JPS6210453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、多気筒エンジンのシリンダブロツク
に関し、特にシリンダの配列方向に冷却水を循環
する冷却水通路を設けたものに関する。

一般に、多気筒エンジンのシリンダブロツクに
おいては、複数のシリンダ周辺に、該シリンダの
配列方向に冷却水を循環する冷却水通路を設け
て、シリンダからの燃焼熱によつて加熱されるシ
リンダブロツクを適温に冷却するようになされて
いる。しかし、隣接するシリンダボア間において
は、両シリンダからの熱を受けるため、冷却が不
十分であり、シリンダ周辺の冷却が不均一となつ
てシリンダ周辺に温度差が生じ、その結果、シリ
ンダが変形して、圧縮洩れや潤滑オイルの燃焼室
への流入によるオイル消費量の増大等を招くとい
う問題があつた。

そのため、従来、例えば実開昭52−113105号公
報に示されているように、隣接するシリンダボア
間に、シリンダ配列方向に沿つた両側の冷却水通
路を連通するバイパス路を設けて、シリンダボア
間を冷却するようにしたものが提案されている。

しかし、この提案のものでは、シリンダボア間
のバイパス路において両側の冷却水通路から流入
する冷却水によつて対流が生じるため、実際には
該バイパス路を冷却水が十分に流れず、冷却効果
を十分に上げることができないという欠点があ
る。

また、シリンダボア間の冷却効果を上げるべ
く、バイパス路の幅または高さを大きくして通路
面積を増大させることが考えられるが、シリンダ
ボア間は強度的に一定の肉厚よりも薄くできない
関係上、シリンダブロツクのシリンダ配列方向長
さまたは高さが大となつて、スペース上の制約か
ら実施が困難である。

そこで、本考案は斯かる諸点に鑑みてなされた
もので、複数のシリンダ周辺に設けられ該シリン
ダの配列方向に冷却水を循環する冷却水通路を有
する多気筒エンジンのシリンダブロツクにおい
て、シリンダ配列方向に沿つた両側の冷却水通路
を各々独立して、隣接するシリンダボア間におい
て合流することなく互いに交差するように形成す
ることにより、シリンダボア間に冷却水を、対流
を生ずることなくスムーズにかつ略２倍の流量で
もつて流すようにし、よつてシリンダボア間の冷
却効果を上げて、シリンダ周辺を均一に冷却し得
るようにした多気筒エンジンのシリンダブロツク
を提供せんとするものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図および第２図は本考案に係る４気筒エン
ジンのシリンダブロツクＡを示し、１はシリンダ
ブロツク本体、２ａ〜２ｄはシリンダブロツク本
体１に縦列状態（図では左右方向）に配列形成さ
れた４つの第１〜第４シリンダ、３ａ〜３ｃはシ
リンダブロツク本体１の隣接するシリンダボア
間、４はクランク軸（図示せず）を支承する軸受
部、５はスカート部である。

