JPH05279920A - 防虫性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

防虫性ポリエステル繊維の製造方法

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JPH05279920A
JPH05279920A JP10066492A JP10066492A JPH05279920A JP H05279920 A JPH05279920 A JP H05279920A JP 10066492 A JP10066492 A JP 10066492A JP 10066492 A JP10066492 A JP 10066492A JP H05279920 A JPH05279920 A JP H05279920A
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JP
Japan
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polyester
insect
repellent
insect repellent
viscosity
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JP10066492A
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English (en)
Inventor
Akira Dono
彬 堂野
Tomoaki Nishikawa
知章 西川
Tamotsu Ishida
保 石田
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Kanebo Ltd
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘度が低く揮発しやすい防虫剤を溶融成型温
度の高いポリエステルポリマー中に練り込んで防虫性ポ
リエステル繊維を製造するにあたり、防虫剤が発煙する
ということがなく、この防虫剤が簡単かつ効率良くポリ
エステル繊維に練り込まれ、防虫剤が充分に含有される
と共に充分な強度を持つ防虫性ポリエステル繊維が安定
して得られるようにする。 【構成】 低粘性の防虫剤を脂肪族系ポリエステルと混
合してギアポンプによって送液可能な粘性の混合液を調
製し、この混合液をポリエステルポリマーの紡糸直前に
おいて、ポリエステルポリマー中に急速混練した後、こ
れを紡糸して防虫性ポリエステル繊維を製造するように
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリエステル繊維中
に防虫剤を練り込んで防虫性を付与するようにした防虫
性ポリエステル繊維の製造方法に係り、特に、低粘性の
防虫剤をポリエステル繊維中に練り込んで防虫性ポリエ
ステル繊維を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂に防虫剤を配合
してなる樹脂組成物を成型加工し、防虫性のある繊維や
フィルムやシート等を製造することが検討されていた。
【0003】例えば、特開平3−205456号公報に
おいては、熱可塑性樹脂にジアルキルフタレート,ジア
ルキルアジペート及びジアルキルフマレートのうちから
選ばれた1種または2種以上の薬剤を配合した樹脂組成
物を溶融成型して害虫防除性成型品を製造することが示
されている。
【0004】ここで、上記のジアルキルフタレート,ジ
アルキルアジペート及びジアルキルフマレート等の防虫
剤を使用して防虫性の繊維を製造するにあたっては、一
般にマスターバッチ法によりこれらの防虫剤を高温でポ
リマー中に分散させた後、これを紡糸して防虫性の繊維
を製造することが考えられる。
【0005】しかし、上記のような防虫剤をマスターバ
ッチ法によりポリマー中に充分に分散させることは困難
であり、また上記のような防虫剤は一般に粘性が低くて
揮発しやすいため、この防虫剤を高温でポリマー中に分
散させた際に、これらの防虫剤が発煙して飛散してしま
い、繊維中に充分な量の防虫剤を添加することができな
くなったり、紡糸時にこれらの防虫剤が蒸発して繊維中
に気泡が生じ、繊維の強度が低下する等の問題があっ
た。
【0006】特に、溶融成型温度が280〜300℃と
