JPH07115516B2 - カ−ボンリボンの移送案内装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の利用分野） 本発明は適宜移送される印字用カーボンリボンをリボン
供給部とリボン巻取部において案内するカーボンリボン
移送案内装置に関し、特にカーボンリボンの幅方向の張
力を均一に調節して、移送中に発生するリボンの蛇行お
よびシワを防止ができ得るものに関する。

（従来技術） 一般に感熱転写式やインパクト式等のプリンタに使用さ
れているカーボンリボンの移送案内装置は、固定された
案内軸によって構成されていて、リボン供給部から供給
されるカーボンリボンを印字部に於て、所定の印字が施
された後、リボン巻取部に案内されるように構成されて
いる。そしてカーボンリボンはリボン供給側の機械的な
負荷とリボン巻取側の巻取力により適宜緊張された状態
で移送されるものである。

しかし乍ら特に幅広のカーボンリボンの場合、リボン供
給側の原因、すなわちリボン供給軸の精度誤差あるいは
垂直組立の設定誤差等により、繰出リボンに前記案内軸
部分にてシワが発生し、更に蛇行を起している。

更には印字部分の原因、すなわちカーボンリボンの幅方
向の一側部分のみの片寄り印字が施された場合、その印
刷部分のカーボンはラベル側に転写され、この際カーボ
ンベースの方はサーマルヘッドの熱により、一般的には
収縮され、非印刷部分との間に伸縮度の差異が発生す
る。かくしてこの幅方向に於ける伸縮度のアンバランス
もシワおよび蛇行の発生原因の一つである。

従って前記固定された案内軸であっては前記リボン供給
側の起因によるリボンの長手方向の繰出量の差異、およ
び印字部分の起因によるカーボンリボンの伸縮度の差異
から生ずる軸方向の上下への張力が微妙に変位し、カー
ボンリボンのシワおよび蛇行を吸収でき得ない。

このシワや蛇行を解消させるためには、カーボンリボン
の各案内軸を微調整する必要があり、熟練を要すると共
に非常に煩雑な作業である。

（発明の目的） 本発明は上記実情に鑑み、カーボンリボンの案内軸の軸
方向の上側、下側への張力を自動的に平均化して、カー
ボンリボンのシワや蛇行を防止することができ得るカー
ボンリボン移送案内装置を提供することを目的とする。

（発明の概要） 本発明に於ては、上記目的を達成する為に、カーボンリ
ボン１をリボン供給リール20からリボン巻取リール21へ
移送案内をするカーボンリボンの移送案内装置におい
て、リボン供給側のカーボンリボン案内部材50aと、印
字終了側のカーボンリボン案内部材50bと、リボン巻取
側のカーボンリボン案内部材50cとが備えられ、この内
少なくとも１本のカーボンリボン案内部材は、その固定
案内軸51の直径に比して、僅かに大なる内径を有するス
リーブ70を遊嵌して、両部材間に回転間隙61を形成し、
この回転間隙に弾性付勢された接触子72を、この軸方向
の上、下位置に介在、すなわち軸方向において、互に間
隔を有した一対の接触子72から成り、前記スリーブ70へ
のカーボンリボンの圧接案内時に、スリーブの偏芯回転
により、カーボンリボンの移送中に起るシワおよび蛇行
を吸収し、平行な移送案内と鮮明な印字を得るように構
成したものである。

（実 施 例） カーボンリボンのシワおよび蛇行発生の原因の一つであ
る印字部分の片寄り印字について、第１図乃至第３図を
参照して説明する。

第１図および第２図に於て、カーボンリボン１はベース
２の上にカーボン３が積層した構成で、その幅方向の片
側のみにラベルサイズに対応し、かつ長手方向に所定間
隔をもって列設されたバーコードの転写跡である印字使
用部分4aが形成されている。このようにカーボンリボン
１の片側のみのカーボン３が剥離された印字使用部分4a
を形成した状態をカーボンリボン１の片寄り印字と称す
る。尚、カーボンリボン１の幅方向の反対側の長手方向
は転写跡がないので、非印字部分4bである。

