JPH09206331A - 多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品

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JPH09206331A
JPH09206331A JP8017311A JP1731196A JPH09206331A JP H09206331 A JPH09206331 A JP H09206331A JP 8017311 A JP8017311 A JP 8017311A JP 1731196 A JP1731196 A JP 1731196A JP H09206331 A JPH09206331 A JP H09206331A
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porous sheet
compound
sheet
stretching
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JP8017311A
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English (en)
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Yasuhiro Torimae
安宏 鳥前
Takahiro Sato
孝洋 佐藤
Tetsuji Kito
哲治 鬼頭
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性、透湿性、及び耐水性を有し、更に
は、良好な風合いと高い強度(引き裂き強度及び引張降
伏点強度)とを有しており、工業的に安全に且つ高速で
連続生産することのできる生産性に優れた多孔性シート
及びそれを用いた吸収性物品を提供すること。 【解決手段】 結晶性ポリオレフィン樹脂60〜90重
量部と常圧での揮発温度が240℃以上で且つ融点が1
00℃以下の化合物40〜10重量部とを含む樹脂組成
物の溶融混練物から成形したシートを、CD方向への延
伸率3〜30%、MD方向への延伸率20〜90%で延
伸してなることを特徴とする多孔性シート及び該多孔性
シートを用いてなる吸収性物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔性シート及びそれ
を用いた吸収性物品に関するものであり、詳しくは、引
張強度及び成形生産性に優れ、風合いが良好で、且つ透
湿性、耐水圧等にも優れた多孔性シート及びそれを用い
た吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
多孔性シートの製造方法としては、ポリエチレンやポリ
プロピレン等のオレフィン系樹脂中に40重量部以上の
無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸ま
たは二軸方向に延伸する方法が知られている。このよう
にして得られた多孔性シートは、通気性及び透湿性に優
れ結露現象を生じないため壁紙や包装紙等に好適に用い
られている。また、このような多孔性シートの優れた性
質に更に柔軟性を付与することにより、使い捨てオムツ
等の吸収性物品の裏面材等に使用することができ、この
ように多孔性シートに柔軟性を付与するためには、オレ
フィン系樹脂として線状低密度ポリエチレンを用いるこ
と等が提案されている。
【0003】一般に多用されている使い捨てオムツは、
尿等の***物を吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆
い肌に当てられる表面材と、上記吸収体を覆い液漏れを
防ぐ裏面材とからなり、これらは接着して一体化されて
いる。また、胴周部、脚周部からの濡れを防ぐ為に設け
られた伸縮機能及びオムツを装着した時に背側胴周部と
腹側胴周部とを止着するテープ等からなる止着機能を備
えている。そして、この止着テープは利便性から約25
mm幅のものが好ましく多用されているが、オムツの装
着ミス又は着用中の排尿点検等により、上記止着テープ
を剥がそうとすると、柔軟性を付与した上記の多孔性シ
ートを用いて形成した裏面材は強度不足で破れてしま
い、新しいオムツと交換せざるを得ないという問題があ
る。そこで、これを防止するために、オムツの腹側胴周
囲部の裏面材に、前もって幅広い保持用テープ(通称ラ
ンディングテープ)を貼り付けておき、装着時は止着テ
ープ(通称ファスニングテープ)をその上に貼ることに
より止着テープを繰り返し付け剥がしできるようになっ
ている。
【0004】しかしながら、ランディングテープを用い
ることは、オムツ構成部材や製造工程が多くなるとい
う欠点、ランディングテープはオムツ素材の中で最も
高価であるので、そのテープを幅広く(多量に)用いる
ことはコストアップになるという欠点、ランディング
テープを幅広で用いても着用者の体型によってはファス
ニングテープがランディングテープ以外の裏面材に貼り
付くことがあり、ファスニングテープの付け剥がしがで
きなくなる場合があるという欠点がある。
【0005】そこで、高強度の多孔性シートとして、特
開平5−98057号公報において、特定のポリオレフ
ィンに充填材と特定の可塑剤とラジカル発生剤とを配合
してインフレーション成形し、さらに引き取り方向に一
軸延伸する製法により得られる多孔性シートが提案され
ている。しかし、該多孔性シートは、通常のオレフィン
系樹脂に無機充填材を溶融混練して成形したシートを延
伸した多孔性シートの強度に比べ2倍弱は強度が向上す
るものの、この程度の強度では使い捨てオムツ等のラン
ディングテープを省くことはできない。更に、ラジカル