高いポリエステル繊維の場合、上記のように防虫剤をポ
リエステルポリマー中において高温で分散させた際に、
防虫剤の発煙が多くなり、防虫剤が充分に含有された防
虫性ポリエステル繊維を得ることができないという問題
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、粘度が低
く揮発しやすい防虫剤をポリマー中に練り込んで防虫性
繊維を製造する際における上記のような問題を解決する
ことを課題とするものであり、特に、溶融成型温度が高
いポリエステルポリマー中に上記の防虫剤を練り込んで
防虫性ポリエステル繊維を製造する場合における問題を
解決することを課題とするものである。
【0008】すなわち、この発明においては、上記のよ
うな粘度が低く揮発しやすい防虫剤を溶融成型温度の高
いポリエステルポリマー中に練り込んで防虫性ポリエス
テル繊維を製造するにあたり、従来のように防虫剤が発
煙するということがなく、この防虫剤が簡単かつ効率良
くポリエステル繊維に練り込まれ、防虫剤が充分に含有
されると共に充分な強度を持つ防虫性ポリエステル繊維
が安定して得られるようにすることを課題とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明においては、上
記のような課題を解決するため、低粘性の防虫剤を脂肪
族系ポリエステルと混合してギアポンプによって送液可
能な粘性になった混合液を調製し、この混合液をポリエ
ステルポリマーの紡糸直前において、ポリエステルポリ
マー中に急速混練した後、これを紡糸して防虫性ポリエ
ステル繊維を製造するようにしたのである。
【0010】ここで、防虫性ポリエステル繊維を製造す
るのに使用する上記の防虫剤としては、ポリエステルポ
リマーと良く相溶し、高温下でも安定性を有し、さらに
防虫効果が高く且つ安全な化合物を選択して用いるよう
にすることが好ましく、例えば、ジアルキルテレフタレ
ート,ジアルキルアジペート及びジアルキルフマレート
等であって、上記アルキル基の炭素数が1〜8のものを
用いるようにし、ジアルキルテレフタレートとしては、
オルトジアルキルフタレート、イソジアルキルフタレー
ト、テレジアルキルフタレート等を挙げることができ
る。なお、これらの防虫剤は、一般に25℃における粘
度が100cps以下である。
【0011】また、上記のような低粘性の防虫剤と混合
させる脂肪族系ポリエステルとしては、ポリエステルポ
リマーへの注入が困難にならない程度で、高い粘度を有
し、加熱減量が少なく、さらにポリエステルポリマーと
の反応性が低くて、高分子状態を維持するものを用いる
ようにすることが好ましい。
【0012】ここで、このような脂肪族系ポリエステル
としては、一般に25℃における粘度が15000cp
s以上であればよいが、その粘度が100000cps
を超えると、一般にポリエステルポリマーへの注入が困
難になるため、100000cps以下のものを用いる
ようにし、またその平均分子量が3500以上、好まし
くは4000以上ものであればよいが、平均分子量が2
0000を超えると、一般にポリエステルポリマーへの
注入が困難になるため、平均分子量が20000以下の
ものを用いるようにし、さらに加熱減量が2%以下、水
酸基価が20mgKOH/g以下の脂肪族系ポリエステ
ルを用いるようにすることが好ましい。なお、上記加熱
減量は10℃/minで60℃から310℃迄加熱した
場合の値を示した。
【0013】そして、このような脂肪族系ポリエステル
としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸又はグルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸と、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、
ジエチレングリコール等のグリコールと或いはポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチ
レングリコール等のポリアルキレングリコールとを共重
合したもの、又はこれらの脂肪族ジカルボン酸とグリコ
ールとより得られるポリエステルの少なくとも一方の末
端をプロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルア
