JPH08166333A - 複合体の耐屈曲寿命予測方法及び複合体の耐屈曲性評価方法 - Google Patents

複合体の耐屈曲寿命予測方法及び複合体の耐屈曲性評価方法

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JPH08166333A
JPH08166333A JP2310095A JP2310095A JPH08166333A JP H08166333 A JPH08166333 A JP H08166333A JP 2310095 A JP2310095 A JP 2310095A JP 2310095 A JP2310095 A JP 2310095A JP H08166333 A JPH08166333 A JP H08166333A
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bending
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JP2310095A
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English (en)
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Hiroyasu Sugiyama
博康 杉山
Yutaka Fukuda
豊 福田
Keiko Kuromi
恵子 黒見
Tomohito Nikaido
智史 二階堂
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導体を絶縁体で被覆した電線,フラットケー
ブル等の複合体の耐屈曲寿命を容易に予測すると共に、
複数種の複合体の耐屈曲性の相対評価を得る。 【構成】 耐屈曲性評価試験装置に装着した複合体の導
体部の最大歪み量と耐屈曲寿命との関係(または屈曲形
状の理想半円からのずれ量と耐屈曲寿命との関係)を示
すマスターグラフを予め作成しておき、耐屈曲性評価試
験装置に装着した予測対象の複合体の導体部の最大歪み
量(または屈曲形状の理想半円からのずれ量)を求め、
求めた最大歪み量(または屈曲形状の理想半円からのず
れ量)を作成しておいたマスターグラフに照合してこの
複合体の耐屈曲寿命を予測する。また、複数種の複合体
を耐屈曲性評価試験装置にそれぞれ装着した際の導体部
の最大歪み量(または屈曲形状の理想半円からのずれ
量)を比較することにより、これらの複合体の耐屈曲性
を相対的に評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導体を絶縁体で被覆し
た構成をなす複合体の耐屈曲寿命を予測する方法、及
び、このような複合体の耐屈曲性を評価する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電線,フラットケーブル,FPC(Flex
ible Printed Circuit:フレキシブルプリント配線板)
等のような、導体を絶縁材料にて被覆してなる複合体の
耐屈曲性を評価する方法として、従来から以下に示すよ
うな方法が広く行われている。図10はこのような従来の
評価試験方法の実施状態を示す図である。
【0003】図10(a)は、一方の側にのみよく曲げる
ような用途の複合体に対する摺動屈曲評価試験の実施状
態を示しており、試料となる複合体1を、距離2Rを隔
てて対向配置した2枚の平行板2a, 2bの間に、折り曲げ
て挟み込み、一方の平行板2aは固定し他方の平行板2bは
摺動させながら、複合体1の外側,内側を一定にして、
繰り返し屈曲させる。この試験方法では、複合体1が半
円状に屈曲していると仮定し、面間隔2Rを直径として
2枚の平行板2a, 2bに接する半円を理想半円と定義し、
その理想半円の半径Rを屈曲半径という。
【0004】一方、図10(b)は、両側にわたって曲げ
るような用途の複合体に対するMIT屈曲評価試験の実
施状態を示しており、試料となる複合体1を、所定の曲
率半径Rを有する2個の治具3a, 3bの周面に交互に巻き
付ける事によって、複合体1の外側,内側を反転させな
