JPWO2005124182A1 - 電動ブレーキ - Google Patents
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Abstract
Description
なお、列車の場合には一般に、左右輪が1本の車軸によりつながれているため、左右輪における制動力差はそれほど問題にはならない。
一般にディスクブレーキにおいては、ブレーキパッドがディスクロータを押圧する力(=ピストン推力)により、車輪の制動力が決定される。したがって、自動車の左右輪に発生する制動力差を小さくするためには、ピストン推力を高精度に制御する必要がある。ピストン推力の制御の方式としては、現在次の3通りの方式が一般に考えられている。
第1の方式はピストン推力を測定する推力センサを電動ブレーキに装備し、ピストン推力のフィードバック制御を行うものである。高分解能の推力センサを使用すれば理論的にはピストン推力の高精度な制御が可能となる。しかし、電動ブレーキには地面の凹凸に起因する振動が加えられるため、推力センサを装備する場合には信頼性が低下するだけでなく、高分解能を有する推力センサを用いれば、AD変換器の分解能も高くする必要があるためにコスト的にも不利となる。さらに、電動ブレーキの温度は、環境温度とブレーキパッドの温度により決定され一定ではないため、ひずみゲージ式の推力センサの場合にはセンサの温度ドリフトも問題となり、制御機構が複雑となる。
第2の方式は、モータに流れる電流とピストン推力の関係をあらかじめ求めておき、モータ電流−ピストン推力のグラフを参照することによって、要求されるピストン推力に対応する電流をモータに供給するものである。モータ電流とモータトルクの間には一定の関係があることから、この方式は容易なものに思われる。しかし、実際には、動力の伝達系における伝達効率が100%でないため、ピストン推力の増力時と減力時において、モータ電流とピストン推力の関係が一意とならないヒステリシスが生じる。動力伝達系の伝達効率は温度や摺動部の潤滑状態によって変化するために一定ではなく、モータ電流のみに基づいたピストン推力の制御は困難である。
第3の方式はモータ位置によって決定されるピストン位置とピストン推力の関係のグラフをあらかじめ求めておき、このグラフを参照することによって要求されるピストン推力に対応するモータ位置にモータを制御するものである。この方式ではブレーキパッドとディスクロータの接触位置に対応するモータ位置を求めた上で、システム全体の剛性を高精度に推定する必要がある。
上記第3の方式における課題に対する従来の技術として特開平11−513337号公報に示すものがある。この技術はディスクロータとブレーキパッドとの接触位置を検出するものである。各車輪のブレーキパッドの接触位置を高精度に検出することができれば、上記第3の制御方式を用いた場合に各車輪における制動力差を低減することができる。
特開平11−513337号公報で示されている第1の方法では、ブレーキパッドとディスクロータの間に隙間がある場合に、隙間を小さくする方向にモータをほぼ一定のトルクで加速し、ブレーキパッドが接触した瞬間に生じるモータ加速度の符号の逆転を検知することにより、接触位置を判断するようにしている。また、特開平11−513337号公報に示されている第2の方法では、接触ピンをブレーキパッド内に設けておき、この接触ピンがディスクロータに当接したときに接触ピンが電流回路を閉じることによって接触信号を発生させるようにしている。
以上により、電動ブレーキが複数の車輪に搭載された車両において、従来の技術を用いて各車輪の制動力差を低減するのは容易でない。
本発明は、ブレーキパッドとディスクロータの接触位置が高精度に検出されていなくても、自動車の左右輪における制動力差を低減し、自動車走行の安全性を確保できるための技術を提供することを目的としている。
本発明は、通常はモータの駆動量を制御することによりブレーキパッド位置が制御される電動ブレーキに対して、車両停車時に複数の電動ブレーキのモータ電流値に基づいて、モータの待機位置を更新する機能を付加したことを特徴とする。
本発明は、具体的には、モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量または前記ブレーキパッドの推力を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、後輪の圧輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前輪モータに流れる電流を検出する電流検出装置を設け、前記左右のモータに流れる電流値信号を入力し、入力した電流値に基づくピストンの推力信号を出力する処理演算を行う処理装置を設けた電動ブレーキを提供する。
本発明によればブレーキパッドとディスクロータの接触位置が高精度に検出されていなくても、自動車の左右輪における制動力差を低減し、自動車走行の安全性を確保できるための技術を提供することができる。
また、本発明によれば、非制動時に複数の電動ブレーキのモータ電流を比較してそろえることにより、複数の電動ブレーキによる制動力差を確実に低減することができる。また、上記の動作の結果得られたモータ基準位置を記憶し、上記動作を複数回繰り返すことにより、複数の電動ブレーキによる制動力を高精度に一致させることができる。
