JP2764463B2 - 陽極酸化処理後の色調が黒色のアルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

陽極酸化処理後の色調が黒色のアルミニウム合金およびその製造方法

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JP2764463B2 JP20164290A JP20164290A JP2764463B2 JP 2764463 B2 JP2764463 B2 JP 2764463B2 JP 20164290 A JP20164290 A JP 20164290A JP 20164290 A JP20164290 A JP 20164290A JP 2764463 B2 JP2764463 B2 JP 2764463B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は陽極酸化処理を施して使用される用途のア
ルミニウム合金材料、例えばビルのカーテンウォールや
内装材などの建材、あるいは器物、容器、電気計測機器
筐体、銘板、さらには遠赤外線放射用部材や太陽熱吸収
用部材等に使用されるアルミニウム合金およびその製造
方法に関するものである。
従来の技術 一般にカーテンウォールや内装材など建材、あるいは
器物、容器、電気計測機器筐体などに使用されるアルミ
ニウム合金は、耐食性の観点から陽極酸化処理を施して
用いられることが多い。これらの用途の陽極酸化処理用
アルミニウム合金としては、淡灰色系からシルバー系の
ものが多く、このような合金としては一般にJIS 1050合
金、1100合金、5005合金等が使用されることが多く、ま
た灰色系のものとしてはAl−1〜4%Si合金が一般的で
ある。また陽極酸化処理には、経済性および耐食性の点
から硫酸電解浴が従来から多用されている。
ところでビルの外装材や内装材などの建材の用途にお
いては、色調の多様化が進んであり、デザイン上の要請
などから黒色の色調を有するアルミニウム合金材料が求
められることがある。一方器物、容器、電気計測器筐体
や銘板などの用途でもデザイン上の観点から黒色の色調
を有することが求められる場合があり、またこれらのう
ちでも調理用容器、器物などでは熱効率上の要請から黒
色の色調が望まれることがある。さらに、黒色の色調
は、遠赤外放射に有効であるとともに、太陽熱吸収にも
有効であることから、これらの部材には黒色の色調が求
められる。
一般に陽極酸化処理板の所要の色調を与えるための方
法としては、塗装、染色、二次電解着色、陽極酸化処理
液による発色等があるが、経済性や耐食性、退色性等の
点からは、陽極酸化処理のまま、特に低廉な硫酸浴によ
る陽極酸化処理のままでの発色が望まれている。しかし
ながら前述のように黒色の色調を有するアルミニウム合
金陽極酸化処理材を得る方法としては、従来は二次電解
法や染色法あるいは塗装などに依らざるを得ず、陽極酸
化処理のままで、特に経済性や耐食性の優れた通常の硫
酸電解浴による陽極酸化処理のままで黒色の色調を得る
ことは困難とされていたのが実情である。
そこで本願発明者等は既に特願平2−54175号(特開
平3−257132号)、特願平2−54177号(特開平3−257
135号)において、鋳像速度5℃/sec以上の主に薄板連
続鋳造法を適用することにより、硫酸浴による陽極酸化
処理のままで黒色の色調が得られるようにしたAl−Mg−
Mn系合金を提案している。また同じく本願発明者等は既
に特願平2−54176号(特開平3−257134号)におい
て、鋳造速度にかかわらず、硫酸浴による陽極酸化処理
のままで黒色の色調が得られるようにした、Mg量が2.0
〜4.5wt%の比較的高MgのAl−Mg−Mn系合金を提案して
いる。
発明が解決しようとする課題 前述のような本願発明者等による提案のうち、特願平
2−54175号(特開平3−257132号)、特願平2−54177
号(特開平3−257135号)の提案によるAl−Mn−Mg系合
金では、薄板連続鋳造で代表される鋳造速度の速い鋳造
を適用した場合に陽極酸化処理後の色調として黒色が得
られるが、この場合は表面模様が生じやすく、そのため
均一な黒色が要求される建材等の用途では未だ不充分と
言わざるを得なかった。また特願平2−54176号(特開
平3−257134号)による提案のAl−Mn−Mg系合金ではMg
を2.0〜4.5wt%と比較的多量に含有させることによって
陽極酸化処理後の色調として黒色を得ることが可能とな
っているが、このように比較的Mgを多量に含有する合金
では、材料が硬くて加工性が悪く、成形加工によってリ
ューダースマークが発生しやすく、また圧延に困難を伴
なう等の問題がある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、
