JPWO2007089016A1 - 安定化フルオロポリマー製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この方法には、中間体のフッ素化の際にも−COFが副生する問題、また、−CH2OH、−COOCH3等の有機アミン又は第三級アルコールとの反応性の低い末端基を有する共重合体の場合、中間体とならずに未反応の末端基が残る問題があった。
また、フッ素化が困難な末端基を有する共重合体の場合には、有効な酸化処理がなされることなく未反応の末端基が残るため、安定化が不充分となる問題があった。
A ハロゲン化剤を作用させる工程
B 分解処理剤を作用させる工程
C フッ素化剤を作用させる工程
上記安定化処理は、下記工程P及びQを含むことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法である(以下、該発明を、「安定化フルオロポリマー製造方法(2)」と称することがある。)。
P 上記不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、上記定義と同じ。Zは、H、NR1R2R3R4又はアルカリ金属元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)であるフルオロポリマーを得る工程
Q フッ素化剤を作用させることにより上記−CFTCOOZを−CF2T(T及びZは、上記定義と同じ。)に変換する工程
本発明は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光学機能材料である。
本発明は、コア部とクラッド部からなる光導波路であって、上記コア部及び上記クラッド部の少なくとも一方は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光導波路である。
本発明は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする反射防止膜材料である。
本発明は、フルオロポリマーを用いて形成してなる射出成形体であって、該フルオロポリマーは、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーであることを特徴とする射出成形体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、本発明の「安定化フルオロポリマー製造方法」は、(1)又は(2)を付す等他の記載をしなければ、安定化フルオロポリマー製造方法(1)と安定化フルオロポリマー製造方法(2)とを含む概念である。
上記処理は、上記不安定末端基を安定化する処理であり、本明細書において、「不安定末端基安定化処理」、ないし、略して「安定化処理」ということがある。
上記フッ素含有モノマーとしては、フッ素原子を含有する重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、フルオロオレフィン、フッ素化アルキルビニルエーテル、環式のフッ素化された単量体等が挙げられる。
上記フッ素化アルキルビニルエーテルとしては、特に限定されず、例えば、下記一般式
CF2=CF−O−Rf1
(式中、Rf1は、炭素数1〜9のフルオロアルキル基又は炭素数1〜9のフルオロポリエーテル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテル、下記一般式
CHY1=CF−O−Rf2
(式中、Y1は、H又はFを表し、Rf2は、炭素数1〜9のエーテル性酸素を有していてもよい直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表される水素含有フッ素化アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
上記被処理フルオロポリマーは、上記フッ素化アルキルビニルエーテルを1種又は2種以上共重合したものであってもよい。
上記エチレン性フルオロモノマーは、エーテル性酸素〔−O−〕を有さず、ビニル基を有するフルオロモノマーであって、上記ビニル基は、フッ素原子により水素原子の一部又は全部が置換されていてもよいものである。
本明細書において、「エーテル性酸素」とは、モノマー分子を構成する−O−構造を意味する。
CF2=CF−Rf3
(式中、Rf3は、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表されるハロエチレン性フルオロモノマー、下記一般式
CHY2=CFY3
(式中、Y2は、H又はFを表し、Y3は、H、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表される水素含有フルオロエチレン性フルオロモノマー等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、CF2=CF2、CH2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CFH、CH2=CFH、及び、CF2=CFCF3で表されるエチレン性フルオロモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、なかでも、パーハロエチレン性フルオロモノマーがより好ましく、パーフルオロエチレン性フルオロモノマーが更に好ましく、TFEが特に好ましい。