そして、上記シリンダブロツク本体１の各シリ
ンダ２ａ〜２ｄ周辺には、シリンダ２ａ〜２ｄの
配列方向（図では左右方向）に冷却水を循環する
２系統の冷却水通路６ａ，６ｂが設けられてい
る。一方の冷却水通路６ａは、シリンダブロツク
本体１の一端（図では左端）から第１シリンダ２
ａのシリンダ配列方向一側がわを周回したのち、
第１シリンダ２ａと第２シリンダ２ｂとのシリン
ダボア間３ａを通過して第２シリンダ２ｂのシリ
ンダ配列方向他側がわを周回し、さらに第２シリ
ンダ２ｂと第３シリンダ２ｃとのシリンダボア間
３ｂを通過して第３シリンダ２ｃのシリンダ配列
方向一側がわに至り、以後同様に蛇行してシリン
ダブロツク本体１の他端（図では右端）に至るよ
うに形成され、また、他方の冷却水通路６ｂは、
シリンダブロツク本体１の一端から第１シリンダ
２ａのシリンダ配列方向他側がわを周回したの
ち、第１シリンダ２ａと第２シリンダ２ｂとのシ
リンダボア間３ａを上記一方の冷却水通路６ａの
下方を潜つて通過して第２シリンダ２ｂのシリン
ダ配列方向一側がわを周回し、さらに第２シリン
ダ２ｂと第３シリンダ２ｃとのシリンダボア間３
ｂを上記一方の冷却水通路６ａの上方を跨いで通
過して第３シリンダ２ｃのシリンダ配列方向他側
がわに至り、以後同様に蛇行してシリンダブロツ
ク本体１の他端に至るように形成されている。換
言すれば、シリンダ配列方向に沿つた両側の冷却
水通路６ａ，６ｂは各々独立して、シリンダボア
間３ａ〜３ｃにおいて合流することなく互いに交
差するように形成されている。さらに、シリンダ
ボア間３ａ〜３ｃにおいては、各冷却水通路６
ａ，６ｂはその通路高さを略半分にして通路面積
が略1/2になるように形成されている。

したがつて、上記の構成からなるシリンダブロ
ツクＡは、シリンダ配列方向に沿つた両側の冷却
水通路６ａ，６ｂが各々独立して、シリンダボア
間３ａ〜３ｃにおいて合流することなく互いに交
差するように、かつ通路面積が略1/2になるよう
に形成されているため、各冷却水通路６ａ，６ｂ
からの冷却水はシリンダボア間３ａ〜３ｃにスム
ーズに流れて、シリンダボア間３ａ〜３ｃを流れ
る冷却水流量が略２倍になるとともに、冷却水流
が絞られてその流速が略２倍に増大することによ
り、シリンダボア間３ａ〜３ｃの冷却効果が十分
に高められ、シリンダ２ａ〜２ｄ周辺が均一に冷
却されることになる。よつて、この均一冷却によ
りシリンダ２ａ〜２ｄに変形が生じることはな
く、耐久性を向上させることができる。

尚、上記実施例では２系統の冷却水通路６ａ，
６ｂを設けたが、該両冷却水通路６ａ，６ｂをシ
リンダブロツク本体１の他端において接続して１
系統の冷却水通路としてもよい。また、２系統の
冷却水通路を各々、シリンダ配列方向の一側がわ
または他側がわにおいて波頭部がシリンダボア間
に位置するように波状に形成し、シリンダボア間
で合流することなく互いに交差させるようにして
もよい。要は、シリンダ配列方向に沿つた両側の
冷却水通路を各々独立して、シリンダボア間で合
流することなく互いに交差するように形成すれば
よい。

また、上記実施例では４気筒エンジンのシリン
ダブロツクについて述べたが、本考案は２気筒、
６気筒等の各種多気筒エンジンのシリンダブロツ
クにも同様に適用できるのは勿論である。

以上説明したように、本考案の多気筒エンジン
のシリンダブロツクによれば、シリンダボア間に
冷却水を対流を生ずることなくスムーズにかつ略
２倍の流量でもつて流すことができるので、シリ
ンダボア間の冷却効果を十分に高めて、シリンダ
周辺の冷却の均一化を図ることができ、よつてシ
リンダの変形を防止して耐久性の向上を図ること
ができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は縦断側
面図、第２図は第１図の−線断面図である。 Ａ……シリンダブロツク、２ａ〜２ｄ……シリ
ンダ、３ａ〜３ｃ……シリンダボア間、６ａ，６
ｂ……冷却水通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数のシリンダ周辺に設けられ該シリンダの配
   列方向に冷却水を循環する冷却水通路を有する多
   気筒エンジンのシリンダブロツクにおいて、シリ
   ンダ配列方向に沿つた両側の冷却水通路を各々独
   立して、隣接するシリンダボア間において合流す
   ることなく互いに交差するように形成したことを
   特徴とする多気筒エンジンのシリンダブロツク。