JP2000026623A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 密着性耐熱ラップフィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】 結晶融点が120〜250℃以下の乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とする樹脂(A)100重量部に対し、液状添加剤(B)1〜20重量部を含有する樹脂組成物(C)からなる延伸フィルムであって、フィルムの結晶化度が20〜70%、引張弾性率が20〜150kg/mm2 であり、100℃における加熱収縮率X%と加熱収縮応力Yg/mm2 が下記の関係式(式1)〜(式3)の範囲内にあり、耐熱性が120℃以上であることを特徴とする密着性耐熱ラップフィルム。
(式1) Y≦(1400−20X)/3
(式2) 2≦X≦45
(式3) 5≦Y≦350
【請求項2】 乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂が、乳酸単位を少なくとも85モル%含有する重合体であることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項3】 乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂が、L−乳酸又はD−乳酸を主構成単位とし、他に乳酸の異性体、該乳酸のDL(ラセミ)体、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、ε−カプロラクトン、α−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシブタン酸、から選択される少なくとも一種の単位を1.5〜15モル%含有する共重合体であることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項4】 乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂が、L−乳酸を主体とした脂肪族ポリエステル樹脂20〜80重量%と、D−乳酸を主体とした脂肪族ポリエステル樹脂80〜20重量%との混合樹脂であり、これが少なくとも一部の共晶形成能力を有する樹脂であることを特徴とする請求項1または3記載の密着性耐熱ラップフイルム。
【請求項5】 乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂が、乳酸単位を85モル%以上含む重合体を少なくとも50重量%と、グリコール酸単位を75モル%以上含む重合体、3−ヒドロキシ酪酸単位を85モル%以上含む重合体、α−ヒドロキシイソ酪酸単位を85モル%以上含む重合体、からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪族ポリエステル系重合体を50重量%以下からなる組成物であることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項6】 液状添加剤(B)が、50℃での粘度が5センチポイズ以上、100℃での粘度が500センチポイズ以下の液体であり、かつその沸点が170℃以上であることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項7】 液状添加剤(B)が、脂肪族系アルコール、脂環族系アルコール、及
びこれらの多価アルコール、並びにれらの縮重合物から選ばれる少なくとも一種アルコール成分と、脂肪族カルボン酸、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸から選ばれる少なくとも一種のカルボン酸とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール及び/または脂肪酸とのエステル、及びこれらの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びそのエステル、脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物よりなる低重合物、からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤からなることを特徴とする請求項1または5記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項8】 乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂が、その結晶化度が20〜80%であることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項9】 延伸フイルムが、50〜99重量%の乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂組成物(C)と、1〜50重量%の該乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフイルム。