鋳造速度の比較的遅いDC鋳造法を適用して、通常の硫酸
電解浴を用いた陽極酸化処理のままで黒色の色調を得る
ことができ、かつ加工性も優れたアルミニウム合金およ
びその製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
課題を解決するための手段 前述のような課題を解決するべく本発明者等が鋭意実
験・検討を重ねた結果、合金中におけるMn系析出物のサ
イズと種類が、本質的に陽極酸化皮膜の黒色化に寄与す
ること、そして合金成分量と合金中におけるMn系析出物
のサイズと種類を適切に調整することによって、加工性
を損なうことなく、硫酸電解浴による陽極酸化処理後の
色調が黒色となるアルミニウム合金をDC鋳造によって得
られることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、請求項1の発明のアルミニウム合金は、
Mn0.6wt%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Fe0.3wt%以下、
Si0.1wt%以下を含有し、かつ結晶微粒細化剤としてTi
0.003〜0.15wt%を単独でもしくはB1〜100ppm以下と組
合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
り、しかもAl6MnもしくはAl6(MnFe)からなる析出物の
サイズが0.01μm以上でかつ総析出物中のSiの量が合金
全重量の0.07wt%以下であることを特徴とするものであ
る。
また請求項2の発明のアルミニウム合金は、Mn0.6wt
%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Cr0.05〜0.3wt%、Fe0.3
wt%以下、Si0.1wt%以下を含有し、かつ結晶微粒細化
剤としてTi0.003〜0.15wt%を単独でもしくはB1〜100pp
m以下と組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなり、しかもAl6MnもしくはAl6(MnFe)からなる
析出物のサイズが0.01μm以上でかつ総析出物中のSiの
量が合金全重量の0.07wt%以下であることを特徴とする
ものである。
一方請求項3、請求項4の発明の製造方法は、それぞ
れ請求項1、請求項2に記載の成分組成の合金の溶湯を
DC鋳造法により鋳造した後、その鋳塊に対し350℃〜550
℃で0.5時間以上加熱する処理を施し、その後熱間加
工、または熱間加工およ冷間加工を施して、Al6Mnもし
くはAl6(MnFe)からなる析出物のサイズが0.01μm以
上でかつ総析出物中のSiの量が合金全重量の0.07wt%以
下であることを特徴とするものである。
なおこの発明において陽極酸化処理後の色調の黒色に
ついては、ハンターの色差式(JIS Z8730参照)による
明度指数Lとクロマティクネス指数a,bの値によって定
義することができる。すなわち、明度指数のL値は高い
ほど白く、一方クロマティクネス指数は着色度について
のものであってそのa値は高いほど赤味が強く、b値は
高いほど黄味が強いことをあらわす。そしてこの発明で
目的とする黒色の色調のは、L値、a値、b値が、 L<50、 −2<a<2、 −2<b<2 を満たす色調と定義することができる。
作用 本発明者等は、前述のように合金中におけるMn系析出
物のサイズと種類が陽極酸化処理によって黒色の色調を
発色させるに寄与することを見出した。
すなわち、Mn系析出物としては、Al6Mn、Al6(MnF
e)、αAlMn(Fe)Si、およびそれらにCr,Ti等が微量固
溶されたものなどがあるが、これらのうち、Al6Mn析出
物およびAl6(MnFe)析出物、特に0.01μm以上のサイ
ズのこれらの析出物が黒色の発色に寄与し、これに対し
Siを含有するMn系析出物、例えばαAlMn(Fe)Si析出物
は黄色味を強くすることから黒色の発色には好ましくな
いことを見出した。そこでこの発明では、Mn系析出物の
うちでも特に0.01μm以上の析出物サイズのAl6Mn、Al6
(MnFe)を析出させる一方、Siを含有するMn系析出物は
できるだけ析出させないようにすることによって、陽極
酸化処理後に黒色系の色調を得ようとしているのであ
る。したがってこの発明における合金成分も、主として
加工性を損なうことなく上述のような析出物条件を満た
せる観点から定められる。
次にこの発明におけるアルミニウム合金の成分組成の
限定理由を説明する。
Mn: Mnは前述のようにAl−Mn系の金属間化合物を生成し、
陽極酸化処理後の色調を決定する重要な元素であり、Al
−Mn系金属間化合物析出物、特にSiを含有しないAl6Mn
もしくはAl6(MnFe)からなる0.01μm以上の金属間化
合物析出物を析出させることが陽極酸化皮膜の黒色化の
