JPH0571505U - 発電機用エンジンにおけるクランクダンパ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 発電機用エンジンのクランクシャフトの固有
振動数を変更可能にする。 【構成】 クランクシャフト１に弾性部材５を介して設
けられた第１マス３と、クランクシャフト１に着脱可能
に取り付けた第２の慣性マスとしての付加マス４を備え
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、発電機用エンジンの振動を低減するクランクダンパ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

エンジンのクランクシャフトの先端にはねじり振動を低減させるためにクラン クダンパが備えられており、このようなダンパ装置として実開昭５８−１８７６ ４１号公報に開示される固定式のダンパ装置や特開昭６２−５６６４４号公報に 開示されるように電磁クラッチを介して付加マスをクランクダンパと着脱して固 有振動数を変更する装置が知られている。

【０００３】 ところで、発電機用エンジンにおいては発電周波数に応じて使用回転域が異な るため、発電周波数の仕様毎にクランクダンパを変更する必要がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記前者の固定式のダンパ装置では発電周波数の仕様毎にクラ ンクダンパを用意するために製造コストを上昇させ、また上記後者の装置では複 数の発電周波数に対応することが可能ではあるが構成が複雑になるだけでなくコ ストも上昇してしまうという問題が発生した。

【０００５】 そこで本考案は、クランクシャフトのねじり振動共振回転数を容易に変更可能 でありながら簡易な構成の発電機用エンジンにおけるクランクダンパ装置を提供 することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、クランク軸に弾性部材を介して設けられた第１の慣性マスと、同じ くクランク軸に着脱可能に取り付けた第２の慣性マスとを備える。

【０００７】

【作用】

第１及び第２の慣性マスを備えた状態で所定の回転域でクランク軸のねじり振 動を低く押え、第２の慣性マスを取り外した状態ではさらに他の所定の回転域で クランク軸のねじり振動を低く押える。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に従って本考案の実施例を説明する。

【０００９】 図１において、１は発電機用エンジンのクランクシャフト、２はクランクシャ フト１の端部に嵌合した円板状部材で形成されたハブで、ナット７によりクラン クシャフト１に固定される。

【００１０】 ３はクランクダンパ１０を構成するため所定の慣性を備えた第１マスで、弾性 部材５を介して円板状のプレート６に固着され、このプレート６がハブ２の内側 端面へボルト８により締結されてクランクシャフト１と一体となって回転する。

【００１１】 ４は所定の慣性マスを備えた第２の慣性マスとしての付加マスで、ボルト８に よりハブ２の外側端面へ着脱可能に締結されてクランクシャフト１と一体となっ て回転し、また、ハブ２の外側端面に締結されているためにクランクシャフト１ をエンジンに組み付けた後も容易に取り外すことができる。

【００１２】 そして、付加マス４を取り外した状態では発電周波数６０Ｈｚのエンジン回転 数でねじり振動の共振が、付加マス４を取り付けた状態では同じく５０Ｈｚのエ ンジン回転数でねじり振動の共振が無いように設定される。

【００１３】 以上のように構成され、次に作用について説明する。

【００１４】 エンジンの運転に伴って回転するクランクシャフト１のねじり振動共振点は、 付加マス４の有無によりその回転域が変更される。

【００１５】 この様子を示すのが図２で、クランクダンパ１０の慣性マスを増大させると矢 示Ａ方向、すなわち、エンジン回転数の低速側に共振点が移動し、一方、慣性マ スを減少すると、矢示Ｂ方向、すなわち、エンジン回転数の高速側へ移動する。

【００１６】 したがって、使用するエンジンの回転域においてねじり振幅を小さく押えるよ う慣性マスを設定することによりエンジンの振動の低減を容易に行うことができ る。

【００１７】 いま、上記慣性マスの増減を付加マス４の脱着により行うと、付加マス４を取 り付けていない状態でクランクシャフト１に固定した第１マス３の慣性マスが発 電周波数の６０Ｈｚに相当する回転域でねじり振幅が小さくなるよう設定され、 一方、付加マス４を取り付けた状態でのクランクダンパ１０の慣性マスが発電周 波数の５０Ｈｚに相当する回転域でねじり振幅が小さくなるよう設定されている ため、エンジンの各回転域でのねじり振幅は図３に示すようになる。

【００１８】 すなわち、付加マス４を取り外した状態（実線）で発電周波数６０Ｈｚ相当の 回転数ではねじり振幅が点Ｃのレベルとなる。この状態で発電周波数５０Ｈｚ相 当の回転数にエンジンの回転数を減速するとねじり振幅は点Ｄ’となりねじり振 幅が増大してしまう。発電周波数５０Ｈｚ相当の領域で運転するときは付加マス ４を取り付けると（点線）ねじり振幅は点Ｄのレベルに低下し、点Ｃのレベルと 同様にねじり振幅を低減することができる。

【００１９】 このようにして付加マス４の慣性マスを調整することにより複数の回転域でね じり振幅の低減を実現できる。また、付加マス４の構造が簡易なために製造コス トを低く押えることができ、さらに各発電周波数に応じてねじり振幅の低減が行 えるため、クランクダンパ１０及びこれを支持する部材の耐久性を向上させるこ とが可能となる。

【００２０】 なお、上記実施例において第１マス３及び付加マス４をハブ２に取り付けたが 、プーリ又はフランジなどに取り付けてもよい。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように本考案は、同一の発電機用エンジンで第１及び第２の慣性マスに よりねじり振動を低減するエンジンの回転域と、第２の慣性マスのみを取り外し て第１の慣性マスのみによりねじり振動を低減する回転域をそれぞれ使用できる ため、複数の発電周波数に対応してねじり振動を低減することが可能となり、脱 着可能な第２の慣性マスは容易に製造可能であり製造コストを低く押えることが できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す概略図である。

【図２】エンジン回転速度とクランクシャフトねじり振
幅との関係を示す図である。

【図３】エンジン回転速度とクランクシャフトねじり振
幅との関係を示す図である。

【符号の説明】

１ クランクシャフト ３ 第１マス ４ 付加マス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク軸に弾性部材を介して設けられ
   た第１の慣性マスと、同じくクランク軸に着脱可能に取
   り付けた第２の慣性マスとを備えたことを特徴とする発
   電機用エンジンにおけるクランクダンパ装置。