JPH0458978B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は体腔内に発生した結石を破砕するに
用いる結石破砕用鉗子に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

胆道や膀胱等の臓器に発生した結石は患者に悪
影響をおよぼす。特に肥大した結石はその影響が
大きい。

そこで、この処置として結石破砕用鉗子を用い
て、体腔内に発生した結石を破砕して体外に排
出、あるいは取り出すことが従来から行なわれて
いる。

この種の結石破砕用鉗子としては、複数の弾性
ワイヤで構成された異物把持用バスケツトを操作
ワイヤの先端部に設け、この異物把持用バスケツ
トを操作ワイヤと共に、先端に硬質部を備える可
撓性シース内に挿入して、操作ワイヤを後端側か
ら進退するようにしたものが採用され、可撓性シ
ースの先端から突没する異物把持用バスケツトで
結石を把持して、これを異物把持用バスケツトの
縮小変化で細かく破砕するようにしている。

ところで、このような結石破砕用鉗子には異物
把持用バスケツトを開閉するための操作部が設け
られる。従来、このような操作部には実開昭55−
34810号でも示すようにスライダ機構を用いたも
のが一般に採用されている。具体的には第１図に
示すように、指掛部ａを連設した軸部ｂを可撓性
シースｃの後端部に取り付け、上記軸部ｂ上にス
ライダｄをスライド自在に設け、このスライダｄ
に操作ワイヤｅの後端部に連結する構造が用いら
れ、スライダｄの移動により異物把持用バスケツ
トｆの開閉を行なうようにしていた。

ところが、このようなスライダ機構で操作部を
構成したものは、結石（図示しない）を破砕する
ためにスライダｄを手元側へ引張るうちはよいも
のの、結石が異物把持用バスケツトｆの縮小変化
で破砕された瞬間、スライダｄの抵抗が一瞬にし
て解除されその勢いで異物把持用バスケツトｆが
可撓性シースｃ内へ急激に引込んでしまう。この
ため、その勢いで破砕した細かな結石が飛び散つ
て、体腔壁を損傷させるなどの危険をきたしてし
まうものであつた。

〔発明の目的〕

この発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、安全に結石を破砕
することができる結石破砕用鉗子を提供すること
にある。

〔発明の概要〕

すなわち、この発明は挿作部を、操作力を減速
して減速回転を出力する減速機構と、操作ワイヤ
の後端側と連結し上記減速機構から出力される減
速回転を受けて操作ワイヤの進退方向に沿う直線
運動に変換して操作ワイヤに伝えるラツクとから
構成することにより、減速効果で、結石を破砕し
た瞬間における急激な異物把持用バスケツトの移
動をなくそうとするものである。

〔発明の実施例〕

以下、この発明を第２図ないし第１５図に示す
一実施例にもとづいて説明する。第２図は結石破
砕用鉗子の全体構成を示し、図中１は鉗子体、２
は可撓性シース、３は操作部である。鉗子体１
は、長尺な操作ワイヤ４の先端部に異物把持用バ
スケツト５を設けてなる。詳しくは、異物把持用
バスケツト５は、複数の弾性ワイヤ６…の両端部
を先端チツプ７ａおよび後端チツプ７ｂで連結す
るとともに、各弾性ワイヤ６…にたとえば屈曲部
７を２点、それぞれ形成して、かご形状の伸縮可
能なバスケツトを構成してなる。そして、後端チ
ツプ７ｂから各弾性ワイヤ６…の後端側が長尺に
延出する一方、そのうちの１本の弾性ワイヤ６が
他の弾性ワイヤ６…よりも長く延出していて、後
端チツプ７ｂ以降のワイヤ部分で操作ワイヤ４を
構成している。また操作ワイヤ４の中途部には、
長く延出した弾性ワイヤ６に他の弾性ワイヤ６…
の端部を連結する一方、係止部分としての役割を
はたす係止体９が設けられている。

一方、可撓性シース２としては、被覆材１０で
被覆されたたとえば長尺な密着巻きコイル１１か
ら、内腔に上記異物把持用バスケツト５ないし操
作ワイヤ４が挿入可能な挿通路１２を構成して構
成される。そして、密着巻きコイル１１の先端部
には硬質部１３が、また後端部には外周部にねじ
部が螺刻された口金１４がそれぞれ設けられてい
る。しかるに、可撓性シース２は後端側から異物
把持用バスケツト５を操作ワイヤ４と共に挿入す
ることができる一方、硬質部１３の先端に異物把
持用バスケツト５を突没自在に配することができ
るようになつている。なお、１５は可撓性シース
２の手元側となる密着巻きコイル１１の後端部付
近に被覆された保護部材である。

