)に準拠するMD方向引張破壊応力が8MPa以上あるのが好ましい。シート本体3の厚さは、このMD方向引張破壊応力を満たす範囲であれば、特に制限されない。
なお、ガラス板表面に隙間なく重ねるのは、シート本体3とガラス板との隙間の空気中に含まれる有機物がガラス板表面に付着し、後の洗浄工程で洗い落とせないことを防ぐためである。
シート本体3としてパルプ紙又は再生紙などの紙材料を用いる場合のシート本体3の厚さは、上記縦方向ガーレー剛度を満たす範囲であれば、特に制限されない。
また、シート本体3として樹脂フィルムや樹脂発泡シートなどの樹脂材料を用いる場合は、シート本体3は、積み付け作業時の破断を防止する観点から、JIS規格(JIS K7127)に準拠するMD方向引張破壊応力が8MPa以上あるのが好ましい。シート本体3の厚さは、このMD方向引張破壊応力を満たす範囲であれば、特に制限されない。
なお、ガラス板表面に隙間なく重ねるのは、シート本体3とガラス板との隙間の空気中に含まれる有機物がガラス板表面に付着し、後の洗浄工程で洗い落とせないことを防ぐためである。
(水溶性有機物)
水溶性有機物5は、水溶性を有する。これにより、後述する洗浄工程での洗浄がしやすくなる。
水溶性有機物5は、融点が15〜55℃である。水溶性有機物5の融点は、通常の使用環境(0〜45℃、より好ましくは20〜40℃の雰囲気)で完全には固化させない観点から、15℃以上であり、好ましくは20℃以上である。また、洗浄性低下を防止する観点から、融点は、55℃以下であり、好ましくは47℃以下である。
水溶性有機物5は、水溶性を有する。これにより、後述する洗浄工程での洗浄がしやすくなる。
水溶性有機物5は、融点が15〜55℃である。水溶性有機物5の融点は、通常の使用環境(0〜45℃、より好ましくは20〜40℃の雰囲気)で完全には固化させない観点から、15℃以上であり、好ましくは20℃以上である。また、洗浄性低下を防止する観点から、融点は、55℃以下であり、好ましくは47℃以下である。
水溶性有機物5として水溶性ポリマーが用いられた場合、この水溶性ポリマーが上述の範囲の融点を有することにより、水溶性有機物5の分子量分布に起因して、分子量の小さいものが液体として存在し、かつ、分子量の大きなものが固体として存在する結果、通常の使用環境において、半固化状態となり得る。このような半固化状態の水溶性有機物5は、液相の中に存在する粒子状の固相が、傷の原因となるガラス粒等の微粒子とガラス板表面との間に挟まれるとともに、その周囲の液相によって、ガラス粒等は、ガラス板表面に対し滑りやすくなる。言い換えると、運搬中の振動等によるガラス板に対する外力又はエネルギーは、ガラス板表面まで到達せず、摩擦抵抗が低くなる。これにより、傷つき防止が達成される。
このような融点範囲を満たす水溶性有機物5としては、例えば、アニオン系、両性系、非イオン系の各界面活性剤や、その他の物質が用いられる。
このような融点範囲を満たす水溶性有機物5としては、例えば、アニオン系、両性系、非イオン系の各界面活性剤や、その他の物質が用いられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸型、アシル化ザルコシン塩等のカルボン酸型、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル型のものが挙げられる。
両性系界面活性剤としては、例えば、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエステル・エーテル型、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアミノエーテル型が挙げられる。
その他の物質としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(メトキシPEG)等のPEG系、フェノキシエタノール等のグリコールエーテル系等の水溶性有機物が挙げられる。
PEGの重量平均重合度は、融点の理由から、12〜40であるのが好ましく、12〜32であるのが特に好ましい。重量平均分子量は、挿入シートからガラスへの移行性(移動のしやすさ)の理由から、600〜2000、好ましくは600〜1540である。
これら水溶性有機物5は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
PEGの重量平均重合度は、融点の理由から、12〜40であるのが好ましく、12〜32であるのが特に好ましい。重量平均分子量は、挿入シートからガラスへの移行性(移動のしやすさ)の理由から、600〜2000、好ましくは600〜1540である。
これら水溶性有機物5は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性有機物5は、シート本体3の水溶性有機物5への浸漬や、塗布等により、シート本体3に付着され、シート本体3の表面に保持される。特に、水溶性有機物5をシート本体3表面に均一に付着させられる点で、浸漬により付着させるのが好ましい。塗布は、スプレー、コーター等を用いて公知の方法により行える。このうち、スプレーを用いての塗布は、水溶性有機物5がシート本体3の表面の微細な凹部に入り込まず、水溶性有機物5のガラス板への転写性に優れる点から、好ましい。この場合、水溶性有機物5は、シート本体3の表層部のみで保持される。水溶性有機物5は、エタノール、アセトン等の公知の溶媒に溶解させた状態でシート本体3に浸漬、塗布等されてもよい。水溶性有機物5は、シート本体3の各表面の全面に塗布されていなくてもよいが、全面に塗布等されるのが好ましい。