本発明の実施例は、モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量もしくは前記ブレーキパッドの推力を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、後輪の左輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置を設け、前記左右のモータに流れる電流値信号を入力し、それぞれの電流値をそろえ、そろえたことに基づくピストンの推力信号を出力する処理演算を行う処理装置を設けた電動ブレーキを構成する。
前記処理装置は、入力した前記左右のモータの電流差を求め、電流差を予め設定した値と比較することによって入力した電流値をそろえる処理を行うかを判定するようにすることができる。
前記処理装置は、前記推力信号を解除する操作を複数回繰り返したときの前記モータの基準位置を求めて記憶装置に記憶させ、複数回のモータの基準位置について統計処理をして設定基準位置を設けることができる。
前記制御装置は、前記推力信号を解除したときに、前記ディスクロータに対する前記ブレーキパッドの待機位置をほぼ同一位置になるように前記ブレーキパッドを駆動することができる。
また、本実施例は、モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、後輪の左輪および右輪もしくは/および前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置を備え、左右の前記ブレーキパッドは電流値の差に応じて駆動される電動ブレーキを構成する。
第2図は電動ブレーキ内部の構成要素説明する図である。
第3図は電動ブレーキキャリバ構成要素の概略を模式的に説明する図である。
第4図は本実施例を自動車の左右輪電動ブレーキに適用した場合のブレーキパッドとディスクロータとの位置関係を時間経過にしたがって模式的に説明する図である。
第5図は本実施例の一実施形態において、第1図の後輪コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
第1図において各構成要素の動作について説明する。第1図において、運転者がブレーキペダル10を踏むと、ブレーキペダルに加えられた踏力が踏力センサ9により測定される。測定された踏力データはメインコントローラ8に入力され、これに基づいて前後輪における適当な制動力配分が決定される。次に、メインコントローラ8から前輪コントローラ4および後輪コントローラ5に前輪の制動力と後輪の制動力の指令値が伝えられる。これらの指令値に基づいて前輪コントローラ4および後輪コントローラ5がそれぞれ前輪電動ブレーキ3および後輪電動ブレーキ7を動作させることにより、前輪2および後輪6の左右輪制動力を制御するしくみになっている。
電動ブレーキ内部の構成要素を後輪電動ブレーキ7を例に、第2図を用いて説明する。後輪の電動ブレーキは第2図に示されているように後輪コントローラ5によって制御されるモータドライバ12と、モータドライバ12による電流指令によって制御されるモータ13と、モータ13が発生した回転を減速するための減速機14と、回転運動を直動運動に変換するための回転−直動変換機構15と、回転−直動変換機構15の直動部分に固定されたピストン16と、ピストン16に取り付けられるブレーキパッド17と、ブレーキパッド17により押圧されるディスクロータ18により構成されている。また、モータ13、減速機14、回転−直動変換機構15、ピストン16により構成される部分が後輪アクチュエータ11である。なお、前輪電動ブレーキ3に関しては後輪電動ブレーキ7と同じ構成であるため、説明は省略する。また後輪の左輪および右輪並びに前輪の左輪および右輪の4つの車輪についての駆動制御についても考え方は同じであるので後輪電動ブレーキ7を例にとって説明を行うことにする。
第3図は電動ブレーキキャリパ全体の一般的な構成を説明する図である。上記後輪電動ブレーキ7の各構成要素の動作について第3図を用いて説明する。第2図に示されているモータ13は第3図に示すステータ20とロータ19から構成されており、回転角度を検出するためのレゾルバを有していることにする。第2図に示されているモータドライバ12からモータ13に電流指令が送られると、ロータ19に回転トルクが発生する。ロータ19に発生した回転トルクは減速機14に入力され、回転が減速されるとともに回転トルクが拡大される。減速機14によって拡大された回転トルクによって回転−直動変換機構15が駆動され、ピストン16が前進する。ピストン16に取り付けられているブレーキパッド17はピストン16とともに前進し、ディスクロータ18を押圧する。キャリパ21はフローティング支持になっているため、ディスクロータ18は2つのブレーキパッドにより挟まれることになり、安定した制動力を得ることができる。
ここで、モータ13を変位させてピストン16を動かしているときに得られる情報はモータ13に流れる電流値とレゾルバによるモータの回転角度である。したがって、ブレーキパッド17がディスクロータ18を押圧する力(ピストン推力)の制御方法としては、一般に、(1)モータ電流値により求められるモータトルクに基づいてピストン推力を推定する方法、(2)モータ回転角度(モータ位置)により求められるピストン位置とキャリパ全体の剛性からピストン推力を推定する方法が考えられる。ここで、一般にモータ電流値はピストン推力増力時とパッド開放時において一致しない。これは減速機14や回転−直動変換機構15などの動力伝達系の動力伝達効率が100%でないために起こる現象であり、伝達効率は温度や摺動部の潤滑状態によって変化する。したがって、上記(1)の方法によるピストン推力の制御は現実的には不可能である。また、上記(2)の方法においては、モータの回転角度に基づいてピストン推力の制御が行われるため、ブレーキパッドとディスクロータの接触位置に相当するモータ角度を高精度に検出する必要がある。しかし、上記、発明が解決しようとする課題で述べたように、従来の技術を用いてブレーキパッドとディスクロータの接触位置を高精度に検出することは困難である。本実施例は、基本的には上記(2)の方法によりピストン推力が制御される電動ブレーキにおいて、ブレーキパッドとディスクロータとの高精度な接触位置検出を必要とせずに自動車の左右輪制動力差を低減することを特徴としている。
