JPH11256150A - 電場発光蛍光体,その製造方法およびelパネル - Google Patents

電場発光蛍光体,その製造方法およびelパネル

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JPH11256150A
JPH11256150A JP10060183A JP6018398A JPH11256150A JP H11256150 A JPH11256150 A JP H11256150A JP 10060183 A JP10060183 A JP 10060183A JP 6018398 A JP6018398 A JP 6018398A JP H11256150 A JPH11256150 A JP H11256150A
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JP
Japan
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phosphor
electroluminescent
metal hydroxide
panel
phosphor particles
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JP10060183A
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Tomohito Inoue
智仁 井上
Kenichi Yamaguchi
研一 山口
Hirobumi Takemura
博文 竹村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】実用上十分な防湿性を有するとともに、蛍光体
本来の特性を損うことなく十分に発揮させることが可能
な電場発光蛍光体,その製造方法およびその蛍光体を使
用したELパネルを提供する。 【解決手段】硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤として
銅およびマンガンから選択される少なくとも1種と、共
付活剤として塩素,臭素,よう素およびアルミニウムか
ら選択された少なくとも1種とを含有する電場発光蛍光
体粒子から成り、その蛍光体粒子表面に金属水酸化物が
被覆されていることを特徴とする電場発光蛍光体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電場発光蛍光体,そ
の製造方法およびELパネルに係り、特に実用上十分な
防湿特性を有するとともに、蛍光体本来の輝度特性を発
揮することが可能な電場発光蛍光体,その製造方法およ
びELパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】有機分散型のELパネルは、例えば図4
に示すように、Al箔などから成る背面電極層1の上面
に、シアノエチルセルロースなどの有機バインダにTi
BaO3 などを分散させて成る高誘電体層(絶縁体層)
2と、電場発光蛍光体(EL蛍光体)粒子をシアノエチ
ルセルロースなどの有機バインダに分散させて成る蛍光
体層3と、防湿フィルム層5に被着支持されたIn2
3 などから成る透明電極層4とを順次一体的に積層した
膜状のパネル本体を構成し、このパネル本体を、例えば
ポリクロロトリフルオロエチレンフィルムなど透湿性が
小さい防湿フィルム層5で被覆封止して構成されてい
る。
【0003】そして、上記蛍光体層3の両側に配置した
背面電極層1と透明電極層4との間に交流電圧を印加す
ることにより蛍光体粒子を発光せしめ、所定の画像情報
を表示するものである。この種のELパネルは、可撓性
を有しており、取扱い性が良好である上に、比較的に低
コストで得られることから、例えば液晶表示素子や液晶
表示装置のバックライトなどの用途に広く使用されてい
る。
【0004】上記ELパネルに使用するEL蛍光体とし
ては、硫化亜鉛(ZnS)を母体とし、これら付活剤と
しとて銅やマンガンを含有したり、また共付活剤として
塩素,よう素,アルミニウム等を含有した蛍光体粒子が
一般的に使用されている。
【0005】しかしながら、上述したようなEL蛍光体
を用いた有機分散型ELパネルは、他の表示素子と比較
して明るさ(発光輝度)や寿命が劣るために、種々の改
良が試行されている。例えば、この種のEL蛍光体は、
水分が存在する環境において発光すると、急激に劣化が
進行する問題がある。
【0006】そのため、従来の有機分散型ELパネルに
おいては、図4に示すように発光層である蛍光体層3を
パネル製作時に十分乾燥させ、しかる後に防湿フィルム
層5,5およびパッケージングフィルム層6,6によっ
て多重に保護する構造を採用している。このフィルム層
としては、ポリ三弗化塩化エチレンなどのフィルム材が
一般に使用されいる。
【0007】しかし、このフィルム材は、高価である上
に、原料としてオゾン層破壊の原因物質とされているフ
ロンを使用しているため、環境保護の観点からも、その
使用を抑制する方向に進んでおり、このような防湿材料
を使用しない有機分散型ELパネルの開発が望まれてい
る。しかしながら、上記ポリ三弗化塩化エチレンに代替
される好適な防湿材料は、現在までに未だ見出されてい
ない現状である。
【0008】このような問題点の打開策として、例えば
EL蛍光体粒子に表面処理を施すことによって、EL蛍
光体自体に防湿性を持たせることが検討されている。例
えば、特開昭63−23987号公報および特開平7−
173086号公報においては、EL蛍光体粒子の表面
に、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化カルシウム等の