水溶性有機物5は、シート本体3の一方の表面又は両面に保持されてよい。両面に保持される態様には、挿入シート1を製造する際にシート本体3の両面に塗布等されてシート本体3の両面に保持される態様のほか、シート本体3の片面に塗布等された後、シート本体3を浸透して反対側の表面においても保持される態様も含まれる。
水溶性有機物5は、シート本体3の一方の表面又は両面に保持されてよい。両面に保持される態様には、挿入シート1を製造する際にシート本体3の両面に塗布等されてシート本体3の両面に保持される態様のほか、シート本体3の片面に塗布等された後、シート本体3を浸透して反対側の表面においても保持される態様も含まれる。
水溶性有機物5は、ガラス板に十分な量の水溶性有機物を転写させて耐傷性を確保する観点から、1.2mg/m2以上保持されるのがより好ましく、5.7g/m2以上保持されるのが特に好ましい。また、挿入シートとガラスの張り付きを避けるために、556.0mg/m2以下保持されるのが好ましい。なお、シート本体3に保持される水溶性有機物5の量は、例えば、所定の大きさの挿入シート1のサンプル片を溶媒中に浸し、溶出した重量を測定することにより求まる。
水溶性有機物5は、ガラス板に接触して24時間以内での20℃の純水によるガラス板表面の接触角を、5〜10°とするものであるのが好ましい。特に、耐傷性を確保する観点から、この接触角は、6°以上であるのがより好ましい。このような接触角を満たす水溶性有機物5は、例えば、PEG600(重合平均分子量600、重合平均重合度12)を水に溶解させて得た2%水溶液に、シート本体3を5秒間浸漬することにより得られる。なお、接触角は、市販の接触角計を用いて測定される。
このような接触角を満たす水溶性有機物5は、例えば、PEG600(重合平均分子量600、重合平均重合度12)を水に溶解させて得た2%水溶液に、パルプ紙からなるシート本体3を5秒間浸漬することにより得られる。
(挿入シート)
挿入シート1は、ガラス板の大きさに応じて、その大きさが決定され、例えば、500〜2500mm×2500〜3500mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのガラス板に対しては、560〜2560mm×2560〜3560mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのものが用いられる。
挿入シート1は、運送時のスペースの観点から、厚さ0.2mm以下であることが好ましい。また、挿入シート1は、クッション性の観点から、厚さ0.08mm以上であることが好ましい。
挿入シート1は、ガラス板の大きさに応じて、その大きさが決定され、例えば、500〜2500mm×2500〜3500mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのガラス板に対しては、560〜2560mm×2560〜3560mm(短手方向長さ×長手方向長さ)の大きさのものが用いられる。
挿入シート1は、運送時のスペースの観点から、厚さ0.2mm以下であることが好ましい。また、挿入シート1は、クッション性の観点から、厚さ0.08mm以上であることが好ましい。
以上の挿入シート1は、ガラス板表面に水溶性有機物5を十分に転写させる観点から、挿入シート1を、例えば、100枚のガラス板の間に1枚ずつ挟んで積層されるとともに、12時間以上静置されるのが好ましく、24時間以上静置されるのがより好ましい。
以上の挿入シート1によれば、ガラス板表面に、水溶性有機物5を転写させることができる。転写された水溶性有機物5は、上述の範囲の融点を有することにより、通常の使用環境において半固化状態となり得る。このような水溶性有機物5が、傷の原因となるガラス粒等の微粒子とガラス板表面との間に挟まれると、その周囲に液相があることで、ガラス粒等の微粒子がガラス板表面に対し滑りやすくなる。このため、運搬中の振動等によるガラス板に対する外力又はエネルギーはガラス板表面まで到達せず、ガラス板表面の摩擦抵抗が低くなることにより、傷つき防止が達成される。
以上の挿入シート1によれば、ガラス板表面に、水溶性有機物5を転写させることができる。転写された水溶性有機物5は、上述の範囲の融点を有することにより、通常の使用環境において半固化状態となり得る。このような水溶性有機物5が、傷の原因となるガラス粒等の微粒子とガラス板表面との間に挟まれると、その周囲に液相があることで、ガラス粒等の微粒子がガラス板表面に対し滑りやすくなる。このため、運搬中の振動等によるガラス板に対する外力又はエネルギーはガラス板表面まで到達せず、ガラス板表面の摩擦抵抗が低くなることにより、傷つき防止が達成される。