本実施例を自動車の左右輪に適用した場合の各電動ブレーキの動きを第4図を用いて説明する。第4図(a)は非制動時における左右輪ブレーキパッド17の待機位置を示しており、ブレーキパッド待機位置の左右輪におけるすきま差はδである。第4図(b)は左右輪電動ブレーキのモータを同じ角度だけ回転させたときのブレーキパッド17とディスクロータ18の位置関係を示している。第4図(b)の右輪ブレーキパッドは左輪よりもよけいにディスクロータに押し付けられており、右輪のピストン推力は左輪のピストン推力よりも大きい。このとき、左輪ブレーキのモータ電流は右輪ブレーキのモータ電流よりも小さい。第4図(c)は第4図(b)の状態で左輪電動ブレーキのモータ電流値を右輪のモータ電流値に基づいて増加させた場合の状態を示している。モータ電流値を増加させた分、モータが回転し、左輪ブレーキパッドの押し付け力は第4図(b)の左輪ブレーキパッドの状態よりも増す。このとき、左右輪のピストン推力差は第4図(b)における状態よりも小さくなっている。第4図(d)は第4図(c)の状態から、左右輪電動ブレーキのモータを同じだけ第4図(b)とは逆の方向に回転させた状態である。ここでは第4図(a)の状態に比べて左右のブレーキパッドとディスクロータの隙間の差δは小さくなっている。
以上が本実施例を自動車の左右輪に適用した場合の、左右輪制動力差を低減する方法の概略説明である。
本実施例は後輪コントローラ5に適用できる。ここで後輪の左右輪におけるブレーキ制動力を一致させる方法を例に、後輪コントローラ5の実装手段を第4図および第5図を用いて説明する。本発明を適用する電動ブレーキの制動力は、通常、モータ位置を制御することにより制御される(ステップ1)。
車両が停止していると判定された場合には(ステップ2)、以下で行う後輪ブレーキの動作に際して安全性を確保するために、前輪の制動力を車両の停止状態を十分に保てる制動力Fに固定する(ステップ3)。次に後輪の左右電動ブレーキのモータを非制動時のブレーキパッド待機位置に相当する基準位置に戻し(ステップ4)、後輪の左右電動ブレーキのモータを十分な制動力が出るように規定された角度θだけ回転させ、制動力を発生させる(ステップ5)。ここで、第4図(a)はステップ4が完了した状態を、第4図(b)はステップ5が完了した状態を示している。電流波形が定常状態になった後に、左輪電動ブレーキのモータ電流ILおよび右輪電動ブレーキのモータ電流IRを測定し、それらの差ΔI=IR−ILを計算する(ステップ6)。IRとILの大小を比較することによってピストンの推力信号を出力するようにしても良い。すなわち、このステップでは処理装置によって、入力した電流値に基づくピストンの推力信号を出力する処理演算を行う。
ここで、ΔIの絶対値を規定された値εと比較し(ステップ7)、εよりも小さい場合には、左右輪の推力差を低減する動作は行わずに通常の状態に復帰する(ステップ7でNo判定の場合)。なお、εは車両の走行が不安定になる左右輪制動力差に基づいて決定され、ΔIがεよりも小さいことは車両の走行を不安定にするほどの左右輪推力差は生じないことを意味する。ΔIの絶対値がεよりも大きい場合には(ステップ7でYes判定の場合)、左右電動ブレーキのモータ電流値の大小を計算する(ステップ8)。ステップ8による判定の結果、IR<ILであった場合には右輪の電動ブレーキモータ電流値をILまで増加させる(ステップ9)。また、ステップ8による判定の結果、IR>ILであった場合には左輪の電動ブレーキモータ電流値をIRまで増加させる(ステップ10)。なお、以上の逆の方法として、左右輪電動ブレーキのモータに流れる電流で、電流値が小さい方に電流値が大きい方のモータ電流をあわせてもよい。また、左右輪電動ブレーキのモータ電流をそろえるのではなく、ΔIに基づいて変化させる電流量を任意に決めてもよい。
ステップ9実行の結果、モータ回転角度はδθR回転する(ステップ11)。またはステップ10実行の結果、モータ回転角度はδθL回転する(ステップ12)。第4図(c)はステップ12が完了した状態を示している。
ステップ9またはステップ10実行の結果、内部機構の摩擦などの原因により、モータの回転角度に変化が現れない場合がある。このような場合には、前記電流差ΔIに基づいて決定した微小角度だけ、電流値の小さかった方のモータをモータ位置制御により回転させてもよい。
次に左右電動ブレーキのモータをステップ5で規定された角度だけ逆方向に回転させる(ステップ13)。第4図(d)はステップ13が完了した状態を示している。ステップ13実行後の左右電動ブレーキのモータ位置をモータの基準位置として後輪コントローラ5に記憶させる。
以上のステップ5からステップ14までの動作を数回、ステップ7においてNo判定が出るまで繰り返す。