【請求項10】 延伸フイルムが、2層以上の互いに異なる乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂組成物(C)からなる層により構成されていることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【請求項11】 延伸フイルムが、少なくとも1層の乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂組成物(C)からなる合計厚み比率10〜90%の層と、他種の脂肪族ポリエステル樹脂、カプロラクトン系樹脂(R)、ポリオレフィン系樹脂(PO)、及び芳香族系の誘導体を含むポリエステル系樹脂(PEST),エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂(EVOH)、ポリアミド系樹脂(PA)、エチレン(又は他の少なくとも一種のα−オレフィンを含む)−一酸化炭素系共重合(含同水添物)樹脂、エチレン(又は他の少なくとも一種のα−オレフィンを含む)−環状炭化水素共重合(含同環水添物)樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる合計厚み比率90〜10%の層とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の密着性耐熱ラップフィルム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用、特に家庭用のラップフィルムとして好適に使用される、密着性耐熱ラップフィルムに関するものである。但し、本発明の密着性耐熱ラップフィルムは、特にその用途は限定されないが、本発明説明は以後家庭用のラップフィルムについて説明する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用ラップフィルムは、主として冷蔵庫や冷凍庫での保存用に、又電子レンジでの加熱用に、容器に盛った食品をオーバーラップするのに使用されている。このため、家庭用ラップフィルムには、透明性は勿論のこと、包装・冷蔵保存・加熱時に適度の弾性率を有し、加熱中でも溶融穿孔、大きな変形、容器への融着、それ自身の変質などが誘起しない安定性、及びラップ同士或いは容器などに対する低温から高温域までの適度な密着性、セット性等が要求されている。現在市販されている家庭用ラップフィルムとしては、最も使い勝手の良いポリ塩化ビニリデン系樹脂を主体とした延伸フィルム、その他、ラップ適性が大幅に劣るものではあるがポリエチレン系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂等のフィルムを主成分とし、押し出しキャストしてフイルム化したもの等がある。しかしながら、あらゆる面でより安全性が高いと思われる脂肪族ポリエステル系樹脂からなり、使い勝手も良く、且つ環境・衛生的にもより優れており、塩化ビニリデン系樹脂製ラップフィルムを越えるものは未だかつて存在しない。
【0003】
例えば、乳酸系脂肪族ポリエステルからなる他目的の延伸フィルムは、特開平6−23836号公報等に開示されているが、該公報に開示のフィルムは引張弾性率が220kg/mm2 を超え、あまりにその値が高すぎて後述の問題点を含み、ラップ同士の密着性も
、又他に本明細書で後述するラップ適性も無く、全く家庭用ラップフィルムとして適さないものである。
【0004】
また、特開平9―272794号公報には、従来一般包装用ポリエチレン袋用途に向けたフィルムに単なる柔軟性付与のために、ポリ乳酸系樹脂に軟化点が低く且つ結晶化点が室温以下の柔軟な他種の脂肪族ポリエステル樹脂を多量(25〜80重量%)に混合して柔軟性及び両樹脂の分子間の相互作用により結晶性を抑制し、透明性を付与する旨の記述があるが、これも本明細書記載の、特定のラップ用途と異なる分野のものである。
また、特開平7―257660号公報には、乳酸系樹脂を用いて野菜、花卉、果実等の輸送、貯蔵時に鮮度保持用途に使用する水蒸気透過度が50〜300g/m2 ・24hrであり、厚みが10〜500μmのフイルムの開示があるが、これらは本発明の用途とは異なる分野のものであり本発明の特定のラツプフィルムとしては都合良く使い難いものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とした新規な密着性耐熱ラップフィルムであり、家庭用ラップフィルムとして、保存性、使用性等に優れ、特に加熱使用時の各種容器(含磁器製、プラスチックス製)の包装、および容器無しのラッピング包装などに共に好適な密着性耐熱ラップフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、結晶融点が120〜250℃の乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とした樹脂(A)100重量部に対し、液状添加剤(B)を1〜20重量部含有するむ樹脂組成物(C)からなる延伸フィルムであって、フィルムの結晶化度が20〜70%、引張弾性率が20〜150kg/mm2 で、100℃における加熱収縮率X%と加熱収縮応力Yg/mm2 が、下記の関係式(式1)〜(式3)の範囲内にあり、耐熱性が120℃以上であることを特徴とする密着性耐熱ラップフィルム、である。
(式1) Y≦(1400−20X)/3
(式2) 2≦X≦45
(式3) 5≦Y≦350
【0007】
本発明において、結晶融点が120〜250℃の乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、乳酸系脂肪族ヒドロキシカルボン酸類の直接重合、又は各種環状(二量)体、例えば、L−ラクチド、D−ラクチド、メソ−ラクチド等の開環重合、又はこれらのエステル化物の重縮合、又はこれらと他の単量体との共重合(光学異性体の存在するものはそのD体、L体、又そのDL(ラセミ)体、DL−ラクチド等との共重合をも含む)により得られる(共)重合体であり、又は上記のポリL−重合体とポリD−重合体との共晶(ステレオコンプレックス)体等も含むものである。これら単量体は、特に限定はしないが、好ましくはL体及び/又はD体を主体とするものである。ここで共重合とは、ランダム状、ブロック状、両者の自由な混合構造を含むものである。
【0008】
これら樹脂を共重合により得る場合、その単量体比率は、上記ラップとしての性能を維持する為には対象成分同士によっても多少異なるが、一般に共重合する少量成分の合計で表して15モル%以下であり、好ましくは1.5〜14モル%,より好ましくは2〜13モル%、更に好ましくは2.5〜12モル%の範囲である。これらは、フイルムに柔軟性としなやかさを与える為、又密着性を与える添加剤との適度ななじみを与えるために都合が良く、上限は耐熱性不足、寸法安定性の悪化等の理由で制限される。
【0009】
具体的に、共重合又は混合使用するその他の重合体の原料としての脂肪族ヒドロキシカルボン酸類は、例えば、グリコール酸、α(又は2)−ヒドロキシイソ酪酸、β(又は3