ルコール等の一価アルコールで封鎖したものが用いられ
る。
【0014】また、この脂肪族系ポリエステルの酸成分
としては、炭素数3〜8の脂肪族カルボン酸が通常用い
られ、またグリコール成分としては通常炭素数2〜6の
脂肪酸グリコールが用いられるが、酸成分としてはアジ
ピン酸が最も好ましく、グリコール成分としてはエチレ
ングリコールと1,3ブタジオールが最適である。さら
に、ポリエステルの末端を封鎖する一価アルコールとし
てはプロピルアルコールを用いることが好ましい。
【0015】そして、上記の低粘性の防虫剤と粘性を有
する脂肪族系ポリエステルとを混合させるにあたって
は、通常、上記の防虫剤と脂肪族系ポリエステルとを1
0:90〜50:50、好ましくは20:80〜50:
50で混合させるようにし、このように混合された防虫
剤と脂肪族系ポリエステルとの混合液の粘度がギアポン
プで送液可能な程度、一般には25℃における粘度が1
00cps以上、好ましくは300cps以上になるよ
うにする。
【0016】また、上記のように混合された防虫剤と脂
肪族系ポリエステルとの混合液を、ポリエステルポリマ
ーを紡糸させる直前で、ポリエステルポリマーと急速混
練させるにあたっては、静止混練素子を有する混練機、
例えば、ケニックス社製のスタティック・ミキサー(商
品名)や、特殊機化工業社製のロス−ISG−ミキサー
(商品名)等を用いるようにする。
【0017】また、防虫剤と脂肪族系ポリエステルとの
混合液をポリエステルポリマーに混練させるにあたって
は、紡糸等がうまく行われると共に、得られた防虫性ポ
リエステル繊維が充分な防虫性能を持つようにするた
め、ポリエステルポリマーに対して上記混合液を1〜6
重量%、好ましくは2〜4重量%加えるようにし、得ら
れた防虫性ポリエステル繊維中に防虫剤が0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは
0.5重量%以上含有されるようにする。但し、ポリエ
ステル繊維中に含有させる防虫剤の量が多くなりすぎる
と、ポリマーの物性を低下させるため、一般的には防虫
剤を10重量%以上含有させることは困難である。
【0018】
【作用】この発明における防虫性ポリエステル繊維の製
造方法においては、上記のように低粘性の防虫剤を粘性
の有る脂肪族系ポリエステルと混合させてギアポンプに
よって送液可能な粘性になった混合液を調製し、この混
合液をポリエステルポリマーの紡糸直前において、ポリ
エステルポリマー中に急速混練させるようにしたため、
上記防虫剤が脂肪族系ポリエステルと一緒になってポリ
エステルポリマー中にうまく練り込まれ、従来のように
防虫剤が蒸発して飛散するということが少なくなる。
【0019】また、このように低粘性の防虫剤と脂肪族
系ポリエステルとの混合液をポリエステルポリマー中に
急速混練させた後、これを紡糸する際にも、上記防虫剤
が蒸発するということが少なく、防虫剤が充分に含有さ
れると共に充分な強度を持つ防虫性ポリエステル繊維が
安定して製造されるようになる。
【0020】
【実施例】以下、この発明に係る防虫性ポリエステル繊
維の製造方法において、低粘性の防虫剤と混合させる粘
性の有る脂肪族系ポリエステルの種類を変更させた様々
な実施例について説明する。
【0021】(実施例1)この実施例においては、低粘
性の防虫剤として、25℃における粘度が13cpsに
なった液状防虫剤(大阪化成社製,マルカマイトED)
を用いる一方、この低粘性の防虫剤と混合させる粘性を
有する脂肪族系ポリエステルとしては、平均分子量が4
000,25℃における粘度が25000cps,前記
の加熱減量が1.8%,水酸基価が18.8mgKOH
/gのアジピン酸系ポリエステルを用いるようにした。
【0022】そして、この実施例においては、上記の防
虫剤と上記のアジピン酸系ポリエステルとを混合させる
割合を変更させた様々な混合液を用いて実験を行った。
【0023】ここで、実験例1においては、上記の防虫
剤75重量部に対して上記のアジピン酸系ポリエステル
を25重量部の割合で、実験例2においては、上記の防
虫剤50重量部に対して上記のアジピン酸系ポリエステ
ルを50重量部の割合で、実験例3においては、上記の
防虫剤25重量部に対して上記のアジピン酸系ポリエス
テルを75重量部の割合で加えるようにし、それぞれ3
本ロールにてこれらを混練して各混合液を得た。
【0024】なお、上記のようにして得た実験例1〜3