なお、ステップ13において左右電動ブレーキのモータをステップ5におけるモータの回転方向とは逆方向に回転させるときの回転角度については、左右同じである必要はなく、例えば、以下のように決めてもよい。
ステップ8においてYes判定が得られた場合、左輪電動ブレーキのモータ戻し角度をθ+δθR/2、右輪電動ブレーキのモータ戻し角度をθ−δθR/2とするなどである。例えば、このようにモータの戻し角度を設定することにより、ステップ5からステップ14までの動作繰り返し数を減らすことができ、消費電力の節減などの効果が得られる。
上記の各ステップにおいて、運転者によりブレーキペダル10に加えられている踏力を測定し、踏力があるしきい値Fs以下になったことを検知した場合には直ちにステップ1に移動し、車両が発進できる状態に戻す。
ディスクブレーキにおいてはジャダーと呼ばれるブレーキ振動が生じることがある。この現象はディスクロータにさびが生じたり、熱ひずみが生じたりすることにより、ディスクロータの厚さが不均一になることが原因である。ジャダーが発生しているディスクブレーキで前記のステップ4からステップ14までの操作を行った場合、ディスクロータの厚さが異なる場所にブレーキパッドが押圧されたときには左右輪の推力差是正効果が得られない可能性がある。このことに対処するためには、過去の車両停車時にステップ1からステップ14までの操作を行い決定されたモータの基準位置を記憶しておき、それらの統計操作を行うようにするとよい。例えば、過去5回の車両停車時に行った推力差校正により得られた、ブレーキのモータ基準位置の平均をとることにより、ディスクロータ厚さの不均一性による影響を低減することが可能である。
また、ステップ5において、左右輪電動ブレーキのモータを十分な制動力が出るように規定された角度θだけ回転させたが、このθの値を小さな値に設定することにより、ブレーキパッドとディスクロータとの接触位置を推定することもできる。
第5図に示されている制御処理を後輪コントローラ5に適用した場合には次のことが確認できる。左輪の電動ブレーキモータの電流検出装置に右輪の電動ブレーキモータに流れる電流値よりも大きな電流を擬似的に流して、第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせる。この動作のなかで、左右輪の制動力差が小さくなるように、右輪電動プレーキのモータ電流は左輪のモータ電流に一致するように増加する。また、同じように右輪の電動ブレーキモータの電流検出装置に左輪の電動ブレーキモータに流れる電流値よりも大きな電流を擬似的に流した場合にも左輪電動ブレーキのモータ電流が増加することが確認できる。
また、第5図に示されている制御処理が適用された後輪コントローラ5では、次のことも確認できる。左輪電動ブレーキのブレーキパッドをより厚いブレーキパッドと交換して制動力を発生させると、左輪の制動力は右輪の制動力よりも大きくなる。これは左輪電動ブレーキのブレーキパッドを厚くしたために、非制動時の左輪ブレーキパッドとディスクロータの隙間が小さくなったためである。したがって、制動力発生時には左輪の電動ブレーキモータに流れる電流は右輪電動ブレーキモータに流れる電流よりも大きくなっている。ここで第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせると、左右の電動ブレーキのモータ電流差は小さくなる。なお、右輪電動ブレーキのブレーキパッドをより厚いブレーキパッドと交換して第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせた場合にも、左右の電動ブレーキのモータ電流差が小さくなることが確認できる。
以上で述べた本発明の実施形態では自動車の後輪の場合に限って記述したが、前輪について本発明を実施しても上記と同じ効果が得られる。
【発明の名称】電動ブレーキ
【技術分野】
【0001】
本発明は電動モータの動作によって制動力を発生する電動ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧による手段を使用せず、モータの動作によって制動力を発生させるブレーキ装置を車両の複数の車輪に搭載した場合、各輪の制動力を個別に制御する必要がある。したがって、制動力制御の精度が十分でない場合、各輪に車両の挙動を不安定にする制動力差が生じる可能性がある。例えば、自動車の左右輪に制動力差が生じた場合、制動時に車体にはヨー角速度が発生し、乗っている人間に不快感を与える。また、最悪の場合には車体がスピンしてしまう。
【0003】
なお、列車の場合には一般に、左右輪が1本の車軸によりつながれているため、左右輪における制動力差はそれほど問題にはならない。
【0004】
一般にディスクブレーキにおいては、ブレーキパッドがディスクロータを押圧する力(=ピストン推力)により、車輪の制動力が決定される。したがって、自動車の左右輪に発生する制動力差を小さくするためには、ピストン推力を高精度に制御する必要がある。ピストン推力の制御の方式としては、現在最も有効な方式として次の方式がある。
【0005】
モータ位置によって決定されるピストン位置とピストン推力の関係のグラフをあらかじめ求めておき、このグラフを参照することによって要求されるピストン推力に対応するモータ位置にモータを制御するものである。この方式ではブレーキパッドとディスクロータの接触位置に対応するモータ位置を求めた上で、システム全体の剛性を高精度に推定する必要がある(特許文献1)。