つぎにこの発明の要部となる操作部３について
説明する。なお、第３図に操作部３の後面を、第
４図ないし第７図に操作部３の内部機構を示す各
部をそれぞれ示す。

図中１６ａはラツクケーシング１６とギヤケー
ス１７とを重合してなる操作部本体である。そし
て、ラツクケーシング１６内にラツク１８が、ギ
ヤケース１７ないしラツクケーシング１６内に渡
つて減速機構１９がそれぞれ内装されている。こ
こで、減速機構１９を説明する前にラツク１８廻
りの構造について説明すれば、ラツク１８は外面
にラツク歯１８ａを直線的に複数並設して軸状に
構成されるものである。そして、このラツク１８
の内部には軸方向に渡つて貫通孔２０が設けられ
ている。一方、ラツクケーシング１６内にはラツ
クケーシング１６の長手方向に沿つて、後端がラ
ツクケーシング１６の後部に開口するラツク走行
路２１が形成されている。そして、このラツク走
行路２１内に上記ラツク１８がスライド自在に収
容される。またラツク１８のラツクケーシング１
６の後部に露出する後端面には係止用扉２２が貫
通孔２０の開口部に対して開閉自在に枢支されて
いる一方、ラツクケーシング１６の先端部には第
１２図でも示すように通孔２４ならびラツク走行
路２１の前端を介してラツク１８の貫通孔２０と
直列に連通する、上記可撓性シース２の口金１４
と接続可能な固定環部２５が設けられている。し
たがつて、鉗子体１を挿通した可撓性シース２を
操作部３に連結することができると併せ、操作ワ
イヤ４を固定環部２５、通孔２４、貫通孔２０へ
順次挿入して、係止体９を係止用扉２２に係止す
ることにより操作ワイヤ４の後端側とラツク１８
との両者を操作ワイヤ４の進退方向沿いに連結す
ることができるようになつている。なお、係止用
扉２２には第１３図でも示すような係止体９の通
過を不可能とするスリツト２６および係止体９を
受けて不用意に動くことがないよう嵌合する凹部
２７で構成される係止部２８が設けられているの
である。また、２９は係止用扉２２を枢支するた
めのピンを示す。

つぎに減速機構１９について説明すれば、これ
はギヤケース１７の大径部内の中央に、ラツクケ
ーシング１６に渡る従動側軸３０を回転自在に内
装するとともに、ギヤケース１７の小径部内の中
央にラツクケーシング１６に渡る駆動側軸３１を
回転自在に取り付ける。これら従動側軸３０なら
びに駆動側軸３１はラツク１８に対していずれも
直角な方向に配置されいる。そして、従動側軸３
０のラツクケーシング１６内に位置する軸部上に
上記ラツク１８のラツク歯１８ａ…と咬合する小
径のピニオンギア３２を設けるとともに、大径部
内に位置する軸部上に大径のギヤ３３を取り付け
る。また駆動側軸３１の小径部に位置する軸部上
に上記大径のギア３３と咬合する小径なギア３４
を設けるとともに、駆動側軸３１のギアケース１
７から突出した端部にハンドル３５を設けてな
り、ハンドル３５から人の力で与えられる操作力
を各ギア３４、ギア３３、ピニオンギア３２に至
る間で減速して、ピニオンギア３２から減速回転
を出力させるようにしている。もちろん、ピニオ
ンギア３２とラツク歯１８ａ…とのかみ合いにて
ラツク１８は操作ワイヤ４の進退方向沿いにスラ
イドするもので、ラツク１８にて減速回転を直線
運動に変換して操作ワイヤ４に伝える。つまり異
物把持用バスケツト５を開閉操作することができ
るようになつている。

しかして、このように構成される結石破砕用鉗
子を使用してたとえば胆管内の結石処理を行なう
ときには、まず内視鏡（図示しない）に鉗子体１
を組付けることから始まる。