上記被処理フルオロポリマーは、上記エチレン性フルオロモノマーを1種又は2種以上共重合したものであってもよい。
上記TFE系共重合体は、パーフルオロエラストマーであることが好ましい。
上記エチレン性フルオロモノマーと共重合可能なモノマーとしては、フッ素化アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマー単位は、より好ましい下限が65モル%、更に好ましい下限が70モル%、より好ましい上限が90モル%、更に好ましい上限が87モル%である。
上記フッ素化アルキルビニルエーテル単位は、より好ましい上限が20モル%、更に好ましい上限が10モル%である。
上記フッ素化アルキルビニルエーテル単位、エチレン性フルオロモノマー単位等のモノマー単位とは、上記被処理フルオロポリマーの分子構造上の一部分であって、モノマーの分子構造に由来する部分を意味する。例えば、TFE単位は、TFE〔CF2=CF2〕に由来する部分〔−CF2−CF2−〕を意味する。
上記被処理フルオロポリマーは、−SO2X(Xは、上記定義と同じ。)含有モノマー単位を有しないものなので、フッ素化対象物中の含水量に関わりなく効率良くフッ素化することが可能である。
上記不安定末端基としては、例えば、下記式(1)〜(7)で表される各基等が挙げられる。
(1)−CFTR5(OH)n1
(2)−CFT−(R6)n2−OR7
(3)−CFT−(R8)n3−COR9
(4)−CFT−(R10)n4−OCOOR11
(5)−CFTCONR12R13
(6)−CFTCOOR14
(7)−CFTR15
(式中、Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、R5は、水素原子の一部又は全部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R6、R8及びR10は、水素原子の一部又は全部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R7、R9、R11、R12、R13及びR14は、水素原子の全部でなく一部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し(但し、上記(5)においてR12及びR13は、同一又は異なる。)、R15は、H又は水素原子の全部でなく一部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、n1は、1〜3の整数を表し、n2、n3及びn4は、0又は1の整数を表す。上記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素を含んでもよい。Xは、上記定義と同じ。)
上記Tとしてのパーフルオロアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、上記Tとしてのパーフルオロアルコキシル基は、炭素数1〜15であることが好ましい。
上記R5としての炭化水素基は、非環式脂肪族炭化水素基であってもよいし、脂環式炭化水素基であってもよいし、フェニル基等の芳香族炭化水素基であってもよい。
上記不安定末端基としては、例えば、−CF2CO2CH3、−CF2CH2OH、−CF2CONH2等が挙げられる。
上記不安定末端基及び不安定なその他の末端基としては、特に限定されないが、例えば、被処理フルオロポリマーを得るための重合反応において添加する重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は重合停止剤に由来する基(i);一分子停止反応(ビニルエーテルのβ−開裂等)により生じる基(ii);本発明における処理を施す前にこれらの末端基が周囲の環境中に存在し得る水、アルコール、アミン等により更に変化したもの(iii)であってもよい。
上述の重合時に一旦生じた末端基が周囲の媒体により更に変化した末端基(iii)としては、例えば、上記−CF2COFが共存し得る水によりカルボキシル基に変化したもの(−CF2CO2H等)、上記−CF2COFが共存し得るアルコールによりエステル結合を形成することとなったもの(−CF2CO2CH3、−CF2CO2C2H5等)、アミン若しくはアンモニアを用いた場合に上記−CF2COFがアミド結合に変化したもの(−CF2CO2NH2、−CF2CO2N(CH3)2等)等が挙げられる。
該更に変化した基(iii)のうち、本発明における不安定末端基としては、上述の(5)又は(6)の末端基が相当し得る。
また、上記不安定末端基が、(2)、(4)及び(7)よりなる群から選択される式で表される基である場合、後述の工程Aにおいて酸素等の酸化性ガスを共存させる方法が効果的である。
該複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体は、不安定末端基を有する被処理フルオロポリマー分子と、不安定末端基を有しない被処理フルオロポリマー分子との集合体であってもよい。