がら繰り返し屈曲させる。この図10(b)に示す場合に
も、球面体3a, 3bの周面に沿った屈曲半径Rの理想半円
が定義される。
【0005】以上のようにして、評価対象の複合体を何
回も繰り返して屈曲させ、その導体部の抵抗値が所定値
(例えば、初期値の120 %)に増加するまでの屈曲回数
を測定し、その測定回数に応じて各複合体の耐屈曲性を
評価している。また、導体部の抵抗値が所定値に到達し
たときの屈曲回数を、耐屈曲寿命と定義する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の複合体の評価方
法では、試料としての複合体を試験装置に取り付ける際
には、図11(a)に示すように、平行板2a, 2bに対して
試料たる複合体1を垂直にする必要がある。しかし、常
に図11(a)に示すような状態で取り付けることは困難
であり、図11(b)に示すようにずれた状態で取り付け
られることがある。また、試料としての複合体を作製す
る際に、設定値の寸法上の差異も生じる。従って、得ら
れた耐屈曲性の評価結果に誤差, バラツキが発生するの
で、信頼性が高い評価結果を得るためには、条件(導体
部,絶縁部の材料及び厚さ並びに評価時の屈曲半径)を
同一にした試料を複数回にわたって試験しなければなら
なかった。
【0007】また、上記条件を変更する毎に、その試料
の作製,試験を行わなければならず、評価結果を得るた
めに多大な労力と時間とを必要とするという問題があっ
た。
【0008】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、導体を絶縁体で被覆した構成をなす複合体の耐
屈曲寿命を極めて容易にしかも正確に予測できる複合体
の耐屈曲寿命予測方法を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明の他の目的は、上述のような
誤差,バラツキがない正確な複合体の耐屈曲性の評価結
果を得ることができる複合体の耐屈曲性評価方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】以下、本発明の考案に到
った経緯について簡単に説明する。複合体を構成する材
料及びその構造により複合体の耐屈曲寿命が変化するの
は、耐屈曲性を決定づける何らかの要因が存在するため
であり、それを知ることができれば、耐屈曲寿命の容易
な予測が可能であると本発明者等は考えた。耐屈曲性評
価試験装置に試料(複合体)を装着した際に導体部の歪
み量が大きいことは、その部分に発生する応力が大きい
ことと同義である。ここで、導体単独にて耐屈曲性評価
試験を施した場合に、図12に示すように、導体に加える
引張り応力が大きくなる程、耐屈曲寿命は低下する。よ
って、複合体においても導体部に発生する最大歪み量が
大きくなる程、その部分に加わる応力が大きくなって耐
屈曲寿命は低下すると考えられる。従って、耐屈曲性評
価試験装置に試料(複合体)を装着した際に導体部に発
生する最大歪み量が耐屈曲寿命を決定する要因であると
いう知見を得るに到った。
【0011】これまでの耐屈曲性評価試験装置により複
合体の耐屈曲性を評価する場合、屈曲半径が一定である
ときを捉えて、複合体の被覆部である絶縁体の厚さが同
じであれば、図10(a),(b)に示すように、屈曲時
の導体部の最大歪み量は一定であると考えられてきた。
しかしながら、導体部の最大歪み量が耐屈曲寿命を決定
する要因であるという知見に基づいて、実際は理想的な
屈曲半径を常に維持して屈曲されているのではないこと
を、本発明者等は明らかにした。図13はこの状態を示す
図であり、図13(a),図13(b)はそれぞれ図10
(a),図10(b)に対応している。図13(a),
(b)の破線に示す如く同じ屈曲半径の理想半円で屈曲
していると考えられていた場合でも、実際には図13
(a),(b)の太実線に示すように、複合体1の屈曲
状態が異なっており、必ずしも設定条件通りには屈曲し
ていない。
【0012】また、試料としての複合体1を耐屈曲性評
価試験装置に装着した際に、図13(a),(b)の太実
線に示す複合体1の屈曲形状が、図13(a),(b)の