すなわち、たとえば第８図に示すように造影剤
等の液体を注入する長尺で、かつ外径が小さいチ
ユーブシース４１利用してこれを異物把持用バス
ケツト５ないし操作ワイヤ４に対して挿入する一
方、操作ワイヤ４の後端側からそのチユーブシー
ス４１の後段に、操作パイプ４２を前部に突設し
た把持部品４３を挿入して操作ワイヤ４上に固定
する。なお、４４はチユーブシース４１の後部に
設けた注入口部である。ここで、このときの操作
パイプ４２の先端は第９図で示すように係止体９
に設けた凹部４５に嵌合して位置決められ、また
把持部品４３は第１０図で示すようにねじ込み式
のつまみ４６ならびに把持部品４３内に設けた押
え部材４７の両者で操作ワイヤ４をはさみ付けて
いる。

そして、このようなチユーブシース４１と組合
わせた鉗子体１を内視鏡の鉗子チヤンネル内に、
異物把持用バスケツト５がチユーブシース４１に
対して引込んだ状態で挿入する。なお、このよう
な作業は鉗子体１が内視鏡へ挿入しやすいゆえに
行なうものである。

こののち、この内視鏡の挿入部を体腔内に挿入
して挿入部の先端部を十二指腸乳頭より胆管内に
挿入する。そして、内視鏡にて結石５０を見つけ
たならば、把持部品４３を前進操作して異物把持
用バスケツト５をチユーブシース４１の先端から
突出させ、開く異物把持用バスケツト５の弾性ワ
イヤ６…の間から結石５０を異物把持用バスケツ
ト５内に取り込む。しかるのち、この取り込んだ
結石５０を把持部品４３の後退操作ににり異物把
持用バスケツト５で把持する。

そして、このようなチユーブシース４１を利用
しての結石把持を終えたならば、つぎに太径の可
撓性シースならびに操作部３を取り付ける作業に
移る。

これは、まず、結石５０の把持によつて動きが
規制された操作ワイヤ４からチユーブシース４１
ならびに内視鏡を抜き取る。ついで、体腔内に残
つた操作ワイヤ４をガイドにして可撓性シース２
を、硬質部１３を先頭に体腔内に挿入する。ここ
で、ラツク１８の係止用扉２２を開けた操作部３
を用意しておく。そして、可撓性シース２の口金
１４からでた操作ワイヤ４の後端部に上記操作部
３を挿通する。すなわち、操作部３の固定環部２
５、通孔２４、ラツク１８の貫通孔２０の順に操
作ワイヤ４を挿入する。こののち、操作部３の固
定環部２５と可撓性シース２の口金１４とをねじ
込みにより第１２図に示すように結合し、その
後、ラツク１８の貫通孔２０の後端から操作ワイ
ヤ４上の係止体９を引き出し、係止用扉２２を閉
じて、その係止体９を第１３図で示すように係止
用扉２２上の凹部２７にスリツト２６を介して嵌
合させる。なお、このようにして組みあがつた結
石破砕用鉗子の全体的な構成状況が第１１図に示
されている。

これにより、第１４図で示すように、結石５０
を把持した異物把持用バスケツト５の後段に、可
撓性シース２、操作部３が順に配される。このの
ち、ハンドル３５を時計廻り方向へゆつくりと回
転させれば、減速機構１９から減速した回転でラ
ツク１８を後方へスライド駆動して操作ワイヤ４
を引張る。かくして、異物把持用バスケツト５の
縮小変化にて、結石５０を締め付けて第１５図で
示すように結石５０を細かく破砕することにな
る。

ここで、このような破砕の際、従来では結石５
０が破砕された瞬間、異物把持用バスケツト５が
急激に移動して、細かな結石５０が飛び散つてし
まうことが指摘されたが、この発明ではこれを解
消することができる。

すなわち、操作ワイヤ４を引張るラツク１８は
減速機構１９から減速された操作力で駆動され
る。このことは、ラツク１８ならびに操作ワイヤ
４の後退変位量は与えられる操作力に対してきわ
めて小さい。したがつて結石５０が破砕されたと
きの抵抗解除を受けても減速効果で異物把持用バ
スケツト５は急激に移動、すなわち急激に可撓性
シース２内へ引き込まれることはなくなるのであ
る。故に細かく破砕された結石５０は異物把持用
バスケツト５の動きで飛び散ることがない。

