JPH07112762B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JPH07112762B2
JPH07112762B2 JP62259246A JP25924687A JPH07112762B2 JP H07112762 B2 JPH07112762 B2 JP H07112762B2 JP 62259246 A JP62259246 A JP 62259246A JP 25924687 A JP25924687 A JP 25924687A JP H07112762 B2 JPH07112762 B2 JP H07112762B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、空気入りラジアルタイヤ、特に乗用車用とし
て好適に使用でき、操縦安定性、乗心地性能の両者をバ
ランスよく改善しうる空気入りラジアルタイヤに関す
る。
〔従来技術〕
近年、空気入りラジアルタイヤが、優れた操縦安定性
能、低燃費性等のために広く使用されている。さに車両
性能の向上の進歩にともない、より優れた操縦安定性能
が要求され、そのために偏平率の低いラジアルタイヤに
移行する傾向がある一方、車両の居住性を向上させるた
めに乗心地性能をもさらに向上させたタイヤが要求され
ている。
一般に、タイヤにおける乗心地性能は、タイヤ全体の縦
剛性に大きな影響を受け、この縦剛性を増加させるに伴
い乗心地は悪化する。他方、操縦安定性能は、タイヤ全
体の横剛性を主要因とし、この横剛性の増加により、操
縦安定性能は向上する。しかしながら、例えば操縦安定
数農を向上させるためにタイヤの横剛性を増加させると
きには、同時に縦剛性も増加し、乗心地は悪化する傾向
にあり、このように、通常、乗心地性能と操縦安定性と
は二律背反の性能といいうる。
特公昭53−8402号公報は、このような問題の一端を解決
するために、カーカスのコード角度を部分的に変更する
こを提案している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、かかる提案によっては、近年、要求され
ている性能に対応するには不充分である。
本発明は、乗用車用として好適に使用できかつ操縦安定
性能と乗心地性能とをバランスよく改善しうる空気入り
ラジアルタイヤの提供を目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、環状トレッドと、少なくとも１プライの半径
方向にコードを配列したプライからなりかつ一対のビー
ドコアの回りを内側から外側に巻上げられたカーカス
と、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されかつブ
レーカコードを用いた少なくとも２層のプライからなる
ブレーカとを有するとともに、ブレーカは、半径方向内
外に隣接するプライの前記ブレーカコードが互いに反対
方向に傾斜し、しかも前記ブレーカーは、タイヤ赤道を
中心としてブレーカ最大巾の0.4〜0.8倍の巾の該ブレー
カのクラウン域ACと該クラウン域AC両側の該ブレーカの
シヨルダ域ASとにおいて、前記クラウン域ACにおけるブ
レーカコードが赤道面CLに対してなすブレーカコード角
度QCと、シヨルダ域ASにおけるブレーカコードが赤道面
CLに対してなすブレーカコード角度QSとが異なることを
特徴とした空気入りラジアルタイヤである。
前記したように、一般には、タイヤの乗心地性能と操縦
安定性能とは、二律背反の性能であり、又操縦性と横剛
性とは、一方の増加により他方が増加する正の相関関係
にある。しかしながら、本発明者らは、ブレーカの、し
かもブレーカコード角度とブレーカの面内、面外曲げ剛
性の関係とともに、タイヤのトレッド部におけるクラウ
ン部とシヨルダ部とが操縦安定性、乗心地性能に及ぼす
影響について探求した結果、クラウン部とシヨルダ部と
のブレーカコードを角度を変えることによって、目的と
するタイヤ性能に応じて乗心地性能、操縦安定性能を、
タイヤ全体としてバランスよく改善しうることを見出し