発生剤を使用しているので、成形品の溶融流動特性が成
形前組成物のそれと異なるので、通常の実生産工程で生
じる端部等の不用部分のリサイクル加工が困難であり、
生産性が低下するという問題がある。
【0006】また、特公平6−76501号公報では
「ポリオレフィン系樹脂100重量部及び無機充填剤5
0〜500重量部を含む混合物から得られるフィルムを
エンボス加工し、次いで、少なくとも一軸方向に延伸
し、さらに加熱エンボスする多孔性フィルムの製法」
が、また、特開平6−84452号公報では「ポリオレ
フィン系樹脂100重量部と無機充填剤50〜500重
量部から成る樹脂組成物を溶融製膜してフィルムとし、
該フィルムを3〜10倍に横延伸し、さらに1.1〜5
倍縦延伸する多孔性フィルムの製法」が提案されてい
る。また、特公平6−89163号公報、及び特公平6
−89164号公報は「ポリオレフィン樹脂100重量
部と無機充填剤500重量部以下とを必須成分とする混
合物から得たフィルム表面を特定のエンボス加工し、機
械方向に延伸し、得られたシートを特定のエンボス加工
し、機械方向と交差する方向に延伸する多孔性フィルム
の製法」が提案されている。しかし、上述の製法では、
同組成のMD方向一軸延伸のみのフィルムに比べMD方
向引き裂き強度は上がるものの、ランディングテープを
省ける程の強度には至らない。また、無機充填剤を含む
延伸開孔フィルムは、ファスニングテープの接着性を阻
害し、特に付け剥しの繰り返しを行うことは殆どできな
いため、ランディングテープを省くことはできず、ま
た、無機充填剤の含量を少なくするとテープ接着性阻害
の程度は小さくなるが、吸収性物品に要求される透湿度
が満たされないという問題がある。更に、横方向に3〜
10倍延伸するには、テンター方式等重装備な生産設備
を要し、生産上の問題がある。
【0007】また、特公平5−38011号公報では、
「特定の結晶性ポリマーと特定の(該ポリマーに混和性
である)化合物とを溶融ブレンドし、シート成形し、冷
却過程で相分離を起こさせ、そのシートを延伸すること
により微孔質シートを製造する方法」により得られる微
孔質シートが提案されている。かかる微孔質シートは通
常のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練して成形
したシートを延伸した多孔性シートに比べて強度が2〜
3倍のものとすることができる。しかし、これでも未だ
ランディングテープを省ける程度の強度には至っていな
い。本発明者等の検討では、通常の製法による多孔性シ
ートの少なくとも4倍、好ましくは5倍の強度が必要で
あるという結果がでている。
【0008】また、繰り返し付け剥しできることが必須
であるファスニングテープにおいて、特にテープを剥す
時のシート強度は降伏点強度が重要であるが、おむつの
使用形態を保持するに十分な接着力を有するファスニン
テープは、該ファスニングテープを剥がす時にシートの
伸びが生じ、粘着剤層が薄くなって剥がれやすくなると
いう問題があり、更には、このようなシートの伸びがシ
ートの裂けの基となり、裂けの起点ができることとテー
プ剥しは人の操作であり引っ張り速度が速くなることと
から、上記シートの引き裂き強度が強くてもシートの破
れが進行してしまうという問題がある。
【0009】更にまた、上記裏面材には、肌に接触する
吸収性物品の素材としてのソフトな感触/風合いが要求
されているが、上記微孔質シートでは、要求される強
度、透湿性を保持しながら良好な風合いを得ることがで
きない。また、該公報では、上記の特定の結晶性ポリマ
ーとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンー
プロピレン共重合樹脂等を開示しているが、これらは利
用できる樹脂を開示しているのみでエチレンとプロピレ
ンの重量比、共重合形態(ランダム、ブロック)等は全
く開示されていない。
【0010】更に、かかる微孔質シートの処方では、使
用される化合物の揮発温度が低いので、シート成形時に
発煙による環境汚染や引火の危険性があるのみでなく、
揮発物がダイリップに付着して通称「目ヤニ」と呼ばれ
ている焼けが発生することが多く、成形を中断しての分
解掃除を頻発に行う必要があり、工業的な生産性に著し
く劣るという問題があった。
【0011】従って、本発明の目的は、通気性、透湿
性、及び耐水性を有し、更には、良好な風合いと高い強
度(引き裂き強度及び引張降伏点強度)とを有してお
り、工業的に安全に且つ高速で連続生産することのでき
る生産性に優れた多孔性シート及びそれを用いた吸収性
物品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の結晶性
ポリオレフィン樹脂と特定の揮発温度と融点を有する化
合物とを特定量溶融混練したものをシート成形し、特定
の延伸条件で延伸した多孔性シートが上記目的を達成し
得ることを知見した。
【0013】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、結晶性ポリオレフィン樹脂60〜90重量部と常
圧での揮発温度が240℃以上で且つ融点が100℃以
下の化合物40〜10重量部とを含む樹脂組成物の溶融
混練物から成形したシートを、CD方向への延伸率3〜
30%、MD方向への延伸率20〜90%で延伸してな
ることを特徴とする多孔性シートを提供するものであ
る。
【0014】本発明はまた、液透過性の表面材と、防漏
性の裏面材と、これら両面材の間に配置される吸収体と
からなる吸収性物品において、上記裏面材として、上述
の多孔性シートを用いることを特徴とする吸収性物品を
提供するものである。
【0015】以下、本発明に係る多孔性シート及びそれ
を用いた吸収性物品について詳述する。本発明に係る多