ために必要である。またこれらの析出物の析出密度とし
ては、析出物サイズ0.01μm以上1μmまでのものが1
×107個/mm3以上存在することが黒色化のために望まし
い。このような析出状態を達成するための代表的な要件
としては、金属間化合物生成元素が所定量含まれるこ
と、および析出のための加熱温度が適切であることがあ
る。そしてMnはAl−Mn系金属間化合物生成のための主要
元素であって、陽極酸化皮膜の黒色化に寄与するが、Mn
量が0.6wt%未満では充分な陽極酸化皮膜の黒色化が困
難となり、一方2.0wt%を越えた場合には、鋳造時、特
に通常のDC鋳造(半連続鋳造)時に初晶として粗大金属
間化合物が生成されるため好ましくない。したがってMn
量は0.6wt%以上、2.0wt%以下とした。
Mg: Mg量が多過ぎれば、強度が高くなり過ぎて、加工性を
損なったり、あるいはリューダースマークが発生したり
して、この発明の目的に沿わなくなる。すなわち、一般
にカーテンウォール等の陽極酸化処理建材では、平坦度
が良好なことが要求されるため、H1nテンパー材すなわ
ち中間焼鈍後に冷間加工を施して製造されることが多い
が、Mg量が多ければ硬くなり過ぎて曲げ性等の加工性が
低下する。一方冷間加工を行なわずに焼鈍で仕上げれ
ば、平坦度を得るためのストレッチャー等の歪矯正工程
でリューダースマークが発生し、好ましくなくなる。特
にMg量が0.5wt%を越えると上述の問題が発生するか
ら、Mg量は0.5wt%以下に規制することとした。
Cr: 請求項2のアルミニウム合金の場合はCrが添加され
る。Crは陽極酸化皮膜の黒色化を一層促進させるに有効
であり、またCrの添加は黒色の色調を若干変化させる効
果がある。すなわち、Cr添加なしの場合はやや青みがか
った黒色となっているが、Crを添加することによって青
みが消えてやや黄みがかる。Cr量が0.05wt%未満では上
記の効果が得られず、一方0.3wt%を越える場合には粗
大な化合物が生成されてしまうから、Crを添加する場合
のCr添加量は0.05〜0.3wt%の範囲内とした。
Fe: FeはAl−Mn系金属間化合物の析出に影響を与えるが、
陽極酸化皮膜の黒色の色調には本質的な影響は与えな
い。但しFe量が多ければ陽極酸化皮膜が濁った感じとな
り、また粗大はMn化合物の晶出を促進してしまう問題が
生じる。このような問題の発生を防ぐためには、Fe量は
0.3wt%以下とする必要がある。
Si: SiもAl−Mn系金属間化合物の析出に影響を与え、Siが
存在すればαAlMn(Fe)Si相が生じる。この相は陽極酸
化処理後の色調に黄味を増して黒色化を阻害する。この
ようにαAlMn(Fe)Si相が黒色化を妨げる大きな原因と
なるため、その析出量を少量に規制する必要がある。こ
こで、αAlMn(Fe)Si相の析出量の多寡は、合金全重量
に対する総析出物中のSi重量%によって推定することが
でき、合金全重量に対する総析出物中のSi重量%が0.07
wt%を越えれば、αAlMn(Fe)Si相が多過ぎて陽極酸化
処理後の色調の黄味が強くなるから、その量は0.07wt%
以下に規制する必要がある。また一方、合金成分組成と
してSi量が0.1wt%を越えれば、前述のように黒色化に
有害なAlMn(Fe)Si相が生じやすくなり、合金全重量に
対する総析出物中のSi量が合金全重量に対し0.07wt%を
越えやすくなるから、合金のSi量は0.1wt%以下に規制
することとした。
Ti,B: Tiは鋳塊の結晶粒を微細化して、圧延板のストリーク
ス、キメを防止する効果があるが、Ti0.003wt%未満で
はその効果が得られず、一方Tiが0.15wt%を越えればTi
Al3系粗大金属間化合物が生成されてしまうらか、Tiは
0.003〜0.15wt%の範囲内とした。またBはTiと共存し
て結晶粒微細化を促進する元素であり、Tiと組合されて
添加されることがある。但しB量が1ppm未満ではその効
果が得られず、一方100ppmを越えればその効果が飽和
し、また粗大TiB2粒子が生成されて線状欠陥が発生する
から、Tiと組合されて添加するBは1〜100ppmの範囲内
とした。
このほか、Al−Mg系合金のおいては、溶湯の酸化を防
止するために微量のBeを添加することが従来から行なわ
れているが、この発明のアルミニウム合金の場合にも50
0ppm程度以下のBeを添加することは特に支障ない。
さらにこの発明のアルミニウム合金においては、Ni,Z
r,V,Cr,Zn等が含まれることがある。これらのうちNi,Z
r,Vは陽極酸化皮膜の色調に本質的に影響しないが、Ni
1.0wt%以上、Zr0.3wt%以上、V0.3wt%以上では鋳造が
困難となるから、Niは1.0wt%未満、Zrは0.3wt%未満、
V0.3wt%未満に抑制することが望ましい。またCu,Znは
陽極酸化皮膜の色調に若干の変化を与えるものの、Cu0.