金属酸化物から成る微粒子を被覆したり、また弗化カル
シウム,弗化ストロンチウム,弗化マグネシウム,弗化
亜鉛,弗化バリウム等の金属弗化物から成る微粒子を被
覆する等の防湿対策が提案されている。
【0009】しかしながら、これらの防湿対策では、蛍
光体表面を完全に水分から隔離することができず、防湿
性が不完全である問題点があった。したがって、捕水フ
ィルムや防湿フィルムを取り除いたELパネルでは、実
用上十分な寿命特性を得るには至っていない現状であ
る。
【0010】また、特開平2−38482号公報および
米国特許第4,585,673 号公報においては、高温度に保持
した蛍光体を収容した容器中にトリエチルアルミニウム
(TEA)溶液を吹き込むことにより、EL蛍光体粒子
の表面に酸化アルミニウムの被膜を付着させる方法が提
案されている。
【0011】しかしながら、この方法は、蛍光体の劣化
の原因となる水分の除去や均一な被覆層を形成する点に
おいては優れている反面、EL蛍光体をかなり高温度に
晒して処理するために、蛍光体の発光色調や発光輝度等
の諸特性に悪影響を及ぼすと6う問題点があった。さ
ら、爆発性を有するトリエチルアルミニウムを使用する
ことから、製造工程における安全性確保のために、煩雑
な対策を必要とするなどの問題点もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、EL
蛍光体自体に防湿処理を施す従来方法においては、実用
上十分な防湿効果が得られず、ポリ三弗化塩化エチレン
製の防湿フィルムを用いた従来のELパネルに比較して
寿命特性が劣化したり、またEL蛍光体の諸特性に悪影
響を及ぼすなどの種々の問題が提起されていた。このよ
うな背景から、有機分散型ELパネルを作成する際に、
ポリ三弗化塩化エチレン製の防湿フィルムを用いること
なく、実用上十分な寿命特性(防湿性)が得られると共
に、蛍光輝度等の蛍光体特性に悪影響を及ぼすことがな
く、かつ容易でかつ安全な蛍光体に対する防湿処理法の
開発が強く求められている。
【0013】本発明は、このような課題に対処するため
になされたものであり、実用上十分な防湿性を有すると
ともに、蛍光体本来の特性を損うことなく十分に発揮さ
せることが可能な電場発光蛍光体,その製造方法および
その蛍光体を使用したELパネルを提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る電場発光蛍光体は、硫化亜鉛を母体と
し、これに付活剤として銅およびマンガンから選択され
る少なくとも1種と、共付活剤として塩素,臭素,よう
素およびアルミニウムから選択された少なくとも1種と
を含有する電場発光蛍光体粒子から成り、その蛍光体粒
子表面に金属水酸化物が被覆されていることを特徴とす
る。
【0015】また、金属水酸化物を構成する金属が、II
a族, IIIa族および IIIb族の元素から選択された少
なくとも1種の金属元素であることが望ましい。さら
に、金属水酸化物を構成する金属が、イットリウム,マ
グネシウムおよびアルミニウムから選択された少なくと
も1種であるとよい。また、蛍光体粒子表面に被覆され
る金属水酸化物の被覆量が、蛍光体粒子重量に対して
0.01〜10重量%であることを特徴とする。さら
に、蛍光体粒子表面に被覆される金属水酸化物の被覆量
が、蛍光体粒子重量に対して0.5〜5重量%であるこ
とが好ましい。
【0016】さらに、本発明に係る電場発光蛍光体の製
造方法は、硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤として銅
およびマンガンから選択される少なくとも1種と、共付
活剤として塩素,臭素,よう素およびアルミニウムから
選択された少なくとも1種とを含有する電場発光蛍光体
粒子をアルカリ溶液中に分散させて蛍光体分散液を調製
する工程と、金属イオンを含有する酸性塩溶液を調製す
る工程と、この酸性塩溶液を上記蛍光体分散液に添加混
合したときに起こる中和反応によって析出した金属水酸
化物を前記電場発光蛍光体粒子表面に被覆させる工程
と、金属水酸化物を被覆した電場発光蛍光体粒子を濾別
後、熱処理する工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】また、金属水酸化物を被覆した電場発光蛍
光体を100℃以下の温度で熱処理するとよい。
【0018】さらに、本発明に係るELパネルは、背面
電極層,絶縁体層,蛍光体層および透明電極層を順次積
層して成るELパネルにおいて、上記蛍光体層が、上記
金属水酸化物を被覆した電場発光蛍光体を含有すること
を特徴とする。
【0019】すなわち、本発明の電場発光蛍光体は、硫
化亜鉛(ZnS)を母体とし、これに付活剤として銅
(Cu)およびマンガン(Mn)から選ばれた少なくと
も1種と、共付活剤として塩素(Cl),臭素(B
r),よう素(I)およびアルミニウム(Al)から選
ばれた少なくとも1種とを含有させた電場発光蛍光体で
あって、その蛍光体粒子表面に、金属水酸化物が被覆さ
れて構成される。
【0020】上記、金属水酸化物を構成する金属として
は、Mg,Ca,Sr,BaなどのIIA族元素,Yを含
む希土類元素などの IIIa族元素およびAl,Ga,I
n,Tlなどの IIIb族元素から選択された1種または
2種以上の金属元素が好ましい。上記金属元素のうち、
特にイットリア(Y),マグネシウム(Mg),アルミ
ニウム(Al)がより好ましい。
【0021】本発明の電場発光蛍光体は、その粒子表面
が金属水酸化物により被覆されているものである。この
金属水酸化物による被覆量は、蛍光体粒子重量に対して
0.01〜10重量%の範囲とする。この被覆量が0.