なお、ガラス板の傷の原因となる微粒子は、例えば、成形されたガラス板の端面に付着していたが、ガラス板を斜めに立てかけて運搬する際に、ガラス板表面に落下してガラス板間に挟まった状態となる微粒子に由来する。あるいは、ガラス板の傷の原因となる微粒子は、保管後洗浄されるまでのホコリ、ガラスの破片等の存在する空間内で運搬され、この空間内で処理される際にガラス板の表面に付着する微粒子である。例えば、積層された複数のガラス板から1枚ずつガラス板を吸着して取り出す吸着パッド等の治具との接触によっても、微粒子がガラス板に付着し傷を作る。しかし、本発明の挿入シート1によれば、このような場合であっても、ガラス板表面に上述の範囲の融点を有する水溶性有機物が半固化状態で存在しうることで、ガラス粒やホコリ等の微粒子を介して外力やエネルギーが水溶性有機物5に加わった場合に、微粒子が滑りやすくなり、これにより外部からの力やエネルギーは分散されることが可能と考えられる。
(ガラス板積層体)
図2は、ガラス板積層体の縦断面を示す図である。
本発明のガラス板積層体10は、ガラス板20と、ガラス板20に積層される上述のガラス板用挿入シート1と、を備える。
図2は、ガラス板積層体の縦断面を示す図である。
本発明のガラス板積層体10は、ガラス板20と、ガラス板20に積層される上述のガラス板用挿入シート1と、を備える。
(ガラス板)
以下、ガラス板20の概略を説明する。
ガラス板20の厚さは、0.1〜1.5mmであり、好ましい厚さの上限値は、1.1mm、0.7mm、0.5mmであり、最も好ましい上限値は0.4mmである。一方、好ましい厚さの下限値は、0.2mmである。
以下、ガラス板20の概略を説明する。
ガラス板20の厚さは、0.1〜1.5mmであり、好ましい厚さの上限値は、1.1mm、0.7mm、0.5mmであり、最も好ましい上限値は0.4mmである。一方、好ましい厚さの下限値は、0.2mmである。
また、ガラス板20のサイズは、500〜2500mm×2500〜3500mm(短手方向長さ×長手方向長さ)である。
ガラス板20の種類は、ボロシリケイトガラス、アルミノシリケイトガラス、アルミノボロシリケイトガラス、ソーダライムガラス、アルカリシリケイトガラス、アルカリアルミノシリケイトガラス、アルカリアルミノゲルマネイトガラス等が挙げられる。なお、液晶ディスプレイ用ガラス板や有機EL(Electro-Luminescence)用ガラス板としては、アルカリを実質的に含有しない、あるいはアルカリを極微量しか含有しないガラス板を適用することが好ましい。
本実施形態のガラス板20は、液晶ディスプレイ用であり、一方の表面は、液晶ディスプレイに用いられる半導体素子アレイ又はカラーフィルタなどの薄膜が形成される平滑な面であり、他方の表面は、偏光フィルタが形成される平滑な面である。
ガラス板20は、例えば、下記に示す組成からなる。下記括弧内に記載された数値は好ましい組成比率である。下記組成比率の%表示はいずれも質量%を意味する。
SiO2:50〜70%(57〜64%)、
Al2O3:5〜25%(12〜18%)、
B2O3:0〜15%(6〜13%)。
なお、下記に示す組成を任意に含んでもよい。
MgO:0〜10%(0.5〜4%)、
CaO:0〜20%(3〜7%)、
SrO:0〜20%(0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、
BaO:0〜10%(0〜3%、より好ましくは0〜1%)、
ZrO2:0〜10%(0〜4%,より好ましくは0〜1%)。
SiO2:50〜70%(57〜64%)、
Al2O3:5〜25%(12〜18%)、
B2O3:0〜15%(6〜13%)。
なお、下記に示す組成を任意に含んでもよい。
MgO:0〜10%(0.5〜4%)、
CaO:0〜20%(3〜7%)、
SrO:0〜20%(0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、
BaO:0〜10%(0〜3%、より好ましくは0〜1%)、
ZrO2:0〜10%(0〜4%,より好ましくは0〜1%)。
また、上記の組成のうち、特に、SiO2:50〜70%、B2O3:5〜18%、Al2O3:10〜25%、MgO:0〜10%、CaO:0〜20%、SrO:0〜20%、BaO:0〜10%、RO:5〜20%(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)を含有することが好ましい。
さらに、R’2O:0.20%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
さらにまた、清澄剤を合計で0.05〜1.5%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないことが好ましい。As2O3、Sb2O3及びPbOは、ガラスを清澄する効果を有する物質ではあるが、環境負荷が大きい物質であるためである。ここで、実質的に含まないとは、質量%が0.01%未満であって、不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
また、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることが好ましい。
さらに、R’2O:0.20%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