における各混合液の25℃における粘度を測定した結
果、実験例1における混合液の粘度は260cps、実
験例2における混合液の粘度は1950cps,実験例
3における混合液の粘度は8000cpsであった。
【0025】次に、数平均分子量が21000のポリエ
チレンテレフタレートの溶融ポリマー100重量部に対
して、上記の各混合液をそれぞれ3重量部添加した後、
これをポリマー流路に設けたスタティックミキサー(ケ
ニックス社製)及びBKHミキサー(スルザー社製)を
用いて急速混練させ、その後は通常の方法によって紡糸
口金より紡糸し、これを延伸して繊度7.78デニール
の防虫性ポリエステル繊維を製造した。
【0026】なお、紡糸口金より紡糸した糸を延伸する
にあたっては、上記防虫剤が蒸発するのを抑制するた
め、乾燥における熱セット温度を130℃以下にした。
【0027】このようにして紡糸を行った結果、上記の
中で防虫剤75重量部に対してアジピン酸系ポリエステ
ルを25重量部加え、粘度が260cpsである実験例
1の混合液の場合には、紡糸口金からポリマーのドロッ
プがあり、未延伸糸が得られなかった。
【0028】これに対し、上記防虫剤に対してアジピン
酸系ポリエステルが50:50以上の割合で混合され、
その粘度が300cps以上になった実験例2,3の各
混合液を用いた場合には、紡糸口金からポリマーが滴下
するということがなく、また防虫剤の発煙も少なかっ
た。
【0029】この結果、上記の防虫剤とアジピン酸系ポ
リエステルとが混合された混合液をポリエチレンテレフ
タレートの溶融ポリマーと混練させて紡糸するにあたっ
ては、防虫剤に対してアジピン酸系ポリエステルが5
0:50以上の割合で混合され、その粘度が300cp
s以上のものを用いるようにすることが好ましいという
ことが分かった。
【0030】次に、上記実験例2における混合液を用い
て製造した防虫性ポリエステル繊維について、その繊維
強度及び伸度を測定したところ、この防虫性ポリエステ
ル繊維における繊維強度は4.27g/d,伸度は4
3.6%であり、充分な繊維強度と伸度を有していた。
【0031】またこの防虫性ポリエステル繊維における
上記防虫剤の含有量を測定した結果、防虫剤の含有量は
1.11重量%であり、防虫剤の残存率は約81%と高
かった。なお、防虫剤の含有量については、この防虫性
ポリエステル繊維を溶解させた後、ガスクロマトグラフ
ィーで分析した。
【0032】さらに、上記実験例2における混合液を用
いて製造した防虫性ポリエステル繊維について、この防
虫性ポリエステル繊維中における防虫剤の含有量の経時
的変化及びコナヒョウヒダニに対する忌避率の経時的変
化を調べた。
【0033】なお、防虫性ポリエステル繊維中における
防虫剤の含有量については、所定の日数を経過した繊維
を溶解して、ガスクロマトグラフィーで分析した。
【0034】また、コナヒョウヒダニに対する忌避率に
ついては、大阪府立公衆衛生研究所法式に従い、直径3
cmのシャーレを粘性シート上に置き、その周囲に6個
の同一シャーレを中央のシャーレと接するように置き、
周囲の6個のシャーレには、直径3cmに切り抜いた処
理区と無処理区の検体を交互に入れ、各検体上にダニの
入っていない粉末試料0.01gを置く一方、中央のシ
ャーレにはエサを除去したダニを入れ、湿度75%に保
って、25℃の高温気中で放置し、6個のシャーレの培
地に侵入したダニの数を数え、以下の式により忌避率を
求めるようにした。
【0035】忌避率(%)=[(対照区の進入ダニ数−
試験区の進入ダニ数)/対照区の進入ダニ数]×100
【0036】そして、上記のようにして測定した防虫性
ポリエステル繊維中における防虫剤の含有量及びダニに
対する忌避率の経時変化を下記の表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】この結果から明らかなように、上記実験例
2における混合液を用いて製造した防虫性ポリエステル
繊維は、その防虫剤の含有量の経時的変化が少なく、ま
たダニに対する忌避率も長期にわたって安定して高い値
を示した。
【0039】(実施例2)この実施例においては、低粘
性の防虫剤として、上記実施例1と同じ防虫剤を用いる
一方、この防虫剤と混合させる粘性を有する脂肪族系ポ
リエステルとしては、平均分子量が8000,25℃に
おける粘度が75000cps,前記の加熱減量が1.