01重量%未満の場合には、蛍光体粒子の全表面を覆う
ことが困難になり、金属水酸化物による十分な防湿性が
得られない。一方、被覆量が10重量%を超えると、蛍
光体の発光輝度を低下させてしまうため、被覆量は0.
01〜10重量%の範囲とされるが、0.5〜5重量%
の範囲がより好ましい。
【0022】本発明のような金属水酸化物被膜を有する
電場発光蛍光体は、例えば以下のような手順で製造され
る。
【0023】まず、硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤
として銅およびマンガンから選ばれた少なくとも1種
と、共付活剤として塩素,臭素,よう素およびアルミニ
ウムから選ばれた少なくとも1種を均一に混合して原料
混合体を調製する。次に、この原料混合体を非酸化性雰
囲気において焼成した後に、洗浄処理を施して電場発光
蛍光体粒子を得る。
【0024】次に、上記電場発光蛍光体粒子を、アルカ
リ溶液中に分散させて分散液を調製する一方、被膜用の
金属イオンを含有する酸性塩水溶液を調製し、この金属
酸性塩水溶液を上記分散液に添加混合し、中和反応によ
り析出した金属水酸化物を電場発光蛍光体粒子表面に被
覆し、濾別後、熱処理することによって、安定な金属水
酸化物で被覆した電場発光蛍光体が得られる。
【0025】なお、上記熱処理を行うに際して、金属水
酸化物を被覆した電場発光蛍光体を100℃以下の温度
で加熱することにより、金属水酸化物の分解温度未満で
の加熱処理になるため、余剰の水分が揮散するのみで金
属水酸化物が酸化物に変化することがなく、ゲル状に固
まった安定した金属水酸化物被膜を形成することができ
る。
【0026】上記構成に係る電場発光蛍光体およびその
製造方法によれば、液相反応によって蛍光体粒子表面に
金属水酸化物の被膜を形成しており、蛍光体粒子を高温
度で処理する必要がないため、発光輝度などの蛍光体本
来の特性に悪影響を及ぼすことなく、十分な防湿性を有
する電場発光蛍光体が得られる。
【0027】また、金属水酸化物から成る被膜は、従来
のアルミナ膜等の金属酸化物被膜と比較して発光輝度に
対する影響が小さい。そのため、上記金属水酸化物の被
膜を適切な厚さ範囲で形成することにより、蛍光体が本
来有する発光輝度を十分に維持することができる。
【0028】さらに、上記金属水酸化物被膜を形成した
蛍光体粒子を用いることにより、従来のポリ三弗化塩化
エチレン製の防湿フィルムを使用せずに防湿性に優れた
ELパネルを製造することが可能になり、ELパネルの
長寿命化および製造工程の簡素化に大きな効果が発揮さ
れる。
【0029】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について、
以下の実施例および図面を参照して、より具体的に説明
する。
【0030】実施例1 銅・塩素付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl型E
L蛍光体)粒子100gを、500ccの脱イオン水中に
懸濁せしめ撹拌して懸濁液とした。この懸濁液中に水酸
化ナトリウムの5%水溶液を20cc添加して5分間撹拌
することにより蛍光体分散液を調製した。
【0031】次に、得られた蛍光体分散液に硝酸マグネ
シウムの3%水溶液を100cc添加して、さらに2時間
撹拌した。その後、静置して、上澄み液を捨ててから沈
殿物を脱イオン水で3回洗浄した後に、濾過,乾燥,篩
別工程を実施することにより、蛍光体粒子表面に水酸化
マグネシウム被膜を付着させた実施例1に係るEL蛍光
体を調製した。こうして得られたEL蛍光体の化学分析
を実施した結果、蛍光体粒子表面に水酸化マグネシウム
(Mg(OH)2 )から成る被膜が、蛍光体粒子重量に
対して1.0重量%の割合で付着していることを確認し
た。
【0032】次に、上記実施例1に係るEL蛍光体と、
被膜を形成していない同一組成のEL蛍光体とを用い
て、図1に示すようなELパネル構造物をそれぞれ作成
し、それらの寿命特性の測定比較を行った。すなわち、
Al箔から成る背面電極層1の上面に、有機バインダと
してのシアノエチルセルロースにTiBaO3 を分散さ