た。
一般に、ブレーカの面外曲げ剛性を低下させれば、これ
は縦剛性が低下することに相応し、乗心地性能は向上す
る。他方、面内曲げ剛性を高めることは、トレッド部の
横剛性を増すここに相応し、操縦安定性能が向上する。
互いに交差するブレーカコードを有する少なくとも、２
プライのブレーカにおいて、タイヤ赤道面に対するその
ブレーカコード角度を、ある範囲内で変化させたとき、
面外曲げ剛性はあるブレーカコード角度において、最小
値をとり、面内曲げ剛性は最大値をとる。例えば偏平率
82％のっ乗用車用ラジアルタイヤを用いて、ブレーカコ
ード角度を変化させたときの操縦安定性能と乗心地性能
を評価した結果を第４図に示す。
第４図は、横軸にブレーカコードを、縦軸に性能評価を
表す。又第４図は、２プライのブレーカの内外のプライ
のプライコードを、互いに逆に同角度で傾けた場合を示
し、この評価結果では、ブレーカコード角度が17゜付近
まではブレーカコード角度を増加に伴い操縦安定性能及
び乗心地性能は向上する傾向にある。これは、第６、７
図に定性的に示すように、17゜まではブレーカコード角
度の増加とともに、面外曲げ剛性が低下し、乗心地を向
上する一方、面内曲げ剛性が増すため、操縦安定性を高
めうるのである。他方、19゜を越えて増加させると、両
性能共に、低下するのがわかる。そして操縦安定性能は
ブレーカ角度17゜付近で最大となり、乗心地性能は、19
゜付近で最大値となった。なおこの両性能が最高となる
値に対応するブレーカコード角度は、タイヤサイズによ
り変化し、偏平率が小さくなると、増加する傾向にある
ことがわかった。この両性能の最高値間においては、ブ
レーカ角度の変化によって、両性能は相反する傾向を示
した。これは、面内、面外曲げ剛性が最小値、最大値を
とる角度にずれがあるためである。
翻って、タイヤにおいて、縦剛性を低下させることによ
り乗心地が、又横剛性の向上により操縦安定性が高まる
のは前記のとおりであるが、とくにトレッド部について
考察すると、タイヤ赤道面を中心とするクラウン部とそ
の両側のシヨルダ部とでは、クラウン部の剛性を増し直
進安定性を高めることは操縦安定性に寄与でき、又その
低下により乗心地を向上する一方、接地圧力が大である
シヨルダ部において面外曲げ剛性を低下させることは乗
心地性能を高め又シヨルダ部における面内曲げ剛性を高
めることによってコーナリング力を増し曲進時の操縦安
定性を高めうるなど、このように、クラウン部とシヨル
ダ部とでは、その剛性の調整を行うことによってタイヤ
全体としてのバランスのよい乗心地性能、操縦安定性の
向上に役立たせうるのであって、本発明者らは、前記し
た両性能に与えるブレーカ剛性の特性を考慮し、クラウ
ン部、ショルダ部とでブレーカコード角度を違えること
により両性能を、好ましくかつバランスよく改善しうる
ことを見い出した。
以下本考案の一実施例を図面に基づき説明する。
第１図は、本発明の空気入りラジアルタイヤの横断面図
を示す。
タイヤ１は、環状トレッド２と、その両端から半径方向
内側に伸びる一対のサイドウオール３、３と、その内端
部に設けられかつビードコア４を有するビード部５、５
とを具える。又トレッド部２、サイドウオール部３を通
りかつビードコア４の回りに内側から外側へ巻上げられ
て係止されるカーカス６が設けられ、このカーカス６
は、半径方向に、ほぼ平行に配列されたカーカスコード
のプライからなり、該コードとして、主として、ナイロ
ン、ポリエステル、芳香族ポリアミド、金属コード、又
はガラス繊維コードを用いることができる。
本例では、カーカス４は、１プライからなる場合を示し
ているが、複数層であってもかまわない。カーカス６の
半径方向外側に、ブレーカコード９…を用いたブレーカ
７が配置され、該ブレーカ７は、本例では、半径方向
内、外の内側層7b、及び外側層7aの２プライからなる。
なおブレーカコードとして金属コードを用いている。
第２図はブレーカ７とカーカス６のコードの傾きを示
す。
ブレーカ７は、タイヤ赤道面CLを中心とするクラウン域
ACと、その両側のシヨルダ域ASとに区分でき、又内側層