上記不安定末端基は、該複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体において、少なくとも1個存在すればよいのであるが、通常、複数個が存在する。
該複数個の不安定末端基は、上記複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体において、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。該2種類以上の不安定末端基は、被処理フルオロポリマー分子1個あたり2種類以上であってもよいし、被処理フルオロポリマー分子により不安定末端基の種類が一部又は全部異なっていてもよい。
上記複数個の不安定末端基は、本発明における処理の過程において、該複数個が全て同一種類の基に変換してもよいし、該複数個のうち基により異なる種類の基に変換してもよいし、該複数個のうち一部に未変換の基を含むこととなってもよい。
上記被処理フルオロポリマーは、樹脂粉末状、ペレット状、成形して得た膜状の何れであってもよい。上記被処理フルオロポリマーは、後述の各工程を充分に行う点では、樹脂粉末状であることが望ましいが、取り扱い性の点では工業上はペレット状であることが望ましい。
A ハロゲン化剤を作用させる工程
B 分解処理剤を作用させる工程
C フッ素化剤を作用させる工程
上記ハロゲン化剤としては、好ましくは、F2、NF3、SF4、PF5、IF5、IF7、Br2、BrF3、BrF5、AgF2、CoF3、K3NiF7、Cl2、SCl2、SCl4、PCl3、POCl3、PCl5、ClF及びClF3よりなる群から選択される少なくとも1種である。
上記ハロゲン化剤は、取り扱いが容易であることからF2又はSF4であることがより好ましい。
また、必要に応じて酸素等の酸化性ガスと混合して使用することができる。
上記ハロゲン化剤は、ガス状化合物である場合、窒素等の不活性ガスで5〜95質量%に希釈して使用することができる。
上記温度は、より好ましい下限が20℃、更に好ましい下限が50℃であり、より好ましい上限が140℃、更に好ましい上限が130℃である。
工程Aは、使用するハロゲン化剤、被処理フルオロポリマーの種類等に応じて異なるが、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限が、−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
上記易分解性末端基としては、例えば、−CFTCOX1(Tは、上記定義と同じ。X1は、F又はClを表す。)、−CFTCOORx(Tは、上記定義と同じ。Rxは、ハロゲン化アルキル基を表す。)等が挙げられる。
上記Rxにおけるハロゲン元素数は、一般に、上述のR14が有するハロゲン元素数よりも多い。
上記易分解性末端基としては、上記−CFTCOX1及び上記−CFTCOORx(各式において、T、X1及びRxは、上記定義と同じ。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記−CFTCOX1としては、−CFTCOFが好ましく、上記−CFTCOORxとしては、Rxが炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基であるものが好ましく、Rxが炭素数1〜3のパーハロアルキル基であるものがより好ましく、−CFTCOOCX1 3等が更に好ましく、−CFTCOOCF3が特に好ましい(各式において、T、X1及びRxは、上記定義と同じ。)。
上記分解処理剤は、水であることが好ましい。上記分解処理剤は、液状分解処理剤及びガス状分解処理剤のいずれであってもよいが、好ましくはガス状分解処理剤である。上記分解処理剤として水を使用する場合、易分解性末端基は水に対して非常に反応性が大きいので、湿った空気と接触させるだけで易フッ素化性末端基に変換できることもあり、工程が簡便になり得る。
上記工程Bにおける分解処理剤の使用量は、使用する分解処理剤の種類に応じて適宜選択することができるが、液状分解処理剤を使用する場合、工程Aを経た被処理フルオロポリマー100質量部に対し1〜10000質量部である。
上記工程Bは、0〜180℃の温度下に行うことが好ましい。上記温度は、より好ましい下限が20℃、更に好ましい下限が50℃であり、より好ましい上限が140℃、更に好ましい上限が130℃である。
上記工程Bは、ガス状分解処理剤を使用する場合、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限が−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
上記易フッ素化性末端基は、通常、易分解性末端基よりも容易にフッ素化されるので、易分解性末端基を易フッ素化性末端基に一旦変換してからフッ素化剤を作用させることにより、結果として、末端基における処理後のフッ素化率を高くすることができる。
上記易フッ素化性末端基としては、−CFTCOOZ(Tは、上記定義と同じ。Zは、H、NR1R2R3R4又はアルカリ金属元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)等が挙げられる。該−CFTCOOZは、工程Cにおいて容易に−CF2T(Tは、上記定義と同じ。)に変換することができる。