孔性シートは、樹脂組成物をシート状に成形し、特定の
延伸条件で延伸処理したシートであり、該樹脂組成物は
結晶性ポリオレフィン樹脂と特定の化合物とを特定の配
合比で配合したなり、必要に応じて充填剤、安定剤、着
色剤等を含むものである。
【0016】本発明において上記樹脂組成物に用いられ
る上記結晶性ポリオレフィン樹脂としては、エチレンと
プロピレンとのブロック共重合樹脂、又は該ブロック共
重合樹脂とポリプロピレン樹脂及び/又はポリエチレン
樹脂との混合物が挙げられる。即ち、本発明において用
いることができる上記結晶性ポリオレフィン樹脂として
は、下記の〜の樹脂が挙げられる。 上記ブロック共重合樹脂。 上記ブロック共重合樹脂とポリエチレン樹脂との混合
物。 上記ブロック共重合樹脂とポリエチレン樹脂との混合
物。 上記ブロック共重合樹脂とポリプロピレン樹脂とポリ
エチレン樹脂との混合物。
【0017】上記結晶性ポリオレフィン樹脂として用い
る上記ブロック共重合樹脂、上記プロピレン樹脂及び上
記ポリエチレン樹脂は、それぞれのメルトインデックス
が3g/10分以下であるのが好ましく、0.2〜3g
/10分であるのが更に好ましく、0.2〜2g/10
分であるのが最も好ましい。上記メルトインデックスが
3g/10分を超えると、得られる多孔性シートの引き
裂き強度や、引っ張り強度が低下し、例えば使い捨てオ
ムツ等の吸収性物品の裏面材としての必要な強度を得る
ことが難しくなるので、上記範囲内とするのが好まし
い。また、この場合に所望の強度を得るべく多孔性シー
トの厚みを厚くしてもよいが、透湿性が低下すると共に
その製品のコストアップを招く。また、上記メルトイン
デックスが0.2g/10分未満であると、シート成形
時の押出成形で大きな動力を必要とする不都合が生じて
生産性が低下するので、上記範囲内とするのが好まし
い。
【0018】尚、本発明において、上記メルトインデッ
クスとはASTM D−1238に準処して、ポリプロ
ピレン樹脂及び上記ブロック共重合樹脂においては23
0℃、2.16Kgfの条件で、またポリエチレン樹脂
においては190℃、2.16Kgfの条件で測定した
値である。
【0019】また、特に風合いと強度(引き裂き強度、
引っ張り降伏点強度)との観点から吸収性物品の裏面材
として用いる場合には、該結晶性ポリオレフィン樹脂に
おけるエチレンとプロピレンとのモノマー換算重量比
(エチレンの重量%/プロピレンの重量%)が4/96
〜40/60であるが好ましく、8/92〜30/70
であるのが更に好ましい。また、上記重量比の範囲とな
るように上記の樹脂又は共重合樹脂(上記〜の樹
脂)を2種以上混合して用いてもよい。上記モノマー換
算重量比が4/96未満であると、引き裂き強度が小さ
くなると共に風合いが悪くなり、また、40/60を超
えると、高い延伸倍率で延伸しなければ所望の透湿度が
得られず、このような所望の透湿度が得られる延伸倍率
で延伸してしまうと引き裂き強度が低下する。
【0020】また、上記の好ましい範囲のエチレンとプ
ロピレンとのモノマー換算重量比が上記の好ましい範囲
内の重合体であっても、ランダム共重合体の場合には、
所望の透湿度が発現し難く、且つ、引き裂き強度及び引
張強度が低い。
【0021】本発明において、上記樹脂組成物に用いら
れる上記の特定の化合物は、常圧での揮発温度が240
℃以上、好ましくは250℃以上、更に好ましくは26
0℃以上であり、且つ融点が100℃以下、好ましくは
80℃以下、更に好ましくは60℃以下の化合物(以
下、単に「化合物」という)である。本発明において、
上記樹脂組成物の溶融混練物を成形する際におけるシー
ト成形温度は、好ましくは180〜250℃、更に好ま
しくは190℃〜240℃であり、上記化合物の常圧で
の揮発温度が240℃未満である場合には、成形時に揮
発物の発煙が生じ易くなる。そして、このような成形時
の揮発物の発煙は、環境汚染や引火の危険性があるのみ
でなく、揮発物がダイリップに付着して通称「目ヤニ」
と呼ばれている焼け発生の原因となる。従って、上記発
煙が生じると、シート成形を一旦中断してダイリップの
分解掃除をたびたび行わねばならず、工業的な生産性が
著しく劣るという問題が生じる。また上記化合物の融点
が100℃以下に制限されるのは、成形されたシートを
延伸処理する時、該化合物が延伸温度で軟化しているか
又は溶融している方が、シートが容易に微多孔化するた
めである。
【0022】尚、本発明における「揮発温度」とは、熱
天秤を用い、窒素気流中(30ml/min)、昇温速度10
℃/min、サンプル10mgで揮発減量を測定し、加熱減量
曲線を描いた際の減量が1%である温度を意味する。
【0023】上記化合物としては、例えば、鉱物油又は
分子内にエステル結合を有する化合物等が挙げられる。
上記鉱物油としては、天然から採取され、低揮発分が除
去された芳香族/脂環族/脂肪族からなる炭化水素、及
びこれらに水素添加等をして芳香族を除去した脂環族/
脂肪族からなる炭化水素等が挙げられ、合成鉱油と呼ば
れるエチレン/α−オレフィンオリゴマー等も挙げられ
る。
【0024】上記の分子内にエステル結合を有する化合
物としては、脂肪族若しくは芳香族の一塩基若しくは
多塩基カルボン酸と、脂肪族、脂環族若しくは芳香族の
一価若しくは多価アルコールとを脱水縮合して得られる
エステル化合物;又は分子内にヒドロキシル基とカル
ボキシル基との両方を有する化合物を脱水縮合反応して
得られるエステル化合物(即ち、モノ又はポリエステル
化合物)等が挙げられる。上記脂肪族カルボン酸及び芳
香族カルボン酸としては、多塩基カルボン酸が好まし
い。芳香族多塩基カルボン酸としては、芳香族ジカルボ
ン酸、芳香族トリカルボン酸及び芳香族テトラカルボン
酸が好ましく、例えばフタル酸、トリメリット酸及びピ
ロメリット酸等が挙げられる。脂肪族多塩基カルボン酸