【特許文献1】 特開平11−513337号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術はディスクロータとブレーキパッドとの接触位置を検出するものである。
【0007】
特開平11−513337号公報で示されている第1の方法では、ブレーキパッドとディスクロータの間に隙間がある場合に、隙間を小さくする方向にモータをほぼ一定のトルクで加速し、ブレーキパッドが接触した瞬間に生じるモータ加速度の符号の逆転を検知することにより、接触位置を判断するようにしている。また、特開平11−513337号公報に示されている第2の方法では、接触ピンをブレーキパッド内に設けておき、この接触ピンがディスクロータに当接したときに接触ピンが電流回路を閉じることによって接触信号を発生させるようにしている。
【0008】
非制動時におけるディスクブレーキ装置では、意図しない制動力が発生するのを防ぐためにディスクロータとブレーキパッドの間に隙間が確保されている。上記先行技術における第1の方法では、ブレーキパッドが前記隙間を詰めるときにモータトルクを、連結された機構を含むモータの摩擦トルクよりも少しだけ大きく調節し、かつ、モータトルクをできるだけ小さくする必要がある。これはモータのトルクが大きいと、ディスクロータへのブレーキパッドの接触によって直ちにはモータ加速度の符号が反転せず、接触位置の検出精度が低下するためである。しかしながら、モータトルクを小さく設定すると、モータ加速度は小さな値となり、モータ加速度の測定値が動力伝達系の内部ガタや摩擦状態に対して高感度となる。したがって、パッドの接触位置の検出を十分に精度よく行うためのモータトルクの決定が困難であるという課題があった。
【0009】
また、前記先行技術における第2の方法では、ブレーキパッド内に設けられた接触ピンの先端位置とブレーキパッド表面の位置の差が一定であることが必要である。しかし、接触ピンとブレーキパッドの材質が異なる場合、あるいは接触ピンの取付け方により、接触ピンとブレーキパッドの摩耗速度が異なり、パッド摩耗が進行したときに接触ピン先端とパッド表面の位置関係に誤差が生じる可能性がある。また、ブレーキパッドには大きな力がかかるため、接触ピンをブレーキパッド内に設置する際の信頼性保証の課題もあった。
【0010】
以上により、電動ブレーキが複数の車輪に搭載された車両において、従来の技術を用いて各車輪の制動力差を低減するのは容易でない。
【0011】
本発明は、ブレーキパッドとディスクロータの接触位置が高精度に検出されていなくても、自動車の左右輪における制動力差を低減し、自動車走行の安全性を確保できるための技術を提供することを目的としている。
【0012】
本発明は、通常はモータの駆動量を制御することによりブレーキパッド位置が制御される電動ブレーキに対して、車両停車時に複数の電動ブレーキのモータ電流値に基づいて、モータの待機位置を更新する機能を付加したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、具体的には、モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、前記モータの変位量または前記ブレーキパッドの推力を制御する制御装置と、後輪の左輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置と、前記左右のモータに流れる電流値信号を入力し、入力した電流値に基づく前記ピストンの推力信号を出力する処理演算を行う処理装置を備え、前記ピストンを前進させることにより、車輪に接続されたディスクロータに前記ブレーキパッドを押し付け、制動力を与える電動ブレーキにおいて、前記処理装置は、入力した前記左右のモータの電流差を求め、電流差を予め設定した値と比較することによって入力した電流値をそろえる処理を行うかを判定することができる電動ブレーキを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によればブレーキパッドとディスクロータの接触位置が高精度に検出されていなくても、自動車の左右輪における制動力差を低減し、自動車走行の安全性を確保できるための技術を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、非制動時に複数の電動ブレーキのモータ電流を比較してそろえることにより、複数の電動ブレーキによる制動力差を確実に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を第1図〜第5図を用いて説明する。第1図は4輪に電動ブレーキを搭載した自動車の一般的なシステム構成を示す図である。第1図において、電動ブレーキ装置1は自動車の前輪2に装着された前輪電動ブレーキ3と、前輪電動ブレーキ3を制御するための前輪コントローラ4と、後輪6に装着された後輪電動ブレーキ7と後輪電動ブレーキ7を制御するための後輪コントローラ5と、前輪コントローラ4と後輪コントローラ5を制御するメインコントローラ8と運転者が制動力の大きさを調整するブレーキペダル10と、ブレーキペダル10に加えられた踏力を測定する踏力センサ9から構成されている。
【0017】