)−ヒドロキシ酪酸、β(又は3)−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシブタン酸等から選ばれる少なくとも一種を原料とするのが好ましく、またこれらの環状二量体(これらの光学異性体が存在するものも含めて)、これらのエステル類を原料として使用しても良い。
次に共重合するラクトン類としては、β―ブチロラクトン、β―プロピオラクトン、ピバロラクトン、γ―ブチロラクトン、δ―バレロラクトン、β―メチルδ―バレロラクトン、ε―カプロラクトンなどが挙げられる。
【0010】
同様に、重合時のアルコール成分、即ち(共)重合する脂肪族多価アルコール類には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、その他のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジ−、トリ−、テトラプロピレングリコール、カーボネート結合を有するジオール類などが挙げられ、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等も使用することが可能である。なお、これら成分を複数組み合わせて用いてもよい。
【0011】
又、重合時の酸成分、即ち(共)重合する脂肪族多価カルボン酸類には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−ジシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、及びこれらのエステル誘導体、酸無水物等を使用することが可能である。なお、これら成分を複数組み合わせて用いてもよい。
【0012】
また更に、此に限定するものではないが、例えば、好ましい組み合せ例として、L−乳酸を主原料にして単独(二量体を含む)重合したもの、又はこれと少量のD−乳酸とを共重合したもの、D−乳酸を主原料にして単独(二量体を含む)重合したもの、又はこれと少量のL−乳酸とを共重合したもの、又はこれら両主原料それぞれと、DL体と共重合したもの、グリコール酸と共重合したもの、3−ヒドロキシ酪酸と共重合したもの、α―ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸と共重合したもの、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ε―カプロラクトンと共重合したもの、(前述のランダム、ブロック、両者の自由な混合構造を含む)等が挙げられる。また、これらのエステル類を原料として重縮合しても良い。
【0013】
更に、これらのL−乳酸を主体とした(単独・共)重合体80〜20重量%、好ましくは70〜30重量%、より好ましくは60〜40重量%と、これらのD―乳酸を主体とした(単独・共)重合体20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%との共存混合体による共晶体(いわゆるステレオコンプレックス体)も融点が更に上昇(約50℃)し、場合により好ましいものである。
【0014】
該樹脂(A)は、乳酸系単量体に、必要により上述の単量体を組み合わせて得られる乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とし、これらは、結晶融点(ここではDSC法に準じてスキャンスピード10℃/分で測定)が120〜250℃の樹脂である。その結晶構造は重合に用いる触媒などにより制御でき、アイソタクチック、シンジオタクテック、両者の混合する結晶構造、ブロック的結晶構造、その他種々のものが得られるが、要するに、主として上記結晶融点の範囲内で耐熱性を発揮する結晶融点成分であれば良い。
該樹脂の結晶融点が120℃未満ではラップフィルムの耐熱性、剛性が不足し、また結晶融点が250℃を超えると、融点が分解温度に近くなり、押出成形性や延伸性、熱処理
等の加工性が悪くなるため好ましくない。又、より好ましいこれらの範囲は、同じ理由で、下限が130℃上限が245℃であり、更に好ましくは下限が140℃上限が240℃である。
【0015】
更にフイルム化する原料としての該脂肪族ポリエステルの飽和結晶化度の範囲は通常20〜80%程度であり、好ましくは30〜70%である。又、フイルムの結晶化度の範囲は、通常20〜70%程度であり、好ましくは25〜60%である。これらの下限はフイルムの耐熱性より制限され、上限は原料の成形加工性不足、柔軟性不足(それ自身でも柔軟性が不足する他に、可塑剤を均一に含有し難くなり、有効な密着性を付与せしめ難くなる)、又はフイルムの透明性等より制限される。但し、原料の特性で加工条件(急冷等)、及び添加剤(結晶制御)等の影響によりフイルムに加工した後、上述より更に結晶化度が低くなるが、これを加熱使用(例えば調理)時、結晶化速度が速くて即座に結晶し、結果として有効に耐熱性がでる(フイルムが局部的にメルト、穿孔しない)場合は、使用前フイルム結晶化度の制限値下限は、この限りでない。この場合上記の脂肪族ポリエステルの内、生分解性機能を有するが、結晶化度が高い結果として(廃棄処理時、生ゴミと一緒にコンポスト化した場合)生分解し難いタイプの樹脂の廃棄物処理を容易にさせるのに好ましい場合もある。
【0016】
又、樹脂(A)は、主体となる乳酸系脂肪族ポリエステルの他に50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜30重量%の範囲内で、通常公知の他の脂肪族ポリエステル樹脂(前述の共重合する場合に述べた(共)重合体を含む)、又他の熱可塑性樹脂の少なくとも一種混合してもよい。これら樹脂には、乳酸系以外の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、芳香族系単量体単位を含む通常のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンービニルアルコール系共重合樹脂、エチレンースチレン共重合樹脂(含環水添物)、α−オレフイン−一酸化炭素共重合樹脂(含水添物)、エチレンー脂環族炭化水素共重合樹脂(含水添物)、スチレンとブタジエンないしイソプレン共重合樹脂(含水添物)、ポリカプロラクトン類などが挙げられる。
