JPS632582Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ターボチヤージヤのホイール軸に係
り、更に詳細には自動車用内燃機関等に用いられ
る比較的小型のターボチヤージヤのホイール軸に
係る。

自動車用内燃機関等に用いられる比較的小型の
ターボチヤージヤは、両端部にてコンプレツサホ
イールとタービンホイールとを支持するホイール
軸を有しており、一般にはホイール軸は、ターボ
チヤージヤのハウジングに取付けられた軸受装置
より支持される支持軸部と、前記支持軸部の一端
部に該支持軸部に同軸に接続され前記支持軸部よ
り小径のホイール取付軸部とを有しており、前記
ホイール取付軸部にてコンプレツサホイールを担
持し、他端にアプセツト溶接等によりタービンホ
イールを接続されている。

上述の如きホイール軸は支持軸部とホイール取
付軸部との接続部に段部を有し、この段部はホイ
ール軸のスラスト力の受止め及びホイール軸、コ
ンプレツサホイールの軸線方向取付位置の設定に
用いられるが、このような段付軸が高速回転する
と、支持軸部とホイール取付軸部の剛性の違いに
より、その段部を節とする振動が生じ、取付軸部
が振れて該取付軸部に取付けられているコンプレ
ツサホイールが首振り運動を起こす。この首振り
運動は共振時に大きいものになり、コンプレツサ
ホイールがターボチヤージヤのハウジングに接触
する虞れを生じる。

本考案は高速回転時の振動レベルが低く、コン
プレツサホイールの首振り運動が従来に比して小
さくする改良されたターボチヤージヤのホイール
軸を提供することを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、軸受装置より
支持される支持軸部と、前記支持軸部の一端に該
支持軸部に同軸に接続され前記支持軸部より小径
のホイール取付軸部とを有するターボチヤージヤ
のホイール軸にして、前記支持軸部の軸線方向中
間部に前記ホイール取付軸部と実質的に同径の小
径軸部を有している如きホイール軸によつて達成
される。

かかる構成によれば、支持軸部がその軸線方向
中間部にホイール取付軸部と実質的に同径の小径
軸部を有していることにより、該支持軸部とホイ
ール取付軸部との剛性の違いが少なくなり、該両
軸部の接続部の段部を節とする振動が上述の如き
小径軸部を備えていない従来のものに比して小さ
くなり、これに伴いコンプレツサホイールの首振
り運動が従来のものに比して低減する。また、支
持軸部の軸線方向中間部に小径軸部が設けられた
ことによりホイール軸全体の剛性が従来より低く
なり、これによりホイール軸の共振周波数が低く
なつて共振時に於ける振動が小さくなり、これに
よつてもコンプレツサホイールの首振り運動が小
さくなり、コンプレツサホイールがターボチヤー
ジヤのハウジングに接触する虞れがなくなる。

支持軸部に設けられる小径軸部はホイールの要
求機械強度を満たした上で支持軸部とホイール取
付軸部との剛性の均一化を図るべくその径寸法及
び軸線方向長を決定され、この径はホイール取付
軸部の径にほぼ等しくて良く、軸線方向長は支持
軸部が軸受装置に係合しない部分のほぼ全域に亙
る軸線長であつて良い。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
して詳細に説明する。図に於て、１はターボチヤ
ージヤのハウジングを、２はホイール軸を各々示
している。

ホイール軸２は支持軸部３と前記支持軸部３の
一端部に該支持軸部に同軸に接続され前記支持軸
部より小径のホイール取付軸部４とを有してい
る。支持軸部３はその軸線方向中央部に小径軸部
５を有しており、該小径軸部の両側に軸受軸部６
を有している。ホイール軸２は二つの軸受軸部６
にてフローテイング軸受装置７によりハウジング
１より回転可能に支持されており、支持軸部３の
他端部にタービンホイール８をアプセツト溶接に
より一体に接続されている。

ホイール取付軸部４には円環状の外周溝９を備
えたスラストカラー部材１０とスペーサ部材１１
とコンプレツサホイール１２とが順に装着されて
おり、これらはホイール取付軸部４の先端部に設
けられたねじ部１３に螺合しているナツト１４に
より支持軸部３とホイール取付軸部４との接続部
に存在する円環状の段部１５と該ナツト１４とに
挟まれてホイール取付軸部４に固定的に担持され
ている。スラストカラー部材１０の外周溝９には
ハウジング１に固定されたスラストプレート１６
が係合しており、これによりホイール軸２のスラ
スト力の受止め及びハウジング１に対する軸線方
向取付位置が規制されている。

支持軸部２の軸線方向中央部に設けられた小径
軸部５は該支持軸部とホイール取付軸部の剛性の
均一化を図るために設けられているものであり、
その径はホイール取付軸部４の径にほぼ等しくな
つている。尚、小径軸部２の部分にはこれの両側
に位置する二つのフローテイング軸受装置７の軸
方向に動きを規制するためのスリーブ１７が嵌合
している。

第２図及び第３図は各々本考案によるホイール
軸と従来のホイール軸の振動特性を比較して示す
グラフである。第２図はホイール軸の回転数に対
する振動加速時の特性を、第３図はホイール軸の
振動周波数に対する振幅特性を示しており、この
両グラフに於て、Ａは本考案によるホイール軸の
振動特性を、Ｂは従来のホイール軸の振動特性を
各々示している。

第２図に示されたグラフから支持軸部の軸線方
向中間部に小径部を有するホイール軸は支持軸部
に小径軸部を有していない従来のもにに比して振
動レベルが低いことが理解される。

ホイール軸の振動の加振力は回転部分のアンバ
ランス重量であり、回転速度が高くなるほどその
加振力は大きくなる。従つてホイール軸全体の共
振周波数が加振力の弱い低周波域、即ちホイール
軸の低回転数域にあるほど共振振動が小さく抑え
られる。支持軸部に小径軸部が設けられると、ホ
イール軸全体の剛性が低くなり、第３図のグラフ
からも明らかな如く、該ホイール軸の共振周波数
が小さくなり、これによつて特に共振時に於ける
振動の振幅が小さくなり、共振時に於けるコンプ
レツサホイールの首振り運動が小さくなり、コン
プレツサホイールがハウジングと接触する虞れが
なくなる。

以上に於ては本考案を特定の実施例について詳
細に説明したが、本考案はこれに限定されるもの
ではなく本考案の範囲内にて種々の実施例が可能
であることは当業者にとつて明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるホイール軸を有するター
ボチヤージヤの一つの実施例をその要部について
示す縦断面図、第２図はホイール軸の回転数に対
する振動加速度特性を示すグラフ、第３図はホイ
ール軸の周波数に対する振幅特性を示すグラフで
ある。 １……ハウジング、２……ホイール軸、３……
支持軸部、４……ホイール取付軸部、５……小径
軸部、６……軸受軸部、７……フローテイング軸
受装置、８……タービンホイール、９……外周
溝、１０……スラストカラー部材、１１……スペ
ーサ、１２……コンプレツサホイール、１３……
ねじ部、１４……ナツト、１５……段部、１６…
…スラストプレート、１７……スペーサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸受装置より支持される支持軸部と、前記支持
   軸部の一端部に該支持軸部に同軸に接続され前記
   支持軸部より小径のホイール取付軸部とを有する
   ターボチヤージヤのホイール軸にして、前記支持
   軸部の軸線方向中間部に前記ホイール取付軸部と
   実質的に同径の小径軸部を有しているホイール
   軸。