上記Zは、一般に、反応媒体に上記NR1R2R3R4、アルカリ金属元素等が存在する場合、該存在するNR1R2R3R4、アルカリ金属元素等に影響されるが、工程Cにおけるフッ素化の効率の点で、Hが好ましい。
上記工程Bは、工程Cにおけるフッ素化が容易である点で、上述の分解処理剤を作用させることにより上記易分解性末端基を上記−CFTCOOZ(T及びZは、それぞれ上記定義と同じ。)に変換する工程B1であることが好ましい。
上記フッ素化剤としては、ガス状フッ素化剤であることが好ましい。
上記ガス状フッ素化剤は、上記フッ素源と、フッ素化に不活性な気体とからなるものである。
上記フッ素化に不活性な気体としては特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
上記フッ素源は、ガス状フッ素化剤である場合、上記ガス状フッ素化剤の1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、上記範囲内であれば、50質量%以下であってもよい。
上記工程Cは、ガス状分解処理剤を使用する場合、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限がゲージ圧−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
上記温度は、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、また、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
フッ素化剤の作用を該範囲内の温度で行うことにより、−CF2Tへの変換率を高く維持しながら、炭素−炭素二重結合の形成、主鎖切断等の被処理フルオロポリマーの損傷を抑制することができる。
また、上記フッ素化処理において用いられる装置は、棚段型反応器、筒型反応器等の静置式反応器;攪拌翼を備えた反応器;ロータリーキルン、Wコーン型反応器、V型ブレンダー等の容器回転(転倒)式反応器;振動式反応器;攪拌流動床等の種々の流動床反応器;等から適宜選択される。また、処理対象物が、樹脂粉末状、ペレット状の場合には、容器回転式反応器又は振動式反応器にてフッ素化処理を行うことが、反応温度を均質に保ちやすい点で好ましい。
上記被処理フルオロポリマーは、上述の通り、−SO2X(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有さないものである。
P 不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、Zは、H、NR1R2R3R4又はアルカリ金属元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素を含んでもよい。)であるフルオロポリマーを得る工程
Q フッ素化剤を作用させることにより上記−CFTCOOZを−CF2T(T及びZは、上記定義と同じ。)に変換する工程
上記工程Pは、上述の不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZであるフルオロポリマーを得ることができる操作であれば何れの操作を行うものであってもよく、例えば、上述の工程A及び工程Bを行ってもよいし、被処理フルオロポリマーに酸化剤を接触させた後、生成した−CFTCOFを水等で加水分解してもよい。上記酸化剤としては、オゾン等が挙げられ、上記オゾンとしては、水蒸気を伴うものであってもよい。また、被処理フルオロポリマーを200〜300℃の高温で処理した後、生成した−CFTCOFを水等で加水分解する方法等がある。ここで、被処理フルオロポリマーを200〜300℃の高温で処理する場合に、0.02MPa以下の真空で処理してもよく、処理時間としては、例えば、0.1時間以上処理することができる。
上記工程Pとしては、上述の工程A及び工程Bを行うことが好ましい。
上記フッ素化剤は、上述の工程Cと同様に希釈して使用することが好ましい。
上記工程Qにおける反応条件は、使用するフッ素化剤、被処理フルオロポリマーの種類等に応じて異なり、特に限定されないが、−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。
上記工程Qは、工程Pを経たフルオロポリマーについて行うものなので、0〜180℃の温度下に行うことが可能である。
上記温度は、好ましい下限が20℃、より好ましい下限が50℃であり、好ましい上限が140℃、より好ましい上限が130℃である。
従来、該変換は、不安定末端基を基本的に1つの処理操作により直接フッ素化することにより行われてきたが、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)は、被処理フルオロポリマー中の不安定末端基を易フッ素化性末端基に高い変換率で一旦変換し、該易フッ素化性末端基にフッ素化剤を作用させることにより、上記不安定末端基の−CF2Tへの変換率(−CF2T化率)を極めて高くすることができたものである。該−CF2T化率の向上は、また、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(2)により、工程Pにおいて不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(T及びZは、上記定義と同じ。)であるフルオロポリマーを得ることによっても達成することができる。
