JPH0841570A - 陽極酸化処理後の色調が青味グレー色のアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

陽極酸化処理後の色調が青味グレー色のアルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH0841570A
JPH0841570A JP19769394A JP19769394A JPH0841570A JP H0841570 A JPH0841570 A JP H0841570A JP 19769394 A JP19769394 A JP 19769394A JP 19769394 A JP19769394 A JP 19769394A JP H0841570 A JPH0841570 A JP H0841570A
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less
color tone
range
aluminum alloy
mnfe
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JP19769394A
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Mamoru Matsuo
守 松尾
Iwao Shu
岩 朱
Tsutomu Tagata
勉 田形
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Sky Aluminium Co Ltd
Original Assignee
Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 建材等に使用されるAl合金圧延板として、
陽極酸化処理後の色調が、黄味を抑えた青味がかった濃
いグレー色となるような圧延板を提供する。 【構成】 請求項1:Mg1.2〜5.5%、Mn0.
3〜0.8%、Ga0.0040〜0.05%、Fe
0.5%以下、Si0.2%以下、Cr0.2%以下、
Ti0.003〜0.20%(+B1〜100ppm)
を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、
しかも0.05〜1.5μmのAl6 MnもしくはAl
6 (MnFe)が5×103 〜1×107 個/mm2
密度で分散しているAl合金圧延板。 請求項2:前記
合金を鋳造後、400〜600℃×0.5〜24時間の
予備熱を行ない、さらに350〜530℃×0.5〜2
4時間の熱間圧延前加熱を行なってAl−Mn系金属間
化合物を析出させ、その後一次冷間圧延、中間焼鈍、最
終冷間圧延を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は陽極酸化処理を施して
使用される用途のアルミニウム合金材料、特にビルのカ
ーテンウォールや建築外装材、内装材などの建材、ある
いは器物、容器、各種電気機器の筐体や外板等に使用さ
れるアルミニウム合金およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般にカーテンウォールや建築外装材、
内装材などの建材、あるいは器物、容器、電気機器の筐
体、外板などに使用されるアルミニウム合金は、美観と
耐食性の観点から陽極酸化処理を施して用いられること
が多い。これらの用途の陽極酸化処理用アルミニウム合
金としては、陽極酸化処理後の色調が淡灰色系からシル
バー系のものが多く、このような合金としては一般にJ
IS 1050合金、1100合金、5005合金等が
代表的である。また陽極酸化処理後の色調がグレー(灰
色)系のものとしてはAl−1〜4%Si合金が一般的
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】各種の色調のうちでも
グレー系(灰色系)の色調は、落ち着いた質感を与える
ことから、カーテンウォールや外装材、内装材などの建
材の用途に好まれることが多い。そしてグレー系の色調
のうちでも、黄味を帯びたグレーでは、軽い印象あるい
は安っぽい印象を与えることが多く、一方、黄味を抑え
て青味がかった濃いグレーの場合は逆に高級感、安定感
を与えるところから、建材の用途に用いられるグレー系
としては、黄味を抑えた青味がかった濃いグレーが求め
られることが多くなっている。
【0004】ところで陽極酸化処理後の色調としてグレ
ー系の色調が得られることで知られている従来のAl−
Si系合金では、グレーを濃色化しようとすれば黄味が
強くなり、その反面黄味を抑えようとすればグレーが淡
くなる傾向がある。そのため従来のAl−Si系合金で
は、陽極酸化処理後の色調として、黄味を抑え、青味が
かった濃いグレーの色調を確実かつ安定して得ることは
困難とされていた。
【0005】そのほか従来のAl−Si系合金では、S
iを多量に含有しているため、陽極酸化処理時等の表面
処理時におけるデスマット性が悪く、そのためスマット
除去に手間を要する問題があり、そこでAl−Si系以
外の系の合金で濃いグレーの色調を得ることが望まれて
いる。
【0006】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、建材等に陽極酸化処理を施して使用されるア
ルミニウム合金板として、特に陽極酸化処理後に黄味を
抑えた青味がかった濃いグレーの色調を呈するアルミニ
ウム合金板およびその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のような課題を解
決するべく、本願発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結
果、合金成分組成として、MgおよびMnを適切に配合
すると同時に微量のGaを添加し、かつ製造プロセスを
適切に制御して、特定の種類、大きさの金属間化合物析
出物の分布密度を適切に調整することによって、陽極酸
化処理後の色調として、黄味を抑えた青味がかった濃い
グレー色が得られることを見出し、この発明をなすに至
った。
【0008】具体的には、請求項1の発明のアルミニウ
ム合金板は、Mg1.2〜5.5%、Mn0.3〜0.