さらにまた、清澄剤を合計で0.05〜1.5%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないことが好ましい。As2O3、Sb2O3及びPbOは、ガラスを清澄する効果を有する物質ではあるが、環境負荷が大きい物質であるためである。ここで、実質的に含まないとは、質量%が0.01%未満であって、不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
また、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることが好ましい。
(ガラス板の製造方法)
図3は、ガラス板20の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板20の製造方法は、熔解工程(ステップS10)と、清澄工程(ステップS20)と、攪拌工程(ステップS30)と、成形工程(ステップS40)と、徐冷工程(ステップS50)と、切断工程(ステップS60)と、形状加工工程(ステップS70)と、研磨工程(ステップS80)と、洗浄工程(ステップS90)と、検査工程(ステップS100)とを主に有する。
図3は、ガラス板20の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板20の製造方法は、熔解工程(ステップS10)と、清澄工程(ステップS20)と、攪拌工程(ステップS30)と、成形工程(ステップS40)と、徐冷工程(ステップS50)と、切断工程(ステップS60)と、形状加工工程(ステップS70)と、研磨工程(ステップS80)と、洗浄工程(ステップS90)と、検査工程(ステップS100)とを主に有する。
熔解工程(ステップS10)では、図示されない熔解炉で、ガラス原料が化石燃料の燃焼による間接加熱および電気通電による直接加熱により加熱されて溶融ガラスが作られる。次に、清澄工程が行われる(ステップS20)。清澄工程では、溶融ガラスが図示されない液槽に貯留された状態で、溶融ガラス中の気泡が上述の清澄剤を用いて取り除かれる。次に、攪拌工程が行われる(ステップS30)。攪拌工程では、ガラスの化学的および熱的均一性を保つために、垂直に向けられた図示されない撹拌槽に溶融ガラスが通される。
次に、成形工程が行われる(ステップS40)。成形工程では、ガラス板20の成形方法として、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、リドロー法等が用いられる。次いで、徐冷工程(ステップS50)、切断工程(ステップS60)、形状加工工程(ステップS70)、研磨工程(ステップS80)が順に行われる。
次に、成形工程が行われる(ステップS40)。成形工程では、ガラス板20の成形方法として、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、リドロー法等が用いられる。次いで、徐冷工程(ステップS50)、切断工程(ステップS60)、形状加工工程(ステップS70)、研磨工程(ステップS80)が順に行われる。
この後、洗浄工程が行われる(ステップS90)。洗浄工程では、研磨工程においてガラス板20の表面及び端面に付着した研磨剤や不純物を、例えば水又はアルカリ洗剤を用いて洗浄することにより除去する。水溶性有機物5として水溶性に優れたものを用いた場合は、環境への配慮から、水が好ましく用いられる。例えば、水溶性有機物5としてPEGを用いた場合は、洗浄液として約50℃の水が好ましく用いられる。アルカリ洗剤としては、ガラス板の洗浄に用いられる公知のものが用いられる。
次に、検査工程が行われる(ステップS100)。検査工程では、ガラス板20中の気泡による欠陥の発生頻度を調べ、この発生頻度が所定頻度以下か否かを、洗浄工程後のガラス板20について調べる。
(ガラス板積層体の製造方法)
図4は、ガラス積層体10の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板積層体10の製造方法は、積層工程(ステップS110)と、運搬工程(ステップS120)とを主に有する。
図4は、ガラス積層体10の製造方法のフローの一例を説明する図である。本実施形態のガラス板積層体10の製造方法は、積層工程(ステップS110)と、運搬工程(ステップS120)とを主に有する。
積層工程(ステップS110)では、上述のようにして得られたガラス板20複数枚を、間に挿入シートを1枚ずつ挟んで積層することにより、ガラス積層体10を得る。より具体的には、図2に示すように、ガラス板20が一枚ずつ搬送されて支持台110に立て掛けられて載せられ、既に載せられたガラス板20の板厚方向に積み重ねられる。なお、支持台110は、積層体10を支持し固定するものであり、図示しないコンテナ筐体とともに支持台110に固定された積層体10を覆う。支持台110とコンテナ筐体とで梱包装置が構成される。得られたガラス積層体10は、この梱包装置で梱包される。このとき、挿入シート1は、隣接する2枚のガラス板20の間に介在するように挟まれる。挿入シート1は、2枚のガラス板20間に2枚以上重ねて配されてもよい。