第1図において各構成要素の動作について説明する。第1図において、運転者がブレーキペダル10を踏むと、ブレーキペダルに加えられた踏力が踏力センサ9により測定される。測定された踏力データはメインコントローラ8に入力され、これに基づいて前後輪における適当な制動力配分が決定される。次に、メインコントローラ8から前輪コントローラ4および後輪コントローラ5に前輪の制動力と後輪の制動力の指令値が伝えられる。これらの指令値に基づいて前輪コントローラ4および後輪コントローラ5がそれぞれ前輪電動ブレーキ3および後輪電動ブレーキ7を動作させることにより、前輪2および後輪6の左右輪制動力を制御するしくみになっている。
【0018】
電動ブレーキ内部の構成要素を後輪電動ブレーキ7を例に、第2図を用いて説明する。後輪の電動ブレーキは第2図に示されているように後輪コントローラ5によって制御されるモータドライバ12と、モータドライバ12による電流指令によって制御されるモータ13と、モータ13が発生した回転を減速するための減速機14と、回転運動を直動運動に変換するための回転−直動変換機構15と、回転−直動変換機構15の直動部分に固定されたピストン16と、ピストン16に取り付けられるブレーキパッド17と、ブレーキパッド17により押圧されるディスクロータ18により構成されている。また、モータ13、減速機14、回転−直動変換機構15、ピストン16により構成される部分が後輪アクチュエータ11である。なお、前輪電動ブレーキ3に関しては後輪電動ブレーキ7と同じ構成であるため、説明は省略する。また後輪の左輪および右輪並びに前輪の左輪および右輪の4つの車輪についての駆動制御についても考え方は同じであるので後輪電動ブレーキ7を例にとって説明を行うことにする。
【0019】
第3図は電動ブレーキキャリパ全体の一般的な構成を説明する図である。上記後輪電動ブレーキ7の各構成要素の動作について第3図を用いて説明する。第2図に示されているモータ13は第3図に示すステータ20とロータ19から構成されており、回転角度を検出するためのレゾルバを有していることにする。第2図に示されているモータドライバ12からモータ13に電流指令が送られると、ロータ19に回転トルクが発生する。ロータ19に発生した回転トルクは減速機14に入力され、回転が減速されるとともに回転トルクが拡大される。減速機14によって拡大された回転トルクによって回転−直動変換機構15が駆動され、ピストン16が前進する。ピストン16に取り付けられているブレーキパッド17はピストン16とともに前進し、ディスクロータ18を押圧する。キャリパ21はフローティング支持になっているため、ディスクロータ18は2つのブレーキパッドにより挟まれることになり、安定した制動力を得ることができる。
【0020】
ここで、モータ13を変位させてピストン16を動かしているときに得られる情報はモータ13に流れる電流値とレゾルバによるモータの回転角度である。したがって、ブレーキパッド17がディスクロータ18を押圧する力(ピストン推力)の制御方法としては、一般に、(1)モータ電流値により求められるモータトルクに基づいてピストン推力を推定する方法、(2)モータ回転角度(モータ位置)により求められるピストン位置とキャリパ全体の剛性からピストン推力を推定する方法が考えられる。ここで、一般にモータ電流値はピストン推力増力時とパッド開放時において一致しない。これは減速機14や回転−直動変換機構15などの動力伝達系の動力伝達効率が100%でないために起こる現象であり、伝達効率は温度や摺動部の潤滑状態によって変化する。したがって、上記(1)の方法によるピストン推力の制御は現実的には不可能である。また、上記(2)の方法においては、モータの回転角度に基づいてピストン推力の制御が行われるため、ブレーキパッドとディスクロータの接触位置に相当するモータ角度を高精度に検出する必要がある。
【0021】
しかし、上記、発明が解決しようとする課題で述べたように、従来の技術を用いてブレーキパッドとディスクロータの接触位置を高精度に検出することは困難である。本実施例は、基本的には上記(2)の方法によりピストン推力が制御される電動ブレーキにおいて、ブレーキパッドとディスクロータとの高精度な接触位置検出を必要とせずに自動車の左右輪制動力差を低減することを特徴としている。
【0022】
本実施例を自動車の左右輪に適用した場合の各電動ブレーキの動きを第4図を用いて説明する。第4図(a)は非制動時における左右輪ブレーキパッド17の待機位置を示しており、ブレーキパッド待機位置の左右輪におけるすきま差はδである。第4図(b)は左右輪電動ブレーキのモータを同じ角度だけ回転させたときのブレーキパッド17とディスクロータ18の位置関係を示している。第4図(b)の右輪ブレーキパッドは左輪よりもよけいにディスクロータに押し付けられており、右輪のピストン推力は左輪のピストン推力よりも大きい。このとき、左輪ブレーキのモータ電流は右輪ブレーキのモータ電流よりも小さい。第4図(c)は第4図(b)の状態で左輪電動ブレーキのモータ電流値を右輪のモータ電流値に基づいて増加させた場合の状態を示している。モータ電流値を増加させた分、モータが回転し、左輪ブレーキパッドの押し付け力は第4図(b)の左輪ブレーキパッドの状態よりも増す。このとき、左右輪のピストン推力差は第4図(b)における状態よりも小さくなっている。第4図(d)は第4図(c)の状態から、左右輪電動ブレーキのモータを同じだけ第4図(b)とは逆の方向に回転させた状態である。ここでは第4図(a)の状態に比べて左右のブレーキパッドとディスクロータの隙間の差δは小さくなっている。
【0023】
以上が本実施例を自動車の左右輪に適用した場合の、左右輪制動力差を低減する方法の概略説明である。
【0024】