8%、Ga0.0040〜0.05%を含有し、かつF
eを0.5%以下、Siを0.2%以下、Crを0.2
%以下にそれぞれ規制し、さらに鋳塊組織微細化剤とし
てTi0.003〜0.20%を単独でもしくはB1〜
100ppmと組合せて含有し、残部がAlおよび不可
避的不純物よりなり、しかも0.05〜1.5μmの範
囲内の大きさのAl6 MnもしくはAl6 (MnFe)
からなる金属間化合物析出物の分布密度が5×103
1×107 個/mm2 の範囲内であることを特徴とする
ものである。
【0009】また請求項2の発明のアルミニウム合金板
の製造方法は、Mg1.2〜5.5%、Mn0.3〜
0.8%、Ga0.0040〜0.05%を含有し、か
つFeを0.5%以下、Siを0.2%以下、Crを
0.2%以下にそれぞれ規制し、さらに鋳塊組織微細化
剤としてTi0.003〜0.20%を単独でもしくは
B1〜100ppmと組合せて含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなる合金を鋳造した後、鋳造材に
対して400〜600℃において0.5〜24時間の予
備熱処理を施し、次いで350〜530℃において0.
5〜24時間の加熱処理を施してから350〜530℃
の範囲内の温度で熱間圧延を開始し、さらに5%以上の
圧延率で一次冷間圧延を施した後、250〜500℃×
0.5〜24時間のバッチ焼鈍もしくは400〜590
℃×0〜3分の連続焼鈍による中間焼鈍を施し、その後
圧延率85%以下の最終冷間圧延を施し、これによって
0.05〜1.5μmの範囲内の大きさのAl6 Mnも
しくはAl6 (MnFe)からなる金属間化合物析出物
の分布密度が5×103 〜1×107 個/mm2 の範囲
内の圧延板を得ることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】この発明のアルミニウム合金板においては、陽
極酸化処理後の色調として、黄味を抑え、青味がかった
濃いグレーの色調を得るためには、合金成分組成と、金
属間化合物の析出状態が重要である。そこで先ず合金成
分組成の限定理由について説明する。
【0011】Mg:Mgは強度向上に寄与し、建材等に
要求される強度を満たすに必要な合金元素であり、しか
もそればかりでなく、Al−Mn系金属間化合物の析出
を促進して、間接的に陽極酸化処理後の色調を決定する
に関与する。すなわち、Mg量が多いほどAl−Mn系
の微細な金属間化合物析出物が多くなり、陽極酸化処理
後に濃いグレー色が得られるようになる。Mg量が1.