3%,水酸基価が18.6mgKOH/gのセバシン酸
ポリエステルを用いるようにした。
【0040】そして、この実施例においても、上記実施
例1と同様に、上記の防虫剤と上記のセバシン酸ポリエ
ステルとの混合割合を変更した様々な混合液を用いて実
験を行った。
【0041】ここで、実験例4においては、上記の防虫
剤75重量部に対して上記のセバシン酸ポリエステルを
25重量部の割合で、実験例5においては、上記の防虫
剤50重量部に対して上記のセバシン酸ポリエステルを
50重量部の割合で、実験例6においては、上記の防虫
剤25重量部に対して上記のセバシン酸ポリエステルを
75重量部の割合で加えるようにし、それぞれ3本ロー
ルにてこれらを混練して各混合液を得た。
【0042】なお、実験例4〜6において使用する上記
の各混合液の25℃における粘度を測定した結果、実験
例4における混合液の粘度は290cps、実験例5に
おける混合液の粘度は2760cps,実験例6におけ
る混合液の粘度は18000cpsであった。
【0043】そして、これらの混合液を用いる以外は、
前記実施例1の場合と同様にして各防虫性ポリエステル
繊維を製造した。
【0044】このようにして各防虫性ポリエステル繊維
を製造した場合、上記のように防虫剤75重量部に対し
て上記のセバシン酸ポリエステルを25重量部の割合で
加えた混合液を用いた実験例4のものにおいては、紡糸
を行う際に、紡糸口金からポリマーのドロップがあった
のに対し、防虫剤に対して上記のセバシン酸ポリエステ
ルを50:50以上の割合で加えた混合液を用いた実験
例5,6のものにおいては、紡糸口金からのポリマー滴
下はなかった。
【0045】なお、実験例4のものにおいては、紡糸す
る際に紡糸口金からポリマーがドロップしたが、ポリマ
ーのドロップ量は上記実施例1における実験例1の場合
に比べて少なくなっていた。
【0046】この結果、低粘性の防虫剤と混合させる脂
肪族系ポリエステルとしては、その粘度が高いものを用
いる方が紡糸を行う上で好ましく、またこのように粘度
が高い脂肪族系ポリエステルを用いることによって防虫
性ポリエステル繊維に含有させる防虫剤の量を増加させ
ることができた。
【0047】(実施例3)この実施例においては、前記
の低粘性の防虫剤と混合させる脂肪族系ポリエステルと
して、アジピン酸1モルに対し、平均分子量2000の
ポリエチレングリコール0.3モル,エチレングリコー
ル0.7モル,アミルアルコール0.2モルとを加えて
得た液状ポリエステルを用いるようにした。
【0048】なお、このようにして得た液状ポリエステ
ルは、25℃における粘度が3000cpsで、前記の
加熱減量が4.6%、水酸基価が22.5mgKOH/
gであった。
【0049】そして、実験例7においては、前記の低粘
性の防虫剤に対してこの液状ポリエステルを75:25
の割合で混合させた混合液を前記の各実験例と同様にポ
リエチレンテレフタレートに添加させるようにした。こ
の場合、上記混合液の粘度が27cpsと低いため、こ
の混合液をポリエチレンテレフタレートに添加すること
はできなかった。
【0050】また、実験例8においては、前記の低粘性
の防虫剤に対して上記の液状ポリエステルを50:50
の割合で混合させた混合液を前記の各実験例と同様にポ
リエチレンテレフタレートに添加させるようにした。こ
の場合、上記混合液の粘度が200cpsであり、上記
混合液を前記ポリエチレンテレフタレート100重量部
に対して1重量部添加することはできたが、2重量部添
加しようとした場合には、紡糸口金からポリマーのドロ
ップが発生した。
【0051】また、実験例9においては、前記低粘性の
防虫剤に対して上記の液状ポリエステルを25:75の
割合で混合させた混合液を前記の各実験例と同様にポリ
エチレンテレフタレートに添加させるようにした。この
場合も、上記実験例8の場合と同様に、ポリエチレンテ
レフタレート100重量部に対してこの混合液を1重量
部添加させることはできたが、2重量部以上添加した場
合には、紡糸口金からポリマーのドロップが発生した。
【0052】この結果から明らかなように、上記の低粘
性の防虫剤に加えて混合させる脂肪族系ポリエステルの
粘度が低い場合には、この混合液をポリエステルポリマ
ーに注入させたり、紡糸を行う上で制限が有り、多くの
量の防虫剤をポリエステル繊維に含有させることはでき
なかった。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明に係る防
虫性ポリエステル繊維の製造方法においては、低粘性の
防虫剤を粘性の有る脂肪族系ポリエステルと混合させて
ギアポンプによって送液可能な粘性になった混合液を調
製し、この混合液をポリエステルポリマーの紡糸直前に
おいて、ポリエステルポリマー中に急速混練させるよう
にしたため、上記防虫剤が脂肪族系ポリエステルと一緒
になってポリエステルポリマー中に練り込まれ、従来の
ように防虫剤が蒸発して飛散するということが少なくな
った。
【0054】また、この発明においては、上記のように
低粘性の防虫剤と脂肪族系ポリエステルとの混合液をポ