この第１図のカーボンリボン１の転写跡である印字使用
部分4aのカーボン３を転写したものが第３図に示すテー
プ状ラベル５であって、該テープ状ラベルにはテープ状
台紙６上に、その裏面に粘着層８を有する一定サイズの
ラベル７を仮着し、このラベル７上に、前記カーボン３
が転写されてバーコードの印字９を形成する。

次にカーボンリボン１のシワおよび蛇行発生の原因の他
の一つであるリボン供給側の偏芯回転によるリボンの繰
出差異を第４図を参照して説明する。

リボン供給リール20にロール状に巻回されたカーボンリ
ボン１は固定案内軸51に案内されて、印字部分方向に至
る。この時、前記リボン供給リール20のリボン供給軸20
aが垂直に設定されている場合には問題が発生しない
が、例えばこの軸が20bの如く偏芯状態に設定された場
合、繰出されたカーボンリボン１は固定案内軸51におい
て、その軸方向の下側1a部分に於ては常時平均したカー
ボンリボンの張力が付加されるが、その上側1b部分は弛
んだり、或は必要以上の張力が付加される。そして特に
弛みの場合には図示のようにカーボンリボン１の傾斜方
向にシワ1cが発生し、更に進んでこの程度が大きくなる
と蛇行発生の原因となる。

次に第５図を参照して本装置を備えたプリンタ10の概略
を説明する。

プリンタ10内には基板11に設定されたステッピングモー
タ24にベルト27を介して接続されて間歇回転するプラテ
ンローラ14に弾性付勢されたサーマルヘッド13とプッシ
ュローラ15とが設けられている。サーマルヘッド13とプ
ラテンローラ15との間には前記カーボンリボン１とテー
プ状ラベル５とが重ね合されて、所望の印字がラベル５
側に熱転写される。またプッシュローラ15は前記カーボ
ンリボン１およびラベル５とをプラテンローラ14に弾性
付勢し、この両材を移送するもので、カーボンリボン１
に対しては移送案内としてある。

このプッシュローラ15の支持構成はフレームにその両端
を支持された枢軸16に、一対のアーム17を嵌装し、該ア
ームの先端にプッシュローラ15を装着し、その各々のア
ーム末端にそれぞれ調整螺子19付のスプリング18を張設
して、プッシュローラ15の端において、それぞれ独立し
て摺動自在となし、このプッシュローラ15を前記プラテ
ン14に圧接した構成である。

次にカーボンリボン１とテープ状ラベル５の移送経路を
説明するにあたって、この移送経路中に本装置のリボン
案内部材50a、50b、50cが三箇所に設定されている。50a
はリボン供給側、50bは印字終了側、50cはリボン巻取側
である。

基板11に設定されたリボン供給リール20に巻回されたカ
ーボンリボン１の方は、本装置のリボン案内部材50aを
経て、合せローラ43に至り、この部分で後述するテープ
状ラベル５と重ね合せられサーマルヘッド13とプラテン
ローラ14とで所望の印字をラベル側に熱転写し、次いで
プッシュローラ15に至り、該ローラ部分で前記テープ状
ラベル５と離反し、次に再び本装置のリボン案内部材50
b、50cを経て、案内ローラ44を介して、前記ステッピン
グモータ24の駆動をプラテンローラ14を介して、ベルト
28、プーリ29より伝達されて間歇回転するリボン巻取リ
ール21に巻取られる。尚、このリボン巻取リール21の軸
には歯車30を有し、該歯車30に噛合う歯車31が設けられ
ている。そして歯車31と同軸のプーリ32と、前記リボン
供給リール20と同軸のプーリ34との間に、コイルスプリ
ング33を懸架して、リボン供給リール20にバックテンシ
ョンを掛けた構成である。すなわちリボン供給リール20
から繰出されるカーボンリボン１の余剰繰出しを防止で
きる構成である。