7b、外側層7aのクラウン域ACにおける赤道面CLに対する
コード角度QCとシヨルダ域ASにおけるコード角度QSは、
本例では、QC＞QSであって、しかもクラウン域ACでは、
内側層7b及び外側層7aは赤道面ACに対し、同角度QCを有
して逆に傾いている。
なおシヨルダ域ASも層7a、7bで逆に傾いている。内側層
7bのシヨルダ部ASのコード角度QSは、外側層7aのコード
角度と異なるせることもできる。
外、内側層7a、7b内においては、ブレーカコード９は、
一方のシヨルダ域ASとクラウン域ACとの境界付近で急角
度で変化している。なお例えば、円弧などを用いてなめ
らかに変化させることもできる。
又ブレーカコード９は、両域AC、ASにおいて連続してい
なければならない。不連続の場合、両域AC、ASの境界
で、接地時に金属コードの不連続端が各々異なった動き
を呈し、耐久性能の面からも操縦安定性能の面からも好
ましくない。
さらに、タイヤ軸方向に平行に測定したブレーカ７の最
大値Ｌに対し、クラウン域ACの巾LCは、0.8倍以下かつ
0.4倍以上であることが好ましい。0.8倍を越えると、ク
ラウン域ASの特性が強くなりすぎ、又0.4倍未満ではシ
ヨルダ域ACの特性が強くなりすぎるため、前記２つの性
能を満足しにくくなる。
又本例では、前記ブレーカコード角度QC、QSは、QC＞QS
であって、しかもタイヤを車両に装着して走行させた
時、路面の変化を面外曲げ剛性を低いクラウン域ACが吸
収し、コーナリング時において、面内曲げ剛性の高い両
側域ASがブレーカ７の変形を減じることによって、乗心
地性能及び操縦安定性能の両者を向上させるべく、各サ
イズごとに定まる、前記第６、７図の特性に基づいて、
角度QC、QSが定められる。
さらに前記ブレーカコード角度QC、QSの差は２゜以上で
あることが好ましい。２゜未満では夫々の領域の特性が
発揮されにくく、前記入の各性能の改善が困難となる傾
向にある。
しかも前記ブレーカコード角度QC、QSは、ブレーカ７全
域にわたって15゜から35゜の範囲にあることが好まし
い。
一般に、15゜未満ではブレーカ７の面外曲げ剛性が高く
なりすぎ、乗心地性能の改善が困難になり、又面内曲げ
剛性は低くなり、操縦安定性も低下し、性能改善が難し
くなる。35゜を越えるとブレーカ層の周方向剛性が急激
に低下し、ブレーカ７の本来の目的であるタガ効果が減
少し、他の性能に悪影響を及ぼしやすくなる。
第３図は、クラウン域ACのブレーカコード角度QCを、シ
ヨルダ域ASのブレーカコード角度QSよりも小さくした他
の実施例を示している。
前記実施例とは逆に、面内曲げ剛性の高いクラウン域AC
が、操縦安定性能の向上に寄与し、面外曲げ剛性の低い
シヨルダ域ASが乗心地性能を改善する。
なおブレーカ７は、第５図（ａ）、第５図（ｂ）に示す
ように、中央部の外径DC、両縁部の外径DSが急激に変化
する断面形状を有するブレーカドラム10の上にブレーカ
プライ7a、7bを均一なブレーカコード角度を有するよう
に取付け、シエーピングしたカーカス上に載置し、他の
コンポーネントを配置した後、所定の加硫機内で加硫成
型することにより得ることができる。
〔実施例〕
第１表に示す実施例及び比較例のタイヤを205/60R15
のサイズで試作し、排気量18 00ccの国産乗用車に装着し、一定コースを走行させ、ド
ライバーフイーリング評価を行った。その結果を同表下
欄に指数で示す（数字が大きい程良好であることを示
す）。
比較例１は、従来のタイヤであり、比較例２はそれより
も小さいブレーカコード角度を有するタイヤであり、比
較例３は、比較例１よりも大きなブレーカコード角度か
らなるブレーカ層を有するタイヤである。実施例１、２
は、本発明によるタイヤでありクラウン域ACとシヨルダ
域ASとでブレーカコード角度を違えたタイヤである。こ
れらのタイヤは、ブレーカコード角度以外の仕様は同一
であり、ポリエステルカーカス、金属コードブレーカ及
び一対のビードコアを有する。
比較例２は、比較例１に比べ、ブレーカの面内曲げ剛性
が高いため、操縦安定性能は向上したが、ブレーカの面