上記不安定末端基から易フッ素化性末端基への変換率は、好ましくは工程A又は工程Pを上述の温度範囲内で行うことにより、更に高めることができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法を行った場合、被処理フルオロポリマー中の不安定末端基の−CF2T化率を、一般に90%以上、好ましくは95%以上とすることができる。
本発明の意義は、上記問題に対し、上述の不安定末端基を有するフルオロポリマーを温和な条件下で充分に安定化する点にある。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法では、被処理フルオロポリマーが、上記(1)〜(7)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不安定末端基を有する場合であっても、ハロゲン化剤で処理することにより−CFTCOX1又は−CFTCOORx(各式において、T、X1及びRxは上記定義と同じ。)に変換したのち更に分解処理剤を作用させて−CFTCOOZに変換した後、又は、不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(T及びZは、上記定義と同じ。)であるフルオロポリマーに変換した後、フッ素化剤を作用させて安定化処理するので、温和な条件下において効率よく安定化処理することができる。
本発明において、該フルオロポリマーの損傷は、好ましくはハロゲン化剤又はフッ素化剤を作用させる温度を上述の範囲内に抑えることにより充分に防止することができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、例えば被処理フルオロポリマーがPFAである場合、MFRが好ましくは0.1〜200(g/10分)、より好ましくは1〜80(g/10分)である安定化フルオロポリマーを得ることができるものである。
本明細書において、上記MFRは、ASTM D 3307に準拠して、温度372℃、荷重5kgの条件下で測定して得られた値である。
上記安定化フルオロポリマーは、例えば、電子写真機、プリンター、コピー機等の定着ロールにおける被覆材として使用することができる。
上記チューブ状成形体は、特に、化学工業、半導体製造、自動車、情報機器等の分野において有用である。
更に、芯線と、該芯線を被覆する被覆材とを含む被覆電線であって、上記被覆材は、上記製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成することを特徴とする被覆電線もまた、本発明の1つである。
上記被覆電線を構成する芯線としては、特に限定されず、銅線等、従来公知のものを使用することができる。
本発明の光学機能材料において、安定化フルオロポリマーは、TFEとパーフルオロ−1,3−ジオキソール誘導体とからなる共重合体であることが好ましい。
光導波路素子の形式は、平面型、ストリップ型、リッジ型、埋込み型等の用途に応じた形式を適宜とることができる。
上記コア部とは基板上に形成させた屈折率が高い回路をいい、上記クラッド部とは該コア部周囲に形成させた屈折率が低い部分をいうが、上記安定化フルオロポリマーは一般に屈折率が低いので、本発明の光導波路において少なくともコア部を形成することが好ましい。
本発明の光導波路は、エッチング法、フォトブリーチング法、射出成型法等、公知の方法にて作成することができる。
本発明の光導波路は、コア部及びクラッド部の少なくとも一方が上述の安定化フルオロポリマーから形成されたものであるので、上記光伝播速度が高い。
上記レンズ用材料としては、ピックアップレンズ、めがね用レンズ、カメラ用レンズ、プロジェクター用フレネルレンズ、コンタクトレンズ等が挙げられる。
また、光ディスク基板等に用いることもできる。
上記反射防止膜材料とは、一般に、反射防止フィルムを構成する反射防止層の材料である。該反射防止フィルムとは、液晶ディスプレイ表面における画面のコントラスト低下を防止する目的でディスプレイ表面上に形成させるフィルムをいい、ディスプレイ表面上から順にプラスチック基材、アクリル系ハードコート層、反射防止層及び防汚コート層の全て若しくは一部を形成してなるものである。反射防止膜材料としては、一般に、画面の反射率を低減させる点で屈折率が低いものが好ましいが、本発明の製造方法を用いて得られる安定化フルオロポリマーは屈折率が低く且つ透明性が高いので、反射防止膜材料として従来の有機材料より優れている。
本発明の射出成形体を形成する際に行う射出成形は、公知の方法にて行うことができ、特に限定されないが、安定化フルオロポリマーがPFAである場合320〜420℃の成形温度下で行うことが好ましい。
上記射出成形品は、例えば、各種ハウジング、継手、ボトル等として好ましく使用することができる。