【0017】
混合使用する樹脂として、より好ましくはグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4―ヒドロキシブタン酸から選択される少なくとも1種の単量体(又これらのエステル)であり、これらを少なくとも50モル%以上含む重合体、及び共重合体、又はこれらに乳酸を85モル%以下含む共重合体が好ましい(但し、通常光学異性体も結晶構造に影響を与えるので別の単量体として換算することとする)。
又先述の、ステレオコンプレックス体のごときリジッドな、特殊な共晶構造になり、結果として、耐熱性等が発揮される場合はこの限りではなくその有効範囲内で混合使用すれば良い。
【0018】
本発明で使用される液状添加剤(B)は、ラップフィルムの引張弾性率の調整で取り扱い時のしなやかさ、密着性(同仕事量)付与等を好適な範囲にコントロールするために必要なもので、又使用後の廃棄処理(コンポスト化した場合)時に生分解性を高める為に有用なもので、その主成分の50℃での粘度(以後、B型粘度計での測定値)が5センチポイズ以上、100℃での粘度が500センチポイズ以下、好ましくは100℃での粘度が300センチポイズ以下であり、かつその主成分の沸点が170℃以上の液体が好適に使用可能である。
その添加量は、樹脂(A)100重量部に対し、1〜20重量部の範囲であり、好ましくは1〜15重量部であり、より好ましくは2〜10重量部の範囲である。
【0019】
これら添加剤としては、脂肪族アルコール、脂環族アルコール、又はこれらの多価アルコール、及びこれらの縮重合物からばれる少なくとも一種のアルコール、及び同アルコー
ルと脂肪族又は芳香族多価カルボン酸とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール及び/又は脂肪酸とのエステル、及びこれらエステルの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はそのエステル、該樹脂(A)のオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素系化合物よりなる低重合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種の可塑剤がより好適に使用可能である。
【0020】
例示に限定されるものではないが、これら添加剤には、グリセリン、ジグリセリン、・・・等のポリグリセリン類をアルコール成分とし、酸成分として脂肪族脂肪酸、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等との、モノ、ジ、トリ、・・・ポリエステル等より選ばれる少なくとも一種のエステル、又はソルビタンと上記脂肪酸とのエステル、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、およびこれらの縮重合物と上記脂肪酸とのエステル、又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸としてのクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等と炭素数10以下の低級アルコールとのエステル、又は多価カルボン酸としてのマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等と脂肪族アルコールとのエステル、これらエステルの変性物としてのエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などがある。
【0021】
好ましくは、これらから選ばれる少なくとも2種の粘度差(以後、50℃での粘度差が少なくとも3センチポイズ)のあるものを選定し混合使用すると良く、より好ましくは「高粘度物/低粘度物」の重量混合比を「0.5/10〜9/1」の範囲で混合使用するのが良く、更に好ましくは粘度差が少なくとも10のもの、及び「高粘度物/低粘度物」の重量混合比を「1/9〜5/5」の範囲で混合使用するのが良い。3種以上の添加剤を混合使用する場合は、全添加量が5重量%以上添加するものの内、いずれかの2成分が上記混合範囲を満たしていれば良い。その理由は、フイルム表面にブリードアウトする速度及び量が平均化されいずれの時点でも有効に相乗的に作用する場合が多いからである。
【0022】
本発明におけるフイルムの引張弾性率の範囲は、20〜150kg/mm2 の範囲であり、下限はフイルムの(刃切れ性の良い)カット性、フイルムの腰硬さ、フイルムの伸展性(引っ張り、カットした後、包装するまでの張り、防皺等)、取り扱い性等から制限され、一方上限はフイルムの破断伸びを適当値に制御する効果にも関係して、包装時のフイット性、(刃切れの良い)カツト性を保つためにに制限される。以上の理由で、好ましい範囲は25〜130kg/mm2 、より好ましくは範囲は25〜120kg/mm2 である。
【0023】
本発明でのフィルムの加熱収縮率の範囲は2%〜45%、好ましくは3%〜40%、より好ましくは3%〜35%である。その下限は加熱時のフイット性(多少収縮し、容器、盛り上がった内容物、容器外壁に仮密着したフイルムの皺を消失し密着面積の拡大、又はフイルムーフイルム面の皺で剥離しやすい所を少なくし、密着させる)等に有効で、加熱時の高温で水蒸気が出て剥離し密着不足になるのを防ぐ為に有効であり、上限はフイルム外れ、破れ、容器(プラスチックスの時)、内容物の変形等の問題をなくするためである。
【0024】
本発明でのフィルムの加熱収縮応力範囲は5〜350g/mm2 、好ましくは10〜300g/mm2 、より好ましくは10〜250g/mm2 である。下限は、加熱時の収縮率と共に、容器、被包装物へのフイット性(前述、加熱収縮率の時と同じ)、延伸による強度発揮、カット性等に問題を生じる様になり、上限は、加熱時の容器からのフイルム外れ、破れ、容器、内容物の変形等により制限される。