2%未満ではこれらの効果が充分に得られず、一方Mg
量が5.5%を越えれば、陽極酸化処理後の色調の濃色
化には有効であるが、鋳造性が悪くなって実際的でな
い。そこでMg量は1.2〜5.5%の範囲内とした。
なおこの範囲内でもMg量は特に4.5%を越え5.5
%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0012】Mn:Mnはこの発明において陽極酸化処
理後の色調を決定するために重要な元素である。すなわ
ちMnはAl−Mn系の金属間化合物を生成し、このA
l−Mn系金属間化合物は陽極酸化処理後も陽極酸化皮
膜中に残ってグレー色の色調を得るに寄与する。本発明
者等は、Al−Mn系金属間化合物析出物の種類と、サ
イズ、分布密度が陽極酸化処理後の色調に大きな影響を
及ぼし、これらを適切に制御することによって濃いグレ
ーの色調が得られることを見出した。すなわちAl−M
n系の金属間化合物の種類としては、Al6 Mn、Al
6 (MnFe)、αAl(MnFe)Si、およびこれ
らにCr、Ti等が少量固溶したものなどがあるが、こ
れらのうち、特にAl6 Mn、Al6 (MnFe)がグ
レー色の色調を得るに寄与し、一方αAl(MnFe)
Siは黄色の色調に寄与する。したがってこの発明の場
合は、Al6 MnもしくはAl6 (MnFe)を適切に
析出させることが重要であり、本発明者等の実験・検討
によれば、サイズが0.05〜1.5μmの範囲内のA
6 Mn、Al6 (MnFe)の析出物が5×103
1×107 個/mm2 の分布密度で分散していること
が、陽極酸化処理後に濃いグレー色を得るために必要で
あることを見出した。このようなAl6 Mn、Al
6(MnFe)析出物のサイズ、分布密度の限定理由に
ついては後に改めて説明するが、Mn量が0.3%未満
では上述のような析出状態を達成することが困難で、陽
極酸化処理後に濃いグレー色の色調が得られない。一方
Mn量が0.8%を越えれば逆に析出物が多過ぎて陽極
酸化処理後の色調の黒色化を招いてしまう。したがって
Mn量は0.3〜0.8%の範囲内とした。
【0013】Ga:Gaもこの発明において陽極酸化処
理後の色調に重要な影響を与える元素である。すなわち
Gaは固溶状態で陽極酸化処理後の色調に均一な青味を
与える。Ga量が0.0040%以下ではこの効果が充
分に得られず、0.05%を越えればその効果が飽和
し、経済性が悪くなるだけである。したがってGaは
0.0040〜0.05%の範囲内とした。
【0014】Fe:FeはAl−Mn系金属間化合物の
析出に影響を与えるが、0.5%以下では陽極酸化皮膜
の黒色の色調に対し本質的な影響は与えない。Feが
0.5%を越えればAl3 Fe晶出物が多くなって、陽
極酸化処理後の表面に色ムラやスジ欠陥が生じやすくな
るから、Fe量は0.5%以下に規制する必要がある。
【0015】Si:SiもAl−Mn系金属間化合物の
析出に影響を与えるが、0.2%以下であれば陽極酸化
処理後の色調に本質的な影響は与えない。しかしなが
ら、Siが0.2%を越えればαAl(MnFe)Si
金属間化合物が多量に生成され、陽極酸化処理後の色調
に黄味が強くなって、この発明で目的とする黄味を抑え
た濃いグレーの色調を達成できなくなる。したがってS
i量は0.2%以下に規制する必要がある。
【0016】Cr:Crは0.2%以下では陽極酸化処
理後の色調に本質的な影響は与えないが、0.2%を越
えればグレーの色調に黄味が強くなるから、0.2%以
下に規制する必要がある。
【0017】Ti、B:Tiは鋳塊の結晶粒を微細化し
て、圧延板のストリークス、キメを防止する効果がある
が、Ti0.003%未満ではその効果が得られず、一
方Tiが0.20%を越えればTiAl3 系粗大金属間
化合物が生成されてしまうから、Tiは0.003〜
0.20%の範囲内とした。またBはTiと共存して結
晶粒微細化を促進する元素であり、Tiと組合されて添
加されることがある。但しB量が1ppm未満ではその
効果が得られず、一方100ppmを越えればその効果
が飽和し、また粗大TiB2 粒子が生成されて線状欠陥
が発生するから、Tiと組合されて添加するBは1〜1
00ppmの範囲内とした。
【0018】このほか、Al−Mg系合金においては、
溶湯の酸化を防止するために微量のBeを添加すること
が従来から行なわれているが、この発明のアルミニウム