本実施例は後輪コントローラ5に適用できる。ここで後輪の左右輪におけるブレーキ制動力を一致させる方法を例に、後輪コントローラ5の実装手段を第4図および第5図を用いて説明する。
【0025】
本発明を適用する電動ブレーキの制動力は、通常、モータ位置を制御することにより制御される(ステップ1)。車両が停止していると判定された場合には(ステップ2)、以下で行う後輪ブレーキの動作に際して安全性を確保するために、前輪の制動力を車両の停止状態を十分に保てる制動力Fに固定する(ステップ3)。次に後輪の左右電動ブレーキのモータを非制動時のブレーキパッド待機位置に相当する基準位置に戻し(ステップ4)、後輪の左右電動ブレーキのモータを十分な制動力が出るように規定された角度θだけ回転させ、制動力を発生させる(ステップ5)。
【0026】
ここで、第4図(a)はステップ4が完了した状態を、第4図(b)はステップ5が完了した状態を示している。電流波形が定常状態になった後に、左輪電動ブレーキのモータ電流ILおよび右輪電動ブレーキのモータ電流IRを測定し、それらの差ΔI=IR−ILを計算する(ステップ6)。IRとILの大小を比較することによってピストンの推力信号を出力するようにしても良い。すなわち、このステップでは処理装置によって、入力した電流値に基づくピストンの推力信号を出力する処理演算を行う。
【0027】
ここで、ΔIの絶対値を規定された値εと比較し(ステップ7)、εよりも小さい場合には、左右輪の推力差を低減する動作は行わずに通常の状態に復帰する(ステップ7でNo判定の場合)。なお、εは車両の走行が不安定になる左右輪制動力差に基づいて決定され、ΔIがεよりも小さいことは車両の走行を不安定にするほどの左右輪推力差は生じないことを意味する。ΔIの絶対値がεよりも大きい場合には(ステップ7でYes判定の場合)、左右電動ブレーキのモータ電流値の大小を計算する(ステップ8)。
【0028】
ステップ8による判定の結果、IR<ILであった場合には右輪の電動ブレーキモータ電流値をIL まで増加させる(ステップ9)。また、ステップ8による判定の結果、IR>ILであった場合には左輪の電動ブレーキモータ電流値をIRまで増加させる(ステップ10)。なお、以上の逆の方法として、左右輪電動ブレーキのモータに流れる電流で、電流値が小さい方に電流値が大きい方のモータ電流をあわせてもよい。また、左右輪電動ブレーキのモータ電流をそろえるのではなく、ΔIに基づいて変化させる電流量を任意に決めてもよい。
【0029】
ステップ9実行の結果、モータ回転角度はδθR回転する(ステップ11)。またはステップ10実行の結果、モータ回転角度はδθL回転する(ステップ12)。第4図(c)はステップ12が完了した状態を示している。
【0030】
ステップ9またはステップ10実行の結果、内部機構の摩擦などの原因により、モータの回転角度に変化が現れない場合がある。このような場合には、前記電流差ΔIに基づいて決定した微小角度だけ、電流値の小さかった方のモータをモータ位置制御により回転させてもよい。
【0031】
次に左右電動ブレーキのモータをステップ5で規定された角度だけ逆方向に回転させる(ステップ13)。第4図(d)はステップ13が完了した状態を示している。ステップ13実行後の左右電動ブレーキのモータ位置をモータの基準位置として後輪コントローラ5に記憶させる。
【0032】
以上のステップ5からステップ14までの動作を数回、ステップ7においてNo判定が出るまで繰り返す。
【0033】
なお、ステップ13において左右電動ブレーキのモータをステップ5におけるモータの回転方向とは逆方向に回転させるときの回転角度については、左右同じである必要はなく、例えば、以下のように決めてもよい。
【0034】
ステップ8においてYes判定が得られた場合、左輪電動ブレーキのモータ戻し角度をθ+δθR/2、右輪電動ブレーキのモータ戻し角度をθ−δθR/2とするなどである。例えば、このようにモータの戻し角度を設定することにより、ステップ5からステップ14までの動作繰り返し数を減らすことができ、消費電力の節減などの効果が得られる。
【0035】
上記の各ステップにおいて、運転者によりブレーキペダル10に加えられている踏力を測定し、踏力があるしきい値Fs以下になったことを検知した場合には直ちにステップ1に移動し、車両が発進できる状態に戻す。
【0036】
ディスクブレーキにおいてはジャダーと呼ばれるブレーキ振動が生じることがある。この現象はディスクロータにさびが生じたり、熱ひずみが生じたりすることにより、ディスクロータの厚さが不均一になることが原因である。ジャダーが発生しているディスクブレーキで前記のステップ4からステップ14までの操作を行った場合、ディスクロータの厚さが異なる場所にブレーキパッドが押圧されたときには左右輪の推力差是正効果が得られない可能性がある。このことに対処するためには、過去の車両停車時にステップ1からステップ14までの操作を行い決定されたモータの基準位置を記憶しておき、それらの統計操作を行うようにするとよい。例えば、過去5回の車両停車時に行った推力差校正により得られた、ブレーキのモータ基準位置の平均をとることにより、ディスクロータ厚さの不均一性による影響を低減することが可能である。
【0037】
また、ステップ5において、左右輪電動ブレーキのモータを十分な制動力が出るように規定された角度θだけ回転させたが、このθの値を小さな値に設定することにより、ブレーキパッドとディスクロータとの接触位置を推定することもできる。
【0038】