【0025】
本発明のフィルムでの密着性(同仕事量)範囲は、5〜30g・cm/25cm2 の範囲内であり、その下限以下では包装時、保存(含冷蔵)、加熱時の容器又はフイルム面同
士の密着不足によるフイルム剥がれが発生するからであり、上限は箱及びロールからの引き出し性不良となり、又包装時にフイルム同士が密着し過ぎ、カット後のフイルム展張性(重なった部分が剥がれ難く又重なりが自然に増加してしまう等)、包装性が悪くなるからである。この好ましい範囲は7〜25g・cm/25cm2 の範囲である。
【0026】
本発明のフィルムでの耐熱性の範囲は120℃以上、好ましくは130℃以上、より好まししくは140℃以上である。その下限の理由は、電子レンジ等で加熱中にフィルム破れ等によりフイルムが収縮し、内容物の飛散、乾燥しすぎ、水分不足で局部加熱になる等からである、その上限は特に限定しないが、他の特性と連動(例えば、加工性の悪化、引っ張り弾性率の高過ぎ等)しているため、好ましくは250℃程度である。又、上記の範囲の理由は、電子レンジ等での加熱初期は約100℃の水蒸気でフイルムが破損しなければ当面良いが、加熱終了期、特に水蒸気が少なくなった場合に内容物と接触している部分が、内容物に油成分と塩類の混合物が存在すると、特に高温になる場合があるからである。また、全体として耐熱性が悪いと孔があきこれが広がりフイルム成分が溶け衛生上好ましくないばかりか、容器無しで包装し加熱した場合フイルムが溶着してしまい、さらに取り出し中に真空状態に密着し内容物がそのまま取り出し不可になったりするからである。
【0027】
本発明での樹脂及びフィルムの結晶化度の範囲は前述のとおり、樹脂においては20〜80%、好ましくは30〜70%あり、フィルムにおいては20〜70%、好ましくは25〜60%である。実際にフイルムの結晶化度は、その組成物条件、原反の製造条件、延伸条件、熱処理条件等により自由に制御することができ、原料自身で測定された値より広範囲に変化させることができる。その上限は適性に配向結晶化させれば原料より高くすることも可能であることは当業者間で公知である。
なお、実施例に示される諸物性の測定法等については下記のとおりである。
【0028】
(1)引張弾性率
ここでいう引張弾性率とはASTM−D882に準拠して測定され、該フィルムの2軸延伸方向である縦、横方向における2%伸張時の応力値を100%に換算し、更に厚み換算した値の平均値で表し、弾性率(Kg/平方(sq)ミリメートル(mm)単位)で表す(以下、各項目にて、単位の表示は一部略す)。
(2)加熱収縮率
加熱収縮率は、100mm角のフイルム試料を付着防止のためタルク等の粉をまぶし、所定温度に設定したエヤーオーブン式恒温槽に水平に入れ自由に収縮する状態で10分間処理した後、フイルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比で表し、同様に縦、横方向の平均値(%単位)で表す。
【0029】
(3)加熱収縮応力値
加熱収縮応力値は、フイルムを幅10mmの短冊状にサンプリングし、それをストレインゲージ付きのチヤックにチヤック間隔50mmに所定の長さより5%緩め(長めに)てセットし、それを所定の温度に加熱したシリコーンオイル中に浸漬し、発生した応力を検出することにより得た値であって、浸漬後20秒以内における最大値で、同様に縦、横の値の平均値を厚み換算した値(g/平方ミリメートル単位、以後単にgと略す)で表す。
【0030】
(4)密着性(同仕事量)
密着性(同仕事量)とは、23℃、関係湿度65%の恒温室で、円面積が25平方センチメートルの、二つの円柱の各一端側に、しわの入らないように該フィルムを緊張させて固定し、その該フィルム面の相互が重なり合うように2本の円柱をあわせ、荷重500gで1分間圧着した後、引張試験機で該フィルム面を互いに垂直な方向に100mm/分のスピードで、引き剥がしたときの仕事量(g・cm/25cm2 、以後単位の一部は略す)で表す。
【0031】
(5)耐熱性耐熱性とは、100mm角のフレームに緊張状態で張ったフイルムの中央部に温度調節可能な、半径40mmの熱版に軽く1分間接触させ、フイルム面上に少なくとも合計面積で10平方ミリメートルの穿孔が発生する温度を5℃ピッチで測定し、その一歩手前の温度(サンプル繰り返し数、n=5の平均)で表す。
(6)結晶化度
結晶化度は、原料樹脂では結晶化に最適な温度で充分アニール処理し平衡状態としたものを広角X線回折法により求めた結晶化度を固定した標準試料の融解エネルギーとの相関を求めておき、簡易的にはDSC法(JIS−K7122に準処)にて検量線を求めておき、同法で目的サンプルを測定して定める。但し、製品のフイルムを測定する場合にはフイルムをそのまま含有する樹脂(A)成分(層)についてのみ換算(他樹脂混合、多層状とも)し、測定するものとする。
【0032】
本発明における樹脂組成物(C)は、乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂(A)100重量部あたり、液状添加剤(B)を1〜20重量部含んでいる。その好ましい範囲は1〜15重量部であり、より好ましくは2〜10重量部である。液状添加剤(B)の添加量が上記下限より少ないと、ラップフィルムの引張弾性率の調整、使い勝手(滑り性、ロール巻きよりの引き出し性、静電気発生制御、密着面積自己増大性、刃切れ性等)性、密着仕事量(密着力)等を、好適な範囲にコントロールできないので好ましくなく、又延伸安定性も良くない場合が多い。
【0033】
一方、液状添加剤(B)の添加量が上記上限よりも多いと、該樹脂(A)が場合により、可塑化されすぎて耐熱性が不足するばかりか、フイルム引っ張り弾性率(フイルム腰)が低下し、カット性、展張性、セット性、等の、取り扱い性が悪く成り、更に包装性を阻害する重複部が増加したり、これらに伴う皺部が剥離し難くなり伸ばし難く、張った状態で包装し難くなる。また、加熱によりフィルムが収縮し過ぎ容器からフィルムがはずれ抜けやすくなり、結果として内容物の加熱むらが生じ、また内容物が飛び散り庫内が汚れてしまう結果となる場合があり、過剰の添加剤(B)が時間の経過とともにラップフィルムの表面やロール端部に過剰にブリードアウトし、箱が汚れたり、ラップフィルムがべたついたり、密着性(仕事量)が好ましい範囲から外れたり、食品に移行したりするので好ましくない。