次に前記基板11に設定されたラベル供給リール22に巻回
されたテープ状ラベル５の方は、案内ローラ35を経て、
可動センサー37およびラベル幅調整部材38を備えた案内
部材36の案内面に沿って、前記合せローラ43に至り、前
記カーボンリボン１と重ね合せられ、サーマルヘッド13
とプラテンローラ14との間で、そのラベル７部分に印字
が施されて、転向ピン39にて台紙６の転向作用にて、こ
れに仮着状態のラベル７を剥離する。尚、このラベル剥
離には転向ピン39に臨んで剥離補助ピン40を配設すれば
その剥離作用は更に良好である。次にこのラベル７を剥
離した台紙６は案内ローラ41を介して前記ステッピング
モータ24にベルト25を介してそのプーリ26に接続され間
歇回転する前記基板11に設定されたラベル（台紙）巻取
リール23で巻取られる。

またラベル７を剥離せず、印刷ずみのラベルを仮着状態
のテープ状ラベル５を他の装置にて使用する場合は案内
ローラ42を転向ピン39の前面に配し、この転向ピン39部
分で転向せず、これを単なる案内ピンとして使用し、こ
の案内ローラ42を経て前記ラベル（台紙）巻取リール23
に巻取収容される。

次に本発明装置のカーボン案内部材50a（リボン供給
側）、50b（印字終了側）、50c（リボン巻取側）はその
下部を前記基板11に、その上部を上部支持板12に保持さ
れている。

実施例を第６図を参照して説明すると、前記固定案内軸
51が基板11と上部支持板12とに固定されている。詳しく
は固定案内軸51の上部は前記上部支持板12に座金57とナ
ット58をもって固着され、その下部は縮径とした段部52
となし、その先端に螺子部53が設けられ、該螺子部53
に、座金55とナット56をもって前記基板11と段部52に嵌
合された受部材54とに固着されている。

本装置のカーボン案内部材50a（リボン供給側）、50b
（印字終了側）、50c（リボン巻取側）は直径ｄなる固
定案内軸51に、該軸に比して僅かに大なる内径Ｄを有す
るスリーブ70を遊嵌した構成で、第６図に示すように固
定案内軸51の軸方向の適宜な上部、下部の二箇所に、か
つ第９図に示すように、その円周方向の三箇所に取付孔
59が穿設され、スプリング74を介在したＴ型状の接触子
72、72、72が装着され、該接触子72の摩擦面73が前記ス
リーブ70のスリーブ内周面71に圧接、嵌着されている。
すなわちスリーブ70は固定案内軸51に、スプリング74付
の接触子72で弾性保持されて、偏芯回転が可能な構成で
ある。

実施例に於て、本装置、すなわちリボン案内部材50a、5
0b、50cは第５図に示すように、カーボンリボン１の移
送経路中の三箇所に設置したが、シワおよび蛇行発生の
原因箇所によって少なくとも一箇所に設定すれば大半の
目的は達成できる。

具体的にはリボン供給側に原因があるような場合は特に
前記リボン供給側のリボン案内部材50aの部分に設定
し、印字部分に原因があるような場合には特に印字終了
側のリボン案内部材50bの部分に設定すれば効果的であ
る。

次に本装置の作用を説明すると、先ずカーボンリボン１
のシワおよび蛇行発生の原因がリボン供給側にある場合
に於て、第４図に示す如くリボン供給軸20bの如く偏芯
設定された場合、ロール状に巻回されたカーボンリボン
１は偏芯回転して繰出されるので、その長手方向の繰出
量が相異する。

かくして本装置の特にリボン案内部材50aにより自動的
に吸収される。詳しくは固定案内軸51にスプリング74付
の接触子72を介在したスリーブ70は、その両部材間に形
成された回転間隙61の範囲内での弾性的な偏芯回転によ
り、前記同様に、シワおよび蛇行を吸収する。