合金の場合にも500ppm程度以下のBeを添加する
ことは特に支障ない。
【0019】さらに一般のアルミニウム合金において
は、Ni、Zr、V、Cu、Zn等が含まれることがあ
るが、これらはこの発明の効果、特に陽極酸化処理後の
色調を損なわない範囲内で含有することが許容される。
【0020】さらにこの発明のアルミニウム合金板で
は、前述のように合金成分組成ばかりでなく、Al−M
n系金属間化合物の析出物、特にAl6 Mn、Al
6 (MnFe)のサイズ、分布密度を制御することが、
陽極酸化処理後に濃いグレーの色調を得るために重要で
ある。すなわち、0.05〜1.5μmの粒径のAl6
MnもしくはAl6 (MnFe)からなる微細な金属間
化合物析出物が、5×103〜1×107 個/mm2
分布密度で分散していることが必要である。このような
粒径の微細なAl6 Mn、Al6 (MnFe)が5×1
3 個/mm2 未満では陽極酸化処理後の色調が淡くな
り、一方1×107 個/mm2 を越えれば陽極酸化処理
後の色調が黒色となってしまう。ここで、0.05μm
より小さいサイズの金属間化合物析出物は、陽極酸化処
理後の色調に大きな影響を与えない。一方1.5μmを
越える粗大な金属間化合物析出物が存在すれば、析出物
の個数は減少する傾向を示し、この場合5×103 個/
mm2 以上の分布密度条件を満たすことが困難となる。
そこでこの発明では0.05〜1.5μmのサイズの析
出物の分布密度で規定することとした。
【0021】以上のように金属間化合物Al6 Mn、A
6 (MnFe)の析出物のサイズ、分布密度を達成す
るためには、合金成分組成、特にMn、Mgの含有量を
適切に調整すると同時に、製造プロセス、特に熱間圧延
前の加熱を適切に制御することが必要である。
【0022】以下にこの発明のアルミニウム合金板の製
造方法について説明する。
【0023】先ず前述のような成分組成の合金を常法に
従って鋳造する。鋳造方法としてはDC鋳造法(半連続
鋳造法)が一般的であるが、薄板連続鋳造法(連続鋳造
圧延法)を適用することもできる。
【0024】得られた鋳造材に対しては、先ず予備熱処
理を施す。この予備熱処理は、通常の鋳塊均質化処理
(均熱処理)と同様に元素の偏析を解消して均質化効果
をもたらすと同時に、Al−Mn系金属間化合物を析出
させるための析出処理の効果をも狙ったものである。こ
の予備加熱処理は400〜600℃の範囲内の温度で
0.5〜24時間加熱する必要がある。温度が400℃
未満でも析出の効果は得られるが、均質化効果が不充分
となり、一方600℃を越えれば共晶融解反応が生じる
おそれがある。また時間が0.5時間未満では、均質化
効果、析出効果が充分ではなく、一方24時間を越える
長時間の加熱は経済性を損なうだけである。
【0025】前述のような予備加熱処理の後、熱間圧延
前の加熱処理として、350〜530℃の範囲内の温度
で0.5〜24時間の加熱を行なう。この加熱処理は、
単に熱間圧延開始のための温度を得るばかりでなく、適
切なAl−Mn系金属間化合物の適切な析出状態を得る
ために重要な工程であり、比較的低温で長時間加熱する
ことによって充分な析出を図る。すなわち、固溶されて
いるMnをこの段階で充分に析出させておいて、最終板
の状態で0.05〜1.5μmの大きさの析出物の分布
密度が5×103 〜1×107 個/mm2 の範囲内とな
るように制御する。この加熱処理の温度が350℃未満
では熱間圧延が困難となり、一方530℃を越える高温
では充分な析出を図れなくなる。また時間が0.5時間
未満でも充分な析出を図ることができず、一方24時間
を越えれば析出の効果は飽和し、経済性が低下するだけ
である。
【0026】上述のように350〜530℃の範囲内の
温度の加熱処理を施してからその温度で熱間圧延を開始
する。この熱間圧延は常法に従って行なえば良い。
【0027】熱間圧延後には一次冷間圧延を施してから
中間焼鈍を施し、さらに最終冷間圧延を施して最終板と
する。ここで、一次冷間圧延は圧延率5%以上で行な
う。中間焼鈍前の一次冷間圧延率が5%未満では、中間
焼鈍時に再結晶が生じにくくなるばかりでなく、逆に一
旦再結晶が生じてしまえば粗大な結晶粒となりやすく、
そのため肌荒れなどの欠陥を招くおそれがある。
【0028】また中間焼鈍は、陽極酸化処理後の色調の
点からは特に必要ではないが、カーテンウォールなどの