としては、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン
酸が好ましく、例えば、アジピン酸、セバチン酸及びク
エン酸等が挙げられる。また、アルコールとしては、一
価のアルキルアルコール等が好ましく、例えば、オクチ
ルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコ
ール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0025】また、特に上記の分子内にエステル結合を
有する化合物としては、芳香族多塩基カルボン酸と一価
のアルキルアルコールとのエステル化合物(つまり、モ
ノ又はポリエステル化合物)、脂肪族多塩基カルボン酸
と一価のアルキルアルコールとのエステル化合物(つま
り、モノ又はポリエステル化合物)、又は多価アルコー
ル(特に好ましくは多価のアルキルアルコール)とモノ
カルボン酸(特に好ましくは脂肪族モノカルボン酸)と
のエステル化合物(つまり、モノ又はポリエステル化合
物)が好ましく用いられる。具体的には例えば、グリセ
リン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスルトール、ジペンタエリスリトート又はソルビタ
ン等の多価アルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸等の脂肪族モ
ノカルボン酸とのエステル化合物等が好ましく挙げられ
る。
【0026】また、得られるエステル化合物がゲル化し
ない程度に少量のアジピン酸等ポリカルボン酸をエステ
ルの成分として加えてもよい。更に、環境汚染防止、安
全性の観点からは、脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコー
ルとのポリエステル化合物が好ましい。また、上記の分
子内にエステル結合を有する化合物は、上記カルボン酸
の1種以上と上記アルコールの1種以上とから調製する
ことができる。また、該分子内にエステル結合を有する
化合物の調製方法には、特に制限はなく、従来公知の如
何なるエステル化方法も用いることができる。また、上
記の分子内にエステル結合を有する化合物はカルボン酸
中のカルボキシル基及びアルコール中のヒドロキシル基
のすべてが完全に反応していなくてもよく、カルボン酸
中のカルボキシル基及び/又はアルコール中のヒドロキ
シル基の一部が未反応のままである部分エステル化化合
物であってもよい。
【0027】上記化合物の具体例としては、鉱物油とし
ては石油各社から販売されている機械潤滑油、ゴム用プ
ロセスオイル、繊維用流動パラフィン等が挙げられ、分
子内にエステル結合を有する化合物としては、ジステア
リルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラ
オクチルピロメリテート、ジステアリルアジペート、ジ
ステアリルセバテート、トリメチロールプロパントリラ
ウレート、ペンタエリスリトールテトラカプレート等を
挙げることができる。また、これらは結晶性オレフィン
樹脂の溶解度パラメーターと数単位(上記結晶性ポリオ
レフィンの溶解度パラメーターと上記化合物の溶解度パ
ラメーターとの差が好ましくは2〜3)以内の組み合わ
せから選ぶことができる。
【0028】本発明に用いる上記樹脂組成物における上
記結晶性ポリオレフィン樹脂と上記化合物との上記の特
定の配合割合は、結晶性ポリオレフィン樹脂60〜90
重量部に対し、化合物40〜10重量部であり、好まし
くは結晶性ポリオレフィン樹脂65〜80重量部に対し
化合物35〜20重量部である。上記化合物の配合割合
が40重量部を超えると、樹脂組成物のシート成形性が
劣り、且つ延伸処理して得られる多孔性シートが強度不
足となり、しかも長時間保存中に該多孔性シートから該
化合物がブリードアウトするため実用性に欠ける。ま
た、10重量部未満であると、延伸処理で所望の透湿度
を有する多孔性シートを得ることができない。
【0029】また、上記樹脂組成物には必要に応じて充
填剤を添加することができる。この際用いることができ
る充填剤は、シート成形温度において溶融しない粒状物
が好ましく、通常ゴムやプラスチック等に用いられる充
填剤、例えば、炭酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、
タルク、クレー、シリカ、酸化チタン、金属粉その他無
機物または無機質を主体とする有機物金属塩等が挙げら
れる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はポリア
クリル酸ソーダ等の熱硬化性樹脂の粒状物や粉状物も使
用できる。また、該充填剤は、好ましくは20μm以
下、更に好ましくは5nm〜5μmの平均粒径を有する
粉粒体として用いることが望ましい。該平均粒径が20
μmを超えるとシートの引き裂き強度が低下し、5nm
未満であると実質的に延伸開孔性に寄与しないので、上
記範囲内の平均粒径を有するのが好ましい。また、成形
温度で溶融する充填剤は成形シート中での必要とされる
粒径に制御し難い。上記充填剤を添加することにより、
添加しない場合に比して低延伸倍率でシートを開孔させ
ることができ、所望の透湿度が得られるため、シート強
度特に引き裂き強度をより向上させることができ、上記
結晶性ポリオレフィン樹脂において、エチレン含量を多
くした場合に透湿度が低下するのを抑制するのに効果的
である。また、上記充填剤は、上記樹脂組成物100重
量部に対して、好ましくは1〜30重量部用いることが
できる。
【0030】更にまた、上記樹脂組成物には、核剤(結
晶造核剤)を添加するのが好ましい。既に市販の結晶性