次に、運搬工程が行われる(ステップS120)。ガラス積層体10は、外装箱又は外装パックで梱包された状態で出荷先等に運搬される。運搬されたガラス積層体10は、出荷先等で梱包が解かれ、洗浄、パネル加工等される。すなわち、ガラス板積層体10からガラス板20を取り出す工程と、取り出したガラス板20を水又はアルカリ洗浄する工程と、洗浄されたガラス板20をパネル加工等する工程と、を備えるガラス板20の製造方法が行われる。なお、このガラス板20の製造方法は、上述のガラス板の製造方法の一部として又は別に行われてよい。この方法では、例えば、上述の水溶性有機物5として、ガラス板に転写され、水又はアルカリで洗浄された後のガラス板表面の接触角を、3.5°以下とするもの、を含む挿入シートがガラス板20間に挟み込まれ、ガラス板20表面にこの水溶性有機物50が転写されることで、取り出したガラス板20は、洗浄する工程後のガラス板20表面の接触角を3.5°以下とすることができる。
次に、運搬工程が行われる(ステップS120)。ガラス積層体10は、外装箱又は外装パックで梱包された状態で出荷先等に運搬される。運搬されたガラス積層体10は、出荷先等で梱包が解かれ、洗浄、パネル加工等される。すなわち、ガラス板積層体10からガラス板20を取り出す工程と、取り出したガラス板20を水又はアルカリ洗浄する工程と、洗浄されたガラス板20をパネル加工等する工程と、を備えるガラス板20の製造方法が行われる。なお、このガラス板20の製造方法は、上述のガラス板の製造方法の一部として又は別に行われてよい。この方法では、例えば、上述の水溶性有機物5として、ガラス板に転写され、水又はアルカリで洗浄された後のガラス板表面の接触角を、3.5°以下とするもの、を含む挿入シートがガラス板20間に挟み込まれ、ガラス板20表面にこの水溶性有機物50が転写されることで、取り出したガラス板20は、洗浄する工程後のガラス板20表面の接触角を3.5°以下とすることができる。
以上のガラス板積層体10によれば、挿入シート1からガラス板20に半固化状態の水溶性有機物5が転写されることで、ガラス板20間に挟まったガラス粒やホコリ等の微粒子がガラス板20に対し滑りやすくなるため、運搬等により振動が生じた場合でも、傷の発生が防止される。
さらに、挿入シート1が挟まれて積層されたガラス板20の表面には半固化状態の水溶性有機物5が存在するので、運搬後、積層された複数のガラス板20からガラス板20を1枚ずつ吸着パッド等によって取り出して搬送ローラ等によって搬送するときでも、吸着パッド等の接触によってガラス板20に付着したガラス粒やホコリ等の微粒子による傷の発生が防止される。例えば、TFT(Thin Film Transistor)等の半導体素子の形成の前にガラス板20を1枚ずつ洗浄する工程に搬送ローラ等を用いて搬送するときでも、ガラス板20に付着したガラス粒やホコリ等の微粒子による傷の発生が防止される。
さらに、挿入シート1が挟まれて積層されたガラス板20の表面には半固化状態の水溶性有機物5が存在するので、運搬後、積層された複数のガラス板20からガラス板20を1枚ずつ吸着パッド等によって取り出して搬送ローラ等によって搬送するときでも、吸着パッド等の接触によってガラス板20に付着したガラス粒やホコリ等の微粒子による傷の発生が防止される。例えば、TFT(Thin Film Transistor)等の半導体素子の形成の前にガラス板20を1枚ずつ洗浄する工程に搬送ローラ等を用いて搬送するときでも、ガラス板20に付着したガラス粒やホコリ等の微粒子による傷の発生が防止される。
なお、他の実施形態では、上述の切断工程と形状加工工程との間で、さらに、積層工程及び運搬工程が行われてもよい。積層工程は、上述の積層工程(ステップS110)と同様である。運搬工程は、ここでは、同一工場内での移動、国内又は海外の他の工場への移動、及びこれら移動先での保管が含まれる。運搬されたガラス板積層体10は、梱包された状態で保管され、続く形状加工工程の前に梱包が解かれる。この場合の積層工程において、水溶性有機物5として水溶性に優れたものを用いた場合は、洗浄工程(ステップS90)では、環境への配慮から、好ましくは水を用いて洗浄を行う。例えば、水溶性有機物5としてPEG600を用いた場合は、洗浄液として約50℃の水が好ましく用いられる。
(実施例)
本発明の効果を確認するために、耐傷性及び洗浄性の評価を行った。
幅21.0cm×長さ29.7cmのサイズの表1〜3に示す各シート本体を、同じく表1〜3に示す各水溶性有機物の水溶液を入れたバットに約5秒間浸漬した。各水溶液に浸漬したシート本体は、ろ紙で過剰な水分を除去した後、ドラム乾燥機で乾燥させ、挿入シートサンプルを得た。乾燥は、回転ドラム乾燥機(ジャポー株式会社製、写真仕上げ乾燥機L-3D)を用いて、乾燥温度約110℃、乾燥時間約1分で行った。
本発明の効果を確認するために、耐傷性及び洗浄性の評価を行った。
幅21.0cm×長さ29.7cmのサイズの表1〜3に示す各シート本体を、同じく表1〜3に示す各水溶性有機物の水溶液を入れたバットに約5秒間浸漬した。各水溶液に浸漬したシート本体は、ろ紙で過剰な水分を除去した後、ドラム乾燥機で乾燥させ、挿入シートサンプルを得た。乾燥は、回転ドラム乾燥機(ジャポー株式会社製、写真仕上げ乾燥機L-3D)を用いて、乾燥温度約110℃、乾燥時間約1分で行った。