せた絶縁体層2と、厚さ50μmの蛍光体層3と、In
3 から成る透明電極層4とを積層し、その積層体の両
面にパッケージングフィルム層6,6をそれぞれ配置し
た。なお、蛍光体層3は、蛍光体粒子と有機バインダー
としてのヒマシ油との体積比が7:3となるように配合
して形成した。
【0033】そして、各蛍光体の寿命は、上記透明電極
層4と背面電極層1との間に、200V、800Hzの
交流電圧を1時間印加し続けたときの輝度維持率として
測定した。その結果、水酸化マグネシウム被膜を形成し
た実施例1に係るEL蛍光体を用いたELパネルにおい
ては、被膜を形成しない従来のEL蛍光体を用いたEL
パネルと比較して、初期発光輝度はほぼ同程度であった
が、輝度維持率は40%以上向上していた。
【0034】このように、水酸化マグネシウム被膜をE
L蛍光体粒子表面に形成することによって、ポリ三弗化
塩化エチレン製の防湿フィルムを用いることなく、良好
な寿命特性を有するELパネルを得ることが可能になっ
た。
【0035】実施例2 銅・塩素付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl型E
L蛍光体)粒子100gを、500ccの脱イオン水中に
懸濁せしめ撹拌して懸濁液とした。この懸濁液中に水酸
化ナトリウムの5%水溶液を20cc添加して5分間撹拌
することにより蛍光体分散液を調製した。
【0036】次に、得られた蛍光体分散液に硝酸マグネ
シウムの0.1%水溶液を100cc添加して、さらに2
時間撹拌した。その後、静置して、上澄み液を捨ててか
ら沈殿物を脱イオン水で3回洗浄した後に、濾過,乾
燥,篩別工程を実施することにより、蛍光体粒子表面に
水酸化マグネシウム被膜を付着させた実施例2に係るE
L蛍光体を調製した。こうして得られたEL蛍光体の化
学分析を実施した結果、蛍光体粒子表面に水酸化マグネ
シウム(Mg(OH)2 )から成る被膜が、蛍光体粒子
重量に対して0.01重量%の割合で付着していること
を確認した。
【0037】次に、上記実施例2に係るEL蛍光体と、
被膜を形成していない同一組成のEL蛍光体とを用い
て、実施例1と同様にして、図1に示すようなELパネ
ル構造物をそれぞれ作成し、それらの寿命特性の測定比
較を行った。
【0038】その結果、水酸化マグネシウム被膜を形成
した実施例2に係るEL蛍光体を用いたELパネルにお
いては、被膜を形成しない従来のEL蛍光体を用いたE
Lパネルと比較して、初期発光輝度はほぼ同程度であっ
たが、輝度維持率は10%以上向上していた。
【0039】実施例3 銅・塩素付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl型E
L蛍光体)粒子100gを、500ccの脱イオン水中に
懸濁せしめ撹拌して懸濁液とした。この懸濁液中に水酸
化ナトリウムの5%水溶液を20cc添加して5分間撹拌
することにより蛍光体分散液を調製した。
【0040】次に、得られた蛍光体分散液に硝酸イット
リウムの3%水溶液を100cc添加して、さらに2時間
撹拌した。その後、静置して、上澄み液を捨ててから沈
殿物を脱イオン水で3回洗浄した後に、濾過,乾燥,篩
別工程を実施することにより、蛍光体粒子表面に水酸化
イットリウム被膜を付着させた実施例3に係るEL蛍光
体を調製した。こうして得られたEL蛍光体の化学分析
を実施した結果、蛍光体粒子表面に水酸化イットリウム
(Y(OH)3 )から成る被膜が、蛍光体粒子重量に対
して1.0重量%の割合で付着していることを確認し
た。
【0041】次に、上記実施例3に係るEL蛍光体と、
被膜を形成していない同一組成のEL蛍光体とを用い
て、実施例1と同様にして、図1に示すようなELパネ
ル構造物をそれぞれ作成し、それらの寿命特性の測定比
較を行った。
【0042】その結果、水酸化イットリウム被膜を形成
した実施例3に係るEL蛍光体を用いたELパネルにお
いては、被膜を形成しない従来のEL蛍光体を用いたE
Lパネルと比較して、初期発光輝度はほぼ同程度であっ
たが、輝度維持率は30%以上向上していた。