ポリオレフィン樹脂には、高剛性、ハイサイクルグレー
ドとして核剤が配合されたものや、核剤として配合され
ていなくても実質的に核剤機能を有するものが配合され
ているものもあり、充填剤や顔料の一部もこの機能を有
する。これらの核剤や核剤機能を有するものが添加され
ていないグレード及び添加されてはいるが核剤の効果の
劣るグレードには必要に応じて核剤を添加することが好
ましい。この際、用いられる核剤は特に制限されず、当
業界で周知の核剤を用いることができ、例えば、プラス
チックス(工業調査会発行)Vol.43 No.11 113
〜116頁の「プラスチック配合剤の機能と効果=核
剤」欄に記載されている核剤を用いることができ、具体
的には、芳香族カルボン酸の金属塩〔アルミニウムヒド
ロキシジパラ−t−ブチルベンゾエート(Al−PTB
BA)〕等、ソルビトール系誘導体、有機リン酸塩〔リ
ン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ナトリウム(PTBPNa)〕等の高融点ポリ
マー核剤や、無機系核剤としてのタルク等が挙げられ
る。
【0031】しかし、「樹脂」の組成によっては必ずし
も核剤を必要としない場合もある。例えば、エチレンと
プロピレンの共重合樹脂及び該樹脂とポリエチレンのブ
レンド系樹脂においてエチレン含量が増してくると結晶
化速度が異なる為か核剤を添加しなくても要求強度/要
求透湿度を得ることが出来る。
【0032】また、上記樹脂組成物には必要により安定
剤、着色剤等を添加剤として添加することができる。安
定剤や、該着色剤としては、公知のものを特に制限され
ずに用いることができる。更に、必要に応じて本発明の
多孔性シートの基本物性に悪影響しない程度に少量の帯
電防止剤等の通常の樹脂物性改良剤を添加剤として用い
ることもできる。これらの添加剤は、樹脂組成物の全量
に対して、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ま
しくは0.1〜5重量%添加することができる。
【0033】而して、本発明の多孔性シートは、上記樹
脂組成物の溶融混練物から成形したシートを特定の延伸
条件で延伸処理してなる多孔性シートである。ここで、
上記「成形」及び上記「特定の延伸条件での延伸処理」
については、後述の「製造方法」の説明において詳述す
る。そして、本発明の多孔性シートは、その透湿度が好
ましくは0.5〜4.0g/100cm2 ・Hrであ
り、更に好ましくは1.0〜2.5g/100cm2
Hrである。透湿度が0.5g/100cm2 ・Hr未
満であると、吸収性物品の裏面材として用いた場合にム
レ防止等の効果が劣り、また逆に4.0g/100cm
2 ・Hrを超えると、耐水圧が低下し、防漏性が低下す
るので上記範囲内とするのが好ましい。また、該多孔性
シートを使い捨てオムツ等の吸収性物品の裏面材に使用
する場合には、該多孔性シートの耐水圧は、1.5mA
q以上、特に2.0mAq以上であるのが好ましい。ま
た、本発明の多孔性シートは、その引き裂き強度が、M
D方向1%引張強度が25Kgf/cm2 以上である。ま
た、引張降伏点強度が好ましくは110kgf/cm2
以上、更に好ましくは120kgf/cm2 以上、最も
好ましくは130kgf/cm2 以上である。特に、C
D方向への引張降伏点強度が120Kg/cm2 以上であ
ることが好ましい。
【0034】本発明の多孔性シートは、使い捨てオムツ
等の吸収性物品の裏面材として好適である他、織布、不
織布、紙等と貼り合わせて、防水、防寒、防菌、テン
ト、寝具用、包帯、ハップ材の基材等衣料用及び医療
用、鮮度保持、小動物、種子等の生命保持、腐敗防止用
包装材、果実等の熟成材、遮光材、濾過、拡散防止の分
離膜等の材料として用いることができる。
【0035】次に、本発明の多孔性シートの製造方法に
ついて説明する。本発明の多孔性シートを製造するに
は、先ず上記樹脂組成物の溶融混練物を成形してシート
とする。ここで、上記溶融混練物は、通常用いられる二
軸混練押出機による混練方法により、上記樹脂組成物を
混練することにより好ましく得られ、実生産に際しては
ホッパー部より上記結晶性ポリオレフィン樹脂を供給
し、樹脂が可塑化している押出機の混練部(中腹部)よ
り上記化合物を定量ポンプで圧入する方法が好ましい。
また、上記化合物の融点が常温以上のときは該化合物を
融点以上に加熱して液状にして注入するのが好ましい。
上記成形を行いシートを得るには、上記溶融混練物を二
軸混練押出機の吐出部(先端)に取り付けたギヤポンプ
を経てダイに供給するか、又は二軸混練押出機と単軸押
出機とをタンデムに組み合わせ、該単軸押出機を経てダ
イに供給する方法により得ることができる。
【0036】また、二軸混練押出機により、一旦、溶融
混練物(コンパウンド)をフィラメント状に押出した
後、カッティングして、ペレットを得、得られたペレッ
トを、ダイを取り付けた単軸押出機にて成形することも
できる。また、上記成形は、フラットダイ、サーキュラ
ーダイのいずれを用いて行っても良いが、シートの歩留
りの観点からサーキュラーダイを用いるのが好ましい。
【0037】更に、本発明の多孔性シートを得るために
は、溶融混練物の上記成形における冷却条件が重要であ
る。即ち、溶融樹脂組成物の冷却による結晶性ポリオレ
フィン樹脂の結晶生成(結晶の大きさ、好ましくは2〜
8μm)を制御する必要があり、例えば、著しい徐冷に
よる極大結晶の生成、及び著しい急冷による微細結晶の
生成は、次の延伸処理における均一な延伸を妨げ、得ら
れる多孔性シートの強度が弱かったり、透湿度が低くな
ってしまう場合があり好ましくない。好ましい冷却条件
は、樹脂組成物の溶融混練物の温度がダイ吐出時の温度
から結晶性ポリオレフィン樹脂の融解温度に迄冷却され