【0034】
樹脂組成物(C)は、成形・延伸してフィルム化され、適度にヒートセットされ、寸法安定性、最終的に結晶化度を制御して耐熱性を付与せしめて本発明の密着性耐熱ラップフィルムとなる。該フィルム化の方法には、T−ダイから押出し、キャストロールで急冷後、ロール延伸機やテンターで延伸する方法や環状ダイから単層状、又は必要に応じて多層状に、押出し、水冷リング等により、所定の温度に急冷後、次の行程で、所定の温度に加熱し、エアーを吹き込んでチューブラー延伸し、次にヒートセットする方法等があるが、製造プロセスが安価で生産性も良く、得られるフィルムの幅方向の厚み・偏肉分散・等を制御しやすい、製品化収率が良い等の理由で、後者の方法が好ましい。
【0035】
本発明の密着性耐熱ラップフィルムに適する100℃における加熱収縮率Xと加熱収縮応力Yとの関係は、X−Y座標系で前述の(式1)、(式2)、(式3)の線に囲まれた図形の範囲内であり、その理由は加熱収縮率Xが45%を超えるか、加熱収縮応力Yが350g/mm2 を超えると、例えば電子レンジ庫内での加熱時に皿にかぶせたラップフィルムが収縮して容器から外れたり、破れたり、容器又は被包装体(食品)が変形したりするので好ましくない。
なお、好ましい範囲の関係式は、下記の(式4)、(式5)、(式6)に囲まれる範囲である。
(式4) Y≦(1100−20X)/3
(式5) 3≦X≦40
(式6) 10≦Y≦300
【0036】
ここでいう加熱収縮率の好ましい範囲は3〜40%の範囲内であり、より好ましい範囲は3〜35%の範囲である。また、加熱収縮応力の好ましい範囲は10〜300g/mm2 の範囲内、より好ましい範囲は10〜250g/mm2 の範囲内である。なお、100℃の温度で表す理由は、主に電子レンジ等で耐熱容器に水分を含む被加熱物を入れ調理又は単に加熱処理する場合、当所は、約100℃の水蒸気に大部分が晒されて、膨らみ、加熱されるからである。
本発明における好ましい種々の包装適性は上記の特性及びその範囲で主に表されるがその他の官能的包装特性も実用上重要であり、前述及び実施例で好ましい範囲としてそれぞれを記す。
【0037】
本発明の密着性耐熱ラップフィルムの厚みは、家庭用ラップフィルムとしての扱いやすさや、原料コストの面から5〜15μmであることが好ましく、より好ましくは6〜13μmであり、更に好ましくは7〜11μmの範囲である。また、本発明の密着性耐熱ラップフィルムは、必要に応じて、少なくとも2層の互いに異なる該樹脂組成物(C)からなる同種層により構成される多層構造をとってもよい。
【0038】
また、本発明の密着性耐熱ラップフィルムは、必要に応じて、該樹脂組成物(C)からなる層が合計厚み比率10%〜95%、好ましくは同50%〜90%と、且つその他層として上記残り厚み(100%より引いた分)比率の少なくとも1層の他種樹脂層、即ち他の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO)、及び、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂をはじめとする芳香族系成分を含むポリエステル系樹脂(PEST)、エチレンービニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH)、αオレフィン−一酸化炭素共重合樹脂(含水添樹脂)、α−オレフィン(エチレン他)−スチレン共重合樹脂(含環水添樹脂)、エチレン−環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含水添樹脂)、ポリアミド系樹脂、カプロラクトン系樹脂等から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる少なくとも一層と、から構成される多層構造をとってもよく、更に任意の層を電子線等の高エネルギー線で照射処理し、架橋せしめて耐熱性を更に向上させても良い。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例などにより更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで使用する乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂は以下のものである。
A−1;ポリ−L−乳酸系樹脂で同D−型を2重量%共重合し含むもの(結晶融点174
℃、結晶化度55%)
A−2;L−乳酸にグリコール酸を3モル%共重合した樹脂(結晶融点167℃、結晶化
度53%)
A−3;D−乳酸に同L−乳酸を2モル%共重合した共重合体(結晶融点170℃、結晶
化度50%)
A−4;L−乳酸にα−ヒドロキシイソ酪酸を4モル%共重合した共重合体(結晶化度5
0%、結晶融点163℃)
A−5;L−乳酸にε−カプロラクトンを5モル%共重合した共重合体(結晶化度43%
、結晶融点148℃)
A−6;ポリーL―乳酸重合体(A−8、結晶融点178℃、結晶化度65%)と、3−
ヒドロキシ酪酸重合体(結晶融点160℃、結晶化度50%)を、それぞれ前者
が70重量%、後者が30重量%の混合組成物
A−7;L−乳酸単位にDL(ラセミ)体−乳酸単位を10モル%共重合した(結晶融点
157℃、結晶化度43%)
A−8;ポリーL―乳酸重合体(結晶融点178℃、結晶化度65%)
【0040】
また、ここに使用する液状添加剤(B)は、前述好ましい範囲(粘度)内の以下のものである。なお、カッコ内の数値は測定温度50℃/100℃における粘度をセンチポイズで示すものである。
B−1;テトラグリセリンモノラウレート(1700/150)
B−2;ジグリセリンモノラウレート(200/25)
B−3;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(18/2)
B−4;エポシキ化大豆油(110/16)
B−5;ミネラルオイル(13/3)