破線に示す理想半円からどの程度ずれているかも、耐屈
曲寿命を予測する指標となり得る。複合体1の屈曲形状
が理想半円から大きくずれておれば導体に局所的に大き
な応力が加わるため、一般的に耐屈曲寿命は短く、あま
りずれていなければ一般的に耐屈曲寿命は長いと言え
る。
【0013】従って、予め異なる条件(導体部,絶縁部
の材料及び厚さ並びに屈曲半径)の複数の試料(複合
体)について、それぞれを耐屈曲性評価試験装置に装着
した際の導体部の最大歪み量または屈曲形状の理想半円
からのずれ量と耐屈曲寿命とを求めて得られた関係を示
す、図14に示すようなマスターカーブを予め作成してお
けば、他の条件の試料(複合体)について、その試料を
耐屈曲性評価試験装置に装着した場合の導体部の最大歪
み量または屈曲形状の理想半円からのずれ量を求めるこ
とにより、このマスターカーブを参照してその試料の耐
屈曲寿命を予測することができる。
【0014】本願の請求項1に係る複合体の耐屈曲寿命
予測方法は、導体部を絶縁部で被覆してなる複合体につ
いて、耐屈曲性評価試験装置を用いて、その導体部の抵
抗値が所定値に到達したときの屈曲回数で定義される耐
屈曲寿命を予測する方法において、複合体を耐屈曲性評
価試験装置に装着した際の導体部の最大歪み量及び/ま
たは屈曲形状の理想半円からのずれ量と実測した耐屈曲
寿命との関係を予め求めておき、耐屈曲性評価試験装置
に予測対象の複合体を装着した際の導体部の最大歪み量
及び/または屈曲形状の理想半円からのずれ量を求めて
おいた関係に照合して複合体の耐屈曲寿命を予測するこ
とを特徴とする。
【0015】本願の請求項2に係る複合体の耐屈曲性評
価方法は、導体部を絶縁部で被覆してなる複合体につい
て、耐屈曲性評価試験装置を用いて、その耐屈曲性を評
価する方法において、複数の複合体を耐屈曲性評価試験
装置にそれぞれ装着した際の導体部の最大歪み量及び/
または屈曲形状の理想半円からのずれ量に基づいて、こ
れらの複数の複合体の耐屈曲性を相対的に評価すること
を特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1の発明では、耐屈曲性評価試験装置に
装着した場合の導体部の最大歪み量及び/または屈曲形
状の理想半円からのずれ量と耐屈曲寿命実験結果との関
係を示すマスターカーブを予め作成しておき、寿命予測
対象の複合体を耐屈曲性評価試験装置に装着した際の導
体部の最大歪み量及び/または屈曲形状の理想半円から
のずれ量を求め、求めた最大歪み量及び/または屈曲形
状の理想半円からのずれ量を作成しておいたこのマスタ
ーカーブに照らし合わせて、その複合体の耐屈曲寿命を
予測する。よって、極めて容易に複合体の耐屈曲寿命を
予測できる。
【0017】請求項2の発明では、前述したように耐屈
曲性評価試験装置に複合体を装着した際の導体部の最大
歪み量及び屈曲形状の理想半円からのずれ量が耐屈曲寿
命を決定する要因であるので、上述したようなマスター
カーブが予め作成されていない場合でも、異なる条件の
それぞれの複合体を耐屈曲性評価試験装置に装着した際
の導体部の最大歪み量及び/または屈曲形状の理想半円
からのずれ量を求めて比較することにより、異なる条件
の複数の複合体の耐屈曲性を相対的に比較評価すること
が可能である。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】以下に述べる実施例では、複合体として、
図1に示すような、導体11を接着剤12を介して絶縁フィ
ルム13にて被覆したフラットケーブル10を使用する。導
体11, 絶縁フィルム13はそれぞれ軟銅, ポリエステルフ
ィルムからなり、接着剤12としてポリエステル系接着剤
を使用する。また、耐屈曲性評価試験装置としては、図
10(a)に示すようなU字摺動屈曲試験装置を用いる。
【0020】まず、導体11,接着剤12,絶縁フィルム13
の厚さが異なる複数種のフラットケーブル10を試料とし
て作製し、評価試験時の屈曲半径Rを変化させて、これ
らを耐屈曲性評価試験装置に装着した場合の導体11の最
大歪み量を求める。なお、このようなフラットケーブル