3wt%未満、Zn2.0wt%未満では黒色化に本質的な影響は
与えない。
以上のように成分組成を定めかつ最終板における総析
出物中のSi量の合金全重量の0.07wt%以下ととすること
によって系析出物はその大部分がAl6MnもしくはAl6(Mn
Fe)となるが、さらに陽極酸化処理後の色調として黒色
の色調を確保するためには、最終板におけるMn系析出物
のサイズを0.01μm以上とする必要がある。すなわち、
析出物が0.01μm未満の微細なものである場合には、陽
極酸化処理後の色調が薄くなって黒色の色調が得られな
くなってしまう。したがってMn系析出物のサイズとして
は0.01μm以上であることが必要である。なおここで、
Mn系析出物のサイズが0.01μm以上であることは、要は
全Mn系析出物のうちの大半を0.01μm以上のものが占め
ていれば良く、具体的には、Mn系析出物の全個数のうち
90%以上が0.01μm以上のものであれば良い。
次に請求項3、請求項4に記載の発明の方法、すなわ
ち製造方法について述べる。
先ず前述のような成分組成の合金の溶湯を常法に従っ
て溶製し、DC鋳造法(半連続鋳造法)によって鋳塊とす
る。前述のような成分範囲内の合金であれば、鋳造速度
の影響はほとんど受けず、比較的鋳造速度の遅いDC鋳造
法でも陽極酸化処理後の色調として充分に黒色の色調を
得ることができるのである。なお薄板連続鋳造のような
凝固速度の速い鋳造法でももちろん黒色化は達成できる
が、この点については改めて後述する。
次いでその鋳塊に対し、350〜550℃の範囲内の温度で
0.5時間以上の加熱を施す。この鋳塊加熱は、一般的な
鋳塊組織均質のために必要であるばかりでなく、陽極酸
化処理後の色調として黒色の色調を与えるために必要な
工程である。すなわちこの鋳塊加熱によって、Mn系析出
物であるAl6Mn,Al6(MnFe)の析出を促進させて、これ
らの析出物による陽極酸化処理後の黒色の発色に寄与す
る。鋳塊加熱温度が350℃未満では、析出物のサイズが
小さくなり過ぎるとともに、素材合金のSi量によっては
総析出物中のSiの量が合金全重量の0.07wt%を越えてし
まうことがあるため、陽極酸化処理後の色調として黒色
が得られず、一方550℃を越えれば陽極酸化処理後の色
調が薄くなってしまう。また鋳造加熱時間は、昇温過程
から保持、冷却を通じて350〜550℃の範囲内となってい
る時間が0.5時間以上であれば良く、その時間が0.5時間
未満では前述の効果が充分に得られない。なお24時間を
越える長時間の加熱は経済性の低下を招くだけであるか
ら、加熱時間は24時間以内とすることが好ましい。
上述のような鋳塊加熱の後熱間加工として例えば熱間
圧延を行なって最終板厚とするか、あるいは熱間加工と
しての熱間圧延および冷間加工としての冷間圧延を行な
って最終板厚とする。ここで、熱間圧延は常法にしたが
って行なえば良いが、鋳塊の加熱温度以下で行なうのが
一般的である。熱間圧延の直後、あるいは冷間圧延の間
には、中間焼鈍を行なっても良い。中間焼鈍は、300〜5
00℃の範囲内の温度で0.5〜24時間行なうのが好まし
い。中間焼鈍温度が300℃未満では再結晶せず、一方500
℃を越えれば表面に酸化が生じて変色してしまうおそれ
がある。また中間焼鈍時間が0.5時間未満では再結晶が
充分に達成されず、一方24時間を越えても経済性が低下
するだけである。
なお熱間加工としては、熱間圧延のほか、熱間押出や
熱間鍛造を行なっても良く、この場合はその後に冷間加
工を行なわないのが通常である。
以上のようにして加工された最終材においては、既に
述べたように素材合金のSi量を0.1wt%以下に規制する
と同時に、鋳塊加熱温度を350℃以上(550℃以下)とす
ることにより、全析出物中のSi量が合金全重量に対し0.