表1〜3において示す下記物質及びシート本体には、次のものを用いた。
・ PEG600:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール600(重量平均分子量600、重量平均重合度12、融点18〜22℃)1〜10gを水100gに溶かして得た1〜10%水溶液。
・ PEG1000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール1000(重量平均分子量1000、重量平均重合度20、融点35〜39℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG1540:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール1540(重量平均分子量1540、重量平均重合度32、融点43〜47℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG2000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール2000(重量平均分子量2000、重量平均重合度40、融点48〜54℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG200:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール200(重量平均分子量200、重量平均重合度4、融点−35℃以下)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG400:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール400(重量平均分子量400、重量平均重合度8、融点4〜8℃)2gを水100g水に溶かして得た2%水溶液。
・ PEG4000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール4000(重量平均分子量4000、重量平均重合度75、融点53〜57℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ パルプ紙:特殊東海製紙社製、Kirari−D2(坪量50g。樹脂成分含有せず(樹脂成分0.04%以下)。)
・ 再生紙:丸王製紙社製、MIP(坪量50g。樹脂成分0.3%)
・ 樹脂シート:日生化学社製、クリアシート(厚さ100μm)
・ PEG600:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール600(重量平均分子量600、重量平均重合度12、融点18〜22℃)1〜10gを水100gに溶かして得た1〜10%水溶液。
・ PEG1000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール1000(重量平均分子量1000、重量平均重合度20、融点35〜39℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG1540:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール1540(重量平均分子量1540、重量平均重合度32、融点43〜47℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG2000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール2000(重量平均分子量2000、重量平均重合度40、融点48〜54℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG200:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール200(重量平均分子量200、重量平均重合度4、融点−35℃以下)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ PEG400:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール400(重量平均分子量400、重量平均重合度8、融点4〜8℃)2gを水100g水に溶かして得た2%水溶液。
・ PEG4000:東邦化学工業社製、トーホーポリエチレングリコール4000(重量平均分子量4000、重量平均重合度75、融点53〜57℃)2gを水100gに溶かして得た2%水溶液。
・ パルプ紙:特殊東海製紙社製、Kirari−D2(坪量50g。樹脂成分含有せず(樹脂成分0.04%以下)。)
・ 再生紙:丸王製紙社製、MIP(坪量50g。樹脂成分0.3%)
・ 樹脂シート:日生化学社製、クリアシート(厚さ100μm)
次に、上記の挿入シートサンプルを、縦10cm×横10cm×板厚0.7mmのサイズの2枚のガラス片で挟み、重りを用いて、2枚のガラス片が互いに押し付けられるように10Nの荷重を24時間加え、ガラス片表面に水溶性有機物を転写させた。