建材の用途では曲げ性、平坦度などが重要であり、これ
らを確保するために中間焼鈍を行なう。この中間焼鈍は
バッチ方式、連続焼鈍方式のいずれを適用しても良く、
バッチ方式の場合は250〜500℃の範囲内の温度で
0.5〜24時間の加熱保持とし、連続焼鈍の場合は4
00〜590℃で保持なしもしくは3分以下の保持とす
る。バッチ方式の中間焼鈍の場合、温度が250℃未満
では充分に再結晶せず、一方500℃を越えればMnが
再固溶されて所定の析出物密度が得られず、陽極酸化処
理後の色調が淡くなってしまう。またバッチ方式の中間
焼鈍の時間が0.5時間未満でも充分に再結晶せず、一
方24時間を越える保持は経済的に無駄となるだけであ
る。さらに連続焼鈍を適用した中間焼鈍の場合、温度が
400℃未満では再結晶が充分に完了せず、一方590
℃を越えれば共晶融解が生じるおそれがあり、また3分
を越える保持では、高温の場合にMnが再固溶されて陽
極酸化処理後の色調が淡くなってしまうおそれがある。
【0029】中間焼鈍後の最終冷間圧延は、圧延率85
%以下とする。最終冷間圧延率が85%を越える場合
は、建材等として曲げ加工性が悪くなり、曲げ加工によ
る材料割れが生じやすくなってしまう。
【0030】以上のようなプロセスを適用することによ
って、最終的に0.05〜1.5μmの範囲内のAl6
MnもしくはAl6 (MnFe)からなる析出物の分布
密度が5×103 〜1×107 個/mm2 の範囲内の圧
延板を得ることができる。
【0031】なお以上のようにして得られた圧延板に対
して陽極酸化処理を施すための具体的方法は特に限定さ
れないが、この発明による圧延板の場合、経済性の良好
な硫酸電解浴を用いた陽極酸化処理によって、黄味を抑
え、青味を帯びた濃いグレー色の色調を確実かつ安定し
て得ることができる。
【0032】なおまた、陽極酸化処理後の色調について
は、ハンターの色差式(JIS Z8730参照)によ
る明度指数Lとクロマティクネス指数a,bの値によっ
て評価することができる。すなわち明度指数Lの値は高
いほど白く、一方クロマティクネス指数は着色度につい
てのものであって、aの値は高いほど赤味が、低いほど
青味が強く、bの値は高いほど黄味が、低いほど青味が
強いことをあらわす。そしてこの発明で目的とする、黄
味を抑えた青味を帯びた濃いグレー色の色調とは、L
値、a値、b値が 45<L<75 −20<a<2.0 −20<b<2.5 を満たす色調と定義することができる。
【0033】
【実施例】表1に示す合金番号1〜4の合金についてD
C鋳造法によって450mm×1200mm×4000
mmのスラブに鋳造し、表1中に示す条件で予備加熱を
行ない、さらに面削後、表1中に示す条件で熱間圧延前
加熱処理を行ない、熱間圧延を施して8.0mm厚の熱
延板を得た。各熱延板について2.8mm厚まで一次冷
間圧延を施した後、表1中に示すようにバッチ方式もし
くは連続焼鈍によって中間焼鈍を施し、その後最終冷間
圧延を行なって1.8mm厚に仕上げた。
【0034】その後、各圧延板について、10%NaO
H水溶液でエッチングし、水洗後、硝酸でデスマット処
理を行なった。次いでH2 SO4 濃度15vol%の硫
酸電解浴を用い、電流密度1.5A/dm2 、浴温20
℃の条件で陽極酸化処理を施し、それぞれ膜厚20μm
の陽極酸化皮膜を生成させた。
【0035】各圧延板の陽極酸化処理後の色調につい
て、ハンターカラーメータ(SM−3−MCH)を用い
て調べ、ハンターの色差式によりL値、a値、b値で評
価した。また同時に目視観察によっても色調を評価し
た。さらに各圧延板について、0.05〜1.5μmの
大きさのAl6 MnもしくはAl6 (MnFe)からな
る析出物の分布密度を調べた。これらの結果を表3に示
す。なお析出物の分布密度は、透過電子顕微鏡を用い
て、10000倍の倍率で15視野を観察した平均の分
布密度で示した。また析出物の大きさは、いずれも析出
物の面積と等しい面積を有する円に置き換えたときの円
の直径の大きさで調べた。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】表3から理解できるように、合金の成分組
成がこの発明で規定する範囲を満たし、かつ製造プロセ
スもこの発明で規定する条件を満たすように制御して、
0.05〜1.5μmのAl6 Mn、Al6 (MnF