【0043】実施例4 銅・塩素付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl型E
L蛍光体)粒子100gを、500ccの脱イオン水中に
懸濁せしめ撹拌して懸濁液とした。この懸濁液中に水酸
化ナトリウムの5%水溶液を20cc添加して5分間撹拌
することにより蛍光体分散液を調製した。
【0044】次に、得られた蛍光体分散液に硝酸アルミ
ニウムの3%水溶液を100cc添加して、さらに2時間
撹拌した。その後、静置して、上澄み液を捨ててから沈
殿物を脱イオン水で3回洗浄した後に、濾過,乾燥,篩
別工程を実施することにより、蛍光体粒子表面に水酸化
アルミニウム被膜を付着させた実施例4に係るEL蛍光
体を調製した。こうして得られたEL蛍光体の化学分析
を実施した結果、蛍光体粒子表面に水酸化アルミニウム
(Al(OH)3 )から成る被膜が、蛍光体粒子重量に
対して1.0重量%の割合で付着していることを確認し
た。
【0045】次に、上記実施例4に係るEL蛍光体と、
被膜を形成していない同一組成のEL蛍光体とを用い
て、実施例1と同様にして、図1に示すようなELパネ
ル構造物をそれぞれ作成し、それらの寿命特性の測定比
較を行った。
【0046】その結果、水酸化アルミニウム被膜を形成
した実施例4に係るEL蛍光体を用いたELパネルにお
いては、被膜を形成しない従来のEL蛍光体を用いたE
Lパネルと比較して、初期発光輝度はほぼ同程度であっ
たが、輝度維持率は30%以上向上していた。
【0047】実施例5 金属水酸化物としての水酸化マグネシウム,水酸化イッ
トリウムおよび水酸化アルミニウムを蛍光体粒子重量に
対して1重量%の割合で蛍光体粒子表面に被膜として形
成した蛍光体粒子(ZnS:Cu,Cl)および被膜を
形成しない蛍光体粒子をそれぞれ使用して、図1に示す
ようなELパネル構造体をそれぞれ作成した。
【0048】そして、各ELパネルを温度40℃,関係
湿度90%の雰囲気中に配置し、背面電極層と透明電極
層との間に100V,400Hzの交流電圧を印加し電
場を形成し続けたときの輝度変化を測定し、図2に示す
結果を得た。
【0049】図2に示す結果から明らかなように、各種
の金属水酸化物被膜を形成した蛍光体粒子を用いて形成
したELパネル構造物においては、被膜を形成しない従
来の蛍光体を用いたELパネルと比較して、輝度維持率
の低下が少なく、優れた防湿効果が得られ、長寿命のE
Lパネルが得られることが判明した。
【0050】実施例6 金属水酸化物としての水酸化マグネシウムを蛍光体粒子
重量に対して0〜30重量%の範囲の割合で蛍光体粒子
表面に被膜として形成した蛍光体粒子(ZnS:Cu,
Cl)をそれぞれ使用して、図1に示すようなELパネ
ル構造体をそれぞれ作成した。
【0051】そして、各ELパネルを温度40℃,関係
湿度90%の雰囲気中に配置し、背面電極層と透明電極
層との間に100V,400Hzの交流電圧を100時
間印加し電場を形成し続けたときの輝度および輝度維持
率を測定し、図3に示す結果を得た。
【0052】図3に示す結果から明らかなように、金属
水酸化物としての水酸化マグネシウムの添加量が0.5
重量%以上の範囲になると、防湿効果はほぼ飽和し、輝
度維持率のさらなる改善効果は得にくくなる。一方、添
加量が2重量%以上になると、輝度が徐々に低下する傾
向が現われる。したがって、金属水酸化物として水酸化
マグネシウムを形成する場合には、その添加形成量を
0.5〜2重量%の範囲に設定することにより、特に発
光輝度の低下が少なく、かつ輝度維持率が高く防湿性に
優れた長寿命のELパネルが得られることが確認でき
た。
【0053】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る電場発光
蛍光体およびその製造方法によれば、液相反応によって
蛍光体粒子表面に金属水酸化物の被膜を形成しており、
蛍光体粒子を高温度で処理する必要がないため、発光輝
度などの蛍光体本来の特性に悪影響を及ぼすことなく、
十分な防湿性を有する電場発光蛍光体が得られる。
【0054】また、金属水酸化物から成る被膜は、従来
のアルミナ膜等の金属酸化物被膜と比較して発光輝度に