B−6;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート(210/34)
B−7;ヘキサグリセリン(1000/70)
B−8;アセチルトリブチルシトレート(11/2)
【0041】
また、ここに使用する樹脂組成物(C)は、以下のものである。
C−1;ポリL−乳酸(A−8,結晶融点178℃、結晶化度65%)80重量%にε−
カプロラクトン(R−1、結晶融点62℃、結晶化度45%)を20重量%加え
たもの100重量部に、B−2を4重量部、B−5を2重量部、B−1を1重量
部、混合した組成物
C−2;A−7が75重量%にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(エチレン39
モル%共重合)を25重量%加えたもの100重量部に、B−1を3重量部、B
−5を3重量部混合した組成物
C−3;A−7が85重量%にエチレン(一部プロピレン)−一酸化炭素共重合体の水添
共重合樹脂15重量%を加えたもの100重量部に、B−3を3重量部、B−4
を2重量部混合した組成物
C−4;A−6が80重量%にPEST−1としてポリブチレンテレフタレート系共重合
樹脂(アルコール成分としての1.4ブタンジオール80モル%、トリエチレン
グリコール19モル%、ポリテトラメチレングリコール1モル%を共重合したも
の:結晶融点220℃、結晶化度40%)20重量%を加えたもの100重量部
に、B−6を3重量部、B−7を2重量部混合した組成物
【0042】
また、包装性、その他に関する本発明での参考チェックポイントは、数値化が困難な、官能的な性能も含む以下の項目を好ましくは満たすことである。
(1) 小巻ロールのエージング保存性(30cm幅で50m巻きの箱に入れた製品を30℃、関係湿度65%下で30日保存時)で、ロール端部からの添加剤滲みだし、フイルムの適度な剥離性、フイルム表面べとつき等に問題無きこと。
(2) ロールの箱からの引き出し性、フイルム端部が伸び、静電気の発生がなく、手・箱等にステックせず、且つフイルムが展張し易く手で掴み易く、引き出し抵抗性が適度で有ること。
(3) カツト性、フイルムが展張したままでも皺がよることなく、適度な抵抗で心地良く(軽い音もたて)、伸びて永久変形することなく、正確にカット出来ること。
(4) フィルム展張性、切断後のフィルムが皺よったり重なったりせず、被包装物にうまくラッピングできること。
【0043】
(5) 密着性、容器(磁器、合成樹脂製共に)の種類にこだわること無く、又は容器無しでもフイルムー容器間、フイルムー被包装物間、フイルム間同士でも重なった部分が膨れあがることなく密着し、又それが低温保存中、加熱中でも外れてこないこと。
(6) 耐熱性で加熱中に裂けたり溶融して穴があいたり、フイルムが内圧に負けて伸び異
常に膨れあがらないこと。
(7) 保存中及び加熱中に、味・衛生性、食品に臭い、添加剤が移ったり、フイルムの破片が混入したりしないこと。
(8) 加熱後、フイルムを簡単に除去し易く、フイルム同士が溶着して剥離できなくなったり、場合により内容物又は容器(特に合成樹脂製)に溶着し汚さないこと。
(9) 使用後の廃棄処理に問題が少ないこと。
【0044】
【実施例1、2、比較例1、2】
表1に記載のごとく、乳酸系脂肪族ポリエステル(A)としてポリL−乳酸系樹脂(A−1)を、スクリュー径が50mm、スクリューの長さ方向途中の混練部相当箇所のシリンダー部に注入口を有する押出機を用いて、加熱混練り溶融し、液状添加剤(B)としてB−1/B−8の混合比2/3の混合物を樹脂100重量部に対し、表1記載の所定割合で注入し、充分混練りし、径が100mmφ、スリットが1.0mmの環状ダイより押し出し、チューブの内面に流動パラフィンを封入し、同外面を冷媒(水)により急冷固化し、折り幅140mmの均一なチューブ状原反を作成した。次いで、この原反を、均一な状態で自由にアニール処理し、2対の差動ニップロール間に通し、80℃の雰囲気下の加熱ゾーンを通し加熱し、70℃の熱風雰囲気下の延伸ゾーンで流れ方向出口部に設置してあるエヤー封入用ニップロールで内部に空気を圧入することにより、連続的に膨張バブルを形成させ、冷却ゾーンの延伸終了部で15℃の冷風を吹き付け、延伸を終了させ、次に出口部ニップロールを閉じ、ほぼ縦5倍、横4倍に同時2軸延伸し、更にそれぞれに温度制御したヒートセットゾーンに連続的に通し、次に巻き取り機で耳を切り取り、厚み約8μmの2枚のフイルムに巻き取った。
【0045】
実施例1、2のフイルムの延伸安定性は、比較例1,2の場合にバブルの揺れが多くて不安定であつたのに比し良かつた。次に、これらのフイルムを30cm幅の紙管に約50m巻いた小巻ロールに仕上げ、市販の家庭用ラップ用の箱(旭化成工業株式会社の塩化ビニリデン系樹脂製専用)に入れ、包装テストを実施した。
【0046】
【表1】
Figure 2000026623
【0047】
包装テストは、市販の電子レンジ加熱用磁器(又はプラスチックス)製容器にライスを盛り上げ、その上にカレーを乗せ電子レンジで加熱時間を種々変えてサンプル繰り返し数n=5で実施した。最初に、上記フイルムを収納したそれぞれの箱でラッピングした。
その結果、箱からの引き出し性は、実施例1、2のフイルムは、上記市販の塩化ビニリデン系樹脂製(以後、市販PVDCと略する)の場合と同様に適度な抵抗で正確に所定量
引き出せたが、比較例1(以後、比1と表す)のフイルムは箱から出過ぎたり、静電気が発生してあちこちにくっついたりして、好ましくなかった。また、比較例2(以後、同様に、比2と表す)のフイルムは、明らかにべとつき過ぎで、箱の一部にくっいたり、手にまとわりついたり、不具合いであった。
【0048】
次に箱についている刃物でのカット性に関しては、実施例1、2のフイルムは、市販PVDC製と同様に心地よく切れ、刃切れ性が良かった。比較例1はフイルムの弾性率が高過ぎる為、又密着性があまりに低い為に、カット時に、フイルムが箱先の押さえの部分に固定出来難く、局部的にずれ出てきたりして、刃先に食い込み難く、切断面が刃先から外れ斜めに裂けたりし、著しくカット性が悪かった。また、包装性が悪く(静電気でフイルム同士がくっいたり、どこか勝手な所にくっついたり、とは言っても肝心な容器、及びフイルム同士への密着性が全く無く、フイルムが広がってしまい包装を固定出来なく)使いものに成らなかった。比較例2はカット性は実施例に比し柔らか過ぎやや物足りない感じは有ったが、他に遜色は無かったが、べとつき、カット直後のフイルム展張保持性が悪く、オーバーラップ性がかえつて悪かつた。