上記製造方法は、温和な反応条件下で行うことができるので、使用する装置や材料について制限が緩和することができ、また、該装置や材料の腐食が少ないので、腐食物によるフルオロポリマーの汚染を低減することが可能である。更に、上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、温和な反応条件下で安定化したものであるので分解されておらず、各種物性に優れている。上記安定化フルオロポリマーは、特に、半導体業界の材料、光学機能材料、被覆電線、光導波路、反射防止膜材料、射出成形品等として有用である。
なお、フルオロポリマーのMFR及び融点は、以下の方法で測定した値である。
1.MFR
ASTM D 3307に準拠し測定した。具体的には、メルトインデクサーSeries4000(安田精機製作所製)を測定温度372℃に設定し、質量6.0〜6.5gの試料を投入し、予熱時間5分経過後、荷重5kgにて溶融ストランドを押し出した。溶融ストランドは、一定時間(約5〜30秒)毎に切断し、採取した。採取した溶融ストランド試料は充分冷却し、次式に従ってMFR(単位:g/10分)を算出した。
MFR=(M×600)/T
(式中、Mは採取した試料の質量(単位:g)を、Tは、試料を採取した時間(単位:秒)を表す。)
2.融点
ASTM D 4591に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量測定装置RDC220(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、質量約3mgの試料を、窒素気流中200℃より昇温速度10℃/分にて350℃まで昇温し、得られた吸熱曲線の変曲点から融点を求めた。
1.工程A
300ml容量のステンレス製オートクレーブに、テトラフルオロエチレン〔TFE〕94.3質量%及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕5.7質量%含むフルオロポリマー(MFR:12.5(g/10分)、融点:303℃)のペレットを50g仕込んだ。該オートクレーブを密封の上、気密試験を実施後、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧した後、窒素ガスで常圧に戻す操作を10回繰り返した。続いて、オイルバスにて加熱し、内温180℃に達したことを確認後、再度真空引きし、フッ素ガス(純度99.7質量%)を窒素で20質量%(15.4容積%)に希釈して調製したガスを、ゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入して反応を開始させた。反応開始より1.5時間後に真空引きを行い、速やかにゲージ圧が0.01MPaとなるまでフッ素ガスを導入することで、オートクレーブ内に反応に充分なフッ素ガスを供給した。
反応開始後3時間が経過したところで、速やかに真空引きを行い、窒素ガスをゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入し、冷却した。60℃以下まで冷却したところで、フッ素化ポリマーのサンプルを約50g回収した。
上記工程を別途2回行い、合計約150gのフッ素化ポリマーのサンプル(以下、本サンプルを「サンプル1」という。)を得た。
2.工程B
上記で得られたサンプル1(約150g)を滅菌器(装置名:IST−50型、千代田製作所社製)にて121℃、ゲージ圧0.1MPaの条件下にある水蒸気に6時間接触させた後、室温まで放冷し、サンプル2を得た。
3.工程C
30ml容量の小型管型反応器に上記で得られたサンプル2を20g充填し、まず、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧し、窒素ガスで常圧に戻してから、50ml/分の流速で窒素ガスを10分間流通した後、エアーバス内で180℃まで昇温した。温度安定後、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスを42ml/分にて3時間流通した。反応終了後直ちに真空ポンプにて反応器内を真空引き後、窒素ガスにて常圧まで戻し、次いで窒素ガスを50ml/分にて流通させた。10分間流通後、エアーバスの熱源を止め、室温まで冷却した。反応管から、安定化フルオロポリマーを取り出し、サンプル3とした。
工程Aの反応時間を15時間とし、工程B及び工程Cを行わない以外は実施例1と同様にフルオロポリマーの処理を行い、サンプル4を得た。
なお、工程Aの反応中、1.5時間毎に真空引きを行い、速やかにゲージ圧で0.01MPaまでフッ素ガスを導入することで、オートクレーブ内に反応に充分なフッ素ガスを供給した。
比較例2
工程Aの反応温度を200℃、反応時間を9時間とする以外、比較例1と同様にフルオロポリマーの処理を行い、サンプル5を得た。
分析方法
得られた各サンプルのペレットをカッターナイフにて半分に切断し、油圧プレスにて圧延し、厚さ0.25〜0.30mm程度のフィルムを得た。
得られたフィルムは、フーリエ変換式赤外吸光分光法にて波数400〜4000cm−1の範囲で分析した。もはやスペクトルに実質的差異がみられなくなるまで充分にフッ素化した標準サンプルとの差スペクトルを取得し、各不安定な末端基に帰属される波数での吸光度を読み取り、次式に従って炭素数106個あたりの不安定な末端基の個数を算出した。
炭素数106個あたりの末端基の個数 = I×K/t
(上記式において、Iは上記吸光度、Kは表1に示す補正係数、tは測定に供したフィルムの厚さ(単位:mm)である。)