10にあっては、導体11の屈曲形状を直接に捉えることは
できないので、コンピュータを使用して有限要素法によ
り屈曲時の導体11の最大歪み量を算出する。
【0021】また、作製した複数種のフラットケーブル
10を試料として、評価試験時の屈曲半径Rを変化させ
て、耐屈曲性評価試験装置に装着した場合の屈曲形状の
理想半円からのずれ量を求める。この場合のずれ量につ
いては、以下の3種の長さ(曲率半径,第1距離,第2
距離)の何れかを測定することにより評価する。図2
は、ずれ量の1つの指標となる曲率半径rの定義を示す
模式図である。複合体としてのフラットケーブル10を2
枚の平行板2a, 2bに挟んで屈曲させた場合に、フラット
ケーブル10の導体11の屈曲部頂点近傍の内側に接するこ
とができる最大円(破線で示す)の半径を曲率半径rと
定義する。また、図3は、ずれ量の他の指標となる第1
距離d1の定義を示す模式図である。複合体としてのフ
ラットケーブル10を2枚の平行板2a, 2bに挟んで屈曲さ
せた場合に、半径Rの理想半円(破線で示す)に屈曲さ
せたときにフラットケーブル10が平行板2a, 2bから離れ
始める位置からフラットケーブル10の実際の位置までの
距離を第1距離d1と定義する。更に、図4は、ずれ量
の更に他の指標となる第2距離d2の定義を示す模式図
である。複合体としてのフラットケーブル10を2枚の平
行板2a, 2bに挟んで屈曲させた場合に、フラットケーブ
ル10が平行板2a, 2bから離れ始める位置を半径Rの理想
半円(破線で示す)と一致させた際のフラットケーブル
10の屈曲部の頂点と理想半円との距離を第2距離d2と
定義する。屈曲時のフラットケーブル10が理想半円に近
づく程、曲率半径rは大きくなって理想半円の半径Rに
近づき、第1距離d1及び第2距離d2は小さくなって
0に近づく。
【0022】上述した3種のずれ量は、屈曲時の導体11
の最大歪み量と同様に、有限要素法による計算によって
算出可能である。また、図5に示すような観察用治具20
を使用すれば、顕微鏡観察にてこれらの3種のずれ量は
測定可能である。観察用治具20は、「コ」の字状をなす
板材からなり、対向する平行部20a, 20b間の内のりは屈
曲半径の2倍(2R)である。また、対向する各平行部
20a, 20bには残りの辺部20c からRの距離の位置に目印
21, 21が付けられている。また、辺部20c の中央(各平
行部20a, 20bからそれぞれRの距離の位置)にも目印21
が付けられている。このような観察用治具20にフラット
ケーブル10を装着して屈曲させることにより、目印21か
らのずれ等を顕微鏡で観察して3種のずれ量を測定でき
る。但し、曲率半径rについては、フラットケーブル10
の接着剤12及び絶縁フィルム13が透明性を有する場合、
または、フラットケーブル10の下側に光源を設けて導体
11が影となって観察できる場合に限ってのみ、顕微鏡観
察が可能である。
【0023】なお、本実施例では、導体11の最大歪み量
及び屈曲形状の理想半円からのずれ量(上述の3種のず
れ量)は何れも、コンピュータによる計算結果により求
めた。試料の構造,構成材料の物理定数,屈曲条件(屈
曲半径,試験温度等)に基づいて、コンピュータにて最
大歪み量及び理想半円からのずれ量(曲率半径,第1距
離,第2距離)の算出は可能である。また、これらと同
じ条件下での各試料の耐屈曲寿命を実験的に求める。こ
の際、耐屈曲寿命とは、前述したように、導体11の抵抗
値が初期値の120 %に達するまでの屈曲回数を表すこと
とする。
【0024】このようにして求めた導体11の最大歪み量
及び屈曲形状の理想半円からのずれ量と耐屈曲寿命との
関係を示すマスターカーブを作成する。図6〜図9は、
これらの作成したマスターカーブを表している。図6
は、最大歪み量と耐屈曲寿命との関係を示すマスターカ
ーブであり、横軸は最大歪み量を歪み率(%)で示し、
縦軸は耐屈曲寿命を対数軸(回)にて示す。また、図7
は、上述した定義による導体11の曲率半径rと耐屈曲寿
命との関係を示すマスターカーブであり、横軸は曲率半
径r(mm)を示し、縦軸は耐屈曲寿命を対数軸(回)
にて示す。また、図8は、上述した定義による第1距離