る時間が0.1〜3secであり、融解温度から更に1
00℃下がる時間が2〜20secであるのが望まし
い。例えば、融点168℃のエチレンとプロピレンとの
上記ブロック共重合樹脂を上記結晶性ポリオレフィン樹
脂として用いた樹脂組成物であれば溶融混練温度は22
0〜240℃であり、融解温度は158〜160℃であ
り、融解温度にまで冷却される時間は0.8〜2.0s
ec、更に100℃下がる時間は5〜20secとする
のが好ましい。
【0038】次いで、上記シートを特定の延伸条件にて
延伸処理する。上記の特定の延伸条件は、CD方向への
延伸率3〜30%、好ましくは7〜30%、更に好まし
くは10〜25%、MD方向への延伸率20〜90%、
好ましくは30〜70%、更に好ましくは40〜60%
である。ここで、「CD方向」とは、シート成形方向と
直交方向をいい、「MD方向」とはシート成形方向をい
う。また、例えば、「延伸率3〜30%」とは、延伸前
の長さを100としたとき、103〜130に延伸する
ことを意味する。尚、延伸率(%)は、延伸した後更に
アニーリング処理した場合には、これをも含めた実伸張
率(%)である。
【0039】CD方向への延伸率を上述の範囲内とする
のは、得られる多孔性シートのソフト感を損なうことな
くCD方向への十分な引張降伏点強度を得るためであ
り、MD方向への延伸率を上述の範囲内とするのが、得
られる多孔性シートの風合いを損なうことなく要求され
る透湿性が得るためである。即ち、CD方向への延伸率
が3%未満であると、引張降伏強度が不十分となり、3
0%を超えると、MD方向の延伸と相まって風合いが悪
くなる。また、MD方向への延伸率が20%未満である
と、透湿度が低くなり、90%を超えると、風合いが悪
くなる。
【0040】また、通常の非開孔延伸では延伸倍率と共
に弾性率が高くなり、それに比例してごわごわ感が強く
なり、風合いが悪くなるが、延伸開孔シートでは、延伸
率が高くなると開孔度が増すことによりみかけの弾性率
が下がり、延伸率70%までは風合いが良くなる。しか
し、これよりも延伸率を高くすると、みかけの弾性率も
高くなり風合いが悪くなる。本発明においては、全体で
の延伸率(MD方向延伸率とCD方向延伸率の積)が5
0%〜100%の時最もソフト感が優れるので、この範
囲とするのが好ましい。
【0041】また、CD方向への延伸率を20〜90%
とし、MD方向への延伸率を3〜30%にしても、即
ち、CD方向への延伸率とMD方向への延伸率とをそれ
ぞれ本発明の延伸条件と逆にしても、透湿性と風合いか
らは略々同じになり、CD方向への引張降伏点強度も大
きくなるが、このような条件では、テンター延伸機のよ
うな重装備な設備が必要となり、生産性の点で著しく不
利となり、また、例えば得られた多孔性シートを吸収性
物品の裏面材として用いる場合には、吸収性物品製造設
備に該多孔性シートはMD方向に供給されるため、上記
の条件ではこの時のMD方向引っ張り強度が低いと搬送
張力により伸びが生じ位置がずれる等生産が困難とな
る。
【0042】また、本発明の延伸条件では、エアーイン
フレーション、マンドレル、エンボスロール等により簡
便な設備、MD方向のシート引き取り力のみの簡便な制
御で延伸することができ、しかも、例えば、吸収性物品
の裏面材として用いた場合にも、ランディングテープを
使用しないでファスニングテープの繰り返し付け剥しに
耐える引張降伏点強度が得られ、更にはMD方向はロー
ル延伸機により自由に延伸倍率を選定でき、且つ制御が
容易である。
【0043】上記延伸処理を行うには、CD方向への延
伸は、エアーインフレーション延伸機、マンドレル延伸
機等によってもよいが、本発明のようにソフトな風合/
感触のシートを生産性良く得る為には、エンボスロール
によるCD方向延伸が好ましい。エンボスのパターンは
CD方向に延伸され易い形状に、また1段法(エンボス
ロース1回通し)よりも2段(2回通し)以上の多段法
の方がより均一なCD延伸が得られる。しかし、1段法
で得られるCD部分延伸も破れの伝播を防ぐ効果があ
り、テープ剥離時の破れ防止に有効である。また、MD
方向への延伸は、ロール延伸機によるのが生産性から最
も好ましい。また、上記延伸処理における延伸温度は、
一般に常温以上で樹脂組成物の融点より20℃以上低い
温度、特に融点より50℃以上低い温度であることが好
ましい。
【0044】また、延伸後、延伸温度より5℃〜50℃
高い温度で且つ上記樹脂組成物の融点より10℃以上低
い温度でアニーリング処理するのが好ましい。
【0045】上記延伸処理は、CD方向に延伸してから
MD方向に延伸する方法、MD方向に延伸してからCD
方向に延伸する方法、及び同時二軸延伸する方法等のい
ずれによって行ってよいが、延伸前の上記シートは既に
MD方向に配向しているため、延伸制御の容易さ、設備
の簡素化等生産性の点からCD方向に延伸してからMD
方向に延伸する方法が好ましい。
【0046】次に、本発明の吸収性物品について、図1
を参照して詳細に説明する。尚、ここでは、使い捨てオ
ムツを例示して説明するが、この他に、失禁ブリーフや
生理用ナプキン等にも適用できる。本発明の吸収性物品
としての図1に示す使い捨てオムツ1は、液透過性の表
面材2と、防漏性の裏面材3と、これら両面材の間に配
置される吸収体(図示せず)とからなり、上記裏面材3
として、上記の本発明の多孔性シートを用いている。更
に詳細には、上記使い捨てオムツ1は、尿等の***物を
吸収する吸収体と、該吸収体の表面を覆い肌に当てられ
る表面材2と、上記吸収体を覆い液漏れを防ぐ裏面材3
とからなり、これらは接着して一体化されている。ま
た、胴周部5,5’、脚周部6からの漏れを防ぐために
設けられた弾性部材7及びオムツを装着した時に背側胴
周部5’と腹側胴周部5とを止着する止着テープ11を