e)の析出物の分布密度が5×103 〜1×107 個/
mm2 の範囲内となった圧延板(製造条件番号1〜5)
は、いずれも陽極酸化処理後の色調として、黄味を抑え
た青味を帯びた濃いグレー色の色調が得られた。
【0040】これに対し、製造条件番号6の場合、合金
成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、析出物
の分布密度が高過ぎ、そのため陽極酸化処理後の色調が
グレーというよりも濃い黒色となってしまった。また製
造条件番号7の場合も、合金成分組成はこの発明で規定
する範囲内であるが、析出物の分布密度が低過ぎ、陽極
酸化処理後の色調が充分に濃色とならず、淡色となって
しまった。さらに合金のCr含有量が高過ぎた場合(製
造条件番号8)には、陽極酸化処理後の色調が黄味を帯
びてしまった。そしてまた合金のGa添加量が不足した
場合(製造条件番号9)にも、陽極酸化処理後の色調に
黄味が強くなり、またこの場合析出物の分布密度も高か
ったため、黒色に近い状態となってしまった。
【0041】
【発明の効果】この発明のアルミニウム合金圧延板は、
合金の成分組成を適切に規定するとともに、金属間化合
物析出物の種類、大きさ、分布範囲を適切に調整するこ
とによって、陽極酸化処理後の色調として、黄味が少な
く青味がかった濃いグレー色の色調を確実かつ安定して
得ることができる。また特に請求項2の発明の製造方法
によれば、上述のような色調を得るに適した析出物分散
状態を有するアルミニウム合金圧延板を量産的規模で確
実かつ安定して製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg1.2〜5.5%(重量%、以下同
    じ)、Mn0.3〜0.8%、Ga0.0040〜0.
    05%を含有し、かつFeを0.5%以下、Siを0.
    2%以下、Crを0.2%以下にそれぞれ規制し、さら
    に鋳塊組織微細化剤としてTi0.003〜0.20%
    を単独でもしくはB1〜100ppmと組合せて含有
    し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、しかも
    0.05〜1.5μmの範囲内の大きさのAl6 Mnも
    しくはAl6 (MnFe)からなる金属間化合物析出物
    の分布密度が5×103 〜1×107 個/mm2 の範囲
    内であることを特徴とする陽極酸化処理後の色調が青味
    グレー色のアルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Mg1.2〜5.5%、Mn0.3〜
    0.8%、Ga0.0040〜0.05%を含有し、か
    つFeを0.5%以下、Siを0.2%以下、Crを
    0.2%以下にそれぞれ規制し、さらに鋳塊組織微細化
    剤としてTi0.003〜0.20%を単独でもしくは
    B1〜100ppmと組合せて含有し、残部がAlおよ
    び不可避的不純物よりなる合金を鋳造した後、鋳造材に
    対して400〜600℃において0.5〜24時間の予
    備熱処理を施し、次いで350〜530℃において0.
    5〜24時間の加熱処理を施してから350〜530℃
    の範囲内の温度で熱間圧延を開始し、さらに5%以上の
    圧延率で一次冷間圧延を施した後、250〜500℃×
    0.5〜24時間のバッチ焼鈍もしくは400〜590
    ℃×0〜3分の連続焼鈍による中間焼鈍を施し、その後
    圧延率85%以下の最終冷間圧延を施し、これによって
    0.05〜1.5μmの範囲内の大きさのAl6 Mnも
    しくはAl6 (MnFe)からなる金属間化合物析出物
    の分布密度が5×103 〜1×107 個/mm2 の範囲
    内の圧延板を得ることを特徴とする陽極酸化処理後の色
    調が青味グレー色のアルミニウム合金板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113637926A (zh) * 2021-08-13 2021-11-12 联想(北京)有限公司 一种5系铝合金的轧制退火工艺

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