第5図に示されている制御処理を後輪コントローラ5に適用した場合には次のことが確認できる。左輪の電動ブレーキモータの電流検出装置に右輪の電動ブレーキモータに流れる電流値よりも大きな電流を擬似的に流して、第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせる。この動作のなかで、左右輪の制動力差が小さくなるように、右輪電動ブレーキのモータ電流は左輪のモータ電流に一致するように増加する。また、同じように右輪の電動ブレーキモータの電流検出装置に左輪の電動ブレーキモータに流れる電流値よりも大きな電流を擬似的に流した場合にも左輪電動ブレーキのモータ電流が増加することが確認できる。
【0039】
また、第5図に示されている制御処理が適用された後輪コントローラ5では、次のことも確認できる。左輪電動ブレーキのブレーキパッドをより厚いブレーキパッドと交換して制動力を発生させると、左輪の制動力は右輪の制動力よりも大きくなる。これは左輪電動ブレーキのブレーキパッドを厚くしたために、非制動時の左輪ブレーキパッドとディスクロータの隙間が小さくなったためである。したがって、制動力発生時には左輪の電動ブレーキモータに流れる電流は右輪電動ブレーキモータに流れる電流よりも大きくなっている。ここで第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせると、左右の電動ブレーキのモータ電流差は小さくなる。なお、右輪電動ブレーキのブレーキパッドをより厚いブレーキパッドと交換して第5図に示されているステップ2からステップ14までの動作を行わせた場合にも、左右の電動ブレーキのモータ電流差が小さくなることが確認できる。
【0040】
以上で述べた本発明の実施形態では自動車の後輪の場合に限って記述したが、前輪について本発明を実施しても上記と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】4輪に電動ブレーキを搭載した自動車の一般的なシステム構成を示す図である。
【図2】電動ブレーキ内部の構成要素説明する図である。
【図3】電動ブレーキキャリパ構成要素の概略を模式的に説明する図である。
【図4】本実施例を自動車の左右輪電動ブレーキに適用した場合のブレーキパッドとディスクロータとの位置関係を時間経過にしたがって模式的に説明する図である。
【図5】本実施例の一実施形態において、第1図の後輪コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 電動ブレーキ装置
2 前輪
3 前輪電動ブレーキ
4 前輪コントローラ
5 後輪コントローラ
6 後輪
7 後輪電動ブレーキ
8 メインコントローラ
9 踏力センサ
10 ブレーキペダル
Claims (6)
- モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量または前記ブレーキパッドの推力を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、
後輪の左輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置を設け、前記左右のモータに流れる電流値信号を入力し、入力した電流値に基づく前記ピストンの推力信号を出力する処理演算を行う処理装置を設けたこと
を特徴とする電動ブレーキ。 - モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量または前記ブレーキパッドの推力を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、
後輪の左輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置を設け、前記左右のモータに流れる電流値信号を入力し、それぞれの電流値をそろえ、そろえたことに基づく前記ピストンの推力信号を出力する処理演算を行う処理装置を設けたこと
を特徴とする電動ブレーキ。 - 請求項2において、前記処理装置は、入力した前記左右のモータの電流差を求め、電流差を予め設定した値と比較することによって入力した電流値をそろえる処理を行うかを判定することを特徴とする電動ブレーキ。
- 請求項2において、前記処理装置は、前記推力信号を解除する操作を複数回繰り返したときの前記モータの基準位置を求めて記憶装置に記憶させ、複数回のモータの基準位置について統計処理をして設定基準位置を設けることを特徴とする電動ブレーキ。
- 請求項2において、前記制御装置は、前記推力信号を解除したときに、前記ディスクロータに対する前記ブレーキパッドの待機位置をほぼ同一位置になるように前記ブレーキパッドを駆動することを特徴とする電動ブレーキ。
- モータと、該モータの作動によって駆動されるピストンと、該ピストンによって直動運動させられるブレーキパッドと、該ブレーキパッドが前記ピストンの前進により押し付けられて摺動するディスクロータと、前記モータの変位量またはブレーキパッドの推力を制御する制御装置とを備えた電動ブレーキにおいて、
後輪の左輪および右輪もしくは/並びに前輪の左輪および右輪に対してそれぞれ設けられた左右の前記モータに流れる電流を検出する電流検出装置を備え、左右の前記ブレーキパッドはその待機位置が電流値の差に応じて駆動制御されることを特徴とする電動ブレーキ。
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