備えている。この止着テープとしては、利便性から約2
5mm幅のものが好ましく多用されている。
【0047】而して、上記裏面材3には上述の本発明の
多孔性シートが用いられる。上記裏面材の厚さは、通
常、オムツに必要な柔軟性、オムツの組立加工時に必要
なシートの腰及び裏面材があることの安心感を付与する
点、並びにオムツに必要な柔軟性及びコスト面から、好
ましくは25〜55μm、更に好ましくは35〜45μ
mである。
【0048】上述の如く構成された本発明の吸収性物品
としての上記使い捨てオムツ1では通常、上述の構造の
使い捨てオムツにおいては、いわゆるランディングテー
プを省いてファスニングテープを直接裏面材に付け剥が
しするために必要な裏面材の強度は、また、引張り降伏
強度ではシート幅1cm当たり600gf以上、好まし
くは700gf以上、特に好ましくは800gf以上で
ある。従って、例えば、厚さ55μmで1cm当たり6
00gfを得るには109kgf/cm2 以上の強度が裏
面材に必要となる。更に、吸収性物品の連続生産設備に
おいて、該多孔性シート搬送張力が30cm幅に対して
2Kgfかかる。この時のシート伸びが0.5%以上あ
ると逐次位置がずれて制御出来ず生産出来ない。本発明
者らの検討で、上記搬送条件において55μmのシート
を伸び0.5%以内に納めるには、1%引張強度で評価
して25Kgf/cm2 必要との結果を得ている。
【0049】これに対して、上記使い捨てオムツ1は、
その裏面材3として本発明の多孔性シートを用いてお
り、該多孔性シートのCD方向引っ張り降伏点強度が1
10Kgf/cm2 以上、MD方向1%引っ張り強度が
25Kgf/cm2 以上あるので、十分な強度を有す
る。引っ張り降伏点強度が110kgf/cm2 以上で
あるので、十分な強度を有する。従って、本発明の吸収
性物品においては、ランディングテープを使用する必要
がなくなるのでオムツの装着ミスが生じることがなく、
また着用中に排尿点検のために上記止着テープを剥がし
ても、裏面材が破れることはない。また、裏面材の透湿
度が上記範囲にあればムレ等が生じず、快適な着用感が
維持できる。尚、上記多孔性シートは、その樹脂組成に
よって引張降伏点がはっきり現れない場合もあるが、こ
の場合は、100%伸張時の引張応力が降伏点強度とし
て採用される。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるも
のではない。
【0051】〔実施例及び比較例 (多孔性シートの実
施例)〕結晶性ポリオレフィン樹脂として下記樹脂を、
また化合物として下記化合物を、結晶性ポリオレフィ
ン樹脂:化合物=7:3(重量比)となるように配合し
た樹脂組成物を用い、後述の成形方法に従って成形して
シートを得た。
【0052】樹脂;密度0.91g/cm3 , メルトイン
デックス0.5g/10分、融点168℃、エチレン含
有量が8重量%であるエチレンとプロピレンとのブロッ
ク共重合樹脂〔チッソ石油化学(株)製〕 化合物;トリメチロールプロパンとラウリン酸とのエ
ステル化物(酸価=0.24、OH価=3.8、;略称
TTL)。尚、揮発温度は261℃、融点は15〜20
℃である。 化合物;鉱物油〔中央化成(株)製、商品名「流パラ
350S」、引火点220℃、アニリン点112℃、ア
ロマ系/ナフテン系/パラフィン系=0/34/66;
略称350S)。尚、揮発温度は220℃、融点は<0
℃である。 尚、上記揮発温度は、セイコー電子工業(株)製SSC
5000のTG/DTA200で測定した。
【0053】・シートの成形方法 二軸混練押出機(φ45mm、L/D=33.5)の先端
(吐出口)にギヤポンプを挟んでサーキュラーダイ(φ
200mm)を接続した。そして、ダイからニップロール
までの間が4mの空冷インフレーション成形設備を用
い、ホッパーから上記「樹脂」を270cm3/minで供給
し、そして二軸混練押出機の中腹(混練)部に加熱液状
化した上記「化合物」をギヤポンプで注入した。この
際の設定温度は押出機のシリンダーC1部(ホッパー
側)を190℃、C2部を210℃、C3〜C8部を2
40℃、ギヤポンプ部を230℃、ダイを230℃とし
た。また、エアーリングから20℃の空気をバブルに吹
き付け強制空冷しながら、シート折り幅60cm引き取り
速度8m/minで、厚さ38〜40μmのシートを得た。
【0054】また、上記化合物に代えて化合物を用
い、上記成形方法に従ってシートを作成し、上記化合物
を用いた場合及び上記化合物を用いた場合におけ
る、上記シートの成形に際しての下記(1)〜(3)の
評価〔成形時の発煙、目ヤニ発生及びシート成形性〕を
行い、化合物ととを比較した。その結果を〔表1〕
に示す。 (1)成形時の発煙;上記シート成形時の揮発物の発煙
状態を目視により次の基準で判定した。 ◎:発煙は全くなし。 ○:発煙少し。 △:発煙多い。 ×:発煙非常に多い。 (2)目ヤニ発生(蓄積)時間;上記シート成形でシー
ト表面に肉眼で観察出来るダイライン発生迄の時間を測
定した。 (3)シート成形性;目視により次の基準により判定し
た。 ◎:バルブ安定、ダイライン無し。 ○:バルブ安定、ダイライン有り。 △:バルブ変動。 ×:成形不可。
【0055】
【表1】
【0056】次いで、得られたシートを下記延伸処理方
法に従って延伸し、多孔性シート(E−0〜24)をそ
れぞれ得た。 ・延伸処理方法:ロール幅1mのインフレーション延伸
機と幅1mのロール延伸機(加熱ロール/冷却ロールか
らなるアニーリング装置つき)を接続して用い、上記化
合物を用いたシートを50℃で〔表2〕に示す延伸条
件〔延伸率(%)〕で延伸し、続いてアニーリングし
た。
【0057】得られた各多孔性シートについて、下記の
各試験を行った。その結果を〔表2〕に示す。
【0058】(4)CD方向引張降伏点強度;CD方向