なお、表1の比較例1、実施例1〜3に示す融点の調整は、水溶性有機物を変更して行った。
表1の比較例3、実施例4,5に示す表面粗さの調整は、キャレンダー処理して行った。
表2の比較例4,5、実施例6〜10に示す、水溶性有機物の含有量の調整は、溶液濃度およびディップ回数を変更することで挿入シート中の水溶性有機物の含有量を変更して行った。
また、表3の比較例6、実施例11,12に示す接触角の調整は、挿入シートと接触させて保管する時間を変更して行った。
表1〜3中の各物性値は、次のように測定した。
なお、表1の比較例1、実施例1〜3に示す融点の調整は、水溶性有機物を変更して行った。
表1の比較例3、実施例4,5に示す表面粗さの調整は、キャレンダー処理して行った。
表2の比較例4,5、実施例6〜10に示す、水溶性有機物の含有量の調整は、溶液濃度およびディップ回数を変更することで挿入シート中の水溶性有機物の含有量を変更して行った。
また、表3の比較例6、実施例11,12に示す接触角の調整は、挿入シートと接触させて保管する時間を変更して行った。
表1〜3中の各物性値は、次のように測定した。
(融点)
示差走査熱量計(TA instruments社製、DSCQ100)を用いて融点を測定した。なお、測定条件として、窒素雰囲気、昇温速度10℃/min、測定容器アルミニウム製簡易密封パンで測定した。
示差走査熱量計(TA instruments社製、DSCQ100)を用いて融点を測定した。なお、測定条件として、窒素雰囲気、昇温速度10℃/min、測定容器アルミニウム製簡易密封パンで測定した。
(表面粗さ)
小型表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SJ−210)を用いて測定した。
小型表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SJ−210)を用いて測定した。
(接触角)
水溶性有機物が転写されたガラス板サンプル、及び転写後洗浄されたガラス板サンプルの各接触角を、接触角計(協和界面科学社製、DropMaster300)を用いて測定した。
これら物性値の測定結果を、表1に示す。
水溶性有機物が転写されたガラス板サンプル、及び転写後洗浄されたガラス板サンプルの各接触角を、接触角計(協和界面科学社製、DropMaster300)を用いて測定した。
これら物性値の測定結果を、表1に示す。
(耐傷性の評価)
水溶性有機物が転写されたガラス板に対し引掻き試験を行うことにより、耐傷性を評価した。引掻き硬度計(エリクセン社製、model318S)を用いて、ISO規格(JIS K5600−5−5,ISO1518−1)に準拠して引っ掻き硬度(荷重針法)試験を行った。ガラス板サンプルに対する荷重は、0.1〜2Nの範囲であった。この結果、ガラス板表面に傷が表れなかったものをA、ガラス板表面にすり傷が生じたものをB、ガラス板表面にクラックが生じたものをC、とそれぞれ評価し、A及びBは良好な耐傷性を有する、さらにAを特に耐傷性に優れるとした。
水溶性有機物が転写されたガラス板に対し引掻き試験を行うことにより、耐傷性を評価した。引掻き硬度計(エリクセン社製、model318S)を用いて、ISO規格(JIS K5600−5−5,ISO1518−1)に準拠して引っ掻き硬度(荷重針法)試験を行った。ガラス板サンプルに対する荷重は、0.1〜2Nの範囲であった。この結果、ガラス板表面に傷が表れなかったものをA、ガラス板表面にすり傷が生じたものをB、ガラス板表面にクラックが生じたものをC、とそれぞれ評価し、A及びBは良好な耐傷性を有する、さらにAを特に耐傷性に優れるとした。
表1から明らかなように、融点が15〜55℃の範囲外である水溶性有機物(PEG400,PEG4000)を用いた場合は(比較例1,2)、ガラス板表面に傷が生じたのに対し、融点が15〜55℃の範囲内にある水溶性有機物を用いた場合は(実施例1〜3)、耐傷性を有することが分かった。
また、表1から明らかなように、表面粗さRaが35μmを超える場合は(比較例3)、ガラス板表面に傷が表れたのに対し、表面粗さRaが30μm以下の場合は(実施例4,5)、耐傷性を有することが分かった。
さらに、表2から明らかなように、水溶性有機物の含有量が0.1g/m2未満の場合は(比較例4)、ガラス板表面に傷が生じたのに対し、0.1g/m2以上の場合は(比較例5、実施例6〜10)、耐傷性を有することが分かった。
また、表1から明らかなように、表面粗さRaが35μmを超える場合は(比較例3)、ガラス板表面に傷が表れたのに対し、表面粗さRaが30μm以下の場合は(実施例4,5)、耐傷性を有することが分かった。
さらに、表2から明らかなように、水溶性有機物の含有量が0.1g/m2未満の場合は(比較例4)、ガラス板表面に傷が生じたのに対し、0.1g/m2以上の場合は(比較例5、実施例6〜10)、耐傷性を有することが分かった。
また、表3から明らかなように、接触角が5°未満の場合は(比較例6)、ガラス板表面に傷が生じていたのに対し、接触角が5°以上の場合は(比較例7、実施例11,12)、耐傷性を有することが分かった。なお、転写される前のガラス板サンプルの接触角を測定したところ、3°未満であったことから、実施例及び比較例のいずれのガラス板サンプルにも、3°を超える接触角が確認されたことで、水溶性有機物が転写されていたことが分かる。