外曲げ剛性も高いので乗心地性能は低下した。比較例３
は、逆の傾向を示した。それに対し、実施例１は、比較
例１に比べて操縦安定性能及び乗心地性能の両者が向上
した。実施例２は、操縦安定性能は比較例１と同じレベ
ルであったが、乗心地性能の改善がみられた。
〔発明の効果〕
叙上のごとく本発明の空気入りラジアルタイヤは、クラ
ウン部、シヨルダ部におけるブレーカコード角度を変化
させることにより、目的に応じてかつバランスよく操縦
安定性能と乗心地性能とを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の一実施例を示す横断面図、第２図はブ
レーカとカーカスのコード角度を示す展開図、第３図は
他の実施例の展開図、第４図はブレーカコード角度と操
縦安定性能と乗心地性能の関係を示す線図、第５図
（ａ）、（ｂ）はブレーカコードの貼付け方法を例示す
る断面図、第６図、第７図はブレーカコード角度と面外
曲げ剛性、面内曲げ剛性の関係を示す線図である。 ４……ビードコア、６……カーカス、 ７……ブレーカ、９……ブレーカコード、 AC……クラウン域、AS……シヨルダ域、 QC……クラウン域におけるブレーカコード角度、 QS……シヨルダ域におけるブレーカコード角度、 Ｌ……ブレーカ層最大巾。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】環状トレッドと、少なくとも１プライの半
    径方向にコードを配列したプライからなりかつタイヤ両
    側のビードコアの回りを内側から外側に巻上げられたカ
    ーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置され
    かつブレーカコードを用いた少なくとも２層のプライか
    らなるブレーカとを有ししかも下記の点を特徴とする空
    気入りラジアルタイヤ。 （ａ） ブレーカの、半径方向内外に隣接するプライ
    は、そのブレーカコードが互いに反対方向に傾斜する部
    分を有すること、 （ｂ） 前記ブレーカは、タイヤ赤道を中心としてブレ
    ーカ最大巾の0.4〜0.8倍の巾のクラウン域ACと、該クラ
    ウン域AC両側のシヨルダ域ASとにおいて、前記クラウン
    域ACにおけるブレーカコードが赤道面CLに対してなすブ
    レーカコード角度QCと、シヨルダ域ACにおけるブレーカ
    コードが赤道面CLに対してなすブレーカコード角度QSと
    が異なること。
  2. 【請求項２】前記ブレーカコードは金属コードからなる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の空気入り
    ラジアルタイヤ。
  3. 【請求項３】前記クラウン域ACにおけるブレーカコード
    角度QCと、シヨルダ域ASにおけるブレーカコード角度QS
    との差が２゜以上であることを特徴とする特許請求の範
    囲第１項又は第２項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 【請求項４】前記クラウン域ACにおけるブレーカコード
    角度QCは、前記シヨルダ域ASにおけるブレーカコード角
    度QSよりも大きいことを特徴とする特許請求の範囲第１
    項乃至第３項のいずれかに記載の空気入りラジアルタイ
    ヤ。
  5. 【請求項５】前記シヨルダ域ASにおけるブレーカコード
    角度QSは、前記クラウン域ACにおけるブレーカコード角
    度QCよりも大きいことを特徴とする特許請求の範囲第１
    項乃至第３項のいずれかに記載の空気入りラジアルタイ
    ヤ。
  6. 【請求項６】前記ブレーカコード角度は、ブレーカ全域
    にわたって15゜から35゜までの範囲にあることを特徴と
    する特許請求の範囲第１項乃至第５項のいずれかに記載
    の空気入りラジアルタイヤ。
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