に10mm幅の試験用シートを作製、テンシロン引張試験
機でCD方向に300mm/minに引張、応力/歪曲線を描
き、降伏点の強度を測定した。 (5)MD方向1%引張強度;MD方向に10mm幅の試
験用シートを作製、テンシロン引張試験機でMD方向に
300mm/minに引張り、応力/歪曲線を描き、1%歪
(伸張)時の強度を測定した。 (6)透湿度;JIS Z0208に準拠して測定。 (7)耐水圧;JIS L1093B法に準拠して測定 (8)風合い;延伸処理工程で得たシートを指触感触に
より下記基準に従って評価した。 ◎:柔軟で風合い非常に良好 ○:柔軟で風合い良好 △:やや硬く風合いやや悪い ×:硬く風合い悪い
【0059】
【表2】
【0060】〔実施例及び比較例(使い捨てオムツの実
施例及び比較例)〕シートNo.E−8、E−15、E
ー4の多孔性シート、及び従来の線状低密度ポリエチレ
ンと炭酸カルシウムによる多孔性シートを裏面材に用
い、表面材、吸収体、裏面材及び止着テープからなる図
1に示す使い捨てオムツ(但し、ランディングテープを
使用せず)をそれぞれ製造した(順に実施例1、実施例
2、比較例1及び比較例2とする)。この結果、実施例
1及び2は、E−4のシート、及び従来の裏面材を用い
たオムツ(比較例1及び2)に比してファスニングテー
プの付け剥がしが良好であった。特に比較例5のオムツ
はファスニングテープが全く剥がれずに、全て裏面材が
破れた。また、風合いにおいては実施例1、2のオムツ
は柔軟で優れた感触を呈した。
【0061】
【発明の効果】本発明の多孔性シートは、通気性、透湿
性、及び耐水性を有し、更には、良好な風合いと高い強
度(引き裂き強度及び引張降伏点強度)とを有してお
り、工業的に安全に且つ高速で連続生産することのでき
る生産性に優れたものである。また、本発明の吸収性物
品は、上記の本発明の多孔性シートを裏面材として用い
ているので、ランディングテープを使用しなくてもファ
スニングテープの付け剥がしが可能であり、利便性に優
れると共に経済的にも有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図は、本発明の吸収性物品としての使い捨てお
むつを示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:04 C08L 23:02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリオレフィン樹脂60〜90重
    量部と常圧での揮発温度が240℃以上で且つ融点が1
    00℃以下の化合物40〜10重量部とを含む樹脂組成
    物の溶融混練物から成形したシートを、CD方向への延
    伸率3〜30%、MD方向への延伸率20〜90%で延
    伸してなることを特徴とする多孔性シート。
  2. 【請求項2】 上記結晶性ポリオレフィン樹脂が、メル
    トインデックス3g/10分以下であるポリプロピレン
    樹脂、エチレンとプロピレンとのブロック共重合樹脂、
    又は該ブロック共重合樹脂及び/又はポリプロピレン樹
    脂とポリエチレン樹脂との混合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の多孔性シート。
  3. 【請求項3】 上記化合物が、鉱物油又は分子内にエス
    テル結合を有する化合物であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の多孔性シート。
  4. 【請求項4】 上記化合物が、脂肪族モノカルボン酸と
    多価アルコールとのエステル化合物であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔性シート。
  5. 【請求項5】 CD方向への引張降伏点強度が120K
    g/cm2 以上であり、透湿度が0.5〜4.0g/10
    0cm2 ・Hrであることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項記載の多孔性シート。
  6. 【請求項6】 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材
    と、これら両面材の間に配置される吸収体とからなる吸
    収性物品において、上記裏面材として、請求項1〜5の
    いずれか1項記載の多孔性シートを用いることを特徴と
    する吸収性物品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000512934A (ja) * 1997-05-09 2000-10-03 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー 通気性フィルムを成形するための方法
US6302872B1 (en) 1999-07-08 2001-10-16 Kao Corporation Absorbent member sealed between a topsheet and a backsheet
JP2005518290A (ja) * 2002-02-22 2005-06-23 クロペイ プラスチック プロダクツ カンパニー、インコーポレイテッド 膜、積層シートおよびこれらの製造方法
JP2014237826A (ja) * 2006-07-06 2014-12-18 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー オレフィンブロックコポリマーの分散液

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