なお、−CF2COOHについては、表1に示した2つの−CF2COOHを示す波数につき上式から算出した値の和を炭素数106個あたりの−CF2COOH末端基の個数とした。
また、この算式で炭素数106個あたりの末端基の個数が1未満となった場合、本測定法において測定限界以下とするが、不安定な末端基の存在そのものを否定する訳ではない。
各測定結果を表2に示す。
水蒸気処理を施したサンプル2では、炭素数106あたり80個ある−CF2COFの殆ど(約98%以上)が−CF2COOHに変化していることがわかった。
更に、180℃でフッ素化したサンプル3では、不安定な末端基は測定限界以下となったことが判明した。
すなわち、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法を用いることにより、フッ素化反応時間が従来の半分以下で済むことが明らかとなった。
また、フッ素化を200℃程度の高温で行い工程Bと工程Cとを行わない方法を大規模の反応器において行う場合、反応器内の温度分布が広くなるので、より長い反応時間、より高い反応温度、より高いフッ素濃度を必要とせざるを得ず、上記の様々な影響が更に顕著なものとなる。以上の点で、フッ素化を高温で行い、工程Bと工程Cとを行わない方法は工業的に有用な手法とはいい難い。
工程Aの反応温度を160℃、反応時間を6.5時間、工程Cの反応温度160℃、反応時間を3時間とする以外は、実施例1と同様にしてフルオロポリマーの処理を行った。
このとき、工程Aで得られたポリマーをサンプル6、引き続き行う工程Bで得られたポリマーをサンプル7、更に引き続き行う工程Cで得られたポリマーをサンプル8とした。
工程Bの水蒸気処理を行わない以外、実施例2と同様にフルオロポリマーを処理し、サンプル9を得た。
工程Aの反応時間を20時間とし、工程B及び工程Cを行わない以外は実施例2と同様にフルオロポリマーを処理し、サンプル10を得た。
ところが、工程Bの水蒸気処理及び工程Cのフッ素化剤処理を行わず工程Aのみ行う比較例4では、不安定な末端基を測定限界以下とするのに20時間ものフッ素化反応時間を要した。すなわち、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、工程Aの反応温度を160℃と比較的低温にしても、フッ素化時間が従来の半分以下で済むことが明らかとなった。
また、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法では、実施例1及び実施例2に示されたように、工程Bを経て工程Cを行うことにより不安定な末端基を削減することができたのに対し、工程Bを行わない比較例3では、工程A次いで工程C終了後のフルオロポリマー(サンプル9)において−CF2COFが炭素数106あたり53個残っていることから、工程Bの水蒸気処理の効果が明確である。
したがって、上記実施例記載の製造方法は、優れた物性を保持したフルオロポリマーの安定化方法として有用である。
実施例1において、下記の点以外すべて同様にして実施した。被処理フルオロポリマーとして、TFE96.0質量%及びPAVE4.0質量%含むフルオロポリマー(MFR:25(g/10分)、融点:310℃)の粉体を用いた。
工程Aでは、ハロゲン化剤として、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスの代わりにSF4(純度94質量%)を用い、温度120℃で4時間反応させ、サンプル11を得た。工程Bでは、サンプル量を50gとして処理し、サンプル12を得た。工程Cでは、反応温度140℃、反応時間5時間としてサンプル13を得た。更に、各サンプルについて上述の試験を行った。
SF4を用いることで、反応性の高いフッ素ガスを用いなくても、温和な条件で速やかに−CF2COOHを−CF2COFに変換可能であることが判明した。
1.工程P
300ml容量のステンレス製オートクレーブに、TFE96.5質量%及びPAVE3.5質量%含むフルオロポリマー(MFR:12.5(g/10分)、融点:303℃)のペレットを50g仕込んだ。オイルバスにて加熱し、内温100℃に達したことを確認後、エコデザイン株式会社製、ED−OG−R4型オゾン発生器より10g/時間にて流通させて水蒸気で湿潤させたオゾンを供給した。15時間処理後、速やかに真空引きし、窒素ガスをゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入し、冷却した。60℃以下まで冷却したところで、処理済みポリマーのサンプルを約50g回収し、サンプル14とした。
30ml容量の小型管型反応器に上記サンプル14を20g充填し、まず、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧し、窒素ガスで常圧に戻してから、50ml/分の流速で窒素ガスを10分間流通した後、エアーバス内で160℃まで昇温した。温度安定後、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスを42ml/分にて3時間流通した。反応終了後直ちに真空ポンプにて反応器内を真空引き後、窒素ガスにて常圧まで戻し、次いで窒素ガスを50ml/分にて流通させた。10分間流通後、エアーバスの熱源を止め、室温まで冷却した。反応管から、処理済みフルオロポリマーを取り出し、サンプル15とした。