リエステルポリマー中に急速混練させて、これを紡糸さ
せるようにしたため、紡糸の際に上記防虫剤が蒸発する
ということが少なくなった。
【0055】この結果、この発明に係る防虫性ポリエス
テル繊維の製造方法によって防虫性ポリエステル繊維を
製造すると、防虫剤が充分に含有されると共に充分な強
度を持つ防虫性ポリエステル繊維が安定して得られるよ
うになった。
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】 ここで、防虫性ポリエステル繊維を製造
するのに使用する上記の防虫剤としては、ポリエステル
ポリマーと良く相溶し、高温下でも安定性を有し、さら
に防虫効果が高く且つ安全な化合物を選択して用いるよ
うにすることが好ましく、例えば、ジアルキルフタレー
,ジアルキルアジペート及びジアルキルフマレート等
であって、上記アルキル基の炭素数が1〜8のものを用
いるようにし、ジアルキルフタレートとしては、オルト
ジアルキルフタレート、イソジアルキルフタレート、テ
レジアルキルフタレート等を挙げることができる。な
お、これらの防虫剤は、一般に25℃における粘度が1
00cps以下である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】 また、防虫剤と脂肪族ポリエステルとの
混合液をポリエステルポリマーに混練させるにあたって
は、紡糸等がうまく行なわれると共に、得られた防虫性
ポリエステル繊維が充分な防虫性能を持つようにするた
め、ポリエステルポリマーに対して上記混合液を1〜6
重量%、好ましくは2〜4重量%加えるようにし、得ら
れた防虫性ポリエステル繊維中に防虫剤が0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは
0.8重量%以上含有されるようにする。但しポリエス
テル繊維中に含有させる防虫剤の量が多くなりすぎる
と、ポリマーの物性を低下させるため、一般的には防虫
剤を10重量%以上含有させることは困難である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低粘性の防虫剤を脂肪族系ポリエステル
    と混合してギアポンプによって送液可能な粘性になった
    混合液を調製し、この混合液をポリエステルポリマーの
    紡糸直前において、ポリエステルポリマー中に急速混練
    した後、これを紡糸するようにしたことを特徴とする防
    虫性ポリエステル繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 低粘性の防虫剤に混合させる脂肪族系ポ
    リエステルとして、平均分子量が3500以上で、25
    ℃における粘度が15000cps以上の脂肪族系ポリ
    エステルを用い、上記防虫剤とこの脂肪族系ポリエステ
    ルとを50:50〜10:90の割合で混合して、25
    ℃における粘度が100cps以上になった混合液を調
    製し、ポリエステルポリマーの紡糸直前において、この
    混合液を上記ポリエステルポリマーと急速混練し、その
    後、これを紡糸し、上記防虫剤が0.1重量%以上含有
    された防虫性ポリエステル繊維を製造することを特徴と
    する防虫性ポリエステル繊維の製造方法。
JP10066492A 1992-03-25 1992-03-25 防虫性ポリエステル繊維の製造方法 Pending JPH05279920A (ja)

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JP10066492A Pending JPH05279920A (ja) 1992-03-25 1992-03-25 防虫性ポリエステル繊維の製造方法

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JP (1) JPH05279920A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995020875A1 (en) * 1994-02-04 1995-08-10 Pioneer Biosciences Limited Insect repellent formulations

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61296118A (ja) * 1985-06-19 1986-12-26 Kuraray Co Ltd 香りを有するポリエステル繊維の製造方法
JPH02296945A (ja) * 1989-05-08 1990-12-07 Fudamoto Seni Kogyo Kk 家屋内におけるダニ類の移動阻止方法
JPH03205456A (ja) * 1989-10-03 1991-09-06 Osaka Kasei Kk 害虫防除性成形品

Patent Citations (3)

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