d1と耐屈曲寿命との関係を示すマスターカーブであ
り、横軸は第1距離d1(mm)を示し、縦軸は耐屈曲
寿命を対数軸(回)にて示す。更に、図9は、上述した
定義による第2距離d2と耐屈曲寿命との関係を示すマ
スターカーブであり、横軸は第2距離d2(mm)を示
し、縦軸は耐屈曲寿命を対数軸(回)にて示す。なお、
図6〜図9の各A〜I点における試料の構造及び試験条
件は、下記第1表に示す通りである。なお、第1距離d
1,第2距離d2に基づく耐屈曲寿命の予測は、試験時
の屈曲半径Rが等しい場合にのみ行えるので、第1距離
d1,第2距離d2については、屈曲半径Rを等しくし
た場合についてのデータのみからマスターカーブを作成
している(図8,図9参照)。
【0025】
【表1】
【0026】そして、この作成した図6,図7,図8ま
たは図9に示すマスターカーブを参照して、他の条件の
フラットケーブル10の耐屈曲寿命を予測する。即ち、予
測したいフラットケーブル10を耐屈曲性評価試験装置に
装着した場合の導体11の最大歪み量,曲率半径r,第1
距離d1または第2距離d2の何れかをコンピュータに
て算出し、算出した最大歪み量,曲率半径,第1距離ま
たは第2距離を図6,図7,図8または図9に示すマス
ターカーブに照らし合わせて、そのフラットケーブル10
の耐屈曲寿命を予測する。このようなマスターカーブを
備えておくと、耐屈曲性評価試験装置に装着した際の導
体11の最大歪み量,曲率半径,第1距離または第2距離
を求めるだけで、フラットケーブル10の耐屈曲寿命の予
測を容易に行える。
【0027】また、有限要素法により算出した屈曲時の
導体11の最大歪み量,曲率半径,第1距離または第2距
離の何れかにて耐屈曲寿命を評価する場合は、従来例で
は避けられなかった誤差, バラツキをなくすことが可能
となり、耐屈曲寿命の向上に有効な条件をより正確に探
索できる。つまり、本実施例による複合体の耐屈曲寿命
予測方法から得られる評価結果は、実験的に行う従来の
評価方法と比較して信頼性の点で優れている。
【0028】ところで、耐屈曲寿命の実験結果がなくて
も、導体11の最大歪み量が小さい程、または、屈曲形状
の理想半円からのずれ量が小さい程(曲率半径rが大き
い程、第1距離d1,第2距離d2が小さい程)、優れ
た耐屈曲性を有するフラットケーブル10であることは確
認できる。よって、上述したようなマスターカーブを準
備していない場合にあっても、異なる条件のフラットケ
ーブル10における屈曲時の導体11の最大歪み量、また
は、屈曲形状の理想半円からのずれ量を求めて比較する
ことにより、耐屈曲性の相対的な比較を行える。そし
て、このことは、耐屈曲性の向上に有利な条件の探究に
利用できる。
【0029】なお、上述の実施例では、軟銅からなる導
体と、ポリエステルフィルムからなる絶縁体と、ポリエ
ステル系材料からなる接着剤とから構成したフラットケ
ーブルを複合体として使用し、U字摺動屈曲試験装置を
耐屈曲性評価試験装置として用い、屈曲形状の理想半円
からのずれ量をすべてコンピュータを用いて求めた場合
について説明したが、これらは単なる例示であり、本発
明において、複合体の構造,構成材料,耐屈曲性評価試
験装置,理想半円からのずれ量の求め方などが上述した
実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0030】また、上述の実施例では、導体部の最大歪
み量、または、屈曲形状の理想半円からのずれ量の何れ
かに基づいて、耐屈曲寿命の予測,耐屈曲性の相対的比
較を行う場合について説明したが、導体部の最大歪み量
及び屈曲形状の理想半円からのずれ量の両方を鑑みて、
耐屈曲寿命の予測,耐屈曲性の相対的比較を行うように
しても良いことは勿論である。
【0031】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明では、耐
屈曲性評価試験装置に装着した際の複合体の導体部の最
大歪み量及び/または屈曲形状の理想半円からのずれ量
を求めることにより、極めて容易にその複合体の耐屈曲
寿命を予測することが可能である。よって、多数種の複
合体について耐屈曲寿命を求める場合に従来例ではその