対する影響が小さい。そのため、上記金属水酸化物の被
膜を適切な厚さ範囲で形成することにより、蛍光体が本
来有する発光輝度を十分に維持することができる。
【0055】さらに、上記金属水酸化物被膜を形成した
蛍光体粒子を用いることにより、従来のポリ三弗化塩化
エチレン製の防湿フィルムを使用せずに防湿性に優れた
ELパネルを製造することが可能になり、ELパネルの
長寿命化および製造工程の簡素化に大きな効果が発揮さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電場発光蛍光体を使用して形成し
たELパネルの構造を示す部分断面図。
【図2】種々の金属水酸化物被膜を形成した蛍光体粒子
を使用して形成したELパネルにおける輝度維持率の経
時変化を示すグラフ。
【図3】金属水酸化物としての水酸化マグネシウムの添
加量と輝度維持率との関係を示すグラフ。
【図4】従来の有機分散型ELパネルの構造を示す部分
断面図。
【符号の説明】
1 背面電極層 2 高誘電体層(絶縁体層) 3 蛍光体層 4 透明電極層 5 防湿フィルム層 6 パッケージングフィルム層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤とし
    て銅およびマンガンから選択される少なくとも1種と、
    共付活剤として塩素,臭素,よう素およびアルミニウム
    から選択された少なくとも1種とを含有する電場発光蛍
    光体粒子から成り、その蛍光体粒子表面に金属水酸化物
    が被覆されていることを特徴とする電場発光蛍光体。
  2. 【請求項2】 金属水酸化物を構成する金属が、IIa
    族, IIIa族および IIIb族の元素から選択された少な
    くとも1種の金属元素であることを特徴とする請求項1
    記載の電場発光蛍光体。
  3. 【請求項3】 金属水酸化物を構成する金属が、イット
    リウム,マグネシウムおよびアルミニウムから選択され
    た少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載
    の電場発光蛍光体。
  4. 【請求項4】 蛍光体粒子表面に被覆される金属水酸化
    物の被覆量が、蛍光体粒子重量に対して0.01〜10
    重量%であることを特徴とする請求項1記載の電場発光
    蛍光体。
  5. 【請求項5】 蛍光体粒子表面に被覆される金属水酸化
    物の被覆量が、蛍光体粒子重量に対して0.5〜5重量
    %であることを特徴とする請求項1記載の電場発光蛍光
    体。
  6. 【請求項6】 硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤とし
    て銅およびマンガンから選択される少なくとも1種と、
    共付活剤として塩素,臭素,よう素およびアルミニウム
    から選択された少なくとも1種とを含有する電場発光蛍
    光体粒子をアルカリ溶液中に分散させて蛍光体分散液を
    調製する工程と、金属イオンを含有する酸性塩溶液を調
    製する工程と、この酸性塩溶液を上記蛍光体分散液に添
    加混合したときに起こる中和反応によって析出した金属
    水酸化物を前記電場発光蛍光体粒子表面に被覆させる工
    程と、金属水酸化物を被覆した電場発光蛍光体粒子を濾
    別後、熱処理する工程とを備えたことを特徴とする電場
    発光蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属水酸化物を被覆した電場発光蛍光体
    を100℃以下の温度で熱処理することを特徴とする請
    求項6記載の電場発光蛍光体。
  8. 【請求項8】 背面電極層,絶縁体層,蛍光体層および
    透明電極層を順次積層して成るELパネルにおいて、上
    記蛍光体層が、請求項1記載の電場発光蛍光体を含有す
    ることを特徴とするELパネル。
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