従って特にカーボンリボン１にはシワが発生していない
状態なので、次段の印字効果が良好である。

次にカーボンリボン１のシワおよび蛇行発生の原因が印
字部分にある場合に於て説明する。

叙述の如く第１図に示したように幅広のカーボンリボン
１の幅方向にのみ印字使用される片寄り印字の場合、そ
の長手方向において印字使用部分4aはサーマルヘッド13
の加熱圧接により、そのベース２が熱により収縮するの
に対し、非印字部分4bは殆ど収縮しない為、カーボンリ
ボンの長手方向の長さに変動が起こり、シワあるいは蛇
行が発生する。

そこでこのカーボンリボンの長手方向の長さの変動を本
装置の特にリボン案内部材50bで自動的に吸収するもの
である。

詳しくは、リボン案内部材のスリーブ70に圧接されて移
送されるカーボンリボン１の印字使用部分4aと非印字部
分4bとがその長手方向に連続列設された場合、前述の如
く印字使用部分4aは収縮し、非印字部分4bは収縮しない
ので、前記スリーブ70の長手方向の一端（カーボンの印
字部分側）は他端（カーボンの非印字使用部分側）より
大なる引張力が働く。このスリーブ70の長手方向の一
端、他端へのアンバランスな引張力はこれらのスリーブ
70の回転間隙61の偏芯回転、あるいは弾性的な偏芯回転
により平均化されるので、カーボンリボンのシワおよび
蛇行を吸収でき得る。

（効果） 本発明は叙述の如く、カーボンリボンの案内部材である
固定案内軸51に、この軸の直径に比して僅かに大なる内
径を有するスリーブ70を遊嵌せしめ、この両部材間に回
転間隙61を形成し、更にこの回転間隙に弾性付勢された
接触子をこの軸方向に一対、すなわちこの上、下位置に
介在した構成なので、カーボンリボンがこのスリーブに
圧接案内される際、スリーブの偏芯回転により、カーボ
ンリボンの繰出時に発生するシワおよび蛇行を吸収し、
良好な印字ができると共に、カーボンリボンの印字部分
で発生するシワおよび蛇行を吸収でき得る利点を有す
る。

更にはリボン供給リール20と印字部（13,14）との間お
よびこの印字部（13,14）とリボン巻取りリール21との
間に設定されたカーボンリボン案内部材50a,50bとが設
定され、この内少なくとも一つのカーボンリボン案内部
材のみを、前記固定案内軸51の構成とすることにより目
的を達成でき得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のカーボンリボンの移送案内装置の説明
に用いる幅広のカーボンリボンの片寄り印字を示した斜
視図、第２図は第１図のII−II線断面図、第３図は同、
テープ状ラベルの斜視図、第４図はロール状に巻回され
たカーボンリボンの繰出部分の概略斜視図、第５図は本
発明の装置を備えたプリンタの概略図、第６図は本発明
のカーボンリボンの移送案内装置の実施例の詳細で、第
５図のVI−VI線の断面図、第７図は第６図のVII−VII線
の断面図である。 １……カーボンリボン 50a、50b、50c……リボン案内部材 51……固定案内軸、ｄ……同、直径 Ｄ……同、内径 61……回転間隙、70……スリーブ 72……接触子、74……スプリング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カーボンリボンをリボン供給リールから印
   字部を経てリボン巻取リールへ移送案内するカーボンリ
   ボンの移送案内装置において、 前記リボン供給リールと前記印字部との間および前記印
   字部と前記リボン巻取リールとの間に、カーボンリボン
   案内部材が備えられ、この内少なくとも一つのカーボン
   リボン案内部材は固定案内軸と、該固定案内軸の直径に
   比して僅かに大なる内径を有して、前記固定案内軸に遊
   嵌したスリーブと、前記固定案内軸と前記スリーブとの
   間に形成した回転間隙に介在されて弾性付勢され、互に
   間隙を有した一対の接触子から成り、前記スリーブへの
   前記カーボンリボンの圧接案内時に、スリーブの偏芯回
   転により、カーボンリボンの移送中に起るシワおよび蛇
   行を吸収するように構成したことを特徴とするカーボン
   リボンの移送案内装置。