07wt%以下となり、かつMn系析出物が主として0.01μm
以上のサイズのAl6Mn、Al6(MnFe)となり、このような
材料に対して陽極酸化処理を施すことによって、黒色の
色調を安定して得ることができる。
なお以上の請求項3、請求項4の発明の方法に関して
は鋳造法としてDC鋳造法を適用するものとしたが、本来
請求項1、請求項2の発明の合金は、薄板連続鋳造法を
適用した場合でも陽極酸化処理後の色調として黒色を得
ることができる。この場合は、前述のようなMn系析出物
の析出のための350〜550℃×0.5時間以上の加熱は、冷
間圧延間あるいは冷間圧延の中途で必要に応じて行なわ
れる中間焼鈍、あるいは冷間圧延に必要に応じて施され
る最終焼鈍などと兼ねて行なうことができる。
以上のような材料に対しては、通常の硫酸電解浴を用
いた陽極酸化処理によって黒色の色調を得ることができ
るが、その場合のプロセスについて次に説明する。
陽極酸化処理にあたっては、予め表面の汚れおよび表
面の欠陥を除去しておくため、脱脂およびエッチングを
行なうのが一般的である。エッチングは、苛性ソーダ系
のアルカリエッチングを行なうのが通常である。そして
陽極酸化処理自体は、H2SO4濃度が10〜25vol%の硫酸浴
を用い、浴温度10〜30℃、電流密度1.5A/dm2以上2.5A/d
m2未満で行ない、膜厚10〜30μmの陽極酸化皮膜を生成
させる。
ここで、硫酸浴のH2SO4濃度が10vol%未満では生成さ
れる陽極酸化皮膜の多孔度が減少して浴電圧が高くな
る。一方H2SO4濃度が25vol%を越えれば、表面が荒れて
陽極酸化皮膜が柔かくなる。また浴温度が10℃未満では
所要の膜厚を得るために長時間の処理を要して不経済と
なり、一方30℃を越えれば陽極酸化処理後の耐食性が低
下してしまう。さらに電流密度は、2.5A/dm2以上では処
理に多大な電力を要し、実用的でなく、一方1.5A/dm2
満では、陽極酸化処理後の色調が薄くなって黒色が得ら
れなくなる。また生成される陽極酸化皮膜の膜厚が10μ
m未満では充分な耐食性が得られず、一方30μmを越え
るまで厚くすることは経済的でない。
実 施 例 第1表に示す合金No.1〜4の溶湯を常法にしたがって
溶製し、半連続鋳造法(DC鋳造法)によって450mm×120
0mm×4000mmのスラブを鋳造した。得られた各スラブに
ついて面削後、第2表の条件No.1〜5に示すような種々
の条件で鋳塊加熱を行ない、450℃で熱間圧延を施して
板厚4mmの熱延板とした。次いで板厚2mmまで冷間圧延し
た後、400℃×2hrの中間焼鈍を行ない、さらに板厚1.5m
mまで冷間圧延した。
その後、各板について10%NaOH水溶液でエッチング
し、水洗後硝酸でデスマット処理を行なった。次いでH2
SO4濃度15vol%の硫酸浴を用いて、浴温20℃、電流密度
1.5A/dm2で陽極酸化処理を行ない、それぞれ膜厚20μm
の陽極酸化皮膜を生成させた。
各板の陽極酸化皮膜の表面色調について、スガ試験機
製カラーメーターSM−3−MCHを用いて調べた。色調
は、ハンターの色差式による明度指数Lおよびクロマテ
ィクネス指数a,bを用いて評価した。その結果を第3表
に示す。
また各板について、板全重量中に占める析出物中のSi
量の割合を分析した。その結果を第3表中に示す。なお
このSi量の分析は、第1図に示す方法によって行なっ
た。
また条件No.1,3により得られた各圧延板について析出
物のサイズを透過型電子顕微鏡により調べたところ、い
ずれも析出物サイズは0.02〜0.8μm、密度は1×109
1011個/mm3であった。
以上のように、析出物条件および合金成分組成がこの
発明で規定する条件、組成を満たしている条件No.1、N
o.3の圧延板は、第3表に示したように陽極酸化処理後
の色調として黒色の色調を安定して得ることができた。
なお条件No.1、No.3の圧延板はいずれも良好な成形加工
性を有することが確認されている。
発明の効果 以上の実施例からも明らかなようにし、請求項1、請
求項2の発明のアルミニウム合金は、比較的鋳造速度の
遅いDC鋳造法を適用した場合でも陽極酸化処理によって
黒色の色調を確実かつ安定して得ることができ、また加
工性も良好である。また請求項3、請求項4の方法によ