試料作製・屈曲試験に必要とした多大な労力と時間とを
削減でき、耐屈曲寿命の向上に好適な条件の探索の効率
化、及び、新製品開発の迅速化を図ることも可能とな
る。また、信頼性の点で優れた評価方法であるので、複
合体の信頼性を裏付ける指標としても利用できる。
【0032】また、請求項2の発明では、耐屈曲性評価
試験装置に装着した際の複合体の導体部の最大歪み量及
び/または屈曲形状の理想半円からのずれ量を比較し合
うことにより、異なる種類の複合体の耐屈曲性を相対的
に評価できるので、優れた耐屈曲性を有する複合体の開
発の促進に大いに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた複合体(フラットケー
ブル)の構成図である。
【図2】本発明の実施例における屈曲形状の理想半円か
らのずれ量(曲率半径r)の定義を説明するための模式
図である。
【図3】本発明の実施例における屈曲形状の理想半円か
らのずれ量(第1距離d1)の定義を説明するための模
式図である。
【図4】本発明の実施例における屈曲形状の理想半円か
らのずれ量(第2距離d2)の定義を説明するための模
式図である。
【図5】本発明の実施例において屈曲形状の理想半円か
らのずれ量を観察により求める際に使用する観察用治具
の斜視図である。
【図6】本発明の実施例における導体部の最大歪み量と
耐屈曲寿命との関係を示すマスターカーブを表すグラフ
である。
【図7】本発明の実施例における曲率半径rと耐屈曲寿
命との関係を示すマスターカーブを表すグラフである。
【図8】本発明の実施例における第1距離d1と耐屈曲
寿命との関係を示すマスターカーブを表すグラフであ
る。
【図9】本発明の実施例における第2距離d2と耐屈曲
寿命との関係を示すマスターカーブを表すグラフであ
る。
【図10】従来の耐屈曲性評価試験の実施状態を示す模
式図である。
【図11】従来例の問題点を説明するための図である。
【図12】導体単独の場合の引張り応力と破断までの屈
曲回数との関係を示すグラフである。
【図13】耐屈曲性評価試験装置に装着した複合体の屈
曲形状を示す模式図である。
【図14】本発明の概念を説明するためのマスターカー
ブを表すグラフである。
【符号の説明】
10 フラットケーブル(複合体) 11 導体(軟銅) 12 接着剤(ポリエステル系接着剤) 13 絶縁フィルム(ポリエステルフィルム) 20 観察用治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二階堂 智史 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体部を絶縁部で被覆してなる複合体に
    ついて、耐屈曲性評価試験装置を用いて、その導体部の
    抵抗値が所定値に到達したときの屈曲回数で定義される
    耐屈曲寿命を予測する方法において、複合体を耐屈曲性
    評価試験装置に装着した際の導体部の最大歪み量及び/
    または屈曲形状の理想半円からのずれ量と実測した耐屈
    曲寿命との関係を予め求めておき、耐屈曲性評価試験装
    置に予測対象の複合体を装着した際の導体部の最大歪み
    量及び/または屈曲形状の理想半円からのずれ量を求め
    ておいた関係に照合して複合体の耐屈曲寿命を予測する
    ことを特徴とする複合体の耐屈曲寿命予測方法。
  2. 【請求項2】 導体部を絶縁部で被覆してなる複合体に
    ついて、耐屈曲性評価試験装置を用いて、その耐屈曲性
    を評価する方法において、複数の複合体を耐屈曲性評価
    試験装置にそれぞれ装着した際の導体部の最大歪み量及
    び/または屈曲形状の理想半円からのずれ量に基づい
    て、これらの複数の複合体の耐屈曲性を相対的に評価す
    ることを特徴とする複合体の耐屈曲性評価方法。
JP2310095A 1994-10-11 1995-02-10 複合体の耐屈曲寿命予測方法及び複合体の耐屈曲性評価方法 Pending JPH08166333A (ja)

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