【0049】
次に電子レンジでの加熱時では、比較例1は、フイルムが上記の様に密着しないので、水蒸気が漏れやすく、局部加熱に成りやすく、内容物が外にこぼれ安く、食品の味もまずく成ってしまつた。比較例2は、フイルムの収縮性が高く、密着部がずれて、フルムと容器が剥がれ易く、内容物(カレー)との接触部が、加熱時間がやや長い時は、破れる時が多かった。又プラスチックス(PP;ポリプロピレン)製の容器の場合は、容器に部分的に溶着し、フイルムの剥離後に容器の汚染が見られた。
実施例1、2のこれらの不良現象はいずれも全くなく、良好に包装及び加熱、又後で容易にフイルムを剥離除去でき、且つ調理品の味も良好であり本発明の好ましい特性の範囲内で有ることが判明した。
【0050】
【実施例3〜6】
表2に記載のごとく、各種脂肪族ポリエステル樹脂(A),特に実施例4では、A−1/A−3の混合比1/1を予め充分混練りし共晶を生成せしめる様に混和したものを準備し、次に更に表2記載の液状添加物(B)を樹脂100重量部に対し表2記載の所定量添加し、これを実施例1と同様な方法で延伸温度、延伸倍率、をそれぞれ調整し、同様に処理加工し、下記特性の、平均厚み9μmの延伸フイルムを得た。但し、実施例4のフイルムの結晶化度は、共晶成分主体のもので有った。延伸性はいずれも良く、大きな問題はなかつた。
【0051】
【表2】
Figure 2000026623
これらのフイルムを、実施例1の場合と同様に包装テストを実施した、その結果引き出し性、カット性、展張性、オーバーラップ性、密着性、加熱性、その他を順次、テストしたが、特に大きな問題は見られず、実施例1,2の場合と同様に好ましいものであった。
【0052】
【実施例7、8、比較例3、4】
表3に記載のごとく、各種前述の脂肪族ポリエステル(A)、及び液状添加剤(B)を選定し、表3記載の所定量を添加使用した。
比較例3では、脂肪族ポリエステルとして、L−乳酸73モル%とグリコール酸27モル%を共重合した結晶融点115℃、結晶化度16%の樹脂(D−1)を選定し、これを実施例1と同様な方法で、延伸条件をそれぞれ選定し、同様に処理した。但し、延伸温度条件は低めにし、熱処理温度も低めに調整して実施した。
比較例4の場合、延伸倍率条件を高めにし、原反、フイルムで熱処理条件を制御し、それぞれ下記特性の平均厚み約9.5μmのフイルムを得た。
【0053】
【表3】
Figure 2000026623
【0054】
これらのフイルムを、実施例1と同様に評価した。その結果、実施例7、8は、何ら問題なく使用でき、いずれも好ましいものであった。比較例3のフイルムは、箱のロールか
らフイルムの引き出し性が悪く、又柔軟すぎてつかみ難く、歯切れ性も軽快で無かった。同様な電子レンジでの加熱テストでは、初期の水蒸気発生の段階でフイルムが異常に膨れた後、収縮し、密着部が外れ易かったり、パンクし易かった。又加熱の後期でカレーの具との接触部が溶融し穴があく現象が見られた。又、容器に部分的に溶けて融着し、容器を汚す傾向があった。比較例4のフイルムは、フイルムの引張弾性率が高過ぎるためパリパリし過ぎ、カット時に刃先と別の方向に裂けやすく、且つ、容器への密着時にフイルム重なり部が戻り、ゆるみ易かった。加熱時も、フイルムの収縮応力が高いためか容器外壁部で局部的に、ゆるみ易かった。ゆるまない時は、内容物との接触部から時々破れる場合が有った。又プラスチックス(PP製)容器では、容器の変形が発生した。
【0055】
【実施例9〜12】
表4に記載のごとく、乳酸系脂肪族ポリエステル(A)に他の樹脂を所定量加え、さらに該添加剤(B)を所定量混合した樹脂組成物(C)を作成し、実施例1と同様に、加工し、平均厚み約9.2μmのフイルムを得た。
【0056】
【表4】
Figure 2000026623
これらのフイルムを、実施例1と同様に評価した。いずれも同様に大きな問題は無く良好に、包装及び加熱処理が出来、好ましい範囲内の性能であった。
【0057】
【実施例13】
脂肪族ポリエステル(A)として、前述のA−1、その他の樹脂として前記PEST−1,該添加剤(B)としてB−6を5重量部、B−1を1重量部、両者にそれぞれに別に、同様な二台の押し出し機に前述同様に混合し、多層環状ダイより2種3層状(A−1/PEST−1/A−1:層構成比は35/30/35それぞれ%)に、押し出し、実施例1と同様に、約8μmの延伸フイルムに加工した。その特性は、「引張弾性率/加熱収縮率/同応力/耐熱性/密着仕事量/フイルム結晶化度」の順に表して、「85/15/200/200/16/43(それぞれの単位は略す)」であつた、各包装テストも大きな問題は無く、本発明の好ましい範囲内の特性であった。
【0058】
【実施例14】
実施例13において中間層を添加剤(B)を加えないエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(メルトインデックス:0.8、密度:0.928)とし、原反に電子線(エネルギー:500KV)で線量6メガラドの処理をした以外は実施例13と同じくして、上記と同様に加工して、約9μmの延伸フイルムを得た。その特性は、実施例13記載と同様の順に、50/17/140/210/17/42(それぞれの単位は略す)であつた。包装テストも、大きな問題が見られなく、好ましい範囲内の特性のものであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、包装時の種々の要求特性(引き出し性、カット性、展張ハンドリング性、密着性セット性、耐熱性、等)を叶え、使い勝手の良い、且つ使用時の安全性及び廃棄処理もより環境安全上に都合の良いハウスホールドラップ用フィルムを提供することができた。
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