れば、実際にはDC鋳造法を適用して陽極酸化処理後に黒
色の色調を呈するアルミニウム合金材料を容易に製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は全析出物中のSi量が占める割合を測定するため
の代表的な方法を示すフローチャート図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 691 691B 691C

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mn0.6wt%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Fe
    0.3wt%以下、Si0.1wt%以下を含有し、かつ結晶粒微細
    化剤としてTi0.003〜0.15wt%を単独でもしくはB1〜100
    ppm以下と組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不
    純物よりなり、しかもAl6MnもしくはAl6(MnFe)からな
    る析出物のサイズが0.01μm以上でかつ総析出物中のSi
    の量が合金全重量の0.07wt%以下であることを特徴とす
    る、陽極酸化処理後の色調が黒色のアルミニウム合金。
  2. 【請求項2】Mn0.6wt%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Cr
    0.05〜0.3wt%、Fe0.3wt%以下、Si0.1wt%以下を含有
    し、かつ結晶粒微細化剤としてTi0.003〜0.15wt%を単
    独でもしくはB1〜100ppm以下と組合せて含有し、残部が
    Alおよび不可避的不純物よりなり、しかもAl6Mnもしく
    はAl6(MnFe)からなる析出物のサイズが0.01μm以上
    でかつ総析出物中のSiの量が合金全重量の0.07wt%以下
    であることを特徴とする、陽極酸化処理後の色調が黒色
    のアルミニウム合金。
  3. 【請求項3】Mn0.6wt%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Fe
    0.3wt%以下、Si0.1wt%以下を含有し、かつ結晶粒微細
    化剤としてTi0.003〜0.15wt%を単独でもしくはB1〜100
    ppm以下と組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不
    純物よりなる合金の溶湯をDC鋳造法により鋳造した後、
    その鋳塊に対して350〜550℃で0.5時間以上加熱する処
    理を施し、さらに熱間加工を施すかもしくは熱間加工と
    冷間加工を施し、これによってAl6MnもしくはAl6(MnF
    e)からなる析出物のサイズが0.01μm以上でかつ総析
    出物中のSiの量が全合金全重量の0.07wt%以下であるア
    ルミニウム合金を得ることを特徴とする、陽極酸化処理
    後の色調が黒色のアルミニウム合金の製造方法。
  4. 【請求項4】Mn0.6wt%〜2.0wt%、Mg0.5wt%以下、Cr
    0.05〜0.3wt%、Fe0.3wt%以下、Si0.1wt%以下を含有
    し、かつ結晶粒微細化剤としてTi0.003〜0.15wt%を単
    独でもしくはB1〜100ppm以下と組合せて含有し、残部が
    Alおよび不可避的不純物よりなる合金の溶湯をDC鋳造法
    により鋳造した後、その鋳塊に対して350〜550℃で0.5
    時間以上加熱する処理を施し、さらに熱間加工を施すか
    もしくは熱間加工と冷間加工を施し、これによってAl6M
    nもしくはAl6(MnFe)からなる析出物のサイズが0.01μ
    m以上でかつ総析出物中のSiの量が全合金全重量の0.07
    wt%以下であるアルミニウム合金を得ることを特徴とす
    る、陽極酸化処理後の色調が黒色のアルミニウム合金の
    製造方法。
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