よつて、体腔壁の損傷といつた危険を回避しつ
つ安全に結石５０を破砕することができるのであ
る。しかも、このような減速機構１９でラツク１
８を駆動する機造は、力から見れば与えられる操
作力を増幅してラツク１８へ伝達されるために、
軽い力で大きな破砕力を得られる利点をもち、硬
い結石５０でも楽に砕石することができる。

また、この発明は上述した一実施例に限らずた
とえば第１６図に示す他の実施例のようにしても
よい。

すなわち、第１６図に示すものは、駆動側軸３
１に、反転防止ギア５１とそれにかみ合うストツ
パー５２とからなるラチユツト機構５３を設けて
逆止機構としたもので、砕石の際の抵抗でハンド
ル３５に発生する逆方向の回転を防止しようとし
たものである。

なお、上述したいずれの実施例共、人の力を利
用して砕石するようにしたものを示したが、人の
力の代りにモータ等の駆動源を用いて砕石するよ
うにしてもよい。また、上述した一実施例では同
じワイヤを使つて操作ワイヤと異物把持用バスケ
ツトとを構成したが、第７図に示す他の実施例の
ようにそれぞれ別なワイヤで操作ワイヤ４、異物
把持用バスケツト５を構成するようにしてもよ
い。詳しくは、第７図に示すものは、操作ワイヤ
４を後端チツプ７ｂまでの長さをもつ弾性ワイヤ
ーで構成し、また異物把持用バスケツト５をつぎ
のようにして構成する。

すなわち、上記操作ワイヤ４とは別な複数、た
とえば２本の弾性ワイヤ６の一方の端部を後端チ
ツプ７ｂに固定させるとともに、他方の端部側を
先端チツプ７ａで折り返して再び後端チツプ７ｂ
に戻るようにして、その他方の端部を後端チツプ
７ｂ以降、保止体９まで延出してなる。

〔発明の効果〕

以上説明したようにこの発明によれば、減速効
果による操作ワイヤの後退量の減少により、結石
を破砕した瞬間における急激な異物把持用バスケ
ツトの移動をなくすことができるようになる。

したがつて、異物把持用バスケツトの急激な移
動による結石の飛散を防止することができ、安全
に結石を破砕することができる。しかも、減速機
構の採用により軽い力で大きな破砕力が得られる
利点をもち、硬い結石でも楽に砕石することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の結石破砕用鉗子を示す断面図、
第２図ないし第１５図はこの発明の一実施例を示
し、第２図は結石破砕用鉗子の分解図、第３図は
操作部の後面図、第４図は第２図操作部の〜
線に沿う断面図、第５図は第２図操作部の〜
線に沿う断面図、第６図は第３図操作部の〜
線に沿う断面図、第７図は第３図操作部の〜
線に沿う断面図、第８図は異物把持用バスケツト
ないし操作ワイヤにチユーブシースを組合せた構
造を示す断面図、第９図はその係止体廻りを拡大
した断面図、第１０図はその把持部品廻りを拡大
した断面図、第１１図は結石破砕用鉗子を組立て
たときを示す断面図、第１２図はその可撓性シー
スと操作部との連結構造を示す断面図、第１３図
は操作部の係止用扉廻りを示す断面図、第１４図
および第１５図は結石破砕用鉗子による結石砕石
状況を示す側面図、第１６図はこの発明の他の実
施例を示す斜視図、第１７図はこの発明の異なる
他の実施例を示す断面図である。 ２…可撓性シース、３…操作部、４…操作ワイ
ヤ、５…異物把持用バスケツト、１３…硬質部、
１８…ラツク、１９…減速機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 先端に硬質部を備える可撓性シース内に挿通
   される操作ワイヤの先端部に複数の弾性ワイヤで
   構成された異物把持用バスケツトを設け、この異
   物把持用バスケツトを操作ワイヤと共に、上記先
   端に硬質部を備える可撓性シール内に挿入し、操
   作ワイヤを後端側から操作部で進退するようにし
   た結石破砕用鉗子において、上記操作部は、歯数
   の異なる複数の歯車よりなり操作力を減速して減
   速回転を出力する減速機構と、上記操作ワイヤの
   後端側と連結し上記減速機構から出力される減速
   回転を受けてこれを操作ワイヤの進退方向に沿う
   直線運動に変換して操作ワイヤに伝えるラツクと
   を具備して構成されることを特徴とする結石破砕
   用鉗子。