また、シート本体としてパルプ紙、再生紙、樹脂シートを用いた場合は(実施例13〜15)、共に、耐傷性に優れることが分かった。
また、シート本体としてパルプ紙、再生紙、樹脂シートを用いた場合は(実施例13〜15)、共に、耐傷性に優れることが分かった。
(洗浄性の評価)
水溶性有機物が転写されたガラス板に対し洗浄を行った後、接触角の測定を行うことにより、洗浄性を評価した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、接触角が3.0°未満だった場合をA、接触角が3.0〜3.5°だった場合をB、接触角が3.5°を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に洗浄性が良好とした。
水溶性有機物が転写されたガラス板に対し洗浄を行った後、接触角の測定を行うことにより、洗浄性を評価した。なお、洗浄は、50℃の水で2分間、50℃のアルカリ洗剤で2分間、さらに50℃の水で2分間ガラス板を濯ぐことにより行った。この結果、接触角が3.0°未満だった場合をA、接触角が3.0〜3.5°だった場合をB、接触角が3.5°を超えた場合をC、とそれぞれ評価し、A及びBの場合に洗浄性が良好とした。
表1から明らかなように、PEGの分子量が4000を超える場合は(実施例2)、洗浄性が良くなかったのに対し、PEGの分子量が2000以下の場合は(比較例1,実施例1〜3)、洗浄性が良好であることが分かった。
表2から明らかなように、水溶性有機物の含有量が20g/m2を超える場合は(比較例5)、洗浄性が良くなかったのに対し、20g/m2以下の場合は(比較例4,実施例6〜10)、洗浄性が良好であることが分かった。
また、接触角が11°を超えるも場合は(比較例7)、洗浄性が良くなかったのに対し、接触角が11°以下である場合は(比較例6,実施例11,12)、洗浄性が良好であることが分かった。
さらに、表3から明らかなように、シート本体としてパルプ紙、再生紙、樹脂シートを用いた場合は(実施例13〜15)、共に、洗浄性に優れることが分かった。
表2から明らかなように、水溶性有機物の含有量が20g/m2を超える場合は(比較例5)、洗浄性が良くなかったのに対し、20g/m2以下の場合は(比較例4,実施例6〜10)、洗浄性が良好であることが分かった。
また、接触角が11°を超えるも場合は(比較例7)、洗浄性が良くなかったのに対し、接触角が11°以下である場合は(比較例6,実施例11,12)、洗浄性が良好であることが分かった。
さらに、表3から明らかなように、シート本体としてパルプ紙、再生紙、樹脂シートを用いた場合は(実施例13〜15)、共に、洗浄性に優れることが分かった。
以上、本発明のガラス板積層体及びガラス板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明は、フラットパネルディスプレイ用ガラス板だけでなく、携帯機器のディスプレイを保護するカバーガラス、携帯機器の筐体用ガラス板、磁気ディスク用ガラス板などにも適用することが可能である。
1 挿入シート
3 シート本体
5 水溶性有機物
10 ガラス板積層体
20 ガラス板
3 シート本体
5 水溶性有機物
10 ガラス板積層体
20 ガラス板
Claims (6)
- ガラス板と、前記ガラス板に重ねて配される挿入シートと、備え、
前記挿入シートは、シート本体と、前記シート本体の少なくとも表面に保持される水溶性有機物とを有し、
前記水溶性有機物は、融点が15〜55℃であることを特徴とするガラス板積層体。 - 前記水溶性有機物を、前記シート本体の少なくとも一方において、0.1〜20g/m2含有する、請求項1に記載のガラス板積層体。
- 前記水溶性有機物は、前記ガラス板に接触後24時間以内に、20℃の純水による前記ガラス板表面の接触角を5〜10°とするものである、請求項1又は2に記載のガラス板積層体。
- 前記水溶性有機物は、前記ガラス板に接触後、さらに前記ガラス板を水又はアルカリ洗浄した後、前記ガラス板表面の接触角を3.5°以下とするものである、請求項3に記載のガラス板積層体。
- 前記シート本体の少なくとも一方の表面の表面粗さRa(JIS B0601)が30μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板積層体から前記ガラス板を取り出す工程と、取り出した前記ガラス板を水又はアルカリ洗浄する工程と、を備え、
洗浄工程後の前記ガラス板表面の接触角を3.5°以下とする、ことを特徴とするガラス板の製造方法。
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JP2014111365A (ja) * | 2012-11-09 | 2014-06-19 | Nippon Electric Glass Co Ltd | ガラスフィルム積層体及び電子・電気デバイスの製造方法 |
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