オゾン処理により、不安定な末端基の99%以上が−CF2COOH基であるフルオロポリマーに変換できることが判明した。また、該処理により得られたフルオロポリマーは、その他の実施例同様に温和な条件で安定化フルオロポリマーが得られることが判明した。
上記製造方法は、温和な反応条件下で行うことができるので、使用する装置や材料について制限が緩和することができ、また、該装置や材料の腐食が少ないので、腐食物によるフルオロポリマーの汚染を低減することが可能である。更に、上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、温和な反応条件下で安定化したものであるので分解されておらず、各種物性に優れている。上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、特に、半導体業界の材料、光学機能材料、被覆電線、光導波路、反射防止膜材料、射出成形品等として有用である。
Claims (8)
- −SO2X(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有しない被処理フルオロポリマーに下記工程A、工程B及び工程Cをこの順に行う処理を施すことよりなる
ことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法。
A ハロゲン化剤を作用させる工程
B 分解処理剤を作用させる工程
C フッ素化剤を作用させる工程 - 工程Aは、ハロゲン化剤を作用させることにより不安定末端基を易分解性末端基に変換する工程A1であり、
工程Bは、分解処理剤を作用させることにより前記易分解性末端基を−CFTCOOZ(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、Zは、H、NR1R2R3R4又はアルカリ金属元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素〔−O−〕を含んでもよい。)に変換する工程B1であり、
工程Cは、フッ素化剤を作用させることにより前記−CFTCOOZを−CF2T(T及びZは、前記定義と同じ。)に変換する工程C1である
請求項1記載の安定化フルオロポリマー製造方法。 - 易分解性末端基は、−CFTCOX1(Tは、前記定義と同じ。X1は、F又はClを表す。)及び−CFTCOORx(Tは、前記定義と同じ。Rxは、ハロゲン化アルキル基を表す。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
- ハロゲン化剤は、F2、NF3、SF4、PF5、IF5、IF7、Br2、BrF3、BrF5、AgF2、CoF3、K3NiF7、Cl2、SCl2、SCl4、PCl3、POCl3、PCl5、ClF及びClF3よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
- ハロゲン化剤を作用させることは、0〜180℃にて行う請求項1〜4の何れかに記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
- 分解処理剤は、水、フルオロアルコール若しくはこれらを含む混合物からなる液状分解処理剤又はガス状分解処理剤である請求項1〜5の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
- −SO2X(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有さない被処理フルオロポリマーに安定化処理(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表す。前記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素〔−O−〕を含んでもよい。)を行うことよりなる安定化フルオロポリマー製造方法であって、
前記安定化処理は、下記工程P及びQを含む
ことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法。
P 不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、前記定義と同じ。Zは、H、NR1R2R3R4又はアルカリ金属元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)であるフルオロポリマーを得る工程
Q フッ素化剤を作用させることにより前記−CFTCOOZを−CF2T(T及びZは、前記定義と同じ。)に変換する工程 - フッ素化剤は、F2、NF3、SF4、PF5、IF5、IF7、BrF3、BrF5、ClF、ClF3、AgF2、CoF3及びK3NiF7よりなる群から選択される少なくとも1種のフッ素源からなるフッ素化剤である請求項1〜7の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
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